JP5605361B2 - 変異型ギ酸脱水素酵素、これをコードする遺伝子及びnadhの製造方法 - Google Patents

変異型ギ酸脱水素酵素、これをコードする遺伝子及びnadhの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、野性型ギ酸脱水素酵素における特定の部位に置換型変異を有する変異型ギ酸脱水素酵素、当該変異型ギ酸脱水素酵素をコードする遺伝子及びNADHの製造方法に関する。
ギ酸脱水素酵素(EC.1.2.1.2)は、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)、ギ酸及び水の存在下で、NAD+を還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)に還元するとともにギ酸を二酸化炭素に酸化する。この酵素反応に基づいてギ酸脱水素酵素は、NAD+からNADHを再生する系に利用されている。従来、ギ酸脱水素酵素としては、例えば特開2003−180383号公報に記載されるようなカンジダ ボイジニイ(Candida boidinii)(ATCC32195)由来のギ酸脱水素酵素、特開2002−233395号公報に開示されるようなバチルス属細菌由来のNAD+依存性ギ酸脱水素酵素、特願平10−023896号公報に開示されるようなマイコバクテリウム・バッカエ(Mycobacterium vaccae)由来のギ酸脱水素酵素が知られていた。
また、BIOCHEMISTRY (Moscow), Vol. 69, No. 11, 2004, pp. 1252-1267.(Biokhimiya, Vol. 69, No. 11, 2004, pp. 1537-1554.の英訳)には、これら以外にも種々の微生物や植物由来のギ酸脱水素酵素が開示されている。しかしながら、本文献に記述されているように、ギ酸脱水素酵素は、様々な酵素のなかで、比活性はそれほど高くない。換言すると、ギ酸脱水素酵素によるNADHへの還元反応を利用したNADHの生産方法は、ギ酸脱水素酵素の比活性の低さに起因して生産性が悪いといえる。
ところで、ギ酸脱水素酵素に関しては、現在までに種々の研究結果が蓄積され、部位特異的変異導入による機能改変に関する報告がなされている(Biomolecular Engineering, 23, (2006) 98-110)。しかしながら、従来公知のギ酸脱水素酵素は、いずれも比活性や耐久性が低く、ギ酸脱水素酵素を利用したNADHの製造には不十分であると評価せざるを得ない。
上述した実情に鑑み、本発明者らは先に、従来の知見からは予測できないほどに高い比活性を示すギ酸脱水素酵素、当該ギ酸脱水素酵素を利用したNADHの製造方法に関する特許出願を行った(特願2008−100448号)。そして、本発明は、当該特許出願に係るギ酸脱水素酵素及び従来公知のギ酸脱水素酵素について有用な置換型変異を探索し、従来公知の変異型ギ酸脱水素酵素と比較して、より耐久性に優れた変異型ギ酸脱水素酵素、当該変異型ギ酸脱水素酵素をコードする遺伝子及び当該変異型ギ酸脱水素酵素を利用したNADHの製造方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため本発明者らが鋭意検討した結果、上記特許出願に係るギ酸脱水素酵素及び従来公知のギ酸脱水素酵素における特定の部位におけるアミノ酸置換変異が、ギ酸脱水素酵素の耐久性を大幅に向上させることを見いだし本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る変異型ギ酸脱水素酵素は、以下のA)〜C)のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含み耐久性が向上したものである。
A)配列番号2に示すアミノ酸配列からなるギ酸脱水素酵素における、99番目のバリン、153番目のバリン、155番目のヒスチジン及び298番目のアスパラギンに相当するアミノ酸残基が他のアミノ酸に置換したアミノ酸配列
B)配列番号2に示すアミノ酸配列からなるギ酸脱水素酵素における、73番目のグリシン、99番目のバリン、153番目のバリン及び155番目のヒスチジンに相当するアミノ酸残基が他のアミノ酸に置換したアミノ酸配列、及び
C)配列番号2に示すアミノ酸配列からなるギ酸脱水素酵素における、73番目のグリシン、99番目のバリン、153番目のバリン及び159番目のグルタミンに相当するアミノ酸残基が他のアミノ酸に置換したアミノ酸配列
また、本発明に係る変異型ギ酸脱水素酵素は、上記A)のアミノ酸配列に対して、31番目のイソロイシン、50番目のアルギニン、60番目のグルタミン酸、64番目のイソロイシン、73番目のグリシン、82番目のリシン、136番目のイソロイシン、159番目のグルタミン、239番目のメチオニン、286番目のアスパラギン酸、287番目のヒスチジン、293番目のグルタミン酸及び343番目のアスパラギンからなる群から選ばれる1〜3つのアミノ酸に相当するアミノ酸残基が他のアミノ酸に更に置換したアミノ酸配列を含むものであることが好ましい。
さらに、本発明に係る変異型ギ酸脱水素酵素は、上記B)のアミノ酸配列に対して、31番目のイソロイシン、50番目のアルギニン、60番目のグルタミン酸、64番目のイソロイシン、82番目のリシン、136番目のイソロイシン、159番目のグルタミン、239番目のメチオニン、286番目のアスパラギン酸、287番目のヒスチジン、293番目のグルタミン酸、298番目のアスパラギン及び343番目のアスパラギンからなる群から選ばれる1〜3つのアミノ酸に相当するアミノ酸残基が他のアミノ酸に更に置換したアミノ酸配列を含むものであることが好ましい。
さらにまた、本発明に係る変異型ギ酸脱水素酵素は、上記C)のアミノ酸配列に対して、31番目のイソロイシン、50番目のアルギニン、60番目のグルタミン酸、64番目のイソロイシン、82番目のリシン、136番目のイソロイシン、155番目のヒスチジン、239番目のメチオニン、286番目のアスパラギン酸、287番目のヒスチジン、293番目のグルタミン酸、298番目のアスパラギン及び343番目のアスパラギンからなる群から選ばれる1〜3つのアミノ酸に相当するアミノ酸残基が他のアミノ酸に更に置換したアミノ酸配列を含むものであることが好ましい。
ここで、置換変異後のアミノ酸は特に限定されないが、例えば、上記31番目のイソロイシンに相当するアミノ酸の置換後のアミノ酸がロイシンであり、上記50番目のアルギニンに相当するアミノ酸の置換後のアミノ酸がグリシンであり、上記60番目のグルタミン酸に相当するアミノ酸の置換後のアミノ酸がバリンであり、上記64番目のイソロイシンに相当するアミノ酸の置換後のアミノ酸がバリンであり、上記73番目のグリシンに相当するアミノ酸の置換後のアミノ酸がアラニンであり、上記82番目のリシンに相当するアミノ酸の置換後のアミノ酸がアルギニンであり、上記99番目のバリンに相当するアミノ酸の置換後のアミノ酸がイソロイシンであり、上記136番目のイソロイシンに相当するアミノ酸の置換後のアミノ酸がバリン、上記153番目のバリンに相当するアミノ酸の置換後のアミノ酸がイソロイシンであり、上記155番目のヒスチジンに相当するアミノ酸の置換後のアミノ酸がグルタミン又はリシンであり、上記159番目のグルタミンに相当するアミノ酸の置換後のアミノ酸がロイシン又はアスパラギンであり、上記239番目のメチオニンに相当するアミノ酸の置換後のアミノ酸がロイシンであり、上記286番目のアスパラギン酸に相当するアミノ酸の置換後のアミノ酸がフェニルアラニンであり、上記287番目のヒスチジンに相当するアミノ酸の置換後のアミノ酸がグルタミン又はプロリンであり、上記293番目のグルタミン酸に相当するアミノ酸の置換後のアミノ酸がアスパラギン酸であり、上記298番目のアスパラギンに相当するアミノ酸の置換後のアミノ酸がチロシンであり、上記343番目のアスパラギンに相当するアミノ酸の置換後のアミノ酸がアルギニンとすることができる。
また、本発明に係るNADHの製造方法は、ギ酸及びNAD+を含む反応系に上述した本発明に係る変異型ギ酸脱水素酵素を作用させるものである。
本発明に係る変異型ギ酸脱水素酵素は、新規な置換型変異を有するための変異前と比較して大幅に耐久性が向上するといった特徴を有している。本発明に係る変異型ギ酸脱水素酵素を利用することによって、非常に高価な物質として知られるNADHを優れた生産性で製造することができる。本発明に係る変異型ギ酸脱水素酵素を利用してNADHを製造することによって、NADHの工業的製造が可能となる。
