以下、本発明を詳細に説明する。
(熱硬化性化合物の混合物)
本発明に係る熱硬化性化合物の混合物は、下記式(1−1)で表される熱硬化性化合物と、該式(1−1)で表される熱硬化性化合物の異性体とを含むか、下記式(2−1)で表される熱硬化性化合物と、該式(2−1)で表される熱硬化性化合物の異性体とを含むか、又は、下記式(3−1)で表される熱硬化性化合物と、該式(3−1)で表される熱硬化性化合物の異性体とを含む。このように、特定の骨格を有する少なくとも2種の熱硬化性化合物を混合することにより、熱硬化性化合物を1種のみを用いた場合と比較して、結晶化を抑制でき、保存安定性を高めることができる。熱硬化性化合物の混合物の状態での保存安定性を高めることができる。
本発明に係る熱硬化性化合物の混合物は、熱硬化剤が添加されて用いられる熱硬化性化合物の混合物であることが好ましい。本発明では、熱硬化性化合物の混合物と硬化剤とを含む硬化性組成物の状態での保存安定性を高めることもできる。
下記式(1−1)において、ベンゼン環に結合している6つの基の結合部位は特に限定されない。下記式(2−1)において、ナフタレン環に結合している8つの基の結合部位は特に限定されない。下記式(3−1)において、アントラセン環に結合している10つの基の結合部位は特に限定されない。
上記式(1−1)中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表す。R3、R4、R5及びR6の4個の基の内の2〜4個の基は水素原子を表す。R3、R4、R5及びR6の内の水素原子ではない基は下記式(4)で表される基を表し、X1及びX2はそれぞれ酸素原子又は硫黄原子を表す。R3、R4、R5及びR6の4個の基の全てが水素原子であってもよい。R3、R4、R5及びR6の4個の基の内の1個又は2個が下記式(4)で表される基であり、かつR3、R4、R5及びR6の4個の基の内の下記式(4)で表される基ではない基は水素原子であってもよい。
上記式(4)中、R7は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、X3は酸素原子又は硫黄原子を表す。
上記式(2−1)中、R51及びR52はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表す。R53、R54、R55、R56、R57及びR58の6個の基の内の4〜6個の基は水素原子を表す。R53、R54、R55、R56、R57及びR58の内の水素原子ではない基は、下記式(5)で表される基を表し、X51及びX52は酸素原子又は硫黄原子を表す。R53、R54、R55、R56、R57及びR58の6個の基の全てが水素原子であってもよい。R53、R54、R55、R56、R57及びR58の6個の基の内の1個又は2個が下記式(5)で表される基であり、かつR53、R54、R55、R56、R57及びR58の内の下記式(5)で表される基ではない基は水素原子であってもよい。
上記式(5)中、R59は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、X53は酸素原子又は硫黄原子を表す。
上記式(3−1)中、R101及びR102はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表す。R103、R104、R105、R106、R107、R108、R109及びR110の8個の基の内の6〜8個の基は水素原子を表す。R103、R104、R105、R106、R107、R108、R109及びR110の内の水素原子ではない基は、下記式(6)で表される基を表し、X101及びX102はそれぞれ酸素原子又は硫黄原子を表す。R103、R104、R105、R106、R107、R108、R109及びR110の8個の基の全てが水素原子であってもよい。R103、R104、R105、R106、R107、R108、R109及びR110の8個の基の内の1個又は2個が下記式(6)で表される基であり、かつR103、R104、R105、R106、R107、R108、R109及びR110の内の下記式(6)で表される基ではない基は水素原子であってもよい。
上記式(6)中、R111は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、X103は酸素原子又は硫黄原子を表す。
本発明に係る熱硬化性化合物の混合物は、上記式(1−1)で表される熱硬化性化合物と該式(1−1)で表される熱硬化性化合物の異性体とを含んでいてもよく、上記式(2−1)で表される熱硬化性化合物と該式(2−1)で表される熱硬化性化合物の異性体とを含んでいてもよく、又は、上記式(3−1)で表される熱硬化性化合物と該式(3−1)で表される熱硬化性化合物の異性体とを含んでいてもよい。
上記式(1−1)で表される熱硬化性化合物の異性体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記式(2−1)で表される熱硬化性化合物の異性体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記式(3−1)で表される熱硬化性化合物の異性体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
低温でより一層速やかに硬化させる観点からは、上記式(1−1)で表される熱硬化性化合物は、下記式(1)で表される熱硬化性化合物であることが好ましく、上記式(2−1)で表される熱硬化性化合物は下記式(2)で表される熱硬化性化合物であることが好ましく、上記式(3−1)で表される熱硬化性化合物は下記式(3)で表される熱硬化性化合物であることが好ましい。すなわち、本発明に係る熱硬化性化合物の混合物は、下記式(1)で表される熱硬化性化合物を含むことが好ましく、下記式(2)で表される熱硬化性化合物を含むことが好ましく、下記式(3)で表される熱硬化性化合物を含むことが好ましい。本発明に係る熱硬化性化合物の混合物では、特定の2種以上の熱硬化性化合物が混合されているので、下記式(1)、下記式(2)又は下記式(3)で表される熱硬化性化合物を用いたとしても、熱硬化性化合物の混合物の保存安定性を良好にすることができる。
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R3、R4、R5及びR6の4個の基の内の2〜4個の基は水素原子を表し、R3、R4、R5及びR6の内の水素原子ではない基は上記式(4)で表される基を表し、X1及びX2はそれぞれ酸素原子又は硫黄原子を表す。
上記式(2)中、R51及びR52はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58の6個の基の内の4〜6個の基は水素原子を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58の内の水素原子ではない基は、上記式(5)で表される基を表し、X51及びX52はそれぞれ酸素原子又は硫黄原子を表す。
