JP5585938B2 - 電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置、及び電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置、及び電子写真感光体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体、画像形成装置、プロセスカートリッジ及びそれらを用いた画像形成方法に関するものである。
一般に「電子写真方法」とは、光導電性の感光体をまず暗所で例えばコロナ放電によって帯電させ、次いで像露光し、露光部のみの電荷を選択的に散逸せしめて静電潜像を得、この潜像部を染料、顔料などの着色剤と高分子物質などの結合剤とから構成される検電微粒子(トナー)で現像し可視化して画像を形成するようにした画像形成法の一つである。
このような電子写真方法において感光体に要求される基本的な特性としては
(1)暗所で適当な電位に帯電できること、
(2)暗所において電荷の散逸が少ないこと、
(3)光照射によって速やかに電荷を散逸できること、
などが挙げられる。
従来、電子写真方法において使用される感光体としては、導電性支持体上にセレンないしセレン合金を主体とする感光層を設けたもの、酸化亜鉛、硫化カドミウムなどの無機系光導電材料をバインダー中に分散させたもの、ポリビニルカルバゾールとトリニトロフルオレノンあるいはアゾ顔料などの有機光導電材料を用いたもの、及び非晶質シリコン系材料を用いたもの等が一般に知られているが、近年ではコストの低さ、感光体設計の自由度の高さ、低公害性等から有機系電子写真感光体が広く利用されるようになってきている。
有機系電子写真感光体には、ポリ−N−ビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電性樹脂型、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、フタロシアニン−バインダーに代表される顔料分散型、電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体などが知られており、特に機能分離型の感光体が注目されている。
この機能分離型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、感光体を帯電した後光照射すると、光は透明な電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質により吸収され、光を吸収した電荷発生物質は電荷担体を発生し、この電荷担体は電荷輸送層に注入され、帯電によって生じている電界にしたがって電荷輸送層中を移動し、感光体表面の電荷を中和することにより静電潜像を形成するものである。機能分離型感光体においては、主に紫外部に吸収を持つ電荷輸送物質と、主に可視部に吸収を持つ電荷発生物質とを組み合わせて用いることが知られており、上記基本特性を充分に満たすものが得られている。
近年、電子写真プロセスの高速化、小型化が進むなか、感光体に対して上記特性以外に長期繰返し使用に際しても高画質を保つことの出来る信頼性及び高耐久化が強く要求される様になっている。
感光体は、電子写真プロセスにおいて、様々に機械的、化学的負荷を受けている。このような負荷により、感光体は、摩耗し、膜厚減少による異常画像が発生する。この感光体の耐久性を向上させる手段として、感光体にフィラーを添加する技術、感光層表面にフィラーを分散させた表面保護層を設ける技術が、特許文献1〜6などに提案されている。
感光体表面にフィラーを樹脂中に分散させた表面保護層を設けた場合、下記に示すような様々な課題が挙げられる。
(1)感光層と表面保護層の接着性
感光層と表面保護層が不連続な層構造となっている場合、長期的な使用により、表面保護層が剥離する場合がある。
(2)長期的な使用における電位安定性
感光層と表面保護層が不連続な層構造となっている場合、長期的な使用により、露光部電位が上昇する。
(3)小径ビーム書き込みにおける微細ドット再現性
感光層と表面保護層が不連続な層構造になっている場合、つまり感光層が表面保護層塗工液による溶解及び浸食を受けない場合、初期における画像特性が良好となる。一方、感光層と表面保護層が連続的な層構造となっている場合、つまり、感光層が表面保護層塗工液により溶解及び浸食される場合、その溶解及び浸食度合いにより、画像特性が劣化する。
(4)摩耗速度の安定化
感光層と表面保護層が連続的な層構造となっており、かつ感光層の表面保護層塗工液による溶解及び浸食が大きい場合、感光層と表面保護層境界部で、フィラーの存在が大きく不均一となる。そしてこの感光体を長期的に使用した場合、摩耗速度が不安定となり、画像特性の劣化が引き起こされる。
(5)黒ベタ画像端部における画像太り及びトナー飛散
均一な電位分布を有する感光体において、黒ベタの潜像を形成し、トナー現像した場合、黒ベタ潜像端部において、電気力線が立ち上がった状態となり、エッジ効果によりそれ以外の部分に比べ、トナーが多く現像される。そのために、黒ベタ画像を出力した場合、黒ベタ画像端部において、画像太り及びトナー飛散が発生する。この現象を抑制する手段として、感光体上の電位分布を微少領域で微細な不均一状態とすることにより、このエッジ効果が低減され、黒ベタ画像端部における画像太りおよびトナー飛散が抑制される。感光体上の電位分布を微少領域で微細な不均一状態とする手段として、感光層と表面保護層の境界領域状態を制御することが考えられる。
これらの課題に対して、特許文献7において、フィラーを含有させた表面保護層と感光層の層構造を制御することにより、対応可能であることが判明した。
これらの表面保護層により、感光体の機械的耐久性は従来に比べて格段に向上した。しかしフィラーを含有させた表面保護層では、新たな課題として露光部電位が大きくなるという課題が出てきた。特に長期的に使用した場合、感光体には、様々な感光層中を流れる電荷の影響による電気的負荷や帯電チャージャ又は帯電ローラ等から発生するNOxガスやオゾンガスなどの化学的負荷により、徐々に露光部電位が上昇するという不具合が発生した。
また特許文献8、9の感光体表面へステアリン酸亜鉛などの潤滑剤を感光体外部から塗布することにより、転写性、クリーニング性が向上し、さらに感光体は、摩耗しにくくなり、さらなる高耐久化が可能となった。
この表面保護層及び外部からの潤滑剤塗布することにより、感光体の機械的耐久性はさらに大きくなり、それに比較して、電気的、化学的な耐久性が十分でないことが明らかとなった。
さらに感光体を長期的に使用した場合、様々な電気的、化学的負荷による露光部電位上昇は、特に環境変動に対して、より顕在化し、低温及び低湿環境下では、さらに大きくなることが明らかとなった。
本発明は、長期的使用における機械的耐久性、電気的安定性、画像安定性、環境安定性に優れた電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ及びそれらを用いた画像形成方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示す電子写真感光体、その製造方法、電子写真感光体における表面保護層の形成方法、画像形成装置、プロセルカートリッジ及び画像形成方法が提供される。
(1)導電性支持体上に、少なくとも感光層と、樹脂中にフィラー微粒子及び少なくとも下記一般式(I)〜(III)で表される電荷輸送物質の一種を含有する表面保護層とを順次積層し、かつ感光層と表面保護層とが連続した層構造を有する電子写真感光体であって、該表面保護層の平均最大膜厚をD[μm]としたとき、その標準偏差σが、Dの1/5以下であることを特徴とする電子写真感光体。
Figure 0005585938

(式中、R〜R4は、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
Figure 0005585938

(式中、R〜R4は、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
Figure 0005585938

(式中、R〜R4は、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
(2)前記標準偏差σが前記Dの1/7以下であることを特徴とする(1)に記載の電子写真感光。
(3)前記感光層が電荷発生層及び電荷輸送層を積層した構成であることを特徴とした(1)または(2)に記載の電子写真感光体
(4)前記表面保護層に含有されるフィラーが無機フィラーであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の電子写真感光体
(5)前記表面保護層に含有されるフィラーが金属酸化物であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の電子写真感光体
(6)前記表面保護層に含有されるフィラーが少なくとも酸化アルミニウムを含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の電子写真感光体
(7)導電性支持体上に、少なくとも感光層及び表面保護層を順次塗工して形成する電子写真感光体の製造方法であって、前記表面保護層をスプレー塗工法によって形成し、該スプレー塗工用の塗工液が溶媒、フィラー微粒子及び前記一般式(I)〜(III)で表される電荷輸送物質の一種を含有し、該溶媒が表面保護層と接する感光層の樹脂に対して溶解性があり、該表面保護層塗工後1時間放置時の表面保護層の重量をAとし、加熱乾燥後の重量をBとしたとき、下記式(1)が成立することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
