JP5601617B2 - 電気抵抗溶接機の部品供給装置 - Google Patents

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この発明は、一対の可動電極と固定電極に対して複数種類の部品を供給し、これらの部品を鋼板部品に溶接する電気抵抗溶接機の部品供給装置に関している。
特許第3616990号公報には、真っ直ぐな電極軸線上に配置された可動電極と固定電極が溶接装置の支柱の前面から離隔した箇所に配置されているとともに、鋼板部品にプロジェクションボルトを電気抵抗溶接で溶接することが記載されている。そして、前記支柱に供給ロッド進退式の部品供給装置が装備してあることが記載されている。
特許第3616990号公報
上記特許文献に記載されている技術は、部品供給装置が支柱の横側面から支柱の前方へ延びた状態で配置してある。したがって、支柱の横側にパーツフィーダやその他の関連機器を配置する場合には、支柱の横側に大きなスペースを確保する必要があり、制約の多い工場では採用しにくいという問題がある。さらに、一対の電極に複数種類の部品を供給する場合には、複数の部品供給装置を装備する必要がある。この場合、複数の部品供給装置をコンパクトに配置しなければならない。さらに、汎用溶接機に複数の部品供給装置を装着して多機能化し、設備投資を低減させる場合の経済性も十分に配慮されなければならない。
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、複数種類の部品供給装置を一対の電極に対して装着することが、最少のスペースによって実現するとともに、経済性の高い電気抵抗溶接機の部品供給装置の提供を目的とする。
請求項1記載の発明は、真っ直ぐな電極軸線上に配置された可動電極と固定電極が溶接装置の支柱の前面から離隔した箇所に配置されているとともに、鋼板部品にプロジェクションナットおよびプロジェクションボルトを電気抵抗溶接で溶接する形式のものにおいて、
複数種類の部品を前記可動電極または固定電極に供給する複数の部品供給装置が、前記支柱または該支柱から突き出ている突出部材に取り付けた支持部材を介して前記支柱の前面を含む仮想平面から離隔した空間に配置してあり、
前記可動電極または固定電極のいずれか一方の電極にプロジェクションボルトが挿入される受入孔が設けられ、この受入孔に進退可能な状態でプロジェクションナットや鋼板部品の位置決めを行うガイドピンが挿入されており、
装置全体の動作システムに、作業者の動作でいずれかの部品供給装置の動作開始信号が入力される制御装置が設けられ、
前記ガイドピンを進退させる進退駆動手段の進退動作が、前記複数の部品供給装置の動作開始に連動させてあり、
前記制御装置は、鋼板部品にプロジェクションナットを溶接するときには、ナット供給装置の前記動作開始信号によって前記ガイドピンが突出状態とされ、鋼板部品にプロジェクションボルトを溶接するときには、ボルト供給装置の前記動作開始信号によって前記ガイドピンが受入孔内に後退した後退状態とされるように動作することを特徴とする電気抵抗溶接機の部品供給装置である。
複数の部品供給装置が、前記支柱の前面を含む仮想平面から離隔した空間に配置してある。したがって、供給ロッドが進退動作をするような形式の部品供給装置であっても、スペース面での制約が少なくて済み、複数の部品供給装置を一対の電極に対して装備することが容易に実施できる。つまり、長尺な構造の部品供給装置であっても、前記支柱に干渉することなく装備することができ、多機能化された溶接装置が簡単に確保できる。このようにして既成の溶接装置を簡単に改造することも可能となる。
また、複数の部品供給装置が、前記支柱の前面を含む仮想平面から離隔した空間に配置してあるので、支柱の横側などの近傍にパーツフィーダや制御盤などの関連機器をまとまりよく配置することができる。さらに、前記支柱または該支柱から突き出ている突出部材に取り付けた支持部材を介して部品供給装置が取り付けられているので、この支持部材の形状や大きさを適宜選定することによって、部品供給装置を所定の箇所に容易に配置することができる。また、前記突出部材に支持部材を介して部品供給装置を取り付けることによって、各部品供給装置を前記仮想平面から離隔させることが行いやすくなる。そして、このような支持部材で複数の部品供給装置が配備できるので、設備費用が経済的なものとなる。
