JP5596577B2 - スクロール式流体機械 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば圧縮機として用られるスクロール式流体機械に関する。
一般にスクロール式流体機械は、流体の圧縮熱により固定スクロールおよび旋回スクロールのラップ部に変形が生じるため、旋回スクロールと固定スクロールのラップ部が接触し、摩耗や騒音発生による信頼性低下の原因となる。
特許文献1には高温となり変形の大きい冷却風下流側のラップ歯厚を薄くし、ラップ間の隙間を大きくすることで接触を防ぐスクロール式流体機械が開示されている。
特許文献2には固定スクロールの外周部にある旋回スクロールとの摺動面に内周側溝と外周側溝と連絡溝とを形成したスクロール圧縮機が開示されている。
特開2003−97462号公報 特開2008−51034号公報
特許文献1に開示されたスクロール式流体機械は、固定スクロールのフランジがケーシングに締結されているため固定スクロール鏡板は熱膨張により湾曲し、ラップが内側に倒れる。この変形はフランジと一体となる最外周側で最も大きいため、内周側と比較してラップ接触防止のための加工を大きくする必要がある。この加工は、圧縮機が最高使用圧力付近で連続運転された場合に達する最高温度での最大変形量で決定されるため、圧縮機起動直後や運転と停止を繰り返す断続運転など、ラップが想定される最高温度に達さない運転モードではラップ間の隙間が大きく、圧縮効率を維持することができない。
特許文献2に開示されたスクロール圧縮機は、固定スクロールの外周部にある旋回スクロールとの摺動面に形成された内周側溝、外周側溝、連絡溝の裏側には凸部が形成されていない。そのため、固定スクロール鏡板が熱膨張した場合にフランジ部において熱膨張による変形を吸収することができず、ラップが内側に倒れ、旋回スクロールのラップ部と接触が生じる。そのため、信頼性を確保するために、例えば、特許文献1のようにラップ接触防止のための加工をする必要があり、圧縮効率を維持することができない。
上記問題点に鑑み、本発明では、固定スクロールと旋回スクロールとのラップ部の隙間を大きくせずに両者のラップ部の接触を防止することにより圧縮効率を維持しつつ信頼性を向上させたスクロール式流体機械を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、第1の観点における本発明は、ケーシングと、鏡板と、前記鏡板に設けられた渦巻状のラップ部と、前記ラップ部よりも外側に設けられ、前記ケーシングに取り付けられるフランジとを有する固定スクロールと、鏡板と、前記固定スクロールのラップ部との間に複数の圧縮室を形成し、前記鏡板に設けられ、渦巻状のラップ部とを有し、旋回可能に設けられた旋回スクロールとを備え、前記フランジに前記鏡板の熱膨張による変形を吸収する変形吸収部を設けたことを特徴とするスクロール式流体機械を提供する。
本発明によれば固定スクロールと旋回スクロールとのラップ部の隙間を大きくせずに両者のラップ部の接触を防止することにより圧縮効率を維持しつつ信頼性を向上させたスクロール式流体機械を提供することができる。
スクロール式流体機械の断面図 スクロール式流体機械の冷却風流れ図 本発明の実施例1に係る固定スクロールの正面図 本発明の実施例1に係る固定スクロールの背面図 凹陥溝を設けない場合の固定スクロールの熱変形を示す図 凸部を設けない場合の固定スクロールの熱変形を示す図 本発明の実施例1に係る固定スクロールの熱変形を示す図 本発明の実施例2に係る固定スクロールの断面図 フランジに傾斜部を設けない構造の固定スクロールの冷却風の流れを示す図 本発明の実施例2に係る発明による冷却風の流れを示す図 固定スクロールの周囲を流れる冷却風の速度の解析結果を示す図 本発明の実施例3に係る固定スクロールの背面図 本発明の実施例3に係る固定スクロールの背面図
以下、本発明の実施例によるスクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げて、添付図面に従って詳細に説明する。
