JP5610792B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクを吐出するための記録ヘッドを用いて記録を行うインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録装置において、長時間吐出されていないノズルでは、ノズルの奥の液室からも水分蒸発が起こり、濃度上昇してしまったインクがノズル内を占有することになる。このままの状態で画像を記録すると、濃度の上昇したインクによって画像弊害が発生する可能性がある。このようなノズルの吐出不良、或いはノズルからの水分蒸発によるインクの濃度上昇を防止するため、予備吐出が行われている。例えば、記録ヘッドとしてラインヘッドを採用してロール紙に長時間連続記録するような装置では、記録画像と記録画像との間で記録媒体(ロール紙)上に予備吐出を行っている。
ところで、特許文献1には、記録ヘッドの内のインク流路に沿ってインクを循環させる構成において、記録ヘッド温度に応じてインクの循環量を変更する技術を開示している。この技術によれば、記録ヘッド内のインク温度を一定に維持することができるとともに、ノズル奥の液室に存在する濃度上昇したインクが拡散されることになる。
特開平11−10908号公報
特許文献1の方法によれば、ノズル奥の濃度上昇したインクを記録ヘッド内で拡散させることができる。しかし、記録ヘッド内でインクを循環させたとしても、インクの濃度上昇による画像弊害を抑制するためには予備吐出が必要になる。そして、予備吐出のとき、インク循環流路の屈曲部では、その外側が、インク循環流路の中央に比べてインクの拡散効率、移動効率が悪いために濃度上昇したインクがその場に残りやすいという問題があった。
本発明は、シートを第1方向に搬送する搬送手段と、前記第1方向と交差する第2方向に沿って複数のノズルが配列されたノズル列が前記第1方向に沿って複数設けられた第1ノズルチップを前記第2方向に沿って複数有する第1ノズルチップ群と、前記第2方向に沿って複数のノズルが配列されたノズル列が前記第1方向に沿って複数設けられた第2ノズルチップを前記第2方向に沿って複数有する第2ノズルチップ群と、を有し、前記第1方向において前記第2ノズルチップ群は前記第1ノズルチップ群の下流側に配置され、かつ隣接する前記第1ノズルチップと前記第2ノズルチップは前記第2方向においてずれて配置された記録ヘッドと、を備え、隣接する前記第1ノズルチップと前記第2ノズルチップはそれぞれインク流路で接続されることによって、前記記録ヘッド内をインクが循環するインクジェット記録装置において、前記第1ノズルチップに設けられた第1ノズル列内の前記第2方向における両端部に位置するそれぞれ第1の数のノズルからなる第1端部領域内のノズルからはそれぞれ第1吐出数のインクを予備吐出させ、2つの前記第1端部領域の間の領域のノズルからはそれぞれ前記第1吐出数よりも少ない第2吐出数のインクを予備吐出させ、前記第1ノズルチップに設けられ前記第1方向において前記第1ノズル列よりも下流側に設けられた第2ノズル列内の前記第2方向における両端部に位置するそれぞれ前記第1の数よりも小さい第2の数のノズルからなる第2端部領域内のノズルからはそれぞれ前記第1の吐出数のインクを予備吐出させ、2つの前記第2端部領域の間の領域のノズルからはそれぞれ前記第2吐出数のインクを予備吐出させ、前記第2ノズルチップに設けられた第3ノズル列内の前記第2方向における両端部に位置するそれぞれ第3の数のノズルからなる第3端部領域内のノズルからはそれぞれ前記第1吐出数のインクを予備吐出させ、2つの前記第3端部領域の間の領域のノズルからはそれぞれ前記第2吐出数のインクを予備吐出させ、前記第2ノズルチップに設けられ前記第1方向において前記第3ノズル列よりも下流側に設けられた第4ノズル列内の前記第2方向における両端部に位置するそれぞれ前記第3の数よりも大きい第4の数のノズルからなる第4端部領域内のノズルからはそれぞれ前記第1吐出数のインクを予備吐出させ、2つの前記第4端部領域の間の領域のノズルからはそれぞれ前記第2吐出数のインクを予備吐出させるように制御する制御手段を備えることを特徴とする。
以上の構成によれば、インク循環流路の屈曲部の濃度の上昇したインクを効率的に排出することができる。