Figure 0005585938

(8)(1)〜(6)のいずれかに記載の電子写真感光体を用い、該電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行うことを特徴とする画像形成方法。
(9)(1)〜(6)のいずれかに記載の電子写真感光体を用い、該電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行い、かつ画像露光の際にはLD或いはLEDによって感光体上に静電潜像の書き込みを行うことを特徴とするデジタル方式の画像形成方法。
(10)少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段及び(1)〜(6)のいずれかに記載の電子写真感光体を具備することを特徴とする画像形成装置。
(11)少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段及び(1)〜(6)のいずれかに記載の電子写真感光体を具備し、画像露光手段としてLD或いはLEDを使用することにより感光体上に静電潜像の書き込みが行われることを特徴とするデジタル方式の画像形成装置。
(12)複数の電子写真感光体、帯電手段、現像手段、転写手段を有するタンデム型であることを特徴とする(10)又は(11)記載の画像形成装置。
(13)電子写真感光体上に現像されたトナー画像を中間転写体上に一次転写したのち、該中間転写体上のトナー画像を記録材上に二次転写する中間転写手段を有し、複数色のトナー画像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を記録材上に一括で二次転写することを特徴とする(11)又は(12)記載の画像形成装置。
(14)帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段、転写手段の少なくとも一つと(1)〜(6)の何れかに記載の電子写真感光体とを具備する画像形成装置用プロセスカートリッジ。
本発明の電子写真感光体は長期的使用における機械的耐久性に優れるとともに、環境安定性、電気安定性、画像安定性に優れるという効果を奏する。
感光体における感光層と表面保護層の層構造を示す図である。 本発明の電子写真感光体において、感光層で発生した電荷が表面保護層内を移動する様子を示す図である。 表面保護層を有する感光体において、表層側から入射した光の一部が、フィラー微粒子により、散乱され、光量が低下する様子を示す図である 表面保護層を有する感光体を長期的に繰り返し使用した場合における表面保護層が摩耗する様子を示す図である。 導電性支持体上に電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単層感光層が設け、更に感光層表面に表面保護層が設けてなる本発明の電子写真感光体を示す図である。 導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層をこの順に設けてなる本発明の電子写真感光体を示す図である。 導電性支持体上に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層をこの順に設けてなる本発明の電子写真感光体を示す図である。 本発明の電子写真プロセス及び画像形成装置を説明するための概略図である。 本発明のタンデム方式の画像形成装置を示す図である。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、少なくとも感光層と、樹脂中にフィラー微粒子及び少なくとも下記一般式(I)〜(III)で表される電荷輸送物質の一種を含有されている表面保護層とを順次積層し、かつ感光層と表面保護層が連続した層構造を有する電子写真感光体において、該表面保護層の平均最大膜厚Dμmとしたとき、その標準偏差σが、Dの1/5以下であることを特徴とする。
Figure 0005585938
(式中、R〜R4は、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
Figure 0005585938
(式中、R〜R4は、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
Figure 0005585938
(式中、R〜R4は、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
上記化合物を含有させることにより、初期的な露光部電位の低減及び長期的な仕様における露光部電位の上昇を抑制し、また環境変動に強い、長寿命の電子写真感光体を提供できるものである。
前記の一般式(I)〜(III)に示す化合物において、特に化合物式〔1〕〜〔15〕ので表される化合物が前記性能に優れ、好ましい。以下具体的化合物を示すがこれに限定されるものではない。
Figure 0005585938
Figure 0005585938
Figure 0005585938
Figure 0005585938
次に感光層と表面保護層の層構造について、説明する。
次に感光体における感光層と表面保護層の層構造について説明する。感光層と表面保護層とが連続した層構造とは、図1(a)、図1(c)で見られるような層構造のことを表す。つまり、感光層と表面保護層との境界領域で、フィラーの存在有無以外は、明確な境界が見られず、樹脂部においては、連続した層構造となっている。このような樹脂部が連続した層構造となるためには、感光層と表面保護層に含まれる各樹脂が、同じ溶媒に溶解する必要がある。この両方の樹脂を溶解する溶媒を用いた表面保護層塗工液で塗工した場合、塗工液が、感光層表面に付着した際に感光層樹脂を溶解する。すなわち感光層樹脂と表面保護層の樹脂とが相溶し、連続した層構造が形成される。
一方、感光層と表面保護層とが不連続な層構造とは、図1(b)で見られるような層構造のことを表す。つまり、感光層と表面保護層との間に、明確な境界を有する層構造のことである。このような感光層と表面保護層とが不連続な層構造となるためには、感光層を溶解しない溶媒を使用した表面保護層塗工液で塗工する必要がある。この場合には、感光層樹脂が溶解されないために、明確な境界を有する層構造となる。
次に、本発明の感光体における最大膜厚Dn、平均最大膜厚D、最大膜厚Dnの標準偏差σについて説明する。
最大膜厚Dn及び平均最大膜厚Dは、感光体の断面観察より求められる。感光体の断面は、ミクロトームなどを用いて、感光層及び表面保護層の膜厚方向に対して平行に切断する。この切断された断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)により、2000倍に拡大し、切断面の画像撮影を行う。この画像を用いて、膜厚方向に対して垂直方向に幅100μmの任意の範囲を選択し、20等分する。そして20等分された個々の範囲から最大膜厚を求める。この場合の最大膜厚Dnとは、感光体表面からもっとも離れたところにあるフィラーまでの距離である。そして平均最大膜厚Dとは、この20等分され個々の範囲から求められた最大膜厚Dnの平均値である。
ここであげた100μmの範囲を20等分して平均最大膜厚D及び最大膜厚Dnの標準偏差σを求める理由について次に説明する。
現状の電子写真プロセスにおいて用いられているトナーの平均粒径は5〜10μmである。これらの平均粒径のトナーを用いて、画像評価を行った結果、大きさ100μm程度の面積間の濃度変動が、画像ムラとして検出される。
また、光のON/OFFによりドットを形成する画像装置において、正副平均ドット径(ガウス分布しているときの半値幅)が100μmのドットを形成した時のドット間濃度変動が、画像ムラとして検出され、さらに正副平均ドット径が100μmよりも小さいドットを形成した場合、顕著な画像ムラとなった。
このドット間濃度変動は、本発明における最大膜厚Dnの標準偏差σの大小と相関がある。平均粒径5〜10μmのトナーを用いた時、100μmの範囲を20等分した領域(5μm)における最大膜厚Dnの標準偏差σの大小が、ドット間濃度変動と非常に相関性が高いことが判明した。その良好な範囲を規定することにより、画像ムラを抑制した感光体とすることができる。
図1(a)、図1(c)より、平均最大膜厚Dの求め方を示す。図1aより、膜厚方向に対して垂直方向に幅100μm範囲を選択し、20等分する。そして図1cで示すように個々の範囲において、感光体表面からもっとも離れたところにあるフィラーまでの距離(最大膜厚Dn)を計測する。そして計測された20の各範囲の最大膜厚Dnから、その平均値(平均最大膜厚)Dと最大膜厚Dnの標準偏差σを求める。
感光体サンプルとしては、感光体の画像領域部から選択される。その選択された視野から平均最大膜厚D及び最大膜厚Dnの標準偏差σを求める。そして、最大膜厚Dnの標準偏差σが本発明で規定した範囲内にあればよい。即ち、最大膜厚Dnの標準偏差σは、平均最大膜厚Dの1/5以下、好ましくは1/7以下である。
また前記最大膜厚Dnは、2/3×D以上4/3×D以下であることが好ましい。
本発明における感光層樹脂とは表面保護層と接する層を構成する樹脂のことを言う。
