以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[媒体処理装置の全体構成]
(概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる媒体処理装置1の概略構成を側面から説明するための図である。図2は、図1に示す通行券2の平面図である。図3は、図1に示す媒体処理装置1の、磁気情報処理部4および印字処理部6が開放されている状態を側面から示す図である。
本形態の媒体処理装置1は、情報記録媒体を処理するための装置であり、具体的には、高速道路等の有料道路の通行券2を処理するための装置である。この媒体処理装置1は、図1に示すように、通行券2への磁気情報の記録および通行券2に記録された磁気情報の読取りを行う磁気ヘッド3が配置される磁気情報処理部4と、通行券2へ印字を行う印字ヘッド5が配置される印字処理部6と、通行券2の取込排出口7が形成される媒体取込排出部8と、通行券2を回収するための媒体回収部9とを備えている。
なお、以下の説明では、互いに直交する3方向をX方向、Y方向およびZ方向とするとともに、図1等のX方向を「前後方向」、Y方向を「左右方向」、Z方向を「上下方向」とする。また、以下の説明では、図1のX1方向側を「前」側、X2方向側を「後(後ろ)」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とし、図1の紙面手前側(図4(A)等に示すY1方向側)を「左」側、図1の紙面奥側(図4(A)等に示すY2方向側)を「右」側とする。本形態では、前後方向が通行券2の搬送方向となる。また、左右方向は、媒体処理装置1内に取り込まれた通行券2の幅方向となり、上下方向は、媒体処理装置1内に取り込まれた通行券2の厚さ方向となる。
図1に示すように、媒体取込排出部8と磁気情報処理部4と印字処理部6とは、媒体処理装置1の前側から後ろ側に向かってこの順番で隣接するように配置されており、取込排出口7が媒体処理装置1の前端に形成されている。また、媒体回収部9は、媒体取込排出部8と磁気情報処理部4との境界部の下方に配置されており、磁気情報処理部4の下方に通行券2を回収することが可能となっている。
通行券2は、たとえば、厚さが0.18mm程度の紙カードである。この通行券2の長さL1(図2参照)は、たとえば、120mmであり、通行券2の幅W(図2参照)は、たとえば、54mmである。通行券2は、その長手方向が前後方向(X方向)と一致するように、媒体処理装置1の中に取り込まれる。通行券2の表面には、細長い長方形状の磁気ストライプ2aが通行券2の長手方向に沿って形成されている。磁気ストライプ2aの両端部分を除く一定の領域(図2の斜線で示す領域)は、磁気情報が記録される磁気情報の記録領域2bとなっている。また、通行券2の表面の一部は、日付や時間等が印字される印字領域2cとなっている。
磁気情報処理部4および印字処理部6には、通行券2が搬送される媒体搬送路11が形成されている。媒体取込排出部8には、媒体処理装置1に取り込まれる通行券2および媒体処理装置1から排出される通行券2が通過する取込排出路12が形成されている。媒体回収部9には、回収される通行券2が通過する回収搬送路13が形成されている。
媒体搬送路11および取込排出路12は、左右方向から見たときの形状が略直線状となるように形成されている。回収搬送路13は、左右方向から見たときの形状が略円弧状となる曲線搬送部と左右方向から見たときの形状が略直線状となる直線搬送部とから構成さされている。図1に示すように、媒体搬送路11の前端には、取込排出路12の後端と回収搬送路13の曲線搬送部の上端とが接続されている。
本形態では、図3に示すように、磁気情報処理部4の上側部分は、回動して開くように構成されており、磁気情報処理部4の上側部分が回動して開くと、媒体搬送路11が開放される。また、印字処理部6の上側部分も、回動して開くように構成されており、印字処理部6の上側部分が回動して開くと、媒体搬送路11が開放される。具体的には、磁気情報処理部4の上側部分は、その前端側を回動中心にして図3の時計方向に回動して開くように構成され、印字処理部6の上側部分は、その後端側を回動中心にして図3の反時計方向に回動して開くように構成されている。
(通行券を搬送するための構成およびセンサ配置)
図4は、図1に示す媒体処理装置1における搬送ローラ対14〜17、取込排出ローラ対27および回収ローラ対30の配置を説明するための図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。図5は、図1に示す媒体処理装置1のセンサ39〜45、47、48の配置を説明するための平面図である。
媒体搬送路11には、図1、図4に示すように、通行券2を搬送する4組の搬送ローラ対14〜17が一定のピッチP1で配置されている。具体的には、第1の搬送ローラ対14(以下、「第1搬送ローラ対14」とする。)、第2の搬送ローラ対15(以下、「第2搬送ローラ対15」とする。)、第3の搬送ローラ対16(以下、「第3搬送ローラ対16」とする。)および第4の搬送ローラ対17(以下、「第4搬送ローラ対17」とする。)が媒体搬送路11の前端から後ろ側に向かってこの順番で配置されている。本形態では、第1搬送ローラ対14および第2搬送ローラ対15が磁気情報処理部4に配置され、第3搬送ローラ対16および第4搬送ローラ対17が印字処理部6に配置されている。また、本形態では、搬送ローラ対14〜17のピッチP1は、通行券2の長さL1よりも短く、かつ、磁気情報の記録領域2bの長さL2(図2参照)よりも長くなっている。
第1搬送ローラ対14は、媒体搬送路11の下側に配置される駆動ローラ18と、駆動ローラ18の上側から駆動ローラ18に対向配置されるとともに駆動ローラ18に向かって付勢されるパッドローラ19とを備えている。第2搬送ローラ対15は、媒体搬送路11の下側に配置される駆動ローラ20と、駆動ローラ20の上側から駆動ローラ20に対向配置されるとともに駆動ローラ20に向かって付勢されるパッドローラ21とを備えている。第4搬送ローラ対17は、媒体搬送路11の下側に配置される駆動ローラ24と、駆動ローラ24の上側から駆動ローラ24に対向配置されるとともに駆動ローラ24に向かって付勢されるパッドローラ25とを備えている。また、第3搬送ローラ対16は、媒体搬送路11の下側に配置される駆動ローラ22と、媒体搬送路11の上側に配置される駆動ローラ23とを備えている。すなわち、第3搬送ローラ対16は、上下方向で対向配置される2個の駆動ローラ22、23を備えている。
取込排出路12には、通行券2の取込と排出とを行うための1組の取込排出ローラ対27が配置されている。図1に示すように、第1搬送ローラ対14と取込排出ローラ対27とのピッチP2は、ピッチP1よりも短くなっている。取込排出ローラ対27は、取込排出路12の下側に配置される駆動ローラ28と、駆動ローラ28の上側から駆動ローラ28に対向配置されるとともに駆動ローラ28に向かって付勢されるパッドローラ29とを備えている。
回収搬送路13には、通行券2を回収するための1組の回収ローラ対30が配置されている。回収ローラ対30は、回収搬送路13を挟むように配置される駆動ローラ31およびパッドローラ32を備えている。パッドローラ32は、駆動ローラ31の斜め前下側から駆動ローラ31に対向配置されるとともに駆動ローラ31に向かって付勢されている。
駆動ローラ18、20、28、31は、ベルトやプーリ等の伝達機構を介してモータ33に連結されている。また、駆動ローラ22〜24は、ベルトやプーリ等の伝達機構を介してモータ34に連結されている。
図4(A)に示すように、媒体搬送路11、取込排出路12および回収搬送路13の左右の側面は、媒体処理装置1の本体フレームを構成する2枚の側板36、37によって構成されている。本形態では、左側に配置される側板36の内側面は、媒体搬送路11および取込排出路12を搬送される通行券2の搬送基準面36bとなっている。
媒体搬送路11、取込排出路12および回収搬送路13には、通過する通行券2を通行券2の厚さ方向の両側で案内する搬送ガイド38が配置されている。本形態では、図5に示すように、媒体搬送路11、取込排出路12および回収搬送路13の左右両端側のみに、搬送ガイド38が配置されており、媒体搬送路11、取込排出路12および回収搬送路13の左右方向における中間位置には、搬送ガイドが配置されていない。
媒体搬送路11には、図1、図5に示すように、通過する通行券2を検出するための5個のセンサ39〜43が前側から後ろ側に向かってこの順番で配置されている。取込排出路12には、通過する通行券2を検出するための2個のセンサ44、45が配置されている。また、回収搬送路13には、通過する通行券2を検出するためのセンサ46(図1参照)が配置されている。また、媒体処理装置1は、磁気情報処理部4の上側部分が閉じているか否かを検出するためのセンサ47(図5参照)と、印字処理部6の上側部分が閉じているか否かを検出するためのセンサ48(図5参照)と、印字処理部6を構成する後述の印字ユニット167の左右方向における位置を検出するためのセンサ49、50(図1参照)と、印字処理部6を構成する後述のインクリボンカセット171の有無を検出するためのセンサ51(図1参照)と、媒体処理装置1の前端側に配置される後述のシャッタ部材63の開閉状態を検出するためのセンサ52(図1参照)とを備えている。センサ39〜52はいずれも、発光素子と受光素子とを備える光学式のセンサである。
