JP5594870B2 - ジャガイモ焼酎及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、掛原料の少なくとも一部に乾熱ジャガイモ及び/又は焼成ジャガイモを用いるジャガイモ焼酎及びその製造方法に関する。更に詳細には、高品質のジャガイモ焼酎とするために、掛原料の少なくとも一部に焼成ジャガイモを用いることを特徴とする、青臭さが除去又は軽減されたジャガイモ焼酎及びその製造方法に関する。
ジャガイモ・大麦麹を原材料とする本格焼酎やジャガイモ・米麹を原材料とする乙類焼酎を混和した混和焼酎などが市販されているが、いずれのジャガイモ焼酎もジャガイモ感に乏しいものとなっている。
一方、食品分野においては、製造直後における芋風味を向上させ、更に長期保存しても芋風味が維持される、芋食品及びその製造方法が特許文献1に開示されている。芋含有食品とメチオニンを混合させた後、加熱することにより、メチオナールを生成させるというものであり、加熱工程を含むポテトサラダ等の食品が例示されている。
酒類分野においては、ジャガイモを液化して連続的にジャガイモ焼酎醪を製造する方法が知られている(特許文献2)。また、焙炒イモ類麹を用いる酒類、食品の製造方法が知られている(特許文献3)。しかしながら、焼酎においては、メチオニンといったアミノ酸を添加して加熱することはできない。
特開2006−304700号公報 特開昭63−133976号公報 特開2001−95523号公報
本発明の目的は、上記従来技術にかんがみ、掛原料の少なくとも一部に乾熱ジャガイモ及び/又は焼成ジャガイモを用い、ジャガイモを想起させる酒質のジャガイモ焼酎及びその製造方法を提供することにある。更に、高品質のジャガイモ焼酎とするために、掛原料の少なくとも一部に焼成ジャガイモを用いることにより、青臭さが除去又は軽減されたジャガイモ焼酎及びその製造方法を提供することにある。
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は、掛原料の少なくとも一部に焼成ジャガイモを用いるジャガイモ焼酎であって、青臭さが除去又は軽減され、メチオナール含量が2 00μg/L以上で1000μg/L以下のジャガイモ焼酎に関する。本発明の第2の発明は、掛原料の少なくとも一部に焼成ジャガイモを用いることを特徴とする、青臭さが除去又は軽減され、メチオナール含量が200μg/L以上で1000μg/L以下のジャガイモ焼酎の製造方法に関する。本発明の第3の発明は、焼成温度が150〜250℃、焼成時間が20分〜10時間である、第2の発明のジャガイモ焼酎の製造方法に関する。
本発明者らは、掛原料の少なくとも一部に乾熱ジャガイモ及び/又は焼成ジャガイモを用いるジャガイモ焼酎において、ジャガイモを想起させる酒質を提供すべく、鋭意検討を行った。その結果、メチオナール含量を特定の値以上とすること、特に、高品質のジャガイモ焼酎とするために、掛原料の少なくとも一部に焼成ジャガイモを用いることにより、青臭さが除去又は軽減されたジャガイモ焼酎が得られることを見出した。すなわち、ジャガイモを想起させる香りや味を有する酒質とすることができ、青臭さ、土臭さを感じさせず、ホクホク感を付与することができ、本発明を完成させた。
本発明のジャガイモ焼酎は、原料のジャガイモの特徴が際立った酒質のジャガイモ焼酎である。特に、前記第2の発明のジャガイモ焼酎の製造方法により、青臭さが除去又は軽減された高品質のジャガイモ焼酎が得られる。本発明によれば、メチオニンといったアミノ酸を添加して加熱することなく、また、メチオナールを後から添加することもなく、高品質のジャガイモ焼酎を得ることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明でいうジャガイモとは、ナス科ナス属の植物であり、食用に利用される地下の茎の部分(塊茎)を用いる。