JP5582547B2 - 毛髪変形剤 - Google Patents

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Description

本発明は、処理後の毛髪にやわらかさを付与し、毛先のまとまりを良好にできる毛髪変形剤に関するものである。
一般に、パーマネントウェーブ用剤や縮毛矯正用剤といった毛髪変形剤は、還元剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とで構成されている。
前記の毛髪変形剤を用いて毛髪を処理すると、まず、第1剤の還元剤により毛髪中のジスルフィド結合が切断され、続いて第2剤の酸化剤によって還元剤で切断されたジスルフィド結合が再生され、目的とする毛髪の形状が形成される。
しかし、前記のような機構によって毛髪の変形処理を行うと、ジスルフィド結合の切断を伴うことから、毛髪が損傷するため、処理後の毛髪ではかたい感触が増し、また、損傷が大きい毛先部分が広がって、まとまりが悪くなるといった欠点があった。
そこで、毛髪変形剤における前記のような欠点を解消するため、毛髪変形剤にたんぱく質加水分解物やカチオン性高分子などを配合して、処理した毛髪の損傷を抑える技術が提案されている(特許文献1〜2)。
特開2001−139439号公報 特開2003−113050号公報
ところで、近年では、ヘアカラーによる処理を毛髪に繰り返し施したり、ホットカーラーやヘア用アイロン、ドライヤーなどの熱を用いたスタイリング方法を利用することが多く、このような状況下では、毛髪の根元部分と毛先部分とのダメージ度合いが異なりやすい。
部分ごとにダメージ度合いが不均一になった毛髪に対して、前記のような毛髪変形剤を用いて変形処理を施すと、毛髪のやわらかさが損なわれたり、また、ダメージ度合いの大きな毛先部分では毛髪変形剤に対して過剰に反応しやすい状態になっているために、毛先がちりついたり広がったりしてしまう傾向にある。
特許文献1や特許文献2に開示の毛髪処理剤は、部分ごとにダメージ度合いが不均一な毛髪を処理した場合に、毛髪にやわらかさを付与したり、毛先のまとまりを良くする機能をある程度有している。しかし、毛髪における部分ごとのダメージ度合いの不均一さは、毛髪に対する各種処理技術の多様化に伴って年々より生じやすくなっており、かつ不均一さの程度も大きくなっている。よって、部分ごとのダメージ度合いの不均一さが非常に大きく、変形処理後のやわらかさが大きく損なわれやすかったり、毛先のまとまりが非常に悪くなる虞のある毛髪に対しても、十分にやわらかさを付与したり、毛先のまとまりを良好にできるように、より高機能の毛髪処理剤の開発が求められる。
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、部分ごとにダメージ度合いが異なり、不均一になった毛髪を処理した場合であっても、毛髪にやわらかさを付与でき、かつ毛先のまとまりを良好にできる毛髪変形剤を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有する酸化エチレンと酸化プロピレンとの重合体を配合した毛髪変形剤を用いてパーマネントウェーブ処理や縮毛矯正処理といった毛髪変形処理を行った場合には、喩え部分ごとにダメージ度合いが不均一な毛髪であっても、やわらかな感触を付与し、かつ毛先のまとまりを良好にできることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の毛髪変形剤は、還元剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とから構成される毛髪変形剤であって、前記第1剤および前記第2剤の少なくとも一方に、下記一般式(1)〜(3)で示される重合体の少なくとも1種を含有することを特徴とするものである[以下、下記一般式(1)〜(3)で示される重合体を纏めて「ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体」という場合がある。]。
[前記一般式(1)中、a、bおよびcは同一でも異なっていてもよく、10≦a+b+c≦500であり、u、vおよびwは同一でも異なっていてもよく、12≦u+v+w≦100である。]
[前記一般式(2)中、dおよびeは同一でも異なっていてもよく、10≦d+e≦500であり、xおよびyは同一でも異なっていてもよく、12≦x+y≦100である。]
[前記一般式(3)中、Rは炭素数2〜6のアルキル基であり、2≦f≦500、2≦z≦100である。]
本発明によれば、部分ごとにダメージ度合いが異なり、不均一になった毛髪を処理した場合でも、やわらかな感触を付与し、かつ毛先のまとまりを良好にできる毛髪変形剤を提供することができる。
本発明の毛髪変形剤は、還元剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とから構成されるものであり、具体的には、パーマネントウェーブ用剤と縮毛矯正用剤とが含まれる。