センサ39〜43は、媒体搬送路11の左端側に配置されている。センサ44、45は、通行券2の幅方向の両端部を検出できるように、左右方向における取込排出路12の両側に配置されている(図5参照)。センサ46は、回収ローラ対30の斜め後ろ下側に配置されている。センサ47は、磁気情報処理部4の右側部分に配置されている。センサ48は、印字処理部6の右側部分に配置されている。センサ52は、媒体処理装置1の前下端側に配置されている。センサ49〜51の具体的な配置位置については後述する。
(パッドローラとその周辺部分の構成)
パッドローラ29は、たとえば、表面にゴム層が形成されたゴムローラである。図4(A)に示すように、パッドローラ29は、左端側のみが支持される片持ちの片持ち軸54に回転可能に支持されている。片持ち軸54は、軸保持部材56に固定されている。軸保持部材56は、側板36に固定される固定軸55に回動可能に支持されている。固定軸55は、側板36の内側面から右側へ向かって突出するように、側板36に固定されており、固定軸55の先端側(右端側)に軸保持部材56が回動可能に支持されている。また、固定軸55の左端側は、パッドローラ29を駆動ローラ28に向かって付勢するネジリコイルバネ57に挿通されている。ネジリコイルバネ57の一端は、軸保持部材56の左端側に係合し、ネジリコイルバネ57の他端は、側板36に係合している。すなわち、片持ち軸54の左端側は、ネジリコイルバネ57によって付勢されている。
パッドローラ19、21、25、32は、たとえば、表面にゴム層が形成されたゴムローラであり、パッドローラ29と同様に、左端側のみが支持される片持ちの片持ち軸54に回転可能に支持されている。パッドローラ25、32を支持する片持ち軸54は、パッドローラ29を支持する片持ち軸54とほぼ同様に、側板36に固定される固定軸55に回動可能に支持される軸保持部材56に固定されている。また、パッドローラ25、32を支持する片持ち軸54の左端側は、ネジリコイルバネ57によって付勢されている。パッドローラ19、21の片持ち軸54の支持構造については後述する。
(振分部材およびシャッタ部材の構成)
媒体処理装置1の前端側には、媒体搬送路11から取込排出路12または回収搬送路13へ搬送される通行券2を取込排出路12または回収搬送路13へ振り分ける振分部材(フラッパ)62と、取込排出路12を閉鎖するためのシャッタ部材63とが配置されている。具体的には、取込排出路12および回収搬送路13と媒体搬送路11との接続部に振分部材62が配置され、取込排出ローラ対27のすぐ前側にシャッタ部材63が配置されている。振分部材62とシャッタ部材63とは、所定のレバー部材等を介して共通のソレノイド65に連結されている。
本形態では、ソレノイド65に電流が供給されていないときには、シャッタ部材63は上昇しており、取込排出路12を閉鎖している。また、振分部材62は、媒体搬送路11の上側まで上昇しており、この状態で、媒体搬送路11から前側に向かって通行券2が搬送されると、通行券2は、回収搬送路13へ振り分けられて搬入される。一方、ソレノイド65に電流が供給されると、シャッタ部材63が下降して、取込排出路12を開放する。また、振分部材62は、媒体搬送路11の下側まで下降する。この状態で、媒体搬送路11から前側に向かって通行券2が搬送されると、通行券2は、取込排出路12へ振り分けられて搬入される。
[磁気情報処理部の構成]
(全体の概略構成)
図6は、図1に示す磁気情報処理部4の構成を説明するための平面図である。図7は、図1に示す磁気情報処理部4の上側部分の構成を説明するための側面図である。図8は、図6に示すロック板90の側面図である。
上述のように、磁気情報処理部4には、磁気ヘッド3が配置されている。具体的には、媒体搬送路11の上側から媒体搬送路11に臨むように、磁気情報処理部4の上側部分に磁気ヘッド3が配置されている。また、上述のように、磁気情報処理部4の上側部分は、媒体搬送路11が開放されるように回動して開くように構成されており、磁気情報処理部4は、媒体搬送路11が開放されるように回動する回動フレーム84を備えている。本形態では、回動フレーム84が、その前端側を中心にして図3の時計方向に回動すると、媒体搬送路11が開放されるように磁気情報処理部4が開く。一方、磁気情報処理部4が開いている状態で、回動フレーム84が、その前端側を中心にして図3の反時計方向に回動すると、磁気情報処理部4が閉じる。
回動フレーム84は、回動フレーム84の左側面を構成する側板85と、右側面を構成する側板86との2枚の側板85、86を備えている。側板85と側板86とは、左右方向に所定の間隔をあけた状態で互いに固定されている。
磁気情報処理部4は、左右方向の両端側で回動フレーム84を回動可能に支持するとともに回動フレーム84の回動の支点となる2本の回動支点軸87、88を備えている。また、磁気情報処理部4は、図3に示すように、回動フレーム84が開いた状態を維持するためのロックレバー89およびロック板90を備えている。
回動支点軸87は、磁気情報処理部4の前端側で、側板36に固定されている。回動支点軸88は、磁気情報処理部4の前端側で、側板37に固定されている。また、図6、図7に示すように、パッドローラ19の片持ち軸54の軸中心と、回動支点軸87、88の軸中心とが略一致するように、回動支点軸87、88は、側板36、37に固定されている。
ロックレバー89は、図6に示すように、側板85の左側面から左側へ突出するように、側板85に固定される固定軸93の左端に回動可能に取り付けられている。ロックレバー89には、ロック板90に形成される後述の係合孔90aに係合する係合ピン94が固定されている。ロック板90は、図6に示すように、側板36の左側面側に固定されている。ロック板90には、図8に示すように、係合ピン94に係合する係合孔90aが形成されており、係合ピン94が係合孔90aの係合部90bに係合することで、回動フレーム84が開いた状態が維持される。
また、磁気情報処理部4は、回動フレーム84が閉じた状態を維持するためのロック機構95と、磁気ヘッド3を保持するためのヘッド保持機構96とを備えている。以下、このロック機構95およびヘッド保持機構96の構成を説明するとともに、パッドローラ19、21の片持ち軸54の支持構造を説明する。
(ロック機構の構成)
図9は、図7に示す回動フレーム84が閉じた状態を維持するためのロック機構95を説明するための平面図である。図10は、図9に示すロック機構95を説明するための側面図である。図11は、図9のM部の拡大図である。図12は、図10のN部の拡大図である。
ロック機構95は、回動フレーム84に保持されるとともに回動フレーム84に対して直線状に相対移動可能な(スライド可能な)スライド部材101と、媒体処理装置1の本体フレームに取り付けられるとともにスライド部材101が係合する係合部102と、スライド部材101と係合部102とが係合する方向へスライド部材101を付勢する引張りコイルバネ103とを備えている。
スライド部材101は、回動フレーム84の上端側で回動フレーム84に保持されている。このスライド部材101は、前後両端側および下側が開口する略角溝状(略コの字状)に形成されており、上面部101aと2個の側面部101bとを備えている。上面部101aの後端側には、スライド部材101をスライドさせる際にユーザが掴む取手部101cが上側に向かって折り曲げられるように形成されている。側面部101bには、左右方向に貫通する開口部101dと、後端側に向かって突出する突出部101eとが形成されている。
開口部101dは、側面部101bの後端側の2箇所と前端側の1箇所に形成されている。前端側に形成される開口部101dには、側板85、86にその両端部のそれぞれが固定された固定軸104に回動可能に支持されるローラ105の一部が配置されている。最も後端側に形成される開口部101dにも、側板85、86にその両端部のそれぞれが固定された固定軸106に回動可能に支持されたローラ107の一部が配置されている。
ローラ105、107の外径は、開口部101dの上下方向の幅とほぼ同じになっており、ローラ105、107およびローラ105、107が配置される開口部101dは、回動フレーム84に対してスライド部材101が直線状に移動するように、スライド部材101を案内するガイドとしての機能を果たしている。なお、固定軸106の両端部分は、図9に示すように、側板36、37の上端面に当接するようになっており、図3の反時計方向における回動フレーム84の回動範囲を規制するストッパとしての機能を果たしている。
