JP5597227B2 - 点火プラグ - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関等に使用される点火プラグに関する。
点火プラグは、内燃機関(エンジン)等に取付けられ、燃焼室内の混合気への着火のために用いられる。一般的に点火プラグは、軸線方向に延びる軸孔を有する絶縁体と、当該軸孔の先端側に挿設される中心電極と、絶縁体の外周に設けられる主体金具と、主体金具の先端部に固定される接地電極とを備える。接地電極は、自身の略中間部分において先端部が中心電極と対向するように曲げ返されており、接地電極の先端部と中心電極の先端部との間には火花放電間隙が形成される。
また、耐食性の向上を図るべく、接地電極や主体金具の外表面に、ニッケルを主成分とする金属からなるニッケル層を設けることがある(例えば、特許文献1等参照)。
特開2002−184552号公報
ところで、接地電極は、内燃機関等の動作時において極めて高温となるため、加熱・冷却に伴い、接地電極とニッケル層との間で生じる熱膨張差が非常に大きなものとなる。そのため、接地電極の外表面に設けられたニッケル層には、熱膨張差により非常に大きな応力が加わりやすく、加熱・冷却の繰り返しによる剥離や割れ等が生じてしまいやすい。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、加熱・冷却に伴う、接地電極の外表面に設けられたニッケル層の剥離や割れ等をより確実に防止することができる点火プラグを提供することにある。
以下、上記目的を解決するのに適した各構成につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。
構成1.本構成の点火プラグは、軸線方向に延びる軸孔を有する筒状の絶縁体と、
前記軸孔の先端側に挿設された中心電極と、
前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具と、
前記主体金具の先端部に固定され、前記中心電極との間に間隙を形成する接地電極とを備え、
前記接地電極のニッケル合金により形成された外層の外表面にニッケル層が設けられた点火プラグであって、
前記ニッケル層は、カーボン(C)、リン(P)、及び、ホウ素(B)のうちの少なくとも一種を含有するとともに、自身の厚さ方向においてニッケルの濃度が80at%となる部位でのC、P、及び、Bの合計濃度が0.1at%以上0.9at%以下であり、
前記ニッケル層の厚さが16μm以上40μm以下であることを特徴とする。
上記構成1によれば、ニッケル層は、その厚さが16μm以上とされるとともに、その厚さ方向においてNiの濃度が80at%となる部位でのCやP等の合計濃度が0.1at%以上とされている。従って、ニッケル層に十分な量のCやP等が含まれることとなり、ニッケル層の形成時に、CやP等の存在により結晶粒の粒成長を効果的に抑制することができる。これにより、ニッケル層を構成する結晶粒の粒径を十分に小さくすることができ、応力に対するニッケル層の耐力を高めることができる。
また、上記構成1によれば、CやP等の合計濃度が0.9at%以下とされているため、ニッケル層が過度に硬化してしまうことをより確実に防止できる。さらに、ニッケル層の厚さが40μm以下とされているため、加熱・冷却に伴い、ニッケル層と接地電極との間で生じる熱膨張差を比較的小さなものとすることができ、ひいては熱膨張差によりニッケル層に加わる応力を比較的小さなものとすることができる。
以上のように、上記構成1によれば、ニッケル層の過度の硬化を防止しつつ、加熱・冷却に伴いニッケル層に加わる応力を小さくすることができ、さらには、応力に対するニッケル層の耐力を高めることができる。その結果、加熱・冷却に伴うニッケル層の剥離や割れ等を極めて効果的に抑制することができ、ひいてはニッケル層を設けることによる耐食性の向上効果をより顕著に発揮させることができる。
また、ニッケル層の剥離をより確実に防止できることから、剥離したニッケル層により中心電極及び接地電極間が短絡してしまうことをより確実に抑制でき、着火性の向上を図ることができる。
構成2.本構成の点火プラグは、上記構成1において、前記ニッケル層は、自身の厚さ方向においてニッケルの濃度が80at%となる部位でのC、P、及び、Bの合計濃度が0.5at%以上0.9at%以下であることを特徴とする。