そして、本発明の毛髪変形剤は、前記のような第1剤および第2剤の少なくとも一方に、前記一般式(1)〜(3)で示されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体の少なくとも1種を含有していることを、最大の特徴としている。前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体によって、喩え部分ごとにダメージ度合いが不均一な毛髪であっても、変形処理を施した後の毛髪にやわらかな感触を付与し、また、毛先のまとまりを良好にすることができる。なお、前記一般式(1)〜(3)で示される重合体を本明細書では便宜上「ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体」と称しているが、これら重合体は前記一般式(1)〜(3)で示される構造を有していればよく、その合成方法については特に制限されない。
前記一般式(1)で示されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体は、ポリオキシエチレンポリオキシエチレングリセリルエーテルである。また、前記一般式(2)で示されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンへキシレングリコールエーテルである。
そして、前記一般式(3)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルである。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルのアルキル基[前記一般式(3)に係るR]の炭素数は2〜6であり、中でもブチル基が好ましい(すなわち、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテルが好ましい)。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体のうち、前記一般式(1)で示されるもの、および前記一般式(2)で示されるものについては、その酸化エチレンの付加モル数[前記一般式(1)における「a+b+c」、前記一般式(2)における「d+e」]は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体の使用による上記の作用をより有効に発揮させる観点から、10以上、好ましくは20以上であって、500以下、好ましくは300以下である。
また、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体のうち、前記一般式(3)で示されるものについては、その酸化エチレンの付加モル数、すなわち、前記一般式(3)における「f」は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体の使用による上記の作用をより有効に発揮させる観点から、2以上、好ましくは10以上、より好ましくは20以上であって、500以下、好ましくは300以下である。
更に、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体のうち、前記一般式(1)で示されるもの、および前記一般式(2)で示されるものについては、その酸化プロピレンの付加モル数[前記一般式(1)における「u+v+w」、前記一般式(2)における「x+y」]は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体の使用による上記の作用をより有効に発揮させる観点から、12以上、好ましくは15以上であって、100以下、好ましくは80以下である。
そして、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体のうち、前記一般式(3)で示されるものについては、その酸化プロピレンの付加モル数、すなわち、前記一般式(3)における「f」は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体の使用による上記の作用をより有効に発揮させる観点から、2以上、好ましくは12以上、より好ましくは15以上であって、100以下、好ましくは80以下である。
なお、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体におけるオキシエチレンユニットおよびオキシプロピレンユニットの結合様式には特に制限はなく、互いがランダムに結合していてもよく、それぞれのユニットが連続して結合してブロックを形成していてもよい。
