JP2013127911A - スパークプラグ及びその製造方法 - Google Patents

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高明 鬼海
Osamu Yoshimoto
修 吉本
Tsutomu Shibata
勉 柴田
Takehito Kuno
武人 久野
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Abstract

【課題】接地電極において、耐消耗性の向上を図りつつ、優れた耐変形性を実現する。
【解決手段】スパークプラグ1は、中心電極5と、中心電極5との間で火花放電間隙33を形成する接地電極27とを備える。接地電極27は、Niを93質量%以上含有する金属からなる外皮部28と、外皮部28の内部に設けられ、外皮部28よりも熱伝導性の高い放熱部29とを有する。軸線CL1に沿った、主体金具3の先端からの接地電極27の突き出し量をL(mm)としたとき、主体金具3の先端から軸線CL1に沿ってL/2だけ軸線CL1方向先端側に位置し軸線CL1に直交する平面と接地電極27の中心軸CL2との交点CPとを通り、中心軸CL2と直交する断面において、外皮部28の断面積が接地電極27の断面積の80%以下とされる。また、外皮部28の硬度が、ビッカース硬度で110Hv以上220Hv以下とされる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、内燃機関等に使用されるスパークプラグ及びその製造方法に関する。
スパークプラグは、例えば、内燃機関(エンジン)に取付けられ、燃焼室内の混合気への着火のために用いられる。一般にスパークプラグは、軸孔を有する絶縁体と、軸孔の先端側に挿通される中心電極と、絶縁体の外周に設けられる主体金具と、主体金具の先端部に接合される接地電極とを備える。また、接地電極は、自身の先端部が中心電極と対向するように自身の略中間部分において曲げ返されており、接地電極の先端部と中心電極の先端部との間には火花放電間隙が形成される。そして、火花放電間隙に高電圧が印加されることで火花放電間隙において火花放電が生じ、混合気へと着火されるようになっている(例えば、特許文献1等参照)。また、耐食性の向上を図るべく、接地電極の接合された主体金具に対して、バレルメッキ装置などによりNiメッキや亜鉛メッキが施されることがある。
さらに、接地電極は、耐熱性ひいては火花放電に対する耐消耗性を向上させるという観点から、熱伝導性に優れるNiを主成分とする金属により形成される。また近年では、Niを主成分とする金属からなる外皮部(外層)の内側に、熱伝導性に優れる金属(例えば、銅や銅合金等)からなる放熱部(内層)を設けることで、火花放電に対する耐消耗性を一層向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献2等参照)。
特開2008−108478号公報 特開2007−265843号公報
しかしながら、一般に放熱部を構成する金属の硬度は、外皮部を構成する金属の硬度よりも低いため、接地電極の内部に放熱部を設けた場合には、接地電極の機械的強度が低下してしまうおそれがある。接地電極の機械的強度が低下してしまうと、メッキ層を設ける工程や主体金具に接地電極を接合する工程において、接地電極に曲がりやねじれ等の変形が生じやすくなってしまう。すなわち、接地電極の内部に放熱部を設けた場合には、接地電極の耐変形性を確保することが難しくなってしまうおそれがある。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、接地電極において、耐消耗性の向上を図りつつ、優れた耐変形性を確保することができるスパークプラグ及びその製造方法を提供することにある。
以下、上記目的を解決するのに適した各構成につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。
構成1.本構成のスパークプラグは、軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、
前記軸孔の先端側に挿設された中心電極と、
前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具と、
前記主体金具の先端部に固定され、前記中心電極との間に間隙を形成する接地電極とを備えるスパークプラグであって、
前記接地電極は、
ニッケルを93質量%以上含有する金属からなる外皮部と、
当該外皮部の内部に設けられ、前記外皮部よりも熱伝導性の高い放熱部とを有し、
前記軸線に沿った、前記主体金具の先端からの前記接地電極の突き出し量をL(mm)としたとき、
前記主体金具の先端から前記軸線に沿ってL/2だけ前記軸線方向先端側に位置し前記軸線に直交する平面と前記接地電極の中心軸との交点とを通る断面であって、前記接地電極の中心軸と直交する断面において、前記外皮部の断面積が前記接地電極の断面積の80%以下であり、
前記外皮部の硬度が、ビッカース硬度で110Hv以上220Hv以下であることを特徴とする。
上記構成1によれば、外皮部が、熱伝導性に優れるニッケル(Ni)を93質量%以上含有する高Ni材により形成されるとともに、接地電極の内部(外皮部の内側)には、外皮部よりもさらに熱伝導性に優れる放熱部が設けられている。加えて、主体金具の先端から軸線方向先端側にL/2の位置において、外皮部の断面積が接地電極の断面積の80%以下、すなわち、放熱部の断面積が接地電極の断面積の20%以上とされている。従って、接地電極の耐熱性ひいては耐消耗性を効果的に向上させることができる。一方で、断面積が比較的大きい放熱部を設けた場合には、上述の通り、メッキ工程時などにおける接地電極の変形が懸念される。