Gibberella zeae由来のFDH、Pseudomonas sp.101由来のFDH、Mycobacterium vaccae N10.由来のFDH、Candida boidini由来のFDH、Candida methylica由来のFDH、Saccharomyces cerevisiae由来のFDH及びParacoccus sp.12-A由来のFDHについてマルチプルアラインメント解析した結果並びに本発明に係る新規変異及び公知変異を示す特性図である。 GzFDH/pET23b(+)の構築の工程を示す模式図である。 野生型のFDHとプラスミド名5B-2で示される5重変異型ギ酸脱水素酵素について、37℃、500時間経過後の残存活性を示す特性図である。 4重変異型ギ酸脱水素酵素について残存活性を加速試験によって評価した結果を示す特性図である。 実施例で作製した変異型ギ酸脱水素酵素について残存活性を加速試験によって評価した結果を示す特性図である。 実施例で作製した変異型ギ酸脱水素酵素について残存活性を加速試験によって評価した結果を示す特性図である。 実施例で作製した変異型ギ酸脱水素酵素について残存活性を加速試験によって評価した結果を示す特性図である。 実施例で作製した変異型ギ酸脱水素酵素について残存活性を加速試験によって評価した結果を示す特性図である。 実施例で作製した変異型ギ酸脱水素酵素について残存活性を加速試験によって評価した結果を示す特性図である。 実施例で作製した変異型ギ酸脱水素酵素について残存活性を加速試験によって評価した結果を示す特性図である。 実施例で作製した変異型ギ酸脱水素酵素について残存活性を加速試験によって評価した結果を示す特性図である。 実施例で作製した変異型ギ酸脱水素酵素について残存活性を加速試験によって評価した結果を示す特性図である。 実施例で作製した変異型ギ酸脱水素酵素について残存活性を加速試験によって評価した結果を示す特性図である。 実施例で作製した変異型ギ酸脱水素酵素について残存活性を加速試験によって評価した結果を示す特性図である。 実施例で作製した変異型ギ酸脱水素酵素について比活性を評価した結果を示す特性図である。 実施例で作製した変異型ギ酸脱水素酵素について比活性を評価した結果を示す特性図である。
以下、本発明を図面を参照して詳細に説明する。
ギ酸脱水素酵素
本発明に係る変異型ギ酸脱水素酵素は、ギ酸脱水素酵素における特定のアミノ酸残基を置換したアミノ酸配列を有する。ここで、ギ酸脱水素酵素としては、詳細を後述する置換対象アミノ酸残基を有し、ギ酸脱水素酵素活性を有するものであれば特に限定されない。すなわち、ギ酸脱水素酵素とは、酵素分類においてEC1.2.1.2に分類され、ギ酸イオンを二酸化炭素に酸化するとともに、NAD+イオンをNADHに還元する反応を触媒する活性を有する酵素である。
ギ酸脱水素酵素としては、植物由来の酵素であっても良いし、動物由来の酵素であっても良いし、微生物由来の酵素であっても良い。微生物由来のギ酸脱水素酵素としては、例えば、ギ酸脱水素酵素に関する総説(Biomolecular Engineering 23 (2006) 98-110)に開示されている種々のギ酸脱水素酵素を挙げることができる。より具体的に、近年のゲノム解析から明らかとなったStaphylococcus aureus由来のギ酸脱水素酵素(Baba, T.らLancet 359、1819-1827、2002)、Mycobacterium avium subsp. paratuberculosis str.k10 (LiらProc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 102、12344-12349、2005)、Bordetella由来のギ酸脱水素酵素(ParkhillらNat. Genet. 35, 32-40.、2003)、Legionella由来のギ酸脱水素酵素(ChienらScience 305, 1966v1968、2004及びCazaletらNat. Genet. 36, 1165-1173、2004)、Francisella tularensis subsp. tularensis SCHU S4由来のギ酸脱水素酵素(LarssonらNat. Genet. 37, 153-159、2005)、Histoplasma capsulatum由来のギ酸脱水素酵素(HwangらMol. Biol. Cell 14, 2314-2326、2003)及びCryptococcus neoformans var. neoformans JEC21 (LoftusらScience 307, 1321-1324、2005)等に対して本発明を適用することができる。
また、上記総説に開示されているPseudomonas sp.101由来のギ酸脱水素酵素、Mycobacterium vaccae N10.由来のギ酸脱水素酵素、Candida boidini由来のギ酸脱水素酵素、Candida methylica由来のギ酸脱水素酵素Saccharomyces cerevisiae由来のギ酸脱水素酵素及びParacoccus sp.12-A由来のギ酸脱水素酵素に対しても本発明を適用することができる。
特に、先に出願した(特願2008−100448号)Gibberella zeae由来のギ酸脱水素酵素に本発明を適用することが好ましい。Gibberella zeae由来のギ酸脱水素酵素は、上述した従来公知のギ酸脱水素酵素と比較して著しく優れた比活性を示すものである。Gibberella zeae由来のギ酸脱水素酵素をコードする遺伝子の塩基配列を配列番号1に示し、Gibberella zeae由来のギ酸脱水素酵素のアミノ酸配列を配列番号2に示す。ここで、ギ酸脱水素酵素を取得するためには、アカカビ(学名:Gibberella zeae)として保存されている、従来公知の種々の菌株を使用することができる。例えば、American Type Culture Collection (ATCC)にATCC番号10910、20271、20272、20274、24689、28106又は48063として保存されているアカカビを使用することができる。また、ATCCには、登録名がFusarium graminearumとして保存されている場合もあるが、別名としてGibberella zeaeが登録されている場合にはこれらも使用することができる。なお、Gibberella zeaeは、Fusarium graminearumの完全世代(テレオモルフ)のことを示している。また、独立行政法人製品評価技術基盤機構の生物遺伝資源部門(NBRC)には、NBRC番号4474、5269、6608、7160、7520、7772、8850又は9462として保存されているアカカビを使用することができる。さらに、ATCCやNBRCといった機関に保存された菌株ではなく、自然界から独自に単離したアカカビを使用してギ酸脱水素酵素を取得しても良い。
また、Pseudomonas sp.101由来のギ酸脱水素酵素のアミノ酸配列を配列番号3に示す。Mycobacterium vaccae N10.由来のギ酸脱水素酵素のアミノ酸配列を配列番号4に示す。Candida boidini由来のギ酸脱水素酵素をコードする遺伝子の塩基配列を配列番号5に示し、Candida boidini由来のギ酸脱水素酵素のアミノ酸配列を配列番号6に示す。Candida methylica由来のギ酸脱水素酵素をコードする遺伝子の塩基配列を配列番号7に示し、Candida methylica由来のギ酸脱水素酵素のアミノ酸配列を配列番号8に示す。Saccharomyces cerevisiae由来のギ酸脱水素酵素をコードする遺伝子の塩基配列を配列番号9に示し、Saccharomyces cerevisiae由来のギ酸脱水素酵素のアミノ酸配列を配列番号10に示す。Paracoccus sp.12-A由来のギ酸脱水素酵素をコードする遺伝子の塩基配列を配列番号11に示し、Paracoccus sp.12-A由来のギ酸脱水素酵素のアミノ酸配列を配列番号12に示す。
本発明において使用可能なギ酸脱水素酵素は、配列番号2、3、4、6、8、10又は12に示したアミノ酸配列からなるものに限定されず、例えば、配列番号2、3、4、6、8、10又は12に示すアミノ酸配列において詳細を後述する置換対象アミノ酸残基を除く1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列を含み、ギ酸及びNAD+を基質として二酸化炭素及びNADHを生産物とする反応における触媒活性を有するものであっても良い。ここで、複数個のアミノ酸としては、例えば、1から30個、好ましくは1から20個、より好ましくは1から10個、さらに好ましくは1個から5個、特に好ましくは1個から3個を意味する。なお、アミノ酸の欠失、置換若しくは付加は、上記遺伝子をコードする塩基配列を、当該技術分野で公知の手法によって改変することによって行うことができる。塩基配列に変異を導入するには、Kunkel法またはGapped duplex法等の公知手法又はこれに準ずる方法により行うことができ、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-KやMutant-G(何れも商品名、TAKARA社製))等を用いて、あるいはLA PCR in vitro Mutagenesisシリーズキット(商品名、TAKARA社製)を用いて変異が導入される。