日本では、男爵薯(だんしゃくいも)、メークインなどの品種が広く栽培されているが、品種には限定されない。キタアカリを使用してもよい。また、ジャガイモの皮の剥皮の有無は問わない。生のジャガイモは、水分含量が多く、長期保存には耐えないので、収穫後速やかに使用することが好ましいが、本発明では凍結保存等をしたものも含む。また、必要に応じて、処理して水分を減少させたものでもよく、処理加工(浸漬、温水浸漬等)したものであってもよく、特に限定はないが、作業、エネルギー面からは生のジャガイモが好適である。デンプン質の食物中に含まれるデンプン含量を重量百分率で示した値であるデンプン価と水分の測定値例を示すと、デンプン価はジャガイモで14.6%、サツマイモで26.1%、水分はジャガイモで79.4%、サツマイモで66.3%である。ジャガイモはサツマイモに比べ、水分が多く、デンプン価が低いという特徴を有している。
本発明に用いる掛原料としてのジャガイモの形態は限定されず、そのままあるいは粉状でもよい。掛原料としては、蒸しジャガイモ、乾熱処理したジャガイモ、焼成処理したジャガイモのいずれでもよいが、乾熱処理したジャガイモ(以下、乾熱ジャガイモと略述する)、焼成処理したジャガイモ(以下、焼成ジャガイモと略述する)が好ましい。後述するように掛原料の少なくとも一部に焼成処理したジャガイモを用いるのが特に好ましい。麹原料は、米又は大麦を用いるか、あるいは前記した掛原料と同様、ジャガイモを用いる場合には、ジャガイモの品種に限定はない。
蒸しジャガイモは、通常の蒸気による蒸きょう処理により調製する。乾熱処理したジャガイモは、乾熱処理する前にフルイ目1〜10mmを通過するように裁断し、裁断物となし、乾熱処理したジャガイモを調製する。乾熱処理には、焙炒法等の乾燥熱風による直接加熱法、熱源から隔壁を通して加熱する間接加熱法等がある。直接加熱法の一例としては気流乾燥、噴霧乾燥が、間接加熱法の一例としてはドラム乾燥が挙げられる。乾熱処理を行う場合、乾熱処理する条件は、被処理物の種類及び形態や乾熱処理方法により適宜選択され、通常温度は40〜400℃の範囲から、時間は0.1秒〜数十時間の範囲から適宜選択すればよい。温度が40℃より低い温度で乾熱処理する場合は、真空乾燥等を行えばよい。乾熱処理として、焙炒法の乾燥熱風による直接加熱法(以下、焙炒処理と略述する)を用いる場合には、ジャガイモを、例えばフルイ目1〜10mmを通過するように裁断し、裁断物となし、焙炒処理すればよい。焙炒処理は、イモ類を高温の熱風で短時間加熱処理をする方法、及びこれと同等の効果を有する加熱処理方法をいう。焙炒処理の温度は120〜400℃の範囲から、時間は数秒〜10分の範囲から適宜選択すればよい。焦げ臭を発生しない処理条件を選択すればよい。焙炒処理したジャガイモ(以下、焙炒ジャガイモと略述する)を製麹して焙炒ジャガイモ麹とする調製方法は、特開2001−95523公報記載の方法を参考にすればよい。
本発明でいう裁断とは、イモ類の大きさを整えることをいうが、切断、粉砕の方法に限定はない。例えば、手で包丁を用いてカットして1〜10mm目のフルイを通過するようにしてもよいし、裁断機のカッター、チョッパー等で切断してサイズを整えてもよい。また、トコロテンに使用する先端にカッターのついた押出し機を使用してもよい。裁断物の形状は、フルイ目1〜10mmを通過するものであればよい。例えば、立方体、直方体、球状等があるが、特に限定はない。裁断物の一辺の長さは、好ましくは1〜7mm、より好ましくは3〜5mmである。乾熱処理による焦げやすさ等を勘案して裁断物のサイズを選択すればよい。3mm×3mm×5mm角、3mm×5mm×5mm角、5mm×5mm×5mm角といった裁断物が好適な例として挙げられる。
