JP5611066B2 - 正極活物質及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な正極活物質及びその製造方法に関し、特にリチウムイオン二次電池用の正極活物質及びその製造方法に関する。
リチウムイオン電池の正極活物質としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4等のリチウム化合物がよく知られており、その中でもLiCoO2は広く実用化されている。しかしながら、コバルトの埋蔵量が少なく高価であることやコバルトの毒性等の問題が指摘されており、課題は多い。また、LiNiO2も優れた充放電特性を有するものの決して安価ではなく、高温での安定性、定比からの組成ずれに起因する急激な特性低下等の問題も多い。さらに、LiMn2O4も高温でのマンガンの溶出、酸素欠損によるサイクル劣化等の問題が指摘されている。
最近、オリビン系化合物と総称される、一般式LiMPO4(MはMn、Fe等)で表記されるリン酸化合物がリチウムイオン二次電池の正極活物質として注目されつつある。例えば特許文献1にはリン酸化合物の一つとしてLiMnPO4の開示がある。
LiFePO4の作動電圧は比較的低い約3.4V(vs.Li/Li+)程度である。これに対して、LiMnPO4の作動電圧は4.1V (vs.Li/Li+)であるので、より多くのエネルギーを抽出することができ、低い比エネルギー密度であると言われていたLiFePO4の問題点を解決することができた。
しかし、LiMnPO4の真性電子伝導率及びイオン伝導率が低いという欠点があった。これらの伝導率の問題を解決するために、化合物の微粒子化とカーボンコートが提案されてきた。Bramnikらは、LiMnPO4に炭素を約50wt%添加することで0.2Cで放電容量が約60mAh/gに上昇することを報告している(非特許文献1)。また、Wangらは、LiMnPO4に関して、炭素を約20wt%添加し、平均粒子径を約100nmにすることで、0.1Cという低レートながら90mAh/gもの放電容量が得られることを報告している(非特許文献2)。さらに、KwonらもLiMnPO4に関して、ゾル-ゲル法を用いて炭素添加量が20wt%、平均粒子径が140nmのLiMnPO4を合成し、0.1Cで134mAh/gの放電容量が得られることを報告している(非特許文献3)。
一方、最近では、同じリン酸骨格を有する正極活物質としてバナジウムを用いたLixV2(PO4)3(0<x≦3)が見出されている(特許文献2)。この正極活物質の場合、負極に金属リチウムを用いた電池充放電試験でカットオフ電圧を4.5Vとしたときに、197mAh/gという高い理論容量を有することが知られている。しかしながら、現在、商用化されている電池の電解液では使用可能な電圧の範囲が4.3V以下であるため、カットオフ電圧は4.3Vとなり、LixV2(PO4)3(0<X≦3)の理論容量は、2Li分の131mAh/gとなる。
特開平11-25983号公報 WO01/053198号公報
N.N.Bramnik et., J. Alloys compd., 464,259(2008). D. Wang et.,J.Electrochem.Soc.,Vol.157,225(2010). N.H. Kwon et.,J.Electrochem. Solid-state Lett.9 (2006) A277
しかしながら、非特許文献1、2、3において電気化学的に不活性な炭素を多量に添加すると、得られる電極の放電容量が低下するという問題がある。さらに、炭素は大きな比表面積を持つため、電極作製時のスラリー調製では必要な分散媒の量が多くなる。このため、1回の塗布で必要な塗工量を達成し難いこと、乾燥時にひび割れが生じやすいこと、正極成形時に十分な圧縮が困難な為に正極活物質の圧密化が十分ではなく、電極の放電容量を高めることが難しいことなどの問題もあった。また、特許文献2に関して、LixV2(PO4)3などのロンボヘドラル構造を有するリン酸バナジウムリチウムは高い放電容量を達成するために有用であるが、バナジウムを含有する鉱物は多量に入手することが困難なために高価であり、また安定した供給も見込め難い。このため、大量のバナジウムを必要とするLixV2(PO4)3を正極活物質として実用化することには難があった。