突出部101eは、側面部101bの後ろ下端側に形成されている。突出部101eの上端面は、スライド部材101と係合部102とが係合している状態において、前側に向かうにしたがって上側へ緩やかに傾斜する傾斜部101fとなっている。たとえば、突出部101eの上端面は、図12に示すように、スライド部材101のスライド方向に対して、緩やかな角度αだけ傾く傾斜部101fとなっている。
係合部102は、側板36、37にその両端部のそれぞれが固定される固定軸108と、固定軸108に回動可能に支持される2個のローラ109とを備えている。ローラ109は、左右方向における側板36、37のすぐ内側に配置されている。
ローラ109は、図11に示すように、大径部109aと大径部109aよりも径の小さな小径部109bとを備えており、左右方向におけるローラ109の外側に大径部109aが配置されている。左右方向における大径部109aの内側の端面には、左右方向の内側に向かうにしたがってその径がしだいに小さくなる傾斜面状の傾斜端面部109cが形成されている。
引張りコイルバネ103の前端は、スライド部材101の上面部101aの前端側に固定された固定軸110に取り付けられている。引張りコイルバネ103の後端は、バネ保持軸111に取り付けられている。バネ保持軸111の両端部のそれぞれは、側板85、86に保持されている。そのため、スライド部材101は、引張りコイルバネ103の付勢力で回動フレーム84に対して後ろ側に向かって付勢されている。
本形態では、固定軸106の両端部分が側板36、37の上端面に当接している状態において、引張りコイルバネ103の付勢力でスライド部材101が後ろ側へスライドすると、傾斜部101fとローラ109の小径部109bの外周面とが当接する。傾斜部101fは、上述のように傾斜しているため、スライド部材101が後ろ側へスライドするにしたがって、傾斜部101fと小径部109bの外周面との当接力、および、側板36、37の上端面と固定軸106との当接力がしだいに大きくなり、前後方向および回動フレーム84の回動方向における回動フレーム84の側板36、37に対するガタツキが抑えられる。
また、本形態では、固定軸106の両端部分が側板36、37の上端面に当接している状態において、引張りコイルバネ103の付勢力でスライド部材101が後ろ側へスライドすると、左右方向における突出部101eの外側面と傾斜端面部109cとが当接する。傾斜端面部109cは、左右方向の内側に向かうにしたがってその径がしだいに小さくなる傾斜面状に形成されているため、左右方向における突出部101eの外側面と傾斜端面部109cとが当接すると、左右方向における回動フレーム84の側板36、37に対するガタツキが抑えられる。
このように、本形態では、引張りコイルバネ103の付勢力で、スライド部材101と係合部102とが係合すると、左右方向、前後方向および回動フレーム84の回動方向における回動フレーム84の側板36、37に対するガタツキが抑えられて、回動フレーム84が閉じている状態が維持される。一方、回動フレーム84が閉じている状態でユーザがスライド部材101を前側へ移動させると、スライド部材101と係合部102との係合が外れ、回動フレーム84を開くことが可能になる。
なお、スライド部材101の右側の側面部101bには、センサ47とともに回動フレーム84が閉じているか否かを検出するためのセンサ板112が固定されている。
(パッドローラの片持ち軸の支持構造)
図13は、図4に示すパッドローラ19、21の片持ち軸54の支持構造を説明するための平面図である。図14は、図4に示すパッドローラ19、21の片持ち軸54の支持構造を説明するための側面図である。
パッドローラ19の片持ち軸54は、パッドローラ29を支持する片持ち軸54と同様に、軸保持部材56に固定されている。軸保持部材56は、側板85、86にその両端側のそれぞれが固定される固定軸115に回動可能に支持されている。固定軸115の左端側は、パッドローラ19を駆動ローラ18に向かって付勢するためのネジリコイルバネ57に挿通されている。ネジリコイルバネ57の一端は、軸保持部材56の左端側に係合し、ネジリコイルバネ57の他端は、側板85に固定された固定ピン116に係合している。
パッドローラ21の片持ち軸54は、軸保持部材118に固定されている。軸保持部材118は、側板85、86にその両端側のそれぞれが固定される固定軸117に回動可能に支持されている。軸保持部材118は、前後両端側および下側が開口する略角溝状(略コの字状)に形成されており、前後方向における略中心位置で、固定軸117に回動可能に支持されている。
軸保持部材118の左側面部には、片持ち軸54が固定される軸固定部118aが後ろ側へ向かって突出するように形成されている。パッドローラ21の片持ち軸54は、軸固定部118aの右側面から右側へ向かって突出するように、軸固定部118aに固定されている。軸保持部材118の前端側には、軸保持部材118の左側面部と右側面部にその両端側のそれぞれが保持される軸119が取り付けられている。軸119には、引張りコイルバネ120の下端が取り付けられている。引張りコイルバネ120の上端は、側板85、86にその両端部のそれぞれが保持されたバネ保持軸121に取り付けられており、軸保持部材118は、引張りコイルバネ120の付勢力で固定軸117を中心に図14の反時計方向に付勢されている。すなわち、引張りコイルバネ120の付勢力によって、パッドローラ21は駆動ローラ20に向かって付勢されている。
(ヘッド保持機構の構成)
図15は、図7に示す磁気ヘッド3を保持するためのヘッド保持機構96を説明するための平面図である。図16は、図15に示すヘッド保持機構96を説明するための側面図である。図17は、図16のQ−Q方向からヘッドホルダ123、ホルダ保持部材124およびその周辺部分の構成を説明するための図である。
ヘッド保持機構96は、磁気ヘッド3が固定されるヘッドホルダ123と、前後方向を軸方向とする揺動が可能となるようにヘッドホルダ123を保持するホルダ保持部材124と、前後方向を軸方向とする回動が可能となるようにホルダ保持部材124を支持する支持軸125と、支持軸125の後端側を支持する調整板126と、ホルダ保持部材124を付勢するための引張りコイルバネ127とを備えている。
側板85、86の後端には、調整板126を固定するための固定部85b、86bが形成されている。また、側板86には、支持軸125の前端部を支持する軸支持部86cが形成されている。固定部86bには、支持軸125が挿通される長孔状の挿通孔86dが形成されている。軸支持部86cには、支持軸125の前端部が支持する支持孔が形成されている。調整板126には、支持軸125の後端部を支持する支持孔が形成されている。
ホルダ保持部材124は、その右下端側で支持軸125に回動可能に支持されている。また、ホルダ保持部材124は、その左端側でヘッドホルダ123を保持している。具体的には、ホルダ保持部材124の左下端側には、円筒状部材129が、前後方向の内側に向かって突出するように固定ネジ130によって取り付けられており、ヘッドホルダ123は、この円筒状部材129によって、前後方向を軸方向とする揺動が可能となるように、ホルダ保持部材124の左端側に保持されている。
ホルダ保持部材124の上面部の右端側には、引張りコイルバネ127の右端が取り付けられるバネ固定ピン132が固定されている。また、調整板126の左上端側には、引張りコイルバネ127の左端が取り付けられている。本形態では、引張りコイルバネ127の付勢力によって、ホルダ保持部材124は、回動フレーム84に対して、支持軸125を支点として、図17の時計方向に付勢されている。
本形態では、回動フレーム84に対する調整板126の左右方向における取付位置を調整することで、回動フレーム84に対するホルダ保持部材124の傾きを調整することが可能となっている。すなわち、回動フレーム84に対する調整板126の左右方向における取付位置を調整することで、前後方向に対する磁気ヘッド3の傾き(スキュー)を調整することが可能となっている。
[印字処理部の構成]
(全体構成)
図18は、図1に示す印字処理部6の構成を説明するための平面図である。図19は、図1に示す印字処理部6の上側部分の構成を説明するための側面図である。図20(A)は、図18のS部の拡大図であり、図20(B)は、図18のT部の拡大図である。
上述のように、印字処理部6には、印字ヘッド5が配置されている。具体的には、媒体搬送路11の上側から媒体搬送路11に臨むように、印字処理部6の上側部分に印字ヘッド5が配置されている。また、印字ヘッド5は、前後方向では、図1に示すように、前後方向における第3搬送ローラ対16の中心と印字ヘッド5の中心とが略一致するように配置され、左右方向では、図18に示すように、媒体搬送路11の右端側に配置されている。