本発明の実施例1を図1−7を用いて説明する。
図1に本実施例におけるスクロール式流体機械の断面図を示す。図2に図1と別角度から見た本実施例におけるスクロール式流体機械の断面図を冷却風の流れとともに示す。図3に本実施例における鏡板3のラップ部4が設けられた面から見た固定スクロール2の図を示す。図4に本実施例における図3の裏側から見た固定スクロール2の図を示す。
スクロール式空気圧縮機のケーシング1は、筒状に形成されると共に、その内部に後述の駆動軸15を回転可能に支持している。
ケーシング1の開口側に設けられた固定スクロール2は、図1に示すように、軸線O−Oを中心として略円板状に形成された鏡板3と、該鏡板3の表面となる歯底面に軸方向に立設された渦巻状のラップ部4と、該ラップ部4を取囲んで鏡板3の外径側に設けられた筒状の外周壁部5と、鏡板3の背面に突設された複数の冷却フィン6とによって大略構成されている。
ここで、ラップ部4は、例えば最内径端を巻始め端として、最外径端を巻終り端としたときに、内径側から外径側に向けて例えば3巻前,後の渦巻状に巻回されている。そして、ラップ部4の歯先面は、相手方となる旋回スクロール8の鏡板9の歯底面から一定の軸方向寸法だけ離間している。
また、ラップ部4の歯先面には、ラップ部4の巻回方向に沿ってシール溝4Aが設けられ、該シール溝4A内には、旋回スクロール8の鏡板9に摺接するシール部材としてのチップシール7が設けられている。さらに、外周壁部5は、略円形状をなして固定スクロール2の端面に開口している。そして、外周壁部5は、旋回スクロール8のラップ部10との干渉を避けるため、ラップ部10の外径側に配置されている。
ケーシング1内に旋回可能に設けられた旋回スクロール8は、固定スクロール2の鏡板3と対向して配置された略円板状の鏡板9と、該鏡板9の表面となる歯底面に立設された渦巻状のラップ部10と、鏡板9の背面に突設された複数の冷却フィン11と、該冷却フィン11の先端側に位置して固定された背面プレート12とによって大略構成されている。
ここで、ラップ部10は、固定スクロール2のラップ部4とほぼ同様に、例えば3巻前後の渦巻状をなしている。そして、ラップ部10の歯先面は、相手方となる固定スクロール2の鏡板3の歯底面から一定の軸方向寸法だけ離間している。また、ラップ部10の歯先面には、ラップ部10の巻回方向に沿ってシール溝10Aが設けられ、該シール溝10A内には、固定スクロール2の鏡板3に摺接するシール部材としてのチップシール13が設けられている。
また、背面プレート12の中央側には、旋回軸受等を介して駆動軸15のクランク部15Aと回転可能に連結される筒状のボス部14が一体形成されている。このとき、駆動軸15の一端側には、ケーシング1の外部に位置してプーリ15Bが設けられ、このプーリ15Bは、例えば駆動源としての電動モータの出力側にベルト(いずれも図示せず)等を介して連結されている。これにより、駆動軸15は、電動モータ等によって回転駆動し、固定スクロール2に対して旋回スクロール8を旋回運動させるものである。
また、プーリ15Bにはボルト等を用いて冷却ファン16が取付けられ、該冷却ファン16は、ファンケーシング17内で冷却風を発生させる。これにより、図2に示すように冷却ファン16は、冷却風をファンケーシング17内のダクト等に沿ってケーシング1の内部や各スクロール2,8の背面側に送風し、ケーシング1、固定スクロール2、旋回スクロール8等を冷却する。
さらに、背面プレート12の外径側とケーシング1との間には、旋回スクロール8の自転を防止する例えば3個の補助クランク18(1個のみ図示)が設けられている。
固定スクロール2と旋回スクロール8との間に設けられた複数の圧縮室19は、ラップ部4,10の間に位置して外径側から内径側にわたって順次形成され、チップシール7,13によって気密に保持されている。そして、各圧縮室19は、旋回スクロール8が順方向に旋回運動するときに、ラップ部4,10の外径側から内径側に向けて移動しつつ、これらの間で連続的に縮小される。
