JP5611581B2 - マスクブランク及びその製造方法、並びに、転写マスク及びその製造方法 - Google Patents
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Description
転写マスクの種類としては、透光性基板上にクロム系材料からなる遮光膜パターンを有するバイナリ型マスクのほかに、ハーフトーン型位相シフトマスクが知られている。
このハーフトーン型位相シフトマスクは、光半透過膜パターン上に、クロムを主成分とする遮光膜パターン(遮光帯)を、転写領域の外周部に更に備えている。これにより、ステッパのレチクルとして繰り返し使用された場合でも、露光されるべきでない領域を該遮光膜パターンによって確実に遮光している(特許文献1)。
このようなハーフトーン型位相シフトマスクの製造は、次のとおりである。マスクブランク上に形成された第1のレジスト膜に対し、所望のパターン描画を施し、所望のパターン描画に従って前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成し、レジストパターンに従って遮光膜をエッチングして遮光膜パターンを形成し、前記遮光膜パターンに従って光半透過膜をエッチングして光半透過膜パターンを形成し、残存した第1のレジスト膜を剥離する。その後、再度第2のレジスト膜を塗布し、所望のパターン描画を施し、所望のパターン描画に従って前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成し、レジストパターンに従って遮光膜をエッチングして遮光膜パターン(遮光帯)を形成し、残存した第2のレジスト膜を剥離する。
また、近年のパターンの微細化に伴い、第2のレジスト膜の加工精度を要求される場合には、露光部分の位置合わせ精度を高精度とする必要があるため、従来の方法では対応が困難となる可能性がある。
このような問題は、遮光帯を有するハーフトーン型位相シフトマスクの製造だけでなく、トライトーン型位相シフトマスクのパッチ加工やエンハンサーマスク加工等の加工深さの異なる3次元構造のマスク製造にも発生する。
(構成1)
電子線描画によりレジストパターンを形成する電子線描画用のマスクブランクであって、
基板と、
前記基板上に形成された薄膜と、
前記薄膜上に形成された電子線レジスト膜と、を備え、
前記電子線レジスト膜は、少なくとも下層レジスト膜と上層レジスト膜とを含む積層膜からなり、
前記下層レジスト膜と前記上層レジスト膜とは、電子線に対する感度が互いに異なることを特徴とする電子線描画用マスクブランク。
(構成2)
前記下層レジスト膜及び前記上層レジスト膜はネガ型であり、前記上層レジスト膜は前記下層レジスト膜よりもレジスト感度が低いことを特徴とする構成1に記載の電子線描画用マスクブランク。
(構成3)
前記下層レジスト膜及び前記上層レジスト膜はポジ型であり、前記上層レジスト膜は前記下層レジスト膜よりもレジスト感度が高いことを特徴とする構成1に記載の電子線描画用マスクブランク。
(構成4)
前記下層レジスト膜はポジ型であり、前記上層レジスト膜はネガ型であり、前記上層レジスト膜は前記下層レジスト膜よりもレジスト感度が高いことを特徴とする構成1に記載の電子線描画用マスクブランク。
(構成5)
前記下層レジスト膜及び前記上層レジスト膜は、化学増幅型レジストであることを特徴とする構成1〜4のいずれかに記載の電子線描画用マスクブランク。
(構成6)
前記上層レジスト膜は、前記下層レジスト膜よりもベーク温度が低い材料からなることを特徴とする構成1〜5のいずれかに記載の電子線描画用マスクブランク。
(構成7)
前記下層レジスト膜の膜厚と、前記上層レジスト膜の膜厚は、同じであることを特徴とする構成1〜6のいずれかに記載の電子線描画用マスクブランク。
(構成8)
前記下層レジスト膜と前記上層レジスト膜との間に、中間層を備えることを特徴とする構成1〜7のいずれかに記載の電子線描画用マスクブランク。
(構成9)
電子線描画によりレジストパターンを形成する電子線描画用のマスクブランクの製造方法であって、
基板上に薄膜を形成する工程と、
前記薄膜上に、下層の電子線レジスト膜を形成する工程と、
前記下層の電子線レジスト膜上に、直接又は中間層を介して、上層の電子線レジスト膜を形成する工程と、を備え、
前記下層レジスト膜と前記上層レジスト膜とは、電子線に対する感度が互いに異なることを特徴とする電子線描画用マスクブランクの製造方法。
(構成10)
構成1〜9のいずれかに記載の電子線描画用のマスクブランクを用い、感度の高い方のレジスト膜を低ドーズ量で描画し、感度の低い方のレジスト膜を高ドーズ量で描画することによって、段差を有するレジストパターンを形成する工程を有することを特徴とする転写マスクの製造方法。
(構成11)
構成10に記載の転写マスクの製造方法を用いて作製されたことを特徴とする転写マスク。
また、本発明によれば、遮光帯を有するハーフトーン型位相シフトマスクの製造や、トライトーン型位相シフトマスクのパッチ加工において、1度の描画で立体的な電子線レジストパターンを形成することができ、しかもマスク面内の疎密のあるパターン(例えば、ラインアンドスペース、孤立ライン、孤立スペース)の各々について設計値通りのCD精度で得られるマスクブランク及びその製造方法を実現できる。
さらに、本発明によれば、遮光帯を有するハーフトーン型位相シフトマスクの製造や、トライトーン型位相シフトマスクのパッチ加工において、1度の描画で立体的な電子線レジストパターンを形成することができ、しかもレジストパターンの剥離除去工程が不要であるマスクブランク及びその製造方法を実現できる。
また、本発明によれば、上層のレジストパターンがその下層の中間層と共に消失したり、一部消失することを防止できる手法を提供できる。
本発明は、電子線描画によりレジストパターンを形成する電子線描画用のマスクブランクであって、
基板と、
前記基板上に形成された薄膜と、
前記薄膜上に形成された電子線レジスト膜と、を備え、
前記電子線レジスト膜は、少なくとも下層レジスト膜と上層レジスト膜とを含む積層膜からなり、
前記下層レジスト膜と前記上層レジスト膜とは、電子線に対する感度が互いに異なることを特徴とする(構成1)。
(1)実施形態1 下層:高感度ネガ\上層:低感度ネガ(構造1)(図1、4参照)(構成2に対応)
(2)実施形態2 下層:低感度ポジ\上層:高感度ポジ(構造2)(図2、5参照)(構成3に対応)
(3)実施形態3 下層:低感度ポジ\上層:高感度ネガ(構造3)(図3、6参照)(構成4に対応)
(4)実施形態4 下層:高感度ネガ\中間層\上層:低感度ネガ(構造4)(図1、4参照)(構成2、8に対応)
(5)実施形態5 下層:低感度ポジ\中間層\上層:高感度ポジ(構造5)(図2、5参照)(構成3、8に対応)