また、上述のように、印字処理部6の上側部分は、媒体搬送路11が開放されるように回動して開くように構成されており、印字処理部6は、媒体搬送路11が開放されるように回動する回動フレーム134を備えている。回動フレーム134は、媒体搬送路11の上側に配置されている。本形態では、回動フレーム134が、その後端側を中心にして図3の反時計方向に回動すると、媒体搬送路11が開放されるように印字処理部6が開く。一方、印字処理部6が開いている状態で、回動フレーム134が、その後端側を中心にして図3の時計方向に回動すると、印字処理部6が閉じる。
印字ヘッド5は、回動フレーム134に保持されており、回動フレーム134とともに回動する。また、回動フレーム134は、回動フレーム134の左側面を構成する側板135と、右側面を構成する側板136との2枚の側板135、136を備えている。側板135と側板136とは、左右方向に所定の間隔をあけた状態で互いに固定されている。
印字処理部6は、左右方向の両端側で回動フレーム134を支持するとともに回動フレーム134の回動の支点となる回動支点軸137を備えている。また、印字処理部6は、図19に示すように、印字処理部6の上側部分の前下端側に配置される固定軸138を備えている。固定軸138の両端部のそれぞれは、側板135、136に固定されている。この固定軸138は、側板36、37の上端面に当接するようになっており、図3の時計方向における回動フレーム134の回動範囲を規制するストッパとしての機能を果たしている。さらに、印字処理部6は、図3に示すように、回動フレーム134が開いた状態を維持するためのロックレバー139およびロック板140を備えている。
回動支点軸137は、図18に示すように、印字処理部6の後端側で、側板36、37に回動可能に支持されている。具体的には、回動支点軸137は、左右方向を軸方向として側板36、37に回動可能に支持されている。
図20(B)に示すように、回動支点軸137の左端には、固定ネジ141によって、側板135が固定されている。具体的には、側板135には、固定ネジ141のネジ部141aが挿通される挿通孔135aが形成されており、側板135は、挿通孔135aにネジ部141aが挿通された状態で、かつ、側板135の右側面が回動支点軸137の左端に当接した状態で、回動支点軸137の左端に固定されている。
また、図20(A)に示すように、回動支点軸137の右端には、固定ネジ141によって、側板136が固定されている。具体的には、側板136には、固定ネジ141のネジ部141aが挿通される挿通孔136aが形成されており、側板136は、挿通孔136aにネジ部141aが挿通された状態で、かつ、側板136の左側面が回動支点軸137の右端に当接した状態で、回動支点軸137の右端に固定されている。
本形態では、挿通孔135aは、丸孔状に形成されており、その内径は、ネジ部141aの外径とほぼ同じになっている。すなわち、本形態では、回動支点軸137に対する側板135の固定位置は一定になっている。一方、挿通孔136aは、前後方向に長い長孔状に形成されており、上下方向の幅がネジ部141aの外径とほぼ同じになっている。すなわち、本形態では、回動支点軸137に対する側板136の固定位置は調整可能となっている。具体的には、前後方向において、回動支点軸137に対する側板136の固定位置が調整可能となっている。
なお、本形態では、図1、図3に示すように、前後方向において、回動支点軸137の中心は、第4搬送ローラ対17の中心と一致している。
ロックレバー139は、ロックレバー89とほぼ同様に、側板135の左側面から左側へ突出するように、側板135に固定される固定軸の左端に回動可能に取り付けられている。また、ロックレバー139には、ロックレバー89と同様に、ロック板140に形成される係合孔に係合する係合ピンが固定されている。ロック板140は、側板36の左側面側に固定されている。ロック板140には、ロック板90とほぼ同様に、ロックレバー139に固定される係合ピンに係合する係合孔が形成されており、係合ピンが係合孔の係合部に係合することで、回動フレーム134が開いた状態が維持される。
また、印字処理部6は、回動フレーム134が閉じた状態を維持するためのロック機構145を備えている。また、本形態では、通行券2の印字領域2cへの印字位置を変えることができるように、印字ヘッド5は、回動フレーム134に対して左右方向に相対移動可能となっており、印字処理部6は、印字ヘッド5を左右方向へ移動可能に保持するヘッド保持機構146と、印字ヘッド5を左右方向へ駆動するヘッド駆動機構147とを備えている。以下、ロック機構145、ヘッド保持機構146およびヘッド駆動機構147の構成を説明するとともに、第3搬送ローラ対16の構成および第3搬送ローラ対16と印字ヘッド5との配置関係について説明する。
なお、側板136の前端側には、図18に示すように、センサ48とともに回動フレーム134が閉じているか否かを検出するためのセンサ板162が固定軸163を介して固定されている。
(ロック機構の構成)
図21は、図19に示す回動フレーム134が閉じた状態を維持するためのロック機構145を説明するための平面図である。図22は、図21に示すロック機構145の構成を説明するための側面図である。図23は、図21のU部の拡大図である。図24は、図22のV部の拡大図である。
ロック機構145は、回動フレーム134に保持されるとともに回動フレーム134に対して直線状に相対移動可能な(スライド可能な)スライド部材151と、媒体処理装置1の本体フレームに取り付けられるとともにスライド部材151が係合する係合部152と、スライド部材151と係合部152とが係合する方向へスライド部材151を付勢する2個の引張りコイルバネ153とを備えている。
スライド部材151は、回動フレーム134の上端側で回動フレーム134に保持されている。このスライド部材151は、スライド部材101と同様に、前後両端側および下側が開口する略角溝状(略コの字状)に形成されており、上面部151aと2個の側面部151bとを備えている。上面部151aの前端側には、スライド部材151をスライドさせる際にユーザが掴む取手部151cが斜め下側に向かって折り曲げられるように形成されている。側面部151bには、左右方向に貫通する開口部151dと、前端側に向かって突出する突出部151eとが形成されている。
開口部151dは、側面部151bの前端側と後端側の2箇所に形成されている。この開口部151dは、上面部151aと側面部151bの境界部を一辺とする四角孔状に形成されている。
前端側に形成される開口部151dには、側板135、136にその両端部のそれぞれが固定された固定軸154に回動可能に支持されるローラ155の一部が配置されている。後端側に形成される開口部151dには、側板135、136にその両端部のそれぞれが固定された固定軸156に回動可能に支持されるローラ157の一部が配置されている。開口部151dに配置されるローラ155、157の一部の外径は、開口部151dの上下方向の幅とほぼ同じになっており、ローラ155、157の一部およびローラ155、157の一部が配置される開口部151dは、回動フレーム134に対してスライド部材151が直線状に移動するように、スライド部材151を案内するガイドとしての機能を果たしている。
突出部151eは、側面部151bの前下端側に形成されている。突出部151eの上端面は、スライド部材151と係合部152とが係合している状態において、前側に向かうにしたがって下側(媒体搬送路11側)へ緩やかに傾斜する傾斜部151fとなっている。すなわち、突出部151eの上端面は、スライド部材151と係合部152とが係合している状態において、後ろ側に向かうにしたがって上側へ緩やかに傾斜する傾斜部151fとなっている。たとえば、突出部151eの上端面は、図24に示すように、スライド部材151のスライド方向に対して、緩やかな角度αだけ傾く傾斜部151fとなっている。
係合部152は、係合部102と同様に、側板36、37にその両端部のそれぞれが固定される固定軸108と、固定軸108に回動可能に支持される2個のローラ109とを備えている。ローラ109は、固定軸108の両端側に配置されている。具体的には、左右方向における側板36、37のすぐ内側にローラ109が配置されている。
上述のように、ローラ109は、大径部109aと小径部109bとを備えており、左右方向におけるローラ109の外側に大径部109aが配置されている。大径部109aの内側の端面には、左右方向の内側に向かうにしたがってその径がしだいに小さくなる傾斜面状の傾斜端面部109cが形成されている。
2個の引張りコイルバネ153は、左右方向に所定の間隔をあけた状態で配置されている。引張りコイルバネ153の後端は、スライド部材151の上面部151aの後端側に固定された固定軸160に取り付けられている。引張りコイルバネ153の前端は、固定軸154に回動可能に取り付けられたコイル端保持部材161に保持されている。そのため、スライド部材151は、引張りコイルバネ153の付勢力で回動フレーム134に対して前側に向かって付勢されている。
