JP5607711B2 - 始動補助部材付高圧放電ランプ、及び始動補助部材付高圧放電ランプの製造方法 - Google Patents

始動補助部材付高圧放電ランプ、及び始動補助部材付高圧放電ランプの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、始動補助部材付高圧放電ランプに関し、特に始動補助部材付高圧放電ランプの耐久性を向上させる技術に関する。
液晶プロジェクタやDLP(Digital Light Processing)プロジェクタ等の画像表示装置等において、メタルハライドランプやキセノンランプや高圧水銀ランプ等の高圧放電ランプが利用されている。
高圧放電ランプは、放電空間を内包する略球状の発光部に対し、一対の封止部が連設された、石英ガラス製の外囲器を有する。各封止部の内部には、金属箔の長手方向両端部に、放電電極と外部リード線が設けられている。
従来より、高圧放電ランプにおいては、放電開始電圧の低減が要求されている。高圧放電ランプの放電開始電圧が高いと点灯回路は放電開始電圧を超える印加電圧を発生する必要があるために、その高電圧発生回路に大型のトランスや高耐圧の電子部品等を用いなければならない。また高電圧がかかっているケーブルやコネクタ等、ならびにその周辺部品には絶縁のための十分な配慮が必要になる。それらが、点灯回路を含むランプシステムの小型化や低価格化を図る上での大きな障害となるためである。
高圧放電ランプの放電開始電圧を低減させる方策として、特許文献1では、一方の封止部から露出した外部リード線にワイヤー状の近接導体の一端部を接続し、筒状の部材に成形した誘電体を他方の封止部に外嵌し、近接導体の他端部を誘電体部材表面に接触するように配設した構成の始動補助技術が開示されている。
始動補助部材として近接導体と筒状の誘電体部材とを用いる上述の構成では、始動時に外部リード線に電圧を印加することで、一対の放電電極間で生じる放電に先立ち、近接導体の他端部と誘電体部材表面との接触点近傍でコロナ放電(電子放出)が生じる。このコロナ放電によって発生する紫外線(UV)が照射された放電電極の表面では、光電効果により電子(光電子)が放出される。これにより、放電開始が促され、放電開始電圧の低減が図られるものである。
WO2012/090344
しかしながら、誘電体部材と、当該誘電体部材を封止部に固定するために用いられるセメント等の固着剤とでは熱膨張率に差がある。
特に、誘電体部材は、コロナ放電によって発生する紫外線が発光部内の放電電極に好適に照射されるように、発光部に近い位置に固定することが望まれるが、このような位置は点灯時に高温に曝される部位である。そのため、点灯、消灯を繰り返すことで経時劣化により、誘電体部材と固着剤とが剥離することが危惧される。
このように、始動補助部材として筒状の誘電体部材を固着剤を用いて封止部に外嵌固定した始動補助部材付高圧放電ランプにおいては、耐久性の面で未だ改良の余地が存在する。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、従来に比べて耐久性に優れる始動補助部材付高圧放電ランプの提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様にかかる始動補助部材付高圧放電ランプは、発光部に第一封止部および第二封止部が連設された高圧放電ランプに、始動補助部材が設けられた始動補助部材付高圧放電ランプであって、前記始動補助部材は、一端部が、前記第一封止部の表面に近接配置され、他端部が、第二封止部に封止されている放電電極に電気的に接続された金属線と、金属線の前記一端部の表面と、前記第一封止部の表面において前記金属線の一端部が近接配置されている部位との少なくとも一方に密着して薄膜状に形成された、前記第一封止部よりも高い比誘電率を有する誘電体層と
を有することを特徴とする。
上記態様にかかる始動補助部材付高圧放電ランプは、金属線の一端部や第一封止部の表面に密着して薄膜状の誘電体層が形成されるため、誘電体層の形成部位で金属線の一端部や第一封止部に対して、別途固着剤を使用する必要がない。そのため、高温に曝される部位で固着剤が経時劣化することによる不具合が生じない。従って、始動補助部材付高圧放電ランプの耐久性を向上させることができる。
実施の形態1に係る始動補助部材付高圧放電ランプを用いたランプユニット1の構成を示す一部断面図である。 高圧放電ランプ10の構成を示す正面図である。 (a)は第一封止部101Aの周方向に連続するリング状に形成された誘電体層20を示す斜視図であり、(b)は第一封止部101Aの外表面において、周方向の半周程度を覆うように誘電体層20を形成する変形例を示す斜視図であり、(c)は第一封止部101Aの外表面において、金属線21の端部21aが近接配置される部位にパッチ状に誘電体層20を形成する他の変形例を示す斜視図である。 (a)は実施の形態1に係る誘電体層20の構成を示す断面図であり、(b)は変形例に係る誘電体層20Aの構成を示す断面図である。 (a)は実施の形態1の誘電体層20と金属線21の端部21aとの接触を示す要部拡大正面図であり、(b)は端部21aを先鋭に加工した金属線と誘電体層20とを接触させた変形例を示す要部拡大正面図であり、(c)は端部21aを誘電体層20の表面に略直角に突き立てるように接触させた変形例を示す要部拡大正面図であり、(d)は誘電体層20の表面との間に間隔をあけて端部21aを近接配置した変形例を示す要部拡大正面図である。 (a)は誘電体層20の形成に用いる印刷製版300の一例を示す図であり、(b)〜(c)はスクリーン印刷装置により第一封止部101Aに誘電体ペーストを印刷する工程を説明する模式断面図である。 (a)は実施の形態2に係る誘電体層20Bの構成を示す斜視図であり、(b)は実施の形態2に係る誘電体層20Bの断面図であり、(c)は実施の形態2の変形例に係る誘電体層20Bの構成を示す斜視図であり、(d)は実施の形態2の変形例に係る誘電体層20Bの断面図である。 (a)は実施の形態2に係る端部21aの配設を示す要部拡大正面図であり、(b)は実施の形態2の変形例に係る端部21aの配設を示す要部拡大正面図である。 実施の形態3に係るランプユニット1Aの構成を示す一部断面図である。 実施の形態1のランプユニット1と点灯回路からなるランプシステム(画像表示装置)の構成例を示す図である。