上記式(3)中、R101及びR102はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R103、R104、R105、R106、R107、R108、R109及びR110の8個の基の内の6〜8個の基は水素原子を表し、R103、R104、R105、R106、R107、R108、R109及びR110の内の水素原子ではない基は、上記式(6)で表される基を表し、X101及びX102はそれぞれ酸素原子又は硫黄原子を表す。
低温でより一層速やかに硬化させる観点からは、上記式(1−1)で表される熱硬化性化合物は、チイラン基を少なくとも1個有することが好ましく、上記式(2−1)で表される熱硬化性化合物は、チイラン基を少なくとも1個有することが好ましく、上記式(3−1)で表される熱硬化性化合物は、チイラン基を少なくとも1個有することが好ましい。本発明に係る熱硬化性化合物の混合物では、特定の2種以上の熱硬化性化合物が混合されているので、チイラン基が導入されていても、熱硬化性化合物の混合物の保存安定性を良好にすることができる。
低温でさらに一層速やかに硬化させる観点からは、上記式(1−1)中、X1及びX2がそれぞれ硫黄原子であり、かつ上記式(4)中、X3が硫黄原子であることが好ましく、上記式(2−1)中、X51及びX52がそれぞれ硫黄原子であり、かつ上記式(5)中、X53が硫黄原子であることが好ましく、上記式(3−1)中、X101及びX102がそれぞれ硫黄原子であり、かつ上記式(6)中、X103が硫黄原子であることが好ましい。この場合であっても、特定の2種以上の熱硬化性化合物が混合されているので、熱硬化性化合物の混合物の保存安定性を良好にすることができる。
上記式(1−1)、(2−1)又は(3−1)、並びに上記式(1)、(2)又は(3)で表される熱硬化性化合物はいずれも、エポキシ基を少なくとも2個有するか、チイラン基を少なくとも2個有するか、エポキシ基とチイラン基とを合計で少なくとも2個有する。また、チイラン基を有する基が、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環に結合されている。このような構造を有するので、熱硬化性化合物の混合物と硬化剤とを含む硬化組成物を加熱することにより、該硬化性組成物を低温で速やかに硬化させることができる。中でもナフタレン環は、平面構造を有するためにより速やかに硬化させることができるので好ましい。
上記式(1−1)、(2−1)又は(3−1)、並びに上記式(1)、(2)又は(3)で表される熱硬化性化合物は、上記式(1−1)、(2−1)又は(3−1)で表される構造におけるX1、X2、X51、X52、X101及びX102がチイラン基である場合に、チイラン基であるX1、X2、X51、X52、X101及びX102をエポキシ基に置き換えた構造を有するエポキシ化合物に比べて、反応性が高く、低温で速やかに硬化させることができる。
上記式(1−1)及び(1)中のR1及びR2、上記式(2−1)及び(2)中のR51及びR52、上記式(3−1)及び(3)中のR101及びR102、上記式(4)中のR7、上記式(5)中のR59、並びに上記式(6)中のR111はいずれも、炭素数1〜5のアルキレン基である。該アルキレン基の炭素数が5を超えると、上記熱硬化性化合物の混合物の硬化速度が低下しやすくなる。
上記式(1−1)及び(1)中のR1及びR2、上記式(2−1)及び(2)中のR51及びR52、上記式(3−1)及び(3)中のR101及びR102、上記式(4)中のR7、上記式(5)中のR59、並びに上記式(6)中のR111はそれぞれ、炭素数1〜3のアルキレン基であることが好ましく、メチレン基であることがより好ましい。上記アルキレン基は直鎖構造を有するアルキレン基であってもよく、分岐構造を有するアルキレン基であってもよい。
上記(1)で表される熱硬化性化合物は、下記式(1A)で表される熱硬化性化合物であることが好ましい。本発明に係る熱硬化性化合物の混合物は、下記式(1A)で表される熱硬化性化合物を含むことが好ましい。下記式(1A)で表される熱硬化性化合物は、硬化性に優れている。
上記式(1A)中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表し、X1及びX2はそれぞれ酸素原子又は硫黄原子を表す。
上記(2)で表される熱硬化性化合物は、下記式(2A)で表される構造であることが好ましい。本発明に係る熱硬化性化合物の混合物は、下記式(2A)で表される熱硬化性化合物を含むことが好ましい。下記式(2A)で表される熱硬化性化合物は、硬化性に優れている。
上記式(2A)中、R51及びR52はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表し、X51及びX52はそれぞれ酸素原子又は硫黄原子を表す。
上記(3)で表される熱硬化性化合物は、下記式(3A)で表される熱硬化性化合物であることが好ましい。本発明に係る熱硬化性化合物の混合物は、下記式(3A)で表される熱硬化性化合物を含むことが好ましい。下記式(3A)で表される熱硬化性化合物は、硬化性に優れている。
上記式(3A)中、R101及びR102はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表し、X101及びX102はそれぞれ酸素原子又は硫黄原子を表す。
熱硬化性化合物の混合物の結晶化を抑制し、熱硬化性化合物の混合物及び該熱硬化性化合物の混合物を含む硬化性組成物の保存安定性をより一層高める観点からは、上記式(1−1)、(1)又は(1A)で表される熱硬化性化合物の異性体は、上記式(1−1)、(1)又は(1A)中のベンゼン環に結合している基の結合部位のみが異なる異性体であることが好ましく、上記式(2−1)、(2)又は(2A)で表される熱硬化性化合物の異性体は、上記式(2−1)、(2)又は(2A)中のナフタレン環に結合している基の結合部位のみが異なる異性体であることが好ましく、上記式(3−1)、(3)又は(3A)で表される熱硬化性化合物の異性体は、上記式(3−1)、(3)又は(3A)中のアントラセン環に結合している基の結合部位のみが異なる異性体であることが好ましい。
熱硬化性化合物の混合物の結晶化を抑制し、熱硬化性化合物の混合物及び該熱硬化性化合物の混合物を含む硬化性組成物の保存安定性をより一層高める観点からは、上記式(1−1)、(1)又は(1A)で表される熱硬化性化合物と、該式(1−1)、(1)又は(1A)で表される熱硬化性化合物の異性体との合計100重量%中、上記式(1−1)、(1)又は(1A)で表される熱硬化性化合物の含有量が5.0重量%以上、40.0重量%以下であることが好ましく、上記式(2−1)、(2)又は(2A)で表される熱硬化性化合物と、該式(2−1)、(2)又は(2A)で表される熱硬化性化合物の異性体との合計100重量%中、上記式(2−1)、(2)又は(2A)で表される熱硬化性化合物の含有量が5.0重量%以上、40.0重量%以下であることが好ましく、上記式(3−1)、(3)又は(3A)で表される熱硬化性化合物と、該式(3−1)、(3)又は(3A)で表される熱硬化性化合物の異性体との合計100重量%中、上記式(3−1)、(3)又は(3A)で表される熱硬化性化合物の含有量が5.0重量%以上、40.0重量%以下であることが好ましい。