この点、上記構成1によれば、外皮部の硬度が110Hv以上とされているため、接地電極が十分な機械的強度を有することとなる。従って、接地電極において優れた耐変形性を実現することができる。
さらに、上記構成1によれば、外皮部の硬度が220Hv以下とされている。そのため、外皮部を構成する金属の結晶粒において、歪みが生じてしまうことをより確実に抑制することができ、外皮部において熱をスムーズに伝導させることができる。従って、放熱部が設けられることと相俟って、接地電極の耐熱性を顕著に向上させることができ、ひいては接地電極の耐消耗性を飛躍的に高めることができる。
尚、上記構成1は、比較的細く(例えば、自身の中心軸と直交する断面における最大断面積が3mm2以下で)、十分な耐変形性を確保することがより難しい接地電極において、特に有効である。
構成2.本構成のスパークプラグは、上記構成1において、前記外皮部の硬度が、ビッカース硬度で130Hv以上200Hv以下であることを特徴とする。
上記構成2によれば、外皮部の硬度が130Hv以上とされているため、接地電極の機械的強度をより向上させることができる。その結果、接地電極の耐変形性を一層高めることができる。
また、上記構成2によれば、外皮部の硬度が200Hv以下とされているため、外皮部を構成する金属における結晶粒の歪みをより一層抑制することができる。従って、接地電極の熱伝導性をさらに向上させることができ、一層優れた耐消耗性を実現することができる。
構成3.本構成のスパークプラグは、前記接地電極の中心軸と直交する断面における前記接地電極の最大断面積をS(mm2)とし、前記接地電極のその中心軸に沿った長さをK(mm)としたとき、K/S(1/mm)が1.5以上5以下であり、
前記主体金具の先端から前記軸線に沿ってL/2だけ前記軸線方向先端側に位置し前記軸線に直交する平面と前記接地電極の中心軸との交点とを通る断面であって、前記接地電極の中心軸と直交する断面において、前記外皮部の断面積が前記接地電極の断面積の50%以上とされることを特徴とする。
上記構成3によれば、K/Sが5(1/mm)以下とされており、接地電極の長さKが過度に大きなものとならないように構成されている。従って、メッキ工程時等において、接地電極に加わる応力を低減させることができる。その結果、接地電極の耐変形性を一層向上させることができる。
一方で、K/Sが過度に小さい場合には、接地電極の先端部を中心電極に対して十分に接近させることができず、中心電極及び接地電極間において、適切な大きさの間隙を形成することができないおそれがある。ここで、前記間隙が過度に大きなものとなってしまうと、放電電圧が増大してしまい、接地電極が急速に消耗してしまうおそれがある。
この点、上記構成3によれば、K/Sが1.5(1/mm)以上とされているため、前記間隙を適切な大きさで形成することができる。その結果、接地電極の急速消耗を抑制することができ、耐消耗性の更なる向上を図ることができる。
さらに、上記構成3によれば、主体金具の先端から軸線方向先端側にL/2の位置において、外皮部の断面積が接地電極の断面積の50%以上とされている。従って、外皮部の硬度を110Hv以上とすることによる作用効果をより確実に発揮させることができ、接地電極の耐変形性を一層確実に向上させることができる。
尚、接地電極の長さKは、接地電極を、屈曲部と、当該屈曲部の一端から延びるストレート状の部分と、前記屈曲部の他端から延びるストレート状の部分とに分けた上で、接地電極の中心軸に沿った前記両ストレート状部分の長さと、屈曲部の中心軸の曲率半径を半径とする円の円周の長さの1/4とを合算することで求めることができる。
構成4.本構成のスパークプラグは、上記構成1乃至3のいずれかにおいて、前記放熱部は、中間層部と、前記中間層部の内部に設けられ、自身の硬度が前記中間層部の硬度よりも大きい芯部とを備えることを特徴とする。
上記構成4によれば、放熱部には、自身の硬度が中間層部の硬度よりも大きい芯部が設けられている。従って、放熱部ひいては接地電極の機械的強度を一層向上させることができ、耐変形性の更なる向上を図ることができる。
構成5.本構成のスパークプラグは、上記構成1乃至4のいずれかにおいて、前記接地電極のうち少なくとも一部の表面は、メッキ層で覆われていること特徴とする。
上記構成5によれば、接地電極の表面の少なくとも一部はメッキ層で覆われているため、接地電極の耐食性を向上させることができる。
一方で、断面積が比較的大きな放熱部を有する接地電極においては、メッキが施される際の負荷により曲がりやねじれが生じてしまいやすいが、上記構成1等を採用することで、曲がり等の発生を効果的に抑制することができる。換言すれば、上記構成1等は、接地電極の表面がメッキ層で覆われるスパークプラグにおいて、特に有意である。
構成6.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成1乃至5のいずれかに記載のスパークプラグの製造方法であって、
前記接地電極となる接地電極用金属部材を形成する金属部材形成工程を含み、
前記金属部材形成工程においては、
ニッケルを93質量%以上含有する金属の内部に当該金属よりも熱伝導性の高い金属が設けられてなる中間部材に対して、熱処理を施し、前記中間部材の硬度を低下させる軟化工程と、
