JP5583743B2 - 合成皮革とその製造方法 - Google Patents

合成皮革とその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5583743B2
JP5583743B2 JP2012271918A JP2012271918A JP5583743B2 JP 5583743 B2 JP5583743 B2 JP 5583743B2 JP 2012271918 A JP2012271918 A JP 2012271918A JP 2012271918 A JP2012271918 A JP 2012271918A JP 5583743 B2 JP5583743 B2 JP 5583743B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
synthetic leather
skin layer
water
dispersion solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012271918A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014118637A (ja
Inventor
秀眞 金
Original Assignee
高圧クロス株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 高圧クロス株式会社 filed Critical 高圧クロス株式会社
Priority to JP2012271918A priority Critical patent/JP5583743B2/ja
Publication of JP2014118637A publication Critical patent/JP2014118637A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5583743B2 publication Critical patent/JP5583743B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Synthetic Leather, Interior Materials Or Flexible Sheet Materials (AREA)

Description

本発明は、合成皮革とその製造方法に関する。
合成皮革は、乾式合成皮革と湿式合成皮革がある。乾式合成皮革は、エンボス柄を有する離型紙上に、顔料を含んだ表皮層用ポリウレタン溶液をコーティングし、乾燥してフィルム化する。この表皮層のポリウレタンフィルム上に、接着剤層用ポリウレタン溶液をコーティングし、これを繊維基材としての織布または編布に圧着して貼り合わせる。そして、乾燥機で接着剤層用ポリウレタン溶液の溶剤を蒸発(揮発)させた後、エージング(養生)でこの硬化反応を完結させる。最後に離型紙をはく離することで、エンボス柄を有する乾式合成皮革が得られる。
一方、湿式合成皮革は、前記乾式合成皮革の繊維基材の上に多孔質層(ミクロポーラス層)を形成することで、天然皮革に近い柔軟な風合いとボリューム感を持たせたものである。すなわち、繊維基材の上に有機溶剤であるジメチルホルムアミド(DMF)を含むポリウレタン樹脂溶液をコーティングし、これを凝固液としての温水中に浸せきする。この浸せきにより、ポリウレタン溶液の溶剤が水と置換されて抽出され(水浴置換)、ポリウレタン樹脂が析出凝固して多孔質層が形成される。その後、前述した乾式合成皮革と同様に、表皮層用ポリウレタンフィルムを、接着剤層用ポリウレタン溶液を使用して前記多孔質層の上に圧着することで湿式合成皮革が得られる。
図5は、従来の湿式合成皮革30の断面構成を示している。この合成皮革30は、繊維基材としての通気性の基布31と、当該基布31上に形成される通気性の多孔質層32を有する。基布31と多孔質層32を一体にしたものが下地層33である。この下地層33の上に、接着剤層34を介して、ウレタンレジンを含有した皮革様の凹凸表面を有するフィルム状の表皮層35が積層される。
図6(a)〜(c)は従来の湿式合成皮革30の製造工程の一部を示したもので、図6(a)が表皮層35を形成する工程である。金属製のローラ36によって送出される離型紙39上に、表皮層35となるフィルム材料38が供給される。離型紙39は、皮革様の凹凸表面を反転した凹凸形状を有している。ローラ36上には所定の間隔を空けてブレード37が設けられ、このブレード37によって離型紙39上にフィルム材料38が塗布される。