(発明の一態様の概要)
本発明は、従来に比べて耐久性に優れる始動補助部材付高圧放電ランプの提供を目的とする。
本発明の第1態様である始動補助部材付高圧放電ランプは、発光部に第一封止部および第二封止部が連設された高圧放電ランプに、始動補助部材が設けられた始動補助部材付高圧放電ランプであって、前記始動補助部材は、一端部が、前記第一封止部の表面に近接配置され、他端部が、第二封止部に封止されている放電電極に電気的に接続された金属線と、金属線の前記一端部の表面と、前記第一封止部の表面において前記金属線の一端部が近接配置されている部位との少なくとも一方に密着して薄膜状に形成された、前記第一封止部よりも高い比誘電率を有する誘電体層とを有する。
上記の構成によれば、金属線の一端部や第一封止部の表面に密着して薄膜状の誘電体層が形成されるため、誘電体層の形成部位で金属線の一端部や第一封止部に対して、別途固着剤を使用する必要がない。そのため、高温に曝される部位で固着剤が経時劣化することによる不具合が生じない。従って、始動補助部材付高圧放電ランプの耐久性を向上させることができる。
また、筒状の誘電体部材を封止部に外嵌し固着剤を用いて固定した従来の始動補助部材付高圧放電ランプでは、その組み立てにおいて、誘電体部材を外嵌する工程や、固着剤を塗布する工程が必要であったが、上記態様にかかる始動補助部材付高圧放電ランプでは、金属線の一端部や第一封止部の表面に誘電体層が形成されているため、これらの工程が必要なく、生産性に優れている。
また、本発明の第2態様は第1態様において、前記第一封止部がガラス材料からなり、前記誘電体層は、前記第一封止部の表面に一部が融着しているガラス部材と、当該ガラス部材の残部内に混在する、前記第一封止部よりも高い比誘電率を有する材料の粉体とを含むよう構成してもよい。
上記本発明の第2態様の構成によれば、ガラス材料からなる第一封止部を基材として、その表面にガラス部材が融着するよう形成されるため、高い耐久性を得ることができる。
また、本発明の第3態様は第2態様において、前記第一封止部は柱状をなし、前記誘電体層は、前記第一封止部の周方向に連続するリング状に形成されているよう構成してもよい。
上記本発明の第3態様の構成によれば、誘電体層が第一封止部の周方向に連続してリング状に覆うように形成されているため、金属線を高圧放電ランプに取り付ける工程において、一端部を第一封止部の表面に配設する位置は高圧放電ランプの周方向に回転依存性がなく、組み立てが容易である。
また、本発明の第4態様は第2態様において、前記誘電体層の厚みを、前記発光部に近いほど薄く構成してもよい。
紫外線を吸収するような材料で粉体が構成されていると、コロナ放電によって生じた紫外線は誘電体層の透過中に大幅に減衰することになる。上記本発明の第4態様の構成によれば、発光部側で膜厚が薄くなるよう誘電体層が形成されていることで、誘電体層を透過して発光部方向へ向かう紫外線の減衰量が抑えられ、紫外線が放電電極に良好に照射される。
また、本発明の第5態様は第2態様において、前記誘電体層は、前記第一封止部の表面よりも表面粗さが粗いよう構成してもよい。
上記本発明の第5態様の構成によれば、誘電体層の表面に金属線の一端部は引掛りやすく、第一封止部の表面に金属線の一端を配する場合に比して、始動補助部材付高圧放電ランプの構造が安定する。
また、本発明の第6態様は第2態様において、前記誘電体層は、表面に略周期的模様を有するよう構成してもよい。
上記本発明の第6態様の構成によれば、誘電体層の表面に金属線の一端部が引掛りやすくなり、始動補助部材付高圧放電ランプの構造が安定する。
また、本発明の第7態様は第2態様において、前記誘電体層は、少なくとも前記粉体とガラスフリットと有機バインダーと有機溶剤とを混練したペーストを、前記第一封止部の表面に塗布して焼成することにより形成されるよう構成してもよい。
上記本発明の第7態様の構成によれば、第一封止部の表面にガラス部材が融着した誘電体層を形成することができる。
また、本発明の第8態様は第1態様において、前記誘電体層は、前記第一封止部の表面に付着する、前記第一封止部よりも高い比誘電率を有する材料の粉体からなるよう構成してもよい。
上記本発明の第8態様の構成によれば、粉体自体が第一封止部の表面に付着しているため、固着剤によって固定する必要がなく、始動補助部材付高圧放電ランプの耐久性を向上させることができる。
また、本発明の第9態様は第8態様において、前記粉体は、平均粒径が5μm〜10μmであるよう構成してもよい。
上記本発明の第9態様の構成によれば、粉体を分子間力により第一封止部の表面に吸着させることができ、固着剤による固定の必要がない。
また、本発明の第10態様は第8態様において、前記誘電体層は、少なくとも前記粉体と有機溶剤とを混合したスラリーを、前記第一封止部の表面に塗布して乾燥させることにより形成されるよう構成してもよい。
上記本発明の第10態様の構成によれば、第一封止部の表面に粉体が付着した誘電体層を形成することができる。
また、本発明の第11態様は第2態様および第8態様の何れかにおいて、前記第一封止部が石英ガラスで構成されており、前記粉体がチタン化合物を含んで構成されていてもよい。
また、本発明の第12態様は第11態様において、前記チタン化合物は、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムの内の1種以上であるよう構成してもよい。
上記本発明の第11態様および第12態様の構成によれば、電圧印加時に誘電体層に豊富な電荷を蓄積させることができ、低い印加電圧でコロナ放電およびこれによる紫外線を発生させることができる。
また、本発明の第13態様は第1態様において、前記誘電体層は、前記第一封止部よりも高い比誘電率を有する材料が、前記金属線の一端部に堆積した薄膜からなるよう構成してもよい。
上記本発明の第13態様の構成によれば、金属線の一端部を基材として、その表面に誘電体材料が堆積した薄膜として誘電体層が形成されるため、誘電体層を固着剤によって固定する必要がなく、始動補助部材付高圧放電ランプの耐久性を向上させることができる。