前記軟化工程の後に、前記中間部材に塑性加工を施し、前記中間部材の硬度を上昇させることで、前記接地電極用金属部材を得る硬化工程と
を含むことを特徴とする。
金属材料を所定の硬度とするための手法としては、金属材料に熱処理を加え、金属材料の硬度を低減させることにより、金属材料を所定の硬度とする手法が考えられる。しかしながら、熱処理により硬度を調節する手法では、熱処理時の加熱温度や加熱時間などに若干の変動が生じただけで、金属材料の硬度が所定の硬度よりも低くなってしまったり、その硬度を所定の硬度まで低減させることができなかったりしてしまうおそれがある。すなわち、熱処理による硬度の調節手法では、温度管理等を極めて慎重に行う必要があり、所定の硬度を有する金属材料を容易に得ることができない。
この点、上記構成6によれば、熱処理を施し中間部材を一旦軟化させた上で、塑性加工により中間部材を硬化させることにより、所定の硬度を有する接地電極用金属部材が得られるように構成されている。すなわち、塑性加工により硬度を上昇させることで、部材の硬度を調節し、その硬度を所定の硬度とするように構成されている。ここで、塑性加工では、部材の加工率を調節することで、部材の硬度を容易に調節することができる。従って、所定の硬度を有する接地電極用金属部材を容易に得ることができ、生産性の向上を図ることができる。
スパークプラグの構成を示す一部破断正面図である。 スパークプラグの先端部の構成を示す一部破断拡大正面図である。 接地電極の断面構成を示す断面図である。 接地電極の別例を示す断面図である。 (a)は、外皮部対応部の断面図であり、(b)は、中間層部対応部の断面図であり、(c)は、芯部対応部の断面図であり、(d)は、中間部材の断面図であり、(e)は、押出成形装置等の構成を示す断面図であり、(f)は、接地電極用金属部材の断面図である。
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、スパークプラグ1を示す一部破断正面図である。尚、図1では、スパークプラグ1の軸線CL1方向を図面における上下方向とし、下側をスパークプラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
スパークプラグ1は、筒状をなす絶縁体としての絶縁碍子2、これを保持する筒状の主体金具3などから構成されるものである。
絶縁碍子2は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その外形部において、後端側に形成された後端側胴部10と、当該後端側胴部10よりも先端側において径方向外向きに突出形成された大径部11と、当該大径部11よりも先端側においてこれよりも細径に形成された中胴部12と、当該中胴部12よりも先端側においてこれよりも細径に形成された脚長部13とを備えている。加えて、絶縁碍子2のうち、大径部11、中胴部12、及び、大部分の脚長部13は、主体金具3の内部に収容されている。そして、中胴部12と脚長部13との連接部にはテーパ状の段部14が形成されており、当該段部14にて絶縁碍子2が主体金具3に係止されている。
さらに、絶縁碍子2には、軸線CL1に沿って延びる軸孔4が貫通形成されており、当該軸孔4の先端側には中心電極5が挿入、固定されている。当該中心電極5は、熱伝導性に優れる金属〔例えば、銅や銅合金、純ニッケル(Ni)〕からなる内層5Aと、Niを主成分とする合金からなる外層5Bとを備えている。また、中心電極5は、全体として棒状(円柱状)をなし、その先端部分が絶縁碍子2の先端から突出している。さらに、中心電極5の先端部には、耐消耗性に優れる金属(例えば、白金合金やイリジウム合金等)からなる円柱状のチップ31が設けられている。
加えて、軸孔4の後端側には、絶縁碍子2の後端から突出した状態で端子電極6が挿入、固定されている。
さらに、軸孔4の中心電極5と端子電極6との間には、円柱状の抵抗体7が配設されている。当該抵抗体7の両端部は、導電性のガラスシール層8,9を介して、中心電極5と端子電極6とにそれぞれ電気的に接続されている。
加えて、前記主体金具3は、低炭素鋼等の金属により筒状に形成されており、その外周面にはスパークプラグ1を内燃機関や燃料電池改質器等の燃焼装置に取付けるためのねじ部(雄ねじ部)15が形成されている。また、ねじ部15の後端側には座部16が外周側に向けて突出形成されており、ねじ部15後端のねじ首17にはリング状のガスケット18が嵌め込まれている。さらに、主体金具3の後端側には、主体金具3を燃焼装置に取付ける際にレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部19が設けられている。また、主体金具3の後端部には、径方向内側に向けて屈曲する加締め部20が設けられている。
さらに、主体金具3の内周面には、絶縁碍子2を係止するためのテーパ状の段部21が設けられている。そして、絶縁碍子2は、主体金具3に対してその後端側から先端側に向かって挿入され、自身の段部14が主体金具3の段部21に係止された状態で、主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって主体金具3に固定されている。尚、段部14,21間には、円環状の板パッキン22が介在されている。これにより、燃焼室内の気密性を保持し、燃焼室内に晒される絶縁碍子2の脚長部13と主体金具3の内周面との隙間に入り込む燃料ガスが外部に漏れないようになっている。