また、本発明においては、配列番号2、3、4、6、8、10又は12に示すアミノ酸配列に対して、例えば85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み、ギ酸及びNAD+を基質として二酸化炭素及びNADHを生産物とする反応における触媒活性を有するギ酸脱水素酵素を使用することもできる。ここで、相同性の値は、blastアルゴリズムを実装したコンピュータプログラム及び遺伝子配列情報を格納したデータベースを用いてデフォルトの設定で求められる値を意味する。
さらに、本発明においては、配列番号1、5、7、9又は11に示す塩基配列の一部又は全部に対して相補的なポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドにコードされたタンパク質であってギ酸及びNAD+を基質として二酸化炭素及びNADHを生産物とする反応における触媒活性を有するタンパク質をギ酸脱水素酵素として使用することができる。ここで、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするとは、60℃で2×SSC洗浄条件下で結合を維持することを意味する。ハイブリダイゼーションは、J. Sambrook et al. Molecular Cloning, A Laboratory Manual,2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に記載されている方法等、従来公知の方法で行うことができる。
置換変異
本発明に係る変異型ギ酸脱水素酵素は、上述したギ酸脱水素酵素における所定のアミノ酸残基を複数置換し、アミノ酸置換前のギ酸脱水素酵素と比較して耐久性が有意に向上したものである。ここで、置換対象のアミノ酸残基は、配列番号2に示すアミノ酸配列からなるGibberella zeae由来のギ酸脱水素酵素を基準として、N末端から数えた数値として特定することができる。しかしながら、配列番号2に示すアミノ酸配列を基準として具体的数値で特定された置換対象のアミノ酸残基は、ギ酸脱水素酵素の種類によっては異なる数値で表されることとなる。したがって、『配列番号2に示すアミノ酸配列におけるX番目のアミノ酸残基』と表記した場合、配列番号2に示すアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有するギ酸脱水素酵素についてはX番目とはならず、異なる数値として表現されることとなる。
配列番号2に示すアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列における所定のアミノ酸残基に相当するアミノ酸残基は、配列番号2に示すアミノ酸配列を含む複数のアミノ酸配列についてマルチプルアラインメント解析を行うことで特定することができる。マルチプルアラインメント解析は、特に限定されないがCLUSTAL W (1.83) multiple sequence alignmentプログラム(国立遺伝学研究所のDDBJで使用できる(http://clustalw.ddbj.nig.ac.jp/top-j.html))を用いて当業者が容易に実施することができる。なお、ペアワイズアライメント解析法を用いて、配列番号2に示すアミノ酸配列に対して他の異なるアミノ酸配列をアラインメントし、配列番号2に示すアミノ酸配列における所定のアミノ酸残基に相当するアミノ酸残基を当該他の異なるアミノ酸配列において特定することもできる。
Gibberella zeae由来のギ酸脱水素酵素(配列番号2)、Pseudomonas sp.101由来のギ酸脱水素酵素(配列番号3)、Mycobacterium vaccae N10.由来のギ酸脱水素酵素(配列番号4)、Candida boidini由来のギ酸脱水素酵素(配列番号6)、Candida methylica由来のギ酸脱水素酵素(配列番号8)、Saccharomyces cerevisiae由来のギ酸脱水素酵素(配列番号10)及びParacoccus sp.12-A由来のギ酸脱水素酵素(配列番号12)についてマルチプルアラインメント解析した結果を図1に示す。なお、これら具体的なギ酸脱水素酵素以外のギ酸脱水素酵素についても、同様にマルチプルアラインメント解析に供することができ、Gibberella zeae由来のギ酸脱水素酵素(配列番号2)等と比較することができる。
以下の説明において、置換対象アミノ酸は、配列番号2に示すアミノ酸配列、すなわちGibberella zeae由来のギ酸脱水素酵素を基準として表記する。しかし、上述したように、アミノ酸の位置を表す数値は、ギ酸脱水素酵素に応じて異なる数値となる点に留意する。本発明に係る変異型ギ酸脱水素酵素は、以下に説明する4箇所のアミノ酸残基に置換変異を有する4重変異型ギ酸脱水素酵素、及び当該4重変異型ギ酸脱水素酵素に対して1〜3箇所の置換変異を更に有する変異型ギ酸脱水素酵素が含まれる。
4重変異型ギ酸脱水素酵素
本発明に係る4重変異型ギ酸脱水素酵素は以下のA)〜C)に示すいずれかのアミノ酸配列を有している。
A)99番目のバリン、153番目のバリン、155番目のヒスチジン及び298番目のアスパラギンが他のアミノ酸に置換したアミノ酸配列
B)73番目のグリシン、99番目のバリン、153番目のバリン及び155番目のヒスチジンが他のアミノ酸に置換したアミノ酸配列、及び
C)73番目のグリシン、99番目のバリン、153番目のバリン及び159番目のグルタミンが他のアミノ酸に置換したアミノ酸配列
ここで、上記A)〜C)のアミノ酸配列において、他のアミノ酸としては、変異後のギ酸脱水素酵素の耐久性が変異前のギ酸脱水素酵素における耐久性と比較して有意に向上するものである限り、特に限定されず、如何なるアミノ酸であっても良い。耐久性とは、例えば37℃で500時間放置した後の残存活性により評価することができる。なお、耐久性は、37℃で500時間放置する試験の加速試験、例えば52〜58℃で30〜50分放置する条件で評価しても良い。また、耐久性が向上するとは、変異導入前の野生型のギ酸脱水素酵素の残存活性と比較して変異導入後の残存活性が統計的に有意に高いことを意味する。ここで、変異型ギ酸脱水素酵素及び置換変異前のギ酸脱水素酵素の酵素活性は、従来公知の手法を適宜使用することができる。例えば、下記反応式に従って生成するNADH量や、下記反応式に従って消費される成分の量を直接的又は間接的に測定することで、下記反応式に寄与するギ酸脱水素酵素の酵素活性を測定することができる。
HCOO- + NAD+ → CO2 + NADH
特に、上記A)〜C)のアミノ酸配列において、73番目のグリシンはアラニンに置換変異し、99番目のバリンはイソロイシンに置換変異し、153番目のバリンはイソロイシンに置換変異し、155番目のヒスチジンはグルタミン又はリシンに置換変異し、159番目のグルタミンはロイシンに置換変異し、298番目のアスパラギンがチロシンに置換変異していることが好ましい。
なお、上述したように、置換後のアミノ酸として具体的に好ましいアミノ酸を例示したが、置換後のアミノ酸は上記例示に限定されるものではない。参考文献(1)(「マッキー生化学」第3版 5章アミノ酸・ペプチド・タンパク質 5.1アミノ酸、監修:市川厚、監訳:福岡伸一、発行者:曽根良介、発行所:(株)化学同人、ISBN4-7598-0944 -9)でも記載されているように、アミノ酸は同様の性質(化学的性質や物理的大きさ)を持つ側鎖に従って分類される事がよく知られる。また、タンパク質の活性を保持したまま、所定のグループに分類されるアミノ酸残基間における分子進化上の置換が頻度高く起こることがよく知られる。この考えを基に、参考文献(2): Henikoff S., Henikoff J.G., Amino-acid substitution matrices from protein blocks, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89, 10915-10919 (1992)中の、Fig.2でアミノ酸残基の置換変異のスコアマトリックス(BLOSUM)が提唱され、広く使用されている。参考文献(2)では、側鎖の化学的性質が似たもの同士のアミノ酸置換は、タンパク質全体に与える構造や機能変化が少なくなると言う知見に基づくものである。上記参考文献(1)及び(2)によれば、マルチプルアラインメントで考慮するアミノ酸の側鎖のグループは、化学的性質や物理的大きさなどの指標を基にして考えることができる。これは、参考文献(2)に開示されたスコアマトリックス(BLOSUM)において、スコアの0以上の値を持つアミノ酸、好ましくは1以上の値を持つアミノ酸のグループとして示される。
