JP5604239B2 - アンテナ付車両用外装品 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、車両の端部に装着するエアスポイラや、バンパ等の車両用外装品であって、外装品本体に装着されたアンテナを備えるアンテナ付車両用外装品に関する。
車両にラジオやTV等の情報機器を搭載する場合、この情報機器の受信装置は、増幅回路であるアンプ等を介して車外に設けられたアンテナに接続される。このアンテナの種類として、車体から突出するように設けられたロッドアンテナや、リアウィンドーガラスに貼り付けられたガラス用アンテナ等がある。このうち、ロッドアンテナは、安価であるが、風切り音や、見栄え悪化等の不都合が生じる可能性がある。これに対して、ガラス用アンテナの場合、風切り音の問題がなく、見栄えを向上できる可能性があるが、ガラスのサイズによっては、リアウィンドーガラスに曇り止めのために設ける電熱線との関係上、性能が低下する可能性がないとはいえない。
これに対して、車両の後端部には、車両用外装品として、車両のリフトを抑える等のためのリアスポイラであるエアスポイラを設ける場合がある。そして、一部では、このエアスポイラにアンテナを一体に設けることが考えられている。例えば、特許文献1には、エアスポイラにアンテナを内蔵させることが記載されている。この場合、上記の風切り音や、見栄え悪化、性能低下等の、他の種類のアンテナで生じる不都合をいずれも解消できる可能性がある。
例えば、ABS等の樹脂製のエアスポイラにアンテナを内蔵して、アンテナ付エアスポイラを構成する場合に、厚みが比較的大きい鋼等の金属板製のアンテナエレメントを、エアスポイラを構成するスポイラ構成部材に載せた状態で、ビス締めや、テープ止めにより固定することが考えられている。
特開2008−283609号公報
上記のようにエアスポイラに金属板製のアンテナエレメントを内蔵して、アンテナ付エアスポイラを構成する場合、アンテナエレメントをスポイラ構成部材に載せた状態で、単にビス締めやテープ止めにより固定すると、樹脂製のエアスポイラと金属板製のアンテナエレメントとの互いの線膨張係数が異なることにより、熱収縮量や熱膨張量が異なり、アンテナエレメントやエアスポイラが復元不能に変形してしまう可能性がある(第1の問題)。
また、アンテナエレメントが剛性の高い金属板製であるため、車両走行時の振動や、洗車時、バックドアの開閉時の振動等により、エアスポイラ内でアンテナエレメントが揺れ動き、アンテナエレメントがスポイラ構成部材等の他の部材との衝突により異音が発生したり、アンテナエレメント自身と他の部材との共振により異音が発生する可能性がある(第2の問題)。
これに対して、上記の第1の問題を解決するために、アンテナエレメントの上部にインシュレータを乗せ、その上からテープ等でスポイラ構成部材に固定することが考えられる。この場合、スポイラの熱収縮時や、熱膨張時にアンテナエレメントをスポイラ構成部材に対しずれて変形することが許容されるので、アンテナエレメントが、スポイラと同じ分一緒に過度に変形するのを防止することができる。また、上記の第2の問題を解決するために、アンテナエレメントと他の部材との間にクッションである緩衝材を設けて、アンテナエレメントの振動を抑制するとともに、振動による衝突音に基づく異音を防止することが考えられている。また、緩衝材を多数個所に設けることで、共振による異音を防止することも考えられている。
例えば、図11から図13に、ABS等の樹脂製のエアスポイラにアンテナを取り付ける取付構造の1例を示している。図11は、この取付構造の概略図である。図12、図13は、それぞれ図11の一部を拡大して示す図である。図11から図13に示すように、アンテナであるアンテナエレメント10は、厚みが比較的大きい鋼板等の金属板製であり、ABS樹脂により構成されるベース部材12の上側に載せた上に、インシュレータ14を載せ、テープ16によりベース部材12に固定している。また、アンテナエレメント10の複数個所の外面であり、図11、図13に斜線で示す部分に、緩衝材であるクッション18を設けている。そしてこのように構成したベースサブアッセンブリ(ベースS/A)20を、エアスポイラを構成するスポイラ構成部材22に固定している。
