以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
<1. 第1実施形態>
<1.1. 基板処理装置1の構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1を示す平面図である。また、図2は、第1実施形態に係る基板処理装置1の液処理ユニットの配置を示すための概略側面図である。また、図3は、第1実施形態に係る基板処理装置1の熱処理ユニットの配置を示すための概略側面図である。また、図4は、第1実施形態に係る基板処理装置1の基板載置部PASS1〜PASS6の周辺構成を示す図である。
なお、図1において、図示及び説明の都合上、Z軸方向が鉛直方向を表し、XY平面が水平面を表すものとして定義するが、それらは位置関係を把握するために便宜上定義するものであって、以下に説明する各方向を限定するものではない。以下の各図についても同様である。
本実施形態に係る基板処理装置1は、円板形状の半導体ウエハである基板Wにフォトレジストを塗布形成するとともに、パターン露光後の基板Wを現像処理する装置(いわゆるコータ&デベロッパ)であり、また、レジスト膜の下地として、反射防止膜を塗布形成する。なお、本実施形態に係る基板処理装置1の処理対象となる基板Wは、半導体ウエハに限定されるものではなく、液晶表示装置用ガラス基板やフォトマスク用ガラス基板等であってもよい。
本実施形態の基板処理装置は、インデクサブロック10、バークブロック20、レジスト塗布ブロック30、現像処理ブロック40及びインターフェイスブロック50の5つの処理ブロックを備えている。なお、インターフェイスブロック50には本基板処理装置1とは別体の外部装置である露光ユニット(ステッパ)EXPが接続されている。また、本実施形態の基板処理装置及び露光ユニットEXPはホストコンピュータ100とLAN回線(図示せず)を経由して接続されている。
<インデクサブロック10>
インデクサブロック10は、外部装置から受け取った未処理の基板Wをバークブロック20やレジスト塗布ブロック30に払い出すとともに、現像処理ブロック40から受け取った処理済み基板を装置外に搬出するための処理ブロックである。インデクサブロック10は、キャリアCが載置される複数(本実施形態では4個)の載置台11と、各キャリアCから未処理の基板Wを取り出すとともに、各キャリアCに処理済みの基板Wを収納する基板移載機構12とを備えている。
基板移載機構12は、載置台11に沿って(Y軸方向に沿って)水平移動可能な可動台12aを備えており、この可動台12aに基板Wを水平姿勢で保持する保持アーム12bが搭載されている。保持アーム12bは、可動台12a上を昇降(Z軸方向)移動、水平面内の旋回移動、及び、旋回半径方向に進退移動可能に構成されている。これにより、基板移載機構12は、保持アーム12bを各キャリアCにアクセスさせて未処理の基板Wの取り出し及び処理済みの基板Wの収納を行うことができる。
なお、キャリアCの形態としては、基板Wを密閉空間に収納するFOUP(Front Opening Unified Pod)の他に、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドや収納されている基板Wを外気に曝すOC(open cassette)であってもよい。
<バークブロック20>
バークブロック20は、露光時に発生する反射の影響(定在波効果やハレーション)を減少させるために、フォトレジスト膜の下地に反射防止膜を塗布形成する。すなわち、バークブロック20は、基板W上にBARCの形成処理を行う処理ブロックである。
バークブロック20は、インデクサブロック10に対して(+X)側に隣接するように設けられる。インデクサブロック10とバークブロック20との間には、雰囲気遮断用の隔壁13が設けられている。この隔壁13には、インデクサブロック10とバークブロック20との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS1,PASS2が上下に積層されて設けられている(図4参照)。
上側の基板載置部PASS1は、インデクサブロック10からバークブロック20へ基板Wを搬送するために使用される。基板載置部PASS1は、3本の支持ピンを備えており(図示せず)、インデクサブロック10の基板移載機構12はキャリアCから取り出した未処理の基板Wを基板載置部PASS1の支持ピン上に載置する。そして、基板載置部PASS1に載置された基板Wを、後述のバークブロック20の搬送ロボットTR1が受け取る。
一方、下側の基板載置部PASS2は、バークブロック20からインデクサブロック10へ基板Wを搬送するために使用される。基板載置部PASS2も3本の支持ピンを備えており(図示せず)、バークブロック20の搬送ロボットTR1は処理済みの基板Wを基板載置部PASS2の3本の支持ピン上に載置する。そして、基板載置部PASS2に載置された基板Wを基板移載機構12が受け取ってキャリアCに収納する。なお、後述の基板載置部PASS3〜PASS10についても、基板載置部PASS1,PASS2と同様の構成を有する。
図4に示すように、基板載置部PASS1,PASS2は、隔壁13の一部に部分的に貫通するようにして設けられている。また、基板載置部PASS1,PASS2には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサーが設けられており(図示せず)、各センサーの検出信号に基づいて、基板移載機構12やバークブロック20の搬送ロボットTR1が基板載置部PASS1,PASS2に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かが判断される。
また、図1に示すように、バークブロック20は、基板Wの表面に反射防止膜を形成するため塗布液を薬液として塗布する下地塗布処理部21と、反射防止膜の塗布形成に付随する熱処理を行う2つの処理タワー22と、下地塗布処理部21及び処理タワー22に対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボットTR1とを備える。
バークブロック20では、下地塗布処理部21が、搬送ロボットTR1を挟んで処理タワー22と対向するように配置されている。具体的には、下地塗布処理部21が装置正面側(−Y側)に、2つの処理タワー22が装置背面側(+Y側)に、それぞれ位置している。また、処理タワー22の正面側には図示しない熱隔壁が設けられている。下地塗布処理部21と処理タワー22とを隔てて配置するとともに熱隔壁を設けることにより、処理タワー22が下地塗布処理部21に熱的影響を与えることを回避できる。
下地塗布処理部21は、図2に示すように、鉛直方向に沿って積層された3つの塗布処理ユニットBRC(下から順に、塗布処理ユニットBRC1,BRC2,BRC3)を備えている。各塗布処理ユニットBRCは、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック211、スピンチャック211上に保持された基板W上に薬液として反射防止膜用の薬液を吐出する塗布ノズル212、スピンチャック211を回転駆動させるスピンモータ(図示せず)、及び、スピンチャック211上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示せず)等を備えている。