以上のような知見に基づいて、性質の類似したアミノ酸を下記の8つのグループに分類することができる。したがって、置換後のアミノ酸としては、上記例示したアミノ酸が含まれるグループに分類されるアミノ酸とすることが好ましい。例えば、Gibberella zeae由来のギ酸脱水素酵素における99番目のバリンは、イソロイシンに置換することが好ましいとしたが、イソロイシンが分類されている後記1)脂肪族疎水性アミノ酸グループに分類されるロイシン、メチオニン又はバリンに置換されても良い。同様に、Gibberella zeae由来のギ酸脱水素酵素における155番目のヒスチジンは、グルタミン又はリシン置換することが好ましいとしたが、グルタミン及びリシンが分類されている後記6)メチレン基=極性基グループに分類されるグルタミン酸又はアルギニンに置換されても良い。また、Gibberella zeae由来のギ酸脱水素酵素における159番目のグルタミンは、ロイシンに置換することが好ましいとしたが、ロイシンが分類されている後記1)脂肪族疎水性アミノ酸グループに分類されるイソロイシン、メチオニン又はバリンに置換されても良い。さらに、Gibberella zeae由来のギ酸脱水素酵素における298番目のアスパラギンは、チロシンに置換することが好ましいとしたが、チロシンが分類されている後記7)芳香族グループに分類されるフェニルアラニン又はトリプトファン、若しくは後記8)環状&極性グループに分類されるヒスチジンに置換されても良い。
1)脂肪族疎水性アミノ酸グループ(ILMVグループ)
このグループは、上記参考文献(1)で示された中性非極性アミノ酸のうち、脂肪属性の疎水性側鎖をもつアミノ酸のグループであり、V(Val、バリン)、L(Leu、ロイシン)、I(Ile、イソロイシン)及びM(Met、メチオニン)から構成される。参考文献(1)による中性非極性アミノ酸と分類されるもののうちFGACWPは以下理由で、この「脂肪族疎水性アミノ酸グループ」には含めない。G(Gly、グリシン)やA(Ala、アラニン)はメチル基以下の大きさで非極性の効果が弱いからである。C(Cys、システイン)はS-S結合に重要な役目を担う場合があり、また、酸素原子や窒素原子と水素結合を形成する特性があるからである。F(Phe、フェニルアラニン)やW(Trp、トリプトファン)は側鎖がとりわけ大きな分子量をもち、かつ、芳香族の効果が強いからである。P(Pro、プロリン)はイミノ酸効果が強く、ポリペプチドの主鎖の角度を固定してしまうからである。
2)ヒドロキシメチレン基をもつグループ(STグループ)
このグループは、中性極性アミノ酸のうちヒドロキシメチレン基を側鎖に持つアミノ酸のグループであり、S(Ser、セリン)とT(Thr、スレオニン)から構成される。SとTの側鎖に存在する水酸基は、糖の結合部位であるため、あるポリペプチド(タンパク質)が特定の活性を持つために重要な部位である場合が多い。
3)酸性アミノ酸(DEグループ)
このグループは、酸性であるカルボキシル基を側鎖に持つアミノ酸のグループであり、D(Asp、アスパラギン酸)とE(Glu、グルタミン酸)から構成される。
4)塩基性アミノ酸(KRグループ)
このグループは、塩基性アミノ酸のグループであり、K(Lys、リジン)とR(Arg、アルギニン)から構成される。これらKとRは、pHの広い範囲で正に帯電し塩基性の性質をもつ。一方、塩基性アミノ酸に分類されるH(His、ヒスチジン)はpH7においてほとんどイオン化されないので、このグループには分類されない。
5)メチレン基=極性基(DHNグループ)
このグループは、全てα位の炭素元素に側鎖としてメチレン基が結合しその先に極性基を有すると言う特徴を持つ。非極性基であるメチレン基の物理的大きさが酷似している特徴を持ち、N(Asn、アスパラギン、極性基はアミド基)、D(Asp、アスパラギン酸、極性基はカルボキシル基)とH(His、ヒスチジン、極性基はイミダゾール基)から成る。
6)ジメチレン基=極性基(EKQRグループ)
このグループは、全てα位の炭素元素に側鎖としてジメチレン基以上の直鎖炭化水素が結合しその先に極性基を有すると言う特徴を持つ。非極性基であるジメチレン基の物理的大きさが酷似している特徴を持つ。E(Glu、グルタミン酸、極性基はカルボキシル基)、K(Lys、リジン、極性基はアミノ基)、Q(Gln、グルタミン、極性基はアミド基)、R(Arg、アルギニン、極性基はイミノ基とアミノ基)から成る。
7)芳香族(FYWグループ)
このグループには、側鎖にベンゼン核を持つ芳香族アミノ酸であり、芳香族特有の化学的性質を特徴とする。F(Phe、フェニルアラニン)、Y(Tyr、チロシン)、W(Trp、トリプトファン)から成る。
8)環状&極性(HYグループ)
このグループには、側鎖に環状構造を持つと同時に極性も持つアミノ酸で、H(H、ヒスチジン、環状構造と極性基は共にイミダゾール基)、Y(Tyr、チロシン、環状構造はベンゼン核で極性基は水酸基)から成る。
5重、6重及び7重変異型ギ酸脱水素酵素
上述した4重変異型ギ酸脱水素酵素に対して、更に1〜3つの置換変異を導入することにより5重、6重及び7重変異型ギ酸脱水素酵素を取得することができる。ここで、更なる1〜3つの置換変異としては、上記A)〜C)に示したアミノ酸配列における変異箇所以外であって、配列番号2に示すアミノ酸配列における、31番目のイソロイシン、50番目のアルギニン、60番目のグルタミン酸、64番目のイソロイシン、73番目のグリシン、82番目のリシン、136番目のイソロイシン、155番目のヒスチジン、159番目のグルタミン、239番目のメチオニン、286番目のアスパラギン酸、287番目のヒスチジン、293番目のグルタミン酸、298番目のアスパラギン及び343番目のアスパラギンのアミノ酸を挙げることができる。
ここで列挙したアミノ酸残基については、変異後のギ酸脱水素酵素の耐久性が野生型のギ酸脱水素酵素における耐久性と比較して有意に向上するものである限り、特に限定されず、如何なるアミノ酸に置換しても良い。特に、31番目のイソロイシンはロイシンに置換変異し、50番目のアルギニンはグリシンに置換変異し、60番目のグルタミン酸はバリンに置換変異し、64番目のイソロイシンはバリンに置換変異し、73番目のグリシンはアラニンに置換変異し、82番目のリシンはアルギニンに置換変異し、136番目のイソロイシンはバリンに置換変異し、155番目のヒスチジンはグルタミン又はリシンに置換変異し、159番目のグルタミンはロイシン又はアスパラギンに置換変異し、239番目のメチオニンはロイシンに置換変異し、286番目のアスパラギン酸はフェニルアラニンに置換変異し、287番目のヒスチジンはグルタミン又はプロリンに置換変異し、293番目のグルタミン酸はアスパラギン酸に置換変異し、298番目のアスパラギンはチロシンに置換変異し、343番目のアスパラギンはアルギニンに置換変異することが好ましい。なお、ここで列挙したアミノ酸残基について置換変異後の好ましいアミノ酸の種類を開示したが、上述と同様に、置換変異後のアミノ酸の種類は、性質の類似したアミノ酸を分類した上記8つのグループに基づいて適宜選択することができる。
また、特に、5重変異型ギ酸脱水素酵素としては、73番目のグリシンのアラニンへの置換変異(アミノ酸の一文字表記を利用してG73Aと略記する。以下同様)、V99I、V153I、H155Q及びN298Yを有する変異型ギ酸脱水素酵素を挙げることができる。これらG73A、V99I、V153I、H155Q及びN298Yを有する5重変異型ギ酸脱水素酵素は、野生型のギ酸脱水素酵素と同等の比活性を有しながらも、上述のように定義される優れた耐久性を示すことができる。
さらに、5重変異型ギ酸脱水素酵素としては、G73A、V99I、V153I、H155Q及びH287Qを有する変異型ギ酸脱水素酵素を挙げることができる。これらG73A、V99I、V153I、H155Q及びH287Qを有する5重変異型ギ酸脱水素酵素もまた、優れた耐久性を示すことができる。
さらにまた、5重変異型ギ酸脱水素酵素としては、G73A、V99I、V153I、H155K及びN298Yを有する変異型ギ酸脱水素酵素を挙げることができる。これらG73A、V99I、V153I、H155K及びN298Yを有する5重変異型ギ酸脱水素酵素もまた、優れた耐久性を示すことができる。なお、後述の実施例に示すように、G73A、V99I、V153I、H155K及びN298Yを有する5重変異型ギ酸脱水素酵素と、G73A、V99I、V153I、H155Q及びN298Yを有する5重変異型ギ酸脱水素酵素とを耐久性の点で比較すると、G73A、V99I、V153I、H155K及びN298Yを有する5重変異型ギ酸脱水素酵素の方が優れた耐久性を示す。したがって、155番目のヒスチジンの置換変異後のアミノ酸は、グルタミンよりもリシンが好ましいことが理解できる。