焼成ジャガイモは、ジャガイモを水蒸気の存在下で熱風を吹込み焼成処理して焼成ジャガイモを調製する。例えば、ジャガイモを対流式オーブンであるスチームコンベクションオーブンを用いて加湿条件下で焼成処理すればよい。乾き飽和水蒸気を更に加熱して飽和蒸気温度を超える温度に上昇させた状態の水蒸気である過熱蒸気を用いる過熱蒸気処理によって焼成処理を行うこともできる。焼成処理を行う場合、焼成処理する条件は、被処理物の種類及び形態や焼成処理方法により適宜選択され、温度は150〜250℃の範囲から、時間は20分〜10時間の範囲から、湿度は70〜95%の範囲から適宜選択すればよい。温度が150℃未満では、焼き感が足りない。温度が250℃超では、焦げ臭が気になることになる。時間が20分未満では、焼成処理が不十分で生っぽさを感じることになる。時間が10時間超では、焦げが強くなり酒質に悪影響を与えることになる。焼成処理前のジャガイモ質量に対して、焼成処理後の焼成ジャガイモ質量が60%程度となるような条件を選択して焼成処理を行えばよい。また、ジャガイモは丸ごと焼成処理するのが好ましい。
掛原料として蒸しジャガイモを用いると、生っぽく、青臭さが感じられる酒質となり、また、焙炒ジャガイモを用いると、ややつんとした香りがあり、苦みも感じられる酒質となる。ジャガイモを丸ごと焼成処理した焼成ジャガイモを用いると、素直でふっくらとしており、甘みも感じられる酒質となるので、特に好適である。
本発明のジャガイモ焼酎は、掛原料の少なくとも一部に乾熱ジャガイモ及び/又は焼成ジャガイモを用いるジャガイモ焼酎であって、メチオナール含量が200μg/L以上のジャガイモ焼酎であることが特徴である。メチオナール含量を200μg/L以上とすることにより、原料のジャガイモの特徴が際立った酒質とすることができる。更に、掛原料の少なくとも一部に焼成ジャガイモを用いることにより、青臭さが除去又は軽減された高品質のジャガイモ焼酎とすることができる。すなわち、ジャガイモを想起させる香りや味を有する酒質とすることができ、青臭さ、土臭さを感じさせず、甘みも感じられ、焼きジャガイモのようなホクホク感が付与されたジャガイモ焼酎を得ることができる。
掛原料の少なくとも一部に焼成ジャガイモを用いると、青臭さが除去又は軽減された高品質のジャガイモ焼酎とすることができるが、これはジャガイモを焼成処理することにより、2,5−ジメチルピラジンをはじめとするピラジン類が適度に生成しているためと考えられる。焙炒ジャガイモを用いると、ややつんとした香りがあり、苦みも感じられる酒質となるのは、焼成ジャガイモよりも焙炒ジャガイモの方がピラジン類を多く生成しているためと考えられる。焼成ジャガイモのできの良しあしについては、2,5−ジメチルピラジンがどの程度生成しているかを見て一つの指標とすることもできる。
本発明において、メチオナール、2,5−ジメチルピラジンをはじめとするピラジン類については、GC−MS法により定量する。分析は、キャピラリーカラムDB−WAX(J&W社製)を接続したガスクロマトグラフ アジレント(Agilent)6890N〔横河アナリティカルシステムズ(株)製〕に導入し、常法により分離後、NPD/PFPD質量選択型検出器 アジレント(Agilent)5973〔横河アナリティカルシステムズ(株)製〕で検出を行った。検出限界は10μg/Lである。
本発明におけるジャガイモ焼酎の製造方法自体は、通常の焼酎の製造方法であれば特に限定はない。焼酎の製造は、原料処理、仕込、発酵(糖化・発酵)、蒸留及び精製工程よりなる。なお、原料処理には、製麹工程、原料液化、液化・糖化工程も含むものとする。通常、焼酎の製造において、米又は大麦を蒸きょう後、麹菌(白又は黒麹菌)の胞子を散布し、33℃〜40℃で約40時間かけて製麹し、一次醪として麹に水と焼酎酵母を加えて混合し、25℃〜30℃で約7日間かけて酵母の増殖を図る。この一次醪に、ジャガイモを、例えば蒸きょうし掛原料として添加して二次醪とし、25℃〜30℃で8日〜20日間かけて発酵させる。