前記可動電極または固定電極のいずれか一方の電極にプロジェクションボルトが挿入される受入孔が設けられ、この受入孔に進退可能な状態でプロジェクションナットや鋼板部品の位置決めを行うガイドピンが挿入されている。
このような構造の電極であるから、ボルトを受入孔へ挿入して鋼板部品に溶接したり、受入孔から突き出ているガイドピンで鋼板部品とナットの位置決めを行って鋼板部品にナットを溶接したりすることができて、多機能な電極をえることができる。
前記ガイドピンを進退させる進退駆動手段の進退動作が、前記複数の部品供給装置の動作に連動させてある。
例えば、鋼板部品にプロジェクションナットを溶接するときには、ナット供給装置の動作開始信号によって前記ガイドピンを突出状態とし、この突出したガイドピンに鋼板部品を位置決めし、その後、ガイドピンにナットを供給してから、可動電極を動作させて溶接を完了する。あるいは、鋼板部品にフランジ付きプロジェクションボルトを溶接するときには、ボルト供給装置の動作開始信号によって前記ガイドピンを受入孔内に後退させて、その後、ボルトを受入孔に挿入してから、可動電極を動作させて溶接を完了する。このように、ナット供給装置やボルト供給装置の動作信号に応じて、ガイドピンの進退位置を事前に設定する。したがって、ナットあるいはボルトの種類に応じて自動的にガイドピンの適正位置が設定できて、確実な溶接動作が確保できる。
前記部品供給装置は部品を保持した供給ロッドが傾斜した方向に進退するものであり、前記供給ロッドの進退軸線と前記電極軸線とのなす交差角は鋭角である。
上記のように、前記支柱の前面を含む仮想平面から離隔した空間において、供給ロッドの進退軸線と電極軸線とのなす交差角が鋭角とされているから、支柱から前側のスペースにおいて左右横方向へのスペース拡大を極力少なくして、装置全体をコンパクトにまとめることができる。よって、狭い箇所における装置の設置にとって効果的である。
前記鋭角は、30度〜55度である。
このような角度範囲を設定することによって、上述のように装置のコンパクト化が促進される。
装置全体の正面図である。 装置を真上から見た平面図である。 各供給装置の具体構造を示す断面図である。 各供給装置の動作制御を示すシステム図である。 装置を真上から見た平面図である。
つぎに、本発明の電気抵抗溶接機の部品供給装置を実施するための形態を説明する。
図1〜図4は、本発明の実施例1を示す。
まず、電気抵抗溶接機の概略構造を説明する。
電気抵抗溶接機100は、種々な部品供給装置A、B、CおよびDを備えている。床1から鉛直方向に起立させた支柱2は、図2から明らかなように、長方形の断面形状とされており、その前面3に上側支持アーム4と下側支持アーム5が結合してある。上側支持アーム4に取り付けたエアシリンダ6によって可動電極7が上下方向に進退するようになっている。また、下側支持アーム5に固定電極8が取り付けられている。
前記可動電極7および固定電極8は、真っ直ぐな電極軸線O−O上に配置され、この電極軸線O−Oは、上側支持アーム4と下側支持アーム5が前面3から前方へ突き出ていることによって、前面3から離隔した箇所に配置されている。固定電極8上に載置された鋼板部品9にプロジェクションナットやプロジェクションボルトを供給して、鋼板部品9に溶接するようになっている。
つぎに、各種の部品を供給する複数の部品供給装置について説明する。
最初に、ナット供給装置Aについて説明する。
鉄製のプロジェクションナット11は、四角い本体の片側四隅に溶着用突起が形成されている。以下の説明において、プロジェクションナットを単にナットと表現する場合もある。ナット11の各部の寸法は、縦横が12mm、厚さが8mm、ねじ孔内径が8mmである。このナット11を供給するナット供給装置は、符号Aで示されている。その具体的な構造は、図2および図3(A)に示されている。