ただし、このような図11から図13の構造の場合、異音対策のためのクッション18を設けたり、復元不能な熱変形を防止するためのインシュレータ14やテープ16を設けるので、アンテナ付エアスポイラの構成部品が多くなり、部品コストが増大したり、組み付け工数が増大する可能性がある。
また、アンテナエレメント10を厚さの大きい金属板により構成したり、部品点数が増大することで、重量が過度に増大する可能性がないとはいえない。
さらに、アンテナエレメント10をベース部材12に載せて、ベースS/A20を構成するのは、搬送時等でのアンテナエレメント10の変形を防止するためであるが、このようなベース部材12を使用する場合、部品点数がさらに多くなるだけでなく、アンテナ付エアスポイラの全体の重量がさらに増大する可能性もある。
なお、上記では、車両用外装品がエアスポイラである場合を説明したが、車両用外装品がバンパ等の他の外装品となる場合でも、アンテナを一体に設ける場合があり、この場合も、上記と同様の不都合が生じる可能性がある。
本発明の目的は、アンテナ付車両用外装品において、部品点数及び組み付け工数の低減と、軽量化とを図るとともに、構成部品の復元不能な変形を防止し、かつ、異音の発生を抑制することである。
本発明に係るアンテナ付車両用外装品は、外装品本体に装着されたアンテナを備えるアンテナ付車両用外装品であって、アンテナは、可撓性を有するフィルム状に形成されたフィルムアンテナであり、外装品本体に一体に設けられ、フィルムアンテナをスライド可能に係止する係止部を備え、係止部は、外装品本体に一体成形して設けられた複数の爪部であり、複数の爪部は、フィルムアンテナのスライド方向に対し直交する方向に、互いに対向する位置に設けられた2つの対向用爪部を含み、2つの対向用爪部は、フィルムアンテナのスライド方向に対し直交する方向に向く両側端縁のうち、片側端縁に対向する1つの対向用爪部と、フィルムアンテナの他側端縁に対向し、1つの対向用爪部よりも先端部の曲げ部の長さを短くした別の対向用爪部とにより構成されることを特徴とするアンテナ付車両用外装品である。なお、「フィルムアンテナ」は、例えば、0.1mm以下の銅箔等の金属箔や、1.0mm以下(好ましくは0.1mm以下)のSUS鋼等の金属板を、PET、ポリエステル等の透明な樹脂フィルムによりラミネートしたものを含む(本明細書全体及び特許請求の範囲で同じとする。)。例えば、フィルムアンテナは、全体の厚さを2.0mm以下、好ましくは、1.0mm以下、より好ましくは、0.5mm以下とする。
本発明に係るアンテナ付車両用外装品によれば、外装品本体に一体に設けた係止部により、フィルムアンテナをスライド可能に保持できる。このため、上記の従来技術のようにインシュレータやテープを設けることなく、フィルムアンテナが、スポイラ等の外装品本体の変形量と同じ分一緒に過度に変形するのを防止して、フィルムアンテナや、他の構成部材の復元不能な変形を防止できる。しかも、部品点数及び組み付け工数の低減を図れるとともに、軽量なフィルムアンテナを使用できるとともに、部品点数を少なくできるので、全体の軽量化を図れる。また、組み付け時にフィルムアンテナを少なくとも一部で係止部にスライドさせたり、撓み変形させることで係止部に係止させつつ、スポイラに組み付けることができ、組み付け作業の容易化を図れる。また、樹脂板製のベース部材にアンテナエレメントを固定する手段を用いることなく、使用時や搬送時の、フィルムアンテナの振動や他の部材との衝突による異音の発生を抑制できる。
本発明に係るアンテナ付車両用外装品において、好ましくは、フィルムアンテナは、アンテナ用導体の厚さ方向両側に2枚の樹脂フィルムを積層することにより構成されている。
本発明に係るアンテナ付車両用外装品は、外装品本体に装着されたアンテナを備えるアンテナ付車両用外装品であって、アンテナは、樹脂フィルム、及び、樹脂フィルムに結合されたアンテナ導体を含み、可撓性を有するフィルム状に形成されたフィルムアンテナであり、外装品本体に一体に設けられ、フィルムアンテナをスライド可能に係止する係止部を備え、フィルムアンテナは、長さ方向両端部において、樹脂フィルムのアンテナ導体と対向する位置から外れた部分に設けられた2つの係止孔を含み、2つの係止孔のうち、少なくとも1つの係止孔は、フィルムアンテナの長さ方向に伸びている長孔状に形成され、さらに、外装品本体に設けられ、2つの係止孔のそれぞれに係止される2つの係止ピンを備え、長孔状の係止孔に係止された1つの係止ピンは、係止孔に対する長さ方向の移動が可能である。