次に感光層と表面保護層間の層構造が種々の感光体特性に及ぼす影響について、説明する。
まず、機械的耐久性(剥離特性)の点について説明する。
表面保護層形成用塗工液溶媒として感光層樹脂を溶解しない溶媒を用いたときには、感光層と表面保護層との境界領域は不連続層となり、両者の積層構造は、図1(b)に示したような不連続な層構造となる。このような塗工液で作製された感光体を長期的に繰り返し使用した場合、感光層と表面保護層とが相溶していないため、感光層と表面保護層との接着力は弱く、端部から表面保護層の剥離が発生する。
一方、表面保護層形成用塗工液溶媒として感光層樹脂を溶解する溶媒を用いたときには、感光層と表面保護層は、図1(a)、図1(c)に示したような連続した層構造となる。この場合には、感光層と表面保護層とが相溶しているため、感光層と表面保護層との接着性は強くなり、長期的繰り返し使用した場合、表面保護層の剥離が防止できる。
次に、感光体の電気特性及び画像特性に関して説明する。
感光層と表面保護層とが不連続な層構造を有する感光体は、感光層樹脂が表面保護層塗工時に溶解されていないために、その初期的な画像特性は良好である。しかし、表面保護層塗工液溶媒としてこのような感光層樹脂を溶解しない溶媒を用いたときには、電荷輸送層中の電荷輸送物質が結晶化する場合があり、その場合、得られる感光体は、初期においても異常画像を発生させる。また、この感光体を長期的に繰り返し使用した場合、感光層から表面保護層への電荷注入が阻害され、露光部電位が徐々に上昇し、画像特性の劣化(濃度低下や地汚れ発生など)が認められた。
これに対して、感光層と表面保護層とが連続した層構造の感光体の場合には、感光層が表面保護層塗工時に溶解されているため、この感光体を長期的に繰り返し使用した場合、感光層から表面保護層への電荷輸送は、阻害されず、露光部電位の上昇は低く押さえられることが判明した。しかし、その溶解の程度が限度を超えると、画像特性の劣化が認められる。
また、感光体が表面に非常に均一な電位分布を設けると、黒ベタの潜像を形成し、トナー現像した場合、黒ベタ潜像端部において、電気力線が立ち上がった状態となり、エッジ効果によりそれ以外の部分に比べ、トナーが多く現像されてしまう。そのために、黒ベタ画像を出力した場合、黒ベタ画像端部において、画像太り及びトナー飛散が発生する。この現象を抑制する手段として、感光体上に微細な電位分布の不均一状態を設けることにより、このエッジ効果が低減され、黒ベタ画像端部における画像太りおよびトナー飛散が抑制できることが判明した。感光体上に微細な電位分布の不均一状態を形成するためには、感光層と表面保護層とを連続した層構造とすればよい。つまり、感光層樹脂を表面保護層形成用塗工液により溶解させ、感光層と表面保護層との境界部を制限された範囲で不均一とすることにより、感光体上の電位分布を微少領域で微細な不均一状態にでき、黒ベタ画像端部における画像太り及びトナー飛散の抑制が可能となることが判明した。
このように、感光層と表面保護層とが連続した層構造を有する感光体と、感光層と表面保護層が不連続な層構造を有する感光体とは、それぞれ特性の異なるものとなる。そして、本発明により、感光層と表面保護層とを連続層構造に形成すると共に、その表面保護層の最大膜厚の標準偏差σを平均最大膜厚Dの1/5以下とすることにより、それぞれの良好な特性だけを示す感光体とすることができることが判明した。つまり、感光層と表面保護層を連続した層構造とし、かつ感光層上に表面保護層を塗工する際の相溶の度合いを極力少なく抑えた感光体とすることにより、機械的耐久性、電気特性、画像特性の全ての点において良好な感光体を得ることができる。
この相溶の度合いは、本発明で示した最大膜厚から求められた標準偏差σで表すことができる。相溶度合いが大きい場合、最大膜厚の標準偏差σは大きくなり、相溶度合いが小さい場合は、最大膜厚の標準偏差σは小さくなる。
図2に示すように、感光層で発生した電荷は表面保護層内を移動する。表面保護層内を移動する電荷は、フィラー微粒子により、トラップされ、残留電位となる。最大膜厚が大きい場合、感光層で発生し上層へ移動する電荷がトラップされやすくなり、最大膜厚が小さい場合は電荷がトラップされにくくなる。つまり最大膜厚の標準偏差σが大きい場合、表面に到達する電荷は、不均一となりやすい。
このような光散乱ムラや電荷トラップサイトムラにより、感光体表面に到達する電荷が不均一となり、画像ムラとして顕在化される。
図3に示すように、実機内の光書き込みにおいて、表面保護層を有する感光体は、表層側から入射した光の一部が、フィラー微粒子により、散乱され、光量が低下する。前記最大膜厚の標準偏差σが大きい場合、この散乱は、不均一となる。つまり、最大膜厚が大きい部位の透過光量は小さくなり、かつ最大膜厚が小さい部位の透過光量は大きくなる。このようにして、不均一となった光は、表面保護層を透過し、感光層に到達する。このように感光層に到達した光が不均一な場合、光量ムラとなり、電荷発生も不均一となる。
つまり、最大膜厚の標準偏差σが大きい場合、感光層に到達する光量は、不均一となりやすい。
また、図4に示すように、表面保護層を有する感光体を長期的に繰り返し使用した場合、表面保護層の最大膜厚が大きい部位は、摩耗速度が遅く、最大膜厚が小さい部位は、摩耗速度は速くなる。そのために最大膜厚の標準偏差σが大きい場合、摩耗速度が不均一となりやすい。このような摩耗速度の不均一になることから、さらに画像ムラが顕在化しやすくなる。
これらの問題に対して鋭意検討した結果、次のようなことが判明した。フィラー微粒子が分散されている表面保護層と感光層とが連続した層構造であり、かつ該表面保護層の平均最大膜厚Dμmであって、最大膜厚の標準偏差σがDの1/5以下であるとしたとき、種々の特性が良好になる。さらに最大膜厚の標準偏差σがDの1/7以下であるとき、さらに良好になる。
最大膜厚の標準偏差σは、小さいことが好ましい。
感光層上に表面保護層を設けたとき、表面保護層塗工液溶媒は、感光層樹脂を溶解、相溶し、連続した層構造を生成する。そして、その溶解、相溶度合いを小さくし、最大膜厚の標準偏差σがDの1/5以下、さらにはDの1/7以下となるように、塗工液、塗工条件、塗工環境などを制御する。
以下、本発明に用いられる電子写真感光体を図面により説明する。
図5は、本発明の電子写真感光体の構成例を示す断面図であり、導電性支持体上に、電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単層感光層が設けられ、更に感光層表面に表面保護層が設けられてなる。
図6は、本発明の電子写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、導電性支持体上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層とが積層された構成をとっており、更に電荷輸送層上に表面保護層が設けられてなる。
図7は、本発明の電子写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、導電性支持体上に、下引き層が設けられ、その上に電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層とが積層された構成をとっており、更に電荷輸送層上に表面保護層が設けられてなる。
本発明の感光体は、導電性支持体上に少なくとも、感光層と表面保護層を有する構成のものであればよく、その他の層等が任意に組み合わされていても構わない。
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特公昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などがあげられる。 また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂があげられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
次に感光層について説明する。感光層は単層でも積層でもよいが、説明の都合上、先ず電荷発生層と電荷輸送層とで構成される場合から述べる。
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。
電荷発生層には、公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、その代表として、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、他のフタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等が挙げられ用いられる。これら電荷発生物質は単独でも、2種以上混合してもかまわない。本発明では、特に、アゾ顔料および/またはフタロシアニン顔料が有効に用いられる。特に下記構造式(1)で表されるアゾ顔料、およびチタニルフタロシアニン(特にCuKαの特性X線(波長1.514Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン)が有効に使用できる。
アゾ顔料、およびチタニルフタロシアニン(特にCuKαの特性X線(波長1.514Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン)が有効に使用できる。
Figure 0005585938