上記構成2によれば、ニッケル層は、その厚さ方向においてNiの濃度が80at%となる部位でのCやP等の合計濃度が0.5at%以上とされている。従って、ニッケル層を構成する結晶粒の粒径をより一層小さくすることができ、応力に対するニッケル層の耐力を一段と増大させることができる。その結果、ニッケル層の耐剥離性をより向上させることができ、ひいては一層優れた耐食性を実現することができる。
点火プラグの構成を示す一部破断正面図である。 接地電極の外表面に設けられたニッケル層を示す一部破断拡大正面図である。
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、点火プラグ1の一部破断正面図である。尚、図1では、点火プラグ1の軸線CL1方向を図面における上下方向とし、下側を点火プラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
点火プラグ1は、筒状をなす絶縁体としての絶縁碍子2、これを保持する筒状の主体金具3などから構成されるものである。
絶縁碍子2は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その外形部において、後端側に形成された後端側胴部10と、当該後端側胴部10よりも先端側において径方向外向きに突出形成された大径部11と、当該大径部11よりも先端側においてこれよりも細径に形成された中胴部12と、当該中胴部12よりも先端側においてこれよりも細径に形成された脚長部13とを備えている。加えて、絶縁碍子2のうち、大径部11、中胴部12、及び、大部分の脚長部13は、主体金具3の内部に収容されている。そして、中胴部12と脚長部13との連接部にはテーパ状の段部14が形成されており、当該段部14にて絶縁碍子2が主体金具3に係止されている。
さらに、絶縁碍子2には、軸線CL1に沿って軸孔4が貫通形成されており、当該軸孔4の先端側には中心電極5が挿入、固定されている。中心電極5は、熱伝導性に優れる銅や銅合金等からなる内層5A、及び、ニッケル(Ni)を主成分とする合金からなる外層5Bにより構成されている。さらに、中心電極5は、全体として棒状(円柱状)をなし、その先端面が平坦に形成されるとともに、絶縁碍子2の先端から突出している。
また、軸孔4の後端側には、絶縁碍子2の後端から突出した状態で端子電極6が挿入、固定されている。
さらに、軸孔4の中心電極5と端子電極6との間には、円柱状の抵抗体7が配設されている。当該抵抗体7の両端部は、導電性のガラスシール層8,9を介して、中心電極5と端子電極6とにそれぞれ電気的に接続されている。
加えて、前記主体金具3は、低炭素鋼等の金属により形成されており、軸線CL1方向に延びる筒状をなしている。また、主体金具3の先端側外周には点火プラグ1を燃焼装置(例えば、内燃機関や燃料電池改質器等)の取付孔に取付けるためのねじ部15が形成されている。さらに、ねじ部15よりも後端側には径方向外側に突出する座部16が形成され、ねじ部15後端のねじ首17にはリング状のガスケット18が嵌め込まれている。加えて、座部16の後端側には、点火プラグ1を内燃機関等に取付ける際に所定の工具が係合される断面六角形状の工具係合部19が設けられている。また、主体金具3のうち工具係合部19よりも後端側には、絶縁碍子2を保持するための加締め部20が径方向内側に向けて屈曲形成されている。
さらに、主体金具3の内周面には、絶縁碍子2を係止するためのテーパ状の段部21が設けられている。そして、絶縁碍子2は、主体金具3に対してその後端側から先端側に向かって挿入され、自身の段部14が主体金具3の段部21に係止された状態で、主体金具3の後端側開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって主体金具3に固定されている。尚、段部14,21間には、円環状の板パッキン22が介在されている。これにより、燃焼室内の気密性を保持し、燃焼室内に晒される絶縁碍子2の脚長部13と主体金具3の内周面との隙間に入り込む燃料ガスが外部に漏れないようになっている。
さらに、加締めによる密閉をより完全なものとするため、主体金具3の後端側においては、主体金具3と絶縁碍子2との間に環状のリング部材23,24が介在され、リング部材23,24間にはタルク(滑石)25の粉末が充填されている。すなわち、主体金具3は、板パッキン22、リング部材23,24及びタルク25を介して絶縁碍子2を保持している。