さらにまた、5重変異型ギ酸脱水素酵素としては、G73A、V99I、V153I、Q159L及びN298Yを有する変異型ギ酸脱水素酵素、V99I、V153I、H155Q、H287Q及びN298Yを有する変異型ギ酸脱水素酵素を挙げることができる。これら5重変異型ギ酸脱水素酵素についても、G73A、V99I、V153I、H155Q及びN298Yを有する5重変異型ギ酸脱水素酵素と同等に野生型のギ酸脱水素酵素と比較して優れた耐久性を示すことができる。
さらにまた、5重変異型ギ酸脱水素酵素としては、E60V、G73A、V99I、V153I及びH155Qを有する変異型ギ酸脱水素酵素、E60V、V99I、V153I、H155Q及びN298Yを有する変異型ギ酸脱水素酵素を挙げることができる。これら5重変異型ギ酸脱水素酵素についても、野生型のギ酸脱水素酵素と比較して優れた耐久性を示すことができる。
一方、6重変異型ギ酸脱水素酵素としては、G73A、V99I、V153I、H155Q及びN298Yを有する5重変異型ギ酸脱水素酵素に対して、更にM239L、K82R、H287Q、E60V、I31L、I136V及びE293Dから選ばれる1つの置換変異を導入したものであることが好ましい。これら6重変異型ギ酸脱水素酵素は、G73A、V99I、V153I、H155Q及びN298Yを有する5重変異型ギ酸脱水素酵素と比較してより優れた耐久性を示すことができる。また、G73A、V99I、V153I、H155Q、M239L及びN298Yを有する6重変異型ギ酸脱水素酵素、E60V、G73A、V99I、V153I、H155Q及びN298Yを有する6重変異型ギ酸脱水素酵素並びにG73A、V99I、V153I、H155K、M239L及びN298Yを有する6重変異型ギ酸脱水素酵素は、上述のように耐久性に優れるばかりでなく、野生型のギ酸脱水素酵素と比較して優れた比活性を示すことができる。
また、6重変異型ギ酸脱水素酵素としては、上述したG73A、V99I、V153I、Q159L及びN298Yを有する5重変異型ギ酸脱水素酵素に対してM239Lを導入したものを挙げることができる。このM239Lを導入することにより、上述したG73A、V99I、V153I、Q159L及びN298Yを有する5重変異型ギ酸脱水素酵素と同等の耐久性を維持しながら、比活性を向上させることができる。
さらに、6重変異型ギ酸脱水素酵素としては、G73A、V99I、V153I、H155Q及びN298Yを有する変5重異型ギ酸脱水素酵素に対してH287Pを導入したものを挙げることができる。しかし、上述のようにG73A、V99I、V153I、H155Q及びN298Yを有する5重変異型ギ酸脱水素酵素に対してH287Qを導入した6重変異型ギ酸脱水素酵素と比較すると、比活性が低下していることが認められる。したがって、287番目のヒスチジンの置換変異後のアミノ酸は、プロリンよりもグルタミンが好ましいことが理解できる。
さらにまた、6重変異型ギ酸脱水素酵素としては、G73A、V99I、V153I、H155Q及びN298Yを有する5重変異型ギ酸脱水素酵素に対して、R50G又はN343Rを導入したものを挙げることができる。これら6重変異型ギ酸脱水素酵素についても、G73A、V99I、V153I、H155Q及びN298Yを有する5重変異型ギ酸脱水素酵素と同等の耐久性を示すことができる。
さらにまた、6重変異型ギ酸脱水素酵素としては、G73A、V99I、V153I、H155K及びN298Yを有する5重変異型ギ酸脱水素酵素に対して、K82R又はQ159Lを導入したものを挙げることができる。これら6重変異型ギ酸脱水素酵素については、G73A、V99I、V153I、H155K及びN298Yを有する5重変異型ギ酸脱水素酵素と比較して優れた耐久性を示すことができる。
さらにまた、6重変異型ギ酸脱水素酵素としては、I64V、G73A、V99I、V153I、H155Q及びN298Yを有する変異型ギ酸脱水素酵素、G73A、V99I、V153I、H155Q、Q159N及びN298Yを有する変異型ギ酸脱水素酵素を挙げることができる。これら5重変異型ギ酸脱水素酵素についても、野生型のギ酸脱水素酵素と比較して優れた耐久性を示すことができる。
一方、7重変異型ギ酸脱水素酵素としては、上述したG73A、V99I、V153I、H155Q、M239L及びN298Yを有する6重変異型ギ酸脱水素酵素に対して、K82Rを導入したものを挙げることができる。この7重変異型ギ酸脱水素酵素は、上述したG73A、V99I、V153I、H155Q、M239L及びN298Yを有する6重変異型ギ酸脱水素酵素と比較してより優れた耐久性を示すと共に、優れた比活性を示すことができる。
また、7重変異型ギ酸脱水素酵素としては、G73A、K82R、V99I、V153I、H155Q、H287Q及びN298Yを有するもの、G73A、V99I、V153I、H155Q、Q159L、M239L及びN298Yを有するもの、G73A、V99I、V153I、H155Q、Q159L、H287Q及びN298Yを有するものを挙げることができる。これら7重変異型ギ酸脱水素酵素についても、野生型のギ酸脱水素酵素と比較して優れた耐久性を示すことができる。
さらに、7重変異型ギ酸脱水素酵素としては、G73A、V99I、V153I、H155Q、D286F、H287P及びN298Yを有するもの、G73A、V99I、V153I、H155Q、D286F、H287P及びN298Yを有するものを挙げることができる。これら7重変異型ギ酸脱水素酵素についても、野生型のギ酸脱水素酵素と比較して優れた耐久性を示すことができる。
アカカビ由来のギ酸脱水素酵素の製造
上述した本発明に係る変異型ギ酸脱水素酵素のなかでも、アカカビ由来のギ酸脱水素酵素に由来する変異型ギ酸脱水素酵素は、置換変異前あっても非常に高い比活性を示す。したがって、アカカビ由来のギ酸脱水素酵素に由来する変異型ギ酸脱水素酵素は、他の生物由来のギ酸脱水素酵素由来の変異型ギ酸脱水素酵素と比較して耐久性及び/又は比活性が際だって高いため好ましい。
ここで、アカカビ由来のギ酸脱水素酵素は、従来公知のタンパク質の製造方法では取得することができない。したがって、アカカビ由来の変異型ギ酸脱水素酵素についても、従来公知のタンパク質の製造方法で取得することが困難であり、以下に説明する手法に準じて製造することができる。すなわち、アカカビ由来のギ酸脱水素酵素の製造方法は、アカカビ由来のギ酸脱水素酵素遺伝子を誘導型プロモーターの制御下に配置したベクターを導入した宿主を準備する。そして当該宿主を培養し、対数増殖期を過ぎた時にギ酸脱水素酵素遺伝子の発現を誘導する。次に、上記宿主の生育至適温度よりも低く且つ上記宿主が生存可能な温度で培養することでギ酸脱水素酵素を宿主内に発現させる。
アカカビ由来のギ酸脱水素酵素の製造方法において、誘導型プロモーターとしては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。例えば、上記の宿主として大腸菌を使用する場合には、イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(IPTG)の存在下に転写活性を示す誘導型プロモーターを使用することができる。このようなプロモーターの例としては、Trpプロモーター、Lacプロモーター、Trcプロモーター及びTacプロモーターを挙げることができる。また、IPTG以外の誘導物質の存在下に転写活性を示す他のプロモーターや、培地成分及び温度等の培養条件に応じて転写活性を示す他のプロモーターも、誘導型プロモーターとして使用することができる。
また、アカカビ由来のギ酸脱水素酵素の製造方法において、ベクターとしては、上記の宿主内で複製可能なものであれば特に限定されず、如何なるベクターをも使用することができる。例えば、上記宿主として大腸菌を使用する場合には、ベクターとしてはプラスミドベクター、ファージベクターのいずれであっても良い。具体的なベクターとしては、pCDFシリーズ、pRSFシリーズ、pETシリーズ等を例示列挙することができる。
さらに宿主としては、発現ベクターに組み込まれたプロモーターから転写可能な宿主であれば特に限定されないが、例えば、発現ベクターがpET(T7プロモーター)系の場合には大腸菌BL21(DE3)を使用することができる。上述したベクターを宿主に導入する手法としては、一般的に形質転換法として知られる各種の手法を適用することができる。具体的な手法としては、例えば、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポフェクション法等を適用することができる。