(式中、Cp1、Cp2はカップラー残基を表し、同一でも異なっていても良い。R201、R202はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基のいずれかを表し、同一でも異なっていても良い。またCp1、Cp2は下記(2)式で表される。
Figure 0005585938
式中、R203は、水素原子、メチル基、エチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基を表す。R204、R205、R206、R207、R208はそれぞれ、水素原子、ニトロ基、シアノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、水酸基を表し、Zは置換もしくは無置換の芳香族炭素環または置換もしくは無置換の芳香族複素環を構成するのに必要な原子群を表す。)
電荷発生層は、必要に応じて結着樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
必要に応じて電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電荷輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアレート、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の量は、結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は解像度・応答性の点から、25μm以下とすることが好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)に異なるが、5μm以上が好ましい。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。
次に、感光層が単層構成の場合について述べる。
上述した電荷発生物質を結着樹脂中に分散した感光体が使用できる。単層感光層は、電荷発生物質および電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。さらに、この感光層には上述した電荷輸送物質を添加した機能分離タイプとしても良く、良好に使用できる。
結着樹脂としては、先に電荷輸送層で挙げた結着樹脂をそのまま用いるほかに、電荷発生層で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましくさらに好ましくは50〜150重量部である。単層感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を必要ならば電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコートなどで塗工して形成できる。単層感光層の膜厚は、5〜25μm程度が適当である。
本発明の感光体においては、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
この下引き層は前述の感光層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に本発明では、下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、下引き層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0.1〜50μmであり、好ましくは1.0〜5μmである。
本発明の感光体においては、感光層保護の目的で、表面保護層が感光層の上に設けられる。
表面保護層に使用されるバインダー樹脂としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプ1ロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、0ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が有効に使用される。これらのバインダ−は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。
表面保護層に使用される電荷輸送物質としては、下記一般式(I)〜(III)の電荷輸送物質が上げられる。
Figure 0005585938
(式中、R〜R4は、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
Figure 0005585938
(式中、R〜R4は、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
Figure 0005585938
(式中、R〜R4は、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
これらの一般式(I)〜(III)で表される電荷輸送物質は、単独もしくは混合することにより使用され、少なくとも1種が含有されていればよい。これらの電荷輸送物質を用いることで、長期的使用時及び環境変動時の露光部電位上昇が抑制できる。また露光部電位上昇により、画像濃度低下などの異常画像が発生することから、これらの電荷輸送物質を用いることにより、このような異常画像発生の抑制が可能となる。
またこれらの電荷輸送物質以外に電荷輸送層の説明のところに記載した材料を用いることができる。電荷輸送物質として、低分子電荷輸送物質を用いる場合には、保護層中における濃度傾斜を有しても構わない。耐摩耗性向上のため、表面側を低濃度にすることは有効な手段である。
また、感光体の表面保護層には、耐摩耗性を向上する目的でフィラ−材料が添加される。有機性フィラ−材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコ−ン樹脂粉末、a−カ−ボン粉末等が挙げられ、無機性フィラ−材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをド−プした酸化錫、錫をド−プした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に、フィラーの硬度の点からは、この中でも無機材料を用いることが有利である。特に金属酸化物が良好であり、さらには、酸化アルミニウムが有効に使用できる。
また、フィラ−の平均一次粒径は、0.01〜0.5μmであることが表面保護層の光透過率や耐摩耗性の点から好ましい。フィラーの平均一次粒径が0.01μm未満の場合は、耐摩耗性の低下、分散性の低下等を引き起こし、0.5μmを超える場合には、分散液中においてフィラーの沈降性が促進されたり、トナーのフィルミングが発生したりする可能性がある。
表面保護層中のフィラー材料濃度は、高いほど耐摩耗性が高いので良好であるが、高すぎる場合には残留電位の上昇、保護層の書き込み光透過率が低下し、副作用を生じる場合がある。従って、概ね全固形分に対して、50重量%以下、好ましくは30重量%以下程度である。
また更に、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al、TiO、ZrO、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3〜30wt%が適しており、5〜20wt%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。これらフィラ−材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。
尚、表面保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。さらに1.0〜8.0μmの範囲であることが好ましい。長期的に使用される感光体は、機械的に耐久性が高く、摩耗しにくいものとする。しかし実機内では、帯電部材などから、オゾン及びNOxガスなどが発生し、感光体の表面に付着する。こららの付着物が存在すると、画像特性において、画像流れが発生する。この画像流れを防止するためには、感光層を一定速度以上に摩耗する必要がある。そのためには、表面保護層は少なくとも1.0μm以上の膜厚であることが好ましい。また表面保護層膜厚が8.0μmよりも大きい場合は、残留電位上昇や微細ドット再現性の低下が考えられる。
これらフィラ−材料は、適当な分散機を用いることにより分散できる。また、分散液中でのフィラ−の平均粒径は、1μm以下、好ましくは0.5μm以下にあることが表面保護層の透過率の点から好ましい。
これらのフィラーは、表面保護層中に分散されている。
本発明における表面保護層と感光層は、前記図1(a)、図1(c)に示したような連続した層構造である。
本発明の感光体は、表面保護層の平均最大膜厚D(μm)としたとき、最大膜厚の標準偏差σが、1/5×D(μm)以下である場合、有効である。さらには、最大膜厚の標準偏差σが、1/7×D(μm)以下であるときさらに良好となる。
これらの平均最大膜厚及びその標準偏差は、前述のように感光体の画像領域部から、選ばれた視野より求められる。
これらの平均最大膜厚D及び最大膜厚の標準偏差σは、前述のように感光体の画像領域部から、選ばれた任意の視野により求められる。
感光層上に表面保護層を設ける方法としては、浸漬塗工方法、リングコート法、スプレー塗工方法など用いられる。