乾熱ジャガイモ又は焼成ジャガイモを、この二次醪の段階で添加すればよく、その添加時期に限定はない。次に得られた二次醪を蒸留することによって高品質のジャガイモ焼酎を得ることができる。蒸留方法には特に限定はなく、例えば、連続式蒸留しょうちゅう(甲類焼酎)を得るための連続蒸留法、単式蒸留しょうちゅう(乙類焼酎)を得るための単式蒸留法、また、醪を通常の大気圧下で蒸留する常圧蒸留法、真空ポンプで醪を大気圧より低くして蒸留する減圧蒸留法などがある。ジャガイモの原料特性が特徴としてよく出るという観点より、常圧蒸留法が好ましいが、きれいな酒質とする場合には減圧蒸留法を用いればよい。
本発明のジャガイモ焼酎の製造方法において、醪性状の改良や発酵の促進等のために酵素剤の使用は任意であり、動物、植物、微生物由来の酵素剤を用いればよい。添加量は目的とする製造物の種類、原料の種類、特性等に応じて適宜選択すればよい。例えば、焼酎を製造する場合、一次仕込みにペクチナーゼ、セルラーゼを添加すると、やわらかい醪になり、仕込み初期の発酵が非常に旺盛となり、二次仕込みにグルコアミラーゼを添加すると、二次仕込みの発酵が促進されることになる。仕込みの方法に限定はなく、一段(次)仕込み、二段(次)仕込み、三段(次)仕込み、多段(次)仕込み等が可能である。麹歩合は5%以上50%未満とすればよい。麹歩合が5%未満では、麹の糖化酵素活性が不足することになる。麹歩合が50%以上では、麹臭に原料であるジャガイモの特徴がやや隠れてしまうことになり、また、酸が多くなるので、酸臭が感じられることになる。得られるジャガイモ焼酎の香味のバランスの上からは、麹歩合を15%以上33%以下とすることが好ましく、より好ましくは15%以上25%以下である。なお、焼酎における麹歩合は、掛原料質量に対する麹原料質量の百分率をいい、焼酎における一般的な麹歩合は、米焼酎、麦焼酎では、30〜50%、甘藷焼酎では、16〜20%(ただし、米麹、麦麹使用)である。本発明では、麹原料として焙炒ジャガイモを用いる場合は、掛原料質量に対する焙炒イモ質量の百分率を麹歩合と定義する。
以下、検討例によって本発明を更に具体的に説明する。
検討例
市販されているジャガイモ焼酎のメチオナール含量を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0005594870
市販品Aは、ジャガイモ・大麦麹を原材料とする本格焼酎であり、市販品Bは、ジャガイモ・米麹を原材料とする乙類焼酎を甲類焼酎に混和した混和焼酎であり、市販品Cは、男爵いも、米麹、米を原材料とする焼酎である。いずれもメチオナールは検出されなかった。
10名のパネラーにより官能評価試験を行ったところ、いずれのジャガイモ焼酎も青臭さ、土臭さがあるという指摘であった。
市販品Bに、食品添加物グレードのメチオナールを添加して、種々のジャガイモ焼酎モデル液(焼酎に食品添加物を添加すると焼酎とはならないので、ここではモデル液としている)を調製し、メチオナールのジャガイモ焼酎に及ぼす影響について検討した。10名のパネラーにより官能評価試験を行った。3点法(1:良、2:普通、3:悪)で評価し、各パネラーによる官能評価の平均値より、1.0〜1.5を◎、1.5超〜2.0を○、2.0超〜2.5を△、2.5超〜3.0を×で示した。調製したジャガイモ焼酎モデル液のメチオナール含量、及び官能評価結果を表2に示す。
Figure 0005594870
表2より、メチオナールを添加し特定の値以上とすることにより、メチオナール単独でも十分にジャガイモ感あるものにできることがわかった。メチオナール含量が200μg/L以上とすることにより、香味良好でジャガイモ感あるものにできることがわかった。
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