さらに、加締めによる密閉をより完全なものとするため、主体金具3の後端側においては、主体金具3と絶縁碍子2との間に環状のリング部材23,24が介在され、リング部材23,24間には滑石(タルク)25の粉末が充填されている。すなわち、主体金具3は、板パッキン22、リング部材23,24及び滑石25を介して絶縁碍子2を保持している。
また、図2に示すように、主体金具3の先端部26には、自身の略中間部分にて曲げ返されて、その先端側側面が中心電極5の先端部(チップ31)と対向する断面矩形状の接地電極27が接合されている。接地電極27は、自身の先端部に、耐消耗性に優れる金属(例えば、白金合金やイリジウム合金等)からなる円柱状のチップ32を備えており、中心電極5の先端部(チップ31)と接地電極27の先端部(チップ32)との間には、間隙としての火花放電間隙33が形成されている。そして、当該火花放電間隙33において、軸線CL1にほぼ沿った方向で火花放電が行われるようになっている。尚、前記チップ32は、抵抗溶接やレーザー溶接等により後述する外皮部28に対して接合されている。
加えて、本実施形態では、放電電圧の過大を防止すべく、火花放電間隙33の大きさGが1.3mm以下とされている。さらに、着火性を向上させつつ、接地電極27の機械的強度が過度に低下してしまうことを防止すべく、接地電極27の中心軸CL2と直交する断面における、接地電極27の最大断面積が所定範囲内(例えば、2mm2以上5mm2以下)とされている。
加えて、本実施形態において、接地電極27は、外皮部28と、その内部に設けられた放熱部29とを備えている。
外皮部28は、接地電極27の最外表に位置しており、Niを93質量%以上含有する金属により形成されている。また、本実施形態において、外皮部28には、希土類元素が一種類以上含有されており、希土類元素の総含有量が0.05質量%以上0.5質量%以下とされている。尚、希土類元素としては、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)、及び、イッテルビウム(Yb)を挙げることができる。
さらに、外皮部28には、ケイ素(Si)が所定量(例えば、0.15質量%以上2.5質量%以下)含有されるとともに、マンガン(Mn)が所定量(例えば、0.05質量%以上2.5質量%以下)含有されている。SiやMnが前記所定量含有されることで、外皮部28の表面に、デポジット(オイルや未燃焼燃料等の付着物)に対して強固な酸化膜を形成することができる。
また、本実施形態では、外皮部28の常温における硬度が、ビッカース硬度で110Hv以上220Hv以下(より好ましくは、130Hv以上200Hv以下)とされている。
尚、外皮部28の硬度は、例えば、JIS Z2244の規定に基づく手法により測定することができる。具体的には、正四角推状のダイヤモンド圧子により、外皮部28に対して所定(例えば、4.9N)の荷重を加えた際に、外皮部28に形成される圧痕の対角線長さに基づき、外皮部28の硬度を測定することができる。また、外皮部28の硬度を測定する部位として、外皮部28のうち、主体金具3への接合後に加工が施された部位(つまり、加工に伴う硬度変化が生じ得る部位)は除かれる。従って、接地電極27は、後述するように主体金具3に接合した後に、屈曲加工が施されて中心電極5側へと曲げ返されるため、外皮部28の硬度を測定する部位として、その屈曲部分は除かれる。さらに、外皮部28の硬度を測定する部位として、チップ32の接合に伴う硬度変化の生じ得る部位も除かれる。
放熱部29は、接地電極27(チップ32)の熱を主体金具3へと効率よく伝導し、接地電極27(チップ32)の耐熱性ひいては耐消耗性を向上させるものであり、それぞれ外皮部28よりも熱伝導性に優れる金属からなる中間層部29Aと、芯部29Bとを備えている。
中間層部29Aは、外皮部28及び芯部29B間に設けられており、非常に優れた熱伝導性を有する金属(例えば、銅、又は、銅を主成分とする合金等)により形成されている。
芯部29Bは、接地電極27の最内部に設けられており、熱伝導性に優れる金属(例えば、純NiやNiを90質量%以上含有する合金等)により形成されている。また、本実施形態において、芯部29Bは、中間層部29Aを構成する金属とは異なる金属により形成されており、芯部29Bの硬度は、中間層部29Aの硬度よりも大きなものとされている。
尚、本実施形態において、放熱部29は、それぞれ異なる金属からなる中間層部29Aと芯部29Bとを備えているが、図4に示すように、放熱部29を、単一の金属(例えば、銅や銅合金、純Ni等)により形成することとしてもよい。
さらに、本実施形態では、放熱部29を設けることによる耐熱性の向上効果をより確実に発揮させるべく、図2に示すように、軸線CL1に沿った主体金具3の先端からの接地電極27の突き出し量をL(mm)としたとき、主体金具3の先端から軸線CL1に沿ってL/2だけ軸線CL1方向先端側に位置し軸線CL1に直交する平面VSと接地電極27の中心軸CL2との交点CPとを通り、接地電極27の中心軸CL2と直交する断面において、図3に示すように、外皮部28の断面積が接地電極27の断面積の80%以下とされている。換言すれば、前記断面において、放熱部29の断面積が接地電極27の断面積の20%以上とされている。尚、本実施形態では、接地電極27(チップ32)の熱を放熱部29に対してより速やかに伝導可能とすべく、軸線CL1と直交する方向に沿った、放熱部29の先端から軸線CL1までの間の距離Xが比較的小さなもの(例えば、0.0mm以上4.0mm以下)とされている。