このうち一般的な表面保護層の製膜方法としては、微小開口部を有するノズルより塗料を吐出し、霧化することにより生成した微小液滴を感光層上に付着させて塗膜を形成するスプレー塗工方法が用いられる。
次にこのスプレー塗工方法について詳細に説明する。
感光層樹脂を溶解しない溶媒を含有する表面保護層塗工液を用いて、スプレー塗工を行った場合、感光層と表面保護層とは相溶しない。感光層と表面保護層とが相溶しない場合、感光層と表面保護層とは不連続な層構造となり、上層と下層の間に明確な界面が形成される。このように感光層と表面保護層とが不連続な層構造となった場合、初期的な画像特性としては良好であるが、長期的使用における機械的耐久性及び電気的安定性が劣化する。そのために表面保護層用塗工液に用いられている塗工溶媒は、少なくとも感光層樹脂に対して溶解性を有する必要がある。
感光層樹脂を溶解する表面保護層塗工液を用いて、スプレー塗工を行った場合、感光層と表面保護層とが相溶する。感光層と表面保護層とが相溶した場合、感光層と表面保護層とは連続した層構造となる。このように感光層と表面保護層とが連続した層構造となった場合、長期的使用における機械的耐久性及び電気的安定性が良好となる。しかし、この塗工の際に感光層を必要以上に溶解した場合は、画像特性の劣化が発生する。
以上のようなことから、本発明の感光体は、感光層樹脂を溶解する表面保護層塗工液を用いて、スプレー塗工を行い、感光層と表面保護層を相溶させ、感光層と表面保護層とを連続した層構造とする。そして、この相溶の程度を本発明で規定した範囲内のものとした場合、長期的使用における機械的耐久性及び電気的安定性が良好となり、さらには、画像特性が非常に良好となる。
このような表面保護層と感光層の溶解及び相溶状態の制御は、塗工時に感光層上に付着した塗工液中の溶媒がある一定の含有量になるまでにかかる時間が影響を与える。つまり付着したときの塗工液量やその塗工液溶媒の揮発速度が重要となる。
感光層表面に付着した塗工液溶媒が揮発しにくい場合、表面保護層膜中の溶媒が感光層を溶解しやすくなる。
本発明の感光体は、この塗工液溶媒の膜中での揮発状態を、塗工液条件(溶媒種、固形分濃度等)、スプレー塗工条件(吐出量、吐出圧、ガン送り速度、塗工回数等)、塗工環境(温度、排気エアー量等)などにより制御が可能である。
次に本発明の感光体の良好な作製方法について説明する。
本発明の電子写真感光体における表面保護層の形成方法を好ましく行うには、該感光層表面に樹脂とフィラーと一般式(I)〜(III)で表される化合物と溶媒とからなる塗工液をスプレー塗工する。この場合、塗工液としては、その溶媒が該感光層表面部に存在する樹脂に対して溶解性を有するものを用いる。スプレー塗工条件は下記式(1)を満足するものを選定する。
Figure 0005585938
(前記式中、Aは該塗工液を基体表面に塗布後60分間放置したときに得られる表面保護層塗膜重量を示し、Bは完全乾燥後の表面保護層塗膜重量を示す)
ここで完全乾燥とは、加熱により乾燥し、表面保護層中の残留溶媒量が1000ppm以下にすることである。
次に、表面保護層塗工液を固体表面にスプレー塗工し、塗工後60分間放置時の表面保護層重量A及び完全乾燥後重量Bについて説明する。
まず、素管の塗工前の重量(G1)を測定し、その後、素管表面に塗工液をスプレー塗工して表面保護層を製膜する。そしてその製膜環境で、60分間放置し、その後の重量(G2)を測定する。そして、加熱完全乾燥後の感光体の重量(G3)を測定する。この時のG1とG2の差をAとし、G1とG3の差をBとする。
A/B値が1.2以下の場合は、表面保護層塗工時にスプレーの霧化状態が、不安定となる。このような膜条件を用いる場合、霧化中で、塗工液の一部が固形化する場合がある。その固形化したものが、塗工中に、感光層表面に付着する。そしてこの異物が感光体の異常画像の原因となる。
前記A/B値が2.0以上の場合、塗工液による感光層の溶解が過度に進行しやすくなる。
A/B値が2.0以上の塗工液を用いた場合、最大膜厚の標準偏差σが、大きくなる。標準偏差σが最大膜厚の1/5よりも大きくなった場合、前述のように種々の感光体特性が劣化する。
以上のようなことからA/B値を、1.2より大きく2.0未満とすることにより、感光体を得ることができる。最大膜厚の標準偏差σは、本発明で規定した範囲内となり、良好な感光体特性を示す感光体を得ることができる。
次にスプレー塗工で用いる表面保護層塗工液について説明する。
表面保護層塗工液の溶媒としては、感光層樹脂を溶解し、かつ表面保護層樹脂を溶解するものが用いられる。この溶媒は、単独もしくは混合して用いられる。揮発性の高い溶媒を用いた場合は、霧化状態で、塗工液中の一部が固形化し、感光層表層に付着し、膜欠陥となる場合がある。揮発性の低い溶媒を用いた場合は、感光層表面を溶解しやすくなるため、最大膜厚の標準偏差σが大きくなる可能性がある。このようなことから、一般的には、揮発性の高い溶媒と低い溶媒を混合して用いる方法が挙げられる。好ましくは、50℃以上80℃以下の沸点を持つ有機溶剤と130℃以上160℃以下の沸点を持つ有機溶剤を混合した塗工液であることが好ましい。このような混合溶媒を用いることにより、表面保護層と感光層の相溶状態が、容易に制御が出来る。
80℃未満の沸点をもつ有機溶剤のみを使用した場合は、A/B値が、1.2より小さくなり、前記諸問題が発生しやすくなる。80℃以上の沸点をもつ有機溶剤のみを使用した場合、表面保護層塗工液が、塗布後、指触乾燥時に、基体表面で垂れやすくなり、異常構造が発生しやすくなる。特に130℃以上の沸点をもつ有機溶剤のみを使用した場合は、前記異常構造の発生に加えて、A/B値が2.0より大きくなり、前記諸問題が発生しやすくなる。
50℃以上80℃以下の沸点を持つ有機溶剤として、テトラヒドロフラン、ジオキソランが用いられ、130℃以上160℃以下の沸点を持つ有機溶剤として、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルフェニルエーテルを用いることが好ましい。50℃以上80℃以下の沸点を持つ有機溶剤と130℃以上160℃以下の沸点を持つ有機溶剤を混合した塗工液を用いて表面保護層を製膜した場合、指触乾燥後、加熱乾燥を行う必要がある。この加熱乾燥条件により、感光体特性が大きく変化する。
加熱乾燥条件としては、乾燥温度130℃以上160℃以下であることが好ましく、乾燥時間10分以上60分以下であることが好ましい。乾燥温度が低い場合、もしくは、乾燥時間が短い場合、乾燥後の表面保護層中の残留溶媒量が多くなる。表面保護層中の残留溶媒量が多い場合、初期において、露光部電位が高くなる。また経時において、電位変動が大きく、画質安定性の点で問題となる。また乾燥温度が高い場合、もしくは、乾燥時間が長い場合、電荷発生層の顔料の結晶化度、結晶系が変化したり、CTL中の低分子成分(酸化防止剤、可塑剤等)が膜中から脱離する可能性がある。このような変化により、初期及び経時の感度特性の劣化や帯電性低下を引き起こす。
また、50℃以上80℃以下の沸点を持つ有機溶剤と130℃以上160℃以下の沸点を持つ有機溶剤を混合した塗工液を用いた場合の指触乾燥条件は、表面保護層塗工液を塗布後、スプレー塗工機中において、塗工時と同じドラム回転状態で、5分以上放置することが好ましい。
表面保護層塗工液の固形分濃度によっても、膜質制御が可能となる。固形分濃度が小さい場合、感光層表面に付着した塗工液が乾燥しにくく、感光層表面を溶解しやすくなるため、平均最大膜厚Dの標準偏差σが大きくなる傾向がある。固形分濃度が大きい場合は、霧化状態で、塗工液中の固形分の一部が固形化し、感光層表層に付着し、膜欠陥となる可能性がある。表面保護層塗工液の固形分濃度は、3.0〜6.0wt%が好ましい。
次にスプレー塗工条件について説明する。
このスプレー塗工条件は、塗工液条件及びスプレーガン種によっても異なる。以下の説明は、一般的な例を示す。
スプレーガンの口径としては、0.5〜0.8mmが好ましい。この範囲より、はずれる口径は、大きくとも、小さくとも、スプレー霧化状態を制御することが難しく、膜質に対しても影響を与える場合がある。
吐出量は、5〜25cc/minが好ましい。吐出量が少ない場合は、塗工速度が遅くなり、生産性が落ちる場合がある。また吐出量が多い場合には、前記の最大膜厚の標準偏差σが大きくなる場合がある。また液量が多く、製膜中に感光体表面で、液がたれ、異常構造になる場合がある。
吐出圧は、1.0〜3.0kg/cm2が好ましい。吐出圧が小さい場合、霧化状態で、液滴が均一に微小化されず、感光層表面で、異常構造になる場合がある。吐出圧が大きい場合、微小化された液滴が、感光体で跳ね返り、膜の形成効率が低下したり、異常構造が発生する場合がある。
感光体回転数は、120〜640r.p.mが好ましい。ガン送り速度は、5〜40mm/secが好ましい。これらの条件バランスが崩れた場合、感光体表面で、スパイラル状の異常構造等が発生する場合がある。
ガン−感光体距離は、3〜15cmが好ましい。ガン−感光体距離が近い場合には、安定した霧化状態部分で成膜できないため、異常構造が発生しやすい。ガン−感光体距離が遠い場合には、吐出された液の感光体上への付着効率が低下する場合がある。
ガン送り一回あたりの塗工膜厚は、0.5〜2.0μmの範囲であることが好ましい。ガン送り一回あたりの塗工膜厚とは、表面保護層を塗工し、加熱乾燥後の表面保護層膜厚を、塗工回数(ガンを送った回数)で割った値である。ガン送り一回あたりの塗工膜厚0.5μm未満の場合は、他のスプレー条件の制御が難しく、かつ生産性が落ちる。ガン送り一回あたりの塗工膜厚2.0μmを超える場合は、一度に付着する塗工液が多くなり、前記の最大膜厚の標準偏差σが大きくなる場合がある。