本発明に係る熱硬化性化合物の混合物の具体例の一例を挙げると、下記式(2B)で表される熱硬化性化合物、下記式(2C)で表される熱硬化性化合物、及び下記式(2D)で表される熱硬化性化合物の内の少なくとも2種を混合した混合物が挙げられる。
熱硬化性化合物の混合物の結晶化を抑制し、熱硬化性化合物の混合物及び該熱硬化性化合物の混合物を含む硬化性組成物の保存安定性をより一層高めることができる配合比の好ましい一例を挙げると、下記式(2B)で表される熱硬化性化合物10重量%以上、30重量%以下と、下記式(2C)で表される熱硬化性化合物0重量%以上、30重量%以下と、下記式(2D)で表される熱硬化性化合物40重量%以上、90重量%以下との混合物が挙げられる。この好ましい配合比において、下記式(2C)で表される熱硬化性化合物は含まれていなくてもよい。
上述した熱硬化性化合物がエピスルフィド化合物である場合には、該エピスルフィド化合物は、エポキシ化合物の一部のエポキシ基をチイラン基に変換することにより得ることができる。上記硫化剤としては、チオシアン酸塩類、チオ尿素類、ホスフィンサルファイド、ジメチルチオホルムアミド及びN−メチルベンゾチアゾール−2−チオン等が挙げられる。上記チオシアン酸塩類としては、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム及びチオシアン酸ナトリウム等が挙げられる。
上記エポキシ化合物と硫化剤とを用いて、エピスルフィド化合物は、具体的には、以下のようにして製造できる。
攪拌機、冷却機及び温度計を備えた容器内に、溶剤と、上記硫化剤とを加え、上記硫化剤を溶解させ、容器内に第1の溶液を調製する。溶剤としては、メタノール又はエタノール等が挙げられる。
さらに、上記第1の溶液とは別に、上記エポキシ化合物又は上記エポキシ化合物を含む溶液を用意する。
次に、第1の溶液中に、上記エポキシ化合物又は上記エポキシ化合物を含む溶液を連続的又は断続的に添加する。このときの第1の溶液の温度は、15〜30℃の範囲内であることが好ましい。上記エポキシ化合物の添加の後、0.5〜12時間攪拌することが好ましい。上記エポキシ化合物又は該エポキシ化合物を含む溶液を複数の段階で添加してもよい。例えば、一部の上記エポキシ化合物又は該エポキシ化合物を含む溶液を添加した後、少なくとも0.5時間攪拌し、その後、残りの上記エポキシ化合物又は該エポキシ化合物を含む溶液をさらに添加し、0.5〜12時間攪拌してもよい。上記エポキシ化合物を含む溶液を用いる場合、該溶液のエポキシ化合物の濃度は特に限定されない。
第1の溶液中への上記エポキシ化合物又は該エポキシ化合物を含む溶液の添加速度は、1〜10mL/分の範囲内であることが好ましく、2〜8mL/分の範囲内であることがより好ましい。上記エポキシ化合物又は該エポキシ化合物を含む溶液の添加速度が速すぎると、エポキシ化合物が重合することがある。上記エポキシ化合物又は該エポキシ化合物を含む溶液の添加速度が遅すぎると、エピスルフィド化合物の生成効率が低下することがある。
上記エポキシ化合物又は上記エポキシ化合物を含む溶液が上記第1の溶液に添加された混合液において、上記エポキシ化合物の濃度は、0.05〜0.8g/mLの範囲内であることが好ましく、0.1〜0.5g/mLの範囲内であることがより好ましい。エポキシ化合物の濃度が高すぎると、エポキシ化合物が重合することがある。
次に、上記エポキシ化合物又は上記エポキシ化合物を含む溶液が上記第1の溶液に添加された混合液に、溶剤と、上記硫化剤とを含む第2の溶液を連続的又は断続的にさらに添加する。上記第2の溶液の添加の後、0.5〜12時間攪拌することが好ましい。また、上記第2の溶液の添加の後、15〜60℃の範囲内で攪拌することが好ましい。上記第2の溶液を複数の段階で添加してもよい。例えば、一部の上記第2の溶液を添加した後、少なくとも0.5時間攪拌し、その後、残りの上記第2の溶液をさらに添加し、0.5〜12時間攪拌してもよい。
上記第2の溶液における上記硫化剤の濃度は、0.001〜0.7g/mLの範囲内であることが好ましく、0.005〜0.5g/mLの範囲内であることがより好ましい。硫化剤の濃度が上記下限以上であると、エポキシ化合物の重合を抑制できる。硫化剤の濃度が上記下限以上であると、エポキシ基をチイラン基により一層効率的に変換できる。
上記混合液中への上記第2の溶液の添加速度は、1〜10mL/分の範囲内であることが好ましく、2〜8mL/分の範囲内であることがより好ましい。上記第2の溶液の添加速度が上記上限以下であると、エポキシ化合物の重合を抑制できる。上記第2の溶液の添加速度が上記下限以上であると、エピスルフィド化合物の生成効率がより一層高くなる。
第1の溶液中に上記エポキシ化合物が添加された混合液に、上記第2の溶液を添加した後、溶剤又は未反応の上記硫化剤を除去することが好ましい。上記硫化剤の除去により、エピスルフィド化合物及び硬化性組成物の保存安定性がより一層高くなる。溶剤又は未反応の上記硫化剤を除去する方法として、従来公知の方法が用いられる。
第1の溶液、又は、第2の溶液は、パラジウム金属粒子、酸化チタン等の触媒を含有してもよい。上記触媒を含有する溶液の使用により、チイラン基への変換率を調整できる。また、低温環境においてエポキシ基をチイラン基に変換できるため、エポキシ化合物の重合反応を抑制できる。上記第1の溶液の触媒の濃度、又は、上記第2の溶液の触媒の濃度は、0.05〜1.0g/mLの範囲内であることが好ましい。
上記のようにして、上記エポキシ化合物の全部又は一部のエポキシ基をチイラン基に変換できる。この結果、エピスルフィド化合物を得ることができる。また、上記エポキシ化合物の全部又は一部のエポキシ基をチイラン基に変換することにより、エピスルフィド化合物とエポキシ化合物との混合物(エピスルフィド化合物含有混合物)を得ることができる。上記エピスルフィド化合物含有混合物は、未反応のエポキシ化合物を含んでいてもよく、場合により不純物が含まれることがある。上記エピスルフィド化合物含有混合物は、上記エピスルフィド化合物10〜100重量%と上記エポキシ化合物90〜0重量%とを含むことが好ましい。上記エピスルフィド化合物含有混合物は、上記エピスルフィド化合物のみを含んでいてもよい。上記エピスルフィド化合物含有混合物は、上記エピスルフィド化合物10〜99.9重量%と上記エポキシ化合物を90〜0.1重量%とを含んでいてもよく、上記エピスルフィド化合物10〜50重量%と上記エポキシ化合物90〜50重量%とを含んでいてもよい。
(硬化性組成物)