一方で、外皮部28の硬度を110Hv以上とすることによる作用効果をより確実に発揮させるべく、前記断面において、外皮部28の断面積は接地電極27の断面積の50%以上とされている。
さらに、本実施形態では、接地電極27の中心軸CL2と直交する断面における接地電極27の最大断面積をS(mm2)とし、図2に示すように、接地電極27のその中心軸CL2に沿った長さをK(mm)としたとき、K/S(1/mm)が1.5以上5以下とされている。尚、本実施形態において、接地電極27は、その中心軸CL2に沿って一定の断面積を有するように構成されている。
併せて、本実施形態では、前記長さKが所定の数値範囲内(例えば、5mm以上18mm以下)に設定されている。長さKを5mm以上に設定することで、着火性の向上を図ることができ、また、長さKを18mm以下に設定することで、接地電極27における耐熱性の低下を抑制することができる。
加えて、本実施形態では、耐食性の向上を図るべく、主体金具3及び接地電極27の表面は、亜鉛(Zn)を主成分とする金属からなるメッキ層で覆われている。
次に、上記のように構成されてなるスパークプラグ1の製造方法について説明する。
まず、主体金具3を予め加工しておく。すなわち、円柱状の金属素材(例えば、鉄系素材やステンレス素材)に対して冷間鍛造加工等を施すことで概形を形成するとともに、貫通孔を形成する。その後、切削加工を施すことで外形を整え、主体金具中間体を得る。
次いで、金属部材形成工程において、接地電極27となる接地電極用金属部材37を製造する。まず、図5(a)に示すように、Niを93質量%以上含有する金属材料に鍛造加工を施すことで、カップ状の外皮部対応部38(外皮部28となる部位)を得る。また、図5(b),(c)に示すように、外皮部対応部38とは別に、鍛造加工等により、銅合金等からなるカップ状の中間層部対応部39A(中間層部29Aとなる部位)と、純Ni等からなる芯部対応部39B(芯部29Bとなる部位)とを製造しておく。そして、図5(d)に示すように、外皮部対応部38の凹部に中間層部対応部39Aを嵌め込むとともに、中間層部対応部39Aの凹部に芯部対応部39Bを嵌め込むことで、中間部材40を得る。
次いで、軟化工程において、前記中間部材40に熱処理(アニール処理)を施すことで、中間部材40の硬度を低下させる。尚、熱処理は、中間部材の硬度を十分に低下させる(外皮部対応部38の硬度を110Hv未満とする)ことを目的として行われ、本実施形態では、中間部材40がフルアニールされるように熱処理の時間や加熱温度が設定される。
軟化工程の後、硬化工程において、図5(e)に示すように、断面矩形状の孔を有するダイスDIと、円柱状のプランジャーPLとを備えた押出成形装置EMにより、中間部材40に冷間鍛造加工(塑性加工)を施し、中間部材40を徐々に細くすることで、図5(f)に示すように、直棒状の接地電極用金属部材37を得る。塑性加工により、中間部材40の硬度は上昇し、接地電極用金属部材37のうち、外皮部28に対応する部位の硬度が110Hv以上220Hv以下とされる。
尚、接地電極用金属部材37を得るための最終的な塑性加工前に、必要に応じて塑性加工や熱処理を中間部材40に施すこととしてもよい。従って、例えば、押出成形装置EMを用いて中間部材40を直棒状に形成した上で、中間部材40に熱処理を施しその硬度を低下させ、その後、中間部材40に鍛造加工(塑性加工)を施しその硬度を上昇させることで、接地電極用金属部材37を得ることとしてもよい。
続いて、得られた接地電極用金属部材37が、主体金具中間体の先端面に抵抗溶接される。当該溶接に際してはいわゆる「ダレ」が生じるので、その「ダレ」を除去した後、主体金具中間体の所定部位にねじ部15が転造によって形成される。これにより、接地電極用金属部材37の溶接された主体金具3が得られる。
次いで、接地電極用金属部材37の溶接された主体金具3に、バレルメッキ法によるメッキ処理が施され、主体金具3及び接地電極用金属部材37の外表面にメッキ層が設けられる。メッキ処理に際しては、所定の亜鉛メッキ用水溶液が貯留されたメッキ槽と、壁面が網や穴開き板などにより形成され、前記亜鉛メッキ用水溶液の液中に浸漬される保持容器とを備えたバレルメッキ装置(図示せず)が用いられる。具体的には、前記保持容器に主体金具3を収容し、主体金具3を亜鉛メッキ用水溶液中に浸漬する。そして、所定のモータにより前記保持容器を回転させながら、主体金具3に対して所定時間に亘って直流電流を流すことにより、主体金具3や接地電極用金属部材37の表面全域に亜鉛を主成分とする金属からなるメッキ層を形成する。尚、耐食性向上を図るべく、その表面に、さらにクロメート処理が施されることとしてもよい。
一方、前記主体金具3とは別に、絶縁碍子2を成形加工しておく。例えば、アルミナを主体としバインダ等を含む原料粉末を用いて、成形用素地造粒物を調製するとともに、当該成形用素地造粒物を用いてラバープレス成形を行うことで、筒状の成形体が得られる。そして、得られた成形体に対し、研削加工が施され整形されるとともに、整形されたものが焼成炉で焼成されることにより、絶縁碍子2が得られる。
また、前記主体金具3、絶縁碍子2とは別に、中心電極5を製造しておく。すなわち、中央部に放熱性向上を図るための銅合金等を配置したNi合金に鍛造加工を施すとともに、鍛造加工の施された前記合金の先端部に対して、レーザー溶接等によりチップ31を接合することで中心電極5を作製する。