本発明に係るアンテナ付車両用外装品によれば、部品点数及び組み付け工数の低減と、軽量化とを図るとともに、構成部品の復元不能な変形を防止し、かつ、異音の発生を抑制することができる。
本発明に係る実施の形態のアンテナ付車両用外装品である、アンテナ付エアスポイラを装着した車両の後部を示す概略断面図である。 図1のアンテナ付エアスポイラを構成する内側要素の斜視図である。 図2の内側要素を構成するフィルムアンテナを示す斜視図である。 図2の右側端部を拡大して示す図である。 図2の左右方向中間部を拡大して示す図である。 図2の左側端部を拡大して示す図である。 図6のA−A断面図である。 図6のB−B断面図である。 本発明に係る実施の形態の別例のアンテナ付エアスポイラを構成する内側要素を示す概略図である。 本発明に係る実施の形態の別例の第2例のアンテナ付エアスポイラにおいて、フィルムアンテナの取り付け部を示す断面図である。 従来のエアスポイラにアンテナを取り付ける取付構造の1例の概略図である。 図11の一部を拡大して示す図である。 図11の一部を拡大して示す図である。
以下において、図面を用いて本発明に係る実施の形態を説明する。図1から図8は、本発明に係る実施の形態を示している。図1に概略図で示すように、車両24の後端部には、本実施の形態のアンテナ付車両用外装品である、アンテナ付エアスポイラ26を取り付けている。アンテナ付エアスポイラ26は、カバーとしての外側要素28と、外側要素28の内側に固定された内側要素30とを備える。図2に示すように、内側要素30は、ABS等の樹脂により、全体に車両の左右方向に長い形状に一体成形された外装品本体である、スポイラ構成部材32と、ストップランプ34(図1では省略する。)と、アンテナエレメントであるフィルムアンテナ36とを含む。すなわち、アンテナ付エアスポイラ26(図1)は、樹脂製のスポイラ構成部材32に装着されたフィルムアンテナ36を備える。
スポイラ構成部材32は、車体側の基部38と、基部38の後端縁(図2の下端縁)に後方に突出するように設けられた、車両24(図1)の左右方向(図2の左右方向)に長い板状の後部要素40とを有する。なお、以下の説明で「左右」、「前後」は、エアスポイラ26、内側要素30を車両24に取り付けた場合の左右、前後をいう。ストップランプ34は、後部要素40の左右方向中間部に設けられた凹部42内に、少なくとも前側部分(図2の上側部分)を挿入するように固定されており、図示しない電線により、車両24内部に設けられた制御装置に接続されている。ストップランプ34は、後端部に点灯部(図示せず)を設けており、ブレーキ操作に伴って制御装置から出力する信号により点灯する。
フィルムアンテナ36は、後部要素40上に搭載し、係止部である複数の爪部により係止している。図3は、フィルムアンテナ36を取り出して示している。フィルムアンテナ36は、例えば、0.1mm以下(例えば0.035mm程度)の銅箔等の金属箔であるアンテナ用導体44を、PET等の透明な2枚の樹脂フィルム46により両側からラミネートし、2枚の樹脂フィルム46同士を外周部でアンテナ用導体44の導出部48を除いて全周で接合することにより構成される。すなわち、フィルムアンテナ36は、アンテナ用導体44の厚さ方向両側に2枚の樹脂フィルム46を積層することにより構成されている。このようにフィルムアンテナ40は、樹脂フィルム52によりアンテナ用導体50の全体を覆っているので、アンテナ用導体50への防水が図られる。また、樹脂フィルム52により、アンテナ用導体50の絶縁性及び強度を確保できる。導出部48は、アンテナ用導体44に接続した別の導体部であってもよい。このようなフィルムアンテナ36は、例えばアナログラジオの受信用として用いる。ただし、フィルムアンテナ36を、デジタルテレビ、GPSの受信用等、他の用途に適した構造に構成することもできる。なお、アンテナ用導体は、銅箔等の金属箔に限定するものではなく、例えば厚さが比較的小さい(例えば1.0mm以下(好ましくは0.1mm以下))のSUS鋼等の薄厚の金属板を用いることもできる。
