JP5601867B2 - 動力伝達機構 - Google Patents

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Description

本発明は複数の外径スプライン歯を有する回転軸体と、複数の内径スプライン歯を有する回転部材とを、軸方向に摺動可能にスプライン嵌合し、前記回転軸体と前記回転部材との間で回転動力を伝達する動力伝達機構に関する。
上記動力伝達機構の代表的な例は、自動二輪車等のギヤ式変速機(特許文献1)であり、図19にその一部を示している。図19において、ギヤ式変速機は、周知のように、回転軸体として、外径スプライン歯201aを有する変速軸(たとえば変速入力軸又は変速出力軸等)201を備え、回転部材として、内径スプライン歯210aを有し前記変速軸201に軸方向摺動自在にスプライン嵌合する変速ギヤ210と、軸方向に固定された他の変速ギヤ212,213等とを備えている。摺動自在な変速ギヤ210と、この変速ギヤ210に軸方向に対向する変速ギヤ212,213との間には、それぞれドグ爪等からなるドグクラッチD1,D2が設けられている。そして、前記変速ギヤ210を、該変速ギヤ210の環状溝215に係合するシフトフォーク213によって軸方向に摺動することにより、ドグクラッチD1,D2を選択的に断続し、ギヤ式変速機内の動力伝達経路を変更し、所望の変速段位に変速するようになっている。
特開平5−346144号公報。
図20は、図19の変速軸201の外径スプライン歯201aと変速ギヤ210の内径スプライン歯210aとの噛み合い部分を模式的に示す拡大図であり、この図20において、通常、変速ギヤ210の軸方向の摺動が可能となるように、変速軸201の外径スプライン歯201aの歯面201bと、変速ギヤ210の内径スプライン歯210aの歯面210bとの間に、バックラッシュ(周方向の隙間)2Bが設けられている。なお、図20は、変速軸201の軸線O1と変速ギヤ210の軸線O2が一致し、かつ、バックラッシュ2Bが周方向の両側に均等に分散した状態を示している。
ところが、シフトフォーク213(図19)は概ね半円形状に形成されており、変速ギヤ210の環状溝213に略半周程度しか係合していない。従って、シフト操作時、シフトフォーク213による軸方向のスラスト荷重が変速ギヤ210の全周に均等にかからず、図21に示すように、変速ギヤ210の軸線O2が変速軸201の軸線O1に対して傾いた状態で摺動することになる。
このように、変速ギヤ210の軸線O2が傾くと、変速ギヤ210の内径スプライン歯210aの歯面210bの軸方向端縁P1が、変速軸201の外径スプライン歯201aの歯面201bに当接し、所謂「エッジ当たり状態」となり、そのため摺動抵抗が増加し、変速ギヤ210のスムースな移動を阻害することになる。このような摺動抵抗は、変速ギヤ210の軸方向の長さが短くなるに従い、変速ギヤ201の傾斜が大きくなることにより、増加する。なお、図21の傾斜状態は、変速軸201の軸線O1に対する変速ギヤ210の軸線O2の傾斜角度を、実際の角度よりも誇張して表してある。
本発明は、自動二輪車等に備えられる動力伝達機構において、簡単な構造により、変速用ギヤ等の回転部材の摺動動作が、常にスムースに行えるようにして、シフト操作等の操作タッチを向上させることを目的としている。
上記課題を解決するため、本願発明は、複数の外径スプライン歯を有する回転軸体と、複数の内径スプライン歯を有する回転部材とを、軸方向に摺動可能にスプライン嵌合し、前記回転軸体と前記回転部材との間で回転動力を伝達する動力伝達機構において、前記回転部材は、前記回転軸体より軸線寸法が短く形成されると共に、前記回転軸体に対して軸方向に摺動駆動され、さらに、前記回転部材は外周環状溝を有し、該外周環状溝には、前記回転部材を軸方向に摺動するシフトフォークが係合し、前記各外径スプライン歯は、前記回転軸体の軸線と平行に延び、前記各内径スプライン歯の軸方向端部の歯厚寸法が、軸方向中間部の歯厚寸法に比べて小さく形成されると共に、前記各内径スプライン歯の歯面の軸方向の両端縁に、面取り部が形成され、前記各内径スプライン歯の軸方向の両端部を除く中間部は、前記回転部材の軸線と平行に延びている。