次に、上記のようにして得られた絶縁碍子2及び中心電極5と、抵抗体7と、端子電極6とが、ガラスシール層8,9によって封着固定される。ガラスシール層8,9は、一般的にホウ珪酸ガラスと金属粉末とが混合されて調製されたものが、抵抗体7を挟むようにして絶縁碍子2の軸孔4内に注入された後、後方から端子電極6で押圧しつつ、焼成炉内にて加熱されることで焼成される。尚、このとき、絶縁碍子2の後端側胴部10表面に釉薬層が同時に焼成されることとしてもよいし、事前に釉薬層が形成されることとしてもよい。
その後、上記のようにそれぞれ作製された中心電極5及び端子電極6を備える絶縁碍子2と、主体金具3とが固定される。より詳しくは、主体金具3に絶縁碍子2を挿通した上で、比較的薄肉に形成された主体金具3の後端側開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって絶縁碍子2と主体金具3とが固定される。
次いで、接地電極用金属部材37の先端部のメッキ層を剥離するとともに、メッキ層の剥離された接地電極用金属部材37の先端部に対して、抵抗溶接によりチップ32を接合する。さらに、接地電極用金属部材37の略中間部分を中心電極5側に屈曲させることで接地電極27を形成する。そして最後に、中心電極5(チップ31)及び接地電極27(チップ32)間に形成された火花放電間隙33の大きさを調整することにより上述したスパークプラグ1が得られる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、外皮部38が、熱伝導性に優れるNiを93質量%以上含有する高Ni材により形成されるとともに、接地電極27の内部(外皮部28の内側)には、外皮部28よりもさらに熱伝導性に優れる放熱部29が設けられている。加えて、主体金具3の先端から軸線CL1方向先端側にL/2の位置において、外皮部28の断面積が接地電極27の断面積の80%以下、すなわち、放熱部29の断面積が接地電極27の断面積の20%以上とされている。従って、接地電極27の耐熱性ひいては耐消耗性を効果的に向上させることができる。
さらに、断面積の比較的大きな放熱部29を設けた場合には、接地電極27の機械的強度が低下してしまうことが懸念されるが、本実施形態では、外皮部28の硬度が110Hv以上とされているため、接地電極27が十分な機械的強度を有することとなる。従って、接地電極27において優れた耐変形性を実現することができる。
さらに、接地電極27の硬度が220Hv以下とされているため、外皮部28を構成する金属の結晶粒における歪みの発生を抑制することができ、外皮部28において熱をスムーズに伝導させることができる。従って、放熱部29が設けられることと相俟って、接地電極27の熱伝導性を著しく向上させることができ、ひいては接地電極27の耐消耗性を飛躍的に高めることができる。
加えて、K/S(1/mm)が1.5以上とされているため、接地電極27の先端部を中心電極5の先端部に対してより確実に接近させることができ、火花放電間隙33を適切な大きさで形成することができる。その結果、放電電圧の増大に伴う、接地電極27の急速消耗を抑制することができ、耐消耗性の更なる向上を図ることができる。
一方で、本実施形態では、K/Sが5(1/mm)以下とされており、長さKが過度に大きなものとならないように構成されている。従って、メッキ工程時等において、接地電極27に加わる応力を低減させることができる。その結果、接地電極27の耐変形性を一層向上させることができる。
併せて、主体金具3の先端から軸線CL1方向先端側にL/2の位置において、外皮部28の断面積が接地電極27の断面積の50%以上とされている。従って、外皮部28の硬度を110Hv以上とすることによる作用効果をより確実に発揮させることができ、接地電極27の耐変形性を一層確実に向上させることができる。
また、放熱部29には、自身の硬度が中間層部29Aの硬度よりも大きい芯部29Bが設けられている。従って、放熱部29ひいては接地電極27の機械的強度を一層向上させることができ、耐変形性の更なる向上を図ることができる。
併せて、熱処理を施し中間部材40を一旦軟化させた上で、塑性加工により中間部材40を硬化させることにより、所定の硬度を有する接地電極用金属部材37が得られるように構成されている。従って、熱処理により接地電極用金属部材37を所定の硬度とする場合と比較して、その硬度を容易に調節することができる。従って、所定の硬度を有する接地電極用金属部材37を容易に得ることができ、生産性の向上を図ることができる。
次いで、上記実施形態により奏される作用効果を確認すべく、前記交点CPを通り接地電極の中心軸と直交する断面における、接地電極の断面積(mm2)に対する外皮部の断面積(mm2)の割合(断面積割合)と、外皮部の硬度(Hv)と、前記断面積S(mm2)に対する前記長さK(mm)の割合(K/S)とを種々変更した接地電極のサンプルを複数用意し、各サンプルについて耐変形性評価試験を行った。耐変形性評価試験の概要は次の通りである。すなわち、各サンプルをスパークプラグの製造ラインに供給し、主体金具に対する接地電極の接合工程やバレルメッキ装置によるメッキ工程を経た後における、曲がりやねじれが発生した接地電極の本数を測定するとともに、曲がりやねじれの発生率(不良率)を算出した。ここで、不良率が0.10%以下となったサンプルは、耐変形性に極めて優れるとして「☆」の評価を下し、不良率が0.10%超0.30%未満となったサンプルは、耐変形性に優れるとして「◎」の評価を下し、不良率が0.30%以上0.50%以下となったサンプルは、十分な耐変形性を有するとして「○」の評価を下すこととした。一方で、不良率が0.50%よりも大きくなったサンプルは、耐変形性に劣るとして「×」の評価を下すこととした。