(6)実施形態6 下層:低感度ポジ\中間層\上層:高感度ネガ(構造6)(図3、6参照)(構成4、8に対応)
図8に示すように、下層の高感度ネガレジストが十分に感光し(現像による残膜率約100%)、上層の低感度ネガジレジストが感光しない(現像による残膜率0%)ような低ドーズ量(電子線の強度)Aで描画を行う。これにより、描画Aの箇所は他の箇所に対し段差(上層レジストの厚さと同じ段差、又は下層レジストの厚さと同じ段差)を形成可能となる。
次に、上層の低感度ネガレジストが十分に感光し(現像による残膜率約100%)、下層の高感度ネガジレジストも十分に感光する(現像による残膜率約100%)ような高ドーズ量(電子線の強度)Bで描画を行う。これにより、描画Bの箇所は他の箇所に対し段差(上層+下層レジストの厚さと同じ段差、又は上層レジストの厚さと同じ段差)を生じる。
図8においては、高ドーズ量Bは、低ドーズ量Aの2倍以上であることが好ましい。この理由は、パターンの疎密によって描画の際に描画しているパターンに実効的にかかるドーズ量が、近傍からの電子線の影響(近接効果)によって、変化するからである。図10の下側の図に示すように、ネガ型の場合、孤立ライン(Iso line)では、描画部分がパターンとなるので周囲からかぶる(もらう)ドーズ量は少ないので、ドーズ量を相対的に大きくする必要がある。孤立スペース(Iso space)では、周囲を描画し非描画部分がパターンとなるので周囲からかぶる(もらう)ドーズ量は多いので、ドーズ量を相対的に小さくする必要がある。ラインアンドスペース(L&S)では、あげる量ももらう量も同じであるため、ドーズ量は孤立ラインと孤立スペースの間にくる。孤立スペース(Iso space)のドーズ量をD100とすると孤立ライン(Iso line)のドーズ量はD100のおよそ2倍必要である。ドーズギャップ(D100b−D100a)はD100aのおよそ2倍以上であることが好ましい。
このように、CD制御のための最適なドーズ量に幅があり、CD制御のため(パターンの疎密にかかわらず設計値通りのCD精度を得るため)にパターンの疎密に応じて最適なドーズ量に制御する必要があるため、高ドーズ量Bは、低ドーズ量Aのおよそ2倍以上であることが好ましい。
なお、先端マスク加工では一般に50keVのエネルギーを有する電子線を照射するため、光露光に比べエネルギーの拡散面積が大きく、基板全面でエネルギーの相互作用が発生する。相互作用の大きさを補正するため、電子線描画(露光)装置では描画密度に応じて露光ポイントの電子線照射量を調整する必要があり、光露光以上に十分なドーズギャップを確保する必要がある。
図8においては、下層の高感度ネガレジストのみが十分に感光する範囲aが十分に広く、感度差が十分に大きいことが好ましい。範囲aが十分に広いことで、下層の高感度ネガレジストが十分に感光するドーズ量(電子線の強度)Aで描画を行う際に、下層のCD制御のために下層のパターンの疎密に応じて最適なドーズ量に制御することが容易になる。また、範囲aが十分に広いことで、上層の低感度ネガレジストが十分に感光するドーズ量(電子線の強度)Bで描画を行う際に、上層のCD制御のために上層のパターンの疎密に応じて最適なドーズ量に制御することが容易になる。さらに、上層の低感度ネガレジストの感度曲線における残膜率が0%から100%に変化する範囲cが狭い(傾きが急峻)高コントラストなものとすることにより、範囲aを広くすることができる。
図8において、範囲aが狭い場合や、範囲cが範囲aと重なる場合、レジスト間の感度差が小さく、段差の形成等が困難となり、本発明の適用が困難となる。
図7に示すように、まず、上層の高感度ポジレジストが十分に感光し(現像による残膜率0%)、下層の低感度ポジレジストが感光しない(現像による残膜率約100%)ような低ドーズ量(電子線の強度)Aで描画を行う。これにより、描画Aの箇所は他の箇所に対し段差(上層レジストの厚さと同じ段差、又は下層レジストの厚さと同じ段差)を形成可能となる。
次に、下層の低感度ポジレジストが十分に感光し(現像による残膜率0%)、上層の高感度ポジレジストについても十分に感光する(現像による残膜率0%)ような高ドーズ量(電子線の強度)Bで描画を行う。これにより、これにより、描画Bの箇所は他の箇所に対し段差(上層+下層レジストの厚さと同じ段差、又は下層レジストの厚さと同じ段差)を生じる。
図7においては、高ドーズ量Bは、低ドーズ量Aの約2倍以上であることが好ましい。この理由は、パターンの疎密によって描画の際に描画しているパターンに実効的にかかるドーズ量が、近傍からの電子線の影響(近接効果)によって、変化するからである。図10の上側の図に示すように、ポジ型の場合、孤立スペース(Iso space)では、描画部分がパターンとなるので周囲からかぶる(もらう)ドーズ量は少ないので、ドーズ量を相対的に大きくする必要がある。孤立ライン(Iso line)では、周囲を描画し非描画部分がパターンとなるので周囲からかぶる(もらう)ドーズ量は多いので、ドーズ量を相対的に小さくする必要がある。ラインアンドスペース(L&S)では、あげる量ももらう量も同じであるため、ドーズ量は孤立ラインと孤立スペースの間にくる。孤立ライン(Iso line)のドーズ量をD0とすると孤立スペース(Iso space)ドーズ量はD0の約2倍必要である。ドーズギャップ(D0b−D0a)はD0aの約2倍以上であることが好ましい。
このように、CD制御のための最適なドーズ量に幅があり、CD制御のためにパターンの疎密に応じて最適なドーズ量に制御する必要があるため、高ドーズ量Bは、低ドーズ量Aの約2倍以上であることが好ましい。
図7においては、上層の高感度ポジレジストのみが十分に感光する範囲aが十分に広く、感度差が十分に大きいことが好ましい。範囲aが十分に広いことで、上層の高感度ポジレジストが十分に感光するドーズ量(電子線の強度)Aで描画を行う際に、上層のCD制御のために上層のパターンの疎密に応じて最適なドーズ量に制御することが容易になる。また、範囲aが十分に広いことで、下層の低感度ポジレジストが十分に感光するドーズ量(電子線の強度)Bで描画を行う際に、下層のCD制御のために下層のパターンの疎密に応じて最適なドーズ量に制御することが容易になる。さらに、下層の低感度ネガレジストの感度曲線における残膜率が100%から0%に変化する範囲cが狭い(傾きが急峻)高コントラストなものとすることにより、範囲aを広くすることができる。
図7の右側の図のように、範囲cが範囲aと重なると、レジスト間の感度差が小さく、段差の形成等が困難となる。図7において、範囲aが狭い場合も、本発明の適用が困難となる。