ジャガイモの焼成処理条件の検討を行った。
生ジャガイモ(男爵薯)を洗浄後、芽や緑色を帯びた皮を取り除き、丸ごとスチームコンベクションオーブンで焼成処理し、焼成ジャガイモを得た。処理条件と焼成ジャガイモの出来具合を表3に示す。
Figure 0005594870
焼成処理条件としては、温度は150℃以上の範囲から、時間は20分以上の範囲から、焼き加減を見て皮が焦げすぎないようにすればよいことがわかった。また、湿度は70%以上であれば十分に焼成処理の効果をもたらした。
掛原料として焙炒ジャガイモ、麹原料として蒸し米を用いるジャガイモ焼酎の製造を行った。対照は、掛原料として蒸しジャガイモを用いた。仕込配合を表4に示す。麹歩合は20%となる。
Figure 0005594870
精米歩合70%の白米を常法により水浸漬、水切り、蒸きょう及び放冷して、市販の焼酎用黒麹菌を接種し、米麹を調製し、この米麹に汲水及び酵母を加え、25℃で7日間培養を行い、一次醪とした。
蒸しジャガイモは、生ジャガイモ(男爵薯)を洗浄後、芽や緑色を帯びた皮を取り除き、丸ごと50分間蒸きょうした。焙炒ジャガイモは、生ジャガイモ(男爵薯)を洗浄後、芽や緑色を帯びた皮を取り除き、5mm×5mm×5mm角に裁断し、裁断物を調製した。該裁断物を焙炒機で270℃、180秒の条件で焙炒処理し、焙炒ジャガイモを得た。
二次仕込みは、前記した蒸しジャガイモ又は焙炒ジャガイモを掛原料として用いた。一次醪に蒸しサツマイモ又は焙炒ジャガイモを加え二次仕込みを行い、25℃で14日間発酵させた。
発酵終了醪を、常法により単式蒸留機を用いて常圧蒸留(中留カットアルコール度数10v/v%)し、得られた蒸留液に冷却ろ過を実施し、アルコール分25v/v%に割水してジャガイモ焼酎を得た。10名のパネラーにより官能評価試験を行った。3点法(1:良、2:普通、3:悪)で評価し、各パネラーによる官能評価の平均値より、1.0〜1.5を◎、1.5超〜2.0を○、2.0超〜2.5を△、2.5超〜3.0を×で示した。得られたジャガイモ焼酎の低沸点香気成分の分析値(ヘッドスペースガスクロマトグラフィー法、アルコール分25v/v%換算値)、メチオナールの分析値(GC−MS法、アルコール分25v/v%換算値)と官能評価結果を表5に示す。
Figure 0005594870
表5より、本発明1である掛原料に焙炒ジャガイモを用いることにより、対照(掛原料が蒸しジャガイモ)と比べてジャガイモ感あるジャガイモ焼酎を得られることがわかった。しかしながら、ややつんとした香りがあり、少し後味に苦みもある酒質となった。なお、丸ごと蒸きょうしたジャガイモ以外に、蒸きょう後剥皮したジャガイモ、剥皮後蒸きょうしたジャガイモについても同様にジャガイモ焼酎を製造し、官能評価試験を行ったが、剥皮後蒸きょうしたジャガイモを用いたジャガイモ焼酎は、青臭さが若干緩和されたものの、口に含んだときの冷たい感じは改善されず、ふくらみのある甘い酒質とはならなかった。
実施例2における二次のジャガイモの半分量を焼成ジャガイモに代替し、二次仕込みの7日後に焼成ジャガイモを添加したジャガイモ焼酎の製造を行った。
焼成ジャガイモは、生ジャガイモ(男爵薯)を洗浄後、芽や緑色を帯びた皮を取り除き、丸ごとスチームコンベクションオーブンで焼成処理した。処理条件は、温度180℃、時間60分、湿度90%とした。
本発明2である得られたジャガイモ焼酎のメチオナール含量は610.3μg/Lであり、つんとした香りと苦みも軽減されていた。掛原料の少なくとも一部に焼成ジャガイモを用いることにより、ジャガイモ感ある酒質とすることができた。
実施例2と同様にして、ジャガイモ焼酎の製造を行った。掛原料として焼成ジャガイモを全量用いた。
焼成ジャガイモは、生ジャガイモ(男爵薯)を洗浄後、芽や緑色を帯びた皮を取り除き、丸ごとスチームコンベクションオーブンで焼成処理した。処理条件は、温度180℃、時間60分、湿度90%とした。
