JP7277913B2 - 毛髪変形剤第1剤、および毛髪変形方法 - Google Patents
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毛髪を高温で熱処理する毛髪変形処理として、具体的には、ホット系パーマや、ヘアアイロンを用いた縮毛矯正が知られている。これらの毛髪変形処理では、毛髪を高温にするため、毛髪が大きなダメージを受ける。ダメージを受けた毛髪は、毛髪の水分が過剰に揮散することなどによって、パサつきや硬さが生じ、感触が悪くなるという問題があった。
[1]油剤(A)を0.1~10質量%と、ケラチン繊維還元性物質とを含み、
油剤(A)がアジピン酸ジイソプロピル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、イソステアリン酸から選択される少なくとも1種である、毛髪変形剤第1剤。
[4]熱処理によるウェーブ形状を付与するためのパーマに用いる、[1]または[2]に記載の毛髪変形剤第1剤。
[6][1]~[5]のいずれかに記載の毛髪変形剤第1剤と、酸化剤を含む毛髪変形剤第2剤とを組み合わせて使用する、毛髪変形方法。
<毛髪変形剤第1剤>
本発明の毛髪変形剤第1剤は、毛髪のカール、ウェーブ、ストレートのデザイン形成、および縮毛をストレートの状態にする縮毛矯正などの毛髪変形処理に用いることができる。
本発明の毛髪変形剤第1剤を用いると、毛髪形状の変形効果が良好であり、仕上がりの毛髪の質感が柔らかく、指通りに優れる。なお、本発明において、毛髪形状の変形効果とは、縮毛矯正においては、縮毛をストレートの状態にすることをいい、パーマネントウェーブ処理においては、毛髪にカール、ウェーブ、ストレートの形状を付与することをいう。
本発明の毛髪変形剤第1剤は、油剤(A)を0.1~10質量%と、ケラチン繊維還元性物質とを含み、油剤(A)がアジピン酸ジイソプロピル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、イソステアリン酸から選択される少なくとも1種である。
本発明の毛髪変形剤第1剤は、油剤(A)が、例えば、アジピン酸ジイソプロピルおよびコハク酸ジ2-エチルヘキシルである場合、好ましくはアジピン酸ジイソプロピルが0.2~0.8質量%、およびコハク酸ジ2-エチルヘキシルが0.2~0.8質量%である。
油剤(A)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の毛髪変形剤第1剤は、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソプロピルから選択される少なくとも1種の油剤(B)を、任意で含むことが好ましい。
油剤(B)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の毛髪変形剤第1剤は、ケラチン繊維還元性物質を含む。
ケラチン繊維還元性物質とは、毛髪の構造タンパク質であるケラチンに対し、還元作用を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、チオグリコール酸およびその塩類;チオグリセリンおよびその塩類;システアミンおよびその塩類;システインおよびその塩類;チオ乳酸およびその塩類;亜硫酸およびその塩類;ブチロラクトンチオールが挙げられる。
本発明の毛髪変形剤第1剤は、上述の成分の他に、通常のパーマ、縮毛矯正等の毛髪変形処理に用いられている第1剤の成分を任意で加えることができる。任意成分としては、例えば、ジチオジグリコール酸ジアンモニウムなどのジチオジグリコール酸およびその塩類;コラーゲンやケラチンなどの加水分解物およびその誘導体、アミノ酸、ピロリドンカルボン酸誘導体、セラミドおよびその類似物質、植物抽出液などの毛髪保護剤;カチオン化セルロース、カチオン化グァガム、カチオン化ポリマー、カチオン化樹脂、天然水溶性高分子類などのコンディショニング剤;炭酸アルキレン、パラフィン、流動パラフィン、ミツロウ、スクワラン、ホホバ油、オリーブ油、エステル油、トリグリセリド、ワセリン、ラノリンなどの油剤(ただし、油剤(A)成分および油剤(B)成分は除く);グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