本形態では、固定軸138が側板36、37の上端面に当接している状態において、引張りコイルバネ153の付勢力でスライド部材151が前側へスライドすると、傾斜部151fとローラ109の小径部109bの外周面とが当接する。傾斜部151fは、上述のように傾斜しているため、スライド部材151が前側へスライドするにしたがって、傾斜部151fと小径部109bの外周面との当接力、および、側板36、37の上端面と固定軸138との当接力がしだいに大きくなり、前後方向および回動フレーム134の回動方向における回動フレーム134の側板36、37に対するガタツキが抑えられる。
また、本形態では、固定軸138が側板36、37の上端面に当接している状態において、引張りコイルバネ153の付勢力でスライド部材151が前側へスライドすると、左右方向における突出部151eの外側面と傾斜端面部109cとが当接する。傾斜端面部109cは、左右方向の内側に向かうにしたがってその径がしだいに小さくなる傾斜面状に形成されているため、左右方向における突出部151eの外側面と傾斜端面部109cとが当接すると、左右方向における回動フレーム134の側板36、37に対するガタツキが抑えらされる。本形態では、左右方向における突出部151eの外側面は、傾斜端面部109cに当接する当接部151gとなっている。
このように、本形態では、引張りコイルバネ153の付勢力で、スライド部材151と係合部152とが係合すると、左右方向、前後方向および回動フレーム134の回動方向における回動フレーム134の側板36、37に対するガタツキが抑えられて、回動フレーム134が閉じている状態が維持される。一方、回動フレーム134が閉じている状態でユーザがスライド部材151を後ろ側へ移動させると、スライド部材151と係合部152との係合が外れ、回動フレーム134を開くことが可能になる。
(ヘッド保持機構の構成)
図25は、図18に示すヘッド保持機構146を構成する印字ユニット167およびユニット保持部168の構成を説明するための平面図である。図26は、図25に示す印字ユニット167およびユニット保持部168の構成を説明するための側面図である。図27は、図25に示す印字ユニット167の構成を説明するための側面図である。図28は、図27のe−e方向から印字ユニット167の構成を説明するための図である。図29は、図27のf−f方向から印字ユニット167の構成を説明するための図である。図30は、図18に示すヘッド保持機構146を構成するガイド軸169、170とユニット保持部168との配置関係を説明するための平面図である。図31は、図30のg−g方向からガイド軸169とユニット保持部168との配置関係を説明するための図である。図32(A)は、図30のh部の拡大図、図32(B)は、図30のj部の拡大図、図32(C)は、図30のk部の拡大図、図32(D)は、図30のm部の拡大図である。
ヘッド保持機構146は、印字ヘッド5を有する印字ユニット167と、印字ユニット167を保持するユニット保持部168と、印字ユニット167およびユニット保持部168を左右方向に案内する2本のガイド軸169、170と、印字ユニット167およびユニット保持部168を右側へ付勢する付勢部材としての圧縮コイルバネ184とを備えている。本形態では、ガイド軸169、170は、側板135、136に固定されており、印字ユニット167およびユニット保持部168は、媒体搬送路11の上側でガイド軸169、170に吊り下げられている。また、本形態では、側板135、136等によって構成される回動フレーム134は、ガイド軸169、170の両端側が固定される固定フレームである。
印字ユニット167は、印字ヘッド5の先端(下端)に配置されたワイヤをインクリボンにたたきつけて印字を行うドットインパクトプリンタであり、印字ユニット167には、インクリボンカセット171(図27、図29参照)が着脱可能となっている。この印字ユニット167は、図27〜図29に示すように、印字ヘッド5のワイヤを上下動させる印字ソレノイド172と、インクリボンを送るためのリボン送り用モータ173と、リボン送り用モータ173の動力を伝達する歯車列174と、印字ユニット167をユニット保持部168に固定するための固定板175と、印字ヘッド5や印字ソレノイド172等を保持する保持フレーム176とを備えている。
印字ヘッド5は、印字ユニット167の左下端側に配置され、印字ソレノイド172は、印字ヘッド5の上側に配置されている。インクリボンカセット171は、印字ヘッド5の左側から着脱可能となっている。リボン送り用モータ173は、印字ユニット167の右端側に配置されている。
固定板175は、Z方向とX方向とから形成されるZX平面と略平行に配置されるとともに、印字ユニット167の右端側に配置されている。固定板175の前後両端側のそれぞれには、図27に示すように、ユニット保持部168に固定板175を固定するための固定孔175aと、ガイド軸169、170が挿通される挿通孔175bが形成されている。この固定板175には、リボン送り用モータ173および保持フレーム176が固定されている。
ユニット保持部168は、2枚の保持板177、178と、保持板177、178を繋ぐ4本の連結軸179と、保持板177と固定板175とを繋ぐ4本の連結軸180と、ガイド軸169が挿通される摺動軸受部181と、ガイド軸170が挿通される摺動軸受部182とを備えている。また、ユニット保持部168には、図25に示すように、センサ49、50とともに印字ユニット167の左右方向の位置を検出するためのセンサ板183と、インクリボンカセット171の有無を検出するセンサ51とが取り付けられている。
保持板177は、平板状に形成され、ユニット保持部168の右端側に配置されている。保持板178は、上下両端側と右側が開口する略溝型状(略コの字状)に形成されており、ユニット保持部168の左側面を構成する左側面部178aと、ユニット保持部168の前側面を構成する前側面部178bと、ユニット保持部168の後側面を構成する後側面部178cとを備えている。図25、図30に示すように、前側面部178bの右端は、保持板177の前端側に係合し、後側面部178cの右端は、保持板177の後端側に係合している。
連結軸179は、保持板177と左側面部178aとを繋いでいる。具体的には、左右方向において、保持板177と左側面部178aとの間に所定の間隔があくように、保持板177および左側面部178aの前上端側、前下端側、後ろ上端側および後ろ下端側の4箇所で、連結軸179は、保持板177と左側面部178aとを繋いでいる。
連結軸180は、連結軸179と同軸上に配置されている。すなわち、保持板177および固定板175の前上端側、前下端側、後ろ上端側および後ろ下端側の4箇所で、連結軸180は、保持板177と固定板175とを繋いでいる。なお、連結軸180を固定板175に固定する際には、固定板175の固定孔175aが利用される。
摺動軸受部181は、保持板177および左側面部178aの後端側に固定されており、印字ユニット167と一緒にガイド軸169に沿って左右方向に移動する。具体的には、図30、図31に示すように、摺動軸受部181の右端が保持板177に固定され、摺動軸受部181の左端側が左側面部178aに固定されている。摺動軸受部181の左端は、左側面部178aよりも左側へ突出している。また、摺動軸受部181は、上下方向において、後ろ上端側に配置される連結軸179と、後ろ下端側に配置される連結軸179との間に配置されている。摺動軸受部181の左右両端側の内周側には、ガイド軸169の外周面に接触して摺動するメタル軸受185が取り付けられている。
摺動軸受部182は、保持板177および左側面部178aの前端側に固定されており、印字ユニット167と一緒にガイド軸170に沿って左右方向に移動する。具体的には、図30に示すように、摺動軸受部182の右端が保持板177に固定され、摺動軸受部182の左端が左側面部178aに固定されている。また、摺動軸受部182は、上下方向において、前上端側に配置される連結軸179と、前下端側に配置される連結軸179との間に配置されている。摺動軸受部182の左右両端側の内周側には、ガイド軸170の外周面に接触して摺動するメタル軸受185が取り付けられている。
本形態では、摺動軸受部181の長さ(左右方向の長さ)は、摺動軸受部182の長さよりも長くなっている。すなわち、図30に示すように、摺動軸受部181の左右両端側に配置されるメタル軸受185の間隔は、摺動軸受部182の左右両端側に配置されるメタル軸受185の間隔よりも広くなっている。
ガイド軸169、170は、前後方向で所定の間隔をあけた状態で側板135、136に固定されている。具体的には、ガイド軸169、170の左端部分が側板135に固定され、ガイド軸169、170の右端部分が側板136に固定されている。また、ガイド軸169が後ろ側に配置され、ガイド軸170が前側に配置されている。