パーツフィーダ(図示していない)に連通している供給管12と、供給ロッド13を収容しているガイド管14が結合されている箇所に仮止室15が形成してある。この仮止室15の片側にガイド板16が固定され、そこに磁石17が埋め込んである。供給ロッド13は、ねじ孔を貫通するガイドロッド18と、ガイド管14内を摺動する大径の摺動ロッド19と、ガイドロッド18と摺動ロッド19の境界部に形成された押出し面20によって構成されている。供給ロッド13を進退させるために、エアシリンダ22がガイド管14に結合してある。
ナット供給装置Aは、エアシリンダ22、ガイド管14、突き出た状態の供給ロッド13からなる全長が980mmであり、支持部材23を介して支柱2に取り付けられている。支柱2の前面3も鉛直方向に起立した平面であり、この前面3を含む仮想平面24から離隔した箇所のスペースにナット供給装置Aが配置してある。図1のように正面から見て、ナット供給装置Aの供給ロッド13の軸線は傾斜した姿勢とされ、電極軸線O−Oとのなす角度は鋭角であり、ここでは35度である。
ナット供給装置Aがこのようなスペースに位置付けられているのは、支持部材23の形状や寸法を選定することによって実現している。図2に示すように、支持部材23は「く」の字型であり、一端は支柱2の横側面に結合され、他端はエアシリンダ22に結合されている。
固定電極8の中心部に受入孔25があけられ、ここに摺動自在な状態でガイドピン26が挿入してある。このガイドピン26は、鋼板部品9の位置決めや、ナット11の位置決めを行うために設けられている。一方、受入孔25にプロジェクションボルトの軸部を挿入するときには、ガイドピン26を受入孔25の奥の方へ後退させるようになっている。そのために、下側支持アーム5に進退駆動手段であるエアシリンダ27が固定され、そのピストンロッドがガイドピン26に結合してある。
パーツフィーダ(図示していない)から供給管12を経て移送されてきたナット11は、ガイド板16に組み込んだ磁石17の吸引力によって仮止室15で一時係止される。供給ロッド13が進出すると、ガイドロッド18がねじ孔を貫通し、その後、押出し面20がナット11の端面に当たって仮止室15から押し出して行く。そして、ガイドロッド18の先端部がガイドピン26の直前で停止すると、ナット11はガイドロッド18に案内されて滑降し、突き出ているガイドピン26に合致する。つまり、ガイドピン26の先端部が相対的にねじ孔に進入する。
今度は、ボルト供給装置Bについて説明する。
鉄製のプロジェクションボルト29は、雄ねじが形成された軸部30と、この軸部30と一体に形成された円形のフランジ部31と、フランジ部31の軸部30側の端面に形成された溶着用突起32から構成されている。以下の説明において、プロジェクションボルトを単にボルトと表現する場合もある。ボルト29の各部の寸法は、軸部30の直径は6mm、軸部30の長さは19mm、フランジ部31の直径は13mmである。このボルト29を供給するボルト供給装置は、符号Bで示されている。その具体的な構造は、図3(B)に示されている。
パーツフィーダ(図示していない)に連通している供給管33の端部に、ストッパ片34と出口孔35が設けられている。供給管33にガイド管36が溶接され、その中に摺動自在な状態で供給ロッド37が収容してある。供給ロッド37の先端部には、フランジ部31が密着する水平方向の保持面38と位置決め用突起39が形成してあり、吸引用の磁石40が設けてある。供給ロッド37を進退させるエアシリンダ43がガイド管36に結合してある。
供給管33を通ってきたボルト29がストッパ片34で受け止められると、磁石40の吸引力がフランジ部31に作用して、ボルト29は出口孔35を経て保持面38に吸着される。このときにボルト29は、位置決め用突起39で供給ロッド37の所定箇所に保持される。保持面38は水平方向の向きとなっているので、フランジ部31が保持面38に密着すると、軸部30は鉛直方向の姿勢となる。