ソルビトールなどの保湿剤;カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤および非イオン性界面活性剤などの界面活性剤;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコンオイルなどのシリコン誘導体;エデト酸四ナトリウム四水塩、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウムなどの金属封鎖剤;カルボキシエチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、エチレン/アクリル酸共重合体などの増粘剤、オイルゲル化剤あるいはオイル増粘剤などの増粘剤;アスコルビン酸、エリソルビン酸、エデト酸塩、エチドロン酸塩、フェナセチン、サリチル酸などの安定化剤;パラベン、安息香酸ナトリウムなどの防腐剤;サトウキビエキス、チャエキス等植物抽出液、カテキン、タンニン、シクロデキストリン、酵素などの消臭剤;養毛剤、紫外線吸収剤、色素、パール剤、香料、溶剤などが挙げられる。
本発明の毛髪変形剤第1剤における任意成分として、具体例としては、セタノール、流動パラフィン、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム、モノエタノールアミン、ジチオグリコール酸アンモニウム、香料、水を用いることができる。
本発明の毛髪変形剤第1剤は、ヘアアイロンの熱処理による縮毛矯正に用いることが好ましい。
縮毛矯正におけるヘアアイロンの熱処理方法としては、毛髪の損傷を抑えつつ毛髪形状の変形効果に優れることから、毛髪にヘアアイロンを好ましくは2~4秒接触させる。また、毛髪にヘアアイロンを接触させる回数は、好ましくは1~10回、より好ましくは2~4回である。
ストレートアイロンとしては、例えば、ADST Premium DS2(株式会社ハッコー)を用いることができる。
本発明の毛髪変形剤第1剤は、熱処理によるウェーブ形状を付与するためのパーマに用いることが好ましい。また、前記パーマがホット系パーマであることが好ましい。
ホット系パーマにおける熱処理方法としては、ホット系パーマに用いることができる機械のロッドに毛髪を巻き、好ましくは5~20分、より好ましくは8~12分接触させる。
本発明の毛髪変形方法は、上述した毛髪変形剤第1剤と、酸化剤を含む毛髪変形剤第2剤とを組み合わせて使用することが好ましい。
本発明の毛髪変形方法は、毛髪変形剤第1剤および毛髪変形剤第2剤を塗布する回数、塗布後の放置時間、および毛髪の状態は特に制限されない。
本発明で用いる毛髪変形剤第2剤は、酸化剤を含むものであれば特に制限はなく、従来公知のものを始め、縮毛矯正、パーマ等の毛髪変形処理に用いられる剤をそのまま適用することができる。
本発明の毛髪変形剤第1剤の剤型は、例えば、乳化状、クリーム状が挙げられる。本発明の毛髪変形剤第1剤は、油性成分と水性成分が分離していないことが好ましく、均一なクリーム状であることが好ましい。
本発明の毛髪変形剤第1剤は、毛髪を熱処理する毛髪変形処理に用いることが好ましい。毛髪を熱処理する毛髪変形処理としては、縮毛矯正、ホット系パーマ等が挙げられる。
本発明の毛髪変形剤第1剤を、縮毛矯正に用いた実施例および比較例について、実施例1~85、および比較例1~7に示す。また、パーマに用いた実施例および比較例について、実施例86~143、および比較例8~13に示す。
表1に、実施例1~85、および比較例1~7で用いた毛髪変形剤第1剤の成分、および配合割合を示す。表1の処方において、油剤については、各実施例および比較例ごとに、成分および配合割合を変更して調製した。表4~表15に、各実施例および比較例の油剤の成分および配合割合を示す。
専門パネラー(美容師)10名が1人ずつ、以下(1)~(6)の各項目に記載した評価基準に従って官能評価を行った。(1)および(2)は必須の評価基準とし、(3)~(6)は任意の評価基準とした。
◎:10名の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が3.5点以上である。
〇:10名の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が2.5点以上3.5点未満である。
