JP5579683B2 - フェライト−パーライト型非調質鍛造部品の製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、この鋼で得られる降伏強度は800MPa程度までであるため、一層の高強度化を目指すべく、下記のような多くの取り組みがなされている。
ここで、一つの部品内に強度差を付与させる技術としては、浸炭処理、肌焼処理、窒化処理、部分焼入れなど、熱処理を用いれば実現できることは知られているが、非調質で強度差を付与できる技術については報告されていない。
鍛造部品において高強度化を実現するためには、鋼の冷却中に変態と同時に起こる相界面析出を活用することにより、微細な析出物を均一に分散させることができ、大きな析出強化量を確保できることが知られている。ここで、本発明の目標とする降伏強度950MPa以上を実現するには、加熱処理工程において炭化物形成元素を多量に固溶させておき、その後の変態で析出させる必要がある。しかし、非調質鍛造部品用の鋼に使われる中炭素鋼は炭素の含有量が多く、炭化物が非常に安定に形成されるため、炭化物形成元素を多量に溶かすことが難しい。加えて、非調質鍛造部品用の鋼は、冷却中に析出物を析出させる必要があるため、変態と同時に析出できるような析出強化能力のある元素を含有させることが重要である。この様な条件を満たす元素および含有量について検討した結果、Vが最適であり、目標の降伏強度とするには0.2質量%以上含有させることが必要であることを見出した。
以上の知見から、本発明者らは以下の本発明を創出した。
TVC(℃)=−9500/(log([%C]・[%V])−6.72)−273・・・(1)
(ただし、前記式(1)において、[%C]、[%V]は、前記C、前記Vの各含有量(質量%)とする。)
その結果、高強度化させる部分(降伏強度:950MPa以上)と低強度化させる部分(降伏強度:800MPa以下)との降伏強度の差の最大値を150MPa以上とすることができる。
TVC(℃)=−9500/(log([%C]・[%V])−6.72)−273・・・(1)
(ただし、前記式(1)において、[%C]、[%V]は、前記C、前記Vの各含有量(質量%)とする。)
また、熱間鍛造工程において、被加工材の低強度化させる部分に冷却材を吹き付けることで、低強度化させる部分については、比較的低温の状態で熱間鍛造することができるため、オーステナイト中に形成される粗大なVCを積極的に分散させることができる。
本発明に係るフェライト−パーライト型非調質鍛造部品の製造方法は、鍛造金型の小径部の内径に対する被加工材の外径の比を所定値以下に制限していることから、被加工材の他端側であって径方向外側の部分が一端側に流動することを防止し(または流動する量を極めて少なくし)、前記のような軸部とフランジ部の境界において所望の強度が得られないといった事態を回避することができる。
また、前記境界に加えて軸部も局所冷却することにより、当該境界の冷却速度が適切に大きくならない場合であっても、隣接する軸部が冷却されることで当該境界の冷却速度を所定の冷却速度(0.5℃/s以上)に制御することができる。
なお、冷却工程において、フランジ部の外周縁部分は局所冷却しないため、通常、薄肉であることにより自然放熱で十分冷却されるフランジ部の冷却速度が大きくなりすぎるのを防止する(2.0℃/s以下とする)ことができる。
なお、フェライト−パーライト型とは、フェライト−パーライトを主体(例えばフェライト及びパーライトの合計が面積率で70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上)とするものである。
本発明に係る鍛造部品の製造方法で用いる鋼は、C:0.20〜0.80質量%、Si:0.50質量%以下、Mn:0.40〜1.00質量%、P:0.050質量%以下、S:0.050質量%以下、V:0.20〜0.80質量%、N:0.0100質量%以下を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる。
以下に、本発明に係る鍛造部品の製造方法で用いる鋼の各組成を数値限定した理由について説明する。
Cを0.20質量%以上含有させると、Vと結び付きV炭化物を析出させ、析出強化量を高めることでフェライト−パーライトで鋼の降伏強度(ビッカース硬さ)の向上に寄与する。一方、Cの含有量が0.80質量%を超えると、フェライト変態やパーライト変態が抑制されるため、ベイナイトが形成されるようになり、相界面析出が起こらなくなることで降伏強度が低下する。