フィルムアンテナ36は、全体として、可撓性を有する左右方向に長いフィルム状に形成されている。図示の例では、後端部(図3の下端部)の左右方向中間部に、後部要素40の凹部42(図2)の形状に対応して凹部50が形成されている。このため、フィルムアンテナ36は左右方向中間部で前後方向の幅が小さくなっている。また、フィルムアンテナ36の前端縁(図3の上端縁)は、略直線状または緩く湾曲した形状となっている。これに対して、フィルムアンテナ36の後端縁の左右方向両端部は、それぞれで端部に向かうほど前後方向(図3の上下方向)の幅が小さくなるように大きく湾曲させることで、両端部を先細り形状としている。また、フィルムアンテナ36の長さ方向両端部の先細り部の先端部は、湾曲したR形状部52に形成されている。
また、アンテナ用導体44の樹脂フィルム46から導出させた導出部48は、アンプユニット54の内側の図示しない回路基板に接続し、回路基板にケーブル56を接続している。ケーブル56は、同軸線と電源線とを含み、ケーブル56の端部に車両側のケーブルと接続するためのコネクタ58が設けられている。アンプユニットは、スポイラ構成部材32(図2)に固定される。
また、フィルムアンテナ36の左右方向両端部に2の係止孔である、第1係止孔60及び第2係止孔62を設けている。第1係止孔60は、フィルムアンテナ36の長さ方向(図3の左右方向)に伸びている長方形、長円形等の長孔状に形成されている。これに対して、第2係止孔62は、単なる円形に形成している。
一方、図2、図4から図7に示すように、スポイラ構成部材32を構成する後部要素40に複数の係止部である爪部64a,64b,64c,66,68を設けている。各爪部64a,64b,64c,66,68は、例えば図7に爪部66について示すように、後部要素40に一体成形して設けられたもので、フィルムアンテナ36を配置する部分の上面で、前後方向(図7の左右方向)に関して、フィルムアンテナ36の両側に外れた部分から上方に突出し、先端部でフィルムアンテナ36側にほぼ直角に曲げ形成された断面L字形に形成されている。各爪部64a,64b,64c,66,68は、フィルムアンテナ36を長さ方向(図7の表裏方向)のスライド可能に係止する機能を有する。
また、図6、図8に示すように、後部要素40において、フィルムアンテナ36の導出部48(図2、図3)の配置側とは反対側である左端部の上面に門状に形成されたゲート部70を、後部要素40に一体成形している。ゲート部70は、フィルムアンテナ36の長さ方向一端部(図2、図6の左端部)を、内側に挿入し係止する機能を有する。
次に、各爪部64a,64b,64c,66,68の配置位置を図4から図6を用いて詳述する。図4は、図2の右側端部を拡大して示す図であり、図5は、図2の左右方向中間部を拡大して示す図であり、図6は、図2の左側端部を拡大して示す図である。複数の爪部64a,64b,64c,66,68は、それぞれ複数ずつの対向用爪部64a,64b,64c、第2対向用爪部66、及び、位置ずれ爪部68を含む。まず、図4に示すように、フィルムアンテナ36の導出部48側である、後部要素40の右側端部では、フィルムアンテナ36のスライド方向である、左右方向の複数個所に、それぞれ左右方向に対し直交する前後方向に対向する位置に2ずつの対向用爪部64aを設けている。
対向用爪部64a,64b,64cのうち、導出部48と遠い側では、互いに前後に対向する2ずつの対向用爪部64b,64cが、フィルムアンテナ36のスライド方向に対し直交する前後方向に向く両側端縁のうち、後側端縁(図4の下端縁)に対向する1の対向用爪部64bと、フィルムアンテナ36の前側端縁(図4の上端縁)に対向する別の対向用爪部64cとにより構成される。別の対向用爪部64cの先端部の曲げ部の長さL1は、1の対向用爪部64bの先端部の曲げ部の長さL2よりも短くしている(L1<L2)。
また、対向用爪部64a,64b,64cのうち、導出部48と近い側で、互いに前後に対向する2ずつの対向用爪部64aは、上記の別の対向用爪部64cとほぼ同じ長さの、短い長さL3を有する。