上記発明において、好ましくは、次のような構成を採用することができる。
(a)前記各内径スプライン歯の歯底の近傍には、前記面取り部は形成されていない。
(b)前記各面取り部は、前記各歯面に対して、軸方向の端縁に向かって前記内径スプライン歯の内方に傾斜しており、かつ、前記内径スプライン歯の軸方向の前記両端部は、軸方向の端縁に向かうにつれて、歯厚寸法が小さく形成されている。
(c)前記内径スプライン歯の歯面に対する前記面取り部の傾斜角度は、2°乃至5°の範囲に設定され、かつ、前記面取り部の軸方向長さは0.5mm乃至1mmの範囲に設定され、前記内径スプライン歯の軸方向の前記両端部を除く前記歯面は、前記回転部材の軸線と平行に形成されている。
(d)前記回転軸体は、前記回転部材が摺動移動する摺動領域の歯厚が軸方向に亘って一様に形成され、前記回転部材と前記回転軸体とのスプライン嵌合部において、前記回転部材の軸方向端縁の円周方向隙間が、軸方向中間部の円周方向隙間に比べて大きく形成され、かつ、軸方向の中間部の前記円周方向隙間は前記回転部材の軸線方向に亘って一様に形成されている
(e)前記回転軸体は自動二輪車用変速装置の変速軸であり、前記回転部材は変速ギヤであり、軸方向の両側において、外周部又は軸方向両端部に動力伝達用の構造が形成されている
また、本願は、動力伝達機構の加工方法の発明も提供するものであり、前記いずれかの動力伝達機構の加工方法において、前記回転部材に、前記回転部材の軸芯と平行な複数の前記内径スプライン歯を形成し、次に、前記面取り部が形成される前の前記内径スプライン歯の軸方向の端縁に対し、軸方向の押圧方向と反対方向に向かって周方向の幅が広がる押圧突起部を有する押型により、軸方向に加圧し、前記面取り部をプレス加工する
(1)本発明によると、回転軸体に対して回転部材を軸方向に移動操作した時、たとえ、回転軸体の軸線に対して回転部材の軸線が傾いても、回転部材の内径スプライン歯の歯面の軸方向端縁は、面取り部で逃げることで回転軸体の外径スプライン歯の歯面に接触しないので、回転部材の傾斜による摺動抵抗の増加を抑制でき、スムースな摺動動作を確保することができる。
(2)また、スムースな摺動動作を確保しつつ、回転部材の軸方向長さを短くすることが可能となり、これにより、回転軸体の軸方向の長さもコンパクトにできる。
(3)軸方向端縁部の円周方向隙間が大きくなり、回転体が傾いて摺動しても、内径スプライン歯の歯面の軸方向端縁が、外面スプライン歯の歯面に接触しなくなり、摺動時の回転部材の引っ掛かりが防止でき、摺動操作が軽くなる。また、回転部材が軸方向のいずれに摺動する場合でも、回転部材の傾斜による摺動抵抗の増加を抑制でき、スムースな摺動動作を確保することができる。
(4)フトフォークの操作により、エッジ当たりが生じ易い環境であっても、上記同様の効果を奏する。
(5)構成(b)並びに(c)によると、回転部材の軸方向端部に傾斜が形成されるので、従来例のようなエッジ当たりを避けることができ、摺動抵抗が小さくなる。
(6)構成(d)によると、摺動時、内径スプライン歯の歯面の軸方向端縁が、外面スプライン歯の歯面に接触しなくなり、摺動時の回転部材の引っ掛かりが防止できる。
(7)構成(e)によると、自動二輪車用の変速装置において、変速操作時の操作荷重が低減し、操作タッチが向上する。