△:10名の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が1.5点以上2.5点未満である。
×:10名の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が1.5点未満である。
化学処理のない波状のくせ毛を、くせを伸ばさず自然な状態で20センチにそろえ、2gになるよう毛束を作成した。その毛束に対して、表1に記載の毛髪変形剤第1剤を2g塗布し、25℃で15分放置した後、毛束を十分に水洗しドライヤーで乾かした。
その後、表2に記載の毛髪変形剤第2剤を2g塗布し、25℃で15分放置した後、十分に水洗し、ドライヤーで十分乾燥させた。この毛束を、縮毛矯正施術後の試料とした。
(1)くせの伸び
試料の毛束のくせの伸びについて、目視で評価した。
3点;くせが伸びている
2点;くせがあまり伸びていない
1点;くせが伸びていない
試料の毛束を、シャンプー1g(シェルパデザインサプリシャンプーD-1:株式会社アリミノ)で洗浄後、水洗した。このシャンプーで洗浄後、水洗する施術を30回繰り返した後、風乾し、得られた毛束のくせの伸びについて、施術後一度も洗浄していない毛束のくせの伸びと比較した。
4点;くせの戻りがなく、非常にくせが伸びている
3点;くせの戻りがほとんどなく、くせが伸びている
2点;くせの戻りがややあり、くせがあまり伸びていない
1点;くせの戻りがあり、くせが伸びていない
(3)毛髪変形剤第1剤すすぎ時の指通りの良さ
縮毛をストレートの状態にする毛髪変形施術において、毛髪変形剤第1剤を水洗する際の、すすぎ時の指通りを触感で評価した。
4点;すすぎ時の指通りが非常によい
3点;すすぎ時の指通りがよい
2点;すすぎ時の指通りがやや悪い
1点;すすぎ時の指通りが悪い
縮毛をストレートの状態にする毛髪変形施術において、毛髪変形剤第2剤を水洗し、ドライヤーで十分乾燥させた後の、仕上がりの指通りの良さを触感で評価した。
4点;仕上がりの指通りが非常によい
3点;仕上がりの指通りがよい
2点;仕上がりの指通りがやや悪い
1点;仕上がりの指通りが悪い
縮毛をストレートの状態にする毛髪変形施術において、毛髪変形剤第2剤を水洗し、ドライヤーで十分乾燥させた後の、仕上がりの柔らかさを触感で評価した。
4点;非常に柔らかく感じる
3点;柔らかく感じる
2点;やや硬く感じる
1点;非常に硬く感じる
縮毛をストレートの状態にする毛髪変形施術において、毛髪変形剤第1剤を塗布する際のにおいを評価した。
4点:毛髪変形剤第1剤塗布中のにおいがほとんどない
3点;毛髪変形剤第1剤塗布中のにおいが少ない
2点;毛髪変形剤第1剤塗布中のにおいがややある
1点;毛髪変形剤第1剤塗布中のにおいがかなりある
比較例1で製造した毛髪変形剤第1剤は、油剤(A)として配合したアジピン酸ジイソプロピルの割合が規定量より少ないため、くせの伸び、およびくせの伸びの持続力が悪かった。
比較例3で製造した毛髪変形剤第1剤は、油剤(A)として配合したコハク酸ジ2-エチルヘキシルの割合が規定量より少ないため、くせの伸び、およびくせの伸びの持続力が悪かった。
比較例5で製造した毛髪変形剤第1剤は、油剤(A)として配合したイソステアリン酸の割合が規定量より少ないため、くせの伸び、およびくせの伸びの持続力が悪かった。
比較例7で製造した毛髪変形剤第1剤は、油剤(A)が配合されていないため、くせの伸び、およびくせの伸びの持続力が悪かった。
表16に、実施例86~143、および比較例8~13で用いた毛髪変形剤第1剤の成分、および配合割合を示す。表16の処方において、油剤については、各実施例および比較例ごとに、成分や配合割合を変更して調製した。表19~表30に、各実施例および比較例の油剤の成分および配合割合を示す。
専門パネラー(美容師)10名が1人ずつ、以下(7)~(12)の各項目に記載した評価基準に従って官能評価を行った。(7)および(8)は必須の評価基準とし、(9)~(12)は任意の評価基準とした。
◎:10名の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が3.5点以上である。