供給ロッド37が後退するときには、磁石40の吸引力を消滅させてボルト29が連れ戻されないようにする必要がある。そのために、供給ロッド37は中空のアウタ軸41とその中に挿入してあるインナ軸42によって構成され、インナ軸42の先端部に前記磁石40が固定してある。供給ロッド37が所定位置に停止したら、インナ軸42を後退させて磁石40をフランジ部31から遠ざける。これによって磁石40の吸引力が実質的に消滅して、ボルト29が目的箇所に供給される。
図1のように正面から見て、供給ロッド37は電極軸線O−Oに対して傾斜させてあり、供給ロッド37の進退軸線と電極軸線O−Oとのなす角度は狭角とされ、ここでは45度である。
支柱2の横側面に支持部材44の一端が結合され、他端が挿入エアシリンダ45のピストンロッド46に結合してある。挿入エアシリンダ45にエアシリンダ43が一体化してあり、その進退方向は鉛直方向とされている。供給ロッド37が進出して軸部30が受入孔25と同軸になった箇所で供給ロッド37が停止する。それに引き続いて、挿入エアシリンダ45が動作すると、軸部30がガイドピン26を押し下げながら受入孔25内に進入する。なお、このような押し下げではなく、あらかじめガイドピン26を後退させておいてもよい。
ボルト供給装置Bは前述のナット供給装置Aと同様に、仮想平面24の前側、すなわち仮想平面24から離隔した箇所に配置してある。このような配置は支持部材44の形状を図2に示すように、L型とすることによって求めることができる。図2に示すように、このボルト供給装置Bの一部であるエアシリンダ43の端部が、仮想平面24をわずかに横切っているが、支障がある場合には支持部材44の形状を変形することにより、前記横切りの問題を解消することができる。
ナット供給装置Aとボルト供給装置Bは、図2のように平面的に見てそれらの長手方向が仮想平面24とほぼ平行またはそれに近い状態となるように配置してある。各装置AおよびBの長手方向にこのような方向性を持たせることにより、支柱2の横側のスペースを広く活用することができる。
つぎに、他のボルト供給装置Cについて説明する。
鉄製のプロジェクションボルト48は、雄ねじが形成された軸部49と、この軸部49と一体に形成された円形のフランジ部50と、フランジ部50の軸部49とは反対側のフランジ面に形成された溶着用突起51から構成されている。以下の説明において、プロジェクションボルトを単にボルトと表現する場合もある。ボルト48の各部の寸法は、軸部49の直径は6mm、軸部49の長さは19mm、フランジ部50の直径は13mm、溶着用突起51の直径は6.5mmである。このボルト48を供給するボルト供給装置は、符号Cで示されている。その具体的な構造は、図3(C)に示されている。
斜め下方から進出する供給ロッド52は、エアシリンダ53によって進退するようになっている。このエアシリンダ53に挿入エアシリンダ54が結合され、そのピストンロッド55が支持部材56の一端に結合してある。支持部材56の他端は支柱2の横側面に結合してある。挿入エアシリンダ54のピストンロッド55は鉛直方向に進退するように、挿入エアシリンダ54の取り付け姿勢が設定されている。
供給ロッド52の先端に保持ヘッド57が固定され、その下面側に保持凹部58が形成してあり、ここにボルト48の溶着用突起51が合致して軸部49が鉛直方向に保持される。この保持は、保持ヘッド57に埋め込んだ磁石59によって行われる。供給ロッド52から保持ヘッド57に空気通路61が設けられ、保持凹部58の中央部に開口している。パーツフィーダ(図示していない)に連通している供給管60の真上に保持ヘッド57が待機するようになっており、供給管60を通ってきたボルト48は保持ヘッド57の保持凹部58に吸着される。