前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体は、毛髪変形剤の第1剤、第2剤のいずれに配合してもよいが、より効果的にポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体が作用することから、第1剤および第2剤の両者に配合することが好ましい。なお、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体として、前記一般式(2)で示される構造のもの、すなわち、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンへキシレングリコールエーテルを用いる場合には、第1剤に配合するよりも第2剤に配合する方が、剤の安定性が良好であり、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンへキシレングリコールが他の成分や溶剤から、より分離し難いことから、第2剤に配合することがより好ましい。他方、前記一般式(1)で示されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルおよび前記一般式(3)で示されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを使用する場合には、第1剤に配合しても第2剤に配合しても、それらの安定性に大きな違いは無いため、第1剤、第2剤のいずれに配合してもよい。
本発明の毛髪変形剤に係る第1剤は、還元剤を含有するものである。第1剤に使用可能な還元剤としては、例えば、チオグリコール酸、チオグリコール酸アンモニウム、L−システイン、アセチルシステイン、システアミン、チオグリセリン、モノチオグリコール酸グリセリンなどのメルカプト基を含有する化合物;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどの無機還元性硫黄化合物;などが挙げられる。第1剤中の還元剤の配合量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であって、好ましくは20質量%以下、より好ましくは11質量%以下である。
また、第1剤には、通常、アルカリ剤、キレート剤、抗炎症剤、反応調整剤などが配合される。
アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、モノエタノールアミンなどのアミノアルコール類;炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素アンモニウムなどの中性塩;アルギニン、リジンなどの塩基性アミノ酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機アルカリ;などが挙げられる。キレート剤としては、例えば、ジエチレントリアミン五酢酸およびその塩、エデト酸およびその塩、ポリリン酸ナトリウム、グルコン酸、ポリリン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸、酒石酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸およびその塩などが挙げられる。抗炎症剤としては、例えば、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、カルベノキソロンおよびそれらの誘導体、アラントイン、グアイアズレン、各種抗炎症作用を有する植物抽出物(カミツレエキス、ゲンチアナエキス、オウゴンエキス、シソエキス、マロニエエキスなど)などが挙げられる。反応調整剤としては、ジチオジグリコール酸およびそのアンモニウム塩、シスチンなどが挙げられる。
第1剤に係る前記の還元剤や、その他の通常配合される成分は、例示の各種化合物などを複数組み合わせて配合することもできる。特にアルカリ剤については、第1剤のpHや反応時間(軟化時間や第1剤放置時間ともいわれている)を調整する点から、炭酸水素アンモニウムおよび/またはアルギニンと、アンモニアと、モノエタノールアミンとの組み合わせが好ましい。
本発明の毛髪変形剤に係る第2剤は、酸化剤を含有するものである。酸化剤としては、例えば、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、過ホウ素酸ナトリウム、過酸化水素などが挙げられる。第2剤中の酸化剤の配合量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であって、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
また、第2剤には、通常、キレート剤、pH調整剤などが配合される。キレート剤としては、第1剤に使用可能なものとして例示した各種のキレート剤が挙げられる。特に酸化剤として過酸化水素を使用する場合には、その安定性を高め得る点で、ヒドロキシエタンジホスホン酸やその塩を、キレート剤として使用することが好ましい。pH調整剤については特に制限は無く、例えば、化粧料のpH調整剤として一般的な、有機酸または無機酸と、それらの塩との組み合わせが挙げられる。
