JP5592122B2 - 洗顔クロス - Google Patents

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本発明は、単繊維径が10〜1000nmのフィラメント糸を含む布帛で構成され、石鹸やその他の洗顔料を用いて洗顔を行う際に用いられる洗顔クロスおよびその製造方法に関する。
石鹸やその他の洗顔料を用いて洗顔を行う際に用いられる洗顔クロスとしては、種々のものが提案されており、特に近年では、微細な泡を形成するため極細繊維を用いた洗顔クロスが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
しかしながら、これらの洗顔クロスでは、均一な泡が得られず洗顔性能の点でまだ十分とはいえなかった。
特開2005−23435号公報 特開2005−87681号公報 特開2005−287746号公報 特開2006−336149号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、単繊維径が10〜1000nmのフィラメント糸を含む布帛で構成され、優れた洗顔性能を有する洗顔クロスおよびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、超極細繊維を用いて布帛を構成し、さらに該布帛にバフ加工を施して布帛表面の表面粗さを小さくすると、均一な泡ができ、優れた洗顔性能を有する洗顔クロスが得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「単繊維径が10〜1000nmのフィラメント糸Aを含む布帛で構成される洗顔クロスであって、クロス表面における算術平均粗さRaが30μm以下であることを特徴とする洗顔クロス。」が提供される。
その際、前記布帛が編物組織を有することが好ましい。前記フィラメント糸Aがポリエステルからなることが好ましい。また、前記フィラメント糸Aが、海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去して得られた糸条であることが好ましい。また、前記布帛に前記フィラメント糸Aが50重量%以上含まれることが好ましい。


本発明によれば、単繊維径が10〜1000nmのフィラメント糸を含む布帛で構成され、優れた洗顔性能を有する洗顔クロスおよびその製造方法が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、フィラメント糸A(以下、「ナノファイバー」と称することもある。)において、その単繊維径(単繊維の直径)が10〜1000nm(好ましくは100〜900nm、特に好ましくは550〜900nm)の範囲内であることが肝要である。かかる単繊維径を単繊維繊度に換算すると、0.000001〜0.01dtexに相当する。該単繊維径が10nmよりも小さい場合は繊維強度が低下するため実用上好ましくない。逆に、該単繊維径が1000nmよりも大きい場合は、十分な洗顔性能が得られないおそれがあり好ましくない。ここで、単繊維の断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には、外接円の直径を単繊維径とする。なお、単繊維径は、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。また、単繊維繊度のばらつきが−20%〜+20%の範囲内であることが好ましい。
前記フィラメント糸Aにおいて、フィラメント数は特に限定されないが、優れた洗顔性能を得る上で3000本以上(より好ましくは5000〜10000本)であることが好ましい。また、フィラメント糸Aの総繊度(単繊維繊度とフィラメント数との積)としては、5〜150dtexの範囲内であることが好ましい。
前記フィラメント糸Aの繊維形態は特に限定されないが、長繊維(マルチフィラメント糸)であることが好ましい。単繊維の断面形状も特に限定されず、丸、三角、扁平、中空など公知の断面形状でよい。また、通常の空気加工、仮撚捲縮加工が施されていてもさしつかえない。
前記フィラメント糸Aを形成するポリマーの種類としては特に限定されないが、ポリエステル系ポリマーが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ステレオコンプレックスポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどが好ましく例示される。かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルであってもよい。また、特開2009−01694号公報に記載された、バイオマスすなわち生物由来の物質を原材料として得られたモノマー成分を使用してなるポリエチレンテレフタレートであってもよい。さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
本発明の洗顔クロスを構成する布帛は、前記のフィラメント糸Aのみで構成されることが最も好ましく、前記フィラメント糸Aが50重量%以上含まれることが好ましい。該布帛に他の糸条が1種類または複数種類含まれていてもよい。その際、かかる他の糸条としては、単繊維径が1000nmより大の、前記のようなポリエステルからなるポリエスエテル糸条や弾性繊維糸が好ましい。特に、他の糸条として弾性繊維糸が含まれていると、布帛にさらに優れた伸縮性が付加され好ましい。
