JP5612152B1 - 改質澱粉の製造方法および改質澱粉 - Google Patents
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しかし、澱粉には固有の欠点があり、そのために適合しない用途が数多くある。そのため、これらの欠点を解消するための化学的および物理的変性方法が開発されてきた。
澱粉のアルファー化とは、澱粉顆粒内部の分子配列を崩壊させることであり、顆粒の膨潤、複屈折性の喪失、天然の微結晶の融解、澱粉の可溶化など、性状の不可逆変化として現れる。
このようなアルファー化澱粉は、水やお湯を加えて容易に糊の状態に戻る特性を利用して食品や工業用途など幅広く用いられており、特に、冷水で澱粉質糊液の特性を利用する用途、例えば養鰻用飼料や線香などの粘結成分、充分な加熱が望めない即席スープや即席中華あん等のインスタント食品用成分に用いられている。これらの用途には、所望の膨潤性や吸水性が求められ、特に食品用途にはそれらの性質が求められる場合が多い。
より効率よく改質澱粉を製造するために、上記(B)の改質工程は、原料澱粉を攪拌しながら行なうことが好ましく、また上記(B)の改質工程における原料澱粉の攪拌が、縦型の筒状攪拌槽を有する攪拌装置を用いて行なわれる攪拌であることが好ましい。
すなわち、以上のような製造方法によって得られる改質澱粉を含有する食品、同改質澱粉を添加剤として含有する医薬品製剤、同改質澱粉を含有する接着剤、香料または化粧品からなる工業製品を挙げることができる。
水分含量の上昇が1%より小さいと澱粉を改質するのに必要なエネルギーおよび水分量が不足して、膨潤性・保水性をコントロールするのが困難となるので好ましくない。水分含量の上昇が15%より大きいと澱粉が速やかにアルファー化してしまい膨潤性・保水性をコントロールすることが困難になるし、澱粉の水分含量が高くなりすぎて乾燥コストが高くなってしまうので好ましくない。
乾燥方法は、澱粉を乾燥できればどのような方法でもよく、真空凍結乾燥、スプレー乾燥、気流乾燥、伝熱乾燥、マイクロウェーブ乾燥、輻射熱乾燥、真空乾燥、などが挙げられる。粉砕方法は、機械式粉砕(ボールミル、ハンマーミル、圧延ロール、など)、衝突式粉砕(ジェットミル、など)、などが挙げられる。
分級方法としては、重力分級(自動沈降式分級、など)、慣性分級(エアーセパレーター、など)、遠心分級(サイクロン、ミクロンセパレーター、など)、ふるい分け分級(ジャイロシフター、超音波シフター、など)などが挙げられる。
膨潤性(ml/g)=沈殿物の容積(ml)/5(g)・・・(1)
保水性(%)=(沈殿物の重量(g)−1(g))/1(g)・・・(2)
水溶性成分(%)=(乾固重量(g)×35(g)/15(g))/1(g)・・・(3)
この発明の製造方法で得られた改質澱粉は、膨潤性、保水性が優れていることにより、顆粒や錠剤の硬度向上、錠剤の崩壊性や溶出性の向上、顆粒や錠剤の吸湿性の改良、などに寄与する。
この発明の製造方法で得られた改質澱粉は、膨潤性、保水性が優れていることにより、接着性の向上、接着強度の向上、香料や化粧品のフレーバーリリースの改良、化粧品の質感の向上、などに寄与する。
ビニル袋中でコーンスターチと水をよく混合し、表1に示すように水分を12〜60%に調製した。そして、ステンレスバットに水分調製した澱粉を100g入れ、表1に示す各圧力の水蒸気に5分間さらした。
その後、50℃の熱風乾燥機にバットを移して乾燥し、ブレンダーで粉砕したものを42メッシュの標準篩で篩がけして改質澱粉を得た。得られた改質澱粉について、前述の試験方法によって、膨潤性、保水性、水溶性成分を分析し、これらの結果を表1中に併記した。
ビニル袋中でコーンスターチと水をよく混合し、表2に示すように水分を35%に調製した。ステンレスバットに水分調製した澱粉を100g入れ、表2に示すように0.3MPaの水蒸気と85℃の熱水に5分間さらした。
その後、50℃の熱風乾燥機にバットを移して乾燥し、ブレンダーで粉砕したものを42メッシュの標準篩で篩がけして改質澱粉を得た。得られた改質澱粉について、前述の試験方法によって膨潤性、保水性、水溶性成分を分析し、結果を表2中に併記した。
ビニル袋中で各種の原料澱粉と水をよく混合し、水分を35、40%に調製した。ステンレスバットに水分調製した澱粉を100g入れ、表3中に示す各種圧力の水蒸気に5分間さらした。その後、50℃の熱風乾燥機にバットを移して乾燥し、ブレンダーで粉砕したものを42メッシュの標準篩で篩がけして改質澱粉を得た。得られた改質澱粉について、前述の試験方法によって膨潤性、保水性、水溶性成分を分析し、これらの結果を表3中に併記した。
表4に示す条件において、混合機にて、コーンスターチと水を混合し水分を調整した。その後、縦型の筒状攪拌槽を有する攪拌装置を用いて、連続的にコーンスターチへ水蒸気を噴きつけながら攪拌を行なった。
その後、気流乾燥機にて乾燥し、粉砕、分級を行って改質澱粉を得た。
得られた改質澱粉について、前述の試験方法によって膨潤性、保水性、水溶性成分を分析し、結果を表4中に示した。