インクジェット記録装置の概略斜視図である。 インクジェット記録装置の概略断面図である。 インクジェット記録装置の循環装置の概略図である。 インクジェット記録装置の記録部周辺の構成を斜めから見た概略斜視図である。 インクジェット記録装置の記録時の概略断面図である。 インクジェット記録装置のクリーニング、予備吐出時の概略断面図である。 インクジェット記録装置の平面図である。 インクジェット記録装置の制御系のブロック図である。 第1の実施形態に係る吐出回復方法を示すフローチャートである。 記録ヘッドのインク流路を説明するための平面図である。 ノズル群ごとに設定された予備吐発数を示す図である。 第2の実施形態に係る吐出回復方法を示すフローチャートである。 記録時間ごとの予備吐発数またはノズル群ごとの駆動周波数を示す図である。 ノズル群ごとに設定された駆動パルスを説明するための図である。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明を適用可能なインクジェット記録装置(以下、単に記録装置とも記す)の斜視図を示す。また、図2は図1の断面構造を概略的に示す。
図1および図2に示すように、記録装置1には、インク色に対応して複数の記録ヘッド2が備えられており、記録ヘッド2から記録媒体3上にインクを吐出させることで記録媒体3上に画像を形成するようになっている。記録装置1の最上流にはロール状態の記録媒体3をセットする給紙部18があり、記録媒体3を記録ヘッド2まで搬送し記録動作中に所定速度で送る給紙・送り機構(不図示)が設けられている。記録ヘッド2を収容する記録部4は、隣接して配置された気流供給ユニット5と気流回収ユニット6により記録ヘッド2のノズル面近傍の湿度が調整されるようになっている。
気流供給ユニット5内の供給ダクト9は、記録媒体3上に一定の隙間を保ち固定されており、供給口10の方向は記録ヘッド2と記録媒体3の間に設けられた一定の隙間に向けられている。供給ダクト9内に流される加湿気流は、供給フィルタ24と供給ファン8、そして蒸気発生部7により生成されている。また、供給口10と記録ヘッド2のノズル面近傍には湿度計測する手段として湿度センサ(不図示)が配置されている。気流回収ユニット6内の吸引ダクト12は、供給口10と同様に記録媒体3上に一定の隙間を保ち固定されており、吸引口11は記録ヘッド2と記録媒体3の間に設けられた一定の隙間に向けられている。吸引ダクト12内には、吸引ファン13と吸引フィルタ14を配置している。吸引ファン13により記録ヘッド2のノズル面近傍に供給された加湿気流は、吸引口11から吸い込まれ、吸引ダクト12を通過後、吸引フィルタ14で記録動作中に発生するインクミストを回収し、気流回収ユニット6から排気される。
記録媒体3は搬送方向Bに沿って搬送されるようになっており、記録部4で記録動作を行い、その後記録した記録媒体3をカッター部15で所定長さにカットした後、乾燥部16に搬送する。そして、乾燥部16で記録媒体3上のインクを乾かし、乾燥処理後の記録媒体3を乾燥部16の出口19から排出して排紙部17に積み重ねるようになっている。20は記録ヘッド2に対してインクを供給するインクタンク部20であり、図示しないチューブ等により記録ヘッド2にインクを送る。記録装置1は、記録ヘッド2、給紙、搬送機構、排紙機構その他の装置を制御する制御ユニットが設けられる。記録装置1には、装置内の駆動部(不図示)や記録ヘッド2、あるいはヒーター21などといった部位に電気エネルギーを供給する電源ユニット22も設けられている。
次に、図3を参照してインク流路の構成について説明する。交換可能なインクカートリッジ11は大気と連通する大気連通口12を備えている。インクカートリッジ11には、インク供給ポンプ13を介してインク流路14の一端が接続されている。インク流路14の他端はサブタンク15に接続されており必要に応じてインクカートリッジ11からサブタンク15へインク供給ポンプ13を駆動することでインクを供給することができる。
サブタンク15は大気と連通する大気連通口16を備えている。サブタンク15にはインク流路17及びインク流路21が接続されている。インク流路17は逆止弁18、第1のインク循環ポンプ19を介してインク流路20に接続されている。逆止弁18はサブタンク15側から記録ヘッド2の第1のインク流入出口51側へのみインクを流すことができる。インク流路20は、記録ヘッド2の第1のインク流入出口51に接続されている。前記第1のインク循環ポンプ19は、前記インク流路17及びインク流路20中最も高い位置に配置されている。
インク流路21は、逆止弁22、第2のインク循環ポンプ23を介してインク流路24に接続されている。逆止弁22はサブタンク15側から記録ヘッド2の第2のインク流入出口52側へのみインクを流すことができる。インク流路24は、記録ヘッド2の第2のインク流入出口52に接続されている。前記第2のインク循環ポンプ23は、前記インク流路20及びインク流路24中最も高い位置に配置されている。