第1剤および第2剤中のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体の含有量(配合量)は、第1剤に配合する場合には第1剤の全量中、また第2剤に配合する場合には第2剤の全量中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体の量を上記のようにすることで、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体による前記の作用をより有効に発揮させることができる。なお、第1剤および第2剤中のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体量が多すぎると、第1剤や第2剤の安定性(特に高温下での安定性)が低下して、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体が他の成分や溶剤から分離するなど、第1剤や第2剤の均一性が損なわれやすくなる虞がある。よって、第1剤および第2剤中のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体の含有量(配合量)は、第1剤に配合する場合には第1剤の全量中、また第2剤に配合する場合には第2剤の全量中、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
本発明の毛髪変形剤の第1剤および第2剤の剤型については特に制限は無いが、ローション、ゲル、クリームなどの剤型が一般的である。具体的には、第1剤、第2剤とも、水または水を主剤とする溶剤(例えば、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類などの水溶性有機溶媒と水との混合溶剤など)に、第1剤または第2剤を構成するための各種成分を溶解または分散させたり、水相と油相とを乳化するなどの、従来公知の手法によって調製して形成される剤型とすることができる。
第1剤、第2剤のいずれにおいても、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体を配合する場合には、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値が17以上のノニオン性界面活性剤を共に含有させることが好ましい。
第1剤、第2剤のいずれにおいても、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体を含有させた場合には、例えば40℃以上の高温下で保管すると、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体が溶剤や他の成分から分離して、剤の組成が不均一となり、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体による作用に斑が生じることがある。しかし、HLB値が17以上(より好ましくは18以上で、20以下)のノニオン性界面活性剤をポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体と併用することで、第1剤や第2剤の高温安定性を高めることが可能であり、例えば40℃以上の高温下に保管した場合においても、剤の均一性を維持することができる。また、HLB値が17以上のノニオン性界面活性剤であれば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体による作用を損なわないばかりか、却って、その作用を高めることもできる。
HLB値が17以上のノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンセチルエーテル[ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(HLB=17.0)、ポリオキシエチレン(30)セチルエーテル(HLB=19.5)、ポリオキシエチレン(40)セチルエーテル(HLB=20.0)など]、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル[ポリオキシエチレン(30)ベヘニルエーテル(HLB=18.0)など]、ポリオキシエチレンオレイルエーテル[ポリオキシエチレン(50)オレイルエーテル(HLB=18.0)など]、ポリオキシエチレンステアリルエーテル[ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル(HLB=18.0)など]、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[ポリオキシエチレン(21)ラウリルエーテル(HLB=19.0)、ポリオキシエチレン(25)ラウリルエーテル(HLB=19.5)など]などのポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンフィトステロール[ポリオキシエチレン(30)フィトステロール(HLB=18.0)など]などのポリオキシエチレンステロール;などが挙げられる。なお、上記の各種ノニオン性界面活性剤における「オキシエチレン」の後の括弧内の数値は、酸化エチレン(オキシエチレンユニット)の付加モル数を意味している。これらの中でも、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体による作用をより高め得る点で、ポリオキシエチレンフィトステロールが特に好ましい。
HLBが17以上のノニオン性界面活性剤をポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体と併用する場合、前記ノニオン性界面活性剤の使用による作用をより有効に発揮させるためには、前記ノニオン性界面活性剤の含有量(配合量)は、第1剤に配合する場合には第1剤の全量中、また第2剤に配合する場合には第2剤の全量中、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であって、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。
