JP5589187B2 - 感光性樹脂組成物およびパターン形成方法 - Google Patents
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Description
感光性樹脂組成物を用いた回路形成プロセスでは、基材表面に感光性樹脂組成物からなるレジスト膜を形成する工程と、レジスト膜にマスクを介して光を照射して潜像を形成する工程と、潜像が形成されたレジスト膜を現像液で現像処理してレジストパターンを形成する工程と、レジストのない部分を化学的にエッチングする工程を経ることによって、電子回路が形成される。
(1)ノボラック樹脂、キノンジアジド化合物およびポリヒドロキシ化合物を含む感光性樹脂組成物(特許文献1)。
(2)フェノール性の水酸基を有する単量体に由来する構成単位およびカルボキシル基含有ビニル系単量体に由来する構成単位を有するビニル系共重合体と、キノンジアジド化合物とを含む感光性樹脂組成物(特許文献2)。
(3)カルボキシル基含有ビニル系単量体に由来する構成単位を有するビニル系共重合体、キノンジアジド化合物およびポリヒドロキシ化合物を含む感光性樹脂組成物(特許文献3)。
また、(2)の感光性樹脂組成物は、ポリヒドロキシ化合物を含まないため、炭酸ナトリウム水溶液への溶解性が悪い。そのため、COFやビルドアップ工法による多層プリント配線板における回路形成プロセスに用いた場合、解像度が不十分となりやすい。
また、(3)の感光性樹脂組成物では、ビニル系共重合体がフェノール性の水酸基を有していないため、フェノール性の水酸基とキノンジアジドとの相互作用がない。そのため、未露光部のレジスト膜が溶解しやすく、膜減りが生じやすい。
本発明のパターン形成方法によれば、COFやビルドアップ工法による多層プリント配線板における回路形成プロセスにおいて、欠陥の少ない高精度の微細なパターンを形成できる。
本発明の感光性樹脂組成物は、ビニル系共重合体(I)とキノンジアジド化合物(II)とポリヒドロキシ化合物(III)とを含み、必要に応じて他の成分を含む。
ビニル系共重合体(I)は、フェノール性の水酸基を有する単量体(a)に由来する構成単位およびカルボキシル基含有ビニル系単量体(b)に由来する構成単位を有し、必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(c)に由来する構成単位を有する。
Xは、酸素原子またはNHである。
また、単量体(a2)としては、入手しやすさの点から、下記式(2−1)で表される単量体(a2−1)が好ましい。
(i)単量体(a)と単量体(b)との重合性を向上させる。
(ii)単量体(a)と単量体(b)との組み合わせにてドライフィルムとしての柔軟性等の性能が不足している場合に、クラック発生を抑える。
単量体(c)を用いる場合の単量体(c)の割合は、単量体(a)〜(c)の合計の仕込み量100質量%のうち、0〜80質量%が好ましい。
感光性樹脂組成物の固形分とは、ビニル系共重合体(I)とキノンジアジド化合物(II)と、ポリヒドロキシ化合物(III)との合計量である。
キノンジアジド化合物(II)としては、公知の1,2−キノンジアジド−4−スルホン酸エステル化合物、1,2−キノンジアジド−5−スルホン酸エステル化合物、1,2−キノンジアジド−6−スルホン酸エステル化合物、1,2−キノンジアジド−7−スルホン酸エステル化合物、1,2−キノンジアジド−8−スルホン酸エステル化合物が挙げられ、具体的には、トリヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類、テトラヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類、ペンタヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類、ヘキサヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類、(ポリヒドロキシ)アルカンの1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類等が挙げられる。
ポリヒドロキシ化合物(III)(ただし、ビニル系共重合体(I)を除く。)としては、下記の化合物が挙げられる。
他の成分としては、ビニル系共重合体(I)以外のアルカリ可溶性樹脂、レベリング剤、保存安定剤、可塑剤、吸光剤、架橋剤、接着助剤等が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、ノボラック樹脂等が挙げられる。
他の成分の含有割合は、感光性樹脂組成物の固形分100質量%中、0〜30質量%が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、通常、溶媒に溶解したレジスト液の状態で用いられる。レジスト液は、例えば、ビニル系共重合体(I)、キノンジアジド化合物(II)、ポリヒドロキシ化合物(III)、溶媒を混合する方法;懸濁重合法または溶液重合法で得られたビニル系共重合体(I)を含む溶液に、キノンジアジド化合物(II)、ポリヒドロキシ化合物(III)を添加する方法等によって調製される。
ケトン類:メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン等の直鎖状もしくは分岐状ケトン;シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の環状ケトン等。
プロピレングリコールモノアルキルアセテート類:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと記す。)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等。
エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類:エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等。
プロピレングリコールモノアルキルエーテル類:プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等。
エチレングリコールモノアルキルエーテル類:エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等。
ジエチレングリコールアルキルエーテル類:ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等。
エステル類:酢酸エチル、乳酸エチル等。
アルコール類:n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、1−オクタノール等。
その他:1,4−ジオキサン、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等。
炭素数5〜11の脂肪族炭化水素系溶媒:ペンタン、2−メチルブタン、n−ヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジブチルブタン、2,3−ジブチルブタン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、n−ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、n−デカン、n−ドデカン等。
溶媒としては、安全性の点、汎用的に用いられている点から、PGMEA、乳酸エチル、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトンが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、ドライフィルム化して用いてもよい。
ドライフィルムは、例えば、支持フィルムの表面に上述のレジスト液を塗布し、乾燥させてレジスト膜を形成することによって製造される。
レジスト膜の厚さは、ドライフィルムとしての実用性を考慮すると、3μm以上が好ましい。
本発明のパターン形成方法は、下記の工程を有する方法である。
(A)感光性樹脂組成物からなるレジスト膜を基材表面に形成する工程。
(B)レジスト膜を露光して潜像を形成する工程。
(C)潜像が形成されたレジスト膜を、pH10.5〜12.5の現像液で現像処理してレジストパターンを形成する工程。
(D)レジストのない部分に加工を施し、所望のパターンを基材表面に形成する工程。
上述のレジスト液を用いる場合、パターンを形成する基材の表面に、レジスト液をスピナー、コーター等により塗布、乾燥し、基材表面にレジスト膜を形成する。
上述のドライフィルムを用いる場合、パターンを形成する基材とレジスト膜とが接するように、基材の表面にドライフィルムをラミネートする。
露光方法としては、紫外線露光法、可視光露光法等が挙げられる。
露光を選択的に行う方法としては、フォトマスクを用いる方法、レーザー光を用いた走査露光法が挙げられる。フォトマスクを用いる場合の露光方法としては、コンタクト露光法、オフコンタクト露光法のいずれも使用可能である。
上述のドライフィルムを用いた場合、支持フィルム越しにレジスト膜を露光して潜像を形成した後、支持フィルムを剥離する。
現像液としては、アルカリ類の水溶液が挙げられる。
アルカリ類としては、無機アルカリ類(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等)、第一アミン類(エチルアミン、n−プロピルアミン等)、第二アミン類(ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等)、第三アミン類(トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等)、アルコールアミン類(ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、第四級アンモニウム塩(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド等)、環状アミン類(ピロール、ピペリジン等)等が挙げられる。
アルカリ類の水溶液には、アルコール類、界面活性剤、芳香族水酸基含有化合物等を適当量添加してもよい。
1質量%炭酸ナトリウム水溶液(pH約11.6)を用いると、通常のプリント配線板における回路形成プロセスと同じ工程を利用できることから特に好ましい。
加工方法としては、公知のエッチング、めっき等が挙げられる。
実施例における評価方法は、下記の通りである。
ドライフィルムを折り曲げ、クラックの発生を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
○:クラックが発生しない。
×:クラックが確認された。
ドライフィルムを露光せずに1質量%炭酸ナトリウム水溶液(pH約11.6)に1分間浸漬した後の膜減り量を測定し、下記の基準で評価した。
○:膜減り量が10%質量未満。
○△:膜減り量が10%質量以上20質量%未満。
△:膜減り量が20質量%以上30質量%未満。
×:膜減り量が30質量%以上。
ドライフィルムを、20μmのラインアンドスペースパターンを形成するように超高圧水銀灯で露光し、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(pH約11.6)にて1分間現像を行った後、パターン形状を電子顕微鏡にて観察し、下記の基準で評価した。
○:露光部が完全に溶解している。
○△:パターンのエッジ部分に若干の残渣が残る。
△:露光部に若干の残渣が残る。
×:露光部に残渣が多く残る。