さらに、誘電体層が金属線の一端部に形成されていることで、一端部を第一封止部の表面に配設する位置は高圧放電ランプの周方向に回転依存性がない。そのため、金属線を高圧放電ランプに取り付ける工程の作業が容易である。
また、本発明の第14態様は第13態様において、前記薄膜は、前記金属線の一端部に物理気相堆積を用いて形成されるよう構成してもよい。
上記本発明の第14態様の構成によれば、金属線の一端に誘電体材料を堆積させて誘電体層を形成することができる。
また、本発明の第15態様は第13態様において、前記第一封止部が石英ガラスで構成されており、前記薄膜がソーダガラス、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、五酸化タンタルの内の1種以上を含んで構成されるよう構成してもよい。
上記本発明の第15態様の構成によれば、電圧印加時に誘電体層に豊富な電荷を蓄積させることができ、低い印加電圧でコロナ放電およびこれによる紫外線を発生させることができる。
本発明の第16態様である始動補助部材付高圧放電ランプの製造方法は、発光部に第一封止部および第二封止部が連設された高圧放電ランプに、始動補助部材である金属線が設けられた始動補助部材付高圧放電ランプの製造方法であって、前記第一封止部よりも高い比誘電率を有する粉体を含む誘電体層を、前記第一封止部の表面の一部に密着した薄膜状に形成するステップと、前記金属線の一端部を、第二封止部に封止されている放電電極に電気的に接続させ、前記金属線の他端部を、前記第一封止部の表面に形成された前記誘電体層に近接配置させるステップとを含む。
上記本発明の第16態様の製造方法によれば、薄膜状の誘電体層を第一封止部の表面に密着して形成するため、第一封止部に対して別途固着剤で誘電体層を固定する必要がない。そのため、第16態様の製法により製造した始動補助部材付高圧放電ランプでは、高温に曝される部位で固着剤が経時劣化することによる不具合が生じない。従って、高い耐久性を有する始動補助部材付高圧放電ランプを製造することができる。
本発明の第17態様である始動補助部材付高圧放電ランプの製造方法は、発光部に第一封止部および第二封止部が連設された高圧放電ランプに、始動補助部材である金属線が設けられた始動補助部材付高圧放電ランプの製造方法であって、前記第一封止部よりも高い比誘電率を有する材料を金属線の一端部の表面に堆積させ、前記一端部の表面に密着した薄膜状の誘電体層を形成するステップと、金属線の他端部を、第二封止部に封止されている放電電極に電気的に接続させ、金属線の前記一端部を、前記第一封止部の表面に近接配置させるステップとを含む。
上記本発明の第17態様の製造方法によれば、薄膜状の誘電体層を金属線の一端部表面に密着して形成するため、金属線に対して別途固着剤で誘電体層を固定する必要がない。そのため、第17態様の製法により製造した始動補助部材付高圧放電ランプでは、高温に曝される部位で固着剤が経時劣化することによる不具合が生じない。従って、高い耐久性を有する始動補助部材付高圧放電ランプを製造することができる。
以下、本実施の形態に係る始動補助部材付高圧放電ランプについて、図面を参照しながら説明する。
なお、各図面における部材の縮尺は実際のものとは異なる。また、本発明において、数値範囲を示す符号「〜」は、その両端の数値を含むものとする。
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係る始動補助部材付高圧放電ランプを用いたランプユニット1の構成を示す一部断面図である。当図では説明のため、反射鏡40及びコネクタ110の一部のみ断面を図示する。
図1に示されるように、ランプユニット1は大別すると高圧放電ランプ10、誘電体部層20、金属線21、反射鏡40、一対のリード線120A、120B及びコネクタ110を備える。
(高圧放電ランプ10の構成について)
図2は、高圧放電ランプ10の構成を示す正面図である。当図では説明のため、高圧放電ランプ10の内部も実線にて図示する。
高圧放電ランプ10は、例えば石英ガラスからなる放電容器(外囲器)108と、電極組立体107A、107Bとを有する。
放電容器108は、発光部100と、当該発光部100の両側から延設されて一対をなす細管からなる第一封止部101Aおよび第二封止部101Bとを一体的に形成してなる。
発光部100は、内部に放電空間105を有し、当該放電空間105には、例えば、発光物質としての水銀、始動時の放電ガスとしての希ガス、及び、ハロゲン物質が封入されている。
第一封止部101Aおよび第二封止部101Bは、例えば略円柱状であり、第二封止部101Bが反射鏡40(図1参照)と固着される。
電極組立体107A、107Bは、金属箔103A、103Bの長手方向各一端側から放電電極104A、104Bを延設し、同方向各他端側から外部リード線102A、102Bを延設してなる。金属箔103A、103Bは、それぞれ放電電極104A、104Bおよび外部リード線102A、102Bと略一直線上に並べて配設され溶接等で接合されている。
電極組立体107A、107Bは、金属箔103A、103Bが封止部101A、101Bの長手方向中央付近に位置するように、封止されている。
外部リード線102A、102Bは、金属箔103A、103B側が封止部101A、101B内に埋め込まれ、金属箔103A、103Bとは反対側が封止部101A、101Bから外部に突出する。
放電電極104A、104Bは、互いの先端部において放電容器108の放電空間105内で対向する。
(始動補助部材について)
図2に示すように、始動補助部材は、誘電体層20と、金属線21とからなる。
誘電体層20は、第一封止部101Aの表面において、金属線21の端部21aが近接する部位に密着するよう形成されている。誘電体層20の表面は、第一封止部101Aの表面と比較して表面粗さが粗く形成されている。
誘電体層20の形状は、図3(a)の斜視図に示すように、第一封止部101Aの外表面において、その一部を全周にわたってリング状に覆う形状である。
誘電体層20の内部構造は、図4(a)の模式断面図に示すように、第一封止部101Aを基材として、その外表面にガラス部材201が融着している。このガラス部材201の内部には、高圧放電ランプ10の外囲器108の構成材料(石英ガラス)よりも高い比誘電率を有する誘電体材料からなる粉体200が混在する。このような構造により、誘電体層20全体としても、外囲器108の構成材料より高い比誘電率を有する。