図9に示すように、まず、上層の高感度ネガレジストが十分に感光し(現像による残膜率約100%)、下層の低感度ポジレジストが感光しない(現像による残膜率約100%)ような低ドーズ量(電子線の強度)Aで描画を行う。これにより、描画Aの箇所は他の箇所に対し段差(上層+下層レジストの厚さと同じ段差、又は上層レジストの厚さと同じ段差)を形成可能となる。
次に、下層の低感度ポジレジストが十分に感光し(現像による残膜率0%)するような高ドーズ量(電子線の強度)Bで描画を行う。このとき、上層の高感度ネガレジストについても十分に感光する(現像による残膜率約100%)ようになるが、現像の際にこの箇所の上層はその下層とともに消失する。これにより、描画Bの箇所は他の箇所に対し段差(上層+下層レジストの厚さと同じ段差、又は下層レジストの厚さと同じ段差)を形成可能となる。
なお、描画A、Bが共になされない箇所においては、上層の高感度ネガレジストの箇所は現像で消失し(現像による残膜率0%)、下層の低感度ポジレジストの箇所は現像で残る(現像による残膜率約100%)。
図9においては、高ドーズ量Bは、低ドーズ量Aの2倍以上であることが好ましい。この理由は、上記と同様である。
図9においては、上層の高感度ネガレジストのみが十分に感光する範囲aが十分に広く、感度差が十分に大きいことが好ましい。aが十分に広いことで、上層の高感度ネガレジストが十分に感光するドーズ量(電子線の強度)Aで描画を行う際に、上層のCD制御のために上層のパターンの疎密に応じて最適なドーズ量に制御することが容易になる。また、aが十分に広いことで、下層の低感度ポジレジストが十分に感光するドーズ量(電子線の強度)Bで描画を行う際に、下層のCD制御のために下層のパターンの疎密に応じて最適なドーズ量に制御することが容易になる。さらに、下層の低感度ポジレジストの感度曲線における残膜率が100%から0%に変化する範囲cが狭い(傾きが急峻)高コントラストなものとすることにより、範囲aを広くすることができる。
図9において、範囲aが狭い場合や、範囲cが範囲aと重なる場合、レジスト間の感度差が小さく、段差の形成等が困難となり、本発明の適用が困難となる。
本発明において、実施形態1〜6は、従前の電子線レジスト付トライトーン型位相シフトマスク作製用マスクブランクにおいて、マスクプロセスを簡略化して遮光帯及びパッチを形成するための電子線レジストを設けたものである。
これらによれば、レジスト塗布、描画、現像及び剥離の工程を2度行う必要がなくなるので、マスクプロセスを簡略化することが可能となり、加工時間短縮及び低コスト化が可能となる。また、遮光帯を有するハーフトーン型位相シフトマスクの製造や、トライトーン型位相シフトマスクのパッチ加工において、レジストパターンの剥離除去工程が不要である工程を実現できる。
本発明において、下層:高感度ポジ\上層:低感度ポジ、下層:低感度ネガ\上層:高感度ネガの各組み合わせは、低ドーズ量で下層だけ分解する。このため、パターン形成困難な組み合わせである。
本発明において、下層レジストと上層レジストとの現像機構は同種でも異種でもよい。例えば、化学増幅型と主鎖切断型、化学増幅型と架橋型等の組み合わせなどが例示される。
本発明において、電子線レジストは、主鎖切断型や架橋型の現像液は有機溶媒のため、中間層の選択が難しいので、化学増幅型が好ましい(構成5)。
本発明において、化学増幅型は感度曲線が急峻な高コントラストなものがあるため、ドーズ量の制御が行いやすいため好ましい。なお、主鎖切断型や架橋型は化学増幅型に比べて低コントラストである。
(1)FEP171:ポジ型レジスト、10μC/cm2、140℃(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)
(2)PRL009:ポジ型レジスト、30μC/cm2、130℃(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)
(3)FEN270:ネガ型レジスト、10μC/cm2、130℃(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)
(4)SLV12M:ネガ型レジスト、20μC/cm2、120〜130℃(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)
本発明において、薄膜としては、金属を含む膜やシリサイドを用いることができる。
金属を含む膜としては、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ランタン、タンタル、タングステン、シリコン、ハフニウムから選ばれる一種又は二種以上の材料からなる膜、あるいはこれらの元素や合金を含む材料に加え、酸素、窒素、珪素、炭素の少なくとも一つを含む膜からなる膜が挙げられ、異なる組成で段階的に形成した複数層構造や、連続的に組成が変化した複数層構造とすることができる。また、金属はシリサイド化して用いても良い。
遮光膜は、反射防止層を含む態様であってもよい。
遮光膜は、組成傾斜膜を含む。
遮光膜は、裏面反射防止層、遮光層、表面反射防止層からなる3層構造としてもよい。
遮光膜は、遮光層、表面反射防止層からなる2層構造としてもよい。
クロム系薄膜としては、クロム単体や、クロムに酸素、窒素、炭素、水素からなる元素を少なくとも1種を含むもの(クロムを主成分とする膜、又はCrを含む材料)、などの材料が挙げられる。
これらのなかでも、窒化クロム、酸化クロム、窒化酸化クロム、酸化炭化窒化クロムのいずれかを主成分とする材料で形成されている態様が好ましい。
本発明において、遮光膜として、遷移金属シリサイドを主成分とするMSi系薄膜を用いることができる。
MSi系薄膜としては、遷移金属のシリサイドに、窒素、酸素、炭素、水素、不活性ガス(ヘリウム,アルゴン,キセノン等)等を含む化合物、などが挙げられる。ここで、遷移金属(M)としては、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pb)の何れか一つ又は合金、などが挙げられる。
本発明において、遮光膜としては、モリブデンシリサイド、モリブデンシリサイドの窒化物、モリブデンシリサイドの酸化物、モリブデンシリサイドの窒化酸化物のいずれかを主成分とする膜を用いることができる。
また、MSi系薄膜上に電子線レジストを塗布する場合には、レジストとの密着性を向上させるために、窒素ガスを用いて蒸散させたHMDS(ヘキサメチルジシラザン)を接触させて疎水性表面層を形成するとよい。
光半透過膜は、高透過率タイプを含む。高透過率タイプは、例えば、通常の透過率1〜10%未満に対し、相対的に高い透過率10〜40%を有するものをいう。