サブタンク15の底部には開閉弁25が設けられている。開閉弁25にはインク流路26の一端が接続されている。インク流路26の他端は、前記第1のインク循環ポンプ19と前記記録ヘッド2の間で前記インク流路20に接続されている。更にサブタンク15には、一端がバッファタンク27の底部に接続されたインク流路28が接続されている。
インク流路17の第1のインク循環ポンプ19と逆止弁18の間では前記バッファタンク27に接続するインク流路29が分岐している。前記インク流路29の前記第1のインク循環ポンプ19に近接した位置に前記第1のインク循環ポンプ19側からバッファタンク27側へのみだけインクを流すことができる逆止弁30が設けられている。インク流路21の第2のインク循環ポンプ23と逆止弁22の間では前記バッファタンク27に接続するインク流路31が分岐している。前記インク流路31の前記第2のインク循環ポンプ23に近接した位置に前記第2のインク循環ポンプ23側からバッファタンク27側へのみだけインクを流すことができる逆止弁32が設けられている。
バッファタンク27は大気と連通する大気連通口33を備えている。バッファタンク27はインク流路28、29、30中で最も高い位置に配置されている。また、前記サブタンク15よりも高い位置に配置されている。よってバッファタンク27に還流してきたインクは、底部に接続されたインク流路28を通ってサブタンク15に自重で流れて行く構成となっている。
前記第1のインク循環ポンプ19、第2のインク循環ポンプ23は、本実施例ではチューブポンプを使用し、ポンプの回転方向を変えることでインクの流れ方向を変えることができる構成となっている。また、ポンプ停止時には、流路を閉塞する構成となっている。ポンプの構成は、チューブポンプに限る必要は無く、ポンプもしくは流路を制御することでインクの流れ方向を変えることが出来、かつインクの流れを停止することができる機構を有していればどんな構成のポンプであっても構わない。インク供給ポンプ13は少なくとも一方方向にインクを流すことが出来ればよい。
次に、図4は本発明の第1実施形態による記録部周辺の構成を斜めから見た概略斜視図である。図4は、記録部4と隣接して配置された気流供給ユニット5と気流回収ユニット6を示している。記録部4は、筐体枠107により略閉空間に構成されており、記録ヘッド2がホルダ106に取り付けられている。ホルダ106は、記録動作位置以外にも、予備吐出を行う所定の位置、ノズル面をワイピングする所定の位置、非記録時にノズル面の乾燥を抑制するキャッピングをする所定の位置など、記録媒体3の記録面方向に図示しない駆動機構により動かすことが出来る。
また、ホルダ106は記録ヘッドの記録可能幅と搬送紙の最大幅との違いにより発生する使用ノズルと未使用ノズルの吐出回数の偏りを平均化するために、紙搬送に対してほぼ垂直方向Xに相対位置を移動することが出来る。駆動方法は、ホルダ106はベルト104と取り付け部108で固定されており、パルスモータ103により、ベルト104に取り付けられたプーリー105を駆動させる。図示しない外部情報端末から取得した紙サイズと、累積された記録ヘッド2の吐出回数により、パルスモータ103は、記録時に、記録ヘッド2内に配置された複数ノズルの吐出回数が平均化するようにパルス制御してホルダを移動させる。その後、図示しない固定機構により適した位置固定される。
図5は図4の断面構造を示す断面図である。図6はクリーニング動作時の状態を示す断面図である。異なるインク色にそれぞれ対応した複数の記録ヘッド2を備え、本例ではCMYKの4色に対応した4つの記録ヘッドとしているが、色数はこれには限定されない。各色のインクはインクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッド2に供給される。複数の記録ヘッド2はヘッドホルダ5で一体に保持されており複数の記録ヘッド2と記録媒体3の表面との間の距離を変更できるよう、ヘッドホルダ5が上下移動することができる機構を有している。
キャップユニット6は、複数(本例では4つ)の記録ヘッド2に対応して複数(本例では4つ)のクリーニング機構9を有する。キャップユニット6は、ユニットごと第1方向にスライド移動可能な構成となっている。キャップユニット6にはキャップ、キャップ内吸収体が備えられており、予備吐出などでノズルから排出されるインクを保持することができる。図5は記録時の状態を示し、キャップユニット6は記録部に対して記録媒体搬送方向下流に位置している。一方、図6はクリーニング動作時、予備吐出の状態を示し、キャップユニット6は記録部の記録ヘッド2の直下に位置している。図5、図6にキャップユニット6の移動可能範囲Rcを矢印で示している。