フィルム材料38が塗布された離型紙39を乾燥させることにより、同図(b)に示すように、離型紙39上に皮革様の凹凸形状を有する表皮層35が得られる。その後、表皮層35の上に接着剤層34が塗布され、同図(c)に示すように、表皮層35が接着剤層34を介して下地層33の多孔質層32上に貼り合わされ、乾燥後、離型紙39を剥離することにより、図5の合成皮革30が得られる。
従来の湿式合成皮革30は、接着剤層34及び表皮層35の通気性がないため、革靴等として使用した場合、天然皮革に比較して蒸れるという問題点があった。また、接着剤層34と表皮層35でかなりの厚みがあるため、硬く仕上がるという問題点もあった。
また、湿式合成皮革の湿式による多孔質層32の形成に使用されるジメチルホルムアミド(DMF)や、乾式による表皮層35と接着剤層34の形成に使用されるジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン(TOL)等の有機溶剤は、引火性が強く、更には毒性も高いものが多い。従って、火災の危険性がある他、作業環境の悪化や、大気、水質等の環境汚染の問題も懸念されていた。
前記有機溶剤については、湿式工程では温水中に溶け出したDMFを容易に回収することができるが、乾式工程では乾燥炉で蒸発したDMF、MEK、TOL等の有機溶剤を捕捉・回収するのが困難であり、回収コストや労力の問題もあって、十分な回収ができていないのが実情である。
そこで本願出願人は、特許文献1(特許第2954847号)と特許文献2(特許第4024019号公報)で新たな合成皮革を提案している。特許文献1は通気性を改善した図7の断面構造の合成皮革40に関するものである。同図で31は基布、32は多孔質層、33は下地層、43は皮革様表皮層、44は凸部、45は凹部である。この合成皮革40は、多孔質層32の凸部44上に表皮層43を孔明き状態で形成しているので、天然皮革と同様の通気性及び柔軟性を具備し、靴などに使用した場合にも天然皮革と同様の使用感を得ることができる。また、特許文献2は、多孔質層32に使用する溶剤系ポリウレタン樹脂の代わりに、水性ポリウレタンディスパージョン溶液(PUD)を使用した合成皮革に関するものである。
特許第2954847号公報 特許第4024019号公報
しかし、特許文献2の発明で使用する水系樹脂は溶剤系樹脂に比べて一般的に割高であり、また大きな蒸発エネルギが必要である。このため、従来の湿式合成皮革の多孔質層32、接着剤層34、表皮層35の溶剤系樹脂をすべて水系樹脂に置き換えるとコストアップが過大になる。すなわち、前記接着剤層34と表皮層35を水系樹脂で形成すると材料コスト増と乾燥熱エネルギコスト増となり、乾燥時間を稼ぐために製造速度も下げざるを得ない。接着剤層34と表皮層35の水分は多孔質層32を通して蒸発させることになるが、多孔質層32の通気度によっては乾燥時間がさらに延びる場合があり、その場合は製造速度を一段と下げざるを得ない。
一方、下地層33の多孔質層32は、溶剤系樹脂で湿式形成する場合は水浴置換するので、溶剤系樹脂を水系樹脂に変えても蒸発エネルギはほとんど変わらないが、樹脂の使用量が表皮層35に比べて多いため材料コスト増の影響が大きいという問題がある。また、水浴置換で温水中に溶け出したDMFは現状でも約95%を回収できているので、コストをかけて水系樹脂を使用しても環境改善効果は少ない。
そこで本発明の目的は、樹脂量が多い湿式合成皮革の下地層には従来通り低コストな溶剤系樹脂を使用し、樹脂量が少ない表皮層と接着剤層には水系樹脂を使用することで可及的にコストアップを回避し、同時に乾燥時間の短縮と環境に対する溶剤放出量低減を図ることにある。
前記課題を解決するため、本発明は、ポリウレタン樹脂の有機溶媒溶液を繊維基材に含浸又は塗布させたものを、水又は温水中に通して凝固させた後に乾燥させる湿式法で前記繊維基材を下地層とする工程、水性ポリウレタンディスパージョン溶液を使用して乾式で孔明きフィルム化した表皮層を形成する工程、及び、前記下地層と前記表皮層を、発泡させた水性ポリウレタンディスパージョン溶液を含む接着剤層で互いに接合する工程、を有することを特徴とする湿式合成皮革の製造方法である。