また、主体金具3の先端部26には、自身の中間部分が曲げ返されて、先端部側面が中心電極5の先端部と対向する接地電極27が接合されている。接地電極27は、Ni合金〔例えば、インコネル600やインコネル601(いずれも登録商標)〕により形成された外層27Aと、前記Ni合金よりも良熱導電性金属である銅合金や純銅等により形成された内層27Bとから構成されている。
加えて、中心電極5の先端部と接地電極27の先端部との間には、間隙としての火花放電間隙28が形成されており、当該火花放電間隙28にて軸線CL1にほぼ沿った方向で火花放電が行われるようになっている。
また、図2(図2では、図示の便宜上、ニッケル層31を実際よりも厚く示している)に示すように、接地電極27の外表面(本実施形態では、接地電極27及び主体金具3の双方の外表面)には、Niを主成分とする金属からなるニッケル層31が設けられている。尚、「主成分」とあるのは、材料中、最も質量比の高い成分を指すものである。
本実施形態において、ニッケル層31は、接地電極27の外表面全域に形成されており、その厚さT(μm)が、16≦B≦40を満たすように構成されている。
さらに、本実施形態において、ニッケル層31は、リン(P)、カーボン(C)、及び、ホウ素(B)のうちの少なくとも一種を含有するとともに、自身の厚さ方向においてNiの濃度が80at%となる部位でのP、C、及び、Bの合計濃度が0.1at%以上0.9at%以下(より好ましくは、0.5at%以上0.9at%以下)とされている。すなわち、ニッケル層31の表面側は、酸素(O)等の不純物が存在し、Niの濃度比が比較的小さくなるところ、不純物がさほど存在せず、Niの濃度が80at%となるニッケル層31の比較的深い側(接地電極27の表面側)においてPやC等の合計濃度が0.1at%以上0.9at%以下とされている。尚、ニッケル層31のうちNiの濃度が80at%超となる部位でのP等の合計濃度は、ニッケル層31のうちNiの濃度が80at%となる部位でのP等の合計濃度よりも大きなものとなる。従って、ニッケル層31のうちNiの濃度が80at%となる部位でのP等の合計濃度が0.1at%以上ということは、ニッケル層31のうちNiの濃度が80at%超となる部位でのP等の合計濃度は0.1at%超となる。
次に、上記のように構成されてなる点火プラグ1の製造方法について説明する。まず、主体金具3を予め製造しておく。すなわち、円柱状の金属素材(例えば、S17CやS25Cといった鉄系素材やステンレス素材)に冷間鍛造加工等を施すことにより貫通孔を形成し、概形を製造する。その後、切削加工を施すことで外形を整え、主体金具中間体を得る。
続いて、主体金具中間体の先端面に、Ni合金等からなる直棒状の接地電極27が抵抗溶接される。当該溶接に際してはいわゆる「ダレ」が生じるので、その「ダレ」を除去した後、主体金具中間体の所定部位にねじ部15が転造によって形成される。これにより、接地電極27の溶接された主体金具3が得られる。
さらに、接地電極27の溶接された主体金具3に対して、バレルメッキ法によるメッキ処理が施され、接地電極27及び主体金具3の外表面にニッケル層31が形成される。メッキ処理に際しては、硫酸ニッケル(NiSO4)や塩化ニッケル(NiCl2)、ホウ酸(H3BO3)を含む酸性(pHが3.7±0.5程度)のメッキ用水溶液が貯留されたメッキ槽と、壁面が網や穴開き板などにより形成され、前記メッキ用水溶液の液中に浸漬される保持容器とを備えたバレルメッキ装置(図示せず)が用いられる。具体的には、前記保持容器に接地電極27の接合された主体金具3を収容し、接地電極27及び主体金具3をメッキ用水溶液中に浸漬する。そして、所定のモータにより前記保持容器を回転させながら、接地電極27及び主体金具3に対して所定の通電時間に亘って直流電流を流すことにより、接地電極27及び主体金具3の外表面全域にニッケル層31を形成する。
尚、本実施形態において、メッキ用水溶液中には、Cを有するサッカリンや2ブチン1,4ジオール、Pを有する次亜リン酸ソーダ、Bを含有するDMAB(Dimethyl Amine Borane)が含有されている。そして、これらの含有量を調節することにより、ニッケル層31は、自身の厚さ方向においてNiの濃度が80at%となる部位でのP、C、及び、Bの合計濃度が0.1at%以上0.9at%以下とされている。尚、メッキ用水溶液中に、サッカリンや次亜リン酸ソーダ等の全てを含有させる必要はなく、P等の合計濃度を上述の所定範囲とすることができる限り、メッキ用水溶液に含有させる成分は適宜変更可能である。