金属シリサイドを主成分とする膜としては、遷移金属のシリサイド、これらに窒素、酸素、炭素、水素、不活性ガス(ヘリウム,アルゴン,キセノン等)等を含む化合物、などが挙げられる。ここで、遷移金属(M)としては、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pb)の何れか一つ又は合金、などが挙げられる。
本発明において、光半透過膜としては、モリブデンシリサイド、モリブデンシリサイドの窒化物、モリブデンシリサイドの酸化物、モリブデンシリサイドの窒化酸化物のいずれかを主成分とする膜を用いることができる。
ここで、透過率調整層の材料としては、金属及びシリコンのうちから選ばれる一種又は二種以上からなる膜、あるいはそれらの酸化物、窒化物、酸窒化物、炭化物等を用いることができ、具体的には、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ランタン、タンタル、タングステン、シリコン、ハフニウムから選ばれる一種又は二種以上の材料からなる膜あるいはこれらの窒化物、酸化物、酸窒化物、炭化物なとが挙げられる。また、位相調整層としては、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素など珪素を母体とした薄膜が紫外領域での露光光に対して、比較的高い透過率を得やすいという点から好ましい。
これにより、後述する実施例1〜6に示すように、遮光帯を有するハーフトーン型位相シフトマスクの製造や、トライトーン型位相シフトマスクのパッチ加工において、レジストパターンの剥離除去工程が不要である工程を実現できる。
なお、下層レジスト膜と上層レジスト膜とのエッチング耐性が異なる場合には、下層レジスト膜の膜と上層レジスト膜の膜厚とを異なる厚さとすることもできる。上層レジスト膜のエッチング耐性が下層レジスト膜よりも高い場合には、上層レジスト膜の膜厚を下層レジスト膜の膜厚よりも薄くすることができる。
中間層により、上下のレジストの混合(ミキシング)を防止できる。
本発明において、中間層としては、(1)上層レジスト及び下層レジストに含まれる溶剤に不溶であり、(2)下層レジストの現像液に可溶であって、(3)中間層の現像液に対する溶解速度が上層レジストの現像液に対する溶解速度よりも遅く、(4)下層レジスト上に50nm以下の厚さでしかも均一な厚さで塗布可能であるものが好ましい。
中間層は、中間層の現像液に対する溶解速度が上層レジストの現像液に対する溶解速度よりも遅いものが好ましいが、中間層の膜厚との関係で、上層レジストの現像液に対する溶解速度をVとした場合、中間層の前記現像液に対する溶解速度は5〜0.5Vの範囲から選択することが可能である。
本発明において、中間層としては、水溶性高分子膜(ポリビニルアルコール、メチルセルロース水溶液、ポリビニルピロリドン、アミロース等)等が適用できる。
本発明において、中間層としては、水溶性反射防止膜(AQUATAR)、水溶性帯電防止膜(AquaSAVE、ESPACER)、水溶性下地反射防止膜(水溶性バーク)などが適用できる。
本発明において、中間層としては、レジストのトップコート(保護膜)として開発された材料を使用できる。レジストの保護膜なので、レジストとミキシングしない。また、疎水性であるので塗布しやすい。現像液に可溶でないので剥離工程が必要となる。
本発明において、電子線描画によりレジストパターンを形成する電子線描画用のマスクブランクは、
被加工対象と、
前記被加工対象上に形成された電子線レジスト膜と、を備え、
前記電子線レジスト膜は、少なくとも下層レジスト膜と上層レジスト膜とを含む積層膜からなり、
前記下層レジスト膜と前記上層レジスト膜とは、電子線に対する感度が互いに異なる態様が含まれる。
このとき、ドライエッチングなどにより3次元構造のレジストパターンを被加工対象(例えば基体、基板、薄膜など)に転写する際に、積層した多層レジストのエッチングレートに比例して、被加工対象のエッチング深さは変化する。
また、被加工対象が単体、単層の場合には、各レジスト層の膜厚が被加工対象のエッチング深さに対応する。
例えば、透光性基板上に下層レジスト膜と上層レジスト膜がこの順に積層され、下層レジスト膜の膜厚が上層レジスト膜の膜厚よりも薄い場合には、基板の掘り込み深さは次のようになる。すなわち、基板の掘り込みの一番深い部分の厚さは、下層と上層レジスト膜の厚さを合わせた深さ(段差)となり、掘り込みの浅い部分は、上層レジスト膜の厚さと同じ深さ(段差)となる。
この中でも石英基板は、ArFエキシマレーザー又はそれよりも短波長の領域で透明性が高いので、本発明の転写マスク及びマスクブランク等に好適である。
透光性基板としてサイズ6インチ角、厚さ0.25インチの合成石英ガラス基板を用い、透光性基板1上に、窒化されたモリブデン及びシリコンからなる光半透過膜(MoSiN膜)10を形成した(図1(1))。
具体的には、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(Mo:Si=10mol%:90mol%)を用い、アルゴン(Ar)と窒素(N2)とヘリウム(He)との混合ガス雰囲気(ガス流量比 Ar:N2:He=5:49:46)で、ガス圧0.3Pa、DC電源の電力を3.0kWとして、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、モリブデン、シリコン及び窒素からなるMoSiN膜を69nmの膜厚で形成した。 なお、このMoSiN膜は、ArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいて、透過率は6.11%、位相差は175.6度となっていた。
具体的には、最初に、スパッタターゲットとしてCrターゲットを用い、Ar、CO2、N2、Heの混合ガスをスパッタリングガス(ガス流量比Ar:CO2:N2:He=22:39:6:33)とし、ガス圧0.2Pa、DC電源の電力を1.7kWでCrOCN膜を30nmの膜厚に成膜した。次に、スパッタターゲットとしてCrターゲットを用い、Ar、N2の混合ガスをスパッタリングガス(ガス流量比Ar:N2=83:17)とし、ガス圧0.1Pa、DC電源の電力を1.7kWでCrN膜を4nmの膜厚に成膜した。次に、スパッタターゲットとしてCrターゲットを用い、Ar、CO2,N2、Heの混合ガスをスパッタリングガス(ガス流量比Ar:CO2:N2:He=21:37:11:31)とし、ガス圧0.2Pa、DC電源の電力を1.8kWでCrOCN膜を14nmの膜厚に成膜した。この条件で成膜された裏面反射防止層、遮光層および表面反射防止層は、遮光膜全体で低応力であり、また上記光半透過膜も低応力であり、基板の形状変化を最小限に抑制できた。
中間層300としては、水溶性の有機膜(具体的には、水溶性反射防止膜、AZエレクトロニックマテリアルズ社製の商品名AQUATAR)を使用した。