さらに、図6に示すように、フィルムアンテナ36の導出部48(図4)と反対側である、後部要素40の左側端部では、フィルムアンテナ36のスライド方向である、左右方向の複数個所に、前後方向に互いに対向する位置に、2ずつの第2対向用爪部66を設けている。第2対向用爪部66の少なくとも一部において、互いに前後に対向する2の爪部66は、互いに同じ長さで上記の1の対向用爪部64bと同程度に大きい長さL4を有する。
また、図5に示すように、フィルムアンテナ36の長さ方向中間部を配置する部分では、後部要素40において、フィルムアンテナ36のスライド方向である、左右方向の複数個所に前後両側端縁に対向するように設けられた複数の位置ずれ爪部68を設けている。複数の位置ずれ爪部68は、互いに左右方向に対しずれるように、前後に互い違いに設けている。位置ずれ爪部68は、前後方向に対向する爪部を設けていない。すなわち、位置ずれ爪部68は千鳥状に配置している。各位置ずれ爪部68の先端部の曲げ部は、上記の別の対向用爪部64cと同程度の、短い長さL5を有する。
このような複数の爪部64a,64b,64c,66,68及びゲート部70は、フィルムアンテナ36の各部の前後方向長さに応じて、前後方向位置を規制している。すなわち、左右方向両端部で、端部に向かうほど徐々に対向用爪部64a、66同士の前後方向の間隔を小さくしている。また、左右方向中間部に設けた位置ずれ爪部68の前後方向の間隔は、フィルムアンテナ36の中間部の前後方向長さに応じて、その両側の対向用爪部64b、64c、66の前後方向の間隔に比べて小さくしている。
また、後部要素40の上面の左右方向両端部で、フィルムアンテナ36の第1係止孔60及び第2係止孔62にそれぞれ整合する位置に、円柱等の柱状の係止ピンである、第1位置決めピン72及び第2位置決めピン74を一体成形して設けている。これにより、左右方向に長い長孔状の第1係止孔60の長さ方向中間部に、第1係止孔60に対する長さ方向の移動可能に、第1位置決めピン72が係止される。また、円形の第2係止孔62に第2位置決めピン74がほぼがたつきなく係止される。なお、第2位置決めピン74がほぼがたつきなく係止されるものであれば、第2係止孔62は円形以外の形状、例えば矩形等とすることもできる。また、位置決めピン72,74も円柱以外に、例えば四角柱とすることもできる。
このようなフィルムアンテナ36を、スポイラ構成部材32に組み付ける作業は次のようにして行う。例えば、フィルムアンテナ36の図2の右端寄り部分、図4に示す部分を、前後方向片側、例えば後側の対向用爪部64a,64bに、先に差し込んだ後に、前側の対向用爪部64a,64cを、その先端部を曲げ変形させつつフィルムアンテナ36の上面側に係止させる。この際、第2係止孔62に第2位置決めピン74を挿入する。
また、図2、図5に示すフィルムアンテナ36の左右方向中間部で、位置ずれ爪部68を、前後方向片側で先に挿入するように、フィルムアンテナ36の上面側に係止させ、その後前後方向他側で先端部を曲げ変形させるように、フィルムアンテナ36の上面側に係止させる。また、フィルムアンテナ36の図2の左端寄り部分、図6に示す部分は、フィルムアンテナ36を一部で上下に撓ませつつ、右側の第2対向用爪部66から左側の第2対向用爪部66に向かって順に(図2の矢印α方向に)、フィルムアンテナ36の左端部を前後に対向する2ずつの第2対向用爪部66の内側にスライドさせつつ挿入する。そして、ゲート部70の内側にフィルムアンテナ36の左端部を挿入させ係止することで、各爪部にフィルムアンテナ36を係止する。また、この際、第1係止孔60に第1位置決めピン72を挿入する。
このようにフィルムアンテナ36は、可撓性を有するので、組み付け作業を容易に行える。また、この際、フィルムアンテナ36の左端部の前端縁はほぼ直線状または緩やかに湾曲した形状であるため、前端縁を前側の第2対向用爪部66に沿ってスライドさせることで、後側の第2対向用爪部66にもフィルムアンテナ36の後端縁を容易に係止させることができる。
なお、上記とは異なり、先にフィルムアンテナ36の左端寄り部分を第2対向用爪部66に挿入するように係止させ、その後フィルムアンテナ36の中間部及び右端寄り部分を、位置ずれ爪部68及び対向用爪部64a,64b,64cに係止させることもできる。また、フィルムアンテナ36の導出部48を設ける位置が図示の例とは左右逆になる場合には、複数の爪部の配置関係を図示の例とは左右逆にすることもできる。