また、メッキ処理における通電時間や電流密度(A/dm2)を調節することで、接地電極27の外表面に形成されるニッケル層31の厚さTが16μm以上40μm以下とされる。尚、主体金具3の表面に形成されるニッケル層の厚さは、接地電極27の外表面に形成されるニッケル層31の厚さTよりも小さなものとなる。
加えて、前記主体金具3とは別に、絶縁碍子2を成形加工しておく。例えば、アルミナを主体としバインダ等を含む原料粉末を用いて、成形用素地造粒物を調製し、これを用いてラバープレス成形を行うことで、筒状の成形体が得られる。得られた成形体に対し、研削加工を施すことにより整形するとともに、整形されたものを焼成炉にて焼成することで、絶縁碍子2が得られる。
また、前記主体金具3、絶縁碍子2とは別に、中心電極5を製造しておく。すなわち、中央部に放熱性向上を図るための銅合金等を配置したNi合金に鍛造加工を施すことで中心電極5を作製する。
そして、上記のようにして得られた絶縁碍子2に対して、中心電極5、端子電極6、及び、抵抗体7が、ガラスシール層8,9によって封着固定される。ガラスシール層8,9としては、一般的にホウ珪酸ガラスと金属粉末とが混合されて調製されており、当該調製されたものが抵抗体7を挟むようにして絶縁碍子2の軸孔4内に注入された後、後方から端子電極6で押圧しつつ、焼成炉内にて加熱されることで、中心電極5等が封着固定される。尚、このとき、絶縁碍子2の後端側胴部10表面に釉薬層を同時に焼成することとしてもよいし、事前に釉薬層を形成することとしてもよい。
その後、主体金具3に対して、その後端側開口から絶縁碍子2を挿入した上で、主体金具3の後端部を軸線CL1方向に沿って押圧し、前記後端部を径方向内側に向けて屈曲させること(すなわち、加締め部20を形成すること)により、絶縁碍子2と主体金具3とが固定される。
次いで、接地電極27を中心電極5側に屈曲させるとともに、中心電極5と接地電極27との間に形成された火花放電間隙28の大きさを調整することで、上述の点火プラグ1が得られる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、ニッケル層31は、その厚さTが16μm以上とされるとともに、その厚さ方向においてNiの濃度が80at%となる部位でのCやP等の合計濃度が0.1at%以上とされている。従って、ニッケル層31に十分な量のCやP等が含まれることとなり、ニッケル層31の形成時に、CやP等の存在により結晶粒の粒成長を効果的に抑制することができる。これにより、ニッケル層31を構成する結晶粒の粒径を十分に小さくすることができ、応力に対するニッケル層31の耐力を高めることができる。
また、CやP等の合計濃度が0.9at%以下とされているため、ニッケル層31が過度に硬化してしまうことをより確実に防止できる。さらに、ニッケル層31の厚さTが40μm以下とされているため、加熱・冷却に伴い、ニッケル層31と接地電極27との間で生じる熱膨張差を比較的小さなものとすることができ、ひいては熱膨張差によりニッケル層31に加わる応力を比較的小さなものとすることができる。
以上のように、本実施形態によれば、ニッケル層31の過度の硬化を防止しつつ、加熱・冷却に伴いニッケル層31に加わる応力を小さくすることができ、さらには、応力に対するニッケル層31の耐力を高めることができる。その結果、加熱・冷却に伴うニッケル層31の剥離や割れ等を極めて効果的に抑制することができ、ひいてはニッケル層31を設けることによる耐食性の向上効果をより顕著に発揮させることができる。
また、ニッケル層31の剥離をより確実に防止できることから、剥離したニッケル層31により中心電極5及び接地電極27間が短絡してしまうことをより確実に抑制でき、着火性の向上を図ることができる。
次いで、上記実施形態で奏される作用効果を確認すべく、耐剥離性評価試験、及び、JIS H8502に規定される試験方法に基づく耐食性評価試験を行った。