(8)また、面取り部の加工方法として、押圧突起部を有する押型により、軸方向に加圧することにより、前記面取り部を形成する方法によると、スプライン歯厚の大小に拘わらず、簡単に、全内径スプライン歯に同時に、大きさの安定した面取り部を形成することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る動力伝達機構を備えた自動二輪車用ギヤ式変速装置であって、各軸を通る面で切断した断面図である。 図1の変速出力軸と変速ギヤのボス部分との嵌合状態を示す簡略拡大斜視図である。 図2の変速ギヤの単体の簡略拡大斜視図である。 図2のIV-IV断面拡大図である。 図2のV-V断面拡大図である。 図3のVI矢視拡大図である。 図3の内径スプライン歯の軸方向端部の拡大部分図である。 図7をさらに拡大図した部分図である。 図7の面取り部の各A1−A1断面、A2−A2断面及び軸方向端面を順次示す説明図である。 面取り部を形成するためプレス装置を示す斜視図である。 図10のプレス装置により面取り部を形成する工程を示す図である。 第1の実施の形態において、回転部材が傾斜した時の内径スプライン歯と外径スプライン歯との歯面の接触状態を示す作用説明図である。 面取り部の変形例を示す斜視図である。 面取り部の変形例を示す斜視図である。 面取り部の変形例を示す斜視図である。 面取り部の変形例を示す側面図である。 面取り部の変形例を示す側面図である。 面取り部の変形例を示す側面図である。 従来の動力伝達機構の一例を示す側面図である。 図19の従来例において、回転部材が傾斜していない時の内径スプライン歯と外径スプライン歯との歯面の接触状態を示す作用説明図である。 図19の従来例において、回転部材が傾斜した時の内径スプライン歯と外径スプライン歯との歯面の接触状態を示す作用説明図である。
[第1の実施の形態]
図1〜図12は、本発明の第1の実施の形態に係る動力伝達機構を備えたギヤ式変速装置であり、主として、自動二輪車に備えられており、これらの図面に基づいて第1の実施の形態を説明する。
図1において、ギヤ式変速機には、外径スプライン歯1aを有する変速入力軸(回転軸体の一例)1及び外径スプライン歯2aを有する変速出力軸(回転軸体の一例)2が互いに平行に備えられ、変速入力軸1の軸方向の一端部は、クラッチ等を介してエンジンの出力軸に連結され、変速出力軸2の軸方向の他端部は、出力スプロケット(図示せず)及び駆動チェーン(図示せず)等を介して自動二輪車の後車輪に連結されている。
変速入力軸1には、入力側第1、第2,第3,第4、第5及び第6速ギヤ11,12,13,14,15,16が設けられ、変速出力軸2には、前記入力側第1、第2,第3,第4、第5及び第6速ギヤ11,12,13,14,15,16に常時噛み合う出力側第1、第2,第3,第4、第5及び第6速ギヤ21,22,23,24,25,26が設けられている。
入力側第1速ギヤ11は変速入力軸1と一体に形成され、入力側第2速ギヤ12は変速入力軸1にスプライン嵌合すると共に軸方向に固定され、入力側第5速ギヤ15及び入力側第6速ギヤ16は、変速入力軸1にブッシュを介して回転可能嵌合すると共に軸方向に固定されている。入力側第3速ギヤ13及び入力側第4速ギヤ14は、互いに一体に形成されており、それらの内径スプライン歯13a、14aが、変速入力軸1の外径スプライン歯1aにスプライン嵌合すると共に、軸方向移動自在となっている。前記入力側第3速ギヤ13及び入力側第4速ギヤ14が、特許請求の範囲における摺動可能な回転部材の一例である。
出力側第1速ギヤ21及び出力側第2速ギヤ22は、変速出力軸2に回転可能に嵌合すると共に軸方向に固定され、出力側第3速ギヤ23及び出力側第4速ギヤ24は、変速出力軸2にブッシュを介して回転可能嵌合すると共に軸方向に固定され、出力側第5速ギヤ25及び出力側第6速ギヤ26は、それらの内径スプライン歯25a、26aが変速出力軸2の外径スプライン2aにスプライン嵌合すると共に、軸方向移動自在となっている。前記出力側第5速ギヤ25及び入力側第6速ギヤ26が、特許請求の範囲における摺動可能な回転部材の別の例である。