前記表皮層は、発泡ポリウレタンディスパージョン溶液を使用して乾式で形成すると、通気性が得られるので、必ずしも孔明きフィルム化する必要性はなくなる。また、前記表皮層を、熱可塑性ポリウレタンの水性ディスパージョン溶液を使用して乾式で孔明きフィルム化すると、熱融着で下地層と接合することができるので、必ずしも接着剤層は必要ではなくなる。
本発明は、湿式合成皮革の表皮層と接着剤層に使用される樹脂を溶剤系から水系に変更したので、従来の表皮層、接着剤層の乾燥工程で空気中に放出されていた溶剤をなくすことができる。また、水系樹脂溶液を高濃度化することで水分使用量低減による乾燥用熱エネルギ節減と乾燥時間短縮を図ることができ、もって製造コストを低減することができる。
本発明の実施形態に係る合成皮革の断面図である。 本発明の実施形態に係る合成皮革の製造方法の下地層形成工程を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る合成皮革の製造方法の表皮層形成工程を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る合成皮革の製造方法の下地層と表皮層の貼り合わせ工程を示す概略図である。 表皮層の樹脂と溶媒の量を示す図である。 接着剤層の樹脂と溶媒の量を示す図である。 従来の湿式合成皮革の断面図である。 従来の湿式合成皮革の製造方法を示す断面図である。 通気性を有する従来の湿式合成皮革の断面図である。
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施形態について説明する。図1(a)〜(e)は、本発明の実施形態に係る5種類の湿式合成皮革10の断面図である。図中、11は繊維基材としての基布、12は溶剤系樹脂で形成した多孔質層、13は下地層、14は発泡水系樹脂で形成した接着剤層、15は水系樹脂で形成した表皮層、15aは発泡水系樹脂で形成した表皮層、15bは熱可塑性水系樹脂で形成した表皮層、16は離型紙、18は多孔化処理したコーティング層である。
図1(a)(b)(d)(e)の合成皮革10は、例えば10μm程度の薄い接着剤層14を使用して表皮層15を多孔質層12に接着しているが、図1(c)の合成皮革10は接着剤層14を省略し、熱可塑性水系樹脂で形成した表皮層15bを多孔質層12に直接熱融着で接合している。また、図1(a)(c)(d)(e)の合成皮革10は、表皮層15、15bが孔明きフィルム化されているが、図1(b)の合成皮革10は、表皮層15aを発泡水系樹脂で形成することで孔明きフィルム化なしで通気性を持たせている。
また、図1(a)(b)(c)の合成皮革10は基布11の上に溶剤系樹脂を塗布して例えば0.3〜0.4mm程度の厚みの多孔質層12を形成しているが、図1(d)(e)の合成皮革10は基布11に溶剤系樹脂を含浸させ、基布11の内部組織に多孔質層を形成した下地層13aとしている。図1(d)は、下地層13aの表面に接着剤層14との馴染みをよくするためにコーティング層18を形成し、当該コーティング層18を多孔化処理したものである。当該コーティング処理をしていないものが図1(e)の合成皮革10であり、この合成皮革10は基布11の表面の凹凸を吸収するように接着剤層14を例えば150μm程度に厚めに形成している。
多孔質層12の表面は、表皮12aと孔部12bで構成されている。多孔質層12は溶剤系樹脂の水浴置換と乾燥により形成されるが、出来上がった多孔質層12の表面は甘皮状の表皮12aで覆われており、そのままでは接着剤層14の乾燥と通気が妨げられる。そこで、表皮12aを例えば研磨ロールにより多孔化処理することで多数の孔部12bが形成される。多孔化処理は有機溶剤による表皮12aの一部溶融でも可能である。
表皮層15は、特許文献1(特許第2954847号、図7)と同様の方法で、離型紙の凹部にのみフィルム材料を充填することにより無数の微細孔を有する通気性皮革様フィルム層とすることができる(孔明きフィルム化)。表皮層15と接着剤層14は、PUDを使用して形成される。表皮層15に使用するPUDは強度を維持するために発泡処理せず、前記孔明きフィルム化により通気性が確保されている。これに対して接着剤層14のPUDは所定倍率で発泡処理され、接着剤層14の十分な厚みと所定の通気度が得られるようにしている。なお、表皮層15に使用するPUDを低倍率(約1.2〜2.0倍)で発泡させたものを使用すれば、最低限の通気性と強度を確保することができるので、孔明きフィルム化は必ずしも必要ではなくなる(図1(b)の合成皮革)。
