JP5604879B2 - 車両用シート - Google Patents

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本発明は、乗員の着座のためフロア上に固定されたシートを、該シートに隣接するフロアに設けられた凹部に移動し格納するように構成された車両用シートに関する。
かかるシートは、格納シートと呼ばれ、いわゆるミニバンタイプの自動車に採用されることが多く、3列目シートを、その後方のフロア凹部内に格納可能としている。これは、乗員が多いときは3列目シートを含めて大勢の人が座れるようにし、乗員が少なく荷物が多いときは3列目シートを凹部内に格納して荷室を広くするものである。従来の格納シートの一例を図8に基づいて説明する。図8は3列目シートがある車両後部の部分断面側面図であり、3列目シートはシートクッション3後方下部のヒンジ部4を中心に後方回転可能に固定されており、シートバック1はシートクッション3上に折り畳めるようになっている。シート後方のフロアにはシートを格納するための凹部Gが形成されており、図示のとおりシートはシートクッション3上にシートバック1を折り畳んだ状態で、ヒンジ部4を中心に後方回転して凹部Gに格納されるようになっている。下記特許文献1には同様の格納シートが開示されている。
特開平11−310068号公報
かかるシートの場合、格納に当たってはシートバック1をシートクッション3上に折り畳んでシートを小さくするようにしているが、それでもシートバック1やシートクッション3をハッチングを施して示すように乗員が快適に着座できる大きさとすると、格納時のシート軌跡が一点鎖線で示すように大きくなり、限られた大きさの凹部G内に収まらない。そのため、凹部G内にシートが格納できるようにシートバック1やシートクッション3の大きさを犠牲にせざるを得ない。なお、凹部Gを大きくできない理由は、車両の大きさによる規制の他に、バックドアB下部を受け入れる車体のフロア端部Cは、強度確保上、閉断面構造とされており、当該構造が凹部Gの入口部を狭くしている。
本発明は、このような問題に鑑み、シート格納時にシートの面積が小さくなる方向から凹部に挿入し、挿入後にシートを凹部内で移動して、小さな凹部に比較的大きなシートでも格納できるようにすることを課題とする。
本発明の第1発明は、乗員の着座のためフロア上に固定されたシートを、該シートに隣接するフロアに設けられた凹部に移動し格納するように構成された車両用シートであって、前記凹部は、その入口側が凹部内に比べて狭くされており、シートは着座状態において凹部に遠い側の第1支持部と近い側の第2支持部とでそれぞれ車体に支持され、両支持部は、シートを着座状態から格納状態へ移行させるために、シートクッション上にシートバックを折り畳んだ状態で、凹部から遠い側から近い側方向へ、且つフロア上の位置から凹部内方向へ移動させ、しかも移動初期は、シート移動時の姿勢がシートの凹部から遠い側が高く、近い側が低くなるように、且つ前記第2支持部の移動量が水平方向成分より上下方向成分が多くなるようにされ、一方、シート端部が凹部内へ到達した後は、シートの姿勢を水平方向へ暫時変化させると共に、前記第2支持部の移動量を上下方向成分より水平方向成分が多くなるように構成されていることを特徴とする車両用シートである。
第1発明によれば、シート格納時にシートの投影面積が小さくなるシート端部方向から凹部に挿入し、挿入後にシートを凹部内で移動するので、入口側が狭くなっている凹部に比較的大きなシートでも格納できる。
本発明の第2発明は、第1発明の車両用シートにおいて、前記第1支持部は前記凹部方向へ回動自在の脚部、第2支持部はレールを含み、該レールは、シート及び凹部を挟んで両側に設けられた面に沿って設けられ、第2支持部に設けられた突起部が前記レールに係合する構成とされ、またレールは、着座状態のシートに近い側は遠い側に比べて高さが高くなる傾斜とされ、しかも傾斜の度合はシートに近い側が大きくされ、レールがフロア高さより低くなる位置で傾斜度合が変化されることを特徴とする車両用シートである。
第2発明によれば、シートの支持を脚部とレールとを組合わせて実現しているため、構成を複雑にしないで必要なシート移動軌跡を自由度高く実現することができる。
本発明に係る車両用シートの一つの実施形態を示す側面図であり、シートが着座位置でシートバックを前倒しされた状態を示す。 図1と同様の図であり、シートの格納初期状態を示す。 図1と同様の図であり、シートの格納中期状態を示す。 図1と同様の図であり、シートの格納後期状態を示す。 図1と同様の図であり、シートの格納完了状態を示す。 図1と同様の実施形態の部分断面背面図であり、シートの着座状態を示す。 図1と同様の図であり、シートバックを前倒しした状態を示す。 本発明の従来技術を示す部分断面側面図である。
本発明の一実施形態として、ミニバン型自動車の後方格納シートに本発明を適用した場合について図面に基づいて説明する。図1〜7に示したシートは、車両後方のフロアFにシートに隣接して形成された凹部Gに折り畳んだシートを格納するようにされており、図6及び7から明らかなように、車両幅方向に6:4の比率で2分割されて成る。
後方格納シートは、車両前方側が車両前後方向に回動自在の脚部21、22によって支持され、車両後方側がシートクッション側部に突設されたピン31,32とこのピン31,32と係合するように車体側壁に設けられたレール33,34によって支持されている。ここで、脚部21、22は本発明の第1支持部に相当し、ピン31,32及びレール33,34は本発明の第2支持部に相当する。図6、7から明らかなように、脚部21、22、ピン31,32、レール33,34はシートの左右両側に設けられている。脚部21、22は、その回転によって図2に示すシートの格納初期にシートクッション前部が最も高くなるように設定され、左右のレール33,34は、全体として前側が高く、後側が低くなるように傾斜して形成され、傾斜の度合は前側が大きく、後側が小さくされている。かかる傾斜の度合はレール33,34の途中で大きく変化されており、側面視でレール33,34がフロアFの高さより低くなる位置でその変化点が設定されている。
図6、7において、41はシートバック11、12のためのセンターヒンジ用ブラケットであり、42、43は左右のヒンジ軸である。これらによりシートバック11、12は左右独立してシートクッション13上に前倒し可能とされている。ここでは、シートクッション13は左右で分割されず一体のものとされている。
シートの左右に突出されたピン23、25には、脚部21、22が回動自在に結合されており、脚部21、22の他端24、26は、図示を省略したピンによって車体側壁に回動自在に固定されている。ピン23、25の後方下部のシートクッション13には、ピン31、32がピン23、25より若干長く突設されており、車体側壁に固定されたレール33、34にピン31、32の先端部が係合されている。レール33、34は図1〜5から明らかなようにスリットを形成するものであり、そのスリットにピン31、32の先端部が挿入されて係合している。その係合関係を確かなものとするためピン31、32の先端はスリット幅から食み出す大きさに設定されている。なお、図1〜5ではレール33、34のスリットのみを示している。図6,7においてTは車両のサイドトリムを示す。
以上の後方格納シートが着座状態から凹部内へ格納されるまでの動きを説明する。
まず、図1のように、着座状態にあるシートのシートバック11が前倒しされる。その後、手動若しくは電動によりシートが後方へ格納動作を開始されると、脚部21が下端24のピンを中心に回動し、シート後方のピン31はレール33のスリットに沿って後下方へ移動する。シート前方側は図2において略ピーク高さとなり、シート後側はスリットに沿って急降下されるため、シートは投影面積の小さい後側端部から先に凹部Gに挿入される。図3のようにピン31がスリットの傾斜角度が急変する部分を過ぎると、シートの後側は下方への動きよりも後方への動きが大きくなり、フロアF後部の閉断面構造Cにより入口側が狭くなっている凹部Gにシートは格納される。
格納されたシートを着座状態まで移動させる動作は、上記格納動作とは逆の動きとなるのみであるので説明は省略する。
本件によれば、シートの凹部G内への格納時、シートの前を高く後を低くして、しかも後側を急降下させるようにするため、凹部Gの入口が狭くても投影面積の比較的小さなシート後端部から凹部Gの壁に干渉することなくスムーズに格納することができる。しかも、シート後部が格納された後は、シート前方が低くされながらシート全体が後方へ移動されるため、凹部G内の内部に拡がるスペースを有効に使ってシートを格納完了させることができる。
従来から類似の軌跡でシートを凹部に格納する発明が公開されているが、その場合は、シートの後側の支持が回動脚部であり、格納時はシートの後側は脚部下端を回転中心とした回動となるため、本件のような軌跡でシートを格納することはできず、本件のように入口の狭まった凹部にシートをスムーズに格納することはできない。換言すれば、従来技術に比べ、本件はより狭い凹部にもシートを格納することができる。
本発明は、上記実施形態で説明した外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、
1.実施形態としてシートの後方格納について説明したが、格納位置は前方でも側方でも良い。
2.シートバックは分割されず、一体のものでも良い。
3.シートの前後の支持部は、脚部とレールとの組合わせでなくても良いが、実用上はこの組合わせが好ましい。但し、脚部やレールの構造は種々のものが採用可能であり、例えば、レールは鉤状のものとし、シート側にはピンに代えてそのレールに結合する鉤状片とすることができる。
本発明は、自動車、電車、航空機、産業車両等の各種車両のシートに利用することができる。
11、12 シートバック
13 シートクッション
21、22 脚部(第1支持部)
31、32 ピン(第2支持部)
33、34 レール(第2支持部)
F フロア
G 凹部