また、図3に示すように、インデクサブロック10に近い側(−X側)の処理タワー22には、基板Wを所定の温度にまで加熱する6個のホットプレートHP1〜HP6と、加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持するクールプレートCP1〜CP3とが、鉛直方向に沿って多段に積層されて設けられている。
この処理タワー22には、下から順に、クールプレートCP1〜CP3、ホットプレートHP1〜HP6が積層されている。ホットプレートHP1〜HP6は、下地塗布処理部21にて反射防止膜用の塗布液が塗布された基板Wを加熱して基板W上に反射防止膜を焼成するための熱処理ユニットである。
一方、インデクサブロック10から遠い側(+X側)の処理タワー22には、レジスト膜と基板Wとの密着性を向上させるためにHMDS(ヘキサメチルジシラザン)の蒸気雰囲気で基板Wを熱処理する3個の密着強化処理ユニットAHL1〜AHL3が下から順に積層配置されている。なお、図3中、「×」印で示す箇所は、配管配線部や予備用の処理ユニット等を配置するための空きスペースとして確保されている空間である。
このように塗布処理ユニットBRC1〜BRC3や熱処理ユニット(ホットプレートHP1〜HP6、クールプレートCP1〜CP3、密着強化処理ユニットAHL1〜AHL3)を鉛直方向に沿って多段に積層することにより、基板処理装置1の占有スペースを小さくできるため、装置のフットプリントを削減できる。また、2つの処理タワー22を並設することにより、熱処理ユニットのメンテナンスが容易になるとともに、熱処理ユニットに必要なダクト配管や給電設備を比較的高い位置にまで引き延ばす必要がなくなるという利点がある。
搬送ロボットTR1は、基板Wを略水平姿勢で保持する保持アーム24a,24bを上下2段に近接させて備えている。保持アーム24a,24bのそれぞれは、先端部が平面視で「C」字形状になっており、この「C」字形状のアームの内側部分から内方に突き出た複数本のピンで、基板Wの周縁を下方から支持する。
また、搬送ロボットTR1は、図示しない駆動機構により保持アーム24a,24bを鉛直方向に沿った昇降移動及び鉛直方向に沿った軸心周りの回転動作が可能となるように構成されている。また、搬送ロボットTR1は、保持アーム24a,24bのそれぞれを、互いに独立して水平方向に進退移動させることができる。したがって、保持アーム24a,24bのそれぞれは、昇降移動、水平面内の旋回動作及び旋回半径方向に沿った進退移動のそれぞれが可能となっている。
搬送ロボットTR1は、2台の保持アーム24a,24bをそれぞれ個別に基板載置部PASS1,PASS2、処理タワー22に設けられた熱処理ユニット、下地塗布処理部21に設けられた塗布処理ユニットBRC及び後述の基板載置部PASS3,PASS4に対して進入させて、基板Wの受け渡しを行う。
<レジスト塗布ブロック30>
レジスト塗布ブロック30は、バークブロック20と現像処理ブロック40との間に挟み込まれるようにして設けられており、バークブロック20にて反射防止膜が塗布形成された基板W上にレジストを塗布してレジスト膜を形成する処理ブロックである。
レジスト塗布ブロック30は、下地塗布された反射防止膜の上にレジストを塗布するレジスト塗布処理部31と、レジスト塗布処理に付随する熱処理を行う2つの処理タワー32と、レジスト塗布処理部31及び処理タワー32に対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボットTR2とを備える。本実施形態では、レジストとして化学増幅型レジストが用いられる。
レジスト塗布ブロック30では、レジスト塗布処理部31が、搬送ロボットTR2を挟んで処理タワー32と対向するように配置されている。具体的には、レジスト塗布処理部31が装置正面側(−Y側)に、2つの処理タワー32が装置背面側(+Y側)に、それぞれ位置している。また、処理タワー32の正面側には図示しない熱隔壁が設けられている。このように、レジスト塗布処理部31と処理タワー32とを隔てて配置するとともに熱隔壁を設けることにより、処理タワー32がレジスト塗布処理部31に熱的影響を与えることを回避できる。
レジスト塗布処理部31は、図2に示すように、鉛直方向に沿って積層された3つの塗布処理ユニットSC(下から順に、塗布処理ユニットSC1,SC2,SC3)を備えている。各塗布処理ユニットSCは、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック311、スピンチャック311上に保持された基板W上にレジスト液を吐出する塗布ノズル312、スピンチャック311を回転駆動させるスピンモータ(図示せず)、及び、スピンチャック311上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示せず)を備えている。
また、図3に示すように、インデクサブロック10に近い側(−X側)の処理タワー32には、基板Wを所定の温度にまで加熱する6個の加熱ユニットPHP1〜PHP6が下から順に積層されている。一方、インデクサブロック10から遠い側(+X側)の処理タワー32には、加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持するクールプレートCP4〜CP9が下から順に積層されている。
<加熱ユニットPHP1>
図5は、第1実施形態に係る加熱ユニットPHP1の概略構成を示す部分断面図である。図5に示すように、加熱ユニットPHP1は、主に基板待機部34、基板待機部34の下方に配置される熱処理部35、基板待機部34と熱処理部35との間で基板Wを搬送するローカル搬送機構36を備えている。
基板待機部34は、基板Wが載置される載置プレート341、及び、基板Wを受け取って載置プレート341に載置するための複数(例えば3本)の上下ピン342を主に備えている。基板待機部34は、搬送ロボットTR2が搬送してきたレジストの塗布処理後の基板Wを、一時的に載置するために設けられている。
熱処理部35は、加熱プレート351、複数の上下ピン352、加熱プレート351の上蓋として機能するカバー部材353、カバー部材353を上下に駆動する上下駆動機構354、及び、排気ポンプ355を主に備えている。
加熱プレート351は、その上面にて支持した基板Wを所定温度で加熱する。また、上下ピン352は、その上端部にて基板Wを支持し、図示を省略する駆動機構により上下に移動することで、基板Wを加熱プレート351に載置したり、搬送ロボットTR2やローカル搬送機構36との基板Wの授受を行ったりするために使用される。
また、カバー部材353は、上下駆動機構354により上下に移動可能とされており、加熱プレート351の上方空間を覆うことで、加熱処理のための閉空間を形成する。また、カバー部材353の中央部には、カバー部材353の内側の雰囲気を外部へ排気するため、排気ポンプ355に接続された排気口が形成されている。