そこで本発明の課題は、リン酸バナジウムリチウムの使用量を抑制しつつ、リン酸バナジウムリチウムを使用して高性能の正極活物質を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のものを提供する。
[1]リン酸マンガンリチウムとリン酸バナジウムリチウムを混合及び焼成して複合化させてなる正極活物質。
(但し、前記リン酸マンガンリチウムはLiaMnbMcPO4により表され、0<a≦1、0<b≦1、0.9≦b+c≦1を充足する。前記MはMg、Ti、Fe、Ni、Coから選ばれる元素である。また、前記リン酸バナジウムリチウムはLid(V1-xMex)2(PO)3により表され、0<d≦3、0≦X<1を充足する。前記MeはMg、Ti、Mn、Fe、Ni、Coから選ばれる元素である。)
[2]リン酸マンガンリチウムとリン酸バナジウムリチウムの混合比率が重量比で95:5〜50:50であることを特徴とする[1]に記載の正極活物質。
[3]リン酸マンガンリチウムとリン酸バナジウムリチウムを混合及び焼成して複合化させる工程を有することを特徴とする[1]または[2]に記載の正極活物質の製造方法。
[4]前記混合及び焼成して複合化させる工程が、リン酸マンガンリチウムおよびリン酸バナジウムリチウムを混合した後、その混合物を300〜800℃で焼成する工程を有することを特徴とする[3]に記載の正極活物質の製造方法。
[5]炭素源を正極活物質中のカーボン量が0.5〜10wt%となるように前記混合物の調製に使用することを特徴とする[4]に記載の正極活物質の製造方法。
[6][1]もしくは[2]に記載された正極活物質を含むリチウムイオン二次電池。
[7][1]もしくは[2]に記載された正極活物質をリチウムイオン二次電池に使用する方法。
[8]リン酸マンガンリチウムを含む正極活物質にリン酸バナジウムリチウムをリン酸マンガンリチウムとリン酸バナジウムリチウムの重量比が95:5〜50:50となるように混合し、その混合物を焼成することを含むリン酸マンガンリチウムを含む正極活物質の電池特性を向上させる方法。
本発明によれば、リン酸マンガンリチウムと少量のリン酸バナジウムリチウムを複合化させることにより放電容量を大幅に向上させることができる。また、添加するカーボン量を少なくすることができるため、電極作製時に必要な分散媒の量も少なくてすみ、乾燥時間を短くすることができる。また本発明は、原料のバナジウムの使用量が少ないため、コスト面においても優れている。
原料として用いたLiMnPO4のX線回折図である。 原料として用いたLi3V2(PO4)3のX線回折図である。 実施例1-4で製造した正極活物質のX線回折図である。 簡易リチウムイオン二次電池の概略図である。 複合化した粉末試料 (上:実施例1-4)と複合化を行っていない粉末試料(下:比較例2-5)のV及びMnの元素分布状態を示す図である。 実施例2-1で製造した正極活物質のX線回折図である。 比較例3-4で製造した正極活物質のX線回折図である。
本発明は、リン酸マンガンリチウムとリン酸バナジウムリチウムを混合・焼成することで複合化させ、所望の正極活物質を得るというものである。
<正極活物質>
本発明の正極活物質は、後述の実施例からわかるように、バナジウム(V)とマンガン(Mn)が均一に分布しているという特徴を有する。即ち、図5に示す元素分析の結果において、本発明の正極活物質はVとMnが均一に分布しているのに対し、LiMnPO4とLi3V2(PO4)3とを単に混合した正極活物質では、VとMnが均一に分布していないことが確認できている。
本発明の正極活物質の表面には導電材であるカーボン類が添着されていることが好ましい。その導電材となるカーボン源としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、黒鉛などの炭素粒子、グルコースなどの炭素前駆体などが挙げられる。このように、カーボン類を添加することで本発明の正極活物質の導電性を向上させることができる。
通常、リン酸マンガンリチウムで構成される正極活物質には所望の電池特性を達成するために約16wt%ものカーボンが添加されるが(比較例1-2)、本発明の正極活物質中のカーボン量は、好ましくは0.5〜10wt%、さらに好ましくは0.5〜5.0wt%に抑えることができることも特徴である。添加するカーボン量を少なくすることができるため、電極作製時に必要な分散媒の量も少なくて済み、製造効率の点で有利である。