図7は本発明の代表的な実施形態であるインクジェット記録装置の構成の概要を示す平面図である。図7に示すように本体中央に記録ヘッド2が取り付けられており、この記録ヘッドで記録を行う記録媒体3は、インクジェット記録装置の中を記録ヘッド幅によらず搬送される。記録ヘッド幅は12インチの長さを有しており、この記録ヘッド幅で記録が可能であれば複数種類の幅の記録媒体を搬送することが可能な構成となっている。
次に、上述したインクジェット記録装置に用いられる制御系のブロック図を、図8に示す。ホストコンピュータ60から記録すべき文字や画像のデータがインクジェット記録装置の受信バッファ11に入力される。また、正しくデータが転送されているかなどを確認するデータや、インクジェット記録装置の動作状態を知らせるデータがインクジェット記録装置からホストコンピュータ10に出力される。受信バッファ61のデータは制御部(CPU:CENTRAL PROCESSING UNIT)12の管理のもとで、メモリ部63に転送され、メモリ部63のRAM(ランダムアクセスメモリ)に一時的に記憶される。また、メモリ部63のROMには後述する記録ヘッドの吐出回復制御を実現するためのプログラムを格納しており、CPUはこのプログラムに基づき記録ヘッドなどを制御して吐出回復制御を行わせる。
キャリッジモータドライバ64はCPU62からの指令により、ラインヘッドキャリッジ、キャップおよびワイパ等の機構部(メカ部)65を駆動する。搬送モータドライバ66はCPU62からの指令により、記録媒体を搬送する搬送ローラ66を制御する。インク循環モータドライバ67はCPU62からの指令により、循環ポンプや開閉弁を駆動するインク循環モータ69を制御する。CPU62からの指令は記録ヘッド2を駆動制御して画像の記録と予備吐出を実施する。また、ヘッド2の内部には、インク液滴を吐出するための発熱抵抗素子と、それを制御するための電気回路と、駆動素子とが集積されたシリコン基板であるヒーターボード(素子基板)が配されている。このヒーターボード上には、記録ヘッド2の温度を検出する記録ヘッド温度検出センサが配されている。この検出センサには、ダイオードの出力電圧の温度特性を利用するもの、または電気的な抵抗体の抵抗値の温度特性を用いたものなどを用いることができる。
以下に、本実施形態で特徴的な記録ヘッドの吐出回復方法を説明する。図9は、記録ヘッドの吐出回復方法の概略を示すフローチャートである。
まずS11で、インク循環モータドライバ67は循環ポンプや開閉弁を駆動するインク循環モータ69を制御して、記録ヘッド2内のインクの記録中循環を開始する。記録中に行うインク循環は、濃度の上昇したインクを記録ヘッド2内で拡散させる効果と、吐出による記録ヘッド2の温度上昇を抑える効果がある。次にS12で、オペレーターからの記録命令を受けて記録を開始するため、キャリッジモータドライバ64は、ラインヘッドキャリッジ、キャップおよびワイパ等の機構部(メカ部)65を駆動し、記録ヘッド2をキャップポジションから記録ポジションへ移動する。
続いて、S13で、搬送モータドライバ66は、記録媒体を搬送する搬送ローラ66を制御して記録媒体3が搬送され、CPU62からの指令により記録ヘッド2を駆動制御して画像の記録を始める。このとき、記録ヘッド2の12インチ幅に対して、本例では記録媒体が6インチ幅とする。画像記録中、記録ヘッド2は、記録媒体3(ロール紙)の記録画像と記録画像との間に予備吐出を行うが、記録媒体3の幅よりも外側のノズルは記録媒体3上に予備吐出を実施することができない。このようなノズルは、長時間インク吐出されないため、ノズルの先端だけにとどまらず、ノズル奥の液室まで水分蒸発により濃度上昇の起こったインクが占有することになる。
S14で、搬送モータドライバ66は、記録媒体を搬送する搬送ローラ66を制御して、記録媒体3の搬送を終了し、CPU62からの指令により記録ヘッド2を駆動制御して画像の記録を終了する。記録媒体3の長さや記録媒体3の搬送速度にも依存するが、S13の記録開始からS14の記録終了までの時間は数分から数時間かかる。記録をしている間、記録媒体3の幅よりも外側のノズルからはインクの吐出がされないため、ノズルからの水分蒸発により濃度上昇の起こったインクが蓄積する。