ローカル搬送機構36は、基板Wを下方から支持するハンド361と、ハンド361を鉛直方向に上下移動させる上下駆動部362と、上下駆動部362をY軸方向に進退移動させる進退駆動部363とを主に備えている。
進退駆動部363を駆動することにより、ハンド361が上下駆動部362とともにY軸方向に移動する。また、ハンド361には、複数の上下ピン342,352に対応する位置に切り欠きが設けられている(図1参照)。これにより、ハンド361が基板待機部34または熱処理部35に進入して基板Wを搬送する際に、ハンド361と上下ピン342,352とが互いに接触することを防止している。
また、加熱ユニットPHP1〜PHP6は、ユニット載置ボックス321内に収納されている。そして、加熱ユニットPHP1〜PHP6のそれぞれは、仕切り部材322により仕切られている。また、ユニット載置ボックス321の(−Y)側の側面の一部には、基板Wを搬入するためのシャッター部323が設けられている。
このような構成を備えるPHP1に対して、レジスト塗布ユニットSCにてレジストが均一塗布された基板Wが、搬送ロボットTR2により(−Y)側から搬送されてくる。このとき、シャッター部323が開状態とされて、搬送ロボットTR2は、基板Wを当該シャッター部323に進入させて、上下ピン342に受け渡す。そして、搬送ロボットTR2が(−Y側)へ退出した後に、シャッター部323が閉じられて閉状態となる。
一方、基板Wは、上下ピン342が下降することにより、載置プレート341に載置される。そして熱処理部35の加熱処理の準備が整うと、上下ピン342が上昇して、基板Wを上昇させる。なお、基板Wを載置プレート341に載置させずに、上下ピン342が基板Wを載置プレート341の上方に待機させるようにしてもよい。ローカル搬送機構36は、(−Y)側へハンド361を移動させて上下ピン342に支持されている基板Wを受け取ると、再び(+Y)側へハンド361を移動させる。そして、ローカル搬送機構36は、ハンド361を下方に移動させて、(−Y)側へ移動させることによって、基板Wを加熱プレート351上方へ搬送する。
熱処理部35は、基板Wが搬送されてくると、上下ピン352によりハンド361から基板Wを受け取る。そして、ローカル搬送機構36がハンド361を(+Y)側へ退出させると、上下ピン352が下降することにより、基板Wが加熱プレート351に載置される。そしてカバー部材353が下降することにより、基板Wが所定の閉空間内に収納された状態で、加熱処理が実行される。
なお、基板Wを加熱ユニットPHP1から搬出する場合には、加熱ユニットPHP1は、上述の搬入時の動作とは逆の順序で各動作を実行する。すなわち、カバー部材353が上昇して、ローカル搬送機構36が熱処理部35から基板Wを搬出して、基板待機部34に搬入する。そして、当該基板Wを基板待機部34にて一時的に待機させておいて、搬送ロボットTR2が加熱ユニットPHP1から基板Wを搬出する。
以上のように、加熱ユニットPHP1〜PHP6においては、搬送ロボットTR2は、基板待機部に対して基板Wの受け渡しを行う。したがって、加熱プレート351に対して直接的に基板Wの受け渡しが行われないため、搬送ロボットTR2の温度上昇を抑制できる。
また、熱処理部35はローカル搬送機構36側にのみ開口するため、熱処理部35から漏出した熱気により、搬送ロボットTR2やレジスト塗布処理部31が悪影響を受けることが防止される。
再び図1に戻って、レジスト塗布ブロック30とバークブロック20との間には、雰囲気遮断用の隔壁25が設けられている。この隔壁25には、バークブロック20とレジスト塗布ブロック30との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS3,PASS4が鉛直方向に積層されて設けられている。基板載置部PASS3,PASS4は、上述の基板載置部PASS1,PASS2と同様の構成を備えている。
上側の基板載置部PASS3は、バークブロック20からレジスト塗布ブロック30へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、バークブロック20の搬送ロボットTR1が基板載置部PASS3に載置した基板Wをレジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2が受け取る。
一方、下側の基板載置部PASS4は、レジスト塗布ブロック30からバークブロック20へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、レジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2が基板載置部PASS4に載置した基板Wをバークブロック20の搬送ロボットTR1が受け取る。
基板載置部PASS3,PASS4は、隔壁25の一部に部分的に貫通するようにして設けられている。また、基板載置部PASS3,PASS4には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサーが設けられており(図示せず)、各センサーの検出信号に基づいて、搬送ロボットTR1,TR2が基板載置部PASS3,PASS4に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かが判断される。さらに、基板載置部PASS3,PASS4の下側には、基板Wを大まかに冷却するための水冷式の2つのクールプレートWCPが隔壁25を貫通するようにして上下に積層されて設けられている(図4参照)。
搬送ロボットTR2は、搬送ロボットTR1と同様の構成を備える。搬送ロボットTR2は、上下に近接するようにして設けられた2個の保持アームを、それぞれ個別に基板載置部PASS3,PASS4、処理タワー32に設けられた加熱ユニットPHP、レジスト塗布処理部31に設けられた塗布処理ユニットSC及び後述の基板載置部PASS5,PASS6に対して進入させて、基板Wの受け渡しを行う。
<現像処理ブロック40>
現像処理ブロック40は、現像処理ブロック40は、露光処理後の基板Wに対して現像処理を行うための処理ブロックであり、レジスト塗布ブロック30とインターフェイスブロック50との間に挟み込まれるようにして設けられている。レジスト塗布ブロック30と現像処理ブロック40との間には、雰囲気遮断用の隔壁37が設けられている。この隔壁37には、レジスト塗布ブロック30と現像処理ブロック40との間で基板Wの受け渡しを行うために、基板Wを載置する2つの基板載置部PASS5,PASS6が鉛直方向に沿って積層されて設けられている。基板載置部PASS5,PASS6は、上述の基板載置部PASS1,PASS2と同様の構成を備えている。
上側の基板載置部PASS5は、レジスト塗布ブロック30から現像処理ブロック40へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、レジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2が基板載置部PASS5に載置した基板Wを現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3が受け取る。