本発明の毛髪変形剤の第1剤および第2剤には、前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体や、その他前述した各種成分以外にも、化粧品に通常配合することができる成分を必要に応じて適宜配合することができる。そのような成分としては、例えば、各種界面活性剤、多価アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、エステル、油脂類(動植物油など)、ロウ類、エーテル(前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体に該当するもの以外のエーテル)、高級アルコール、動植物由来の蛋白質の加水分解物やその誘導体、アミノ酸、ビタミン、シリコーンおよびその誘導体、浸透剤、高分子化合物、防腐剤、安定剤、着色剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、植物・海藻抽出エキス、香料などが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、公知のアニオン性界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤(先に例示したもの以外)などが挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、糖類などが挙げられる。高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノールなどが挙げられる。シリコーンおよびその誘導体としては、例えば、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ジメチルポリシロキサン、環状シリコーンなどが挙げられる。
浸透剤としては、ベンジルアルコール、尿素などが挙げられる他、水と併用し得る溶剤として例示したエタノールやイソプロピルアルコールなどの低級アルコールも、浸透剤として機能し得る。高分子化合物としては、例えば、セルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロースなど)、グアーガム誘導体などの天然高分子誘導体;カルボキシビニルポリマー、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含有する高分子(塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体など)、アクリル酸・アクリルアミド・メタクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドなどの合成高分子;などが挙げられる。
前述の通り、本発明の毛髪変形剤には、パーマネントウェーブ用剤と縮毛矯正用剤とが含まれるが、より具体的には、例えば、パーマネントウェーブ用剤としては、常温で毛髪にウェーブを付与するための、いわゆるコールド式パーマネントウェーブ用剤、加温下で毛髪にウェーブを付与するための、いわゆる加温式パーマネントウェーブ用剤とすることができ、また、縮毛矯正用剤としては、常温で縮毛をストレートに伸ばして矯正するための、いわゆるコールド式縮毛矯正用剤、加温下で縮毛をストレートに伸ばして矯正するための、いわゆる加温式縮毛矯正用剤とすることができ、更に高温整髪用アイロンを使用する加温式縮毛矯正用剤とすることもできる。そして、このような用途に応じて先に示した各種配合成分から適当なものを選択し、公知のパーマネントウェーブ用剤や縮毛矯正用剤の調製方法と同様の方法で第1剤および第2剤を調製して、本発明の毛髪変形剤を得ることができる。
本発明の毛髪変形剤を、従来公知のパーマネントウェーブ用剤や縮毛矯正用剤と同様の方法によって毛髪に適用することで、毛髪にウェーブをかけたり、毛髪を真っ直ぐに矯正するなど、毛髪の変形処理を行うことができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下の表1ではパーマネントウェーブ用剤第1剤全体で、表2ではパーマネントウェーブ用剤第2剤全体で、表4では縮毛矯正用剤第1剤全体で、表5では縮毛矯正用剤第2剤全体で、それぞれ100%となるように、各成分の配合量を%で示すが、その%はいずれも質量%であり、また、これらの表中ではその%の表示を省略し、配合量を表す数値のみで表示する。
<実験1 パーマネントウェーブ用剤の調製と評価>
実施例1〜8および比較例1〜2
表1に示す組成で調製したパーマネントウェーブ用剤第1剤と、表2に示す組成で調製したパーマネントウェーブ用剤第2剤とを組み合わせて、実施例1〜8および比較例1〜2のパーマネントウェーブ用剤を得た。