このように長尺性のあるボルト供給装置Cも前述のナット供給装置Aやボルト供給装置Bと同様に、仮想平面24から離隔したスペースに配置してある。これを実現するために、支持部材56の形状が前述の支持部材23、44などと同様に選定されている。また、図1の正面の方向から見た供給ロッド52の進退軸線と電極軸線O−Oとの交差角度は鋭角であり、50度である。
ボルト48を保持した供給ロッド52が斜め上方に進出して、軸部49が受入孔25と同軸になった位置で停止する。ついで、挿入エアシリンダ54の動作で軸部49の先端部分が受入孔25に進入した段階で、空気通路61から空気が噴射されてボルト48は保持凹部58から離れて受入孔25内に進入する。その後、鋼板部品9が載置されて可動電極7が動作し、鋼板部品9の下側にボルト48が溶接される。このように軸部49が受入孔25内に挿入されるときには、ガイドピン26は後述の制御動作で後退させてある。
ボルト供給装置Cと後述のナット供給装置Dの配置も、図2のような図示はしていないが、ナット供給装置Aやボルト供給装置Bと同様に、仮想平面24から離隔した箇所のスペースになされている。
つぎに、他のナット供給装置Dについて説明する。
このナット供給装置Dは、蓋付きのプロジェクションナット62の供給を行うものであり、合成樹脂製の蓋63がねじ孔の上側を塞いでいる。プロジェクションナット62は、鉄製である。以下の説明において、プロジェクションナットを単にナットと表現する場合もある。供給ロッド64は水平方向に進退するもので、そのためのエアシリンダ65が設けてあり、先端部にナット62を保持する保持凹部66が形成してある。供給ロッド64に埋め込んだ磁石67の吸引力で図3に示すように、保持凹部66にナット62が保持されている。
エアシリンダ65には挿入エアシリンダ69が固定され、そのピストンロッド70が支持部材71の一端に固定してある。支持部材71の他端部は、支柱2の横側面に結合してある。挿入エアシリンダ69が動作すると、エアシリンダ65は鉛直方向に昇降するように、挿入エアシリンダ69の設置姿勢が設定してある。後退した供給ロッド64の保持凹部66にナット62を供給するために、供給管68がパーツフィーダ(図示していない)から延びてきている。
供給ロッド64が進出してナット62のねじ孔がガイドピン26と同軸位置にくると、供給ロッド64の進出は停止する。その後、挿入エアシリンダ69の動作でナット62が下降してねじ孔にガイドピン26が進入する。エアシリンダ65と挿入エアシリンダ69の動作が組み合わされて、図3(D)に矢線で示すように、スクエアーモーション47が形成される。
このような長尺性のあるナット供給装置Dも、先のナット供給装置A、ボルト供給装置B、ボルト供給装置Cなどと同様に、仮想平面24から離隔したスペースに配置してある。なお、このナット供給装置Dはその長手方向が水平方向に配置してあるので、横方向にスペースの余裕がないときには、長手方向が斜め方向になった別の形式のナット供給装置を採用することが望ましい。
前記狭角が30度未満であると、供給ロッドが固定電極や可動電極と干渉しやすくなるので、望ましくない。また、前記狭角が55度を超えると、横方向の所要スペースが大きくなるので、好ましくない。
つぎに、各供給装置とガイドピンの関連動作について説明する。
図4は、装置全体を動作させるシステム図である。同図において、矢線は信号の伝達線であり、実線は各エアシリンダへ作動空気を給排する空気管を示している。各エアシリンダ22、43、45、53、54、65、69および27などへ作動空気を給排するために、切換弁72が設けてあり、この切換弁72へ動作信号を伝達するために、制御装置73が設けてある。制御装置73は簡単なコンピュータ装置やシーケンス回路などで構成することができる。A、B、CおよびDのいずれかの供給装置を動作させるために、作業者が操作する起動スイッチ74が設けてあり、各供給装置A、B、CおよびDに対応させて74A、74B、74Cおよび74Dが設置してある。