二次仕込みは、前記した蒸しジャガイモ又は焼成ジャガイモを掛原料として用いた。一次醪に蒸しジャガイモ又は焼成ジャガイモを加え二次仕込みを行い、25℃で14日間発酵させた。
発酵終了醪を、常法により単式蒸留機を用いて常圧蒸留(中留カットアルコール度数10v/v%)し、得られた蒸留液に冷却ろ過を実施し、アルコール分25v/v%に割水してジャガイモ焼酎を得た。10名のパネラーにより官能評価試験を行った。3点法(1:良、2:普通、3:悪)で評価し、各パネラーによる官能評価の平均値より、1.0〜1.5を◎、1.5超〜2.0を○、2.0超〜2.5を△、2.5超〜3.0を×で示した。得られたジャガイモ焼酎の低沸点香気成分の分析値(ヘッドスペースガスクロマトグラフィー法、アルコール分25v/v%換算値)、メチオナールの分析値(GC−MS法、アルコール分25v/v%換算値)と官能評価結果を表6に示す。
Figure 0005594870
表6より、本発明3である掛原料に焼成ジャガイモを全量用いることにより、対照(掛原料が蒸しジャガイモ)と比べて素直でふっくら、甘みある酒質のジャガイモ焼酎を得られることがわかった。青臭さ、土臭さも全く感じられず、焼きジャガイモのようなホクホク感を付与することもできた。
実施例2、実施例4と同様にして、全量ジャガイモ焼酎の製造を行った。掛原料として焼成ジャガイモ、麹原料として焙炒ジャガイモを用いた。
焼成ジャガイモは、生ジャガイモ(男爵薯)を洗浄後、芽や緑色を帯びた皮を取り除き、丸ごとスチームコンベクションオーブンで焼成処理した。処理条件は、温度200℃、時間40分、湿度80%とした。焙炒ジャガイモは、生ジャガイモ(男爵薯)を洗浄後、芽や緑色を帯びた皮を取り除き、100℃でサツマイモと同程度の水分60%程度になるように乾熱処理を行い、その後5mm×5mm×5mm角に裁断し、裁断物を調製した。該裁断物を焙炒機で250℃、150秒の条件で焙炒処理し、焙炒ジャガイモを得た。吸水、蒸きょうした焙炒ジャガイモを放冷後、市販の焼酎用黒麹菌を接種し、焙炒ジャガイモ麹を調製し、この焙炒ジャガイモ麹に汲水及び酵母を加え、25℃で7日間培養を行い、一次醪とした。
二次仕込みは、前記した焼成ジャガイモを掛原料として用いた。一次醪に焼成ジャガイモを加え二次仕込みを行い、25℃で14日間発酵させた。
発酵終了醪を、常法により単式蒸留機を用いて常圧蒸留(中留カットアルコール度数10v/v%)し、得られた蒸留液に冷却ろ過を実施し、アルコール分25v/v%に割水して全量ジャガイモ焼酎を得た。
本発明4である得られた全量ジャガイモ焼酎のメチオナール含量は761.2μg/Lであり、青臭さ、土臭さも軽減され、焼きジャガイモのようなホクホク感もある酒質とすることができた。
本発明のジャガイモ焼酎は、ジャガイモを想起させる香りや味を有する酒質であり、青臭さが除去又は軽減された高品質のジャガイモ焼酎である。特に、掛原料の少なくとも一部に焼成ジャガイモを用いることにより、青臭さ、土臭さを感じさせず、焼きジャガイモのようなホクホク感を付与することができるので、本発明は優れたジャガイモ焼酎及びその製造方法である。

Claims (3)

  1. 掛原料の少なくとも一部に焼成ジャガイモを用いるジャガイモ焼酎であって、青臭さが除去又は軽減され、メチオナール含量が200μg/L以上で1000μg/L以下のジ ャガイモ焼酎。
  2. 掛原料の少なくとも一部に焼成ジャガイモを用いることを特徴とする、青臭さが除去又は軽減され、メチオナール含量が200μg/L以上で1000μg/L以下のジャガイモ焼酎の製造方法。
  3. 焼成温度が150〜250℃、焼成時間が20分〜10時間である、請求項2に記載のジャガイモ焼酎の製造方法。
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