一方、下側の基板載置部PASS6は、現像処理ブロック40からレジスト塗布ブロック30へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3が基板載置部PASS6に載置した基板Wをレジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2が受け取る。
基板載置部PASS5,PASS6は、隔壁37の一部に部分的に貫通するようにして設けられている。また、基板載置部PASS5,PASS6には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサーが設けられており(図示せず)、各センサーの検出信号に基づいて、搬送ロボットTR2,TR3が基板載置部PASS5,PASS6に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かが判断される。さらに、基板載置部PASS5,PASS6の下側には、基板Wを大まかに冷却するための水冷式の2つのクールプレートWCPが隔壁37を貫通するように鉛直方向に積層されて設けられている(図4参照)。
現像処理ブロック40は、パターンが露光された基板Wに対して現像液を供給して現像処理を行う現像処理部41と、現像処理に付随する熱処理を行う2つの処理タワー42,43と、現像処理部41及び処理タワー42,43に対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボットTR3とを備える。なお、搬送ロボットTR3は、上述した搬送ロボットTR1,TR2と同様の構成を有する。
現像処理部41は、図2に示すように、鉛直方向に沿って積層された5つの現像処理ユニットSD(下から順に、現像処理ユニットSD1,SD2,SD3,SD4,SD5)を備えている。各現像処理ユニットSDは、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック411、このスピンチャック411上に保持された基板W上に現像液を供給するノズル412、スピンチャック411を回転駆動させるスピンモータ(図示せず)及びスピンチャック411上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示せず)等を備えている。
図3に示すように、インデクサブロック10に近い側(−X側)の処理タワー42には、基板Wを所定の温度にまで加熱する5個のホットプレートHP7〜HP11と、加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温させるとともに基板Wを当該所定の温度に維持するクールプレートCP10〜CP13とが設けられている。この処理タワー42では、下から順に、クールプレートCP10〜CP13、ホットプレートHP7〜HP11が鉛直方向に積層されている。
一方、インデクサブロック10から遠い側(+X側)の処理タワー43には、6個の加熱ユニットPHP7〜PHP12とクールプレートCP14とが積層配置されている。各加熱ユニットPHP7〜PHP12は、上述した加熱ユニットPHP1〜PHP6と同様に、基板待機部及びローカル搬送機構を備える熱処理ユニットである。
なお、処理タワー43の加熱ユニットPHP7〜PHP12の基板待機部及びクールプレートCP14のそれぞれは、インターフェイスブロック50の搬送ロボットTR4の側(+X側)に開口しているが、現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3の側(−Y側)には閉塞している。すなわち、加熱ユニットPHP7〜PHP12及びクールプレートCP14に対しては搬送ロボットTR4がアクセス可能であるが、搬送ロボットTR3はアクセス不可能となっている。なお、処理タワー42に組み込まれている熱処理ユニットに対しては搬送ロボットTR3がアクセスする。
また、処理タワー43の最上段には、現像処理ブロック40と、これに隣接するインターフェイスブロック50との間で基板Wの受け渡しを行うための2つの基板載置部PASS7,PASS8が鉛直方向に近接するようにして組み込まれている(図3参照)。そして、基板載置部PASS7,PASS8は、搬送ロボットTR3及び搬送ロボットTR4の両側(すなわち、−Y側と+X側)に対して開口している。
上側の基板載置部PASS7は、現像処理ブロック40からインターフェイスブロック50へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3が基板載置部PASS7に載置した基板Wを、インターフェイスブロック50の搬送ロボットTR4が受け取る。
一方、下側の基板載置部PASS8は、インターフェイスブロック50から現像処理ブロック40へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、インターフェイスブロック50の搬送ロボットTR4が基板載置部PASS8に載置した基板Wを、現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3が受け取る。
<インターフェイスブロック50>
インターフェイスブロック50は、現像処理ブロック40に対して(+X)側に隣接するように設けられ、レジスト膜が形成された基板Wをレジスト塗布ブロック30から受け取って基板処理装置1とは別体の外部装置である露光ユニットEXPに渡すとともに、露光済みの基板Wを露光ユニットEXPから受け取って現像処理ブロック40に渡すブロックである。
本実施形態のインターフェイスブロック50には、露光ユニットEXPとの間で基板Wの受け渡しを行うための搬送機構51の他に、レジスト膜が形成された基板Wの周縁部を露光する2つのエッジ露光ユニットEEW1,EEW2と、現像処理ブロック40内に配設された加熱ユニットPHP7〜PHP12と(図2参照)、クールプレートCP14及びエッジ露光ユニットEEW1,EEW2に対して基板Wを受け渡しする搬送ロボットTR4とを備えている。
エッジ露光ユニットEEW1,EEW2は、図2に示すように、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック52や、このスピンチャック52に保持された基板Wの周縁に光を照射して露光する光照射器53等を備えている。2つのエッジ露光ユニットEEW1,EEW2は、インターフェイスブロック50の中央部において、鉛直方向に積層されて配置されている。搬送ロボットTR4は、エッジ露光ユニットEEWと現像処理ブロック40の処理タワー43とに隣接する位置に配置されており、上述の搬送ロボットTR1〜TR3と同様の構成を備えている。
また、図2に示すように、2つのエッジ露光ユニットEEW1,EEW2の下側には基板戻し用のリターンバッファRBFが設けられ、さらにその下側には2つの基板載置部PASS9,PASS10が鉛直方向に積層されて設けられている。
リターンバッファRBFは、複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚によって構成されており、何らかの障害によって現像処理ブロック40が基板Wの現像処理を行うことができない場合に、現像処理ブロック40の加熱ユニットPHP7〜PHP12で露光後の加熱処理を行った後に、その基板Wを一時的に収納保管しておくものである。このリターンバッファRBFに対しては、搬送ロボットTR4が基板Wの受け渡しを行う。