<正極活物質の製造方法>
ここでは、リン酸マンガンリチウムとリン酸バナジウムリチウムを合成する原料製造工程と、これらを混合・焼成する複合化工程とに分けて、それぞれ詳細に説明する。
(原料製造工程)
原料であるリン酸マンガンリチウムはリチウム、リン酸、マンガンおよびその他異種金属の各塩を出発原料としてこれら出発原料の混合物を焼成するなどの公知の方法により合成することができる。
リチウム源としては、例えば、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酢酸リチウム等を使用することができ、なかでも炭酸リチウムが最も好ましい。
リン源としては、例えば、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素一アンモニウム、リン酸等を使用することができ、なかでもリン酸水素二アンモニウムが最も好ましい。
マンガン源としては、例えば、酢酸マンガン、二酸化マンガン、炭酸マンガン等を使用することができ、なかでも酢酸マンガンが最も好ましい。
異種金属にはマグネシウム、チタン、鉄、ニッケル、コバルトが挙げられ、例えば、マグネシウム源としては酸化マグネシウム、チタン源としては酸化チタン、鉄源としてはシュウ酸鉄二水和物などを使用することができる。
また、もう一方の原料であるリン酸バナジウムリチウムはリチウム、リン酸、バナジウムおよび異種金属の各塩を出発原料としてこれら出発原料の混合物を焼成するなどの公知の方法により合成することができる。ここで、リチウム源とリン源については、前述のリン酸マンガンリチウムのそれと同様である。バナジウム源については、酸化バナジウム、バナジン酸アンモニウム等を使用することができ、なかでも酸化バナジウムが最も好ましい。異種金属にはマグネシウム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、コバルトが挙げられ、例えば、マンガン源としては前述したものを使用でき、チタン源としては酸化チタン、鉄源としてはシュウ酸鉄二水和物などを使用することができる。各元素の塩は、特に限定されるものではないが、原料として純度が高く、しかも安価なものを使用することが好ましいことは言うまでもない。
合成したリン酸マンガンリチウムおよびリン酸バナジウムリチウムの一次粒子径が500nm以下であることが好ましく、10〜500nmであることがより好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましい。一次粒子径が500nmを超えると、リチウムの拡散速度が小さくなりリチウムイオン二次電池としての性能が低下する虞がある。
さらに、上記のリン酸マンガンリチウムおよびリン酸バナジウムリチウムの表面には導電材であるカーボン類が添着されていてもよい。その導電材となるカーボン源としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、黒鉛などの炭素粒子、グルコースなどの炭素前駆体などが挙げられる。これらカーボン源は、上記のリン酸マンガンリチウムまたはリン酸バナジウムリチウムの原料混合物に加えた後、焼成に供されることができる。
(複合化工程)
前記原料製造工程で得られたリン酸マンガンリチウムと、同じく前記工程で得られたリン酸バナジウムリチウムとの混合比率は、重量比で、好ましくは95:5〜50:50、より好ましくは95:5〜80:20、さらに好ましくは85:15〜80:20である。
本発明においてリン酸マンガンリチウムとリン酸バナジウムリチウムを混合する方法としては、大きく分けて機械的方法と化学的方法の2つが挙げられる。
機械的方法としては、リン酸マンガンリチウムとリン酸バナジウムリチウムをメカニカルミリング処理した後、焼成することによって複合化させる製造方法がある。メカニカルミリング処理で用いられる機器として特に制限はされないが、遊星ボールミルが好ましい。
一方、化学的方法としては、例えば共沈法が挙げられる。具体的にはリン酸マンガンリチウムを純水に分散させたところにリン酸バナジウムリチウムの前駆体を添加し、100℃以上の温度で熟成させリン酸マンガンリチウム表面にリン酸バナジウムリチウムを成長させることによって複合化させる製造方法である。