作業者が起動スイッチ74Aを動作すると、その信号が制御装置73に入力され、最初に制御装置73からガイドピン26を突出させる信号が切換弁72に送られて、エアシリンダ27が動作しガイドピン26が突出する。ついで、作業者またはロボット装置によって鋼板部品9の下孔にガイドピン26が相対的に進入させられて、鋼板部品9の位置決めがなされる。それから制御装置73内のタイマーが作動して所定時間後にエアシリンダ22に作動空気が供給されて、供給ロッド13が進出して、ガイドピン26にナット11が供給される。その後、可動電極7が下降し溶接電流が通電されて、ナット11が鋼板部品9に溶接される。
つぎに、作業者が起動スイッチ74Bを動作すると、その信号が制御装置73に入力され、最初に制御装置73からガイドピン26を突出させる信号が切換弁72に送られて、エアシリンダ27が動作しガイドピン26が突出する。両電極間7、8の間に挿入された鋼板部品9の下孔にガイドピン26が進入して、鋼板部品9の位置決めがなされる。その後、制御装置73からの信号によってエアシリンダ43が動作してボルト20がガイドピン26と同軸になる位置まで移行され、それに引き続いて切換弁72から挿入エアシリンダ45に作動空気が送られて、図3(B)に示すように、ボルト29がガイドピン26を押し下げながら受入孔25内に進入する。磁石40が引き下げられてから供給ロッド37が後退し、可動電極7が動作して溶着用突起32が鋼板部品9に溶着する。
つぎに、作業者が起動スイッチ74Cを動作すると、その信号が制御装置73に入力され、最初に制御装置73からガイドピン26を後退させる信号が切換弁72に送られて、エアシリンダ27が動作しガイドピン26が受入孔25の奥へ後退する。その後、制御装置73からの信号によってエアシリンダ53が動作してボルト48がガイドピン26と同軸になる位置まで移行され、それに引き続いて切換弁72から挿入エアシリンダ54に作動空気が送られて、ボルト48の先端部が受入孔25に進入する。この段階で制御装置73からの信号により空気通路61から空気噴射がなされてフランジ部50が保持凹部58から離れて、図3(C)に2点鎖線で示すように、ボルト48が受入孔25に挿入される。その後、鋼板部品9が載置されてから、可動電極7が動作して溶着用突起51が鋼板部品9に溶着する。
つぎに、作業者が起動スイッチ74Dを動作すると、その信号が制御装置73に入力され、最初に制御装置73からガイドピン26を突出させる信号が切換弁72に送られて、エアシリンダ27が動作しガイドピン26が突出する。ついで、作業者またはロボット装置によって鋼板部品9の下孔にガイドピン26が相対的に進入させられて、鋼板部品9の位置決めがなされる。それから制御装置73内のタイマーが作動して所定時間後にエアシリンダ65に作動空気が供給されて、供給ロッド64が進出して、ナット62がガイドピン26と同軸になった位置で停止する。それから挿入エアシリンダ69が動作して、ガイドピン26にナット62が供給される。ナット供給が完了すると、供給ロッド64が復帰する。このようにして符号47で示すように、スクエアーモーションがなされる。その後、可動電極7が下降し溶接電流が通電されて、ナット62が鋼板部品9に溶接される。
いずれかの供給装置A、B、CおよびDを動作させるために、いずれかの起動スイッチ74A、74B、74Cおよび74Dを動作すると、選択された供給装置の動作に適応したガイドピン26の動作が連動してなされる。例えば、ナット供給装置Aを動作させるときには、この装置Aに適応したガイドピン26の待機位置が自動的に設定される。一対の電極7、8に対して種々な部品供給装置を装備したものにおいては、供給されるナットやボルトの種類とか、鋼板部品への溶接態様に適応させてガイドピン26を連動的に動作させることが不可欠であり、これを作業者の記憶で行うことは間違いや能率向上の面で得策ではない。上述のような起動スイッチ74の動作で、ガイドピン26が事前に所定の位置に移動しているので、上述のような問題点が確実に解決できる。
図4に示した制御装置73は、一般的なコンピュータ装置やシーケンス回路を用いており、上述のようにタイマーを制御装置73に内蔵したりしているが、他にいろいろなシーケンスを編成して所定の順序で動作させることができる。