前記接着剤層14は、気泡径が20〜250μmの範囲の連続気泡で構成することができる。気泡径が250μmよりも大きくなると通気性の点は問題ないが、表皮層15の耐スクラッチ性が劣り、また接着剤層14の剥離強度が弱くなり、湿式合成皮革10としては不適当である。この反対に気泡径が20μm以下になると表皮層15の耐スクラッチ性は良好だが通気性が悪くなり、加えて気泡径を20μm以下にすること自体が技術的困難性を伴ってコスト高となる。前記気泡径は、接着剤層14の材料となるPUDの発泡倍率によって調整可能であって、気泡径20〜250μmとするためには、PUDの体積の1.25〜2.5倍の発泡倍率とする。
図1(a)の湿式合成皮革10は、例えば図2A〜図2Cの製造工程で製造することができる。図2Aは溶剤系樹脂を使用して湿式で下地層13を製造する工程であり、図2Bは水系樹脂を使用して乾式で表皮層15を形成する工程であり、図2Cは下地層13と表皮層15を水系発泡樹脂の接着剤層14で貼り合わせる工程である。
図中、1は基布供給ロール、2a〜2cは樹脂供給ポッド、3は水槽、4は第1乾燥炉、5は研磨ロール、6aは離型紙供給ロール、6bは表皮ロール、6cは離型紙巻取ロール、8aは第2乾燥炉、8bは第3乾燥炉、9aは下地層ロール、9bは製品ロール、17はブレード、R1〜9、R12〜14はガイドロール、R10、11はバックロールである。
下地層13は、図2Aのように、繊維基材11上に多孔質層12を湿式法で形成することで形成する。すなわち、繊維基材11の上に、樹脂供給ポッド2aで、ポリウレタン樹脂をDMFに溶かした液を塗布する。ポリウレタン樹脂の有機溶媒溶液が塗布された繊維基材11は、水槽3内の凝固液としての水(又は温水)中に通されることで、溶液中の有機溶剤が水と置換され、ポリウレタン樹脂が析出・凝固し、繊維基材11上に多孔質層12(ミクロポーラス層)が形成される。繊維基材11はその後水洗され、第1乾燥炉4で乾燥される。
繊維基材11が乾燥されると、多孔質層12の表面にポリウレタン樹脂の薄い皮膜が形成される。この皮膜は、そのままにしておくと水分及び溶剤の蒸発と通気性の妨げとなるので、研磨ロール5で研磨することで皮膜に多数の孔を形成する(多孔化処理)。研磨された繊維基材11は、下地層ロール9aに巻き取られる。
表皮層15は、図2Bのように形成される。すなわち、離型紙供給ロール6から繰り出された離型紙16に、樹脂供給ポッド2bによってPUDが塗布される。PUDを塗布された離型紙16は、ブレード17とバックロールR10の間で余分なPUDを掻き取られる。そして、離型紙16の凹部内にのみPUDを保持した孔明きフィルム化された状態で第2乾燥炉8aで乾燥され、その後、表皮ロール6bに巻き取られる。
下地層13と表皮層15は、図2Cのようにして貼り合わされる。すなわち、表皮ロール6bから繰り出された表皮層15付き離型紙16の上に、バックロールR11の上で、樹脂供給ポッド2cによって接着剤となる発泡水性PUDが塗布される。当該塗布で形成された接着剤層14の上に、下地層ロール9aから繰り出された多孔質層12付きの繊維基材11が、ガイドロールR12とR13の間で加圧されて貼り合わされる。貼り合わされた繊維基材11は、第3乾燥炉8b内でウレタンの感熱凝固温度(40〜130℃)に加熱され、その後、ガイドロールR14の下流側で離型紙16が剥離される。そして、離型紙16よりも上側の部分が製品ロール9に巻き取られる。以上のようにして、湿式合成皮革10が製造される。
前述のように、接着剤層14は第3乾燥炉8b内で加熱されて凝固するが、この際、PUDに含まれた水分が蒸気となって、多孔質層12の表面の多孔化処理で形成した孔部12bを通して基布11側に抜けていく。従って、接着剤層14の乾燥時間を短縮することができ、製造速度を向上させることができる。なお、接着剤層14の反対側は通気性のない離型紙16で覆われているので、水蒸気を離型紙16側に逃がすことはできない。
図3は、表皮層15に使用する樹脂の溶媒と溶質の配合割合の例を、従来のタイプ1(DMF、MEK、TOL等の有機溶剤使用)と本発明のタイプ2(PUD使用)を対比したものである。従来タイプ1の樹脂溶液塗布量が100〜150g/m2であるのに対し、タイプ2の本発明の実施形態では30〜60g/m2と塗布量が大幅に少なくなっているが、樹脂固形分の比率は逆に増えている。すなわち、従来の表皮層の有機溶剤溶液の質量%濃度が15〜25%であるのに対し、本実施形態の表皮層のPUDの質量%濃度は35〜50%であり、従来の約2倍になっている。