次に、S15において、キャリッジモータドライバ64は、ラインヘッドキャリッジ、キャップおよびワイパ等の機構部(メカ部)65を駆動して、記録終了した記録ヘッド2を記録ポジションから予備吐出ポジションまで移動する。そして、記録ヘッド2が予備吐出できるようにキャップユニット6を記録ヘッド2の下まで移動させる。そして、S16において、CPU62は記録ヘッド2を駆動制御して、記録媒体3の幅よりも外側のノズルからキャップ内へ予備吐出を行う。続いて、S17でキャリッジモータドライバ64は、ラインヘッドキャリッジ、キャップおよびワイパ等の機構部(メカ部)65を駆動して、記録ヘッドを予備吐出ポジションからキャップポジションへと移動する。S18で、インク循環モータドライバ67は循環ポンプや開閉弁を駆動するインク循環モータ69を制御して、記録中循環を停止し、本体動作を終了する。
本実施形態の吐出回復制御は、このS16における予備吐出の制御を特徴としている。先ず、記録ヘッド内でのインクの循環の様子について説明する。
図10(A)は記録ヘッド2のベースプレート31の平面図であり、ベースプレートに取り付けてあるチップ32の並びを透視図で示したものである。このそれぞれのチップ32にはノズルが形成されており、このノズルから同じ色のインクを吐出する。ベースプレート31の中にはインクを循環させるための流路が形成されている。図10(B)は、ベースプレート31内のインク流路33を示している。インク循環は記録中に、濃度の上昇したインクをヘッド内で拡散させる効果がある。
図10(C)は、ベースプレート31内のインク流路を拡大した様子を示す。同図には、2つのチップ32a,32bが示されており、これらのチップにもインク流路33が形成されており、流路内をインクが矢印f方向に流れるようになっている。このように、インク流路33はチップ幅全域を含めて形成されているものの、実際のインクの流れにはムラがあり、点線で示す領域の内側を主にインクは流れる。このように、インク循環流路の屈曲部では流路外側のインクが流れにくいため、インク循環流路中央のインクの拡散状態と比較して、インク循環流路の外側のインクの拡散状態は悪くなっている。
そこで、本実施形態では、S16の予備吐出の際に、チップ内に設けられたノズル列のノズルをノズル群に分割して、ノズル群ごとに予備吐出するインクの吐出数(発数)を設定している。つまり、本実施形態は、インクが流れにくく拡散し難い位置のノズルほど、予備吐出の発数を多くするものである。
図11(A)は、チップ内の複数のノズル列を複数のノズル群に分割する方法を説明する図である。この図で、チップ32a,32bは図10(C)のチップ32a,32bに対応し、各チップに設けられたノズル列A、B、C、Dはノズル群1,2,3に分割されている。同図(B)には、チップ32aにおけるノズル群の分割例を示す。ノズル列A〜Dに備えられた1024個のノズルは、図11(A)の左側から順にseg0〜seg1023までのseg番号が割り当てられている。そして、チップ32aのノズル列Aでは、seg0〜seg383までをノズル群1、seg384〜seg639までをノズル群2、seg640〜seg1023までをノズル群3として分割する。ノズル列B,Cについても、図11(B)に示すようにノズル群1〜3に分割するが、ノズル列Dは全ノズルをノズル群2とする。
このように、インク循環流路の屈曲部の外側に位置し、インクの拡散状態が悪いノズルはノズル群1または3に属することになり、これと比較してインクの拡散が進んでいるノズルはノズル群2に属することになる。そして、インクの拡散状態が悪いノズル群1,3のノズルからは4000発(dot)の予備吐出を行い、インクの拡散が進んでいるノズル群2のノズルからは1000発の予備吐出を行う。
一方、チップ32bについても、図11(C)に示すように、ノズル列Aは全ノズルをノズル群2とし、ノズル列B〜Dはノズル群1〜3に分割する。そして、インクの拡散状態が悪いノズル群1,3のノズルからは4000発の予備吐出を行い、インクの拡散が進んでいるノズル群2のノズルからは1000発の予備吐出を行う。
なお、図11(B),(C)に示す、ノズル群ごとの予備吐発数を定めたデータはメモリ部63のROMに格納されており、CPU62がこのデータを参照することにより、ノズル群ごとに決められた発数の予備吐出を行わせる。このように、各ノズルのインクの拡散状態に合せて、予備吐出の発数を設定しているため、無駄にインクを消費することなく、インク循環流路の屈曲部の濃度の上昇したインクを排出することができる。