これにより、各圧縮室19のうち最外径側に位置する圧縮室19Aには、後述する吸込口20から外部の空気が吸込まれ、この空気は最内径側に位置する圧縮室19Bに達するまでに圧縮されて圧縮空気となる。そして、この圧縮空気は吐出口22から吐出され、外部の貯留タンク(図示せず)に貯えられる。
固定スクロール2の外径側に設けられた吸込口20は、鏡板3の外径側から外周壁部5にかけて開口し、最外径側に位置する圧縮室19Aに連通している。また、吸込口20は、固定スクロール2の鏡板3のうち旋回スクロール8のラップ部10の外径側に位置して、チップシール13が摺接しない範囲(非摺動領域)に開口している。そして、吸込口20は、例えば大気圧の空気を吸込フィルタ21を通じて最外径側に位置する圧縮室19A内に吸込むものである。
なお、吸込口20は、加圧された空気を吸込む構成としてもよい。この場合、吸込フィルタ21を取外して、加圧空気が供給される配管に吸込口20を接続する構成としてもよい。
固定スクロール2の鏡板3の内径側(中心側)に設けられた吐出口22は、最内径側に位置する圧縮室19Bに連通し、この圧縮室19B内の圧縮空気を外部に吐出させるものである。
ラップ部4より外周側に位置するフランジ24は、固定スクロール2をケーシング1に固定するものである。
旋回スクロール8の鏡板9と対面する固定スクロール2の端面に設けられたフェイスシール溝25は、外周壁部5の外径側に位置し、外周壁部5を取囲む円環状に形成されている。また、フェイスシール溝25内には円環状のフェイスシール26が取付けられている。そして、フェイスシール26は、固定スクロール2の端面と旋回スクロール8の鏡板9との間を気密にシールし、これらの間から外周壁部5内に吸込んだ空気が漏れるのを防止している。
固定スクロール2のフランジ24の旋回スクロール8に対向する面に設けられた凹陥溝27は、ケーシング1の取り付けられる部分よりも内側に設けられている。凸部28は、凹陥溝27の裏側に設けられている。凹陥溝27と凸部28とで鏡板3の熱膨張による変形を吸収する変形吸収部が形成され、ラップ部4の最外周部が内周側に倒れる変形を防止することができる。
本実施例によるスクロール式空気圧縮機は上述したような構成を有するもので、次に、このスクロール式空気圧縮機の動作について説明する。
まず、電動モータ等の駆動源(図示せず)により駆動軸15を回転駆動すると、旋回スクロール8は、自転防止機構によって自転が防止された状態で、駆動軸15の軸線O−Oを中心として旋回運動を行ない、固定スクロール2のラップ部4と旋回スクロール8のラップ部10間に画成される圧縮室19は連続的に縮小する。これにより、固定スクロール2の吸込口20から吸込んだ空気は各圧縮室19で順次圧縮しつつ、固定スクロール2の吐出口22から圧縮空気として外部のタンク(図示せず)に向け吐出することができる。
図5、6、7を用いて、圧縮運転によって発生する熱による固定スクロール2の変形について説明する。図5−7は、鏡板3を上、ラップ部4を下にして固定スクロール2を見たときの断面図である。を図5は凹陥溝27、凸部28をフランジ24に設けない場合の固定スクロール2の熱変形を示す図である。図6は凹陥溝27をフランジ24に設け、凸部28をフランジ24に設けない場合の固定スクロール2の熱変形を示す図である。図7は、本実施例における固定スクロール2の熱変形を示す図である。
図5に示されるように、フランジ24には凹陥溝27、凸部28を設けなかった場合、固定スクロール2の鏡板3は、熱膨張により図5の右方向へ変形する。一方鏡板3の熱膨張に対して固定スクロール2のフランジ24がケーシング1に固定されているため、変形は抑制されて鏡板3とフランジ24とで突っ張りを起こし鏡板3は図5に示すように湾曲してラップ4が内側に倒れる。この変形はフランジ24と一体となる最外周側で最も大きくなる。この変形による固定スクール2のラップ4と旋回スクロール8のラップ10との接触を防止するために、例えば、特許文献1に示されるように、歯厚を熱変形量分薄くする加工を行い、ラップ8,10間に適正な隙間を設けることで対応している。この隙間の大きさは、圧縮機が最高使用圧力付近で連続運転された場合に達する最高温度での最大変形量で決定されるため、冷間からの圧縮機起動直後や運転と停止を繰り返す断続運転など、ラップ4、10が想定される最高温度に達さない運転モードではラップ4、10間の隙間が大きくなり、圧縮効率を悪化させる原因となっていた。