実施例4と同様の方法でワキシーコーンスターチの改質澱粉を得た。得られた改質澱粉について、前述の試験方法によって膨潤性、保水性、水溶性成分を分析し、結果を表5中に併記した。
実施例4と同様の方法で、水蒸気と85℃の熱水を同時に添加して、コーンスターチの改質澱粉を得た。得られた改質澱粉について、前述の試験方法によって膨潤性、保水性、水溶性成分を分析し、結果を表6中に示した。
サンプル5、33を表7の配合の通りに、コロッケバッターへ使用した。比較例として、サンプル17、18を使用した。作製したバッターを冷凍済みのポテトコロッケ中種20gに4g付け、微粉パン粉を付けた後、さらにバッターを6g付けた上に、生パン粉を付けて、175℃の油で3分間揚げた。6名の熟練したパネラーによってフライ10分後と2時間後、および冷凍後に電子レンジ加熱して食感評価を行ない、その結果を表7中に併記した。
改質澱粉を使用すると、コロッケの衣のサクサク感があり、冷凍後も引きのない食感となり、非常に好ましい評価となった。
サンプル5、33を表8の配合の通りに食パンへ使用した。比較例として、サンプル17、18を使用した。角型食パンを作製して、焼成3日後の食感評価を8名の熟練したパネラーによって行った。
評価は、◎:非常に良い、○:良い、△:悪い、×:非常に悪い の4段階にて行った。また、焼成1日後(D+1)、3日後(D+3)の食パンクラムの硬さをクリープメーターにて測定し、結果を表8中に併記した。
クリープメーターにRHEONERII(山電)を使用し、直径4cmの円盤プランジャーで50%圧縮した時の最大荷重を硬さとした。硬さの値が小さいほど柔らかく好ましい食パンであるといえる。
サンプル22、34を表9の配合の通りにギョウザの皮へ使用したものを実施例34、35とした。また、比較例12、13として、サンプル21、23を使用した。
捏ね上げ時の生地状態が同等となるように水の量を調節した。作製したギョウザの皮を使用して、焼ギョウザを作り、8名の熟練したパネラーによって食感評価を行った。
評価は、◎:非常に良い、○:良い、△:悪い、×:非常に悪い の4段階にて行った。また、ギョウザの皮を1週間冷蔵保管した際の硬さと伸展性をクリープメーターにて測定し、これらの結果は表9中に併記した。
実施例36、37としてサンプル5、33を表10の配合の通りに蒲鉾へ使用した。
比較例14、15として、サンプル17、18を使用した。
ケーシング蒲鉾を作製して、冷蔵7日後の食感評価を8名の熟練したパネラーによって行った。評価は、弾力および歯応えについて行ない、◎:非常に良い、○:良い、△:悪い、×:非常に悪い の4段階で評価した。
実施例38、39のサンプル5、33を表11の配合の通りに錠剤へ使用した。比較例16、17として、サンプル17、18を使用した。
粉末をよく混合し、打錠機にて5kNの圧力で直径8mm、250mgの錠剤を作製した。作製した錠剤について、木屋式硬度計による硬度測定、第十六改正日本薬局方の崩壊試験法による崩壊性測定、溶出試験パドル法第1液による溶出率測定を行ない、結果を表11中に併記した。
実施例40、41としてサンプル5、33および比較例18、19としてサンプル17、18を使用して、繊維シート状物の層間接着剤としての評価を行った。
針葉樹クラフトパルプ(NBKP)100%、濾水度(CSF)340mlからなる1%パルプスラリー375mlに、硫酸バンドを対パルプ1.0%添加し、実験用角型抄紙機(25cm×25cm)内で0.03%になるまで希釈した。次に脱水を開始しマットが生成し始め、パルプスラリーの水面が金網より2cm上に到達したところで一旦停止し、パルプスラリー水面に澱粉を乾物ベースで2g/cm2スプレーした。
Claims (8)
- 原料澱粉を湿潤状態として膨潤性および保水性を改良する改質澱粉の製造方法において、
前記湿潤状態にする際、(A)原料澱粉に加水して水分量を26〜59質量%にする調湿工程と、(B)この調湿工程を経た原料澱粉の粒子に蒸気圧0.1〜0.6MPaの飽和水蒸気もしくは熱水またはこれらの両方を接触させて水分量を1〜15%上昇させる改質工程を必須とすることを特徴とする改質澱粉の製造方法。 - 上記(B)の改質工程が、原料澱粉を攪拌しながら行なう改質工程である請求項1に記載の改質澱粉の製造方法。
- 上記(B)の改質工程における原料澱粉の攪拌が、縦型の筒状攪拌槽を有する攪拌装置を用いて行なわれる攪拌である請求項2に記載の改質澱粉の製造方法。
- 上記(B)の改質工程が、大気圧条件下で行なわれる工程である請求項1〜3のいずれかに記載の改質澱粉の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の改質澱粉の製造方法によって得られる改質澱粉。
- 請求項5に記載の改質澱粉を含有する食品。
- 請求項5に記載の改質澱粉を添加剤として含有する医薬品製剤。
- 請求項5に記載の改質澱粉を含有する接着剤、香料または化粧品からなる工業製品。
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