側板135には、図32(B)、(D)に示すように、ガイド軸169を固定するための固定孔135bと、ガイド軸170を固定するための固定孔135cとが形成されている。固定孔135bは、ガイド軸169の左端部分の外径と内径がほぼ同じ丸孔状に形成されている。固定孔135cは、上下方向の幅がガイド軸170の左端部分の外径とほぼ同じで、かつ、前後方向に長い長孔状に形成されている。
側板136には、図32(A)、(C)に示すように、ガイド軸169を固定するための固定孔136bと、ガイド軸170を固定するための固定孔136cとが形成されている。固定孔136bは、ガイド軸169の右端部分の外径と内径がほぼ同じ丸孔状に形成されている。固定孔136cは、上下方向の幅がガイド軸170の右端部分の外径とほぼ同じで、かつ、前後方向に長い長孔状に形成されている。
このように、回動フレーム134に対するガイド軸169の固定位置は一定になっている。一方、回動フレーム134に対するガイド軸170の固定位置は調整可能となっている。具体的には、前後方向において、回動フレーム134に対するガイド軸170の固定位置が調整可能となっている。本形態では、ガイド軸169は、印字ユニット167およびユニット保持部168を左右方向に案内するための基準軸(主軸)であり、ガイド軸170は、印字ユニット167およびユニット保持部168を左右方向に案内するための副軸(従軸)である。また、摺動軸受部181は、基準軸であるガイド軸169が挿通される基準側軸受部であり、摺動軸受部182は、副軸であるガイド軸170が挿通される副軸側軸受部である。
圧縮コイルバネ184には、ガイド軸169の左端側が挿通されており、圧縮コイルバネ184の左端は、側板135の右側面に当接し、圧縮コイルバネ184の右端は、摺動軸受部181の左端に当接している。このように、本形態では、印字ユニット167およびユニット保持部168を右側へ付勢する圧縮コイルバネ184が基準軸であるガイド軸169側に配置されている。
本形態では、上述のように、摺動軸受部181は保持板177および左側面部178aの後端側に固定され、摺動軸受部182は保持板177および左側面部178aの前端側に固定されている。また、印字ユニット167は、図26に示すように、前後方向において、摺動軸受部181と摺動軸受部182との間でユニット保持部168に保持されている。すなわち、本形態では、印字ユニット167およびユニット保持部168の前後両端側がガイド軸169、170に支持されている。また、ガイド軸169とガイド軸170との間に印字ユニット167が配置されており、前後方向における印字ユニット167の重心は、ガイド軸169とガイド軸170との間にある。
センサ板183は、ユニット保持部168の後端側へ突出するように、固定板175の後ろ上端側に固定されている。センサ51は、保持板177と左側面部178aとの間に配置されている。また、センサ51は、印字ユニット167の上側に配置されている。
(ヘッド駆動機構の構成)
図33は、図18に示すヘッド駆動機構147の構成を説明するための平面図である。図34は、図18に示すヘッド駆動機構147の構成を説明するための側面図である。図35は、図33のn−n方向からヘッド駆動機構147の構成を説明するための図である。
ヘッド駆動機構147は、印字ユニット167およびユニット保持部168の後ろ側に配置されており、印字ユニット167およびユニット保持部168を左右方向へ駆動する。すなわち、本形態のヘッド駆動機構147は、左右方向へ印字ユニット167を駆動する印字ユニット駆動部である。
ヘッド駆動機構147は、駆動源となるモータ187と、モータ187の動力を減速して伝達する歯車列188とを備えている。歯車列188は、モータ187の出力軸に固定されるネジ歯車(ウォームギア)189と、ネジ歯車189に噛み合うはす歯歯車(ウォームホイール)190aと平歯車190bとが軸方向で重なるように一体で形成された中間歯車190と、平歯車190bに噛み合う平歯車191とから構成されている。中間歯車190では、はす歯歯車190aの径は、平歯車190bの径よりも大きくなっている。また、平歯車191の径は、平歯車190bの径よりも大きくなっている。本形態の平歯車190bは、はす歯歯車190aと一体で形成される駆動側平歯車であり、平歯車191は、駆動側平歯車である平歯車190bに噛み合う従動側平歯車である。
モータ187は、側板135、136の間に架け渡される固定板192に固定されている。具体的には、モータ187は、その出力軸が上側を向くように固定板192に固定されている。中間歯車190は、図33に示すように、固定板192から前側に突出するように固定板192に固定される固定軸193に回動可能に支持されている。平歯車191は、図33に示すように固定板192から前側に突出するように、固定板192に固定される固定軸194に回動可能に支持されている。
ネジ歯車189の先端面(上端面)には、ネジ回し(ドライバ)の先端部が係合可能な係合凹部189aが形成されている。本形態では、マイナスドライバの先端部が係合可能となるように、ネジ歯車189の先端面には、直線状の係合凹部189aが形成されている(図33参照)。
平歯車191の前端面には、前端側に向かって突出する係合ピン195が固定されている。具体的には、平歯車191の前端面の、固定軸194の上側部分に係合ピン195が固定されている。係合ピン195は、保持板178の後側面部178cに形成される係合孔178dに後ろ側から挿通されており、係合孔178dに係合している。係合孔178dは、左右方向の幅が係合ピン195の係合部分の外径とほぼ同じで、かつ、上下方向に長い長孔状に形成されている。本形態の係合ピン195は、ユニット保持部168とヘッド駆動機構147とを連結するための連結ピンである。
本形態では、モータ187が駆動して、歯車列188が回転すると、係合ピン195が固定軸194を中心にして回動し、モータ187の動力が後側面部178cに伝達される。すなわち、モータ187の動力がユニット保持部168に伝達される。モータ187の動力がユニット保持部168に伝達されると、印字ユニット167およびユニット保持部168は、ガイド軸169、170に沿って左右方向へ移動する。
このように、印字ユニット167およびユニット保持部168へ動力を伝達する係合ピン195は、後側面部178cの係合孔178dに係合している。すなわち、本形態では、印字ユニット167およびユニット保持部168の、ガイド軸169(基準軸)が配置される後ろ側で、ヘッド駆動機構147がユニット保持部168に連結されている。
なお、固定板192には、基板196が取り付けられており(図33参照)、この基板196に、センサ49、50が左右方向に所定の間隔をあけた状態で取り付けられている。具体的には、センサ板183がセンサ49、50の発光素子と受光素子との間を遮ることができるように、基板196に、センサ49、50が取り付けられている。なお、本形態では、センサ49またはセンサ50の発光素子と受光素子との間をセンサ板183が遮っている状態で、通行券2に印字が行われる。
(第3搬送ローラ対の構成および第3搬送ローラ対と印字ヘッドとの配置関係)
図36は、図19に示す第3搬送ローラ対16と印字ヘッド5との配置関係を説明するための側面図である。図37は、図36のq−q方向から第3搬送ローラ対16と印字ヘッド5との配置関係を説明するための図である。
上述のように、第3搬送ローラ対16は、媒体搬送路11の下側に配置される駆動ローラ22と、媒体搬送路11の上側に配置される駆動ローラ23とを備えている。駆動ローラ22と駆動ローラ23とは、上下方向で対向するように配置されている。
駆動ローラ23は、図37に示すように、回転軸200に固定されている。回転軸200の右端側は、固定板201に回転可能に支持されている。固定板201は、側板36の右側面から右側に向かって突出するように側板36に固定される固定軸(図示省略)の右端に固定されており、側板36の右側に配置されている。回転軸200の左端側は、固定板202(図5参照)に回転可能に支持されている。固定板202は、側板36の左側面から左側に向かって突出するように側板36に固定される固定軸(図示省略)の左端に固定されており、側板36の左側に配置されている。このように、回転軸200は、固定板201、202に回転可能に支持されており、駆動ローラ23の回転中心は一定となっている。
駆動ローラ22は、図37に示すように、回転軸203に固定されている。回転軸203の両端側は、第4搬送ローラ対17の駆動ローラ24が固定される回転軸204(図1参照)に回動可能に支持される回動フレーム(図示省略)に回転可能に支持されている。この回動フレームは、図示を省略する付勢手段によって、回転軸204を中心に図1の反時計方向に付勢されている。すなわち、この回動フレームは、付勢手段によって、駆動ローラ22が駆動ローラ23に向かうように付勢されている。
このように、第3搬送ローラ対16では、媒体搬送路11の上側に配置される駆動ローラ23側が固定されている。一方、媒体搬送路11の下側に配置される駆動ローラ22は駆動ローラ23に向かって付勢されており、図36の実線および二点鎖線で示すように、駆動ローラ22は、駆動ローラ23に対して上下動可能となっている。