ここで、図6に示されるようにフランジ24に凹陥溝のみを設け、凸部を設けなかった場合、フランジ24の剛性が高く、熱膨張による固定スクロール2の変形を吸収することができない。また、剛性を低くするために凹陥溝を深く形成した場合、凹陥溝の部分が旋回スクロール8に向けて(図6の下方向に向けて)反るように変形するため、フランジ24の突っ張りを逃がすことができず、ラップ4が内側に倒れることを防止することができない。
そこで、本実施例では、図7に示すように固定スクロール2のフランジ24に凹陥溝27を設け、さらに凹陥溝27に対向する部分に凸部28を設けた。フランジ24の凹陥溝27は旋回スクロール8と対向する面に設けられ、フランジ24の凹陥溝27が設けられた部分の裏側はフランジ24の外縁部よりも旋回スクロール8と反対側に突出している。凹陥溝27と凸部28とで構成される部分が旋回スクロール8と反対側に向けて(図7の上方向に向けて)反るように変形することで、鏡板3の熱膨張による変形とフランジ24とでの突っ張りを逃がして鏡板3の湾曲を軽減し、ラップ4が内側に倒れることを防止することができる。これにより、前述のラップ接触防止のための加工を小さくすることができ、前述のラップ4、10が最高温度に達さない運転モードでもラップ間の隙間を最小限に維持することが可能となり圧縮機の性能向上が可能である。
なお、図4に示すように、凹陥溝27、凸部28は、フランジ24の全周にわたって設けずに、固定スクロール2の中心から冷却フィン6が延びる方向と交わる所定の角度範囲内に設けた。冷却フィン6が延びる方向よりも冷却フィン6が延びる方向と垂直方向において鏡板3の剛性が高くなる。従って、冷却フィン6が延びる方向における熱膨張は冷却フィン6が延びる方向と垂直方向における熱膨張よりも大きくなる。このため、図4に示すように特に熱膨張が大きくなる固定スクロール2の中心から冷却フィン6が延びる方向と交わる所定の角度範囲内にのみ凹陥溝27、凸部28を設けることにより、少ない加工で熱膨張による影響を抑制できる。
本発明の実施例2を図8−11を用いて説明する。本実施例の特徴は、実施例1の凸部28を鏡板3の端部とフランジ24とを滑らかに繋ぐ傾斜部23としたことで、後述の通り固定スクロール2背面の冷却風が渦を発生することなく流れることで冷却効率を改善したことである。
図8は、鏡板3を上、ラップ部4を下にして本実施例における固定スクロール2を見たときの断面図である。本実施例では図8に示すように鏡板3の熱膨張による変形を吸収する変形吸収部を鏡板3の端部とフランジ24とを滑らかに繋ぐ傾斜部23と凹陥溝27とで形成した。なお、凹陥溝27の溝底も傾斜部23にならい傾斜している。これにより、鏡板3が横方向に熱膨張しても、傾斜部23の横方向における剛性が低くなっているため、実施例1と同様に鏡板3の熱膨張による変形とフランジ24とでの突っ張りを逃がして鏡板3の湾曲を軽減し、ラップ4が内側に倒れることを防止することができる。
さらに、本実施例では冷却ファン16によって発生し、ファンケーシング17内のダクト等に沿って固定スクロール背面に到達した冷却風は、図10に示すように鏡板3の背面部とフランジ部24を滑らかに結ぶ傾斜部23に沿って流れる。従って、本実施例では実施例1の効果に加え、図10にしめすように傾斜部23を設けない構造にて生じる渦による阻害なく、また固定スクロール2の鏡板3付近を流れることが可能となり、効率のよい冷却を行うことができる。
一方、図9に示す傾斜部23を設けない構造では冷却ファン16によって発生され、ファンケーシング17内のダクト等に沿って固定スクロール背面に到達した冷却風は、鏡板3の背面部とフランジ24との段差部によって生じる渦により流れを阻害されると同時に、固定スクロール2の鏡板3から離れた部分を流れるため、効率のよい冷却を行うことができない。