入力側第3速ギヤ13と入力側第5速ギヤ15との間には、ドグ爪13b及びドグ爪15bからかる第1のドグクラッチD1が構成され、入力側第4速ギヤ14と入力側第6速ギヤ16との間には、ドグ爪14b及びドグ爪16bからなる第2のドグクラッチD2が構成されている。
また、出力側第5速ギヤ25と出力側第1速ギヤ21との間には、ドグ爪25b及び凹部21bからなる第3のドグクラッチD3が構成され、出力側第6速ギヤ26と出力側第2速ギヤ22との間には、ドグ爪26b及び凹部22bからなる第4のドグクラッチD4が構成され、出力側第5速ギヤ25と出力側第3速ギヤ23との間には、ドグ爪25b1及び凹部23bからなる第5のドグクラッチD5が構成され、出力側第4速ギヤ24と出力側第6速ギヤ26との間には、凹部24b及びドグ爪26b1からなる第6のドグクラッチD6が構成されている。
前記摺動する入力側第3及び第4速ギヤ13,14、出力側第5速ギヤ25及び出力側第6速ギヤ26のボス部分には、それぞれ外周環状溝31,32,33が形成されており、各外周環状溝31,32,33には、シフトドラム(図示せず)によって軸方向に移動操作されるシフトフォーク41、42、43が、それぞれ係合している。
すなわち、第1及び第2のドグクラッチD1及びD2は、シフトフォーク41により、入力側第3速ギヤ13及び入力側第4速ギヤ14を軸方向に摺動させることにより断続し、第3のドグクラッチD3及び第5のドグクラッチD5は、シフトフォーク42により、出力側第5速ギヤ25を軸方向に摺動させることにより断続し、第4のドグクラッチD4及び第6のドグクラッチD6は、シフトフォーク43により、出力側第6速ギヤ26を軸方向に摺動させることにより断続する。
前記のように変速入力軸1上で摺動操作される入力側第3速ギヤ13及び入力側第4速ギヤ14の一体物の内径スプライン歯13a、14aの軸方向両端部と、変速出力軸2上で摺動操作される出力側第5速ギヤ25の内径スプライン歯25aの軸方向両端部と、変速出力軸2上で摺動操作される出力側第6速ギヤ26の内径スプライン歯26aの軸方向両端部とに、以下に説明する面取り部54がそれぞれ形成されている。
図2は、前記摺動自在なギヤの一つである出力側第5速ギヤ(ボス部分のみ表示)25及び変速出力軸2の嵌合状態を示す簡略斜視図であり、変速出力軸2の外径スプライン歯2aは、変速出力軸2の外周面に、周方向に等間隔をおいて複数形成されると共に、変速出力軸2の軸線O1と平行に延びている。各外径スプライン歯2aの表面は、周方向両側の一対の歯面2bと、径方向外方端の刃先2cと、径方向内方端の歯底2dと、を有している。
図3は出力側第5速ギヤ25のボス部分の単体の斜視図であり、出力側第5速ギヤ25の各内径スプライン歯25aは、出力側第5速ギヤ25の内周面に、周方向に等間隔をおいて複数形成されると共に、出力側第5速ギヤ25の軸線O2と平行に延びている。各内径スプライン歯25aの表面は、周方向両側の一対の歯面25bと、径方向外方端の刃先25cと、径方向内方端の歯底25dと、を有している。
そして、前記各内径スプライン歯25aの各歯面25bの軸方向両端縁P1(一方のみが見えている)に、本発明に係る面取り部54がそれぞれ形成されている。