さらに、断面積割合を40%〜80%の範囲で変更した上で、外皮部の硬度、及び、K/Sを種々異なるものとした接地電極を有するスパークプラグのサンプルを作製し、各サンプルについて耐消耗性評価試験を行った。耐消耗性評価試験の概要は次の通りである。すなわち、各サンプルを排気量4000ccの6気筒ガソリンエンジンに組付けた上で、エンジンの燃料として無鉛ガソリンを用いて、スロットル全開状態で、エンジン回転数3000rpmを維持して300時間に亘ってエンジンを動作させた。そして、300時間経過後において火花放電間隙の大きさを測定し、試験前(初期状態)における火花放電間隙の大きさに対する増加量(ギャップ増加量)を測定した。ここで、ギャップ増加量が0.05mm以下となったサンプルは、耐消耗性に極めて優れるとして「◎」の評価を下し、ギャップ増加量が0.05mm超0.10mm以下となったサンプルは、耐消耗性に優れるとして「○」の評価を下すこととした。一方で、ギャップ増加量が0.10mm超となったサンプルは、耐消耗性が不十分であるとして「×」の評価を下すこととした。
表1に、上記両試験の試験結果を示す。尚、表1において、断面積割合が100%とあるサンプル1,2,19,20は、放熱部を設けることなく、接地電極を単一の金属により形成したことを意味し、サンプル1,2,19,20の外皮部硬度は、接地電極の硬度を示す。尚、サンプル1,2の接地電極は、サンプル3〜18において外皮部を構成する金属と同一の金属により形成し、サンプル19,20の接地電極は、サンプル21〜36において外皮部を構成する金属と同一の金属により形成した。
また、各サンプルともに、接地電極がその中心軸に沿って一定の断面積を有するように構成し、サンプル1,16,19,34における接地電極の断面積を4.2mm2とし、その他のサンプルにおける接地電極の断面積を3.5mm2とした。
加えて、外皮部を構成する金属のNi含有量を93質量%未満とすると、外皮部の耐熱性が低下し、耐消耗性の悪化を招いてしまう点を鑑みて、サンプル3〜18,21〜36における外皮部を、Niを93質量%以上含有する金属により形成した。詳述すると、サンプル3〜18における外皮部は、Niを97質量%、希土類元素を合計で0.1質量%、Si、Cr、Al、Mn、C、Ti、Mg、Fe、Cu、P、Sを合計で2.9質量%含有する金属により形成した。また、サンプル21〜36における外皮部は、Niを93質量%、希土類元素を合計で0.1質量%、Si、Cr、Al、Mn、C、Ti、Mg、Fe、Cu、P、Sを合計で6.9質量%含有する金属により形成した。尚、外皮部を形成する金属は、熱処理(アニール処理)を十分に行った際に、硬度が100Hvとなるものであり、外皮部の硬度は、熱処理後に塑性加工を施すことで調節した。
Figure 2013127911
表1に示すように、断面積割合を90%以上としたサンプル(サンプル1〜3,19〜21)は、十分な耐変形性を有していたが、耐消耗性(耐熱性)の向上を図るべく断面積割合を80%以下とした場合には、耐変形性の低下が生じ得ることが明らかとなった。これは、接地電極の断面において、硬度の比較的低い放熱部の占める割合が増大したため、接地電極の機械的強度が低下してしまったためであると考えられる。
これに対して、外皮部の硬度を110Hv以上としたサンプル(サンプル5,7〜18,23,25〜36)は、断面積割合が80%以下であっても、優れた耐変形性を有することが分かった。これは、外皮部の硬度を110Hv以上としたことで、接地電極の機械的強度が十分に向上したことによると考えられる。
さらに、外皮部の硬度を220Hv以下としたサンプル(サンプル4〜11,13〜18,22〜29,31〜36)は、耐消耗性に優れることが明らかとなった。これは、外皮部の硬度を220Hv以下としたことで、外皮部を構成する金属の結晶粒における歪みが抑制され、外皮部の熱伝導性が向上したことに起因すると考えられる。
また特に、断面積割合やK/S等を同一とし、外皮部の硬度のみを異なるものとしたサンプル(サンプル4〜12,及び、サンプル22〜30)に着目してみると、外皮部の硬度を130Hv以上200Hv以下としたサンプル(サンプル8〜10,26〜28)は、耐変形性及び耐消耗性の双方において、非常に優れた性能を有することが確認された。
加えて、断面積割合や外皮部硬度等を同一とし、K/Sのみを異なるものとしたサンプル(サンプル8,13〜15、及び、サンプル26,31〜33)のうち、K/Sを5以下としたサンプル(サンプル8,13,14、及び、サンプル26,31,32)は、一層優れた耐変形性を有することができることが分かった。これは、長さKの過大が抑制されたことで、メッキ工程時において、接地電極に加わる応力が低減したためであると考えられる。
さらに、外皮部硬度やK/S等を同一とし、断面積割合のみを異なるものとしたサンプル(サンプル8,17,18、及び、サンプル26,35,36)のうち、断面積割合を50%以上としたサンプル(サンプル8,17、及び、サンプル26,35)は、耐変形性に一段と優れることが確認された。これは、断面積割合を50%以上としたことで、外皮部硬度を110Hv以上とする効果がより確実に発揮されたためであると考えられる。