表1において、精製水の欄の「計100とする」とは、パーマネントウェーブ用剤第1剤を構成する精製水以外の各成分の合計量に、精製水の量を加えて100%となるようにしたことを意味している。また、表2において、精製水の欄の「計100とする」とは、パーマネントウェーブ用剤第2剤を構成する精製水以外の各成分の合計量に、精製水の量を加えて100%となるようにしたことを意味している。
更に、表1および表2において「POE」は「ポリオキシエチレン」の略で、「POE」の後の括弧内の数値は、酸化エチレンの付加モル数(オキシエチレンユニットの付加モル数)を意味しており、「POP」は「ポリオキシプロピレン」の略で、「POP」の後の括弧内の数値は、酸化プロピレンの付加モル数(オキシプロピレンユニットの付加モル数)を意味している(後記の表4および表5においても、同じ)。
また、表1におけるアンモニア水の「適量」とは、各パーマネントウェーブ用剤第1剤のpHを表1に示す値とするようにアンモニア水を用いたことを意味しており、表2におけるリン酸およびリン酸水素ナトリウムの「適量」とは、各パーマネントウェーブ用剤第2剤のpHを表2に示す値とするようにリン酸およびリン酸水素ナトリウムを用いたことを意味している(後記の表4および表5においても、同じ)。
更に、表1におけるチオグリコール酸アンモニウムは水溶液であり、「(50%)」とは、チオグリコール酸アンモニウム水溶液中のチオグリコール酸の濃度(50質量%)である(後記の表4においても、同じ)。また、表1におけるモノエタノールアミン液の「(80%)」とは、モノエタノールアミン液中のモノエタノールアミンの濃度(80質量%)である(後記の表4においても、同じ)。
また、表1および表2に示すパーマネントウェーブ用剤の原料は、以下の通りである(後記の表4および表5に示す縮毛矯正用剤の原料も同じである)。
(1)POE(24)POP(24)グリセリルエーテル:日本油脂社製「ユニルーブ 50TG−32(商品名)」
(2)POE(45)POP(33)ブチルエーテル:三洋化成工業社製「ニューポール 50HB−5100(商品名)」
(3)POE(5)POP(5)ブチルエーテル:三洋化成工業社製「ニューポール 50HB−100(商品名)」
(4)POE(300)POP(75)ヘキシレングリコールエーテル:三洋化成工業社製「ニューポール 75H−90000(商品名)」
(5)POE(30)フィトステロール:日光ケミカルズ社製「NIKKOL BPS−30(商品名)」
実施例1〜8および比較例1〜2のパーマネントウェーブ用剤を用いて、ウェーブ処理を行った。ウェーブ処理を施すための毛髪としては、同一人物の健康毛から採取した毛髪を、長さ24.0cm、重さ0.5gの毛束にし、その毛束に対して、市販の酸化染毛剤第1剤〔ミルボン社製「プロマティス フレーブ 9−35(商品名)」〕と酸化染毛剤第2剤〔ミルボン社製「プロマティス フレーブ オキシダン6%(商品名)」〕とを質量比で1:1に混合したものを用いて、室温(25℃)にて30分間放置する染毛処理を3度繰り返したものを、各実施例・比較例の数だけ用意して用いた。
前記の染毛処理後の毛束のそれぞれを、直径15mmのロッドに約5回巻き付け、パーマネントウェーブ用剤第1剤をそれぞれ3mLずつ塗布して35℃で15分放置し、水洗した後、パーマネントウェーブ用剤第2剤をそれぞれ3mLずつ塗布し、室温で10分放置してパーマネントウェーブ処理を終了した。
その後、パーマネントウェーブ処理後の毛髪のやわらかさと毛先のまとまり性について、専門のパネラー20名による官能評価を、下記の基準に従って実施した。◎および○の評価のものが合格である。結果を表3に示す。
[毛髪のやわらかさ]
◎:20名のパネラーのうち16名以上が、優れていると評価。
○:20名のパネラーのうち12名以上15名以下が、優れていると評価。
△:20名のパネラーのうち8名以上11名以下が、優れていると評価。
×:20名のパネラーのうち7名以下が、優れていると評価。
[毛先のまとまり性]
◎:20名のパネラーのうち16名以上が、まとまり性があると評価。
○:20名のパネラーのうち12名以上15名以下が、まとまり性があると評価。
△:20名のパネラーのうち8名以上11名以下が、まとまり性があると評価。
×:20名のパネラーのうち7名以下が、まとまり性があると評価。
表3から明らかなように、第1剤および/または第2剤にポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体を配合した実施例1〜8のパーマネントウェーブ用剤(毛髪変形剤)で処理した毛髪は、やわらかさ、および毛先のまとまりが良好である。これに対し、第1剤、第2剤のいずれにもポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体を配合していない比較例1〜2のパーマネントウェーブ用剤で処理した毛髪は、やわらかさ、および毛先のまとまりが劣っている。
<実験2 縮毛矯正用剤の調製と評価>
実施例9〜15および比較例3〜4
表4に示す組成で調製した縮毛矯正用剤第1剤と、表5に示す組成で調製した縮毛矯正用剤第2剤とを組み合わせて、実施例9〜15および比較例3〜4の縮毛矯正用剤を得た。