これにより、2層のレジスト膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクを作製した。
このとき、上層の低感度ネガレジスト200の描画箇所(斜め線で示す領域)は、この時点では(後の工程で追加の描画を行なわなければ)、後の現像で除去される状態にある。
また、下層の高感度ネガレジスト100の描画箇所(斜め線で示す領域)は、後の現像で除去されないようになる。
なお、本工程においては、レジスト100に対し、所望のパターン(200nmのラインアンドスペース(L&S)、200nmの孤立ライン(Iso line)、200nmの孤立スペース(Iso space))が設計値通りのCD精度で得られるように、電子線描画装置においてパターンの疎密に応じてドーズ量の補正をかけて描画を行った。具体的には、200nmのラインアンドスペースのドーズ量は10μC/cm2、200nmの孤立ラインのドーズ量は16μC/cm2、200nmの孤立スペースのドーズ量は8μC/cm2、とした。
このとき、上層の低感度ネガレジスト200の描画箇所(交差する斜め線で示す領域)は、後の現像で除去されなくなる。下層の高感度ネガレジスト100の描画箇所(交差する斜め線で示す領域)についても、後の現像で除去されなくなる。
なお、現像工程において、中間層300は前記現像液によって溶解除去される。
このとき、遮光膜パターン20a上のレジストパターン100aはドライエッチングによりほぼ消失した。また、遮光帯形成領域のレジストパターン200bはドライエッチングによりほぼ消失した。
このとき、遮光帯形成領域のレジストパターン100bはドライエッチングにより膜減りするもののドライエッチング終了時点で後工程で必要な膜厚で残存させた。
このとき、遮光帯形成領域のレジストパターン100bはドライエッチングにより消失した。
なお、図1(3)、(4)に示す工程において、レジストパターン200b、100aが「ほぼ消失」し、レジストパターン100bが「ほぼ残存」する関係は、レジスト100と200の膜厚が等しく、レジスト100と200のドライエッチングイレートも等しいことに基づいて得られる関係である。レジストパターン200b、100aは多少残っていても次工程のドライエッチングにより消失するので問題ない。レジストパターン100bは、多少エッチングされても、図1(6)に示す工程において、ドライエッチング終了時点で後工程で必要な膜厚で残存させることができれば問題ない。
図1(5)、(6)に示すように、遮光膜パターン20aに従って、ドライエッチングにより光半透過膜パターン10aを形成する際に、遮光膜パターン20a上にレジストパターン100aが相当残存すると、これらを合わせた高さ、即ちエッチングマスクパターンの側壁高さが高くなるので好ましくない。エッチングマスクパターンの側壁高さが低い方が、CD精度をより高く、マイクロローディングをより小さくすることができ、より加工精度に優れるためである。
さらに、実施例1においては、中間層300の前記現像液に対する溶解速度が大きい場合や、中間層300の膜厚が厚い場合にあっては、レジスト200において遮光帯形成領域のレジストパターン200bを形成すべき箇所のレジストパターンがその下層の中間層300と共に消失したり、一部消失する場合がある。
実施例1と同じ透光性基板1上に、実施例1と同じ条件で、窒化されたモリブデン及びシリコンからなる実施例1と同じ光半透過膜(MoSiN膜)10を形成した(図2(1))。
次に、光半透過膜10上に、実施例1と同じ条件で、裏面反射防止層、遮光層、および表面反射防止層からなる実施例1と同じ遮光膜20を形成した(図2(1))。
中間層300としては、水溶性の有機膜(具体的には、水溶性反射防止膜、AZエレクトロニックマテリアルズ社製の商品名AQUATAR)を使用した。
これにより、2層のレジスト膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクを作製した。
このとき、上層の高感度ポジレジスト200の描画箇所(斜め線で示す領域)は、後の現像で除去されるようになる。
また、下層の低感度ポジレジスト100の描画箇所(斜め線で示す領域)は、この時点では(後の工程で追加の描画を行なわなければ)、ドーズ量が不足するため、後の現像で除去されない状態にある。
さらに、遮光帯形成領域においては、上層の高感度ポジレジスト200および下層の低感度ポジレジスト100は、後の工程で描画を行なわなければ、共に後の現像で除去されずに残る。
このとき、下層の低感度ポジレジスト100の描画箇所(交差する斜め線で示す領域)は、後の現像で除去されるようになる。上層の高感度ポジレジスト200の描画箇所(交差する斜め線で示す領域)については、前の工程で既に現像で除去されるようになっており、後の現像で除去される。
なお、本工程においては、レジスト100に対し、所望のパターン(200nmのラインアンドスペース(L&S)、200nmの孤立ライン(Iso line)、200nmの孤立スペース(Iso space))が設計値通りのCD精度で得られるように、電子線描画装置においてパターンの疎密に応じてドーズ量の補正をかけて描画を行った。具体的には、200nmのラインアンドスペースのドーズ量は20μC/cm2、200nmの孤立ラインのドーズ量は13μC/cm2、200nmの孤立スペースのドーズ量は36μC/cm2、とした。
なお、現像工程において、中間層300は前記現像液によって溶解除去される。
このとき、遮光膜パターン20a上のレジストパターン100aはドライエッチングによりほぼ消失した。また、遮光帯形成領域のレジストパターン200bはドライエッチングによりほぼ消失した。
このとき、遮光帯形成領域のレジストパターン100bはドライエッチングにより膜減りするもののドライエッチング終了時点で後工程で必要な膜厚で残存させた。
このとき、遮光帯形成領域のレジストパターン100bはドライエッチングにより消失した。
なお、図2(4)、(5)に示す工程において、レジストパターン200b、100aが「ほぼ消失」し、レジストパターン100bが「ほぼ残存」する関係は、レジスト100と200の膜厚が等しく、レジスト100と200のドライエッチングイレートも等しいことに基づいて得られる関係である。レジストパターン200b、100aは多少残っていても次工程のドライエッチングにより消失するので問題ない。レジストパターン100bは、多少エッチングされても、図2(7)に示す工程において、ドライエッチング終了時点で後工程で必要な膜厚で残存させることができれば問題ない。