本発明に係る硬化性組成物は、本発明に係る熱硬化性化合物の混合物と、熱硬化剤とを含む。本発明に係る硬化性組成物では、熱硬化性化合物の混合物の結晶化が進行し難く、保存安定性を高めることができる。
〔熱硬化剤〕
本発明に係る硬化性組成物に含まれている熱硬化剤は特に限定されない。該熱硬化剤は、上記熱硬化性化合物の混合物を硬化させる。また、本発明に係る硬化性組成物がエポキシ化合物を含む場合には、上記熱硬化剤はエポキシ化合物も硬化させる。該熱硬化剤として、従来公知の熱硬化剤を用いることができる。該熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤及び酸無水物等が挙げられる。なかでも、硬化性組成物を低温でより一層速やかに硬化させることができるので、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤が好ましい。また、硬化性組成物の保存安定性を高めることができるので、潜在性の硬化剤が好ましい。潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。これらの熱硬化剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なお、上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されないが、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されないが、トリメチロールプロパン トリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトール テトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトール ヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されないが、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記熱硬化剤の中でもポリチオール化合物又は酸無水物等が好ましく用いられる。硬化性組成物の硬化速度をより一層速くできるので、ポリチオール化合物がより好ましく用いられる。
上記ポリチオール化合物の中でもペンタエリスリトール テトラキス−3−メルカプトプロピオネートがより好ましい。このポリチオール化合物の使用により、硬化性組成物の硬化速度をより一層速くできる。
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。本発明に係る硬化性組成物では、熱硬化性化合物の混合物100重量部に対して、熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下、更に好ましくは75重量部以下である。熱硬化剤の含有量が上記下限以上であると、硬化性組成物を充分に硬化させることが容易である。熱硬化剤の含有量が上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の熱硬化剤が残存し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
なお、上記熱硬化剤がイミダゾール硬化剤又はフェノール硬化剤である場合、上記熱硬化性化合物の混合物100重量部に対して、イミダゾール硬化剤又はフェノール硬化剤の含有量は、好ましくは1重量部以上、好ましくは15重量部以下である。また、上記熱硬化剤がアミン硬化剤、ポリチオール硬化剤又は酸無水物である場合、上記熱硬化性化合物の混合物100重量部に対して、アミン硬化剤、ポリチオール硬化剤又は酸無水物の含有量は、好ましくは15重量部以上、好ましくは40重量部以下である。
〔他の硬化成分〕
本発明に係る硬化性組成物は、上記熱硬化性化合物の混合物以外に、熱硬化性化合物の混合物中の熱硬化性化合物とは異なる他のエポキシ化合物及び他のエピスルフィド化合物を含んでいてもよい。
上記エポキシ化合物は特に限定されない。エポキシ化合物として、従来公知のエポキシ化合物を使用できる。上記エポキシ化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、アダマンタン環を有するエポキシ樹脂、トリシクロデカン環を有するエポキシ樹脂、及びトリアジン核を環に有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
さらに、本発明に係る硬化性組成物は、エポキシ化合物として、下記式(21)で表されるエポキシ化合物の単量体、該エポキシ化合物が少なくとも2個結合された多量体、又は該単量体と該多量体との混合物を含んでいてもよい。
上記式(21)中、R1は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R2は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R3は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は下記式(22)で表される構造を表し、R4は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は下記式(23)で表される構造を表す。
上記式(22)中、R5は炭素数1〜5のアルキレン基を表す。
上記式(23)中、R6は炭素数1〜5のアルキレン基を表す。
上記式(21)で表されるエポキシ化合物は、不飽和二重結合と、少なくとも2個のエポキシ基とを有することを特徴とする。上記式(21)で表されるエポキシ化合物の使用により、硬化性組成物を低温で速やかに硬化させることができる。
本発明に係る硬化性組成物は、エポキシ化合物又はエピスルフィド化合物として、下記式(31)で表される化合物の単量体、該化合物が少なくとも2個結合された多量体、又は該単量体と該多量体との混合物を含んでいてもよい。
上記式(31)中、R1は水素原子もしくは炭素数1〜5のアルキル基又は下記式(32)で表される構造を表し、R2は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R3は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、X1及びX2はそれぞれ酸素原子又は硫黄原子を表し、X2は酸素原子又は硫黄原子を表す。
上記式(32)中、R4は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、X3は酸素原子又は硫黄原子を表す。
本発明に係る硬化性組成物は、エポキシ化合物として、窒素原子を含む複素環を有するエポキシ化合物を含んでいてもよい。上記窒素原子を含む複素環を有するエポキシ化合物は、下記式(41)で表されるエポキシ化合物、又は下記式(42)で表されるエポキシ化合物であることが好ましい。このような化合物の使用により、硬化性組成物の硬化速度をより一層速くし、硬化物の耐熱性をより一層高めることができる。