上側の基板載置部PASS9は、搬送ロボットTR4から搬送機構51に基板Wを渡すために使用される。また、下側の基板載置部PASS10は搬送機構51から搬送ロボットTR4に基板Wを渡すために使用される。
搬送機構51は、図2に示すように、Y方向に水平移動可能な可動台51aを備え、この可動台51a上に基板Wを保持する保持アーム51bを搭載している。保持アーム51bは、可動台51aに対して昇降移動、旋回動作及び旋回半径方向への進退移動が可能に構成されている。搬送機構51は、露光ユニットEXPとの間で基板Wの受け渡しを行うとともに、基板載置部PASS9,PASS10に対する基板Wの受け渡しと、基板送り用のセンドバッファSBFに対する基板Wの収納及び取り出しを行う。
センドバッファSBFは、露光ユニットEXPが基板Wの受け入れをできないときに、露光処理前の基板Wを一時的に収納保管するもので、複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚として構成されている。
以上のインデクサブロック10、バークブロック20、レジスト塗布ブロック30、現像処理ブロック40及びインターフェイスブロック50には、常に清浄空気がダウンフローとして供給されている。これにより、各ブロック内でパーティクルの巻き上がりや気流によるプロセスへの悪影響を回避している。また、各ブロック内は装置の外部環境に対して若干陽圧に保たれており、外部環境からのパーティクルや汚染物質の進入等を抑制している。
<制御機構>
次に、本実施形態の基板処理装置の制御機構について説明する。図6は、第1実施形態に係る基板処理装置1の制御機構の概略を示すブロック図である。同図に示すように、本実施形態の基板処理装置1は、主制御部MC、ブロック制御部BC、ユニット制御部(具体的には、塗布処理ユニット制御部SCC、熱処理ユニット制御部TUC)の3階層からなる制御階層を備えている。
主制御部MC、ブロック制御部BC、ユニット制御部のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、各制御部は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM、及び、制御用アプリケーションやデータ等を記憶しておく記憶部を備えている。
第1階層の主制御部MCは、基板処理装置全体に1つ設けられており、装置全体の管理、メインパネルMPの管理及びブロック制御部BCの管理を主に担当する。メインパネルMPは、主制御部MCのディスプレイとして機能するものである。また、主制御部MCに対してはキーボードKBから種々のコマンドを入力することができる。なお、メインパネルMPをタッチパネルにて構成し、メインパネルMPから主制御部MCに入力作業を行うようにしてもよい。また主制御部MCが備える記憶部MCmには、ホストコンピュータ100から送信される処理の手順が記述された処理レシピD1や、オペレータにより設定される後述の設定情報D2等が格納される。
第2階層のブロック制御部BCは、5つのブロック(インデクサブロック10、バークブロック20、レジスト塗布ブロック30、現像処理ブロック40、インターフェイスブロック50)のそれぞれに対して個別に設けられている。なお、図6では、主にレジスト塗布ブロック30のブロック制御部BCを示している。
ブロック制御部BCは、対応する処理ブロック内の基板搬送管理及びユニットの動作管理を主に担当する。具体的には、各ブロックのブロック制御部BCは、所定の基板載置部に基板Wを置いたという情報を、隣のブロックのブロック制御部BCに送る。そして、その基板Wを受け取ったブロックのブロック制御部BCは、当該基板載置部から基板Wを受け取ったという情報を元のブロックのブロック制御部BCに返す。
なお、このようなブロック制御部BCの情報の送受信は、主制御部MCを介して行われる。そして、各ブロック制御部BCはブロック内に基板Wが搬入された旨の情報を搬送ロボット制御部TRCに与え、該搬送ロボット制御部TRCが搬送ロボット(たとえば、搬送ロボットTR1)を制御してブロック内で基板Wを所定の手順に従って循環搬送させる。なお、本実施形態では、搬送ロボット制御部TRCは、ブロック制御部BC上で所定のアプリケーションが動作することにより実現される(いわばソフトウェア的に実現される)制御部であるが、もちろんハードウェア的に構成されてもよい。
第3階層のユニット制御部としては、例えば塗布処理ユニット制御部SCCや熱処理ユニット制御部TUCが設けられている。塗布処理ユニット制御部SCCは、ブロック制御部BCの指示に従ってブロック内に配置された塗布処理ユニットSCを直接的に制御する。具体的には、塗布処理ユニット制御部SCCは、例えば塗布処理ユニットSCのスピンモータを制御して基板Wの回転数を調整する。
また、熱処理ユニット制御部TUCは、ブロック制御部BCの指示に従ってブロック内に配置された熱処理ユニット(ホットプレートHP、クールプレートCP、加熱ユニットPHP)を直接的に制御する。具体的には、熱処理ユニット制御部TUCは、例えば加熱ユニットPHP1の加熱プレート351等に内蔵されたヒータを制御して温度調整したり、上下駆動機構354を制御してカバー部材353を上下に移動させたりする。
また、基板処理装置に設けられた3階層からなる制御階層のさらに上位の制御機構として、基板処理装置とLAN回線を介して接続されたホストコンピュータ100が位置している(図1参照)。ホストコンピュータ100は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM及び制御用アプリケーションやデータ等を記憶しておく磁気ディスク等を備えており、一般的なコンピュータと同様の構成を有している。
なお、ホストコンピュータ100には、通常、本実施形態の基板処理装置1が複数台接続されている。ホストコンピュータ100は、接続されているそれぞれの基板処理装置1に処理手順及び処理条件を記述した処理レシピD1を渡す。ホストコンピュータ100から渡された処理レシピD1は各基板処理装置1の主制御部MCの記憶部MCmに記憶される。
また、露光ユニットEXPには、上記の基板処理装置の制御機構から独立した別個の制御部が設けられている。すなわち、露光ユニットEXPは、基板処理装置1の主制御部MCの制御下で動作しているものではなく、単体で独自の動作制御を行っているものである。もっとも、このような露光ユニットEXPもホストコンピュータ100から受け取った処理レシピD1に従って動作制御を行っており、露光ユニットEXPにおける露光処理と同期した処理を基板処理装置1が行うこととなる。
<1.2. 基板処理装置1の動作説明>
次に、本実施形態に係る基板処理装置1の動作について説明する。以下に説明する処理手順は、ホストコンピュータ100から受け取った処理レシピD1の記述内容に従って図6に示す制御機構が各要素を制御することにより実行される。