上記両試験の結果より、断面積割合が80%以下とされ、耐消耗性の向上を期待できる一方で、耐変形性の低下が懸念されるスパークプラグにおいては、耐消耗性及び耐変形性の双方において十分な性能を実現するために、外皮部のNi含有量を93質量%以上とするとともに、外皮部の硬度を110Hv以上220Hv以下とすることが好ましいといえる。
また、耐消耗性や耐変形性を一層向上させるべく、外皮部の硬度を130Hv以上200Hv以下とすることがより好ましいといえる。
さらに、耐変形性の更なる向上を図るという観点から、K/Sを5以下としたり、断面積割合を50%以上としたりすることが一層好ましいといえる。
尚、K/Sを1.5未満とすると、接地電極の先端部を中心電極の先端部へと十分に接近させることができず、適切な大きさの火花放電間隙を形成することができないおそれがある。従って、火花放電間隙をより確実に適切な大きさで形成するためには、K/Sを1.5(1/mm)以上とすることが好ましいといえる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態において、外皮部28には、希土類元素が含有されているが、外皮部28に希土類元素を含有しなくてもよい。
(b)上記実施形態では、接地電極27等の表面にZnを主成分とする金属からなるメッキ層が設けられているが、Znを主成分とする金属からなるメッキ層に代えて、他の金属材料(例えば、Niなど)を主成分とする金属からなるメッキ層を設けることとしてもよい。
(c)上記実施形態では、中心電極5にチップ31が設けられ、接地電極27にチップ32が設けられているが、両電極5,27に一方又は双方にチップを設けないこととしてもよい。
(d)上記実施形態では、工具係合部19は断面六角形状とされているが、工具係合部19の形状に関しては、このような形状に限定されるものではない。例えば、Bi−HEX(変形12角)形状〔ISO22977:2005(E)〕等とされていてもよい。
1…スパークプラグ、2…絶縁碍子(絶縁体)、3…主体金具、4…軸孔、5…中心電極、27…接地電極、28…外皮部、29…放熱部、29A…中間層部、29B…芯部、33…火花放電間隙(間隙)、37…接地電極用金属部材、40…中間部材、CL1…軸線、CL2…(接地電極の)中心軸。

Claims (6)

  1. 軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、
    前記軸孔の先端側に挿設された中心電極と、
    前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具と、
    前記主体金具の先端部に固定され、前記中心電極との間に間隙を形成する接地電極とを備えるスパークプラグであって、
    前記接地電極は、
    ニッケルを93質量%以上含有する金属からなる外皮部と、
    当該外皮部の内部に設けられ、前記外皮部よりも熱伝導性の高い放熱部とを有し、
    前記軸線に沿った、前記主体金具の先端からの前記接地電極の突き出し量をL(mm)としたとき、
    前記主体金具の先端から前記軸線に沿ってL/2だけ前記軸線方向先端側に位置し前記軸線に直交する平面と前記接地電極の中心軸との交点とを通る断面であって、前記接地電極の中心軸と直交する断面において、前記外皮部の断面積が前記接地電極の断面積の80%以下であり、
    前記外皮部の硬度が、ビッカース硬度で110Hv以上220Hv以下であることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 前記外皮部の硬度が、ビッカース硬度で130Hv以上200Hv以下であることを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 前記接地電極の中心軸と直交する断面における前記接地電極の最大断面積をS(mm2)とし、前記接地電極のその中心軸に沿った長さをK(mm)としたとき、K/S(1/mm)が1.5以上5以下であり、
    前記主体金具の先端から前記軸線に沿ってL/2だけ前記軸線方向先端側に位置し前記軸線に直交する平面と前記接地電極の中心軸との交点とを通る断面であって、前記接地電極の中心軸と直交する断面において、前記外皮部の断面積が前記接地電極の断面積の50%以上とされることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパークプラグ。
  4. 前記放熱部は、中間層部と、前記中間層部の内部に設けられ、自身の硬度が前記中間層部の硬度よりも大きい芯部とを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  5. 前記接地電極のうち少なくとも一部の表面は、メッキ層で覆われていること特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記接地電極となる接地電極用金属部材を形成する金属部材形成工程を含み、
    前記金属部材形成工程においては、
    ニッケルを93質量%以上含有する金属の内部に当該金属よりも熱伝導性の高い金属が設けられてなる中間部材に対して、熱処理を施し、前記中間部材の硬度を低下させる軟化工程と、
    前記軟化工程の後に、前記中間部材に塑性加工を施し、前記中間部材の硬度を上昇させることで、前記接地電極用金属部材を得る硬化工程と
    を含むことを特徴とするスパークプラグの製造方法。
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