上記式(41)中、R1〜R3はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表し、Zはエポキシ基又はヒドロキシメチル基を表す。R1〜R3は同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記式(42)中、R1〜R3はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を示し、p、q及びrはそれぞれ1〜5の整数を表し、R4〜R6はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表す。R1〜R3は同一であってもよく、異なっていてもよい。p、q及びrは同一であってもよく、異なっていてもよい。R4〜6は同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記窒素原子を含む複素環を有するエポキシ化合物は、トリグリシジルイソシアヌレート、又はトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートトリグリシジルエーテルであることが好ましい。これらの化合物の使用により、硬化性組成物の硬化速度をさらに一層速くすることができる。
本発明に係る硬化性組成物は、エポキシ化合物として、芳香族環を有するエポキシ化合物を含むことが好ましい。芳香族環を有するエポキシ化合物の使用により、硬化性組成物の硬化速度をより一層速くし、硬化性組成物を塗布しやすくすることができる。硬化性組成物の塗布性をより一層高める観点からは、上記芳香族環は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であることが好ましい。上記芳香族環を有するエポキシ化合物としては、レゾルシノールジグリシジルエーテル又は1,6−ナフタレンジグリシジルエーテルが挙げられる。なかでも、レゾルシノールジグリシジルエーテルが特に好ましい。レゾルシノールジグリシジルエーテルの使用により、硬化性組成物の硬化速度を速くし、硬化性組成物を塗布しやすくすることができる。
〔他の成分〕
本発明に係る硬化性組成物は、硬化促進剤をさらに含むことが好ましい。硬化促進剤の使用により、硬化性組成物の硬化速度をより一層速くすることができる。硬化促進剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化促進剤の具体例としては、イミダゾール硬化促進剤及びアミン硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、イミダゾール硬化促進剤が好ましい。なお、イミダゾール硬化促進剤又はアミン硬化促進剤は、イミダゾール硬化剤又はアミン硬化剤としても用いることができる。
上記イミダゾール硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記熱硬化性化合物の混合物100重量部に対して、上記硬化促進剤の含有量は、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは6重量部以下、より好ましくは4重量部以下である。硬化促進剤の含有量が上記下限以上であると、硬化性組成物を充分に硬化させることが容易である。硬化促進剤の含有量が上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の硬化促進剤が残存し難くなる。
本発明に係る硬化性組成物は、光照射によっても硬化するように、光硬化性化合物と、光重合開始剤とをさらに含んでいてもよい。上記光硬化性化合物と上記光重合開始剤との使用により、光の照射により硬化性組成物を硬化させることができる。さらに、硬化性組成物を半硬化させ、硬化性組成物の流動性を低下させることができる。
上記光硬化性化合物は特に限定されない。該光硬化性化合物として、(メタ)アクリル樹脂又は環状エーテル基含有樹脂等が好適に用いられ、(メタ)アクリル樹脂がより好適に用いられる。上記(メタ)アクリル樹脂は、メタクリル樹脂とアクリル樹脂とを示す。上記(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する。上記(メタ)アクリロイル基は、メタクリロイル基とアクリロイル基とを示す。
上記エピスルフィド化合物と(メタ)アクリル樹脂とを含む組成物では、上記エピスルフィド化合物のチイラン基が開環してラジカルが発生したときに、該ラジカルの作用によって(メタ)アクリル樹脂の重合が進行しやすい。上記エピスルフィド化合物に対して、後述のフェノール性化合物と貯蔵安定剤を組み合わせて配合することにより、硬化性組成物の保管時にチイラン基が開環し難くなる。この結果、硬化性組成物の保管時に、(メタ)アクリル樹脂の重合が進行し難くなる。
上記(メタ)アクリル樹脂として、(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、又はイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。
上記(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物は特に限定されない。該エステル化合物として、単官能のエステル化合物、2官能のエステル化合物及び3官能以上のエステル化合物のいずれも用いることができる。
上記光硬化性化合物は、エポキシ基の少なくとも一種の基と、(メタ)アクリル基とを有する光及び熱硬化性化合物(以下、部分(メタ)アクリレート化エポキシ樹脂ともいう)を含むことが好ましい。
上記部分(メタ)アクリレート化エポキシ樹脂は、例えば、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応することにより得られる。エポキシ基の20%以上が(メタ)アクリロイル基に変換され(転化率)、部分(メタ)アクリル化されていることが好ましい。エポキシ基の50%が(メタ)アクリロイル基に変換されていることがより好ましい。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、カルボン酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート、及びフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上述した光硬化性化合物以外の光硬化性化合物が含まれる場合には、該光硬化性化合物は、架橋性化合物であってもよく、非架橋性化合物であってもよい。