まず、未処理の基板Wを収納しているキャリアCが、AGV(Automated Guided Vehicle)等により、装置外からインデクサブロック10に搬入される。続いて、インデクサブロック10から未処理の基板Wの払い出しが行われる。具体的には、インデクサブロック10の基板移載機構12が、キャリアCから未処理の基板Wを取り出し、基板載置部PASS1に載置する。
基板載置部PASS1に未処理の基板Wが載置されると、バークブロック20の搬送ロボットTR1が保持アーム24a,24bのうちの一方を使用して、基板Wを受け取る。そして、搬送ロボットTR1は、受け取った未処理の基板Wを塗布処理ユニットBRC1〜BRC3のいずれかに搬送する。塗布処理ユニットBRCでは、基板Wの表面に反射防止膜(BARC)を形成するための塗布液が薬液として回転塗布される。塗布処理が完了すると、搬送ロボットTR1は、基板WをホットプレートHP1〜HP6のいずれかに搬送する。
ホットプレートHP1〜HP6のいずれかに基板Wが搬入されると、所定温度での加熱処理が実行される。そして加熱処理が完了すると、ホットプレートHP1〜HP6から基板Wが搬出される。
搬出された基板Wは次工程(レジスト塗布工程)に十分な程度には冷却されていないため、搬送ロボットTR1によってクールプレートCP1〜CP3のいずれかに搬送されて冷却される。なお、このときにクールプレートWCPによって基板Wを冷却するようにしてもよい。冷却後の基板Wは搬送ロボットTR1によって基板載置部PASS3に載置される。
なお、反射防止膜用の塗布液を塗布する前に、脱水処理を行うようにしてもよい。この場合には、基板処理装置1は、基板載置部PASS1に載置された未処理の基板Wを搬送ロボットTR1により密着強化処理ユニットAHL1〜AHL3のいずれかに搬送し、HMDSの蒸気を供給することなく基板Wに対して脱水のための加熱処理(デハイドベーク)を行う。
基板Wが基板載置部PASS3に載置されると、レジスト塗布ブロックの搬送ロボットTR2がその基板Wを受け取って塗布処理ユニットSC1〜SC3のいずれかに搬送する。塗布処理ユニットSC1〜SC3では、反射防止膜が形成された基板Wに対して、レジストが回転塗布される。なお、レジスト塗布処理には精密な基板温度調整が要求されるため、基板Wを塗布処理ユニットSC1〜SC3に搬送する直前にクールプレートCP4〜CP9のいずれかに搬送して、温度調整するようにしてもよい。
レジスト塗布処理が終了した後、基板Wは搬送ロボットTR2によって加熱ユニットPHP1〜PHP6のいずれかに搬送される。加熱ユニットPHP1〜PHP6にて、基板Wが加熱処理されることにより、レジスト中の溶媒成分が除去されて基板W上にレジスト膜が形成される。その後、搬送ロボットTR2により加熱ユニットPHP1〜PHP6から取り出された基板Wは、クールプレートCP4〜CP9のいずれかに搬送されて冷却される。冷却後の基板Wは搬送ロボットTR2によって基板載置部PASS5に載置される。
レジスト塗布処理が行われてレジスト膜が形成された基板Wが基板載置部PASS5に載置されると、現像処理ブロックの搬送ロボットTR3がその基板Wを受け取ってそのまま基板載置部PASS7に載置する。そして、基板載置部PASS7に載置された基板Wは露光後ベークブロックの搬送ロボットTR4によって受け取られ、エッジ露光ユニットEEW1,EEW2のいずれかに搬入される。
エッジ露光ユニットEEW1,EEW2においては、基板Wの周縁部の露光処理が行われる。エッジ露光処理が終了した基板Wは搬送ロボットTR4によって基板載置部PASS9に載置される。そして、基板載置部PASS9に載置された基板Wはインターフェイスブロック50の搬送機構51により受け取られ、露光ユニットEXPに搬入されてパターン露光処理に供される。
本実施形態では化学増幅型レジストを使用しており、基板W上に形成されたレジスト膜のうち露光された部分において、光化学反応により酸が生成され、この酸が触媒となって連鎖反応が起こる。なお、エッジ露光処理が終了した基板Wを露光ユニットEXPに搬入する前に、搬送ロボットTR4によってクールプレートCP14に搬入して冷却処理を行うようにしてもよい。
パターン露光処理が終了した露光済みの基板Wは、露光ユニットEXPから再びインターフェイスブロック50に戻され、搬送機構51により基板載置部PASS10に載置される。露光後の基板Wが基板載置部PASS10に載置されると、搬送ロボットTR4がその基板Wを受け取って、処理タワー43の加熱ユニットPHP7〜PHP12のいずれかに搬送する。
加熱ユニットPHP7〜PHP12は、露光後加熱処理(Post Exposure Bake)を行うことで、レジストの樹脂の架橋・重合等の反応を進行させて現像液に対する溶解度を露光部分で局所的に変化させる。露光後加熱処理が終了した基板Wは、冷却機構を備えるローカル搬送機構(加熱ユニットPHP7〜PHP12内の搬送機構)により基板待機位置に搬送されることで冷却され、上記化学反応が停止する。続いて基板Wは、搬送ロボットTR4によって加熱ユニットPHP7〜PHP12から取り出されて、基板載置部PASS8に載置される。
基板載置部PASS8に基板Wが載置されると、現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3がその基板Wを受け取ってクールプレートCP10〜CP13のいずれかに搬送する。クールプレートCP10〜CP13においては、露光後加熱処理が終了した基板Wがさらに冷却され、所定温度に正確に調整される。
その後、搬送ロボットTR3は、クールプレートCP10〜CP13から基板Wを取り出して現像処理ユニットSD1〜SD5のいずれかに搬送する。現像処理ユニットSD1〜SD5では、基板Wに現像液を供給して現像処理を進行させる。やがて現像処理が終了した後、基板Wは搬送ロボットTR3によりホットプレートHP7〜HP11のいずれかに搬送され、さらにその後クールプレートCP10〜CP13のいずれかに搬送される。
クールプレートCP10〜CP13のいずれかにて所定温度まで冷却されると、基板Wは搬送ロボットTR3により基板載置部PASS6に載置される。基板載置部PASS6に載置された基板Wは、レジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2によりそのまま基板載置部PASS4に載置される。さらに、基板載置部PASS4に載置された基板Wは、バークブロック20の搬送ロボットTR1によりそのまま基板載置部PASS2に載置されることにより、インデクサブロック10に格納される。
基板載置部PASS2に載置された処理済みの基板Wはインデクサブロックの基板移載機構12により所定のキャリアCに収納される。その後、所定枚数の処理済み基板Wが収納されたキャリアCが装置外部に搬出されて一連のフォトリソグラフィー処理が完了する。
次に、加熱ユニットPHP1を例にとり、熱処理部35にて先に処理する基板Wの処理条件と次に処理する基板Wの処理条件が特定の処理条件の組み合わせである場合に、次の基板Wの熱処理部35への搬送時機を所定時間遅延させる動作について、図7を参照しつつ説明する。
図7は、第1実施形態に係る加熱ユニットPHP1の動作を示す流れ図である。まず、熱処理ユニット制御部TUCは、レジストが均一に塗布された基板W(第1基板)を加熱ユニットPHP1にて処理するために、加熱処理に関する処理条件(第1基板の処理条件)を取得する(ステップS1)。