ここで、かかる弾性繊維糸としては、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなる吸水性ポリエーテルエステル弾性繊維糸、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリテトラメチレンオキシドグリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなる非吸水性ポリエーテルエステル弾性繊維糸、ポリウレタン弾性繊維糸、ポリトリメチレンテレフタレート糸、合成ゴム系弾性繊維糸、天然ゴム系弾性繊維糸などが好適に例示される。
前記弾性繊維糸の総繊度としては、5〜100dtex(より好ましくは10〜40dtex)の範囲内であることが好ましい。前記弾性繊維糸の破断伸度は200%以上のものが好ましく、染色加工時の熱処理によって性能を損なわないものが好ましい。
本発明の洗顔クロスは、前記の布帛で構成される洗顔クロスであって、クロス表面における算術平均粗さRaが30μm以下(好ましくは1〜25μm)であることが肝要である。該算術平均粗さRaが30μmより大きいと、すなわち表面粗さが大きいと、均一な泡ができず充分な洗顔性能が得られないおそれがあり好ましくない。また、表面粗さが最大高さRzで300μm以下(より好ましくは50〜250μm)であることが、充分な洗顔性能を得る上で好ましい。
本発明の洗顔クロスを構成する布帛は例えば以下の製造方法により製造することができる。まず、海成分と、その径が10〜1000nmである島成分とで形成される海島型複合繊維(フィラメント糸A用繊維)を用意する。かかる海島型複合繊維としては、特開2007−2364号公報に開示された海島型複合繊維マルチフィラメント(島数100〜1500)が好ましく用いられる。
ここで、海成分ポリマーとしては、繊維形成性の良好なポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンなどが好ましい。例えば、アルカリ水溶液易溶解性ポリマーとしては、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド縮合系ポリマー、ポリエチレングルコール系化合物共重合ポリエステル、ポリエチレングリコール系化合物と5−ナトリウムスルホン酸イソフタル酸の共重合ポリエステルが好適である。なかでも、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6〜12モル%と分子量4000〜12000のポリエチレングルコールを3〜10重量%共重合させた固有粘度が0.4〜0.6のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルが好ましい。
一方、島成分ポリマーは、繊維形成性のポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどのポリエステルが好ましい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
上記の海成分ポリマーと島成分ポリマーからなる海島型複合繊維は、溶融紡糸時における海成分の溶融粘度が島成分ポリマーの溶融粘度よりも大きいことが好ましい。また、島成分の径は、10〜1000nmの範囲とする必要がある。その際、該径が真円でない場合は外接円の直径を求める。前記の海島型複合繊維において、その海島複合重量比率(海:島)は、40:60〜5:95の範囲が好ましく、特に30:70〜10:90の範囲が好ましい。
かかる海島型複合繊維マルチフィラメントは、例えば以下の方法により容易に製造することができる。すなわち、前記の海成分ポリマーと島成分ポリマーとを用い溶融紡糸する。溶融紡糸に用いられる紡糸口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群を有するものなど任意のものを用いることができる。吐出された海島型断面複合繊維マルチフィラメント糸は、冷却風によって固化され、好ましくは400〜6000m/分で溶融紡糸された後に巻き取られる。得られた未延伸糸は、別途延伸工程をとおして所望の強度・伸度・熱収縮特性を有する複合繊維とするか、あるいは、一旦巻き取ることなく一定速度でローラーに引き取り、引き続いて延伸工程をとおした後に巻き取る方法のいずれでも構わない。さらに、仮撚捲縮加工を施してもよい。かかる海島型複合繊維マルチフィラメントにおいて、単糸繊維繊度、フィラメント数、総繊度としてはそれぞれ単糸繊維繊度0.5〜10.0dtex、フィラメント数5〜75本、総繊度30〜170dtex(好ましくは30〜100dtex)の範囲内であることが好ましい。
次いで、かかる海島型複合繊維マルチフィラメントを単独で用いるか、必要に応じて単繊維径が1000nmより大の弾性繊維糸など他の糸とともに用いて、布帛を製編または製織する。その際、布帛の組織は特に限定されず、通常の方法で得られた、織物または編物または不織布でよい。特に布帛のソフト性および泡立ち性を得る上で編物が好ましい。
ここで、織物の織組織は、平織、斜文織、朱子織等の三原組織、変化組織、変化斜文織等の変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロード、タオル、ベロア等のたてパイル織、別珍、よこビロード、ベルベット、コール天等のよこパイル織などが例示される。なお、これらの織組織を有する織物は、レピア織機やエアージェット織機など通常の織機を用いて通常の方法により製織することができる。層数も特に限定されず単層でもよいし2層以上の多層構造を有する織物でもよい。