このように高濃度PUDを使用することにより、残留樹脂量を従来並みに確保しつつ、蒸発させる水分量(19.5〜30g/m2)を少なくしている。表皮層15は湿式合成皮革10の外観を決定する重要部分であるため、離型紙16の皮革模様の凹部内に残留する残留樹脂量(g/m2)は従来並み(10.5〜30g)に確保しておく必要がある。一方、樹脂溶液を高濃度にして蒸発させる溶媒(水)の量を少なくすることで、PUDを使用したことによる乾燥時間の延長を最低限に抑制することができる。残留樹脂量が従来よりも少ないのは、前述した孔明きフィルム化も1つの要因である。
図4は、接着剤層14に使用する樹脂の溶媒と溶質の配合割合の例を、従来のタイプ1(溶剤としてDMF等使用)と本発明のタイプ2(発泡PUD使用)を対比して示したものである。従来タイプ1が樹脂溶液塗布量150〜200g/m2であるのに対し、タイプ2の本発明の実施形態では74〜300g/m2と塗布量の幅が非常に広くなっている。これは、従来の接着剤層が接着機能しかないので必要量の上限が自ずと決まっているのに対し、本発明の場合は発泡PUDを使用するので接着剤層の多孔質化が可能であり、表面ソフト感やボリューム感等の製品用途に応じて接着剤層14の厚み(残存樹脂量、発泡倍率)を加減することができるからである。
樹脂溶液塗布量は、最低塗布量同士で比較すると本発明の実施形態は従来の約半分であるが、樹脂固形分の比率は倍増している。すなわち、従来の接着剤層のDMFの質量%濃度が20〜25%であるのに対し、本実施形態の接着剤層のPUDの質量%濃度は40〜50%であり、濃度は従来の2倍になっている。この結果、最低塗布量でも残留樹脂量は従来と同程度にすることができ、従来並みの合成皮革強度を得ることができる。
このように、接着剤層に使用するPUDを高濃度にしたことにより、蒸発させる溶媒(水)の量を同一残留樹脂量(30〜50g/m2)で従来と比較すると、従来が120〜150g/m2の有機溶剤(DMF、MEK、TOL等)の蒸発量であるのに対して、本発明の実施形態は44〜50g/m2の水の蒸発量となる。これにより、PUDを使用したことによる乾燥時間の延長を最低限に抑制することができる。また、接着剤層に使用するPUDを発泡させることで、出来上がった接着剤層14が繊維基材11の多孔質層12と同様に多孔質で嵩高になり、非常にソフトな風合いにすることができる。また、当該多孔質な嵩高構造により表皮層15の転写再現性が高められる。また、接着剤層14は使用樹脂量が表皮層15よりも多いので、PUDの高濃度化と発泡化により、乾燥時間の短縮効果がより大きくなる。
本発明の実施形態では、前述したように、表面ソフト感やボリューム感等の製品用途に応じて接着剤層14の厚み(残存樹脂量、発泡倍率)を加減することができるので、樹脂溶液塗布量を最大で300g/m2程度に増大させることも可能である。塗布量を300g/m2にした場合は残存樹脂量が従来の3倍の150g/m2になり、極めて嵩高な多孔質接着剤層14とすることができる。このような嵩高多孔質の接着剤層14とすることで、接着剤層14自体で非常にソフトな風合いを出すことが可能となり、場合によっては、その下側の多孔質層12を省略することさえ可能になる。そうすると、湿式工程をまったく使用しないで乾式のみで従来の湿式と同様の合成皮革を得ることができる。
本実施形態では、表皮層15を孔開きフィルム化することで使用樹脂量を従来タイプ1よりも削減することができ、当該削減分をコストアップ無しで下層の接着剤層14に回すことができる。このため、接着剤層14の厚みを、製品仕上がり後も、多孔質状態で嵩高に維持することができる。従って、湿式合成皮革の天然皮革に近い柔軟な風合いとボリューム感を維持・向上させることができる。また、表皮層15の孔開きフィルム化と接着剤層14の転写再現性向上とが相まって、表皮層15に反映する離型紙の凹凸形状を従来品よりもシャープに再現することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
1:基布供給ロール
2a〜2c:樹脂供給ポッド
3:水槽
4:第1乾燥炉
5:研磨ロール
6a:離型紙供給ロール
6b:表皮ロール
6c:離型紙巻取ロール
8a:第2乾燥炉
8b:第3乾燥炉
9a:下地層ロール
9b:製品ロール
10:湿式合成皮革
11:繊維基材
12:多孔質層
12a:表皮
12b:孔部
13:下地層
14:接着剤層
15:表皮層
16:離型紙
17:ブレード
18:コーティング層
R10、11:バックロール