図11にファンケーシング17および固定スクロール2に同条件の冷却風を流入させた場合における、固定スクロール2の周囲の冷却風の流速に関する2次元モデルを示す。図11では、色が薄くなるほど冷却風の流速が速く、色が濃くなるほど冷却風の流速が遅くなっている。傾斜部23を設けない構造の固定スクロール2を図11の上に、鏡板3の背面部とフランジ24との段差部に滑らかな傾斜部23を設けた固定スクロール2を図11の下に示す。
傾斜部23を設けない構造の固定スクロール2では、鏡板3の背面部とフランジ24との段差部に渦が発生し、図11の上の図からわかるようにまた鏡板3から離れた部分の流速が速くなっているが、鏡板3付近の流速は速くなっていない。一方で鏡板3の背面部とフランジ24との段差部に滑らかな傾斜部23を設けた場合は、図11の下の図からわかるよう冷却風は傾斜部23に沿って流れ、鏡板3付近の流速が傾斜部23を設けない構造の場合よりも速くなっている。
そのため本実施例においては、圧縮運転によって発生する熱による固定スクロール2の変形が小さくなり、鏡板3とフランジ24とで突っ張りが減少することから前述のラップ接触防止のための加工をさらに小さくすることができるため、前述のラップ4、10が想定される最高温度に達さない運転モードでも圧縮機の性能向上が可能である。
また、図4に示すとおり、本実施例でも実施例1と同様に、凹陥溝27、凸部28、傾斜部23は、フランジ24の全周にわたって設けずに、固定スクロール2の中心から冷却フィン6が延びる方向と交わる所定の角度範囲内に設けた。これにより、固定スクロール2の鏡板3の背面部の冷却風は、複数の冷却フィン6の間を沿って流れるため、効率よく固定スクロール2の鏡板3の背面部に冷却風を流通させることができる。また、傾斜部23をフランジ24の全周にわたって設けずに一部に設けるようにしたため、製品の重量の増加を抑制することができる。
本発明の実施例3を図12−13を用いて説明する。本実施例の特徴は、図12に示すように前述の凹陥部27と裏側の凸部28もしくは傾斜部23を、冷却風の流入側のフランジ24と、その反対側に位置するフランジの両方に設けたことで、実施例1および実施例2で説明した効果をより大きく得られるようにしたことである。
また図13に示すように凹陥溝27と裏側の凸部28もしくは傾斜部23を、冷却を最も行いたい一部のみに傾斜部23を設けることで前述の冷却風流れの改善を熱変形防止が必要となる部分にのみ行うことができ、簡易な構成で前述の運転モードでの圧縮機の性能向上が可能である。
また、傾斜部23を別部材にて構成することで、同じ固定スクロールを使用する違う出力の製品では別部材にて構成する傾斜部23の数量の変更や、傾斜そのものを変更することも可能であり、効果的に熱変形を防止することができる。さらに、傾斜23を別部材例えば固定スクロールより比重が軽い樹脂材料等にて構成することで、前述の効果を得るとともに、製品の重量増を防ぐことも可能である。
前記各実施例では、スクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、冷媒を圧縮する冷媒圧縮機、真空ポンプ等の他のスクロール式流体機械に適用してもよい。また、スクロール式流体機械を備えたタンク一体型パッケージ圧縮機や窒素ガス発生装置といったシステムに適用してもよい。
これまで説明してきた実施例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されない。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。また、実施例1乃至3を組み合わせることにより本発明を実施してもよい。
1 ケーシング
2 固定スクロール
3,9 鏡板
4,10 ラップ部
5 外周壁部
6,11 冷却フィン
7,13 チップシール
8 旋回スクロール
12 背面プレート
14 ボス