編物の種類は、よこ編物であってもよいしたて編物であってもよい。よこ編組織としては、天竺、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等が好ましく例示される。天竺の編組織で2種の糸条で複合ループを形成したプレーテイング天竺、その際、一方の糸条を弾性繊維糸条としたベア天竺などが好適に例示される。たて編組織としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフ編、裏毛編、ジャガード編等が好ましく例示される。なお、製編は、丸編機、横編機、トリコット編機、ラッシェル編機等など通常の編機を用いて通常の方法により製編することができる。層数も特に限定されず単層でもよいし2層以上の多層構造を有する編物でもよい。
次いで、該布帛にアルカリ水溶液処理を施し、前記海島型複合繊維の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去することにより、海島型複合繊維マルチフィラメントを単繊維径が10〜1000nmのフィラメント糸Aとする。その際、アルカリ水溶液処理の条件としては、濃度1〜4%のNaOH水溶液を使用し55〜70℃の温度で処理するとよい。
さらに、該布帛にスパンレース用のウオーターニードル装置で高圧水を噴射すると、凝集密着しているフィラメント糸Aをばらけさせ、前記のような表面粗さを有する布帛がえられ易く好ましい。
次いで、該布帛にバフ加工を施し布帛表面を平坦にすることにより、本発明の洗顔クロスが得られる。ここで、布帛にバフ加工を施さない場合は、クロス表面が平坦にならないため、クロス表面における算術平均粗さRaが30μm以下の洗顔クロスが得られないおそれがあり好ましくない。なお、かかるバフ加工は通常のバフ加工でよく、例えば、粒度#50〜#200番のエメリーペーパーを用いたバフ加工でよい。
また、常法の染色加工、起毛加工、撥水加工、吸水加工、バッフィング加工、さらには、紫外線遮蔽あるいは制電剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を前記布帛に付加適用してもよい。
かかる布帛をそのまま用いて洗顔クロスとしてもよいし、適宜縫製してもよいし、アクセサリーなどの付属品を取りつけて洗顔クロスとしてもよい。例えば、布帛周辺反末を飾りミシンで縫製すると、ホツレ防止にもなり、高級感も得られる。
かくして得られた洗顔クロスには、超極細繊維である前記フィラメント糸Aが含まれており、クロス表面が平坦なので、均一な泡ができ、優れた洗顔性能が得られる。
なお、かかる洗顔クロスにおいて、クロスの厚さが0.2〜1.0mmの範囲内であることが好ましい。また、布帛の目付けとしては50〜250g/mの範囲内であることが好ましい。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
<溶融粘度>乾燥処理後のポリマーを紡糸時のルーダー溶融温度に設定したオリフィスにセットして5分間溶融保持したのち、数水準の荷重をかけて押し出し、そのときのせん断速度と溶融粘度をプロットする。そのプロットをなだらかにつないで、せん断速度−溶融粘度曲線を作成し、せん断速度が1000秒−1の時の溶融粘度を見る。
<溶解速度>海・島成分の各々0.3φ−0.6L×24Hの口金にて1000〜2000m/分の紡糸速度で糸を巻き取り、さらに残留伸度が30〜60%の範囲になるように延伸して、84dtex/24filのマルチフィラメントを作製する。これを各溶剤にて溶解しようとする温度で浴比100にて溶解時間と溶解量から、減量速度を算出した。
<ナノファイバーのばらけ状態>繊維構造体を液体窒素に浸漬して固まらせた後カットした後、断面(縦61μm×横80μm、面積4880μm)を電子顕微鏡で10箇所撮影し(倍率1500倍)、100本以上のナノファイバーが凝集密着したナノファイバー塊の合計個数をカウントした。合計個数が0個の場合は合格、1個以上の場合は不合格である。
<目付>JIS L1096 6.4.2に従って測定した。
<表面粗さ>室温20℃、相対湿度65%にコントロールされた人工気象室内にて、5cm角に裁断した試験片を、カラー3Dレーザー顕微鏡VK−8700(キーエンス社製)を用い、JIS B 0601−2001に従い、最大高さRz(μm)、算術平均粗さRa(μm)を算出した。
<クレンジング効果>
口紅およびファンデーションに対するクレンジング効果を評価した。
(口紅に対するクレンジング効果)
試験者の前腕内側部(20mm×50mm)と人工皮革(出光テクノファイン社製、商品名サプラーレ、20mm×50mm)に口紅(HELENA RUBINSTEIN27(商品名))を均一に塗布した後、評価品に洗顔フォーム(花王ビオレ(商品名))を3cm(通常の使用量)出して30秒間もみ洗いすることにより泡立てを行い、円を描きながら30回表面を擦り水洗いした後、口紅の落ち具合をマイクロスコープ(HIROX HI−SCOPEKH−200MD2 60倍)で観察した。
(ファンデーションに対するクレンジング効果)