本発明の表面保護層の形成方法は、上記した個々の条件が、お互い複雑に影響を与える。そのために、わずかな条件変更でも、その条件以外のすべての因子が変化する可能性がある。本発明の表面保護層の形成条件としては、スプレーの霧化状況、感光体の表面形状、膜中のフィラー状態、吐出液の付着効率等を目安として、個々の条件をバランスよく、設定する必要がある。
スプレーを用いた塗工条件としては、前記A/B値が、本発明で規定した範囲を満足するように、設定することが好ましい。
表面保護層の形成方法は、スプレー塗工方法に限定されるものではなく、本発明の膜状態を達成できる塗工方法であればよい。
本発明の各層の塗工液には、特性を損なわない範囲で、更に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、軟化剤、硬化剤、架橋剤等を添加して、感光体の特性、耐久性、機械特性の向上を図ることができる。
その中でも該感光層にはヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤および、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
例えば、フェノール系酸化防止剤は、2.6−ジ−tert−ブチルフェノール、2.6−ジ−tert−4−メトキシフェノール、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2.4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2.6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、プロピオン酸ステアリル−β−(3.5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)、α−トコフェロール、β−トコフェロール、n−オクタデシル−3−(3’−5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系、2.2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、4.4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4.4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1.1.3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1.3.5−トリメチル−2.4.6−トリス(3.5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス〔メチレン−3(3.5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のポリフェノール系等が好ましく、これらを1種若しくは2種以上を同時に感光層中に含有することができる。
例えば、アミン系酸化防止剤は、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−エチル−2−メチル−p−フェニレンジアミン、N−エチル−N−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、アルキル化ジフェニルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジアリル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン、4,4′−ジオクチル−ジフェニルアミン、4,4′−ジオクチル−ジフェニルアミン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、N−フェニル−β−ナフチルアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等を挙げることができる。これらを1種若しくは2種以上を同時に感光層中に含有することができる。
硫黄系酸化防止剤は、ジラウリル−3.3−チオジプロピオネート、ジトリデシイル−3.3−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3.3−チオジプロピオネート、ジステアリル−3.3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル−3.3−チオプロピオネート、ビス〔2−メチル−4−(3−n−アルキルC12〜C14)チオプロピオネート)−5−t−ブチルフェニル〕スルフィド、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリル−チオプロピオネート)エステル、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール等を挙げることができる。酸化防止剤は、1種若しくは2種以上を同時に感光層中に含有することができる。
例えば、紫外線吸収剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル、サリチル酸−p−tert−ブチルフェニル、サリチル酸−p−オクチルフェニル等のサリチル酸系が好ましい。この中でも特にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
さらに、分散安定剤、沈降防止剤、色分かれ防止剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、艶消し剤等を添加すれば、感光体の仕上がり外観や、塗布液の寿命を改善できる。
次に図面を用いて本発明の画像形成方法及び画像形成装置について説明する。
図8は、本発明の電子写真プロセス及び画像形成装置を説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。
図8において、感光体1には少なくとも感光層が設けられている。感光体1はドラム状の形状をしているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。帯電チャージャー3、転写前チャージャー7、転写チャージャー10、分離チャージャー11、クリーニング前チャージャー13には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラ等が用いられ、公知の手段がすべて使用可能である。
転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図に示されるように転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。
また、画像露光部5、除電ランプ2等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
光源等は、図8に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、或いは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
さて、現像ユニット6により感光体1上に現像されたトナーは、転写紙9に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体1上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ14及びクリーニングブレード15により感光体より除去される。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
図9は、本実施形態に係る画像形成装置の例である。この装置は、中間転写ベルト87を有するタンデム方式の画像形成装置であり、感光体ドラム80を各色で共有させるのではなく、各色用の感光体ドラム80Y、80M、80C、80Bkを備えている。また、ドラムクリーニングユニット85、除電ランプ83、ドラムを一様帯電せしめる帯電ローラ84も、各色用のものを備えている。なお、図7に示したプリンタではドラム一様帯電手段として帯電チャージャ53を設けていたが、この装置では帯電ローラ84を設けている。
タンデム方式では、各色の潜像形成や現像を並行して行うことができるため、リボルバ式よりも画像形成速度を遙かに高速化させることができる。
以上の説明から明らかなように、本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができるものである。
以下本発明を実施例及び比較例により説明するが、これにより本発明の態様が限定されるものではない。
[実施例1]
(下引き層製膜)
アルミニウム製支持体(外径30mmΦ、長さ340mm)に、乾燥後の膜厚が3.5μmになるように浸漬法で塗工し、下引き層を形成した。
<下引き層用塗工液>
・アルキッド樹脂(ベッコゾール1307−60−EL:大日本インキ化学工業)
・メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60:大日本インキ化学工業)
・酸化チタン(CR−EL:石原産業)
・メチルエチルケトン
〈混合比(重量)〉