なお、加熱処理に関する処理条件には、本実施形態では、加熱ユニットPHP1での基板Wの加熱温度等が含まれる。また、処理条件は、主制御部MCが記憶部MCmに保存されている処理レシピD1を参照することにより取得され、主制御部MCから熱処理ユニット制御部TUCへ送信される。
基板Wの処理条件の取得が完了すると、熱処理ユニット制御部TUCは、搬送ロボットTR2により搬送される基板Wを受け取って、基板Wを搬入する(ステップS2)。具体的には、加熱ユニットPHP1は、当該基板Wを基板待機部34にて受け取る。そして熱処理ユニット制御部TUCは、基板Wを熱処理部35に搬送して、ステップS1にて取得した加熱処理の処理条件にしたがって、基板Wの加熱処理を実行する(ステップS3)。
この加熱処理が完了すると、熱処理ユニット制御部TUCは、基板Wを熱処理部35から搬出して基板待機部34に搬送する。そして加熱ユニットPHP1は、基板Wを搬送ロボットTR2へ受け渡して、基板Wを搬出する(ステップS4)。搬送ロボットTR2は、当該基板WをクールプレートCP4〜CP9のいずれかに搬送する。
次に、熱処理ユニット制御部TUCは、加熱ユニットPHP1で処理すべき次の基板W(第2基板)が存在するか否かを判定する(ステップS5)。この判定は、例えば、直前にレジスト塗布ユニットSCでの塗布処理が完了した基板Wがあるか検出したり、基板待機部34に設けたセンサーにより処理待ちの基板Wを検出したりすることで実現される。
次に処理すべき基板Wが存在する場合には(ステップS5にてYES)、熱処理ユニット制御部TUCは、当該次の基板Wの加熱処理に関する処理条件(第2基板の処理条件)を取得する(ステップS6)。この工程は、ステップS1の基板Wの処理条件の取得の場合と同様に実行される。
そして、熱処理ユニット制御部TUCは、ステップS1にて取得した先の基板Wの処理条件(第1基板の処理条件)と、ステップS6にて取得した次の基板Wの処理条件(第2基板の処理条件)とが、特定の処理条件の組み合わせ(コンビネーション)であるか否かを判定する(ステップS7)。そして、特定の処理条件の組み合わせであると判定される場合には(ステップS7においてYES)、基板処理装置1は、特定の組み合わせに関連づけられている待ち処理を実行する(ステップS8)。
図8は、第1実施形態に係る設定情報D2を示す図である。この設定情報D2は、オペレータが予めホストコンピュータ100や主制御部MCに所定の操作入力を行うことで生成されるデータである。図8に示すように、設定情報D2には、具体的に、
「(1)先の基板Wの加熱温度が100℃であり、(2)次の基板Wの加熱温度が120℃である。」
といったように、先の基板Wと次の基板Wについての特定の処理条件の組み合わせが記述されている。なお、このような特定の処理条件の組み合わせは、1組だけであってもよいし、複数組設定されてもよい。
ステップS7においては、熱処理ユニット制御部TUCにより、ステップS1で取得した先の基板Wの処理条件とステップS6で取得した次の基板Wの処理条件とが、記憶部MCmに格納されている設定情報D2に記述された特定の処理条件の組み合わせに該当するかどうかが照合される。
また、図8に示すように、設定情報D2には、特定の処理条件の組み合わせのそれぞれに対して、待ち処理の内容が記述されている。具体的には、次の基板Wを「基板待機部34にて30秒間待機させる。」といったものである。待ち処理の内容には、基板Wの待機場所と待機時間に関する情報が含まれており、上述の特定の処理条件の組み合わせ毎にオペレータにより設定される。したがって、特定の処理条件の組み合わせが異なれば、待ち処理の内容も異なることもある。
ステップS8の待ち処理では、次に処理されるべき基板W(第2基板)が熱処理部35にそのまま搬入されずに、所定の位置に所定時間の間待機される。そして所定時間が経過した後に、次の基板Wが熱処理部35に搬入される。
すなわち、熱処理ユニット制御部TUCは、ステップS7において、特定の処理条件の組み合わせであると判定した場合に、当該組み合わせに該当する待ち処理の内容に従って待ち処理を実行する。
換言すれば、本実施形態に係る基板処理装置1では、先の基板Wの処理条件と次の基板Wの処理条件とに基づいて、次の基板Wの熱処理部35に対する搬送のタイミング(搬送時機)が決定される。そして、特定の処理条件の組み合わせである場合には、次の基板Wを所定の待機位置に待機させることで、次の基板Wの搬送時機を所定時間遅延させていることとなる。
なお、この待ち処理を実行している間は、熱処理ユニット制御部TUCは、先の基板Wが熱処理部35から搬出された後に、一旦カバー部材353を下降させて、加熱プレート351上に閉空間を形成した状態で、次の基板Wの処理条件に合わせて(例えば、加熱温度が120℃)加熱プレート351を予備加熱する。その間、熱処理部35では、排気ポンプ355の動作により、カバー部材353の内側の雰囲気が継続的に外部に排出される。
ステップS8の待ち処理が完了した場合や、ステップS7において熱処理ユニット制御部TUCが特定の処理条件の組み合わせではないと判断した場合には(ステップS7にてNO)、基板待機部34に待機している次の基板Wがローカル搬送機構36により熱処理部35に搬入される(ステップS9)。
基板Wの搬送が完了すると、熱処理ユニット制御部TUCは、ステップS6にて取得した次の基板Wの処理条件に基づいて加熱処理を実行する(ステップS10)。そして、加熱処理が完了すると、熱処理ユニット制御部TUCは、基板Wを熱処理部35から搬出し(ステップS11)、基板待機部34に載置する。基板待機部34に載置された基板Wは、搬送ロボットTR2によりクールプレートCP4〜CP9のいずれかに搬送される。
基板Wの搬出が完了すると、熱処理ユニット制御部TUCは、再びステップS5に戻り、次に処理すべき基板Wの有無を判定し、以降の動作を繰り返し実行する。以上が、加熱ユニットPHP1の動作説明である。
<1.3. 効果>
本実施形態に係る基板処理装置1によれば、次の基板Wの搬入時機を遅延させる特定の処理条件(ここでは加熱温度)の組み合わせを、オペレータが予め適当に設定しておくことで、先の基板処理と次の基板処理との間で、適切な時間間隔を設けることができる。
また、本実施形態では、特定の処理条件の組み合わせ内容を、設定情報D2としてオペレータが予め登録している。したがって、各処理部において待ち処理を適宜実行するようにオペレータが処理レシピD1上で逐一指示する必要がなくなるため、指示ミス等による歩留まり低下も防止できる。
特に、熱処理に関しては、温度条件が異なることで、基板Wの品質にムラが生じるおそれがある。したがって、熱処理の温度管理は特に厳密に管理される必要があるが、本実施形態に係る基板処理装置1では、上述のように待ち処理を適切に実行させることができるため、温度調整するための時間を適切に確保できる。