特にアカカビ由来のギ酸脱水素酵素の製造方法においては、ベクターを導入した宿主を培養し、対数増殖期を過ぎた時に上記ギ酸脱水素酵素遺伝子の発現を誘導する。ギ酸脱水素酵素遺伝子の発現を誘導する前において、宿主の培養条件としては、何ら限定されず、例えば当該宿主の生育至適温度や生育至適pHを勘案して適宜、設定すればよい。しかし、培養を継続しながら宿主の増殖を観察し、いわゆる対数増殖期を過ぎた時点で以下の条件を満足するような培養条件に変更する。すなわち、条件1としてギ酸脱水素酵素遺伝子の発現を誘導し、条件2として宿主の生育至適温度よりも低く且つ宿主が生存可能な温度で培養する。
ここで、対数増殖期を過ぎた時とは、横軸に培養時間及び縦軸に細胞数の対数をとった増殖曲線において、所定の傾きの略直線で表される部分から、接線の傾きが低下し始める時点を意味する。なお、培養曲線は培地中のOD600nmを測定することによって作製することができる。また、ギ酸脱水素酵素遺伝子の発現を誘導する際には、対数増殖期を過ぎて定常期に入ってからが好ましい。ここで定常期とは、上述した増殖曲線の接線の傾きがほぼ0となる期間である。
また、宿主の生育至適温度とは、宿主毎に異なる温度範囲として公知である、例えば、大腸菌B株を宿主とした場合、生育至適温度は37℃である。例えば、大腸菌B株を宿主とした場合、生育可能な温度は15〜37℃である。したがって、大腸菌B株を宿主とした場合、宿主の生育至適温度よりも低く且つ宿主が生存可能な温度としては15〜37℃を意味する。特に、大腸菌B株を宿主とした場合、対数増殖期を過ぎた時に約20℃にして培養を継続することが好ましい。
宿主の対数増殖期を過ぎたときに上記温度範囲に設定することでギ酸脱水素酵素遺伝子が発現し、宿主内に非常に高い比活性を示すギ酸脱水素酵素が生成することとなる。培養後、目的のギ酸脱水素酵素が宿主内に生産されるため菌体又は細胞を破砕し、粗酵素懸濁液を調製する。この粗酵素懸濁液には、非常に高い比活性を示すギ酸脱水素酵素が含まれる。したがって、得られた粗酵素懸濁液をそのまま利用することができる。なお、得られた粗酵素懸濁液からギ酸脱水素酵素を単離精製することもできる。このとき、蛋白質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることができる。単離精製されたギ酸脱水素酵素は、所定のpHの緩衝液等に懸濁された状態で利用することができる。
変異型ギ酸脱水素酵素の利用形態
以上で説明した変異型ギ酸脱水素酵素は、変異導入前のギ酸脱水素酵素と比較して抜群に高い耐久性を示すため、従来公知のギ酸脱水素酵素が使用されている反応系のいずれにも優れた代替物として利用することができる。例えば、変異型ギ酸脱水素酵素の利用形態としてはNADHの再生系を挙げることができる。NADHは種々の酵素反応で利用されNAD+へと変換される。NADHは、例えば、化学工業や製薬工業の分野において光学異性体を生物的に合成する際の補酵素として利用される。NADHの再生系とは、反応系に残存するNAD+を還元してNADHとし、NADHを回収して再び上記酵素反応に利用することを意味する。上述した変異型ギ酸脱水素酵素をギ酸及びNAD+を含む反応系に作用させることによって、当該NAD+を還元してNADHを合成することができる。
以上のように変異型ギ酸脱水素酵素をNADHの再生系に利用することによって、反応系に含まれるNAD+からNADHを効率よく製造することができる。特に、変異型ギ酸脱水素酵素は、従来公知のギ酸脱水素酵素と比較して非常に優れた耐久性を示すため、変異導入前のギ酸脱水素酵素と比較して長時間に亘って高い活性を維持することができる。このため、変異型ギ酸脱水素酵素を利用することによって、従来公知のギ酸脱水素酵素の使用した場合と比較してNADHの生産性を大幅に向上させることができる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
本実施例ではアカカビ由来のギ酸脱水素酵素遺伝子をクローニングし、当該遺伝子に対してランダム変異を導入し、得られた変異遺伝子に由来するギ酸脱水素酵素における耐久性及び比活性を評価した。
(1)試薬
試薬は、特に記載の無い場合ナカライテスク社製のものを使用した。
・リン酸カリウム緩衝液(KPB) pH7.5
<SolutionA>0.5M KH2PO4 13.6g/200ml
<SolutionB>0.5M K2HPO4 26.13g/300ml
0.5M KPB pH7.5はSolutionAとSolutionBを次の割合で混合した。
[SolutionA 16ml]+[SolutionB 84ml]⇒100ml
・EcoPro T7 system(Novagen社製)
Lysate、Methionine
・1.62M ギ酸ナトリウム(ギ酸Na)
5.5g/50ml 0.5M KPB pH7.5、調製後0.22μmのフィルター(ミリポア社製)で滅菌した。
・16.2mM NAD
581mg/50ml 0.5M KPB pH7.5、調製後0.22μmのフィルター(ミリポア社製)で滅菌した。
・mPMS(DOJINDO社製)
methoxy PMS 0.5mg/mlとなるよう蒸留水で調製した。
・WST1(DOJINDO社製)
8mg/mlに蒸留水で調製した。
・PD培地
Potato dextrose broth(Difco社製) 24g/L。pH7に調整後オートクレーブして使用した。
・LB培地
LB Broth(Difco社製) 20g/L。オートクレーブして使用した。使用前にアンピシリン(SIGMA社製)を50μg/mlとなるように添加した。
・100mM MgCl2
MgCl2・6H2O 2.03g/100ml。オートクレーブして使用した。
・ExTaq Polymerase[5U/μl](タカラバイオ社製)
10XBuffer
・KOD-Plus-:KOD-Plus-Polymerase [1U/μl] (TOYOBO社製)
25mM MgSO4、2mM dNTP、10×Buffer
Pyrobest DNA polymerase(タカラバイオ社製)
・Triton X-100
・100mM dATP、dCTP、dGTP、dTTP(タカラバイオ社製)
・RNeasy Plant Mini Kit(QIAGEN社製)
・RNA PCR Kit(タカラバイオ社製)
・MinElute Gel Extraction Kit(QIAGEN社製)
・MinElute PCR Purification Kit(QIAGEN社製)
・BigDyeTerminator v3.1(ABI社製)
・dH2O:DNase/RNase Free Distilled Water(Invitrogen社製)
・制限酵素NdeI/EcoRI(タカラバイオ社製)
・DNA Ligation kit ver2.1、solutionI(タカラバイオ社製)
・JM109 Competent Cells(タカラバイオ社製)
・pET-23b(+) vector (Novagen社製)
・pT7 Blue T-vector(Novagen製)
・KOD-Plus-Mutagenesis Kit (TOYOBO社製)
(2)Gibberella zeae FDH遺伝子のクローニング
(2−1) 微生物株
Gibberella zeaeは独立行政法人製品評価技術基盤機構の関連機関であるNITE Biological Resource Center(以下NBRCと記載)に保存されている株(NBRC No. 4474)を購入し、指定される方法で復元したものをPD(Potato Dextrose)培地を用いて培養した。
(2−2) ギ酸脱水素酵素遺伝子の単離
(2−2−1) ギ酸脱水素酵素遺伝子の増幅
2−1の方法で培養して得た菌体をRNeasy Plant Mini Kit(QIAGEN社製)を用いてTotal RNA(mRNA、rRNA及びtRNA等を含む)を調製した。まず、RNA PCR Kit(タカラバイオ社製)を用いてTotal RNAを鋳型としたcDNA合成をおこなった。表1に反応液組成を示す。
Figure 0005605361
RNase free H2Oを加え、液量が10μlとなるようにした。
上記組成の反応液を用いて、50℃で2時間、その後99℃で5分間、その後4℃とする反応サイクルでcDNAの合成反応を行った。
次に、合成されたcDNAを鋳型とし、Pyrobest DNA polymeraseを用いてPCRをおこなった。反応液50μl中の成分組成を表2に示す。
Figure 0005605361
滅菌水を加え、液量が50μlとなるようにした。
上記組成の反応性を用いて、95℃で1分、その後、(95℃で30秒、60℃で30秒及び72℃で1分を1サイクルとして25サイクル繰り返し、その後72℃で10分、その後4℃とする反応サイクルでPCRを行った。なお、本PCRにおいては、一対のプライマーとしてGib FDH1-F-NdeI(forward):CGC CAT ATG GTC AAG GTT CTT GCA GTT C(配列番号13)及びGib FDH1-R(reverse):CTA TTT CTT CTC ACG CTG ACC(配列番号14)を使用した。