このように、フィルムアンテナ36の両端部を先細り形状とすることで、フィルムアンテナ36の組み付け作業を容易に行える。すなわち、図示の例と異なり、フィルムアンテナ36の両端部を先細り形状とせず、単に矩形状とする等により前後方向長さを各部で同じとする場合、フィルムアンテナ36を爪部の内側に挿入させつつスライドさせる場合に、挿入方向前側の対向用爪部の間隔に合うように、フィルムアンテナ36の先端部のずれを過度に注意することが要求される。この場合、組み付け作業が困難になる可能性がある。これに対して、図示のように端部の先細り形状を採用する場合、このような組み付け時の位置ずれに対する過度の注意が要求されないので、組み付け性の向上を図れる。
また、第2対向用爪部66で先端部の曲げ部の長さを大きくしているので、組み付け時でのフィルムアンテナ36の爪部66からの抜けを防止しやすくできる。しかも、フィルムアンテナ36の長さ方向両端部の先細り部の先端部は、湾曲したR形状に形成されているので、挿入性を向上させ、組み付け性をより向上できる。
このような本実施の形態のアンテナ付エアスポイラ26によれば、スポイラ構成部材32に一体に設けた係止部である爪部64a,64b,64c,66,68により、フィルムアンテナ36をスライド可能に保持できる。このため、上記の従来技術のようにインシュレータやテープを設けることなく、フィルムアンテナ36が、スポイラ構成部材32の変形量と同じ分一緒に過度に変形するのを防止して、フィルムアンテナ36や、他の構成部材の復元不能な変形を防止できる。例えば、スポイラ構成部材32及びフィルムアンテナ36が熱膨張や熱収縮する場合に、熱変形量が異なっても、爪部64a,64b,64c,66,68の内側でフィルムアンテナ36が長さ方向にスライドすることで、フィルムアンテナ36の復元不能な変形を防止できる。また、フィルムアンテナ36は可撓性を有するので、多少撓んでも復元不能な変形は生じない。
しかも、本実施の形態によれば、上記の従来技術と異なり、部品点数及び組み付け工数の低減を図れるとともに、軽量なフィルムアンテナ36を使用できるとともに、部品点数を少なくできるので、全体の軽量化を図れる。このため、アンテナ付エアスポイラ26を装着した車両の燃費向上を図れる。
また、組み付け時にフィルムアンテナ36を少なくとも一部で爪部64a,64b,64c,66,68の内側にスライドさせたり、撓み変形させることで爪部64a,64b,64c,66,68に係止させつつ、エアスポイラに組み付けることができ、組み付け作業の容易化を図れる。また、従来技術と異なり、樹脂板製のベース部材にアンテナエレメントを固定する手段を用いることなく、車両走行時や洗車時等の使用時や、搬送時の、フィルムアンテナ36の振動や他の部材との衝突による異音の発生を抑制することができる。特に本実施の形態のように、フィルムアンテナ36を構成するアンテナ用導体44の外部を樹脂フィルム46で覆っている場合、フィルムアンテナ36が爪部64a,64b,64c,66,68との隙間の存在により揺れ動いたとしても異音の発生を小さく抑えるか、なくすことができる。また、このような異音抑制のために、クッション等の緩衝部材を設ける必要がなく、さらなる部品点数の削減を図れる。この結果、部品点数及び組み付け工数の低減と、軽量化とを図るとともに、構成部品の復元不能な変形を防止し、かつ、異音の発生を抑制することができる。
また、複数の爪部は、スポイラ構成部材32の左右方向複数個所に、フィルムアンテナ36のスライド方向に対し直交する方向に互いに対向する位置に設けられた2ずつの対向用爪部64a,64b,64c及び第2対向用爪部66を含むので、組み付け作業をより容易に行える。例えば、フィルムアンテナ36のスライドによる組み付け時にスライド方向に対しフィルムアンテナ36が傾斜することを抑制でき、組み付け作業を容易に行える。