回転軸203には、図37に示すように、印字ヘッド5に下側から対向する対向ローラ205が固定されている。対向ローラ205は、駆動ローラ22の右側に固定されている。対向ローラ205の外径は、駆動ローラ22の外径と等しくなっている。また、本形態では、図36、図37に示すように、駆動ローラ23の下端は、印字ヘッド5の下端よりも距離Dだけ下側に配置されている。すなわち、上下方向において、駆動ローラ23の外周面は、印字ヘッド5の下端よりも駆動ローラ22側に突出している。そのため、駆動ローラ22、23の間に通行券2が挟まれているときには、通行券2の表面(上面)と印字ヘッド5の下端との間には、距離Dに相当する隙間が形成される。なお、本形態の駆動ローラ23は、上下方向において、印字ヘッド5側に配置される第1搬送ローラであり、駆動ローラ22は、第1搬送ローラである駆動ローラ23に対向する第2搬送ローラである。
[媒体処理装置の概略動作]
以上のように構成された媒体処理装置1の概略動作を以下に説明する。以下では、通行券2の情報更新処理、通行券2の新規発行処理および通行券2の回収処理の際の媒体処理装置1の概略動作を説明する。なお、以下の動作中に、通行券2が媒体搬送路11等で引っ掛かった場合等(ジャムした場合)には、回動フレーム84および/または回動フレーム134を回動させ、磁気情報処理部4および/または印字処理部6を開いて、引っ掛かった通行券2を取り除く。
(通行券の情報更新処理時の概略動作)
取込排出口7から取り込まれた通行券2の磁気情報の書き換えと通行券2への印字を行う通行券2の情報更新処理時には、媒体処理装置1は、以下のように動作する。
ユーザによって取込排出口7から挿入された通行券2の後端(X2方向端)をセンサ44、45が検出すると、ソレノイド65が起動し、シャッタ部材63が下降して取込排出路12を開放するとともに振分部材62が媒体搬送路11の下側まで下降する。その後、モータ33、34が起動して、通行券2の後端をセンサ43が検出するまで、搬送ローラ対14〜17および取込排出ローラ対27で通行券2を後ろ側へ搬送して、媒体処理装置1の中に取り込む。このときに、磁気ヘッド3は、通行券2に記録されている磁気情報を読み取る。なお、媒体処理装置1の中に通行券2を取り込むと、ソレノイド65が停止し、シャッタ部材63が上昇して取込排出路12を閉鎖するとともに振分部材62が媒体搬送路11の上側まで上昇する。
その後、搬送ローラ対14〜17で通行券2を前側へ搬送しながら、印字ヘッド5で通行券2へ印字を行う。このときには、通行券2の前端(X1方向端)をセンサ42が検出した時点を基準にして印字タイミングを計りながら、印字ヘッド5で通行券2の印字領域2cへ印字を行う。なお、印字ヘッド5で印字を行う前には、必要に応じて、ヘッド駆動機構147によって、印字ユニット167が右方向あるいは左方向へ移動する。
その後、通行券2の前端がセンサ42から外れる位置まで、搬送ローラ対14〜17で通行券2を後ろ側に搬送してから、再び、搬送ローラ対14〜17で通行券2を前側に搬送する。また、搬送ローラ対14〜17で通行券2を前側に搬送しながら、磁気ヘッド3で通行券2へ磁気情報を書き込む。このときには、通行券2の前端をセンサ41が検出した時点を基準にして磁気情報の記録タイミングを計りながら、磁気ヘッド3で通行券2の磁気ストライプ2aに磁気情報を記録する。
その後、再び、搬送ローラ対14〜17で通行券2を後ろ側に搬送しながら、磁気ヘッド3で通行券2に書き込まれた磁気情報を読み取り、この読み取られた磁気情報(すなわち、書き込まれた磁気情報)が正しい情報である場合には、搬送ローラ対14〜17および取込排出ローラ対27で通行券2を前側へ搬送して、取込排出口7から通行券2を排出する。このときには、通行券2の前端がセンサ39で検出されると、ソレノイド65が起動し、シャッタ部材63が下降して取込排出路12が開放されるとともに、振分部材62が媒体搬送路11の下側まで下降する。
(通行券の新規発行処理時の概略動作)
通行券2を新規で発行する通行券2の新規発行処理時には、媒体処理装置1は、以下のように動作する。
媒体処理装置1の後ろ側に配置される新規の通行券2の収納部(図示省略)から送り出された通行券2の前端をセンサ43が検出すると、モータ33、34が起動して、通行券2の後端がセンサ41から外れる位置まで、搬送ローラ対14〜17で通行券2を搬送する。その後、通行券2の後端をセンサ43が検出するまで、搬送ローラ対14〜17で通行券2を後ろ側へ搬送して、通行券2を停止させる。
その後は、通行券2の情報更新処理時と同様に、通行券2への印字と通行券2への磁気情報の記録を行って、取込排出口7から通行券2を排出する。
(通行券の回収処理時の概略動作)
通行券2の情報更新処理時と同様にして、取込排出口7から取り込まれた通行券2の磁気情報を磁気ヘッド3が読み取った結果、通行券2が回収されるべきものであると判断されると、通行券2の後端をセンサ43が検出するまで媒体処理装置1の中に取り込まれた通行券2を、搬送ローラ対14〜17で前側へ搬送する。上述のように、媒体処理装置1の中に通行券2が取り込まれると、振分部材62は媒体搬送路11の上側まで上昇しているため、前側へ搬送される通行券2は回収搬送路13へ搬入される。また、回収搬送路13へ搬入された通行券2を、センサ46から通行券2が外れるまで搬送ローラ対14および回収ローラ対30によって搬送する。
[本形態の主な効果]
以上説明したように、本形態では、印字ユニット167およびユニット保持部168を左右方向に案内する2本のガイド軸169、170が、前後方向で所定の間隔をあけた状態で側板135、136に固定されており、印字ユニット167およびユニット保持部168の前後両端側を支持している。そのため、左右方向へ印字ユニット167を安定した状態で移動させることが可能になる。
また、本形態では、回動フレーム134に対するガイド軸169の固定位置が一定で、かつ、回動フレーム134に対するガイド軸170の固定位置が調整可能となっている。そのため、2本のガイド軸169、170によって、印字ユニット167およびユニット保持部168が左右方向へ案内される場合であっても、ガイド軸170の回動フレーム134に対する固定位置を調整することで、ユニット保持部168によってガイド軸169、170がその軸方向に直交する方向へ押されるのを防止することが可能になる。したがって、印字ユニット167およびユニット保持部168を左右方向へ円滑に移動させることが可能になる。
特に本形態では、前後方向における印字ユニット167の重心がガイド軸169とガイド軸170との間にあるため、2本のガイド軸169、170によって、印字ユニット167の重量をバランス良く受けることが可能になる。したがって、本形態では、ガイド軸169、170に沿って、印字ユニット167およびユニット保持部168をより安定した状態でかつより円滑に移動させやすくなる。
本形態では、ガイド軸169に挿通される摺動軸受部181の長さは、ガイド軸170に挿通される摺動軸受部182の長さよりも長くなっており、摺動軸受部181の左右両端側に配置されるメタル軸受185の間隔は、摺動軸受部182の左右両端側に配置されるメタル軸受185の間隔よりも広くなっている。そのため、基準軸であるガイド軸169に沿って、ユニット保持部168を安定した状態で移動させることが可能になる。
また、本形態では、印字ユニット167およびユニット保持部168の、ガイド軸169が配置される後ろ側で、ヘッド駆動機構147がユニット保持部168に連結されている。そのため、ヘッド駆動機構147とユニット保持部168の連結部分と基準軸であるガイド軸169との距離を短くすることができる。したがって、ユニット保持部168を安定した状態で移動させるために、摺動軸受部181の長さが長くなっている場合であっても、ヘッド駆動機構147の動力がユニット保持部168に伝達される際に、摺動軸受部181とガイド軸169との間でこじれが生じにくくなる。その結果、本形態では、印字ユニット167およびユニット保持部168をより円滑に移動させやすくなる。
本形態では、圧縮コイルバネ184の左端は、側板135の右側面に当接し、圧縮コイルバネ184の右端は、摺動軸受部181の左端に当接しており、圧縮コイルバネ184は、印字ユニット167およびユニット保持部168を右側へ付勢している。そのため、通行券2に印字を行う際の印字ユニット167のガタツキを抑制して、精度良く印字を行うことが可能になる。また、本形態では、圧縮コイルバネ184が基準軸であるガイド軸169側に配置されているため、ヘッド駆動機構147とユニット保持部168の連結部分と圧縮コイルバネ184の付勢力の作用点との距離を短くすることができる。したがって、圧縮コイルバネ184の付勢力に抗して印字ユニット167およびユニット保持部168を移動させる場合であっても、小さな動力で円滑に印字ユニット167およびユニット保持部168を移動させることが可能になる。