(2−2−2) ギ酸脱水素酵素遺伝子のクローニング及び構造解析
アガロースゲル電気泳動により得られた各種PCR産物のサイズを確認後、MinElute Gel Extraction Kit(QIAGEN製)を用いてアガロースゲルより精製したPCR産物をpT7 Blue T-vector(Novagen製)、JM109 competent cells(タカラバイオ社製)を用いてサブクローニングした(GzFDH/pT7)(図2参照)。単離したギ酸脱水素酵素遺伝子配列はデータベース上に公開されている配列(Genbank No. XP_386303)とアミノ酸レベルで100%の一致を示していた。
(2−2−3) ギ酸脱水素酵素遺伝子発現用ベクターの作製
2−2−2で作製されたプラスミド(FDH/pT7)を制限酵素NdeI/EcoRIで処理した。表3に反応液組成を示す。制限酵素処理の反応条件としては37℃で2時間とした。
Figure 0005605361
滅菌水を加えて、全量20μlとなるようにした。
反応後の溶液を0.8%アガロースゲル電気泳動に供し、NdeI/EcoRI断片としてベクターから切り出されたギ酸脱水素酵素遺伝子(約1.1kb)をMinElute Gel Extraction Kit(QIAGEN製)を用いて精製した。次にFDH/pT7と同様に制限酵素処理した遺伝子発現用ベクターpET23b(+)(Novagen社製)のNdeI/EcoRI部位にDNA Ligation kit Ver.2.1(タカラバイオ社製)を用いて上記ギ酸脱水素酵素遺伝子断片を導入後、JM109 competent cells(タカラバイオ社製)によるサブクローニングを行った(FDH/pET23b(+))(図2参照)。
(3)Site-directed mutagensisによる変異型ギ酸脱水素酵素の作製
(3−1)多重変異型ギ酸脱水素酵素
KOD-Plus-Mutagenesis Kitを用いて、プロトコールに従いFDHに部位特異的に変異を導入した。作製した変異体、作製に用いた鋳型/プライマーの組み合わせを表4に示す。また使用したプライマーの配列を表5に示す。
Figure 0005605361
Figure 0005605361
なお、表4における鋳型の欄に記載したWTは野性型のFDHを意味し、例えば、V99IはFDHにおける99番目のバリンをイソロイシンに置換した変異型FDHを意味する。
具体的には、先ず野性型のFDHに対してV99I変異を導入した単独変異型ギ酸脱水素酵素遺伝子を作製し、これにV153I/H155Q変異若しくはV153I/Q159L変異を導入して3重変異型ギ酸脱水素酵素遺伝子を作製し、そして3重変異型ギ酸脱水素酵素遺伝子に対してN298Y変異、G73A変異、H287Q変異若しくはE60V変異を導入することで4重変異型ギ酸脱水素酵素を作製した。
以上により作製した4重変異型ギ酸脱水素酵素のうち表6に示す3種類の4重変異型ギ酸脱水素酵素遺伝子を後述の(4)組換え体FDHの性状評価に使用した。
Figure 0005605361
また、同様にして5重〜7重変異型ギ酸脱水素酵素遺伝子を作製し、表7に示す5重〜7重変異型ギ酸脱水素酵素遺伝子を後述の(4)組換え体FDHの性状評価に使用した。
Figure 0005605361
(4)組換え体FDHの性状評価
(4−1)大腸菌S30による組換え体FDHの合成
(4−1−1)鋳型の調製
前項(3−1)で構築したプラスミドを鋳型としてPCRを行った。この増幅産物を翻訳反応の鋳型として用いた。PCRでは、一対のプライマーとしてSingle-F及びSingle-R1を使用した。PCRの反応液組成を表8に示した。
Single-F:5’-CGA TCC CGC GAA ATT AAT ACG ACT-3’(配列番号50)
Single-R1:5’-TCC GGA TAT AGT TCC TCC TTT CAG-3’ (配列番号51)
Figure 0005605361
上記組成の反応液を用いて、94℃で2分の後、94℃で15秒及び68℃で1分30秒を1サイクルとして30サイクル行い、その後、68℃で2分、その後4℃とする反応サイクルでPCRを行った。PCRにより増幅された約1.4kbpの断片をMinElute PCR Purification Kitで精製し翻訳反応に使用した。
(4−1−2) 無細胞翻訳反応
4−1−1で精製したDNA断片を鋳型としてEcoPro T7 system(Novagen社製)を用い翻訳反応を行った。方法はキットのプロトコールに従った。
(4−2)S30中での耐久性評価(加速試験)
S30(大腸菌粗抽出液)中における変異酵素の耐久性を加速試験により評価した。手順を以下に示す。4−1−2で調製した翻訳産物を1.8μlずつPCRチューブに分注し、サーマルサイクラーで52℃、56℃又は57℃で加熱した。加熱開始から0、25及び50分ごとにチューブを取り出し氷につけて冷却した。その後、表9に示す組成の活性測定用試薬のチューブに98μlずつ添加した。その後、サーマルサイクラー37℃で加熱(30分程度)し、チューブを取り出し氷につけて反応を停止させた。
Figure 0005605361
なお、FDH触媒によるギ酸分解反応は次式で示される。
HCOO- + NAD+ → CO2 + NADH
ここに電子伝達物質であるMethoxy PMS(mPMS)と、酸化還元発色指示薬であるWST1(共にDOJINDO社製)を加えることで次式のように反応が進むため、波長438nmの吸光度で黄色ホルマザンを測定することで、ギ酸分解量の定量が可能となる。なお黄色ホルマザンの吸光係数はNADHの約6倍であり、NADHの直接測定よりも高感度での定量が可能となる。
NADH + mPMS → NAD+ + mPMS(還元型)
mPMS(還元型) + WST1 → mPMS + 黄色ホルマザン(37000/M・cm、438nm)
そして、プレートリーダー(Spectrafluor Plus:TECAN社製)で吸光度430nmを測定することで黄色ホルマザンを定量し、4−1−2で調整した複数のアミノ酸変異を有するFDHの活性を評価することができる。
(4−3)大腸菌での組換え体FDHの過剰発現と精製
(4−3−1)発現誘導
G.zeae由来FDH(野生型および変異体)の発現は以下のように行った。使用菌株としては前項(3−1)で構築した組換え体プラスミド5B-2を導入した大腸菌BL21(DE3)株と野生型FDHを導入した株を使用した。LB培地 5mlを使用して37℃で22時間の前培養を行った。前培養の培養液が1.5%となるように、LB培地 500mlに植菌し、 37℃で4時間(O.D.600:3〜)の本培養を行った。また、タンパク質の発現を誘導する誘導培養として、終濃度1mMとなるようにIPTGを添加し、20℃で16時間(O.D.600:3.5〜4.1)培養した。
培養後、培養液を一旦氷につけて冷やした後に集菌した。培養液を500mlチューブ2本に分けて、5200rpmで10分間、4℃にて遠心分離した。上清を捨てて、菌体にそれぞれ60mlの10mM KPB(pH7.5)を加えて懸濁し、120ml分の懸濁液を50mlマルチビーズショッカー用専用破砕チューブ(安井器械株式会社製)3本に分けて、5600rpmで5分間、4℃にて再度遠心分離を行い、菌体を得た。
(4−3−2) 発現誘導菌体の破砕
(4−3−1)で得た菌体を冷却しながら破砕し、粗抽出液を調製した。集菌後の湿菌体重量を測定し、10mM KPB(pH7.5)を10倍量(湿菌体重量1gに対し10mlの割合)、マルチビーズショッカー専用グラスビーズ0.1mm(安井器械株式会社製)をKPBと等量(KPB10mlに対して10gの割合)を添加した。破砕にはマルチビーズショッカー(安井器械株式会社製)を用いた。
粗抽出液は手順に従って調整した。先ず、6000rpmで120秒間振とうし、インターバル60秒間の後、再び同条件で振とうする工程を3回繰り返した。その後、6000rpmで20分間、4℃にて遠心分離し、上清を回収した。その後、6000rpmで10分間、4℃にて遠心分離し上清を0.45μmのフィルター (ミリポア社製)でろ過することで、粗抽出液を調製した。
(4−3−3)イオン交換カラム
前項4−3−2で調製した粗抽出液をHiTrap Q FFカラム 5ml(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)により分画した。手順を以下に示す。先ず、10mM KPB(pH7.5) 25mlを流速1ml/minでカラムに供給して平衡化を行った。次に、粗抽出液を流速1ml/minで供給し、タンパク質成分を結合させた。次に、10mM KPB(pH7.5) 25mlを流速1ml/minでカラムに供給し、洗浄を行った。次に、10mM KPB(pH7.5)をベースとしてNaCl(10ml, 0〜200mM)のグラジエントを流速0.5ml/minでカラムに供給し、溶出を行った。なお、1つのフラクションが0.5mlとなるように分画した。最後に、10mM KPB(pH7.5)及び500mM NaCl 15mlを流速1ml/min でカラムに供給し、洗浄を行った。