図4は図2のIV-IV断面拡大図であって、出力側第5速ギヤ25の軸方向の中間部の断面図であり、外径スプライン歯2aの歯面2bと内径スプライン歯25aの歯面25bとの間には、一定寸法のバックラッシュ(円周方向隙間)2Bが設けられている。図5は図2のV-V断面拡大図であって、出力側第5速ギヤ25の軸方向の端部の断面図であり、該位置では、面取り部54が形成されていることにより、外径スプライン歯2aの歯面2bと内径スプライン歯25aの歯面25bとの間には、前記軸方向の中間部のバックラッシュ2Bよりも大きい寸法のバックラッシュ(円周方向隙間)2B1が設けられている。
図6は、出力側第5速ギヤ25を軸方向から見た端面図であり、各内径スプライン歯25aの周方向両側の歯面25bにそれぞれ面取り部54が形成されており、各面取り部54は、内径スプライン歯25aの歯面25bの径方向の内方端縁から外方端縁の近傍位置に亘って形成されている。すなわち、該実施の形態では、歯底25dの近傍には、面取り部54は形成されていない。
図7乃至図9は面取り部54の具体的な形状を示しており、図7において、各面取り部54は、各歯面25bに対し、軸方向の端縁P1に向かって内径スプライン歯25aの内方に傾斜する傾斜面となっている。なお、図中の面取り部54には、認識し易いようにクロスハッチングを施している。
図8は図7の拡大図であり、各歯面25bに対する面取り部54の傾斜角度θ1は、たとえば2°乃至5°程度であり、面取り部54の軸方向長さWは0.5mm乃至1mm程度である。また、軸方向端縁P1における歯面25bに対する面取り部54の径方向の深さ(高さ)hは、0.05mm前後となっている。なお、図8に示すクロスハッチングは、後述する面取り部54のプレス加工により歯面25bから内方に圧縮される領域を示している。
図9は、図7のA1−A1断面、A2−A2断面及び端面を順次示す説明図であり、内件スプライン歯25aの両歯面25bに前記のような傾斜面状の面取り部54を形成することにより、軸方向の端縁に行くに従い、内径スプライン歯25aの歯幅が順次狭くなっていることを明確にしている。
前記傾斜面状の面取り部54の成形方法として、各歯面25bの軸方向端部をプレス加工で圧縮することにより、歯面25bを凹ませ、傾斜面とする方法があり、その成形方法を図10及び図11により説明する。
図10はプレス加工前の状態を示しており、プレス機(全体は図示せず)は、昇降可能な押圧ロッド56又は押圧ブロックを備え、該押圧ロッド56の下端に、前記変速入力軸1等と同様な外周形状の外径スプライン歯58を有する押型57を固定している。該押型57の外径スプライン歯58の上端部には、上方に向かって周方向に拡張する拡張部58aが加圧面として形成されている。出力側第5速ギヤ25は、テーブル60上に垂直姿勢で固定され、出力側第5速ギヤ25内に、矢印のように前記押型57を上方から挿入し、各内径スプライン歯25aの軸方向端縁部分を加圧する。
図11はプレス成形中の出力側第5速ギヤ25の内部の展開図であり、出力側第5速ギヤ25内に挿入された押型57は、前記拡張部58aにより各内径スプライン歯25aの歯面25bの軸方向端縁P1を加圧する。これにより、各歯面25bの軸方向端縁P1及びその近傍を圧縮し、前記図8のような傾斜面状の面取り部54を形成する。
図1の入力側第3速ギヤ13及び入力側第4速ギヤ14の一体物、並びに出力側第6速ギヤ26の各内径スプライン歯13a,14a,26aの軸方向両端縁にも、前記出力側第5速ギヤ25と同様な面取り部54が形成されている。
(作用)
図1のギヤ式変速装置を変速操作する場合に、回転するチェンジドラムのカム作用により、各シフトフォーク41,42,43を選択的に軸方向に移動し、それに応じて入力側第3、第4速ギヤ13,14の一体物、出力側第5速ギヤ25及び出力側第6速ギヤ26を選択的に軸方向に移動し、ドグクラッチD1乃至D6を選択的に断続する。