上記架橋性化合物の具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記非架橋性化合物の具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記硬化性組成物を効率的に光硬化させる観点からは、上記熱硬化性化合物の混合物100重量部に対して、上記光硬化性化合物の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、更に好ましくは10重量部以上、特に好ましくは50重量部以上、好ましくは10000重量部以下、より好ましくは1000重量部以下、更に好ましくは500重量部以下である。
上記光重合開始剤は特に限定されない。上記光重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン光重合開始剤、ベンゾフェノン光重合開始剤、チオキサントン、ケタール光重合開始剤、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド及びアシルホスフォナート等が挙げられる。
上記アセトフェノン光重合開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等が挙げられる。上記ケタール光重合開始剤の具体例としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
上記光重合開始剤の含有量は特に限定されない。上記光硬化性組成物100重量部に対して、上記光重合開始剤の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、更に好ましくは2重量部以上、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。光重合開始剤の含有量が上記下限以上であると、光重合開始剤を添加した効果を充分に得ることが容易である。光重合開始剤の含有量が上記上限以下であると、硬化性組成物の硬化物の接着力が充分に高くなる。
本発明に係る硬化性組成物は、フェノール性化合物をさらに含むことが好ましい。上記エピスルフィド化合物と熱硬化剤とフェノール性化合物との併用により、硬化性組成物の保管時にチイラン基がより一層開環し難くなる。また、電極間に導電性粒子を含む硬化性組成物を配置して導電性粒子を適度に圧縮したときに、電極に適度な圧痕を形成できる。従って、電極間の接続抵抗を低くすることができる。
上記フェノール性化合物は、ベンゼン環に水酸基が結合したフェノール性水酸基を有する。上記フェノール性化合物としては、ポリフェノール、トリオール、ハイドロキノン、及びトコフェロール(ビタミンE)等が挙げられる。上記フェノール性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明に係る硬化性組成物は、フィラーをさらに含むことが好ましい。フィラーの使用により、硬化性組成物の硬化物の潜熱膨張を抑制できる。上記フィラーの具体例としては、シリカ、窒化アルミニウム又はアルミナ等が挙げられる。フィラーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明に係る硬化性組成物は、溶剤を含んでいてもよい。該溶剤の使用により、硬化性組成物の粘度を容易に調整できる。さらに、例えば、上記熱硬化性化合物が固形である場合に、固形の上記熱硬化性化合物に溶剤を添加し、溶解させることにより、上記熱硬化性化合物の分散性を高めることができる。
上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、メチルセロソルブ、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテル等が挙げられる。
本発明に係る硬化性組成物は、貯蔵安定剤をさらに含むことが好ましい。本発明に係る硬化性組成物は、上記貯蔵安定剤として、リン酸エステル、亜リン酸エステル及びホウ酸エステルからなる群から選択された少なくとも一種を含むことが好ましく、リン酸エステル及び亜リン酸エステルの内の少なくとも一種を含むことがより好ましく、亜リン酸エステルを含むことが更に好ましい。これらの貯蔵安定剤の使用により、特に亜リン酸エステルの使用により、エピスルフィド化合物の保存安定性をより一層高めることができる。上記貯蔵安定剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記リン酸エステルとしては、ジエチルベンジルホスフェート等が挙げられる。上記亜リン酸エステルとしては、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト又はジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイトが好ましく、ジフェニルモノデシルホスファイト及びジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト等が挙げられる。
本発明に係る硬化性組成物は、アスコルビン酸、アスコルビン酸の誘導体、アスコルビン酸の塩、イソアスコルビン酸、イソアスコルビン酸の誘導体及びイソアスコルビン酸の塩からなる群から選択された少なくとも1種の成分を含んでいてもよい。これらの成分の配合により、硬化性組成物の保存安定性が高くなる。
本発明に係る硬化性組成物は、必要に応じて、イオン捕捉剤又はシランカップリング剤をさらに含んでいてもよい。
〔導電性粒子を含む硬化性組成物〕
本発明に係る硬化性組成物が導電性粒子をさらに含む場合、硬化性組成物を異方性導電材料として用いることができる。
上記導電性粒子は、例えば回路基板と半導体チップとの電極間を電気的に接続する。上記導電性粒子は、導電性を有する粒子であれば特に限定されない。上記導電性粒子としては、例えば、有機粒子、無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子もしくは金属粒子等の表面を金属層で被覆した導電性粒子、又は実質的に金属のみで構成される金属粒子等が挙げられる。上記金属層は特に限定されない。上記金属層としては、金層、銀層、銅層、ニッケル層、パラジウム層又は錫を含有する金属層等が挙げられる。
上記導電性粒子は、樹脂粒子の表面が導電層により被覆された導電性粒子であることが好ましい。
上記導電性粒子の含有量は特に限定されない。硬化性組成物100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続されるべき上下の電極間に導電性粒子を容易に配置できる。さらに、接続されてはならない隣接する電極間が複数の導電性粒子を介して電気的に接続され難くなる。すなわち、隣り合う電極間の短絡を防止できる。
硬化性組成物が液状又はペースト状である場合、硬化性組成物の粘度(25℃)は、20000〜100000mPa・sの範囲内であることが好ましい。上記粘度が低すぎると、導電性粒子が沈降することがある。上記粘度が高すぎると、導電性粒子が充分に分散しないことがある。
(硬化性組成物の用途)
本発明に係る硬化性組成物は、様々な接続対象部材を接着するために使用できる。