さらに、実施例2においては、中間層300の前記現像液に対する溶解速度が大きい場合や、中間層300の膜厚が厚い場合にあっては、レジスト200において遮光帯形成領域のレジストパターン200bを形成すべき箇所のレジストパターンがその下層の中間層300と共に消失したり、一部消失する場合がある。
実施例1、2において、レジスト200の感度を20μC/cm2未満(具体的には14 μC/cm2)としたこと、を除き実施例1と同様とした。
その結果、レジスト100に対し、所望のパターン(200nmのラインアンドスペース、200nmの孤立ライン、200nmの孤立スペース)が設計値通りのCD精度で得られるように、電子線描画装置においてパターンの疎密に応じてドーズ量の補正をかけて描画を行うことは困難であった。
実施例1、2において、中間層として、市販の水溶性の有機膜をそのまま使用し塗布した場合、レジスト100にはじかれ、島状(水滴状)になる、即ち、膜が形成されない箇所や膜厚が極端に薄い箇所が生じるため、50nm以下の薄膜を形成できなかった。この原因は、最近の電子線用化学増幅型レジストは撥水性が高いためであると考えられる。
実施例1、2において、中間層の厚さが50nm超(具体的には58nm)であると、現像の際に、レジスト100において200nmの孤立ラインのレジストパターンを形成すべき箇所のレジストパターンがその下層の中間層と共に消失した。
この原因は、中間層の膜厚が大きいため、中間層に現像液がしみ込みやすく、その結果、微細パターンの箇所において中間層が消失するためであると考えられる。
実施例1と同じ透光性基板1上に、実施例1と同じ条件で、窒化されたモリブデン及びシリコンからなる実施例1と同じ光半透過膜(MoSiN膜)10を形成した(図3(1))。
次に、光半透過膜10上に、実施例1と同じ条件で、裏面反射防止層、遮光層、および表面反射防止層からなる実施例1と同じ遮光膜20を形成した(図3(1))。
中間層300としては、水溶性の有機膜(具体的には、水溶性反射防止膜、AZエレクトロニックマテリアルズ社製の商品名AQUATAR)を使用した。
これにより、2層のレジスト膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクを作製した。
このとき、上層の低感度ネガレジスト200の描画箇所(斜め線で示す領域)は、後の現像で除去されなくなる。下層の低感度ポジレジスト100の描画箇所(斜め線で示す領域)についても、ドーズ量が不足するため、この時点では(後の工程で追加の描画を行なわなければ)、後の現像で除去されなくなる。
このとき、下層の高感度ネガレジスト100の描画箇所(交差する斜め線で示す領域)は、後の現像で除去される。
なお、本工程においては、レジスト100に対し、所望のパターン(200nmのラインアンドスペース(L&S)、200nmの孤立ライン(Iso line)、200nmの孤立スペース(Iso space))が設計値通りのCD精度で得られるように、電子線描画装置においてパターンの疎密に応じてドーズ量の補正をかけて描画を行った。具体的には、200nmのラインアンドスペースのドーズ量は30μC/cm2、200nmの孤立ラインのドーズ量は26μC/cm2、200nmの孤立スペースのドーズ量は46μC/cm2、とした。
なお、現像工程において、中間層300は前記現像液によって溶解除去される。
このとき、遮光膜パターン20a上のレジストパターン100aはドライエッチングによりほぼ消失した。また、遮光帯形成領域のレジストパターン200bはドライエッチングによりほぼ消失した。
このとき、遮光帯形成領域のレジストパターン100bはドライエッチングにより膜減りするもののドライエッチング終了時点で後工程で必要な膜厚で残存させた。
このとき、遮光帯形成領域のレジストパターン100bはドライエッチングにより消失した。
なお、図3(4)、(5)に示す工程において、レジストパターン200b、100aが「ほぼ消失」し、レジストパターン100bが「ほぼ残存」する関係は、レジスト100と200の膜厚が等しく、レジスト100と200のドライエッチングイレートも等しいことに基づいて得られる関係である。レジストパターン200b、100aは多少残っていても次工程のドライエッチングにより消失するので問題ない。レジストパターン100bは、多少エッチングされても、図3(7)に示す工程において、ドライエッチング終了時点で後工程で必要な膜厚で残存させることができれば問題ない。
また、実施例3においては、中間層300の前記現像液に対する溶解速度が大きい場合や、中間層300の膜厚が厚い場合にあっては、レジスト200において遮光帯形成領域のレジストパターン200bを形成すべき箇所のレジストパターンがその下層の中間層300と共に消失したり、一部消失する場合がある。
実施例1と同じ透光性基板1上に、実施例1と同じ条件で、窒化されたモリブデン及びシリコンからなる実施例1と同じ光半透過膜(MoSiN膜)10を形成した(図4(1))。
次に、光半透過膜10上に、実施例1と同じ条件で、裏面反射防止層、遮光層、および表面反射防止層からなる実施例1と同じ遮光膜20を形成した(図4(1))。
中間層300としては、水溶性の有機膜(具体的には、水溶性反射防止膜、AZエレクトロニックマテリアルズ社製の商品名AQUATAR)を使用した。
これにより、2層のレジスト膜を有するトライトーン型位相シフトマスクブランクを作製した。
このとき、下層の高感度ネガレジスト100の描画箇所(斜め線で示す領域)は、後の現像で除去されないようになる。
また、上層の低感度ネガレジスト200の描画箇所(斜め線で示す領域)は、現時点では、ドーズ量が不足するため、後の現像で除去されない状態にある。
なお、本工程においては、レジスト100に対し、所望のパターン(200nmのラインアンドスペース(L&S)、200nmの孤立ライン(Iso line)、200nmの孤立スペース(Iso space))が設計値通りのCD精度で得られるように、電子線描画装置においてパターンの疎密に応じてドーズ量の補正をかけて描画を行った。具体的には、200nmのラインアンドスペースのドーズ量は10μC/cm2、200nmの孤立ラインのドーズ量は16μC/cm2、200nmの孤立スペースのドーズ量は8μC/cm2、とした。
このとき、上層の低感度ネガレジスト200の描画箇所(交差する斜め線で示す領域)は、後の現像で除去されないようになる。下層の高感度ネガレジスト100の描画箇所(交差する斜め線で示す領域)についても、後の現像で除去されないようになる。
なお、本工程においては、レジスト膜200に対し、所望のパターン(200nmのラインアンドスペース(L&S)、200nmの孤立ライン(Iso line)、200nmの孤立スペース(Iso space))が設計値通りのCD精度で得られるように、電子線描画装置においてパターンの疎密に応じてドーズ量の補正をかけて描画を行った。具体的には、200nmのラインアンドスペースのドーズ量は20μC/cm2、200nmの孤立ラインのドーズ量は36μC/cm2、200nmの孤立スペースのドーズ量は13μC/cm2、とした。