耐剥離性評価試験の概要は次の通りである。すなわち、主体金具に接地電極が接合されたサンプルを複数用意するとともに、各サンプルにおける接地電極の外表面に、厚さ方向においてNiの濃度が80at%となる部位でのP、C、及び、Bの合計濃度と、ニッケル層の厚さTとを種々変更したニッケル層が形成されてなるものをそれぞれ100本ずつ用意した。そして、各サンプルの接地電極を1000±5℃にて15分間加熱した後、室温になるまで徐冷した。次いで、目視又は倍率10倍の拡大鏡により、接地電極の表面において、ニッケル層の剥離(割れ等)が生じているか否かを確認した。ここで、100本のサンプルの全てにおいて、ニッケル層の剥離が生じていなかった場合には、極めて優れた耐剥離性を有するとして「☆」の評価を下し、100本のサンプル中に、φ1mm未満のニッケル層の剥離が1本だけ生じていた場合には、優れた耐剥離性を有するとして「◎」の評価を下し、100本のサンプル中に、φ1mm未満のニッケル層の剥離が2本だけ生じていた場合には、十分な耐剥離性を有するとして「○」の評価を下すこととした。一方で、100本のサンプル中に、φ1mm以上のニッケル層の剥離が1本以上生じていた場合、又は、φ1mm未満のニッケル層の剥離が3本以上生じていた場合には、耐剥離性に劣るとして「×」の評価を下すこととした。
また、耐食性評価試験の概要は次の通りである。すなわち、上記耐剥離性評価試験を行った後のサンプルを、所定の腐食液〔塩化ナトリウム濃度を50±5(g/L)とし、酢酸によりPHを3.0に調整したもの〕を噴霧した雰囲気に6時間に亘って放置した。そして、6時間放置した後に、所定のカメラにより接地電極を撮像した。次いで、得られた撮像画像を分析することで、接地電極の表面における錆の有無を確認するとともに、錆が発生していた場合には、前記撮像画像に基づいて、接地電極の表面積に対する錆が発生した部位の面積の割合(錆割合)を算出した。ここで、錆の発生が確認されなかったサンプルは、耐食性に極めて優れるとして「☆」の評価を下し、錆が発生していたものの、錆割合が5%以下と十分に小さかったサンプルは、耐食性に優れるとして「◎」の評価を下すこととし、錆割合が5%超10%以下となったサンプルは、十分な耐食性を有するとして「○」の評価を下すこととした。一方で、錆割合が10%超となったサンプルは、耐食性に劣るとして「×」の評価を下すこととした。表1に、耐剥離性評価試験の試験結果を示し、表2に、耐食性評価試験の試験結果を示す。
尚、各サンプルにおいては、メッキ用水溶液におけるサッカリンや2ブチン1,4ジオールの含有量を変更することで、ニッケル層におけるCの濃度を変更し、メッキ用水溶液における次亜リン酸ソーダの含有量を変更することで、ニッケル層におけるPの濃度を変更し、メッキ用水溶液におけるDMAB(Dimethyl Amine Borane)の含有量を変更することで、ニッケル層におけるBの濃度を変更した。また、ニッケル層を形成する際の通電時間や電流密度を変更することで、ニッケル層の厚さTを変更した。表1及び表2には、参考として、サッカリンや2ブチン1,4ジオール、次亜リン酸ナトリウム、DMABのメッキ水溶液中における含有量、ニッケル層を形成する際の通電時間、及び、電流密度をそれぞれ示す。尚、メッキ用水溶液としては、硫酸ニッケルを250±20g/L、塩化ニッケルを50±10g/L、ホウ酸を40±10g/L含有し、PHを3.7±0.5、温度を55±5℃としたものを用いた。加えて、「ニッケル層の厚さT」とあるのは、100本のサンプルから任意に選択した10本のサンプルにおけるニッケル層の厚さの平均値をいう。
Figure 0005597227
Figure 0005597227
表1及び表2に示すように、ニッケル層の厚さTを16μm以上40μm以下とするとともに、CやP等の合計濃度を0.1at%以上0.9at%以下としたサンプルは、耐剥離性及び耐食性の双方に優れることが分かった。これは、次の(1)〜(3)が相乗的に作用したことによると考えられる。
(1)ニッケル層の厚さTを16μm以上とするとともに、CやP等の合計濃度を0.1at%以上としたことで、ニッケル層に十分なCやP等が含有されることとなり、ニッケル層を構成する結晶粒の粒成長が抑制され、応力に対するニッケル層の耐力が高まったこと。
(2)CやP等の合計濃度を0.9at%以下としたことで、ニッケル層における過度の硬化が抑制されたこと。
(3)ニッケル層の厚さTを40μm以下としたことで、加熱・冷却に伴いニッケル層と接地電極との間で生じる熱膨張差が小さくなり、ひいてはニッケル層に加わる応力が小さくなったこと。