本発明に係る硬化性組成物が、導電性粒子を含む異方性導電材料である場合、該異方性導電材料は、異方性導電ペースト、又は異方性導電フィルム等として使用され得る。異方性導電材料が、異方性導電フィルム等のフィルム状の接着剤として使用される場合、該導電性粒子を含有するフィルム状の接着剤に、導電性粒子を含有しないフィルム状の接着剤が積層されていてもよい。
上記異方性導電材料は、第1,第2の接続対象部材が電気的に接続されている接続構造体を得るために好適に用いられる。
図1に、本発明の一実施形態に係る硬化性組成物を用いた接続構造体の一例を模式的に断面図で示す。
図1に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材4と、第1,第2の接続対象部材2,4を接続している接続部3とを備える。接続部3は、導電性粒子5を含む硬化性組成物、すなわち異方性導電材料を硬化させることにより形成されている。
第1の接続対象部材2の上面2aには、複数の電極2bが設けられている。第2の接続対象部材4の下面4aには、複数の電極4bが設けられている。電極2bと電極4bとが、1つ又は複数の導電性粒子5により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材2,4が導電性粒子5により電気的に接続されている。
上記接続構造体としては、具体的には、回路基板上に、半導体チップ、コンデンサチップ又はダイオードチップ等の電子部品チップが搭載されており、該電子部品チップの電極が、回路基板上の電極と電気的に接続されている接続構造体等が挙げられる。回路基板としては、フレキシブルプリント基板等の様々なプリント基板、ガラス基板、又は金属箔が積層された基板等の様々な回路基板が挙げられる。第1,第2の接続対象部材は、電子部品又は回路基板であることが好ましい。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、電子部品又は回路基板等の第1の接続対象部材と、電子部品又は回路基板等の第2の接続対象部材との間に上記異方性導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。
なお、上記硬化性組成物は、導電性粒子を含んでいなくてもよい。この場合には、第1,第2の接続対象部材を電気的に接続することなく、第1,第2の接続対象部材を接着して接続するために、上記硬化性組成物が用いられる。
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(合成例1)
式(2B)で表される熱硬化性化合物の調製:
攪拌機、冷却機及び温度計を備えた2Lの容器内に、エタノール250mLと、硫化剤であるトリメチルチオ尿素(大内新興化学社製)20gとを加え、トリメチルチオ尿素(大内新興化学社製)を溶解させ、第1の溶液を調製した。その後、容器内の温度を20〜25℃の範囲内に保持した。次に、20〜25℃に保持された容器内の第1の溶液を攪拌しながら、該第1の溶液中に、下記式(12B)で表されるエポキシ化合物(下記式(2B)で表される構造におけるチイラン基をエポキシ基に置き換えた構造を有するエポキシ化合物)160gをトルエン200mLに分散した溶液を、5mL/分の速度で滴下した。滴下後、30分間さらに攪拌し、エポキシ化合物含有溶液を得た。
次に、エタノール100mLを含む溶液に、トリメチルチオ尿素(大内新興化学社製)20gを溶解させた第2の溶液を用意した。得られたエポキシ化合物含有溶液に、得られた第2の溶液を5mL/分の速度で添加した後、30分攪拌した。攪拌後、エタノール100mLを含む溶液に、トリメチルチオ尿素(大内新興化学社製)20gを溶解させた第2の溶液をさらに用意し、該第2の溶液を5mL/分の速度で容器内にさらに添加し、30分間攪拌した。その後、容器内の温度を10℃に冷却し、2時間攪拌し、反応させた。
次に、容器内に飽和食塩水100mLを加え、10分間攪拌した。攪拌後、容器内にトルエン300mLをさらに加え、10分間攪拌した。その後、容器内の溶液を分液ロートに移し、2時間静置し、溶液を分離させた。分液ロート内の下方の溶液を排出し、上澄み液を取り出した。取り出された上澄み液にトルエン100mLを加え、攪拌し、2時間静置した。更に、トルエン100mLをさらに加え、攪拌し、2時間静置した。
次に、トルエンが加えられた上澄み液に、硫酸マグネシウム50gを加え、5分間攪拌した。攪拌後、ろ紙により硫酸マグネシウムを取り除いて、溶液を分離した。真空乾燥機を用いて、分離された溶液を80℃で減圧乾燥することにより、残存している溶剤を除去した。このようにして、エポキシ化合物の全部のエポキシ基をチイラン基に変換し、下記式(2B)で表される熱硬化性化合物を得た。
クロロホルムを溶媒として、得られた混合物Aの1H−NMRの測定を行った。この結果、エポキシ基の存在を示す6.5〜7.5ppmの領域のシグナルが消え、チイラン基の存在を示す2.0〜3.0ppmの領域にシグナルが現れた。これにより、上記式(12B)で表されるエポキシ化合物の全部のエポキシ基がチイラン基に変換されていることを確認した。
また、式(2B)で表される熱硬化性化合物の合成例1と同様の手順により、下記式(2C)及び下記式(2D)で表される熱硬化性化合物を合成した。
(実施例1)
得られた上記式(2B)で表される熱硬化性化合物25重量部と、得られた上記式(2C)で表される熱硬化性化合物75重量部と、光硬化性化合物であるエポキシアクリレート((メタ)アクリル樹脂、ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)5重量部と、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)0.1重量部と、フェノール性化合物であるα−メチルベンジルフェノール0.58重量部と、熱硬化剤であるペンタエリスリトール テトラキス−3−メルカプトプロピオネート20重量部と、硬化促進剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール1重量部と、フィラーである平均粒子径0.25μmのシリカ20重量部及び平均粒子径0.5μmのアルミナ20重量部と、平均粒子径3μmの導電性粒子2重量部とを添加し、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、異方性導電ペーストである硬化性組成物を得た。なお、用いた導電性粒子は、ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面にニッケルめっき層が形成されており、かつ該ニッケルめっき層の表面に金めっき層が形成されている金属層を有する導電性粒子である。
(実施例2)
得られた上記式(2B)で表される熱硬化性化合物25重量部と、得られた上記式(2C)で表される熱硬化性化合物75重量部とを、得られた上記式(2B)で表される熱硬化性化合物30重量部と、得られた上記式(2D)で表される熱硬化性化合物70重量部とに変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物を得た。