表4において、精製水の欄の「計100とする」とは、縮毛矯正用剤第1剤を構成する精製水以外の各成分の合計量に、精製水の量を加えて100%となるようにしたことを意味している。また、表5において、精製水の欄の「計100とする」とは、縮毛矯正用剤第2剤を構成する精製水以外の各成分の合計量に、精製水の量を加えて100%となるようにしたことを意味している。
実施例9〜15および比較例3〜4の縮毛矯正用剤を用いて、縮毛矯正処理を行った。縮毛矯正処理を施すための毛髪としては、同一人物の健康毛から採取した毛髪(縮毛)を長さ24.0cm、重さ0.5gの毛束にし、この毛束に前記のパーマネントウェーブ処理用の毛束に予め施したのと同じ染毛処理を施したものを、各実施例・比較例の数だけ用意して用いた。
前記の染毛処理後の毛束のそれぞれに、縮毛矯正用剤第1剤をそれぞれ3gずつ塗布し、縮毛を真っ直ぐに伸ばした状態で、室温で20分放置し、その後水洗しドライヤーで乾燥させた。乾燥後の毛束に、縮毛矯正用剤第2剤を3g塗布し、室温で10分放置した後水洗し、24時間自然乾燥して縮毛矯正処理を終了した。
その後、縮毛矯正処理後の毛髪のやわらかさと毛先のまとまり性について、専門のパネラー20名による官能評価を、前記のパーマネントウェーブ処理後の毛髪の評価基準と同じ基準に従って実施した。◎および○の評価のものが合格である。結果を表6に示す。
表6から明らかなように、第1剤および/または第2剤にポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体を配合した実施例9〜15の縮毛矯正用剤(毛髪変形剤)で処理した毛髪は、やわらかさ、および毛先のまとまりが良好である。これに対し、第1剤、第2剤のいずれにもポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体を配合していない比較例3〜4の縮毛矯正用剤で処理した毛髪は、やわらかさ、および毛先のまとまりが劣っている。
<実験3 安定性評価>
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体[POE(45)POP(33)ブチルエーテル]を配合し、HLBが17以上のノニオン性界面活性剤を配合しなかった実施例3のパーマネントウェーブ用剤の第1剤と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体[POE(45)POP(33)ブチルエーテル]と、HLBが17以上のノニオン性界面活性剤[POE(30)フィトステロール]とを配合した実施例8のパーマネントウェーブ用剤の第1剤について、安定性を評価するために、50℃の恒温機内に1か月間放置し、その後常温に戻して、第1剤中に析出が生じているか否かを目視で確認した。
その結果、実施例3のパーマネントウェーブ用剤の第1剤では析出が認められたが、実施例8のパーマネントウェーブ用剤の第1剤では析出は確認されなかった。実施例3の第1剤では、POE(45)POP(33)ブチルエーテルが析出したものと考えられ、実施例8の第1剤では、POE(30)フィトステロールの併用によって、POE(45)POP(33)ブチルエーテルの析出が抑えられて、第1剤の安定性が向上したものと考えられる。
なお、実施例3のパーマネントウェーブ用剤と、実施例8のパーマネントウェーブ用剤とは、実施例8の第1剤においてPOE(30)フィトステロールを配合した以外は、同じ組成を有しているが、処理後の毛髪の状態評価では、実施例3が、毛髪のやわらかさ:◎、毛先のまとまり性:○であるのに対して、実施例8では、毛髪のやわらかさ、毛先のまとまり性のいずれもが◎である(表3)。よって、HLBが17以上のノニオン性界面活性剤[POE(30)フィトステロール]をポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体と併用することで、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体の毛髪への作用が更に向上していることも分かる。

Claims (4)

  1. 還元剤および水を含有する第1剤と酸化剤および水を含有する第2剤とから構成される毛髪変形剤であって、
    前記第1剤および前記第2剤の少なくとも一方に、下記一般式(3)で示される重合体の少なくとも1種を含有することを特徴とする毛髪変形剤。
    [前記一般式(3)中、Rは炭素数2〜6のアルキル基であり、2≦f≦500、2≦z≦100である。]
  2. 第1剤および第2剤の少なくとも一方に、前記一般式(3)で示され、かつRがブチル基である重合体を含有している請求項1に記載の毛髪変形剤。
  3. 第1剤および第2剤の少なくとも一方が、前記一般式(3)で表される重合体の少なくとも1種と共に、HLB値が17以上のノニオン性界面活性剤を含有している請求項1または2に記載の毛髪変形剤。
  4. 第2剤が、下記一般式(2)で示される重合体を含有している請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪変形剤。
    [前記一般式(2)中、dおよびeは同一でも異なっていてもよく、10≦d+e≦500であり、xおよびyは同一でも異なっていてもよく、12≦x+y≦100である。]
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