したがって、Cの含有量は、0.20〜0.80質量%とする。
なお、好ましくはCの含有量は、0.30〜0.60質量%、さらに好ましくは0.40〜0.50質量%である。
Siは、固溶強化で降伏強度(ビッカース硬さ)の向上に寄与するが、Siの含有量が0.50質量%を超えると、焼入れ性が高くなり、ベイナイトが形成され降伏強度低下の要因となる。
したがって、Siの含有量は、0.50質量%以下とする。なお、0質量%でもよい。
Mnは、固溶強化で降伏強度(ビッカース硬さ)の向上に寄与するが、Mnの含有量が1.00質量%を超えると、焼入れ性が高くなり、ベイナイトが形成され降伏強度低下の要因となる。また、Mnの含有量が0.40質量%未満であると、Mnの添加による降伏強度の向上の効果が得られない。
したがって、Mnの含有量は、0.40〜1.00質量%とする。
Pは、鋼に不可避的に含まれるが、Pの含有量が0.050質量%を超えると、鋼を脆化させてしまう。
したがって、Pの含有量は、0.050質量%以下とする。なお、0質量%でもよい。
Sは、鋼に不可避的に含まれ、Mnと反応しMnSを形成して切削性改善に寄与するが、Sの含有量が0.050質量%を超えると、靭性を低下させてしまう。
したがって、S含有量は0.050質量%以下とする。なお、0質量%でもよい。
Vを0.20質量%以上含有させることにより、フェライトおよびパーライト中のラメラフェライト中にV炭化物もしくは炭窒化物として析出することでフェライトおよびパーライトを強化し、降伏強度(ビッカース硬さ)を向上させることができる。一方、Vの含有量が0.80質量%を超えると、熱間鍛造工程後の冷却工程において、フェライト変態やパーライト変態が抑制されてベイナイトが形成されるようになり、降伏強度が低下してしまう。
なお、従来からVの添加は行われていたものの、後記する本発明に係る冷却工程のような冷却制御を行なわない場合は、フェライト−パーライト変態が抑制されてしまうことにより、ベイナイトが形成されたり、変態温度が低くなりすぎフェライト中のVCの相界面析出が起こりにくくなったりしてしまう。よって、逆に降伏強度の低下を招いてしまっていた。
前記事項を考慮し、本発明に係る鍛造部品の製造方法で用いる鋼のVの含有量は、0.20〜0.80質量%とする。
なお、好ましくはVの含有量は、0.35〜0.80質量%、さらに好ましくは0.45〜0.80質量%である。
Nは、Vと結合しV炭窒化物を形成することで析出強化に寄与するが、Nの含有量が0.0100質量%を超えると、加熱時に溶解しなくなり、粗大なV窒化物が形成される。その結果、VN近傍にVの枯渇領域が形成され、その周囲の析出強化量が低下し、降伏強度を低下させてしまう。
したがって、Nの含有量は、0.0100質量%以下とする。なお、0質量%でもよい。
不可避不純物としては、例えば、Sn、Sb、O等が挙げられ、本発明の効果を妨げない範囲で含有することが許容される。
本発明に係る鍛造部品の製造方法で用いる被加工材は、前記組成の鋼から構成される。なお、当該被加工材に対し、後記する各工程の処理を施すことにより、十分な降伏強度が付与された部分(高強度化させる部分)と、切削加工性を向上させるために降伏強度が抑えられた部分(低強度化させる部分)とを形成させる。
なお、本発明に係る鍛造部品の製造方法で用いる被加工材は、例えば、鋳造、鍛造加工、押出加工等によって準備すればよい。
なお、鍛造部品は、基本的に高強度化が要求されるものであるため、切削加工性を向上させる必要がある部分以外の全ての部分を、高強度化させる部分Xと判断してもよい。
被加工材を本発明の製造方法で製造した鍛造部品の形状については、特に限定されないが、例えば、図3に示すように、軸部と当該軸部よりも大径に形成されたフランジ部とから構成される形状であってもよい。当該形状は、自動車部品等に用いられる形状であり、フランジ部は薄肉化、軽量化が求められる部位であり、高強度化させる部分Xに該当し、軸部は外表面にスプライン加工や内面穴加工等、熱間鍛造後の機械加工領域が大きい部位であり、低強度化させる部分Yに該当する。また、フランジ部と軸部との境界の表面部分Zに応力が集中するため、当該境界も高強度化させる部分Xに該当する。
なお、フランジ部は、図3に示すように、通常、薄肉に形成されるものであり、「薄肉」とは、フランジ部の厚さ/軸部の最小外半径<0.5となる状態である。
加熱処理工程は、前記鋼からなる被加工材を、下記式(1)で算出されるTVC+50℃以上、1350℃以下となるように加熱する工程である。