上記シフト操作により、たとえば、出力側第5速ギヤ25が軸方向に移動する場合、シフトフォーク42のスラスト荷重は出力側第5速ギヤ25の全周に亘って均一に作用しないので、図12のように、変速出力軸2の軸線O1に対して出力側第5速ギヤ25の軸線O2が傾いた状態で摺動する。しかし、内径スプライン歯25aの歯面25bの軸方向端縁に傾斜面状の面取り部54を形成してあることにより、面取り部54の基端縁(軸端側と反対側の端縁)P2が歯面25bに接触することになるので、軸端縁P1が接触する場合に比べて摺動抵抗の増加は極めて小さく、スムースな摺動を確保することができる。
出力側第5速ギヤ25が反対方向に摺動して傾斜する場合も、上記同様にスムースな摺動を確保することができる。
勿論、入力側第3速ギヤ13及び入力側第4速ギヤ14の一体物、あるいは出力側第6速ギヤ26が摺動する場合でも、前記同様なスムースな摺動が確保される。
また、本実施の形態では、面取り部54をプレス加工により圧縮成形するので、ファイバーフローが途切れることが無く、面取り部54の強度を高く保つことができる。
[その他の実施の形態]
(1)面取り部の形状及び成形方法は、図13乃至図18に示すように、各種変形例が考えられる。図13乃至図15は各変形例の軸方向の端面図、図16乃至図18は、各変形例の軸芯側から径方向に見た内面図である。以下、各変形例を説明する。
図13に示す面取り部54は、前記図8等に示す面取り部と同様、傾斜面となっているが、プレス加工ではなく、研削あるいは切削等の機械加工により、成形されている。
図14に示す面取り部54は、軸方向に見て、歯面25bに対する面取り部54の深さ(高さ)hが、歯底25d側に行くに従い小さくなっている。
図15に示す面取り部54は、軸方向に見て、歯面25bに向かって湾曲状に膨らむ形状となっている。
図16に示す面取り部54は、軸芯側から径方向に見て、軸端P1側に向かって、内径スプライン歯25aの周方向の内方側に傾斜するように形成されている。
図17に示す面取り部54は、軸芯側から径方向に見て、軸端P1側と反対側の端部が湾曲状に凹む形状となっている。
図18に示す面取り部54は、軸芯側から径方向に見て、軸端P1側が湾曲状あるいは半円状に丸く形成されている。
なお、上記図13乃至図18のいずれの変形例も、図11及び図12のようなプレス機を利用した圧縮成形することも、切削あるいは研削加工により成形することも可能である。ただし、圧縮成形は、研削あるいは切削等の機械加工よりも簡単であり、かつ、面取り部54の表面の強度が高く、面粗度も向上する。
(2)前記各実施の形態では、面取り部は、スプライン歯の周方向の両歯面及び軸方向両端部に形成したが、動力の伝達方向(回転方向)によっては、周方向の一方の歯面のみに面取り部を形成することも可能であり、また、軸方向の一端側にのみ面取り部を形成することも可能である。
(3)本発明は、自動二輪車用変速装置の変速軸及びこれにスプライン嵌合する変速ギヤとの間の動力伝達機構に限定されるものではなく、外径スプライン歯を有する回転軸体に、内径スプライン歯を有する回転部材が摺動自在にスプライン嵌合する構造の動力伝達機構であって、特に、回転部材が軸方向に移動操作される機構であれば、自動二輪車以外のものにも適用できる。
(4)本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、各種変形及び変更を行うことも可能である。
1 変速入力軸(回転軸体の一例)
1a 外径スプライン歯
2 変速出力軸(回転軸体の一例)
2a 外径スプライン歯
2b 歯面
2c 歯先
2d 歯底
13,14 入力側第3,第4速ギヤ(回転部材の一例)
25 出力側第5速ギヤ(回転部材の一例)
25a 内径スプライン歯
25b 歯面
25c 歯先
25d 歯底
26 出力側第6速ギヤ(回転部材の一例)
54 面取り部
2B バックラッシュ(円周方向隙間)

Claims (7)