図2に戻って、金属線21について説明する。金属線21は、高圧放電ランプ10の外周面に沿って配されている。金属線21の一端部(端部21b)は、第二封止部101Bから突出した外部リード線102Bに対し、電気的に接続されている。金属線21の中央から他端部までが第一封止部101Aまで引き回され、当該第一封止部101Aの外表面に数度巻回されている。第一封止部101Aに巻回させることで金属線21は構造上安定する。また、巻回された金属線21によって発光部100周辺に強電界の発生を促すことで放電開始電圧の低減を期待できる。金属線21の他端部(端部21a)は、誘電体層20の表面に対し、その先端が例えば点接触するように配設されている。なお、本明細書において「点接触」とは数学的定義に限定されず、金属線21と誘電体層20の互いの接触面積を小さく抑えた接触を指す。具体的には、誘電体層20の表面に端部21aの端面を接触させるのではなく、図5(a)に示すように、接触面積が小さくなるように、端部21aの端が誘電体層20に対して斜めに突き立てられている。これにより、電圧印加時の電界集中が大きくなり、コロナ放電が良好に生じ易い。この点接触以外に、端部21aと誘電体部材20の表面とは、始動補助部材を有していない高圧放電ランプを放電開始させるための印加電圧よりも低い印加電圧によってコロナ放電を起こす程度に、近接または接触して配設されていればよい。
上記配設では、端部21aを弾性付勢により、その先端を誘電体層20の表面に突き立てるように接触させることで、より大きな効果が得られる。具体的には、金属線21の端部21aを第一封止部101Aに巻回した後に、第一封止部101Aの外表面から離れる方向に折り曲げる。その後、第一封止部101Aの外表面から離れた部分を、第一封止部101Aの外表面へ向けて再度折り曲げることで、端部21aを誘電体層20の表面に弾性的に付勢して接触させることができる。
(その他のランプユニット1の構成要素)
図1に戻って、反射鏡40は、発光部100からの出射光のうち、特定波長の光を選択的に前面に反射する凹状の反射面41が形成された椀部42と、当該椀部42の後方に延設された筒部43とを有する。高圧放電ランプ10の第二封止部101Bおよび金属線21は、椀部42の反射面41側から筒部43内へと挿入され、反射面41の焦点と高圧放電ランプ10の一対の放電電極104A、104B間の中央位置とが略一致させられた状態で、第二封止部101Bと前記筒部43との隙間に固着剤44としてのセメント(例えばスミセラムS−10A、朝日化学工業株式会社製)が充填されて固着されている。なお、固着剤44としてはセメントに限定されず、ランプ用の耐熱性固着剤として入手可能な市販品を使用しても良い。
各リード線120A、120Bは、被覆導線126A、126B、ニッケル線122A、122B、及び、それらを接続する接続部材124A、124Bからなる。各リード線120A、120Bのニッケル線122A、122B側の先端部は、高圧放電ランプ10の外部リード線102A、102Bと、スリーブ121A、121Bを介して接続されており、被覆導線126A、126B側の先端部には、内部空間112に接続端子127A、127B(127Aは不図示)を内包する樹脂製の外部接続用コネクタ110が取り付けられている。
被覆導線126A、126Bは、導電性を有する芯材123A、123Bを絶縁性の被覆材125A、125Bで被覆したものである。芯材123A、123Bとニッケル線122A、122Bとが接続部材124A、124Bによって接続されている。
以上が、実施の形態1に係る始動補助部材付高圧放電ランプを用いたランプユニット1の構成である。
(誘電体層20の形成方法)
続いて、誘電体層20の形成方法について説明する。
平均粒径(d50)が5〜10[μm]の誘電体材料の粉体200、軟化点が800℃程度のガラスフリット、バインダとしてのニトロセルロース、及びターピネオール等の有機溶剤を混練することで、誘電体ペーストを生成して、この誘電体ペーストを第一封止部101Aの外表面に塗布して、焼成することで、誘電体層20を形成することができる。なお、本明細書において粉体の粒径には、レーザー回折法により計測した値を用いる。なお、誘電体材料からなる粉体の平均粒径が1[μm]未満では形成した誘電体層の実効的な誘電率が低くなり、粉体の平均粒径が20[μm]超では誘電体層の厚膜形成がしにくい。したがって、粉体200の平均粒径は1〜20[μm]の範囲であればよく、前記5〜10[μm]は好ましい範囲である。
ここで、粉体200の含有率の上限は、焼成時にガラス部材201の強度不足により破損しない範囲で選定することが必要となる。粉体200の含有率の下限は、焼成後の誘電体層20全体としての比誘電率が、石英ガラスの比誘電率を超える程度であればよい。
誘電体ペーストの塗布には、例えば、スクリーン印刷を利用することができる。図6(a)は、誘電体ペーストの塗布に用いる印刷製版300を示す。印刷製版300は、金属枠301にポリエステルメッシュ302が張られ、ポリエステルメッシュ302の上に、矩形状の開口部を有するマスク303が被せられている。
図6(b)〜(c)は、スクリーン印刷装置による誘電体ペーストの印刷を示す模式図である。本図では、第一封止部101Aの印刷部位を、軸方向に直交する断面で図示している。図6(b)において、印刷製版300を、マスク303の開口部長手方向である矢印Aの向きに水平移動させつつ、スキージ310でポリエステルメッシュ302を第一封止部101Aの外表面に押し付けるように摺ることで、開口部から誘電体ペーストを吐出させて第一封止部101Aの外表面に転写する。この印刷製版300の水平移動に合わせて、第一封止部101Aをローラ320により矢印Bの向きに回転させることで、図6(c)に示すように、第一封止部101Aの印刷部位において全周にわたって誘電体ペーストが印刷される。
こうして誘電体ペーストを塗布した高圧放電ランプ10を、中性雰囲気中で900℃程度で焼き付けることで、誘電体ペースト中のバインダおよび溶剤成分は蒸発し、ガラスフリットは軟化して一体となって第一封止部101Aの外表面に融着し、内部に粉体200を混在させたガラス部材201となる。