本形態では、ヘッド駆動機構147を構成する歯車列188は、はす歯歯車190aおよび平歯車190bからなる中間歯車190と、ネジ歯車189と、平歯車191とによって構成されている。そのため、歯車列188での減速比を大きくすることが可能になる。したがって、印字ユニット167およびユニット保持部168をゆっくりと精度良く移動させることが可能になる。また、モータ187が比較的小さくても印字ユニット167およびユニット保持部168を適切に移動させることが可能になり、ヘッド駆動機構147を小型化することが可能になる。また、歯車列188でのバックラッシを小さくすることが可能になる。また、印字ユニット167およびユニット保持部168を移動させる際のヘッド駆動機構147の騒音を低減させることが可能になる。
本形態では、平歯車191の前端面に、係合ピン195が固定されている。そのため、保持板178の後側面部178cに形成される係合孔178dに係合ピン195を係合させるといった比較的簡易な構成で、ヘッド駆動機構147とユニット保持部168とを連結することが可能になる。
本形態では、ネジ歯車189の先端面には、マイナスドライバの先端部が係合可能な係合凹部189aが形成されている。したがって、歯車列188での減速比を大きくするために、ネジ歯車189が使用される場合であっても、非常時やメンテナンス時等にマイナスドライバを用いて、ネジ歯車189を回転させることが可能になる。
本形態では、回動フレーム134は、媒体搬送路11が開放されるように回動可能となっている。そのため、回動フレーム134を回動させることで、印字ヘッド5へのアクセス、および、媒体搬送路11へのアクセスが容易になる。したがって、直接、印字ヘッド5をクリーニングしたり、媒体搬送路11で通行券2が詰まった場合に、媒体搬送路11からこの通行券2を容易に除去することが可能になる。また、インクリボンカセット171の着脱を容易に行うことが可能になる。
本形態では、駆動ローラ23の下端は、印字ヘッド5の下端よりも距離Dだけ下側に配置されている。そのため、上述のように、駆動ローラ22、23の間に通行券2が挟まれているときには、ワイヤが配置される印字ヘッド5の下端と通行券2の表面との間に、距離Dに相当する隙間を確保することができる。すなわち、駆動ローラ22、23によって通行券2が搬送されているときの印字ヘッド5の下端と通行券2の表面との間の距離の変動を抑制することができる。したがって、本形態では、ドットインパクトプリンタである印字ユニット167による通行券2への印字品質を高めることが可能になる。
[他の実施の形態]
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
上述した形態では、2本のガイド軸169、170によって、印字ユニット167およびユニット保持部168が左右方向へ案内されている。この他にもたとえば、3本以上のガイド軸によって、印字ユニット167およびユニット保持部168が左右方向へ案内されても良い。この場合には、3本以上のガイド軸のうちの1本は、回動フレーム134に対する固定位置が一定である基準軸となり、この基準軸を除く他のガイド軸は、回動フレーム134に対する固定位置が調整可能な副軸となる。
上述した形態では、側板135の固定孔135cおよび側板136の固定孔136cは、前後方向に長い長孔状に形成されているが、固定孔135c、136cは、ガイド軸170の左端部分の外径や右端部分の外径よりも内径の大きな丸孔状に形成されても良い。すなわち、回動フレーム134に対するガイド軸170の固定位置が調整可能となるように、固定孔135c、136caが形成されていれば良い。
上述した形態では、印字ユニット167およびユニット保持部168の後ろ側にヘッド駆動機構147が配置され、印字ユニット167およびユニット保持部168の後ろ側で、ヘッド駆動機構147がユニット保持部168に連結されている。この他にもたとえば、印字ユニット167およびユニット保持部168の前側にヘッド駆動機構147が配置され、印字ユニット167およびユニット保持部168の前側で、ヘッド駆動機構147がユニット保持部168に連結されても良い。
上述した形態では、ガイド軸169側に圧縮コイルバネ184が配置されているが、ガイド軸170側に圧縮コイルバネ184が配置されても良い。また、上述した形態では、圧縮コイルバネ184によって、印字ユニット167およびユニット保持部168が右側へ付勢されているが、引張りコイルバネや板バネ等の他のバネ部材によって、印字ユニット167およびユニット保持部168が右側へ付勢されても良い。
上述した形態では、回動フレーム134は、側板36、37に回動可能に支持される回動支点軸137に固定されているが、回動フレーム134は、側板36、37に固定される回動支点軸に回動可能に支持されても良い。
上述した形態では、摺動軸受部181の長さは摺動軸受部182の長さよりも長くなっているが、摺動軸受部181の長さは摺動軸受部182の長さと同じでも良い。また、上述した形態では、摺動軸受部182の左右両端側の2箇所にメタル軸受185が取り付けられているが、左右方向における摺動軸受部182の中間位置の1箇所にメタル軸受185が取り付けられても良い。
上述した形態では、歯車列188は、ネジ歯車189とはす歯歯車190aとを備えているが、平歯車のみによって、歯車列188が構成されても良い。また、上述した形態では、歯車列188と係合ピン195とによって、モータ187の動力がユニット保持部168に伝達されているが、ラックおよびピニオンによって、モータ187の動力がユニット保持部168に伝達されても良いし、偏心カム等によって、モータ187の動力がユニット保持部168に伝達されても良い。また、上述した形態では、ヘッド駆動機構147は、駆動源としてモータ187を備えているが、ヘッド駆動機構147は、ソレノイド等の他の駆動源を備えていても良い。
上述した形態では、媒体処理装置1は、磁気情報処理部4、媒体取込排出部8および媒体回収部9を備えているが、媒体処理装置1は、印字処理部6のみによって構成されても良い。また、上述した形態では、印字処理部6の上側部分が回動して開くように構成されているが、印字処理部6の上側部分は固定されていても良い。
上述した形態では、媒体搬送路11の上側に配置される回動フレーム134にガイド軸169、170が固定され、印字ユニット167およびユニット保持部168は、媒体搬送路11の上側でガイド軸169、170に吊り下げられている。この他にもたとえば、媒体搬送路11の下側に配置される固定フレームにガイド軸169、170が固定され、印字ユニット167およびユニット保持部168がガイド軸169、170に載っていても良い。
上述した形態では、磁気情報処理部4と印字処理部6とが前後方向で隣接するように配置されている。この他にもたとえば、磁気情報処理部4と印字処理部6とが上下方向で重なるように配置されても良い。この場合には、たとえば、左右方向から見たときの形状が略U形状となる媒体搬送路によって、磁気情報処理部4内の媒体搬送路と印字処理部6内の媒体搬送路とが接続される。
また、上述した形態では、磁気情報処理部4での通行券2の搬送方向と印字処理部6での通行券2の搬送方向とが同じ方向であるが、磁気情報処理部4での通行券2の搬送方向と印字処理部6での通行券2の搬送方向とが異なるように、磁気情報処理部4および印字処理部6が配置されても良い。たとえば、磁気情報処理部4での通行券2の搬送方向が前後方向で、印字処理部6での通行券2の搬送方向が左右方向となるように、磁気情報処理部4および印字処理部6が配置されても良い。
上述した形態では、回動フレーム84に磁気ヘッド3が保持されているが、回動フレーム84にIC接点やスキャナ等が保持されても良い。また、上述した形態では、印字ユニット167は、ドットインパクトプリンタであるが、印字ユニット167は、インクジェット方式のプリンタであっても良いし、感熱方式のプリンタであっても良い。
上述した形態では、紙カードである通行券2が媒体処理装置1で処理されているが、媒体処理装置1で処理される情報記録媒体は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の塩化ビニール製のカードであっても良い。また、媒体処理装置1で処理される情報記録媒体は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードであっても良いし、通行券2以外の所定の厚さの紙カードであっても良い。
上述した形態では、媒体処理装置1は、高速道路等の有料道路の通行券2を処理するための装置である。この他にもたとえば、媒体処理装置1は、駐車場用あるいは駐輪場用の情報記録媒体を処理するための装置であっても良い。また、媒体処理装置1は、遊園地用や遊戯施設用の情報記録媒体を処理するための装置であっても良い。これらの場合には、駐車場、駐輪場、遊園地あるいは遊戯施設の入場ゲートや退場ゲートに媒体処理装置1が設置される。