アルキッド樹脂/メラミン樹脂/酸化チタン/メチルエチルケトン=3/2/20/100
(電荷発生層の製膜)
この下引き層上に下記処方の電荷発生層塗工液に浸漬塗工し、加熱乾燥させ、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
<電荷発生層用塗工液>
・チタニルフタロシアニン
(CuKαの特性X線(波長1.514Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有する)チタニルフタロシアニン)
・ポリビニルブチラール(XYHL:UCC)
・2−ブタノン
〈混合比(重量)〉
チタニルフタロシアニン/ポリビニルブチラール/2−ブタノン=1.5/1/120
(電荷輸送層の製膜)
この電荷発生層上に下記構造の低分子電荷輸送物質を含む電荷輸送層用塗工液を用いて、浸積塗工し、加熱乾燥させ、膜厚20μmの電荷輸送層とした。
<電荷輸送層用塗工液>
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート
・下記構造の低分子電荷輸送物質
Figure 0005585938
・テトラヒドロフラン
〈混合比(重量)〉
ポリカーボネート/電荷輸送物質/テトラヒドロフラン=1/1/10
(表面保護層の製膜)
この電荷輸送層上に下記処方の表面保護層塗工液を用いて、下記条件で、スプレー塗工し、130℃、20分、加熱乾燥させ、表面保護層とし、実施例1の感光体とした。
<表面保護層用塗工液>
・化合物式〔2〕の電荷輸送物質
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート
・シリカ微粒子(KMPX100:信越化学製)
・テトラヒドロフラン
・シクロヘキサノン
〈混合比(重量)〉
電荷輸送物質/ポリカーボネート/シリカ微粒子/テトラヒドロフラン/シクロヘキサノン=3/4/3/150/60
<スプレー条件>
・スプレーガン:A−100(明治機械製)
・吐出量 :16cc/min
・吐出圧 :3.0kg/cm2
・感光体回転数 :120r.p.m
・ガン送り速度 :17mm/sec
・ガン−感光体距離 :5cm
・塗工回数 :3回
[実施例2]
表面保護層の塗工液を下記条件とすること以外は全て実施例1と同じにして作製した。
<表面保護層用塗工液>
・化合物式〔2〕の電荷輸送物質
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート
・アルミナ微粒子(AA03:住友化学製)
・テトラヒドロフラン
・シクロヘキサノン
〈混合比(重量)〉
電荷輸送物質/ポリカーボネート/アルミナ微粒子/テトラヒドロフラン/シクロヘキサノン=3/4/3/150/60
[実施例3]
表面保護層のスプレー条件を下記条件にすること以外は全て実施例2と同じにして作製した。
<スプレー条件>
・スプレーガン:A−100(明治機械製)
・吐出量 :18cc/min
・吐出圧 :2.5kg/cm2
・感光体回転数 :120r.p.m
・ガン送り速度 :14mm/sec
・ガン−感光体距離 :5cm
・塗工回数 :3回
[実施例4]
表面保護層のスプレー条件を下記条件にすること以外は全て実施例2と同じにして作製した。
<スプレー条件>
・吐出量 :12.5cc/min
・吐出圧 :3.0kg/cm2
・感光体回転数 :120r.p.m
・ガン送り速度 :17mm/sec
・ガン−感光体距離:5cm
・塗工回数 :4回
[実施例5]
表面保護層のスプレー条件を下記条件にすること以外は全て実施例2と同じにして作製した。
<スプレー条件>
・吐出量 :9cc/min
・吐出圧 :3.0kg/cm2
・感光体回転数 :120r.p.m
・ガン送り速度 :16mm/sec
・ガン−感光体距離:5cm
・塗工回数 :5回
[実施例6]
表面保護層の塗工液中の化合物式〔2〕の電荷輸送物質を化合物式〔1〕の電荷輸送物質にすること以外は全て実施例2と同じにして感光体を作製した。
[実施例7]
表面保護層の塗工液中の化合物式〔2〕の電荷輸送物質を化合物式〔3〕の電荷輸送物質にすること以外は全て実施例2と同じにして感光体を作製した。
[実施例8]
表面保護層の塗工液中の化合物式〔2〕の電荷輸送物質を化合物式〔4〕の電荷輸送物質にすること以外は全て実施例2と同じにして感光体を作製した。
[実施例9]
表面保護層の塗工液中の化合物式〔2〕の電荷輸送物質を化合物式〔5〕の電荷輸送物質にすること以外は全て実施例2と同じにして感光体を作製した。
[実施例10]
表面保護層の塗工液中の化合物式〔2〕の電荷輸送物質を化合物式〔6〕の電荷輸送物質にすること以外は全て実施例2と同じにして感光体を作製した。
[実施例11]
表面保護層の塗工液中の化合物式〔2〕の電荷輸送物質を化合物式〔7〕の電荷輸送物質にすること以外は全て実施例2と同じにして感光体を作製した。
[実施例12]
表面保護層の塗工液中の化合物式〔2〕の電荷輸送物質を化合物式〔8〕の電荷輸送物質にすること以外は全て実施例2と同じにして感光体を作製した。
[実施例13]
表面保護層の塗工液中の化合物式〔2〕の電荷輸送物質を化合物式〔9〕の電荷輸送物質にすること以外は全て実施例2と同じにして感光体を作製した。
[実施例14]
表面保護層の塗工液中の化合物式〔2〕の電荷輸送物質を化合物式〔10〕の電荷輸送物質にすること以外は全て実施例2と同じにして感光体を作製した。
[実施例15]
表面保護層の塗工液中の化合物式〔2〕の電荷輸送物質を化合物式〔11〕の電荷輸送物質にすること以外は全て実施例2と同じにして感光体を作製した。
[実施例16]
表面保護層の塗工液中の化合物式〔2〕の電荷輸送物質を化合物式〔12〕の電荷輸送物質にすること以外は全て実施例2と同じにして感光体を作製した。
[実施例17]
表面保護層の塗工液中の化合物式〔2〕の電荷輸送物質を化合物式〔13〕の電荷輸送物質にすること以外は全て実施例2と同じにして感光体を作製した。
[実施例18]
表面保護層の塗工液中の化合物式〔2〕の電荷輸送物質を化合物式〔14〕の電荷輸送物質にすること以外は全て実施例1と同じにして感光体を作製した。
[実施例19]
表面保護層の塗工液中の化合物式〔2〕の電荷輸送物質を化合物式〔15〕の電荷輸送物質にすること以外は全て実施例2と同じにして感光体を作製した。
[比較例1]
表面保護層の塗工液中の化合物式〔2〕の下記構造の電荷輸送物質にすること以外は全て実施例2と同じにして感光体を作製した。
Figure 0005585938
[比較例2]
表面保護層の塗工液中の化合物式〔2〕の下記構造の電荷輸送物質にすること以外は全て実施例2と同じにして感光体を作製した。
Figure 0005585938
[比較例3]
表面保護層の塗工液中の化合物式〔2〕の下記構造の電荷輸送物質にすること以外は全て実施例2と同じにして感光体を作製した。
Figure 0005585938
[比較例4]
表面保護層のスプレー条件を下記条件にすること以外はすべて、実施例1と同じにして感光体を作製した。
<スプレー条件>
・スプレーガン :A−100(明治機械製)
・吐出量 :26cc/min
・吐出圧 :2.5kg/cm2
・感光体回転数 :150r.p.m
・ガン送り速度 :10mm/sec
・ガン−感光体距離 :5cm
・塗工回数 :1回
[比較例5]
表面保護層のスプレー条件を下記条件にすること以外はすべて、実施例2と同じにして作製した。
<スプレー条件>
・スプレーガン :A−100(明治機械製)
・吐出量 :24cc/min
・吐出圧 :2.0kg/cm2
・感光体回転数 :250r.p.m
・ガン送り速度 :10mm/sec
・ガン−感光体距離 :5cm
・塗工回数 :1回
[比較例6]
表面保護層用塗工液を下記条件とし、塗工方法をリングコート法とすること以外は、すべて実施例1と同じにして作製した。
<表面保護層用塗工液>
・化合物式〔2〕の電荷輸送物質
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート
・シリカ微粒子(KMPX100:信越化学製)
・テトラヒドロフラン
<混合比(重量)>
電荷輸送物質/ポリカーボネート/シリカ微粒子/テトラヒドロフラン
=3/4/3/90
<リングコート条件>
塗工速度:3.0mm/sec
[比較例7]
表面保護層用塗工液を下記条件とし、塗工方法をリングコート法とすること以外は、すべて実施例1と同じにして作製した。
<表面保護層用塗工液>
・化合物式〔5〕の電荷輸送物質
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート
・アルミナ微粒子(AA03:住友化学製)
・テトラヒドロフラン
<混合比(重量)>
電荷輸送物質/ポリカーボネート/アルミナ微粒子/テトラヒドロフラン=3/4/3/80
<リングコート条件>
塗工速度:2.4mm/sec
[比較例8]
電荷輸送層を下記条件とすること以外はすべて実施例1と同じにして作製した。
(電荷輸送層の製膜)
下記構造の低分子電荷輸送物質を含む電荷輸送層用塗工液を用いて、浸積塗工し、加熱乾燥させ、膜厚22μmの電荷輸送層とした。
<電荷輸送層用塗工液>
・ビスフェノールA型ポリカーボネート
・化合物式〔2〕の電荷輸送物質
・ジクロロメタン
<混合比(重量)>
ポリカーボネート/電荷輸送物質/ジクロロメタン=1/1/12
[比較例9]
表面保護層を設けずに電荷輸送層を膜厚28μmとすること以外はすべて実施例1と同じにして作製した。