本実施形態では、図10に示すように、複数のノズル列が配列されたチップ32a,32bが、所定方向(図の左右方向、ノズル配列方向)とそれに交差する方向(図の上下方向)にずれて配列されている。そして、インク流路がそれぞれのチップに対応して設けられるとともに、第1のチップに相当するチップ32aの一端と第2のチップに相当するチップ32bの他端とを接続している。インク流路中のインクは一方向に流れ、これにより、記録ヘッド内のインクが循環するようになっている。このような構成では、結果的に、チップ32a,32bの複数のノズル列の所定方向の端部がインク流路の屈曲点に相当することになる。そこで、上記実施例では、ノズル列の一端のノズルを含むノズル群(ノズル群1)と他端のノズルを含むノズル群(ノズル群3)の予備吐発数を、その他のノズル群(ノズル群2)の予備吐発数よりも多くしている。
なお、ノズル列A〜Dでは、それぞれノズル群の分割の仕方が異なっており、同じノズル群でも、ノズル列により、そのノズル数が異なっているが、ノズル列A〜Dで全て同じようにノズル群を分割してもよい。例えば、ノズル列A〜Dの全てで、seg0〜seg383までのノズルをノズル群1、seg384〜seg639までのノズルをノズル群2、seg640〜seg1023までのノズルをノズル群3とする。上記の例よりも予備吐出の発数は増えてしまうものの、どのノズル列もノズル群の分割の仕方が同じであるため、予備吐出の制御を簡略化できる。
なお、本実施形態では、各チップにノズル列が複数配列されている例を示しているが、1つのチップに1つのノズル列を設けた構成でもよい。更には、各ノズル列が別々のチップに設けられている必要は無く、複数のノズル列が1つのチップに設けられ、そのうち、第1のノズル列と第2のノズル列が所定方向とこれに交差する方向に互いにずれた構成であってもよい。いずれの場合にも、ノズル列の端部のノズル群の予備吐発数を、その他の中央のノズル群の予備吐発数よりも多くすればよい。
(第2の実施形態)
本実施形態は、記録ヘッドが大気にさらされている時間である記録中の時間を計時し、計時した時間に応じて予備吐出の発数を異ならせることを特徴とする。つまり、第1の実施形態では、記録中の時間によらずノズル群1,3からは4000発の予備吐出を行い、ノズル群2からは1000発の予備吐出を行うようにしているが、本実施形態は、記録時間に応じて予備吐発数を変更するものである。以下、第2の実施形態の特徴的な構成について説明し、その他の構成については上記第1の実施形態と同じであるため説明を省略する。
図12は、本実施形態における吐出回復方法の概略を示すフローチャートである。まずS21で、インク循環モータドライバ67は循環ポンプや開閉弁を駆動するインク循環モータ69を制御して、記録ヘッド2内のインクの記録中循環を開始する。記録中循環は濃度の上昇したインクをヘッド内で拡散させる効果と、吐出による記録ヘッド2の温度上昇を抑える効果がある。S22で、オペレーターからの記録命令を受けて記録を開始するため、キャリッジモータドライバ64は、ラインヘッドキャリッジ、キャップおよびワイパ等の機構部(メカ部)65を駆動して、記録ヘッド2をキャップポジションから記録ポジションへと移動する。S23で、搬送モータドライバ66は、記録媒体を搬送する搬送ローラ66を制御して、記録媒体3が搬送され、CPU62からの指令により記録ヘッド2が駆動制御されて、画像の記録を始める。このとき、記録ヘッド2の12インチ幅に対して、本例では記録媒体が6インチ幅とする。
S23で画像の記録が開始されると、S24でCPU62は装置に備えられたタイマーをスタートさせ、記録にかかる時間の測定を開始する。S25で、搬送モータドライバ66は記録媒体を搬送する搬送ローラ66を制御して記録媒体3の搬送を終了し、CPU62からの指令により記録ヘッド2は画像の記録を終了する。
画像記録中、記録媒体3(ロール紙)の記録画像と記録画像との間に予備吐出を行うが、記録媒体3の幅よりも外側のノズルは記録媒体3上に吐出回復処理を実施することができない。このようなノズルは、長時間インク吐出されないため、ノズルの先端だけにとどまらず、ノズル奥の液室まで水分蒸発により濃度上昇の起こったインクが占有することになる。
次に、S26で、キャリッジモータドライバ64は、ラインヘッドキャリッジ、キャップおよびワイパ等の機構部(メカ部)65を駆動して、記録を終了した記録ヘッドを記録ポジションから予備吐出ポジションまで移動する。また、記録ヘッド2が予備吐出できるようにキャップユニット6を記録ヘッド2の下まで移動させる。そして、S27において、CPU62の指令により記録ヘッド2を駆動制御して予備吐出をキャップ内へと実施する。このとき、各チップのノズル列は図11に示したノズル群に分割されており、ノズル群ごとに設定された発数の予備吐出を実行する。