以上のような工程で、第一封止部101Aの外表面に密着した誘電体層20が形成される。
(実施例)
(1)誘電体層20
誘電体層20の表面粗さは、表面に金属線21の端部21aを接触させたときに係止効果を奏するように、Ra値が5[μm]以上であることが好ましい。上述したスクリーン印刷を利用した形成方法で形成した場合には、おおよそRa値が5[μm]程度の表面粗さで誘電体層20を形成することができる。
誘電体層20の膜厚は、粉体200を構成する誘電体材料との組合せで放電開始電圧を低減させる効果が得られるものであればよい。例えば、スクリーン印刷を利用した形成方法では、10〜20[μm]程度の膜厚で形成しやすく、同じ箇所にスクリーン印刷を複数回重ねることによってより厚い膜を形成することができる。 その他の形成方法についても、形成方法に応じて製造しやすい膜厚があり、膜厚を厚くする手段もあることはいうまでもない。
粉体200を構成する材料は、石英ガラス(高純度SiO2)の比誘電率が3.5〜4.0程度であるため、これらの上限値よりも比誘電率が高い材料であればよい。即ち、比誘電率が5以上であれば始動電圧を低減させる効果を有し、好ましくは比誘電率20以上、より好ましくは比誘電率が100以上の物質を選定することにより放電開始電圧を低減させる効果が顕著になる。具体的には、チタン酸バリウム(BaTiO3、比誘電率2900;理化学辞典第4版 岩波書店、1987年、p.785)やチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、二酸化チタン(TiO2)等のチタン化合物(チタン酸化物等)の中から選んだ1種以上を用いるのが好適である。特にチタン酸バリウムやチタン酸ストロンチウムの比誘電率は石英ガラスに比べて非常に高いため望ましい。
ガラス部材201の材料についても、石英ガラスよりも比誘電率が高い材料であることが好ましい。例えば、ソーダガラス(比誘電率7.5;理科年表平成23年 丸善、p.417)を用いることができる。
(2)金属線21の材料
金属線21は、例えば鉄―クロム(Fe−Cr)系合金材、ニッケル−クロム(Ni−Cr)系合金、またはモリブデン材で構成される。
(3)放電空間に封入される水銀、始動時の放電ガスとしての希ガス、及び、ハロゲン物質
プロジェクタ用の高圧水銀ランプの場合、水銀は、放電容器の内容積あたり0.15[mg/mm3]〜0.40[mg/mm3]封入されており、一例として0.30[mg/mm3]である。
希ガスとしては、例えば、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)のいずれか又はそれらの少なくとも2種の混合ガス等が、ランプ消灯時かつ常温放置下での封入圧力として0.01[MPa]以上1[MPa]以下の範囲内で封入される。一例としてアルゴンが0.03[MPa](25[℃])である。
ハロゲン物質としては、例えば、ヨウ素(I)、臭素(Br)、塩素(Cl)のいずれか又はそれらの少なくとも2種の混合物質などが、発光管の単位内容積あたり1×10−6[μmol/mm3]以上1×10−2[μmol/mm3]以下の範囲内で封入されており、一例として臭素が5×10−4[μmol/mm3]である。
(4)電極組立体
外部リード線102A、102Bは、例えばモリブデン材やタングステン材で構成される。外部リード線102A、102Bの直径は、封止部101A、101Bの気密性を高めるために、0.5[mm]以下であることが好ましい。一例として、約0.4[mm]である。
金属箔103A、103Bは、例えば、モリブデン(Mo)材で構成される。
放電電極104A、104Bは、例えばタングステン(W)材で構成される。放電電極104A、104Bの先端部間の距離である電極間距離(放電ギャップ)は、任意に設定できる。ショートアーク形の場合、例えば0.5[mm]〜2.0[mm]の範囲に設定することができる。
(効果)
本実施の形態1の構成によれば、誘電体層20は、第一封止部101Aを基材として、その表面にガラス部材201が融着するよう形成されるため、第一封止部101Aに対して固着剤で固定する必要がない。そのため、固着剤の経時劣化による不具合が生じ得ず、始動補助部材付高圧放電ランプは高い耐久性を得ることができる。
また、筒状の誘電体部材を封止部に外嵌し固着剤を用いて固定した従来の始動補助部材付高圧放電ランプでは、その組み立てにおいて、誘電体部材を外嵌する工程や、固着剤を塗布する工程が必要であったが、本実施の形態1の構成によれば、誘電体層20が第一封止部101Aの表面に形成されているため、これらの工程が必要なく、生産性に優れている。
また、誘電体層20が、第一封止部101Aの周方向に連続してリング状に覆うように形成されているため、金属線21を高圧放電ランプ10に取り付ける工程において、端部21aを第一封止部の表面に配設する位置は高圧放電ランプ10の周方向に回転依存性がなく、端部21aを誘電体層20に接触するよう配設する作業が容易である。なお、上述のスクリーン印刷を利用した誘電体層20の形成方法では、第一封止部101Aの周方向の一部で誘電体ペーストが転写できず、周方向の一部でスリット状に隙間の開いた誘電体層20が形成される場合もある。しかし、そのような場合であっても、誘電体層20が第一封止部101Aの略全周にわたって形成されていれば、金属線21の取り付け工程における高圧放電ランプ10の回転依存性は、実質的に問題にならない。よって、誘電体層20が第一封止部101Aの全周を完全に覆ってる場合と比較しても、同程度に作業が容易である。
なお、金属線21の端部21aは、経時変化により端部21b側、即ち、図5(a)では左方向へその先端が移動する傾向がある。本実施の形態1の構成によれば、誘電体層20の表面は、溶融した石英ガラスを固化させた第一封止部101Aの外表面に比して粗いため、端部21aの端が引掛りやすい。そのため、本実施の形態1の構成では、第一封止部の表面に金属線の一端を配する場合に比して、始動補助部材付高圧放電ランプの構造が安定する。
(変形例について)
(1)誘電体層の形状