上述の実施例では、ガイドピン26が固定電極8に組み込んであるが、これを可動電極7に組み込むようにしてもよい。また、鋼板部品9を差し入れるために、可動電極8全体を下側へ退避させることも可能である。
なお、上記各種のエアシリンダに換えて、進退出力をする電動モータを採用することもできる。また、上記各種の磁石(永久磁石)を電磁石に置き換えることも可能である。
以上に説明した実施例1の作用効果は、つぎのとおりである。
ナット供給装置A、Dやボルト供給装置B、Cなどの複数の部品供給装置が、支柱2の前面3を含む仮想平面24から離隔した空間に配置してある。したがって、供給ロッド13、37、52および64が進退動作をするような形式の部品供給装置であっても、スペース面での制約が少なくて済み、複数の部品供給装置を一対の電極7、8に対して装備することが容易に実施できる。つまり、長尺な構造の部品供給装置であっても、支柱2に干渉することなく装備することができ、多機能化された溶接装置が簡単に確保できる。このようにして既成の溶接装置を簡単に改造することも可能となる。
また、複数の部品供給装置が、支柱2の前面3を含む仮想平面24から離隔した空間に配置してあるので、支柱2の横側などの近傍にパーツフィーダや制御盤などの関連機器をまとまりよく配置することができる。さらに、支柱2に取り付けた支持部材23、44、56および71を介して部品供給装置が取り付けられているので、この支持部材23、44、56および71の形状や大きさを適宜選定することによって、部品供給装置を所定の箇所に容易に配置することができる。そして、このような支持部材23、44、56および71で複数の部品供給装置が配備できるので、設備費用が経済的なものとなる。
前記可動電極7または固定電極8のいずれか一方の電極にプロジェクションボルト29、48が挿入される受入孔25が設けられ、この受入孔25に進退可能な状態でプロジェクションナット11、62や鋼板部品9の位置決めを行うガイドピン26が挿入されている。
このような構造の電極であるから、ボルト29、48を受入孔26へ挿入して鋼板部品9に溶接したり、受入孔25から突き出ているガイドピン26で鋼板部品9とナット11、62の位置決めを行って鋼板部品9にナットを溶接したりすることができて、多機能な電極をえることができる。
ガイドピン26を進退させるエアシリンダ27の進退動作が、複数の部品供給装置A、B、CおよびDの動作に連動させてある。
例えば、鋼板部品9にプロジェクションナット11を溶接するときには、ナット供給装置Aの動作開始信号によってガイドピン26を突出状態とし、この突出したガイドピン26に鋼板部品9を位置決めし、その後、ガイドピン26にナット11を供給してから、可動電極7を動作させて溶接を完了する。あるいは、鋼板部品9にフランジ付きプロジェクションボルト29を溶接するときには、ボルト供給装置Bの動作開始信号によってガイドピン26を受入孔25内に後退させて、その後、ボルト29を受入孔25に挿入してから、可動電極7を動作させて溶接を完了する。このように、ナット供給装置A、Dやボルト供給装置B、Cの動作信号に応じて、ガイドピン26の進退位置を事前に設定する。したがって、ナットあるいはボルトの種類に応じて自動的にガイドピン26の適正位置が設定できて、確実な溶接動作が確保できる。
前記部品供給装置A、B、Cは部品を保持した供給ロッド13、37、52が傾斜した方向に進退するものであり、各供給ロッド13、37、52の進退軸線と電極軸線O−Oとのなす交差角は鋭角である。
上記のように、支柱2の前面3を含む仮想平面24から離隔した空間において、供給ロッド13、37、52の進退軸線と電極軸線O−Oとのなす交差角が鋭角とされているから、支柱2から前側のスペースにおいて左右横方向へのスペース拡大を極力少なくして、装置全体をコンパクトにまとめることができる。よって、狭い箇所における装置の設置にとって効果的である。
前記鋭角は、30度〜55度である。