また、本実施形態では、各ノズル群の予備吐発数が記録時間に応じて複数設定されている。図13(A)は、記録時間とノズル群1〜3の予備吐発数との関係を示す図である。同図に示すように、本実施形態では、インクの拡散状態が悪いノズル群の予備吐発数(ノズル群1,3)をインクの拡散が進んでいるノズル群(ノズル群2)の予備吐発数よりも大きな値とする。更には、同じノズル群であっても、測定した記録時間が長いときほど予備吐発数を大きくしている。ただし、記録時間が5分以内のときは、ノズル群1〜3の予備吐発数を全て1000発と同じ発数に設定している。つまり、記録時間が短ければ、どのノズルもインクの増粘が進んでいないため、インク循環の拡散効率の悪いノズルであっても少ない予備吐発数(1000発)で足りるためである。また、ノズル群2については、インク循環によるインクの拡散効率が良いため、記録時間が長くなった場合にも多くの予備吐出をする必要が無く、記録時間によらず一定の予備吐発数としている。勿論、記録時間が5分以内の場合でもノズル群1,3とノズル群2とで予備吐発数に差を付けてもよいし、ノズル群2も記録時間が長くなるほど予備吐発数が大きくなるようにしてもよい。なお、図13に示すような、記録時間とノズル群とに応じた予備吐発数のデータはメモリ部63のROMに格納されており、S27ではCPU62がこのデータを参照することにより、測定した記録時間に基づいてノズル群ごとに決められた発数の予備吐出を行わせる。
以上により、短時間の記録時間であればノズル内の粘度の増したインク量も少ないため、少ない予備吐出の発数によって記録ヘッド2の吐出性能を回復させることができる。
S27において予備吐出が終わると、S28で、キャリッジモータドライバ64はラインヘッドキャリッジ、キャップおよびワイパ等の機構部(メカ部)65を駆動して、記録ヘッド2を予備吐出ポジションからキャップポジションへと移動する。そして、S29で、インク循環モータドライバ67は循環ポンプや開閉弁を駆動するインク循環モータ69を制御して、記録中循環を停止し、本体動作を終了する。
以上のとおり、本実施形態によれば、記録ヘッドが大気にさらされている時間である記録中の時間を計時し、計時した時間に応じて予備吐出の発数を異ならせることにより、ノズル内のインクの増粘の程度に応じた発数の予備吐出を行うことができる。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、ノズル列を、インクの拡散状態が悪いノズル群(ノズル群1,2)と、インクの拡散が進んでいるノズル群(ノズル群2)の2段階に分割しているが、循環流路の外側から中央に向かって3段階以上のノズル群に分けてもよい。その場合は、循環流露の外側に位置するノズル群ほど、インクの拡散効率が低下しているため、予備吐出のインク発数を大きく設定すればよい。
また、S16またはS27の予備吐出では、記録媒体よりも外側のノズルから予備吐出を行うようにしているが、そのとき、記録媒体の幅より内側のノズル、すなわち記録媒体に記録、予備吐出を行っていたノズルからも予備吐出するようにしてもよい。この内側のノズルの予備吐出についても、ノズル列を複数のノズル群に分割し、ノズル群ごとに設定された発数のインクを予備吐出すればよい。ただし、記録媒体へ記録を行っていたノズルにおけるインクの濃度上昇(増粘)は、記録媒体より外側に位置し、記録を行っていなかったノズルよりも緩やかである。そのため、記録媒体上に記録、予備吐出を行っていたノズルについては、例えば図11(B)、(C)に示す予備吐発数の半分のように、記録を行っていなかったノズルより少ない発数を設定し、予備吐出を実施させればよい。
さらに上記説明では、インクの拡散状態が悪いノズル群の予備吐発数を、インクの拡散の進んでいるノズル群の予備吐発数よりも大きくすることにより、インク循環流路の屈曲部で外側の濃度上昇(増粘)したインクを効率的に排出している。しかし、インク循環流路の屈曲部の増粘したインクを効率的に排出する手法は、予備吐出の吐出発数を異ならせる方法に限られるものではない。例えば、ノズル群ごとに予備吐出の駆動周波数を異ならせることで、増粘したインクを効率的に排出させることもできる。図13(B)は、ノズル群1〜3に設定される駆動周波数を示す図である。この図のように、インクの拡散状態の悪いノズル群1,3の駆動周波数を、インクの拡散の進んでいるノズル群2の駆動周波数より高くすることで、増粘したインクを効率的に排出することができる。つまり、予備吐出時の駆動周波数が高いほど、ノズル内でインクのリフィルが頻繁に繰り返され、これによりノズル内およびノズル奥でインクの拡散が促進されるからである。さらには、図13(C)に示すように、記録時間に応じてノズル群ごとの駆動周波数を異なる値としてもよい。