また特に、CやP等の合計濃度を0.5at%以上としたサンプルは、一層優れた耐剥離性及び耐食性を有することが確認された。これは、CやP等の含有量を増大させたことで、ニッケル層を構成する結晶粒の粒径がより小さなものとなり、応力に対するニッケル層の耐力が一段と増大したためであると考えられる。
上記試験の結果より、加熱・冷却に伴うニッケル層の剥離を防止し、ニッケル層を設けることによる耐食性の向上効果をより確実に発揮させるべく、ニッケル層は、C、P、及び、Bのうちの少なくとも一種を含有するとともに、自身の厚さ方向においてNiの濃度が80at%となる部位でのC、P、及び、Bの合計濃度が0.1at%以上0.9at%以下であり、かつ、その厚さが16μm以上40μm以下であることが好ましいといえる。
また、耐剥離性及び耐食性を一層向上させるという観点から、ニッケル層は、その厚さ方向においてNiの濃度が80at%となる部位でのC、P、及び、Bの合計濃度が0.5at%以上であることがより好ましいといえる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)ニッケル層31の表面に、三価クロメート層(含有されるクロム成分のうち95質量%以上が三価クロムにより構成されるもの)を設けることとしてもよい。この場合には、耐食性の更なる向上を図ることができる。
(b)ニッケル層31を設けるためのメッキ処理の前段階に、ニッケルストライク処理を施し、接地電極27の表面に薄膜のニッケルストライク層を設けることとしてもよい。ニッケルストライク処理は、例えば、NiSO4やNiCl2、H3BO3、HClを含む強酸性(pHが1以下)のメッキ用水溶液を用いてバレルメッキ処理を施すものであり、ニッケルストライク処理を施すことで、接地電極27の表面に付着した不純物を除去することができる。その結果、接地電極27に対するニッケル層31の密着性をより向上させることができ、耐食性を一層向上させることができる。
(c)上記実施形態において、点火プラグ1は、火花放電間隙28において火花放電を生じさせるものであるが、本発明の技術思想を適用可能な点火プラグの構成はこれに限定されるものではない。従って、例えば、火花放電間隙に交流電力を投入し、火花放電間隙において交流プラズマを生成する点火プラグ(交流プラズマ点火プラグ)等に対して、本発明の技術思想を適用することとしてもよい。
(d)上記実施形態では、主体金具3の先端部に接地電極27が接合される場合について具体化しているが、主体金具の一部(又は、主体金具に予め溶接してある先端金具の一部)を削り出すようにして接地電極を形成する場合についても適用可能である(例えば、特開2006−236906号公報等)。
(e)上記実施形態では、工具係合部19は断面六角形状とされているが、工具係合部19の形状は、このような形状に限定されるものではない。例えば、Bi−HEX(変形12角)形状〔ISO22977:2005(E)〕等とされていてもよい。
1…点火プラグ
2…絶縁碍子(絶縁体)
3…主体金具
4…軸孔
5…中心電極
27…接地電極
28…火花放電間隙(間隙)
31…ニッケル層
CL1…軸線

Claims (2)

  1. 軸線方向に延びる軸孔を有する筒状の絶縁体と、
    前記軸孔の先端側に挿設された中心電極と、
    前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具と、
    前記主体金具の先端部に固定され、前記中心電極との間に間隙を形成する接地電極とを備え、
    前記接地電極のニッケル合金により形成された外層の外表面にニッケル層が設けられた点火プラグであって、
    前記ニッケル層は、カーボン、リン、及び、ホウ素のうちの少なくとも一種を含有するとともに、自身の厚さ方向においてニッケルの濃度が80at%となる部位でのカーボン、リン、及び、ホウ素の合計濃度が0.1at%以上0.9at%以下であり、
    前記ニッケル層の厚さが16μm以上40μm以下であることを特徴とする点火プラグ。
  2. 前記ニッケル層は、自身の厚さ方向においてニッケルの濃度が80at%となる部位でのカーボン、リン、及び、ホウ素の合計濃度が0.5at%以上0.9at%以下であることを特徴とする請求項1に記載の点火プラグ。
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