また、レジストが塗布された後の基板Wを加熱ユニットPHP1〜PHP6で加熱処理すると、レジストの昇華物が排気ポンプ355により熱処理部35から排出される。しかし、加熱プレート351の近辺に比べて、カバー部材353付近は低温であるため、昇華物が固体化し易い環境となっている。また、基板Wの搬出のためにカバー部材353が上昇すると、カバー部材353の内側で気温低下が起こり、より多くの昇華物が固体化してカバー部材353に付着する。このような状態で、再びカバー部材353が下降して、加熱プレート351が熱せられると、カバー部材353に付着していたレジストの固体物が昇華することとなるが、このときの温度が高ければ高いほど、カバー部材353付近の温度も高くなるために、昇華がより起こりやすくなる。この昇華物の排気が足りない場合には、残存する昇華物が再び固体化して、搬送されてきた次の基板Wに付着して後の処理に不具合が生じるおそれがある。
このような問題に対して、本実施形態に係る基板処理装置1では、特定の条件下において、次の基板Wの搬送時機を適切に遅延させることができるため、排気時間を十分に確保することが可能となっている。したがって、処理部昇華物の飛散に起因する種々の不具合(例えば現像欠陥等)の発生を効果的に防止できる。
<2. 第2実施形態>
上記実施形態では、特定の処理条件として処理温度情報を取得するようにしていたが、特定の処理条件の組み合わせの条件として、処理温度だけでなく、熱処理する際の基板に塗布されている薬液の種類を含ませてもよい。
具体的には、
「(1)先の基板Wの処理温度が100℃で塗布されている薬液が組成1のレジストであり、(2)次の基板Wの処理温度が120℃である。」
といったように、特定の処理条件の組み合わせの条件として、特定の薬液情報を含むようにしてもよい。
これによると、塗布処理ユニットSCにて基板毎に組成の異なるレジストを塗布するような場合に、レジストの組成により、昇華物の発生量や昇華のし易さ、次の基板Wへ付着したときの影響の程度等が異なってくる。そこで、基板に塗布されているレジストの種類を、特定の処理条件の組み合わせの条件設定に含めることで、基板製造の歩留まり低下を抑制できる。
また、
「(1)先の基板Wの処理温度が100℃で加熱時間がX分間処理であり、(2)次の基板Wの処理温度が120℃である。」
といったように、特定の処理条件の組み合わせの条件に、加熱処理の時間を含むようにしてもよい。
また、先の基板Wの処理温度よりも、次の基板Wの処理温度が低い場合に、待ち処理を実行させることも有効である。すなわち、特定の処理条件の組み合わせとして、
「(1)先の基板Wの処理温度が120℃であり、(2)次の基板Wの処理温度が90℃である。」
に設定し、待ち処理の条件を適切に設定することで、加熱プレート351の温度が90℃以下にまで冷やすための時間を確保できる。したがって、次の基板Wが90℃を越える高温で処理されることを抑制できる。したがって、基板製造の歩留まり低下を防止できる。
また、
「(1)先の基板Wの処理温度が100℃であり、(2)次の基板Wの処理温度の先の基板のWの処理温度との差が30℃である。」
といったように、温度差で条件設定できるようにすることも妨げられない。
<3. 変形例>
上記実施形態では、加熱ユニットPHP1〜PHP6において処理する基板Wの処理条件が特定の処理条件の組み合わせのときに、待ち処理を実行させていたが、その他の熱処理ユニット(ホットプレートHP1〜HP11、コールドプレートCP1〜CP14、加熱ユニットPHP7〜PHP12、密着強化処理ユニットAHL1〜AHL3)で処理する場合において待ち処理を実行させることも有効である。
特に、露光ユニットEXPでのパターン露光処理が完了した後、加熱ユニットPHP7〜PHP12で実行される加熱処理(PEB:post Exposure Bake)の場合、他の工程における加熱処理の場合よりも厳密に温度を管理することが望ましい。そこで、上記実施形態と同様に、加熱ユニットPHP7〜PHP12において、先に処理する基板Wとその次に処理する基板Wの温度条件が、特定の温度条件の組み合わせである場合に、次の基板Wを所定位置に待機させる(すなわち、搬入時機を遅延させる)ように設定情報D2を生成することで、加熱ユニットPHP7〜PHP12の備える熱処理部が温度調整するための時間を確保できる。
また、塗布処理ユニットBRC1〜BRC3にて基板Wの表面に反射防止膜(本実施形態ではBARC)を形成するための塗布液を塗布し、その基板WをホットプレートHP1〜HP6にて加熱して反射防止膜を焼成する場合には、多量の昇華物が生じることが知られている。そこで、ホットプレートHP1〜HP6において、前後の基板Wの処理条件が、特定の処理条件の組み合わせのときに、適切な待ち処理を実行させるように予めオペレータが設定することで、基板製造の歩留まり低下をより効果的に抑制できる。
また、上記実施形態では、バークブロック20を反射防止膜の形成用に構成しているが、これに代えて、基板Wの表面に薬液として下層膜を形成するための塗布液を塗布し、その基板WをホットプレートHP1〜HP6にて加熱することによって基板W上に下層膜を焼成するものであってもよい。
なお、下層膜とは、近年の微細加工プロセスにも対応可能なエッチングマスクとして開発されたものであり、レジスト膜の下層に形成される塗布炭素膜(SOC:Spin-on Carbon Hard Mask)である。この塗布炭素膜の下層膜の特徴は、低反射率でエッチング耐性が高いことである。
このような特徴を有する下層膜を形成するプロセスは、下層膜薬液(下層膜を形成するための塗布液)を上記反射防止膜と同様の手法によって基板Wの表面に塗布し、その基板Wを加熱してカーボン以外の成分を焼き飛ばして不純物含有量が最小限のカーボン膜を焼成するというものである。
使用する薬液の種類にもよるが、通常、下層膜の焼成処理温度は反射防止膜(BARC)の焼成処理温度よりも高温である。そして、下層膜の焼成処理時にカーボン以外の成分を焼き飛ばした結果として大量の(反射防止膜焼成時以上の)昇華物が発生する。そこで、このような下層膜を形成するための熱処理部に対して、前後の基板Wの処理条件の組み合わせが、特定の処理条件の組み合わせの際に、適切な待ち処理を実行させることで、基板製造の歩留まり低下をより効果的に抑制できる。
また、上記実施形態では、熱処理を行う熱処理部に次の基板Wを搬入するタイミングを決定する場合について説明したが、例えば、塗布処理ユニットBRC,SCや現像処理ユニットSD等、他の処理部に次の基板Wを搬入する時機を決定するような場合にも適用できる。例えば、塗布処理ユニットBRC,SC、現像処理ユニットSDにおいて、次の基板Wに先の基板Wとは異なる組成の薬液を塗布するような場合、ノズル212,412や塗布ノズル312で予備的吐出を行うことがある。そこで、これらの処理部において、先の基板Wの処理条件と後の基板Wの処理条件とが特定の処理条件の組み合わせである場合に、次の基板Wを所定位置で待機させる待ち処理を実行するように構成することも有効である。
また、本発明に係る熱処理装置によって処理の対象となる基板は半導体ウエハに限定されるものではなく、液晶ガラス基板であってもよい。また、本発明は、加熱処理時に昇華物が発生する基板上の種々の被膜に対して有効であり、例えば、液晶表示装置のカラーフィルタ用に用いられるカラーレジスト膜を焼成する熱処理部等にも好適に使用できる。
また、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。