また、増粘したインクを効率的に排出する他の手法として、予備吐出における駆動パルスをノズル群ごとに異ならせるようにしてもよい。図14(A)はノズル群1〜3に設定される駆動パルス(PWM0,3)の関係を示し、図14(B)には記録時間に応じてノズル群ごとの駆動パルス(PWM0〜3)を異ならせた例を示す。図14(C)には駆動パルスPWM0〜3の駆動波形を示し、PWM0〜3はこの順に吐出量が大きくなるような波形となっている。
なお、予備吐発数、駆動周波数、駆動パルスのいずれか1つをノズル群ごとに異なるように設定してもよいし、2以上の要件を組み合わせてノズル群ごとに設定してもよい。
以上の説明では、最大用紙幅以上のノズル列を有する記録ヘッドを所定位置に固定した状態で記録媒体を搬送させて記録を行うフルラインタイプの記録装置を例にとり説明した。しかし、本発明はこの形態に限らず、記録ヘッドを用いて記録を行う記録装置に広く適用可能である。例えば、キャリッジを走査方向に移動させつつ記録ヘッドよりインクを吐出させる主走査と、記録媒体を記録ヘッドの記録幅に対応する距離だけ搬送方向に搬送する副走査とを繰り返して画像を記録するシリアル型のインクジェット記録装置でも適用可能である。
2 記録ヘッド
3 記録媒体
6 キャップユニット
31 ベースプレート
32 チップ
62 CPU
63 メモリ部

Claims (2)

  1. シートを第1方向に搬送する搬送手段と、
    前記第1方向と交差する第2方向に沿って複数のノズルが配列されたノズル列が前記第1方向に沿って複数設けられた第1ノズルチップを前記第2方向に沿って複数有する第1ノズルチップ群と、前記第2方向に沿って複数のノズルが配列されたノズル列が前記第1方向に沿って複数設けられた第2ノズルチップを前記第2方向に沿って複数有する第2ノズルチップ群と、を有し、前記第1方向において前記第2ノズルチップ群は前記第1ノズルチップ群の下流側に配置され、かつ隣接する前記第1ノズルチップと前記第2ノズルチップは前記第2方向においてずれて配置された記録ヘッドと、
    を備え、隣接する前記第1ノズルチップと前記第2ノズルチップはそれぞれインク流路で接続されることによって、前記記録ヘッド内をインクが循環するインクジェット記録装置において、
    前記第1ノズルチップに設けられた第1ノズル列内の前記第2方向における両端部に位置するそれぞれ第1の数のノズルからなる第1端部領域内のノズルからはそれぞれ第1吐出数のインクを予備吐出させ、2つの前記第1端部領域の間の領域のノズルからはそれぞれ前記第1吐出数よりも少ない第2吐出数のインクを予備吐出させ、
    前記第1ノズルチップに設けられ前記第1方向において前記第1ノズル列よりも下流側に設けられた第2ノズル列内の前記第2方向における両端部に位置するそれぞれ前記第1の数よりも小さい第2の数のノズルからなる第2端部領域内のノズルからはそれぞれ前記第1吐出数のインクを予備吐出させ、2つの前記第2端部領域の間の領域のノズルからはそれぞれ前記第2吐出数のインクを予備吐出させ、
    前記第2ノズルチップに設けられた第3ノズル列内の前記第2方向における両端部に位置するそれぞれ第3の数のノズルからなる第3端部領域内のノズルからはそれぞれ前記第1吐出数のインクを予備吐出させ、2つの前記第3端部領域の間の領域のノズルからはそれぞれ前記第2吐出数のインクを予備吐出させ、
    前記第2ノズルチップに設けられ前記第1方向において前記第3ノズル列よりも下流側に設けられた第4ノズル列内の前記第2方向における両端部に位置するそれぞれ前記第3の数よりも大きい第4の数のノズルからなる第4端部領域内のノズルからはそれぞれ前記第1吐出数のインクを予備吐出させ、2つの前記第4端部領域の間の領域のノズルからはそれぞれ前記第2吐出数のインクを予備吐出させるように制御する制御手段を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記第3の数は前記第2の数と等しく、前記第4の数は前記第1の数と等しいことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
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