15 駆動軸
16 冷却ファン
17 ファンケーシング
18 補助クランク
19 圧縮室
20 吸込口
21 吸込フィルタ
22 吐出口
23 固定スクロール傾斜部
24 フランジ
25 フェイスシール溝
26 フェイスシール
27 凹溝部
28 固定スクロール凸部

Claims (14)

  1. ケーシングと、
    鏡板と、前記鏡板に設けられた渦巻状のラップ部と、前記ラップ部よりも外側に設けられ、前記ケーシングに取り付けられるフランジとを有する固定スクロールと、
    鏡板と、前記固定スクロールのラップ部との間に複数の圧縮室を形成し、前記鏡板に設けられた渦巻状のラップ部とを有し、旋回可能に設けられた旋回スクロールとを備え、
    前記フランジに前記鏡板の熱膨張による変形を吸収する変形吸収部を設けたことを特徴とするスクロール式流体機械。
  2. 前記変形吸収部は前記フランジの前記旋回スクロールに対向する面に設けられた凹陥溝と、前記凹陥溝の裏側に設けられた凸部とにより形成されることを特徴とする請求項1に記載のスクロール式流体機械。
  3. 前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールを冷却する冷却ファンを備えることを特徴とする請求項1に記載のスクロール式流体機械。
  4. 前記変形吸収部は鏡板の端部と前記フランジとを繋ぐ傾斜部と前記フランジの前記旋回スクロールに対向する面に設けられた凹陥溝とにより形成されることを特徴とする請求項3に記載のスクロール式流体機械。
  5. 冷却風の流入側のフランジと、その反対側に位置するフランジの両方に前記傾斜部を設けたことを特徴とする請求項4に記載のスクロール式流体機械。
  6. 前記固定スクロールの前記鏡板の背面に複数の冷却フィンを設けることを特徴とする請求項4に記載のスクロール式流体機械。
  7. 前記固定スクロールの中心を囲む円環状の範囲のうち、前記冷却フィンと交差する一部の角度範囲内に前記傾斜部を形成することを特徴とする請求項6に記載のスクロール式流体機械。
  8. ケーシングと、
    前記ケーシングに取り付けられるフランジを有する固定スクロールと、
    前記固定スクロールと対向して旋回可能に設けられた旋回スクロールとを備え、
    固定スクロールの前記フランジの前記旋回スクロールに対向する面に凹陥溝を設け、前記凹陥溝の裏側は前記フランジの外縁部よりも前記旋回スクロールと反対側に突出していることを特徴とするスクロール式流体機械。
  9. 前記凹陥溝は前記フランジの前記ケーシングと取り付けられる部分よりも内側に設けられることを特徴とする請求項8に記載のスクロール式流体機械。
  10. ケーシングと、
    前記ケーシングに取り付けられるフランジを有する固定スクロールと、
    前記固定スクロールと対向して旋回可能に設けられた旋回スクロールとを備え、
    固定スクロールの前記フランジの前記旋回スクロールに対向する面に凹陥溝を設け、前記フランジの前記旋回スクロールに対向する面の裏側を傾斜部としたことを特徴とするスクロール式流体機械。
  11. 前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールを冷却する冷却ファンを備えることを特徴とする請求項10に記載のスクロール式流体機械。
  12. 冷却風の流入側のフランジと、その反対側に位置するフランジの両方に前記傾斜部を設けたことを特徴とする請求項11に記載のスクロール式流体機械。
  13. 前記固定スクロールの前記旋回スクロールと対向する面と反対側の面に複数の冷却フィンを設けることを特徴とする請求項11に記載のスクロール式流体機械。
  14. 前記固定スクロールの中心を囲む円環状の範囲のうち、前記冷却フィンと交差する一部の角度範囲内に前記傾斜部を形成することを特徴とする請求項13に記載のスクロール式流体機械。

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