また、対向用爪部64a,64b,64c,66の一部は、フィルムアンテナ36のスライド方向に対し直交する前後方向に向く両側端縁のうち、後側端縁に対向する1の対向用爪部64bと、フィルムアンテナ36の前側端縁に対向し、1の対向用爪部64bよりも先端部の曲げ部の長さを短くした別の対向用爪部64cとにより構成される。このため、曲げ部の長い1の対向用爪部64b側から先にフィルムアンテナ36を係止することで、対向用爪部64bを大きく曲げ変形させずに済み、組み付け作業をより容易に行え、かつ、フィルムアンテナ36の抜け防止を図れる。なお、図示の例では、前側の対向用爪部64cの先端部の曲げ部を短くし、後側の対向用爪部64bの先端部の曲げ部を長くしているが、対向用爪部の先端部の曲げ部の大小関係は、前後で逆にすることもできる。これは組み付け作業時の作業者のスポイラ構成部材32に対する作業位置や、組み付け作業のしやすさに応じて適宜変更可能である。
また、複数の爪部は、スポイラ構成部材32の左右方向複数個所に設けられた位置ずれ爪部68を含むので、爪部68を曲げ変形させつつ、爪部68にフィルムアンテナ36を係止させる作業を容易に行える。このため、組み付け作業をより容易に行える。
また、フィルムアンテナ36は、長さ方向両端部に設けられた第1、第2各係止孔60,62を含み、第1係止孔60は、フィルムアンテナ36の長さ方向に伸びている長孔状に形成されている。また、スポイラ構成部材32に設けられ、各係止孔60,62のそれぞれに係止される第1、第2各位置決めピン72,74を備え、長孔状の第1係止孔60に係止された第1位置決めピン72は、第1係止孔60に対する長さ方向の移動が可能である。このため、フィルムアンテナ36及びスポイラ構成部材32の熱膨張時や熱収縮時の熱変形が生じる場合でも、フィルムアンテナ36のスポイラ構成部材32に対する左右方向の変形量の差、すなわち位置ずれが許容される。したがって、互いの熱変形量の差によりフィルムアンテナ36及びスポイラ構成部材32が復元不能に変形することをより有効に防止できる。なお、第1係止孔60及び第2係止孔62の両方を長孔状に形成し、第1係止孔60及び第2係止孔62に係止された第1位置決めピン72及び第2位置決めピン74を、それぞれ対応する係止孔に対する長さ方向の移動を可能とすることもできる。また、各位置決めピン72,74を係止する係止孔は、フィルムアンテナ36のアンテナ用導体44から外れた樹脂フィルム46部分ではなく、アンテナ用導体44と樹脂フィルム46とに貫通するように、アンテナ用導体44位置に係止孔を設けることもできる。
また、フィルムアンテナ36を、少なくとも一部で爪部の内側にスライドさせつつ挿入する構成を採用しているので、フィルムアンテナ36の表面に爪部による痕が生じるのを有効に防止できるとともに、熱収縮や高温高湿時に樹脂フィルム46が剥離することを有効に防止でき、かつ、組み付け性の向上を図れる。
なお、本実施の形態において、爪部の間隔、数、及び大きさは、図示の例に限定するものではなく、アンテナエレメントであるフィルムアンテナ36の形状及び大きさ等により種々に変更することができる。また、本実施の形態では、ゲート部70を、スポイラ構成部材32において、フィルムアンテナ36の長さ方向一端部側にのみ設けているが、フィルムアンテナ36の長さ方向両端部に対応する2個所位置に設けることもできる。
図9は、本発明に係る実施の形態の別例のアンテナ付エアスポイラを構成する内側要素30を示す概略図である。本実施の形態の場合、ストップランプをリアスポイラと別の部分に設ける等により、フィルムアンテナ36は、後端縁(図9の下端縁)に凹部を設けない形状としている。このため、フィルムアンテナ36はほぼ直線状で、長さ方向両端部を先細り形状としている。また、内側要素30を構成する後部要素40の上面の長さ方向複数個所に、前後(図9の上下)にそれぞれ2ずつ対向する対向用爪部76を設けている。また、2ずつの対向用爪部76の前後の間隔をほぼ同じとしている。
また、後部要素40の、導出部48と反対側の左端部に、フィルムアンテナ36の左端部を挿入可能なゲート部70を設けている。このような本実施の形態では、フィルムアンテナ36のより多くの部分を長さ方向にスライドさせつつ対向用爪部76の内側に係止することができる。その他の構成及び作用は、上記の図1から図8の実施の形態と同様であるので、重複する説明は省略する。