〇:10名の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が2.5点以上3.5点未満である。
△:10名の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が1.5点以上2.5点未満である。
×:10名の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が1.5点未満である。
毛束(20cm、直毛の人毛)(BS-B3A:株式会社ビューラックス)を、ブリーチ処理(アンモニア0.05%、過酸化水素1.2%、イオン交換水98.75%に調製した溶液に毛束を浸漬し、60℃で10分加温)した後、2gになるようそろえて毛束を作成した。
次いで、ホット系パーマの機械(ORDIS EX:株式会社大広製作所)のロッドに毛束を巻き、設定温度を60℃にして、10分間毛束を加熱した。
(7)カール形成力
試料の毛束のカール形成力について、目視で評価した。
4点;非常にしっかりとカール形成されている
3点;しっかりとカール形成されている
2点;あまりカール形成されていない
1点;全くカール形成されていない
試料の毛束を、シャンプー1g(シェルパデザインサプリシャンプーD-1:株式会社アリミノ)で洗浄後、水洗した。このシャンプーで洗浄後、水洗する施術を7回繰り返した後、風乾し、得られた毛束のカール形成について、施術後一度も洗浄していない毛束のカール形成と比較した。
4点;非常にしっかりとカール形成されている
3点;しっかりとカール形成されている
2点;あまりカール形成されていない
1点;全くカール形成されていない
(9)毛髪変形剤第1剤すすぎ時の指通りの良さ
ウェーブ形状を付与するための毛髪変形施術において、毛髪変形剤第1剤を水洗する際の、すすぎ時の指通りを触感で評価した。
4点;すすぎ時の指通りが非常によい
3点;すすぎ時の指通りがよい
2点;すすぎ時の指通りがやや悪い
1点;すすぎ時の指通りが悪い
ウェーブ形状を付与するための毛髪変形施術において、毛髪変形剤第2剤を水洗し、ドライヤーで十分乾燥させた後の、仕上がりの指通りの良さを触感で評価した。
4点;仕上がりの指通りが非常によい
3点;仕上がりの指通りがよい
2点;仕上がりの指通りがやや悪い
1点;仕上がりの指通りが悪い
ウェーブ形状を付与するための毛髪変形施術において、毛髪変形剤第2剤を水洗し、ドライヤーで十分乾燥させた後の、仕上がりの柔らかさを触感で評価した。
4点;非常に柔らかく感じる
3点;柔らかく感じる
2点;やや硬く感じる
1点;非常に硬く感じる
ウェーブ形状を付与するための毛髪変形施術において、毛髪変形剤第1剤を塗布する際のにおいを評価した。
4点:毛髪変形剤第1剤塗布中のにおいがほとんどない
3点;毛髪変形剤第1剤塗布中のにおいが少ない
2点;毛髪変形剤第1剤塗布中のにおいがややある
1点;毛髪変形剤第1剤塗布中のにおいがかなりある
比較例8で製造した毛髪変形剤第1剤は、油剤(A)として配合したアジピン酸ジイソプロピルの割合が規定量より少ないため、カールの形成力、およびカールの持続力が悪かった。
比較例13で製造した毛髪変形剤第1剤は、油剤(A)として配合したイソステアリン酸の割合が規定量より多いため、カールの形成力、カールの持続力、仕上がりの指通りの良さ、および1剤塗付中のにおいの評価が悪かった。
Claims (5)
- 油剤(A)を0.4~6質量%と、油剤(B)としてイソステアリン酸イソステアリルを1~5質量%と、ケラチン繊維還元性物質とを含み、
前記油剤(A)がアジピン酸ジイソプロピル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、およびイソステアリン酸から選択される少なくとも1種である、毛髪変形剤第1剤。 - ヘアアイロンの熱処理による縮毛矯正に用いる、請求項1に記載の毛髪変形剤第1剤。
- 熱処理によるウェーブ形状を付与するためのパーマに用いる、請求項1に記載の毛髪変形剤第1剤。
- 前記パーマがホット系パーマである、請求項3に記載の毛髪変形剤第1剤。
- 請求項1~4のいずれか一項に記載の毛髪変形剤第1剤と、酸化剤を含む毛髪変形剤第2剤とを組み合わせて使用する、毛髪変形方法。
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