Claims (1)

  1. 乗員の着座のためフロア上に固定されたシートを、該シートに隣接するフロアに設けられた凹部に移動し格納するように構成された車両用シートであって、前記凹部は、その入口側が凹部内に比べて狭くされており、シートは着座状態において凹部に遠い側の第1支持部と近い側の第2支持部とでそれぞれ車体に支持され、両支持部は、シートを着座状態から格納状態へ移行させるために、シートクッション上にシートバックを折り畳んだ状態で、凹部から遠い側から近い側方向へ、且つフロア上の位置から凹部内方向へ移動させ、しかも移動初期は、シート移動時の姿勢がシートの凹部から遠い側が高く、近い側が低くなるように、且つ前記第2支持部の移動量が水平方向成分より上下方向成分が多くなるようにされ、一方、シート端部が凹部内へ到達した後は、シートの姿勢を水平方向へ暫時変化させると共に、前記第2支持部の移動量を上下方向成分より水平方向成分が多くなるように構成され、前記第1支持部は前記凹部方向へ回動自在の脚部、第2支持部はレールを含み、該レールは、シート及び凹部を挟んで両側に設けられた面に沿って設けられ、第2支持部に設けられた突起部が前記レールに係合する構成とされ、またレールは、着座状態のシートに近い側は遠い側に比べて高さが高くなる傾斜とされ、しかも傾斜の度合はシートに近い側が大きくされ、レールがフロア高さより低くなる位置で傾斜度合が変化されることを特徴とする車両用シート。
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