人工皮膚(株式会社ビューラックス製バイオスキン(商品名)40代モデル Φ50mm)に下地クリーム(コーセーエスプリークプレシャス(商品名))小豆大とパウダーファンデーション(花王ソフィーナレイシャス(商品名))約20mgとを均一に塗布した後、評価品に洗顔フォーム(花王ビオレ(商品名))を3cm(通常の使用量)出して30秒間もみ洗いすることにより泡立てを行い、円を描きながら10回、20回、30回と表面を擦り水洗いした後、ファンデーションの落ち具合をマイクロスコープ(HIROX HI−SCOPEKH−200MD2 60倍)で観察した。
<肌汚れの除去効果>
評価品に洗顔フォーム(花王ビオレ(商品名))を3cm(通常の使用量)出して30秒間もみ洗いすることにより泡立てを行い、該評価品で10回、30回と擦り水洗い後の頬およびアゴの肌表面の状態をマイクロスコープ(HIROX HI−SCOPEKH−200MD2 60倍)で観察した。
<泡立ち性能>
評価品に洗顔フォーム(花王ビオレ(商品名))を3cm(通常の使用量)出して30秒間もみ洗いすることにより泡立てを行い、泡の状態をマイクロスコープ(HIROX HI−SCOPEKH−200MD2 60倍)で観察した。
[実施例1]
島成分としてポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1200ポイズ)、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸6モル%と数平均分子量4000のポリエチレングリコール6重量%を共重合したポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1750ポイズ)を用い(溶解速度比(海/島)=230)、海:島=30:70、島数=836の海島型複合未延伸繊維を、紡糸温度280℃、紡糸速度1500m/分で溶融紡糸して一旦巻き取った。
得られた未延伸糸を、延伸温度80℃、延伸倍率2.5倍でローラー延伸し、次いで150℃で熱セットして巻き取った。得られた海島型複合延伸糸(フィラメント糸A用)は55dtex/10filであり、透過型電子顕微鏡TEMによる繊維横断面を観察したところ、島の形状は丸形状でかつ島の径は700nmであった。
ついで、前述の海島型複合延伸糸を28ゲージの通常の丸編ダブル機を使用して、スムース編物を編成した。そして、得られた編地を海島型複合延伸糸の海成分を除去するために、25g/リットルのNAOH水溶液で、70℃にて30重量%アルカリ減量した後、常法の染色加工を行った。
次いで、この編地(布帛)に対し、スパンレース用のウオーターニードル装置(噴射孔径:0.1mm、孔ピッチ:1.0mm、孔配列:2列千鳥)にて、水圧60kg/cm(588N/cm)、編地の送り速度2m/分、編地の支持メッシュ:50メッシュの条件で高圧水を噴射した。
次いで、この編地に、粒度#120番のエメリーペーパーを用いてバフ加工を施すことにより、洗顔クロスを得た。
得られた洗顔クロス(編地)の密度は63コース/60ウエール、編地中のマルチフィラメント糸条の総繊度は37dtex、単繊維径が700nm、単糸数8360、目付け100g/mであった。該編物においてナノファイバー同士が凝集密着することなく、ばらけた状態で存在しており、ナノファイバー塊の個数は0個であった。また、表面粗さはRzが280μm、Raは25μmであった。該洗顔クロス(編物)を用いて洗顔性を評価したところ、クレンジング効果において、口紅に関しては、皮溝の中にはいった口紅もよく落ち、深い皮溝にわずかに残量が認められるだけであった。また、ファンデーションに関しては極めて高いクレンジング効果を示した。肌汚れの除去効果では、毛穴につまった汚れもきれいに除去し、肌汚れの除去効果が高いことを確認した。泡立ち性に関しては、泡立ちがはやく、細かく均一な泡ができ泡立ちがよかった。
[比較例1]
実施例1において、バフ加工を施さないこと以外は実施例1と同様にした。得られた洗顔クロス(編地)において、表面粗さはRzが373μm、Raは38μmであった。該洗顔クロス(編物)を用いて洗顔性を評価したところ、クレンジング効果において、口紅に関しては、皮溝の中にはいった口紅が残った。また、ファンデーションに関しても実施例1のものと比べてクレンジング効果が劣っていた。肌汚れの除去効果では、毛穴に汚れがわずかに残留した。泡立ち性に関しては、泡立ちがはやいものの、細かい泡が少なく均一な泡ができなかった。
本発明によれば、単繊維径が10〜1000nmのフィラメント糸を含む布帛で構成され、優れた洗顔性能を有する洗顔クロスおよびその製造方法が提供され、その工業的価値は極めて大である。

Claims (5)

  1. 単繊維径が10〜1000nmのフィラメント糸Aを含む布帛で構成される洗顔クロスであって、前記フィラメント糸Aがフィラメント数3000本以上の長繊維であり、かつ洗顔クロスにバフ加工が施され、クロス表面における算術平均粗さRaが30μm以下であることを特徴とする洗顔クロス。
  2. 前記布帛が編物組織を有する、請求項1に記載の洗顔クロス。
  3. 前記フィラメント糸Aがポリエステルからなる、請求項1または請求項2に記載の洗顔
    クロス。
  4. 前記フィラメント糸Aが、海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除
    去して得られた糸条である、請求項1〜3のいずれかに記載の洗顔クロス。
  5. 前記布帛に前記フィラメント糸Aが50重量%以上含まれる、請求項1〜4のいずれかに記載の洗顔クロス。
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