溶出ステップで得たフラクションのうちFDH活性のピークが認められたフラクションをハイドロキシアパタイトカラムによる二次精製のサンプルとした。
(4−3−4)ハイドロキシアパタイトカラム
前項4−3−3で得たFDH活性含有フラクションを用いて二次精製を行った。各フラクションを一つにまとめ、Amicon Ultra-15(30kDaカット)(ミリポア社製)を用いて5000rpmで4℃にて30分間遠心分離し、脱塩後10mM KPB(pH7.2)で15ml程度に希釈した。二次精製にはEcono-Pac CHT-IIカラム 5ml(BIO-RAD社製)を使用した。手順を以下に示す。
先ず、1mM KPB(pH7.2) 30mlを流速1ml/minでカラムに供給し、平衡化を行った。次に、脱塩した後のサンプルを流速0.5ml/minでカラムに供給し(2循環させた)、タンパク質成分を結合させた。次に、1mM KPB(pH7.2) 10mlを流速1ml/minでカラムに供給し、洗浄を行った。次に、1mM〜10mM KPB(pH6.8)各10mlを流速0.5ml/minでカラムに供給し、溶出を行った。なお、1つのフラクションが0.5mlとなるように分画(計49フラクション)した。最後に、500mM KPB(pH6.8)5mlを流速1ml/minでカラムに供給し、洗浄を行った。
(4−3−5)精製タンパク質の濃度測定
Protein Assay試薬を用いたブラッドフォード法を使って、精製後のタンパク濃度定量を行った。次に、その値をもとに、野生型FDH及び変異型FDH(5B-2)のそれぞれについて、タンパク濃度が0.067mg/mlとなるように1mM MOPS(pH7.5)で調整した。
(4−4)FDH変異体の耐久性測定
野生型FDH及び変異型FDH(5B-2)のそれぞれについて0.067mg/mlに調整した酵素溶液を0.7M MOPS pH7.5、10mg/ml BSA及び0.3Mトレハロースとなるように0.2mlチューブ(BIO-RAD社製)に5μlずつ分注し、サーマルサイクラー(BIO-RAD社製)37℃で500時間後の残存活性を測定した。
(5)結果のまとめ
前記(4−4)で行った耐久性試験の結果を図3に示す。図3から分かるように、プラスミド名5B-2に示される5重変異型ギ酸脱水素酵素(G73A、V99I、V153I、H155Q及びN298Y)は、野生型ギ酸脱水素酵素がほぼ完全に失活するような時間が経過した後においても80%以上の活性を維持できることが明らかとなった。このように、プラスミド名5B-2に示される5重変異型ギ酸脱水素酵素は、極めて優れた耐久性を有する酵素といえる。
また、前記(3−1)で取得した3種類の4重変異型ギ酸脱水素酵素について、前記(4−2)で行った耐久性加速試験の結果を図4に示す。また、これら3種類の4重変異型ギ酸脱水素酵素及び野生型のギ酸脱水素酵素について比活性を測定した結果を図5に示す。図5に示すように、上記(3−1)で取得した3種類の4重変異型ギ酸脱水素酵素については、野生型とほぼ同等の比活性を示すことが分かった。これに対して、図4に示すように、上記(3−1)で取得した3種類の4重変異型ギ酸脱水素酵素については、野生型と比較すると耐久性が大幅に向上していることが分かった。
上記(3−1)で取得した5重変異型ギ酸脱水素酵素、6重変異型ギ酸脱水素酵素及び7重変異型ギ酸脱水素酵素並びに野生型ギ酸脱水素酵素について、耐久性の加速試験結果を図6〜14に示す。また、上記(3−1)で取得した5重変異型ギ酸脱水素酵素、6重変異型ギ酸脱水素酵素及び7重変異型ギ酸脱水素酵素並びに野生型ギ酸脱水素酵素について、比活性を測定した結果を図15及び16に示す。なお、図15及び16は、野生型のギ酸脱水素酵素の比活性を1としたときの相対値として示している。また、図15は、野生型のギ酸脱水素酵素と同等の比活性を示す変異型ギ酸脱水素酵素を纏めて示している。また、図16は、主として野生型のギ酸脱水素酵素よりやや劣る比活性を示す変異型ギ酸脱水素酵素を示している。
図6〜9に示すように、プラスミド名5B-2、5B-4、5C-2、6B-1、6B-11、6B-2、6B-3、6B-5、6B-7、6B-8、6C-1及び7B-3に示される変異型ギ酸脱水素酵素は、野生型のギ酸脱水素酵素と同等の比活性を示しながらも、優れた耐久性を示すことが明らかとなった。
また、図10〜12に示すように、5A-2、5B-5、6A-1、6B-4、6B-6、6B-9、6C-2、6D-1、7B-4、7D-1及び7D-2に示される変異型ギ酸脱水素酵素は、野生型のギ酸脱水素酵素と比較するとやや比活性が劣るものの、優れた耐久性を示すことが明らかとなった。
さらに、図13及び14に示すように、プラスミド名5B-6、5B-7、6B-10、6B-12、7B-1及び7B-2に示される変異型ギ酸脱水素酵素は、上述した変異型ギ酸脱水素酵素と比較すると、比活性及び/又は耐久性の点で劣るものの野生型のギ酸脱水素酵素と比較すると優れた耐久性を示すことが明らかとなった。

Claims (6)

  1. 配列番号2に示すアミノ酸配列からなるギ酸脱水素酵素の、
    A)99番目のバリンがイソロイシンに置換し、153番目のバリンがイソロイシンに置換し、155番目のヒスチジンがグルタミンに置換し及び298番目のアスパラギンがチロシンに置換したアミノ酸配列
    B)73番目のグリシンがアラニンに置換し、99番目のバリンがイソロイシンに置換し、153番目のバリンがイソロイシンに置換し及び155番目のヒスチジンがグルタミンに置換したアミノ酸配列、及び
    C)73番目のグリシンがアラニンに置換し、99番目のバリンがイソロイシンに置換し、153番目のバリンがイソロイシンに置換し及び159番目のグルタミンがロイシンに置換したアミノ酸配列
    のうちいずれか1つのアミノ酸配列を含み、耐久性が向上した変異型ギ酸脱水素酵素。
  2. 請求項1記載の変異型ギ酸脱水素酵素に含まれる上記A)のアミノ酸配列に対して、31番目のイソロイシンのロイシンへの置換、50番目のアルギニンのグリシンへの置換、73番目のグリシンのアラニンの置換、82番目のリシンのアルギニンへの置換、136番目のイソロイシンのバリンへの置換、159番目のグルタミンのロイシン又はアスパラギンへの置換、239番目のメチオニンのロイシンへの置換、287番目のヒスチジンのグルタミン又はプロリンへの置換、293番目のグルタミン酸のアスパラギン酸への置換及び343番目のアスパラギンのアルギニンへの置換からなる群から選ばれる1〜3つの置換変異を更に有するアミノ酸配列を含むことを特徴とする変異型ギ酸脱水素酵素。
  3. 請求項1記載の変異型ギ酸脱水素酵素に含まれる上記B)のアミノ酸配列に対して、31番目のイソロイシンのロイシンへの置換、50番目のアルギニンのグリシンへの置換、82番目のリシンのアルギニンへの置換、136番目のイソロイシンのバリンへの置換、159番目のグルタミンのロイシン又はアスパラギンへの置換、239番目のメチオニンのロイシンへの置換、287番目のヒスチジンのグルタミン又はプロリンへの置換、293番目のグルタミン酸のアスパラギン酸への置換、298番目のアスパラギンのチロシンへの置換及び343番目のアスパラギンのアルギニンへの置換からなる群から選ばれる1〜3つの置換変異を更に有するアミノ酸配列を含むことを特徴とする変異型ギ酸脱水素酵素。
  4. 請求項1記載の変異型ギ酸脱水素酵素に含まれる上記C)のアミノ酸配列に対して、31番目のイソロイシンのロイシンへの置換、50番目のアルギニンのグリシンへの置換、82番目のリシンのアルギニンへの置換、136番目のイソロイシンのバリンへの置換、155番目のヒスチジンのグルタミン又はリシンへの置換、239番目のメチオニンのロイシンへの置換、287番目のヒスチジンのグルタミン又はプロリンへの置換、293番目のグルタミン酸のアスパラギン酸への置換、298番目のアスパラギンのチロシンへの置換及び343番目のアスパラギンのアルギニンへの置換からなる群から選ばれる1〜3つの置換変異を更に有するアミノ酸配列を含むことを特徴とする変異型ギ酸脱水素酵素。
  5. 請求項1乃至4いずれか一項記載の変異型ギ酸脱水素酵素をコードする遺伝子。
  6. ギ酸及びNAD+を含む反応系に請求項1乃至4いずれか一項記載の変異型ギ酸脱水素酵素を作用させる、
    NADHの製造方法。
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