  1. 複数の外径スプライン歯(2a)を有する回転軸体と、複数の内径スプライン歯(25a)を有する回転部材とを、軸方向に摺動可能にスプライン嵌合し、前記回転軸体と前記回転部材
    との間で回転動力を伝達する動力伝達機構において、
    前記回転部材は、前記回転軸体より軸線寸法が短く形成されると共に、前記回転軸体に対して軸方向に摺動駆動され、さらに、前記回転部材は外周環状溝(31)を有し、該外周環状溝(31)には、前記回転部材を軸方向に摺動するシフトフォーク(42)が係合し、
    前記各外径スプライン歯(2a)は、前記回転軸体の軸線(O1)と平行に延び、
    前記各内径スプライン歯(25a)の軸方向端部の歯厚寸法が、軸方向中間部の歯厚寸法に比べて小さく形成されると共に、前記各内径スプライン歯(25a)の歯面(25b)の軸方向の両端縁に、面取り部(54)が形成され、
    前記各内径スプライン歯(25a)の軸方向の両端部を除く中間部は、前記回転部材の軸線(O2)と平行に延びていることを特徴とする、動力伝達機構。
  2. 請求項1に記載の動力伝達機構において、
    前記各内径スプライン歯(25a)の歯底(25d)の近傍には、前記面取り部(54)は形成されていない、動力伝達機構。
  3. 請求項1又は2に記載の動力伝達機構において、
    前記各面取り部(54)は、前記各歯面(25b)に対して、軸方向の端縁(P1)に向かって前記内径スプライン歯(25a)の内方に傾斜しており、かつ、前記内径スプライン歯(25a)の軸方向の前記両端部は、軸方向の端縁(P1)に向かうにつれて、歯厚寸法が小さく形成されている、動力伝達機構。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一つに記載の動力伝達機構において、
    前記内径スプライン歯(25a)の歯面(25b)に対する前記面取り部(54)の傾斜角度(θ1)は、2°乃至5°の範囲に設定され、かつ、前記面取り部(54)の軸方向長さは0.5mm乃至1mmの範囲に設定され、
    前記内径スプライン歯(25a)の軸方向の前記両端部を除く前記歯面(25b)は、前記回転部材の軸線(O2)と平行に形成されている、動力伝達機構。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一つに記載の動力伝達機構において、
    前記回転軸体は、前記回転部材が摺動移動する摺動領域の歯厚が軸方向に亘って一様に形成され、
    前記回転部材と前記回転軸体とのスプライン嵌合部において、前記回転部材の軸方向端縁の円周方向隙間が、軸方向中間部の円周方向隙間に比べて大きく形成され、かつ、軸方向の中間部の前記円周方向隙間は前記回転部材の軸線(O2)方向に亘って一様に形成されている、動力伝達機構。
  6. 請求項2に記載の動力伝達機構において、
    前記回転軸体は自動二輪車用変速装置の変速軸であり、
    前記回転部材は変速ギヤであり、軸方向の両側において、外周部又は軸方向両端部に動力伝達用の構造が形成されている、動力伝達機構。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一つに記載の動力伝達機構の加工方法において、
    前記回転部材に、前記回転部材の軸芯(O2)と平行な複数の前記内径スプライン歯(2a)を形成し、
    次に、前記面取り部(54)が形成される前の前記内径スプライン歯(25a)の軸方向の端縁に対し、軸方向の押圧方向と反対方向に向かって周方向の幅が広がる押圧突起部を有する押型により、軸方向に加圧し、前記面取り部(54)をプレス加工する、ことを特徴とする動力伝達機構の加工方法。
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