次に作製した感光体の断面を切り出し、SEM観察を行い、平均最大膜厚D及び標準偏差σを求めた。また、感光層、下引き層を設けていないアルミ製支持体上に実施例及び比較例と同様に表面保護層を製作し、A/Bの値を求めた。結果を表1に示す。
界面状態についての評価基準は以下の通りとした。
[界面状態評価基準]
○ : σ≦D×1/7
△ : D×1/7<σ≦D×1/5
× : D×1/5<σ
Figure 0005585938
次に実施例1〜19、比較例1〜9の感光体をリコー社製デジタルフルカラー複写機IpsioCX8200のブラックステーションに搭載し、温度22℃湿度50%の環境下で、10万枚の通紙試験(A4横、連続通紙、画像面積7%)を行った。そこで初期、5万枚、10万枚通紙時の画像評価(ハーフトーン、黒ベタ端部)、摩耗量を評価した。また露光部電位評価は、通常環境下(温度22℃、湿度50%)、低温低湿環境下(温度10℃、湿度15%)で行った。
画像評価は、日本画像学会発行テストチャートNO.3を用いて、画像出力を行い、目視及び光学顕微鏡観察で行った。
評価結果を表2に示す。
評価基準は次の通りとした。
[ハーフトーン評価]
◎ : 非常に良好
○ : ややザラツキ感がある
△ : 全体的にざらつき感がある
× : 画像ムラがある
[黒ベタ端部評価]
○ : 良好
△ : 端部にやや太りが見られる
× : ちりが見られる。
露光部電位測定は、Trek社製表面電位計Model344を用いて、実機内現像部での電位を測定した。測定した電位(−V)を表3に示す。
摩耗量測定は、感光体上の20点の膜厚をFisherscope渦電流式膜厚計MMSで測定し、初期からの膜厚減少量(μm)を求めた。評価結果を表4に示す。
なお、画像評価、露光部電位、摩耗量の測定において、比較例8は、2万枚通紙試験終了時に表面保護層剥離が発生し、試験を中止した。
また、比較例9は、8万枚通紙時に摩耗量が非常に大きい為、試験を中止した。
Figure 0005585938
Figure 0005585938
Figure 0005585938
本発明の電子写真感光体は、長期的使用における機械的耐久性に優れるとともに、環境安定性、電気安定性、画像安定性に優れているので、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができる。
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャー
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャー
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャー
11 分離チャージャー
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャー
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
80 感光体
80Y、80M、80C、80Bk 感光体ドラム
81 露光光源
82 現像ユニット
83 除電ランプ
84 帯電ローラ
85 ドラムクリーニングユニット
86 バイアスローラ
87 中間転写ベルト
88 レジストローラ
89 像担持体
90 熱転写バイアスローラ
91 転写ベルト
92 搬送ベルト
93 定着ユニット
特開平1−205171号公報 特開平7−333881号公報 特開平8−015887号公報 特開平8−123053号公報 特開平8−146641号公報 特許第3734735号公報 特開2002−341571号公報 特開2000−231299号公報 特開2004−138643号公報

Claims (14)

  1. 導電性支持体上に、少なくとも感光層と、樹脂中にフィラー微粒子及び少なくとも下記一般式(I)〜(III)で表される電荷輸送物質の一種を含有する表面保護層とを順次積層し、かつ感光層と表面保護層とが連続した層構造を有する電子写真感光体であって、該表面保護層の最大膜厚をDnとし、平均最大膜厚をD[μm]としたとき、最大膜厚Dnの標準偏差σが、Dの1/5以下であることを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0005585938
    (式中、R〜R4は、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
    Figure 0005585938
    (式中、R〜R4は、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
    Figure 0005585938
    (式中、R〜R4は、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
  2. 前記標準偏差σが前記Dの1/7以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光。
  3. 前記感光層が電荷発生層及び電荷輸送層を積層した構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記表面保護層に含有されるフィラーが無機フィラーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体。
  5. 前記表面保護層に含有されるフィラーが金属酸化物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 前記表面保護層に含有されるフィラーが少なくとも酸化アルミニウムを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
  7. 導電性支持体上に、少なくとも感光層及び表面保護層を順次塗工して形成する電子写真感光体の製造方法であって、前記表面保護層をスプレー塗工法によって形成し、該スプレー塗工用の塗工液が溶媒、フィラー微粒子及び下記一般式(I)〜(III)で表される電荷輸送物質の一種を含有し、溶媒が表面保護層と接する感光層の樹脂に対して溶解性があり、該表面保護層塗工後1時間放置時の表面保護層の重量をAとし、加熱乾燥後の重量をBとしたとき、下記式(1)が成立することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
    Figure 0005585938
    Figure 0005585938
    (式中、R〜R4は、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
    Figure 0005585938
    (式中、R〜R4は、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
    Figure 0005585938
    (式中、R〜R4は、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体を用い、該電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行うことを特徴とする画像形成方法。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体を用い、該電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行い、かつ画像露光の際にはLD或いはLEDによって感光体上に静電潜像の書き込みを行うことを特徴とするデジタル方式の画像形成方法。
  10. 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段及び請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体を具備することを特徴とする画像形成装置。
  11. 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段及び請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体を具備し、画像露光手段としてLD或いはLEDを使用することにより感光体上に静電潜像の書き込みが行われることを特徴とするデジタル方式の画像形成装置。
  12. 複数の電子写真感光体、帯電手段、現像手段、転写手段を有するタンデム型であることを特徴とする請求項10又は11記載の画像形成装置。
  13. 電子写真感光体上に現像されたトナー画像を中間転写体上に一次転写したのち、該中間転写体上のトナー画像を記録材上に二次転写する中間転写手段を有し、複数色のトナー画像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を記録材上に一括で二次転写することを特徴とする請求項11又は12記載の画像形成装置。
  14. 帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段、転写手段の少なくとも一つと請求項1〜6の何れかに記載の電子写真感光体とを具備する画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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