誘電体層20の形状は、第一封止部101Aの表面において、金属線21の端部21aが近接配置される部位に形成されていればよく、必ずしも、図3(a)のように、第一封止部101Aを周方向に連続してリング状に覆うように形成されている必要はない。例えば、図3(b)に示すように、第一封止部101Aの表面において、周方向の半周程度を覆うように誘電体層20を形成してもよいし、あるいは、図3(c)に示すように、端部21aを配設する部位の近傍にのみパッチ状に誘電体層20を形成してもよい。
また、誘電体層20は、必ずしも連続薄膜である必要はなく、第一封止部101Aの表面において、網目状構造や島状構造をなす不連続薄膜として形成されてもよい。あるいは、ジグザグ模様や魚鱗状模様など略周期的な模様をなすように形成してもよい。このような不連続薄膜は、例えば、スクリーン印刷により誘電体ペーストを塗布する際に、所望の模様の開口部を持つマスクを用いることで形成することが出来る。さらに、スクリーン印刷を複数回繰り返すことで誘電体ペーストを塗り重ね、最後に略周期的な模様の開口部を持つマスクを用いてスクリーン印刷を行うことで、誘電体層表面に略周期的なパターンを形成してもよい。表面に略周期的模様を形成した誘電体層は、金属線21の端部21aの端が引掛りやすいため、始動補助部材付高圧放電ランプの構造が安定する。
(2)誘電体層20の膜厚分布
誘電体層20の膜厚分布は全体が均一である必要はなく、例えば、誘電体層20は、発光部100から遠い部位よりも、発光部100に近い部位の膜厚を薄く形成してもよい。
このような構造の誘電体層20は、第一封止部101Aに誘電体ペーストを塗布した後に、第二封止部101B側を上、第一封止部101A側を下にして高圧放電ランプ10を立てて乾燥させることで、形成することができる
チタン化合物は紫外線を吸収するため、このような材料で粉体200が構成されていると、コロナ放電によって生じた紫外線は誘電体層20の透過中に大幅に減衰することになる。しかし、発光部100側の膜厚が薄くなるよう誘電体層20を形成することで、誘電体層20を透過して発光部100方向へ向かう紫外線の減衰量が抑えられ、紫外線が放電電極に良好に照射される。
(3)誘電体ペーストの塗布
誘電体ペーストの塗布方法は、誘電体ペーストをスクリーン印刷で第一封止部101Aに塗布する方法に限定されない。例えば、インクジェット印刷により誘電体ペーストを第一封止部101Aに吹き付けて塗布してもよいし、刷毛等を用いて塗布してもよい。あるいは、印刷用途よりも高い粘度になるように溶剤成分を減らして誘電体ペーストを生成し、この粘度の高い誘電体ペーストをシート状に成形して、第一封止部101Aに貼り付けてもよい。
(4)誘電体膜の焼成
上述した誘電体層20の形成工程では、第一封止部101Aに塗布した誘電体ペーストを900℃程度で焼き付けるとした。
しかし、高圧放電ランプの点灯時に発光部の表面温度は一般に800℃を超える。そこで、誘電体ペーストの材料に軟化点800℃程度のガラスフリットを用いる場合には、誘電体ペーストを塗布後に焼成することなく始動補助部材付高圧放電ランプを組み立て、組立後のエイジングプロセスをもって、誘電体層の焼成工程に代えることもできる。
(5)端部21aと誘電体層20との接触
図5(b)に示すように、端部21aの先端が、端部内よりの部位から端に向かって断面積が縮小するように、先鋭に加工された金属線を用いてもよい。誘電体層20と金属線21との接点は面積が小さいほど、電圧印加時の電界が集中し、コロナ放電およびこれによる紫外線が生じ易い。従って、図5(b)のように、金属線の先端を先鋭なものとすることで、図5(a)に示すものよりも低い印加電圧でコロナ放電を発生させることができる。
なお、実際には、端部21aの先端や、誘電体層20の表面には微細な凹凸がある。そのため、図5(c)に示すように、金属線の端部21aの端を誘電体層20の表面に略直角に突き立てるようにして接触させる構成であっても、接触面積は端部21a端面と等しい面積ではなく、微細構造においてより小さな面積となる。従って、誘電体層20と金属線21との接触形態として、図5(c)に示す構成をとる場合にも、金属線の端部21aと誘電体層20との間に、コロナ放電を生じさせることができる。
なお、実施の形態1においては、誘電体層と金属線の端部とが接触している例を示したが、図5(d)に示すように、始動補助部材を有していない高圧放電ランプを放電開始させるための印加電圧よりも低い印加電圧によってコロナ放電を起こす程度に近接している場合にも、始動電圧を低減することができる。
「始動補助部材を有していない高圧放電ランプを放電開始させるための印加電圧よりも低い印加電圧によってコロナ放電を起こす程度に近接」とは、具体的には、誘電体層と金属線の一端部との最短距離が2[mm]以内であることが好ましい。この場合には、誘電体と金属線とが接触していなかったとしても、放電開始電圧の低減効果をより確実に得ることができる。但し、端部21aと誘電体層20Aの表面との距離が近いほど、低い印加電圧でコロナ放電が発生しやすい。
(6)誘電体層の構造
誘電体層は、粉体200がガラス部材201の内部に混在した構成に限定されず、 図4(b)に示す誘電体層20Aのように、ガラス部材201を有しておらず、粉体200が分子間力により第一封止部101Aの表面に直接吸着した構造であってもよい。
このような構造の誘電体層20Aは、d50=5〜10[μm]の粉体200をターピネオール等の有機溶剤に混合したスラリーを、第一封止部101Aに塗布した後に乾燥させることで、形成することができる
なお、誘電体層20Aの構造では、端部21aの接触により粉体200が第一封止部101Aから脱落する虞がある。そこで、本変形例では、図5(d)のように、端部21aと誘電体層20Aとは間隔dをあけて、近接して配されることが好ましい。dの距離は、始動補助部材を有していない高圧放電ランプを放電開始させるための印加電圧よりも低い印加電圧によってコロナ放電を起こす程度の距離であればよい。
<実施の形態2>
以下、実施の形態1とは異なる部位に誘電体層が形成されている実施の形態2について、実施の形態1との差異を中心に説明する。
図7(a)は、実施の形態2に係る誘電体層20Bの構成を示す斜視図であり、(b)は実施の形態2に係る誘電体層20Bの断面図である。
本実施の形態2では、金属線21の端部21aの端を基材として、薄膜状の誘電体層20Bが形成されている。