Claims (10)

  1. ポリウレタン樹脂の有機溶媒溶液を繊維基材に含浸又は塗布させたものを、水又は温水中に通して凝固させた後に乾燥させる湿式法で前記繊維基材を下地層とする工程、
    水性ポリウレタンディスパージョン溶液を使用して乾式で孔明きフィルム化した表皮層を形成する工程、及び、
    前記下地層と前記表皮層を、発泡させた水性ポリウレタンディスパージョン溶液を含む接着剤層で互いに接合する工程、
    を有することを特徴とする湿式合成皮革の製造方法。
  2. ポリウレタン樹脂の有機溶媒溶液を繊維基材に含浸又は塗布させたものを、水又は温水中に通して凝固させた後に乾燥させる湿式法で前記繊維基材を下地層とする工程、
    発泡させた水性ポリウレタンディスパージョン溶液を使用して乾式で表皮層を形成する工程、及び、
    前記下地層と前記表皮層を、発泡させた水性ポリウレタンディスパージョン溶液を含む接着剤層で互いに接合する工程、
    を有することを特徴とする湿式合成皮革の製造方法。
  3. ポリウレタン樹脂の有機溶媒溶液を繊維基材に含浸又は塗布させたものを、水又は温水中に通して凝固させた後に乾燥させる湿式法で前記繊維基材を下地層とする工程、
    熱可塑性ポリウレタンを使用した水性ポリウレタンディスパージョン溶液を使用して乾式で孔明きフィルム化した表皮層を形成する工程、及び、
    前記下地層と前記表皮層を熱融着で互いに接合する工程、
    を有することを特徴とする湿式合成皮革の製造方法。
  4. 前記下地層の表面を多孔化処理する工程を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1の湿式合成皮革の製造方法。
  5. 前記下地層の多孔化処理を研磨ロールで行うようにしたことを特徴とする請求項4の湿式合成皮革の製造方法。
  6. 前記表皮層の水性ポリウレタンディスパージョン溶液の質量%濃度を、35〜50%にしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1の湿式合成皮革の製造方法。
  7. ポリウレタン樹脂の有機溶媒溶液を繊維基材に含浸又は塗布させたものを、水又は温水中に通して凝固させた後に乾燥させる湿式法で前記繊維基材を下地層とし、
    水性ポリウレタンディスパージョン溶液を使用して乾式形成により孔明きフィルム化した表皮層を形成し、
    前記下地層と前記表皮層を、発泡させた水性ポリウレタンディスパージョン溶液を使用した接着剤層で互いに接合したことを特徴とする湿式合成皮革。
  8. ポリウレタン樹脂の有機溶媒溶液を繊維基材に含浸又は塗布させたものを、水又は温水中に通して凝固させた後に乾燥させる湿式法で前記繊維基材を下地層とし、
    発泡させた水性ポリウレタンディスパージョン溶液を使用して乾式形成により表皮層を形成し、
    前記下地層と前記表皮層を、発泡させた水性ポリウレタンディスパージョン溶液を使用した接着剤層で互いに接合したことを特徴とする湿式合成皮革。
  9. ポリウレタン樹脂の有機溶媒溶液を繊維基材に含浸又は塗布させたものを、水又は温水中に通して凝固させた後に乾燥させる湿式法で前記繊維基材を下地層とし、
    熱可塑性ポリウレタンの水性ディスパージョン溶液を使用して乾式で孔明きフィルム化した表皮層を形成し、
    前記下地層と前記表皮層を熱融着で互いに接合したことを特徴とする湿式合成皮革。
  10. 前記下地層の表面を多孔化処理した状態で前記表皮層と互いに接合したことを特徴とする請求項7から9のいずれか1の湿式合成皮革。
JP2012271918A 2012-12-13 2012-12-13 合成皮革とその製造方法 Active JP5583743B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012271918A JP5583743B2 (ja) 2012-12-13 2012-12-13 合成皮革とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012271918A JP5583743B2 (ja) 2012-12-13 2012-12-13 合成皮革とその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014118637A JP2014118637A (ja) 2014-06-30
JP5583743B2 true JP5583743B2 (ja) 2014-09-03