(実施例3)
得られた上記式(2B)で表される熱硬化性化合物25重量部と、得られた上記式(2C)で表される熱硬化性化合物75重量部とを、得られた上記式(2B)で表される熱硬化性化合物25重量部と、得られた上記式(2C)で表される熱硬化性化合物15重量部と、得られた上記式(2D)で表される熱硬化性化合物60重量部とに変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物を得た。
(実施例4)
光硬化性化合物であるエポキシアクリレート((メタ)アクリル樹脂、ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)と、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)とを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物を得た。
(実施例5)
光硬化性化合物であるエポキシアクリレート((メタ)アクリル樹脂、ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)5重量部と、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)0.1重量部とを添加しなかったこと以外は実施例2と同様にして、硬化性組成物を得た。
(実施例6)
光硬化性化合物であるエポキシアクリレート((メタ)アクリル樹脂、ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)5重量部と、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)0.1重量部とを添加しなかったこと以外は実施例3と同様にして、硬化性組成物を得た。
(比較例1)
得られた上記式(2B)で表される熱硬化性化合物25重量部と、得られた上記式(2C)で表される熱硬化性化合物75重量部とを、得られた上記式(2B)で表される熱硬化性化合物100重量部のみに変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物を得た。
(比較例2)
得られた上記式(2B)で表される熱硬化性化合物25重量部と、得られた上記式(2C)で表される熱硬化性化合物75重量部とを、得られた上記式(2C)で表される熱硬化性化合物100重量部のみに変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物を得た。
(比較例3)
得られた上記式(2B)で表される熱硬化性化合物25重量部と、得られた上記式(2C)で表される熱硬化性化合物75重量部とを、得られた上記式(2D)で表される熱硬化性化合物100重量部のみに変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性組成物を得た。
(実施例1〜6及び比較例1〜3の評価)
(1)保存安定性
実施例1〜6及び比較例1〜3で得られた硬化性組成物を、20℃及び湿度65%で24時間保管した。保管後に、硬化性組成物中に、熱硬化性化合物に由来する結晶化物があるか否かを評価した。
その結果、実施例1〜6では、保管後に熱硬化性化合物に由来する結晶化物はみられなかった。比較例1〜3では、保管後に熱硬化性化合物に由来する結晶化物がみられた。
(2)接続構造体Aの作製
L/Sが10μm/10μmのITO電極パターンが上面に形成された透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが10μm/10μmの銅電極パターンが下面に形成された半導体チップを用意した。
上記透明ガラス基板上に、実施例1〜3で得られた硬化性組成物を厚さ30μmとなるように塗工し、更にUV光を照射することで(メタ)アクリル樹脂を硬化させて、硬化性組成物層を形成した。次に、硬化性組成物層上に上記半導体チップを、電極同士が互いに対向し、接続するように積層した。その後、硬化性組成物層の温度が185℃となるように加熱ヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加熱ヘッドを載せ、硬化性組成物層を185℃で硬化させ、接続構造体Aを得た。得られた接続構造体Aでは、電極間が導通されており、硬化物層を介して、透明ガラス基板と半導体チップとが強固に接合されていた。
(3)接続構造体Bの作製
L/Sが10μm/10μmのITO電極パターンが上面に形成された透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが10μm/10μmの銅電極パターンが下面に形成された半導体チップを用意した。
上記透明ガラス基板上に、実施例4〜6で得られた硬化性組成物を厚さ30μmとなるように塗工し、硬化性組成物層を形成した。次に、硬化性組成物層上に上記半導体チップを、電極同士が互いに対向し、接続するように積層した。その後、硬化性組成物層の温度が185℃となるように加熱ヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加熱ヘッドを載せ、硬化性組成物層を185℃で硬化させ、接続構造体Bを得た。得られた接続構造体Bでは、電極間が導通されており、硬化物層を介して、透明ガラス基板と半導体チップとが強固に接合されていた。
(実施例7)
得られた上記式(2B)で表される熱硬化性化合物25重量部と、得られた上記式(2C)で表される熱硬化性化合物75重量部とを混合し、熱硬化性化合物の混合物を得た。
(実施例8)
得られた上記式(2B)で表される熱硬化性化合物30重量部と、得られた上記式(2D)で表される熱硬化性化合物70重量部とを混合し、熱硬化性化合物の混合物を得た。
(実施例9)
得られた上記式(2B)で表される熱硬化性化合物25重量部と、得られた上記式(2C)で表される熱硬化性化合物15重量部と、得られた上記式(2D)で表される熱硬化性化合物60重量部とを混合し、熱硬化性化合物の混合物を得た。
(比較例4)
得られた上記式(2B)で表される熱硬化性化合物。
(比較例5)
得られた上記式(2C)で表される熱硬化性化合物。
(比較例6)
得られた上記式(2D)で表される熱硬化性化合物。
(実施例7〜9及び比較例4〜6の評価)
実施例7〜9で得られた熱硬化性化合物の混合物及び比較例4〜6で得られた熱硬化性化合物を、20℃及び湿度65%で24時間保管した。保管後に、熱硬化性化合物の混合物又は熱硬化性化合物中に、熱硬化性化合物に由来する結晶化物があるか否かを評価した。
その結果、実施例7〜9では、保管後に熱硬化性化合物に由来する結晶化物はみられなかった。比較例4〜6では、保管後に熱硬化性化合物に由来する結晶化物がみられた。