一方、本実施の形態2において第一封止部101Aの表面には、誘電体層が形成されておらず、図8(a)のように、端部21aに形成された誘電体層20Bが、第一封止部101Aの表面に点接触するように金属線21が配設されている。
この誘電体層20Bにおいても、外囲器108の構成材料である石英ガラスよりも高い比誘電率を有する材料で構成することで、外表面に帯電による電荷を豊富に蓄積することができ、始動補助部材を有していない高圧放電ランプを放電開始させるための印加電圧よりも低い印加電圧によって、第一封止部101Aの表面と誘電体層20Bとの間でコロナ放電を発生させることができる。
誘電体層20Bを構成する材料は、具体的には、比誘電率5以上、好ましくは30以上の材料、例えば、ソーダガラス(比誘電率7.5)、チタン酸バリウム(BaTiO3、比誘電率2900)やチタン酸ストロンチウム(SrTiO3、薄膜での比誘電率140;豊田中央研究所R&Dレビュー Vol.32 No.3、1997年9月、p.61)、二酸化チタン(TiO2)、酸化チタン(TiO、比誘電率85.8;理化学辞典第4版 岩波書店、1987年)、五酸化タンタル(Ta2O5、比誘電率20〜25;豊田中央研究所R&Dレビュー Vol.30 No.4、1995年12月、p.13)の中から選んだ1種以上を用いるのが好適である。
このような材料を、蒸着またはスパッタリング等の物理気相堆積により端部21aに堆積させることで、金属線21を酸化させることなく誘電体層20Bを形成することができる。
(効果)
本実施の形態1の構成によれば、誘電体層20Bは、金属線21の端部21aを基材として、その表面に薄膜状に形成されるため、端部21aに対して固着剤で固定する必要がない。そのため、固着剤の経時劣化による不具合が生じ得ず、始動補助部材付高圧放電ランプは高い耐久性を得ることができる。
また、コロナ放電は金属線21の端部21aと第一封止部101Aとの間で生じるが、誘電体層20Bが端部21a側に形成されているため、コロナ放電によって発生し発光部100方向に照射される紫外線が、誘電体層20Bによって遮蔽されることがない。従って、紫外線が放電電極に良好に照射される。
また、筒状の誘電体部材を封止部に外嵌し固着剤を用いて固定した従来の始動補助部材付高圧放電ランプでは、その組み立てにおいて、誘電体部材を外嵌する工程や、固着剤を塗布する工程が必要であったが、本実施の形態2の構成によれば、誘電体層20Bが金属線21の端部21aに形成されているため、これらの工程が必要なく、生産性に優れている。
さらに、誘電体層20Bが金属線21の端部21aに形成されているので、金属線21を高圧放電ランプ10に取り付ける工程において端部21aを第一封止部の表面に配設する位置は、高圧放電ランプ10の周方向に回転依存性がなく、端部21aを第一封止部101Aの表面に配設する作業が容易である。
(変形例について)
(1)誘電体層20Bの形状
図7(c)は実施の形態2の変形例に係る誘電体層20Bの構成を示す斜視図であり、(d)は実施の形態2の変形例に係る誘電体層20Bの断面図である。誘電体層20Bを成膜する際には、図7(c)および(d)に示すように、端部21aの端面の一部の縁を覆うように誘電体材料を堆積させることで、薄膜を形成してもよい。これは、誘電体層20Bは、少なくとも、端部21aを第一封止部101Aに対して斜めに突き立てる場合(図8(a)参照)に、第一封止部101Aと接触する部位に形成されていればよいためである。このような誘電体層20Bは、物理気相堆積のステップカバレッジに影響されることなく、容易に成膜することができる。
(2)端部21a、第一封止部101Aの両方に誘電体層を有する変形例
実施の形態2では、第一封止部101Aの表面には、誘電体層が形成されていない場合について説明したが、誘電体層は、金属線21の端部21aと、第一封止部101Aの表面との両方に形成されていてもよい。
端部21aに形成された誘電体層20Bに加えて、実施の形態1で説明した誘電体層20が第一封止部101Aの表面に形成された構成では、図8(b)のように、端部21aに形成された誘電体層20Bが、第一封止部101Aの表面に形成された誘電体層20に点接触するように、金属線21を配設する。
このような構成では、交流電圧の印加時に両方の誘電体層に帯電により豊富な電荷が蓄積するため、低い印加電圧でコロナ放電を発生させることができる。
(3)誘電体層20Bと第一封止部101Aとの接触
実施の形態2において、誘電体層と第一封止部101Aとが接触している例を示したが、始動補助部材を有していない高圧放電ランプを放電開始させるための印加電圧よりも低い印加電圧によってコロナ放電を起こす程度に近接している場合にも、始動電圧を低減することができる。
(4)誘電体層20Bの形成方法
誘電体層20Bの形成方法は、物理気相堆積を利用した方法に限定されず、他の成膜方法により形成することもできる。例えば、溶融した誘電体材料に金属線21の端部21aを浸して、付着した誘電体材料を固化させることで、誘電体層20Bを成膜することもできる。
<実施の形態3>
図9は、実施の形態3に係るランプユニット1Aの構成を示す、一部断面図(副反射鏡45、反射鏡40のみ断面を図示)である。
当図に示す構成は、第一封止部101Aに副反射鏡45が取り付けられており、さらに、誘電体層20は、第二封止部101Bを基材として、その表面に密着するように形成されており、外部リード線102Aに端部22bが接続された金属線22が、その端部22aにおいて誘電体層20と点接触している。
このような構成を持つ、実施の形態10に係るランプユニット1Aにおいても、実施の形態1と同様の効果を期待できる。
<ランプシステムの実施の形態>
図10は、実施の形態1のランプユニット1と点灯回路からなるランプシステムを備えた画像表示装置500を示す一部破断斜視図であって、内部の様子がわかるように筐体の天板を取り除いている。当図に示す画像表示装置500は、前方に設置したスクリーン(不図示)に向けて画像を投影する投射型の液晶フロントプロジェクタである。当該画像表示装置500は、筐体501内に、光源としてのランプユニット1、3枚の液晶パネル(不図示)等を有する光学ユニット502、前記液晶パネル等を駆動制御する制御ユニット503、投射レンズ504、冷却ファンユニット505、及び、商用電源から供給される電力を前記制御ユニット503や前記ランプユニット1の点灯回路(不図示)に供給する電源ユニット506等が収納された構成を有する。