Family

ID=51173727

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012271918A Active JP5583743B2 (ja) 2012-12-13 2012-12-13 合成皮革とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5583743B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101573630B1 (ko) 2014-09-23 2015-12-01 김미숙 하이브리드 도색 방식을 갖는 가죽 원단 도색 장치 및 방법
CN108049195A (zh) * 2017-12-29 2018-05-18 合肥科天水性科技有限责任公司 一种湿法制备水性聚氨酯再生皮的方法
CN108625186A (zh) * 2018-04-10 2018-10-09 合肥科天水性科技有限责任公司 一种湿法含浸处理再生皮基材的方法

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107761404B (zh) * 2017-12-06 2020-02-11 扬州市德运塑业科技股份有限公司 一种高耐磨pu合成革面料的制备方法
CN108193511A (zh) * 2018-01-29 2018-06-22 嘉善威尔尼绒业有限公司 一种水性聚氨酯合成面料的加工方法
JP6911215B1 (ja) * 2021-01-22 2021-07-28 大日精化工業株式会社 多孔層構成体及び多孔層構成体の製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58203178A (ja) * 1982-05-17 1983-11-26 三菱レイヨン株式会社 皮革様シ−ト状物の製法
JP4024019B2 (ja) * 2001-07-23 2007-12-19 高圧クロス株式会社 シート構造体とその製造方法
JPWO2010024249A1 (ja) * 2008-08-28 2012-01-26 株式会社クラレ 皮革様シート及びその製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101573630B1 (ko) 2014-09-23 2015-12-01 김미숙 하이브리드 도색 방식을 갖는 가죽 원단 도색 장치 및 방법
CN108049195A (zh) * 2017-12-29 2018-05-18 合肥科天水性科技有限责任公司 一种湿法制备水性聚氨酯再生皮的方法
CN108049195B (zh) * 2017-12-29 2020-12-01 合肥科天水性科技有限责任公司 一种湿法制备水性聚氨酯再生皮的方法
CN108625186A (zh) * 2018-04-10 2018-10-09 合肥科天水性科技有限责任公司 一种湿法含浸处理再生皮基材的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014118637A (ja) 2014-06-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5583743B2 (ja) 合成皮革とその製造方法
RU2009107871A (ru) Способ изготовления газопроницаемой многослойной искусственной кожи и газопроницаемая многослойная искусственная кожа
US20150159321A1 (en) Suede-like synthetic leather and method of making the same
JPH0397976A (ja) 透湿性、柔軟性および機械的強度に優れた人工皮革およびその製造方法
JP5374299B2 (ja) 銀付調皮革様シートの製造方法
CN100999870A (zh) 无纺布复合膜的制备方法
JP6526993B2 (ja) 金属薄膜加飾シート状物の製造方法
KR100786736B1 (ko) 인공 피혁의 제조 방법, 제조 장치 및 이에 의해 제조된인공 피혁
KR100198190B1 (ko) 습식 합성피혁의 제조방법 및 중간 생성물
JP2941821B2 (ja) 合成皮革の製造方法
JP2003193377A (ja) 立体感を有する合成皮革およびその製造方法
JP2926391B2 (ja) 湿式合成皮革の製造方法およびその中間生成物
JP2007084959A (ja) コーティング布帛及びその製造方法
KR20100060892A (ko) 인조피혁 제조 방법 및 그 방법에 의한 인조피혁
JP4114428B2 (ja) 紙製容器成形用紙の製造方法
JP3009346B2 (ja) 皮革様シート状物およびその製造方法
KR200185908Y1 (ko) 통기성이 있는 인조피혁
KR100415943B1 (ko) 향료와 세라믹 혼합양면코팅층으로된 인조피혁과 그제조방법
KR101835769B1 (ko) 입체 패턴이 형성된 인조 가죽 및 이의 제조방법
TWI457239B (zh) 具有pu樹脂塗層印刷織物的製造方法
JPS6354833B2 (ja)
JPH0453980B2 (ja)
US3687772A (en) Process for the production of a laminated sheet material
KR950007185B1 (ko) 통기투습성 습식완제(濕式完製) 폴리우레탄 합성피혁과 그 제조방법 및 제조장치
JPS6218262A (ja) 模様付シ−ト状複合材およびその製法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140521

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140619

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140703

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140716

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5583743

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250