なお、現像工程において、中間層300は前記現像液によって溶解除去される。
このとき、遮光膜パターン20a上のレジストパターン100aはドライエッチングによりほぼ消失した。
また、遮光膜パターン20a’上においては、レジストパターン200aが上部に無い箇所のレジストパターン100a’はドライエッチングによりほぼ消失し、レジストパターン200aが上部に有る箇所のレジストパターン100a’はほぼ残存した。これにより、遮光膜パターン20a’上にレジストパターン100cが形成された。
さらに、遮光帯形成領域のレジストパターン200bはドライエッチングによりほぼ消失した。
このとき、遮光膜パターン20a’上にレジストパターン100c、並びに、遮光帯形成領域のレジストパターン100bは、ドライエッチングにより膜減りするもののドライエッチング終了時点で後工程で必要な膜厚で残存させた。
このとき、遮光膜パターン20a’上のレジストパターン100c、並びに、遮光帯形成領域のレジストパターン100bはドライエッチングにより消失した。
また、レジスト200において200nmの孤立ラインのレジストパターンを形成すべき箇所のレジストパターンがその下層の中間層300と共に消失することはない。
なお、図4(4)、(5)に示す工程において、レジストパターン200a、200b、100aが、「ほぼ消失」し、レジストパターン100c(100a’の一部)、100bが「ほぼ残存」する関係は、レジスト100と200の膜厚が等しく、レジスト100と200のドライエッチングイレートも等しいことに基づいて得られる関係である。レジストパターン200a、200b、100aは多少残っていても次工程のドライエッチングにより消失するので問題ない。レジストパターン100c(100a’の一部)、100bは、図4(6)に示す工程において、ドライエッチング終了時点で後工程で必要な膜厚で残存させることができれば多少エッチングされても問題ない。
実施例1と同じ透光性基板1上に、実施例1と同じ条件で、窒化されたモリブデン及びシリコンからなる実施例1と同じ光半透過膜(MoSiN膜)10を形成した(図5(1))。
次に、光半透過膜10上に、実施例1と同じ条件で、裏面反射防止層、遮光層、および表面反射防止層からなる実施例1と同じ遮光膜20を形成した(図5(1))。
中間層300としては、水溶性の有機膜(具体的には、水溶性反射防止膜、AZエレクトロニックマテリアルズ社製の商品名AQUATAR)を使用した。
これにより、2層のレジスト膜を有するトライトーン型位相シフトマスクブランクを作製した。
このとき、上層の高感度ポジレジスト200の描画箇所(斜め線で示す領域)は、後の現像で除去されるようになる。
また、下層の低感度ポジレジスト100の描画箇所(斜め線で示す領域)は、この時点では、ドーズ量が不足するため、後の工程で追加の描画を行なわなければ、後の現像で除去されない状態にある。
さらに、遮光帯形成領域においては、上層の高感度ポジレジスト200および下層の低感度ポジレジスト100は、後の工程で描画を行なわなければ、共に後の現像で除去されずに残る状態にある。
なお、本工程においては、レジスト膜200に対し、所望のパターン(200nmのラインアンドスペース(L&S)、200nmの孤立ライン(Iso line)、200nmの孤立スペース(Iso space))が設計値通りのCD精度で得られるように、電子線描画装置においてパターンの疎密に応じてドーズ量の補正をかけて描画を行った。具体的には、200nmのラインアンドスペースのドーズ量は10μC/cm2、200nmの孤立ラインのドーズ量は8μC/cm2、200nmの孤立スペースのドーズ量は16μC/cm2、とした。
このとき、下層の低感度ポジレジスト100の描画箇所(交差する斜め線で示す領域)は、後の現像で除去されるようになる。上層の高感度ポジレジスト200の描画箇所(交差する斜め線で示す領域)についても、後の現像で除去されるようになる。
なお、本工程においては、レジスト100に対し、所望のパターン(200nmのラインアンドスペース(L&S)、200nmの孤立ライン(Iso line)、200nmの孤立スペース(Iso space))が設計値通りのCD精度で得られるように、電子線描画装置においてパターンの疎密に応じてドーズ量の補正をかけて描画を行った。具体的には、200nmのラインアンドスペースのドーズ量は30μC/cm2、200nmの孤立ラインのドーズ量は23μC/cm2、200nmの孤立スペースのドーズ量は46μC/cm2、とした。
なお、現像工程において、中間層300は前記現像液によって溶解除去される。
このとき、遮光膜パターン20a上のレジストパターン100aはドライエッチングによりほぼ消失した。
また、遮光膜パターン20a’上においては、レジストパターン200aが上部に無い箇所のレジストパターン100a’はドライエッチングによりほぼ消失し、レジストパターン200aが上部に有る箇所のレジストパターン100a’はほぼ残存した。これにより、遮光膜パターン20a’上にレジストパターン100cが形成された。
さらに、遮光帯形成領域のレジストパターン200bはドライエッチングによりほぼ消失した。
このとき、遮光膜パターン20a’上にレジストパターン100c、並びに、遮光帯形成領域のレジストパターン100bは、ドライエッチングにより膜減りするもののドライエッチング終了時点で後工程で必要な膜厚で残存させた。
このとき、遮光膜パターン20a’上のレジストパターン100c、並びに、遮光帯形成領域のレジストパターン100bはドライエッチングにより消失した。
また、レジスト200において200nmの孤立ラインのレジストパターンを形成すべき箇所のレジストパターンがその下層の中間層300と共に消失することはない。
なお、図5(4)、(5)に示す工程において、レジストパターン200a、200b、100aが「ほぼ消失」し、レジストパターン100c(100a’の一部)、100bが「ほぼ残存」する関係は、レジスト100と200の膜厚が等しく、レジスト100と200のドライエッチングイレートも等しいことに基づいて得られる関係である。レジストパターン200a、200b、100aは多少残っていても次工程のドライエッチングにより消失するので問題ない。レジストパターン100c(100a’の一部)、100bは、図5(6)に示す工程において、ドライエッチング終了時点で後工程で必要な膜厚で残存させることができれば、多少エッチングされても問題ない。