前記のようにして得られた混合物は、例えば、不活性ガス雰囲気下または還元性雰囲気下で焼成した後、冷却することで混合相である複合体が得られる。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどが挙げられる。還元性雰囲気としては、例えば、水素、一酸化炭素、メタン、ベンゼンまたはアセチレンと不活性ガスとの混合ガス等が挙げられる。焼成時の温度は300〜800℃が好ましく、400〜700℃が最も好ましく、焼成時間は0.5〜10時間が好ましく、0.5〜3時間が最も好ましい。
次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において、正極活物質及びリチウムイオン二次電池の分析は次の方法により行った。
(X線回折)
正極活物質のX線回折(XRD)測定は、全自動多目的X線回折装置 D8 ADVANCE (ブルカー・エイエックスエス(株)製)を用いて行った。
(比表面積)
正極活物質の比表面積測定は、BET法に従って、全自動表面積測定装置 マックソープHM model-1210((株) Mountech製)を用いて行った。
(炭素量)
炭素量測定は、CARBON ANANLYZER(HORIBA EMIA-221V)を用いて行った。
(元素分布)
元素分布測定は、エネルギー分散型X線分析装置 EPMA/EDX/XMA(堀場製作所製)を用いて行った。
(LiMnPO4の合成)
出発原料にリチウム源として炭酸リチウムを8.59g、マンガン源として酢酸マンガンを57.00g、リン源としてリン酸水素二アンモニウムを30.71g、カーボン源としてグルコースを4.38gそれぞれ秤量し混合後、窒素雰囲気下650℃で10時間焼成を行った。その結果、得られた粉末試料中に含まれるカーボン量は3.62wt%で、図1のX線回折結果より斜方晶Pnmaのオリビン構造であるLiMnPO4の単一相であることが確認された。
(Li3V2(PO4)3の合成)
出発原料にリチウム源として水酸化リチウムを16.21g、バナジウム源としてバナジン酸アンモニウムを30.13g、リン源としてリン酸水素二アンモニウムを51.03g、カーボン源としてグルコースを2.63gそれぞれ秤量し混合後、窒素雰囲気下650℃で10時間焼成を行った。その結果、得られた粉末試料中に含まれるカーボン量は1.53wt%で、図2のX線回折からロンボヘドラル構造であるLi3V2(PO4)3の単一相であることが確認された。
(実施例1-1〜1-6:表1)
合成したLiMnPO4 とLi3V2(PO4)3を、所望の混合比率(重量比)になるように混合し、総重量を100gとした。なお、LiMnPO4 とLi3V2(PO4)3との混合比率は、含有炭素重量を除いた各化合物の重量に基づいて表示した。これを遊星ボールミル(回転速度250rpm)で2時間混合した後、窒素雰囲気下500℃で30分焼成した。得られた粉末試料は、図3のX線回折による分析結果からからLiMnPO4とLi3V2(PO4)3の混合相であることが確認された。(図3はLiMnPO4とLi3V2(PO4)3との重量比が85:15のときのX線回折パターンである。)
次に、得られた粉末試料と導電材であるアセチレンブラック粉末と結着材であるポリフッ化ビニリデンを重量比70:25:5で添加・混合し、ペースト状に混練したスラリーをアルミニウム箔集電体に塗布し、乾燥した後、直径15mmの円形に打ち抜いて正極とした。セパレータには直径24mm、厚さ25μmのポリエチレンカーボネート多孔質膜を、電解液にはエチレンカーボネートとジメチルカーボネートの体積比1:1混合溶媒に1Mの濃度となるようにLiPF6を溶解した溶液を、負極および負極集電体には直径16mm、厚さ0.2mmの円形に打ち抜いた金属リチウムをそれぞれ用いて簡易リチウムイオン二次電池を作製した。本発明で作製した簡易リチウムイオン二次電池の概略図を図4に示す。この簡易リチウムイオン二次電池で25℃、電位範囲2-4.5Vまたは2-4.3Vで充放電試験を行い、0.2C及び5Cの充放電レートにおける活物質の放電容量を求めた。
(比較例1-1: 表1)
正極活物質として上記「LiMnPO4の合成」で得られたLiMnPO4のみを使用した以外は実施例1-1〜1-6と同じ要領で行い放電容量を求めた。
(比較例1-2: 表1)