図10は、本発明に係る実施の形態の別例の第2例のアンテナ付エアスポイラにおいて、フィルムアンテナ36の取り付け部を示す断面図である。本実施の形態の場合、エアスポイラ本体に設けた爪部にフィルムアンテナを係止する構造ではなく、エアスポイラを構成する部品であって、互いに対向した状態で固定する樹脂製の2部品である上側部材78と下側部材80との間でフィルムアンテナ36をスライド可能に挟み込んで係止している。このように、樹脂製の2部品の間でフィルムアンテナ36を挟み込む構造を採用することもできる。このように2部品間でフィルムアンテナ36を挟み込むことでフィルムアンテナ36のばたつき防止を図れるとともに、熱収縮時や熱膨張時に、フィルムアンテナ36と上側部材78及び下側部材80との間に熱変形量の差がある場合でも、フィルムアンテナ36が上側部材78及び下側部材80に対しスライドするで、復元不能な変形を防止できる。なお、上側部材78は、上記の図1に示した外側要素28とし、下側部材80を図1の内側要素30とすることもできる。
なお、フィルムアンテナを設ける車両用外装品は、上記の各実施の形態のようなエアスポイラに限定するものではなく、例えば、ABS、PP等の樹脂により構成する他の車両用外装品にアンテナを設ける場合でも、本発明を実施することができる。例えば、樹脂により構成するリアバンパ等のバンパにフィルムアンテナ36を内蔵したアンテナ付バンパを構成する場合に、本発明を実施することもできる。この場合、例えばバンパを構成する樹脂製のバンパ本体にフィルムアンテナをスライド可能に係止する爪部等の係止部を設ける。
10 アンテナエレメント、12 ベース部材、14 インシュレータ、16 テープ、18 クッション、20 ベースサブアッセンブリ(ベースS/A)、22 スポイラ構成部材、24 車両、26 アンテナ付エアスポイラ、28 外側要素、30 内側要素、32 スポイラ構成部材、34 ストップランプ、36 フィルムアンテナ、38 基部、40 後部要素、42 凹部、44 アンテナ用導体、46 樹脂フィルム、48 導出部、50 凹部、52 R形状部、54 アンプユニット、56 ケーブル、58 コネクタ、60 第1係止孔、62 第2係止孔、64a,64b,64c 対向用爪部、66 第2対向用爪部、68 位置ずれ爪部、70 ゲート部、72 第1位置決めピン、74 第2位置決めピン、76 対向用爪部、78 上側部材、80 下側部材。

Claims (2)

  1. 外装品本体に装着されたアンテナを備えるアンテナ付車両用外装品であって、
    アンテナは、可撓性を有するフィルム状に形成されたフィルムアンテナであり、
    外装品本体に一体に設けられ、フィルムアンテナをスライド可能に係止する係止部を備え、
    係止部は、外装品本体に一体成形して設けられた複数の爪部であり、
    複数の爪部は、フィルムアンテナのスライド方向に対し直交する方向に、互いに対向する位置に設けられた2つの対向用爪部を含み、
    2つの対向用爪部は、フィルムアンテナのスライド方向に対し直交する方向に向く両側端縁のうち、片側端縁に対向する1つの対向用爪部と、フィルムアンテナの他側端縁に対向し、1つの対向用爪部よりも先端部の曲げ部の長さを短くした別の対向用爪部とにより構成されることを特徴とするアンテナ付車両用外装品。
  2. 外装品本体に装着されたアンテナを備えるアンテナ付車両用外装品であって、
    アンテナは、樹脂フィルム、及び、樹脂フィルムに結合されたアンテナ導体を含み、可撓性を有するフィルム状に形成されたフィルムアンテナであり、
    外装品本体に一体に設けられ、フィルムアンテナをスライド可能に係止する係止部を備え、
    フィルムアンテナは、長さ方向両端部において、樹脂フィルムのアンテナ導体と対向する位置から外れた部分に設けられた2つの係止孔を含み、
    2つの係止孔のうち、少なくとも1つの係止孔は、フィルムアンテナの長さ方向に伸びている長孔状に形成され、
    さらに、外装品本体に設けられ、2つの係止孔のそれぞれに係止される2つの係止ピンを備え、
    長孔状の係止孔に係止された1つの係止ピンは、係止孔に対する長さ方向の移動が可能であることを特徴とするアンテナ付車両用外装品。
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