このような角度範囲を設定することによって、上述のように装置のコンパクト化が促進される。
図5は、本発明の実施例2を示す。
実施例2は、支柱2から突き出ている突出部材4および5に、複数の部品供給装置A〜Dが支持部材23、44、56および71を介して取り付けられている。
先の実施例1では、支柱2の前面3から突き出ている部材を上側支持アーム4と下側支持アーム5と表現しているが、この実施例2では各部品供給装置A〜Dの取り付けの基礎的部材になるので、突出部材4および突出部材5と表現している。
図5に示すように、突出部材4に、ナット供給装置Aとボルト供給装置Bが支持部材23と44を介して取り付けられている。また、図示していないが、ボルト供給装置Cは支持部材56を介して下側の突出部材5に取り付けられており、ナット供給装置Dは支持部材71を介して上側の突出部材4に取り付けられている。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて先の実施例1と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。
上述のように、突出部材4および5に支持部材23、44、56および71を介して部品供給装置A〜Dを取り付けることによって、各部品供給装置A〜Dを仮想平面24から離隔させることが行いやすくなる。それ以外の作用効果は、先の実施例1と同じである。
上述のように、本発明の装置によれば、複数種類の部品供給装置を一対の電極に対して装着することが、最少のスペースによって実現するとともに、経済性の高い電気抵抗溶接機の部品供給装置がえられる。したがって、自動車の車体溶接工程や、家庭電化製品の板金溶接工程などの広い産業分野で利用できる。
A ナット供給装置
B ボルト供給装置
C ボルト供給装置
D ナット供給装置
2 支柱
3 前面
4 突出部材
5 突出部材
7 可動電極
8 固定電極
9 鋼板部品
11 プロジェクションナット
13 供給ロッド
23 支持部材
24 仮想平面
25 受入孔
26 ガイドピン
27 進退駆動手段、エアシリンダ
29 プロジェクションボルト
37 供給ロッド
44 支持部材
48 プロジェクションボルト
52 供給ロッド
56 支持部材
62 プロジェクションナット
64 供給ロッド
71 支持部材
72 切換弁
73 制御装置
74 起動スイッチ
100 電気抵抗溶接機
O−O 電極軸線

Claims (1)

  1. 真っ直ぐな電極軸線上に配置された可動電極と固定電極が溶接装置の支柱の前面から離隔した箇所に配置されているとともに、鋼板部品にプロジェクションナットおよびプロジェクションボルトを電気抵抗溶接で溶接する形式のものにおいて、
    複数種類の部品を前記可動電極または固定電極に供給する複数の部品供給装置が、前記支柱または該支柱から突き出ている突出部材に取り付けた支持部材を介して前記支柱の前面を含む仮想平面から離隔した空間に配置してあり、
    前記可動電極または固定電極のいずれか一方の電極にプロジェクションボルトが挿入される受入孔が設けられ、この受入孔に進退可能な状態でプロジェクションナットや鋼板部品の位置決めを行うガイドピンが挿入されており、
    装置全体の動作システムに、作業者の動作でいずれかの部品供給装置の動作開始信号が入力される制御装置が設けられ、
    前記ガイドピンを進退させる進退駆動手段の進退動作が、前記複数の部品供給装置の動作開始に連動させてあり、
    前記制御装置は、鋼板部品にプロジェクションナットを溶接するときには、ナット供給装置の前記動作開始信号によって前記ガイドピンが突出状態とされ、鋼板部品にプロジェクションボルトを溶接するときには、ボルト供給装置の前記動作開始信号によって前記ガイドピンが受入孔内に後退した後退状態とされるように動作することを特徴とする電気抵抗溶接機の部品供給装置。
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