当該画像表示装置500は、第一封止部101Aの表面に誘電体層20が形成されたランプユニット1を備えているため、従来の画像表示装置に比べて耐久性の向上を図ることができる。
なお、当該画像表示装置500に適用するランプユニットは、当然ながらその他の実施の形態のランプユニットであってもよい。
1、1A ランプユニット
10 高圧放電ランプ
20、20A〜20B 誘電体層
21、22 金属線
21a、21b、22a、22b 端部
40 反射鏡
41 反射面
45 副反射鏡
100 発光部
101A 第一封止部
101B 第二封止部
102A、102B 外部リード線
103A、103B 金属箔
104A、104B 放電電極
105 放電空間
107A、107B 電極組立体
108 放電容器(外囲器)
112 内部空間
126A〜126C 被覆導線
200 粉体
201 ガラス部材
500 ランプシステム(投射型フロントプロジェクタ)

Claims (16)

  1. 発光部に第一封止部および第二封止部が連設された高圧放電ランプに、始動補助部材が設けられた始動補助部材付高圧放電ランプであって、
    前記始動補助部材は、
    一端部が、前記第一封止部の表面に近接配置され、他端部が、第二封止部に封止されている放電電極に電気的に接続された金属線と、
    金属線の前記一端部の表面と、前記第一封止部の表面において前記金属線の一端部が近接配置されている部位との少なくとも一方に密着して薄膜状に形成された、前記第一封止部よりも高い比誘電率を有する誘電体層と
    を有し、
    前記誘電体層は、前記第一封止部の表面よりも表面粗さが粗い
    ことを特徴とする始動補助部材付高圧放電ランプ。
  2. 前記第一封止部がガラス材料からなり、
    前記誘電体層は、前記第一封止部の表面に一部が融着しているガラス部材と、当該ガラス部材の残部内に混在する、前記第一封止部よりも高い比誘電率を有する材料の粉体とを含む
    ことを特徴とする、請求項1に記載の始動補助部材付高圧放電ランプ。
  3. 前記第一封止部は柱状をなし、
    前記誘電体層は、前記第一封止部の周方向に連続するリング状に形成されている
    ことを特徴とする、請求項2に記載の始動補助部材付高圧放電ランプ。
  4. 前記誘電体層の厚みは、前記発光部に近いほど薄い
    ことを特徴とする、請求項2に記載の始動補助部材付高圧放電ランプ。
  5. 前記誘電体層は、表面に略周期的模様を有する
    ことを特徴とする、請求項2に記載の始動補助部材付高圧放電ランプ。
  6. 前記誘電体層は、少なくとも前記粉体とガラスフリットと有機バインダーと有機溶剤とを混練したペーストを、前記第一封止部の表面に塗布して焼成することにより形成されている
    ことを特徴とする、請求項2に記載の始動補助部材付高圧放電ランプ。
  7. 前記誘電体層は、前記第一封止部の表面に付着する、前記第一封止部よりも高い比誘電率を有する材料の粉体からなる
    ことを特徴とする、請求項1に記載の始動補助部材付高圧放電ランプ。
  8. 前記粉体は、平均粒径が5μm〜10μmである
    ことを特徴とする、請求項7に記載の始動補助部材付高圧放電ランプ。
  9. 前記誘電体層は、少なくとも前記粉体と有機溶剤とを混合したスラリーを、前記第一封止部の表面に塗布して乾燥させることにより形成されている
    ことを特徴とする、請求項7に記載の始動補助部材付高圧放電ランプ。
  10. 前記第一封止部が石英ガラスで構成されており、
    前記粉体がチタン化合物を含んで構成されている
    ことを特徴とする、請求項2及びの何れかに記載の始動補助部材付高圧放電ランプ。
  11. 前記チタン化合物は、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムの内の1種以上である
    ことを特徴とする、請求項10に記載の始動補助部材付高圧放電ランプ。
  12. 前記誘電体層は、前記第一封止部よりも高い比誘電率を有する材料が、前記金属線の一端部に堆積した薄膜からなる
    ことを特徴とする、請求項1に記載の始動補助部材付高圧放電ランプ。
  13. 前記薄膜は、前記金属線の一端部に物理気相堆積を用いて形成されている
    ことを特徴とする、請求項12に記載の始動補助部材付高圧放電ランプ。
  14. 前記第一封止部が石英ガラスで構成されており、
    前記薄膜がソーダガラス、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、五酸化タンタルの内の1種以上を含んで構成されている
    ことを特徴とする、請求項12に記載の始動補助部材付高圧放電ランプ。
  15. 発光部に第一封止部および第二封止部が連設された高圧放電ランプに、始動補助部材である金属線が設けられた始動補助部材付高圧放電ランプの製造方法であって、
    前記第一封止部よりも高い比誘電率を有する粉体を含み、前記第一封止部の表面よりも表面粗さが粗い誘電体層を、前記第一封止部の表面の一部に密着した薄膜状に形成するステップと、
    前記金属線の一端部を、第二封止部に封止されている放電電極に電気的に接続させ、前記金属線の他端部を、前記第一封止部の表面に形成された前記誘電体層に近接配置させるステップと
    を含むことを特徴とする始動補助部材付高圧放電ランプの製造方法。
  16. 発光部に第一封止部および第二封止部が連設された高圧放電ランプに、始動補助部材である金属線が設けられた始動補助部材付高圧放電ランプの製造方法であって、
    前記第一封止部よりも高い比誘電率を有する材料を金属線の一端部の表面に堆積させ、前記一端部の表面に密着した薄膜状の誘電体層を形成するステップと、
    金属線の他端部を、第二封止部に封止されている放電電極に電気的に接続させ、金属線の前記一端部を、前記第一封止部の表面に近接配置させるステップと
    を含むことを特徴とする始動補助部材付高圧放電ランプの製造方法。
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