実施例1と同じ透光性基板1上に、実施例1と同じ条件で、窒化されたモリブデン及びシリコンからなる実施例1と同じ光半透過膜(MoSiN膜)10を形成した(図6(1))。
次に、光半透過膜10上に、実施例1と同じ条件で、裏面反射防止層、遮光層、および表面反射防止層からなる実施例1と同じ遮光膜20を形成した(図6(1))。
中間層300としては、水溶性の有機膜(具体的には、水溶性反射防止膜、AZエレクトロニックマテリアルズ社製の商品名AQUATAR)を使用した。
これにより、2層のレジスト膜を有するトライトーン型位相シフトマスクブランクを作製した。
このとき、上層の低感度ネガレジスト200の描画箇所(斜め線で示す領域)は、後の現像で除去されなくなる。下層の低感度ポジレジスト100の描画箇所(斜め線で示す領域)についても、ドーズ量が不足するため、後の工程で追加の描画を行なわなければ、後の現像で除去されなくなる。
なお、本工程においては、レジスト膜200に対し、所望のパターン(200nmのラインアンドスペース(L&S)、200nmの孤立ライン(Iso line)、200nmの孤立スペース(Iso space))が設計値通りのCD精度で得られるように、電子線描画装置においてパターンの疎密に応じてドーズ量の補正をかけて描画を行った。具体的には、200nmのラインアンドスペースのドーズ量は10μC/cm2、200nmの孤立ラインのドーズ量は16μC/cm2、200nmの孤立スペースのドーズ量は8μC/cm2、とした。
このとき、下層の高感度ネガレジスト100の描画箇所(交差する斜め線で示す領域)は、後の現像で除去されるようになる。
なお、本工程においては、レジスト100に対し、所望のパターン(200nmのラインアンドスペース(L&S)、200nmの孤立ライン(Iso line)、200nmの孤立スペース(Iso space))が設計値通りのCD精度で得られるように、電子線描画装置においてパターンの疎密に応じてドーズ量の補正をかけて描画を行った。具体的には、200nmのラインアンドスペースのドーズ量は30μC/cm2、200nmの孤立ラインのドーズ量は23μC/cm2、200nmの孤立スペースのドーズ量は46μC/cm2、とした。
なお、現像工程において、中間層300は前記現像液によって溶解除去される。
このとき、遮光膜パターン20a’上にレジストパターン100c、並びに、遮光帯形成領域のレジストパターン100bは、ドライエッチングにより膜減りするもののドライエッチング終了時点で後工程で必要な膜厚で残存させた。
このとき、遮光膜パターン20a’上のレジストパターン100c、並びに、遮光帯形成領域のレジストパターン100bはドライエッチングにより消失した。
また、レジスト200において200nmの孤立ラインのレジストパターンを形成すべき箇所のレジストパターンがその下層の中間層300と共に消失することはない。
なお、図6(3)、(4)に示す工程において、レジストパターン200a、200b、100aが「ほぼ消失」し、レジストパターン100c(100a’の一部)、100bが「ほぼ残存」する関係は、レジスト100と200の膜厚が等しく、レジスト100と200のドライエッチングイレートも等しいことに基づいて得られる関係である。レジストパターン200a、200b、100aは多少残っていても次工程のドライエッチングにより消失するので問題ない。レジストパターン100c(100a’の一部)、100bは、多少エッチングされても問題ない。
実施例4〜6において、レジスト100の現像液に対する溶解速度をVとした場合、中間層の前記現像液に対する溶解速度は5V超である場合、現像の際に、レジスト100において200nmの孤立ラインのレジストパターンを形成すべき箇所のレジストパターンがその下層の中間層と共に消失した。
この原因は、中間層の前記現像液に対する溶解速度が大きいため、微細パターンの箇所において中間層が消失するためであると考えられる。
10:光半透過膜
20:遮光膜
100:下層レジスト膜
200:上層レジスト膜
300:中間層
L:低ドーズ量で描画する領域
H:高ドーズ量で描画する領域
Claims (7)
- 電子線描画によりレジストパターンを形成する電子線描画用のマスクブランクであって、
基板と、
前記基板上に形成された薄膜と、
前記薄膜上に形成された電子線レジスト膜と、を備え、
前記薄膜は遮光帯を形成する遮光膜が含まれており、
前記電子線レジスト膜は、少なくとも下層レジスト膜と上層レジスト膜とを含む積層膜からなり、
前記下層レジスト膜は、ポジ型であり、前記上層レジスト膜は、ネガ型であり、
前記上層レジスト膜は前記下層レジスト膜よりもレジスト感度が高いことを特徴とする電子線描画用マスクブランク。 - 前記下層レジスト膜及び前記上層レジスト膜は、化学増幅型レジストであることを特徴とする請求項1に記載の電子線描画用マスクブランク。
- 前記上層レジスト膜は、前記下層レジスト膜よりもベーク温度が低い材料からなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の電子線描画用マスクブランク。
- 前記下層レジスト膜の膜厚と、前記上層レジスト膜の膜厚は、同じであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子線描画用マスクブランク。
- 前記下層レジスト膜と前記上層レジスト膜との間に、中間層を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子線描画用マスクブランク。
- 電子線描画によりレジストパターンを形成する電子線描画用のマスクブランクの製造方法であって、
基板上に遮光帯形成用の遮光膜を含む薄膜を形成する工程と、
前記薄膜上に、下層の電子線レジスト膜を形成する工程と、
前記下層の電子線レジスト膜上に、直接又は中間層を介して、上層の電子線レジスト膜を形成する工程と、を備え、
前記下層レジスト膜はポジ型であり、
前記上層レジスト膜はネガ型であって前記下層レジスト膜よりもレジスト感度が高いことを特徴とする電子線描画用マスクブランクの製造方法。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の電子線描画用のマスクブランクを用いて転写用マスクブランクを製造する方法であり、
ネガ型である上層レジスト膜が感光し、ポジ型である下層レジスト膜が感光しないドーズ量で遮光帯形成領域を描画し、
前記下層レジスト膜が感光するドーズ量で他の領域を描画して、
遮光帯形成領域のレジスト膜と他の領域で段差を有するレジストパターンを形成する工程を有することを特徴とする転写マスクの製造方法。
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