出発原料にリチウム源として炭酸リチウムを7.51g、マンガン源として酢酸マンガンを49.82g、リン源としてリン酸水素二アンモニウムを26.84g、カーボン源としてグルコースを15.96gそれぞれ秤量し混合後、窒素雰囲気下650℃で10時間焼成を行った。その結果、得られた粉末試料中に含まれるカーボン量は16.31wt%であり、この粉末試料を用いて実施例1-1〜1-6と同じ要領で行い放電容量を求めた。
(比較例1-3: 表1)
正極活物質として上記「Li3V2(PO4)3の合成」で得られたLi3V2(PO4)3のみを使用した以外は実施例1-1〜1-6と同じ要領で行い放電容量を求めた。
(比較例2-1〜2-6:表2)
合成したLiMnPO4に所望の混合比率になるようにLi3V2(PO4)3を混ぜて総重量を100gとし、これを遊星ボールミルで混合した。得られた複合化を行っていない粉末試料を前記と同じ要領で放電容量を求めた。また、図5に複合化した粉末試料(上)と複合化を行っていない粉末試料(下)のV及びMnの元素分布図を示す。
(実施例 2-1:表3)
出発原料にリチウム源として炭酸リチウムを8.80g、 マンガン源として酢酸マンガンを46.68g、鉄源としてシュウ酸鉄(II)二水和物を8.57g、リン源としてリン酸水素二アンモニウムを31.44g、カーボン源としてグルコースを4.49gそれぞれ秤量し混合後、窒素雰囲気下650℃で10時間焼成を行った。得られた粉末試料は、図6のX線回折結果より斜方晶Pnmaのオリビン構造であるLiMn0.8Fe0.2PO4の単一相であることが確認された。
このLiMn0.8Fe0.2PO4とLi3V2(PO4)3との重量比が85:15になるように秤量し、総重量を100gとした。この粉末試料を遊星ボールミル(回転数250rpm)で2時間混合した後、窒素雰囲気下500℃で30分間焼成を行った。得られた粉末試料を前記と同じ要領で放電容量を求めた。
(実施例 2-2:表3)
出発原料にリチウム源として炭酸リチウムを8.97g、 マンガン源として酢酸マンガンを53.54g、マグネシウム源として酸化マグネシウムを0.97g、リン源としてリン酸水素二アンモニウムを32.05g、カーボン源としてグルコースを4.57gそれぞれ秤量し混合後、窒素雰囲気下、650℃で10時間焼成を行った。得られた粉末試料は、X線回折結果より斜方晶Pnmaのオリビン構造であるLiMn0.9Mg0.1PO4の単一相であることが確認された。
このLiMn0.9Mg0.1PO4とLi3V2(PO4)3との重量比が85:15になるように秤量し、総重量を100gとした。この粉末試料を遊星ボールミル(回転数250rpm)で2時間混合した後、窒素雰囲気下500℃で30分間焼成を行った。得られた粉末試料を前記と同じ要領で放電容量を求めた。
(実施例 2-3:表3)
出発原料にリチウム源として炭酸リチウムを8.88g、マンガン源として酢酸マンガンを53.02g、チタン源として酸化チタンを1.92g、リン酸水素二アンモニウムを31.74g、カーボン源としてグルコースを4.53gそれぞれ秤量し混合後、窒素雰囲気下650℃で10時間焼成を行った。得られた粉末試料はX線回折結果より斜方晶Pnmaのオリビン構造であるLiMn0.9Ti0.1PO4の単一相であることが確認された。
このLiMn0.9Ti0.1PO4とLi3V2(PO4)3との重量比が85:15になるように秤量し、総重量を100gとした。この粉末試料を遊星ボールミル(回転数250rpm)で2時間混合した後、窒素雰囲気下500℃で30分間焼成を行った。得られた粉末試料を前記と同じ要領で放電容量を求めた。
(比較例3-1:表4)
出発原料にリチウム源として炭酸リチウムを8.56g、マンガン源として酢酸マンガンを56.21g、バナジウム源としてバナジン酸アンモニウムを0.27g、リン源としてリン酸水素二アンモニウムを30.59gおよびカーボン源としてグルコースを4.31gそれぞれ秤量し混合後、窒素雰囲気下650℃で10時間焼成を行った。得られた粉末試料は、X線回折結果より斜方晶Pnmaのオリビン構造であるLiMn0.99V0.01PO4の単一相であることが確認された。この粉末試料を前記と同じ要領で放電容量を求めた。
(比較例3-2:表4)
出発原料にリチウム源として炭酸リチウムを8.66g、マンガン源として酢酸マンガンを54.59g、バナジウム源としてバナジン酸アンモニウムを1.37g、リン源としてリン酸水素二アンモニウムを30.96gおよびカーボン源としてグルコースを4.41gそれぞれ秤量し混合後、窒素雰囲気下650℃で10時間焼成を行った。得られた粉末試料は、X線回折結果より斜方晶Pnmaのオリビン構造であるLiMn0.95V0.05PO4の単一相であることが確認された。この粉末試料を前記と同じ要領で放電容量を求めた。