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー、滴下漏斗、および温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、PGMEAの350質量部を入れた。フラスコ内を攪拌しながら内温を120℃に上げた。
その後、下記の混合物(以下、滴下溶液とも記す。)を滴下漏斗より4時間かけてフラスコ内に滴下し、さらに120℃の温度を1時間保持した。
前記式(1−1)で表される単量体(a1−1)(大阪有機化学工業社製)の30質量%、
メタクリル酸(単量体(b))の17質量%、
メタクリル酸メチル(単量体(c))の20質量%、
スチレン(単量体(c))の15質量%、
アクリル酸エチルの18質量%、
単量体の合計100質量部に対して1質量部の重合開始剤(日本油脂社製、パーブチルーO)。
単量体の仕込み量を表1に示す量に変更した以外は、製造例1と同様の操作でビニル系共重合体(I−2)〜(I−14)を得た。
ビニル系共重合体(I−1)の100質量部、キノンジアジド化合物(II)として2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル(2.5モル)の30質量部、ポリヒドロキシ化合物(III)として1−[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−[α,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンの20質量部およびPGMEAの300質量部を混合し、レジスト液を得た。
厚さ15μmのPETフィルムの表面に前記レジスト液を、乾燥後の厚さが5μmとなるように塗布し、乾燥させて、ドライフィルムを得た。
該ドライフィルムの評価を行った。結果を表2に示す。
ビニル系共重合体(I−1)をビニル系共重合体(I−2)〜(I−5)、(I−7)、(I−8)、(I−10)〜(I−14)に変更し、実施例5においてはさらにPGMEAの量を変更した以外は、実施例1と同様にしてドライフィルムを得た。
該ドライフィルムの評価を行った。結果を表2に示す。また、実施例9〜11においては0.2質量%炭酸ナトリウム水溶液(pH約11.3)を用いた評価を行った。
ビニル系共重合体(I−6)の100質量部、キノンジアジド化合物(II)として2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル(2.5モル)の30質量部、ポリヒドロキシ化合物(III)として1−[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−[α,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンの20質量部およびPGMEAの350質量部を混合し、レジスト液を得た。
厚さ25μmのPETフィルムの表面に前記レジスト液を、乾燥後の厚さが5μmとなるように塗布し、乾燥させて、ドライフィルムを得た。
該ドライフィルムの評価を行った。結果を表2に示す。
ビニル系共重合体(I−1)をノボラック樹脂に変更し、PGMEAの量を変更した以外は、実施例1と同様にしてドライフィルムを得た。
該ドライフィルムの評価を行った。結果を表2に示す。
ビニル系共重合体(I−5)をビニル系共重合体(I−9)に変更した以外は、比較例1と同様にしてドライフィルムを得た。
該ドライフィルムの評価を行った。結果を表2に示す。
ポリヒドロキシ化合物(III)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてドライフィルムを得た。
該ドライフィルムの評価を行った。結果を表2に示す。
比較例2は、ノボラック樹脂を使用しているために、クラックが発生した。
比較例3は、カルボキシル基含有ビニル系単量体を使用していないため、解像度が不十分となった。
比較例4は、ポリヒドロキシ化合物(III)を添加していないため、炭酸ナトリウム水溶液への溶解性が悪く、解像度が不十分となった。
Claims (5)
- フェノール性の水酸基を有する単量体(a)に由来する構成単位およびカルボキシル基含有ビニル系単量体(b)に由来する構成単位を有するビニル系共重合体(I)と、
キノンジアジド化合物(II)と、
ポリヒドロキシ化合物(III)と
を含み、
前記単量体(a)が、下記式(1)で表される単量体(a1)または下記式(2)で表される単量体(a2)であり、
前記ポリヒドロキシ化合物(III)が、ベンゼン環骨格を3または4個有する化合物であり、
前記ポリヒドロキシ化合物(III)の含有割合が、前記ビニル系共重合体(I)100質量部に対して、5〜70質量部である、感光性樹脂組成物。
- 前記ビニル系共重合体(I)が、前記単量体(a)および前記単量体(b)を含む単量体成分を重合して得られたものであり、
前記単量体(a)の割合が、単量体の合計の仕込み量100質量%のうち、5〜80質量%である、請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。 - 前記ビニル系共重合体(I)が、前記単量体(a)および前記単量体(b)を含む単量体成分を重合して得られたものであり、
前記単量体(b)の割合が、単量体の合計の仕込み量100質量%のうち、1〜50質量%である、請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなるレジスト膜を基材表面に形成する工程と、
前記レジスト膜を露光して潜像を形成する工程と、
潜像が形成された前記レジスト膜を、pH10.5〜12.5の現像液で現像処理してレジストパターンを形成する工程と
を有する、パターン形成方法。
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