(比較例3-3:表4)
出発原料にリチウム源として炭酸リチウムを8.79g、マンガン源として酢酸マンガンを52.50g、バナジウム源としてバナジン酸アンモニウムを2.78g、リン源としてリン酸水素二アンモニウムを31.43gおよびカーボン源としてグルコースを4.48gそれぞれ秤量し混合後、窒素雰囲気下650℃で10時間焼成を行った。得られた粉末試料は、X線回折結果より斜方晶Pnmaのオリビン構造であるLiMn0.9V0. 1PO4の単一相であることが確認された。この粉末試料を前記と同じ要領で放電容量を求めた。
(比較例3-4:表4)
出発原料にリチウム源として炭酸リチウムを8.93g、マンガン源として酢酸マンガンを50.35g、バナジウム源としてバナジン酸アンモニウムを4.24g、リン源としてリン酸水素二アンモニウムを31.92gおよびカーボン源としてグルコースを4.55gそれぞれ秤量し混合後、窒素雰囲気下650℃で10時間焼成を行った。得られた粉末試料は、図7のX線回折結果より斜方晶Pnmaのオリビン構造であるLiMn0.85V0. 15PO4の単一相であることが確認された。この粉末試料を前記と同じ要領で放電容量を求めた。
(粒子構造の分析)
XRDによる結晶構造解析において、リン酸マンガンリチウムとリン酸バナジウムリチウムを複合化させてなる本発明の正極活物質は混合相であることが確認できた。一方、表4の比較例3-1〜3-4のようにバナジウムがドープされている正極活物質では、XRDによる結晶構造解析において単一相が観測されることが確認できた。よって本発明の正極活物質とバナジウムが単にドープされた正極活物質との間には結晶構造上の違いがあることが確認できた。さらに図5に示す元素分析の結果において、本発明の正極活物質はVとMnが均一に分布しているのに対し、表2の比較例2-1〜比較例2-6のようにLiMnPO4とLi3V2(PO4)3とを単に混合した正極活物質では、VとMnが均一に分布していないことが確認できた。よって、本発明の正極活物質とLiMnPO4とLi3V2(PO4)3とを単に混合した正極活物質との間には粒子構造上の違いがあることが確認できた。

Claims (8)

  1. リン酸マンガンリチウムとリン酸バナジウムリチウムを混合及び焼成して複合化させてなる正極活物質。
    (但し、前記リン酸マンガンリチウムはLiaMnbMcPO4により表され、0<a≦1、0<b≦1、0.9≦b+c≦1を充足する。前記MはMg、Ti、Fe、Ni、Coから選ばれる元素である。また、前記リン酸バナジウムリチウムはLid(V1-xMex)2(PO)3により表され、0<d≦3、0≦X<1を充足する。前記MeはMg、Ti、Mn、Fe、Ni、Coから選ばれる元素である。)
  2. リン酸マンガンリチウムとリン酸バナジウムリチウムの混合比率が重量比で95:5〜50:50であることを特徴とする請求項1に記載の正極活物質。
  3. リン酸マンガンリチウムとリン酸バナジウムリチウムを混合及び焼成して複合化させる工程を有することを特徴とする請求項1または2に記載の正極活物質の製造方法。
  4. 前記混合及び焼成して複合化させる工程が、リン酸マンガンリチウムおよびリン酸バナジウムリチウムを混合した後、その混合物を300〜800℃で焼成する工程を有することを特徴とする請求項3に記載の正極活物質の製造方法。
  5. 炭素源を正極活物質中のカーボン量が0.5〜10wt%となるように前記混合物の調製に使用することを特徴とする請求項4に記載の正極活物質の製造方法。
  6. 請求項1もしくは2に記載された正極活物質を含むリチウムイオン二次電池。
  7. 請求項1もしくは2に記載された正極活物質をリチウムイオン二次電池に使用する方法。
  8. リン酸マンガンリチウムを含む正極活物質にリン酸バナジウムリチウムをリン酸マンガンリチウムとリン酸バナジウムリチウムの重量比が95:5〜50:50となるように混合し、その混合物を焼成することを含むリン酸マンガンリチウムを含む正極活物質の電池特性を向上させる方法。
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