ここで、TVCは、TVC(℃)=−9500/(log([%C]・[%V])−6.72)−273・・・(1)で表される。ただし、前記式(1)において、[%C]、[%V]は、前記C、前記Vの各含有量(質量%)とする。
なお、加熱処理工程は、図1の(a)と(b−1)の間で表わされる。
加熱処理工程において、被加工材を、TVC+50℃以上、1350℃以下となるように加熱する。これは、VCが完全に固溶する温度TVCから、さらに50℃上げた温度(TVC+50℃)以上に加熱することで、鋼のVCを完全に固溶させるためである。
ここで、TVCはVCの溶解度積(日本鉄鋼協会、鉄鋼便覧第3版、第1巻基礎、1981年、p.412)から式変形して導出した温度であり、当該温度以上に加熱することで鋼のVCは完全に固溶する。なお、実際には、当該温度に加熱しても加熱時間が短いとVCが完全には固溶しない場合があるので、加熱時間によらず完全にVCを固溶できる温度として、TVC+50℃以上という温度を規定した。
なお、加熱処理工程での温度とは、加熱処理工程での被加工材の最高到達温度とする。
加熱処理工程において、被加工材をTVC+50℃以上、1350℃以下に加熱するが、加熱する手段については、特に限定されず、被加工材全体を、均一に加熱できるものであればよい。
加熱処理工程における熱履歴は、図2の時間t0→t2に示すとおりである。
時間t0→t1において、被加工材の温度をT0→T1まで上昇させるが、この間の加熱速度については、加熱手段の性能によるものであり、特に限定されない。しかし、図2に示すとおり、略均一の加熱速度で加熱するのが好ましい。なお、T1は、TVC+50℃以上、1350℃以下である。
時間t1→t2の加熱保持時間については、特に限定されないが、製造時の安定性、生産性の観点から、60秒以上、1時間以下が好ましい。
熱間鍛造工程は、加熱処理工程の後に行う工程であり、被加工材の高強度化させる部分Xについては、1000℃以上、加熱処理工程における加熱温度以下とし、かつ、被加工材の低強度化させる部分Yについては、AC3点以上、950℃以下として、熱間鍛造を行い、当該熱間鍛造により低強度化させる部分Yの相当歪量を0.2以上とする工程である。
なお、熱間鍛造工程は、図1の(b−1)および(b−1)と(c−1)の間の工程である。
高強度化させる部分Xについては、1000℃以上、加熱処理工程における加熱温度以下として、熱間鍛造を行う。
これは、1000℃未満になると、熱間鍛造温度が低下し組織は微細化されるが、VCがオーステナイト中に析出することで、フェライト変態時にフェライト中に微細に相界面析出できる析出量が低下してしまうため、高強度化を確保できなくなるからである。
熱間鍛造を行う直前に、高強度化させる部分Xの温度が、1000℃以上、加熱処理工程における加熱温度以下となっていれば、熱間鍛造中の温度は特に限定されない。しかし、熱間鍛造を行う処理の間、高強度化させる部分Xの温度が1000℃以上、前記加熱処理工程における加熱温度以下となっていることが好ましい。
低強度化させる部分Yについては、AC3点以上、950℃以下として、熱間鍛造を行い、当該熱間鍛造により当該低強度化させる部分Yの相当歪量を0.2以上とする。
これは、AC3点未満だと、鍛造前にフェライトが形成された状態となり、この状態で鍛造を行うと、フェライト中に歪が導入され強度が向上してしまい、低強度化を確保できなくなるためである。
さらに、相当歪量0.2以上と規定したのは、低強度化させる部分Yについて、オーステナイト域でVCを粗大に分散させる必要があり、そのためには、VCの核生成サイトとなる転位をオーステナイト中に残存させなければならないからである。なお、相当歪量は生産性の観点より、7以下であることが好ましい。
熱間鍛造を行う直前に、高強度化させる部分Xの温度が、AC3点以上、950℃以下となっていれば、熱間鍛造中の温度は特に限定されない。しかし、熱間鍛造を行う処理の間、高強度化させる部分Xの温度がAC3点以上、950℃以下となっていることが好ましい。
また、相当歪とは、Von Miesesの降伏応力に対応する相当歪で、下式(2)で計算される歪をいう。なお、下式(1)において、相当歪を(ε)、長さ方向の真歪を(ε1)、幅方向の真歪を(ε2)、厚さ方向の真歪を(ε3)で示す。
次に、熱間鍛造工程の具体的な手順を説明する。
まず、被加工材の高強度化させる部分Xを断熱材で覆うとともに、被加工材の低強度化させる部分Yに冷却材を吹き付ける。この断熱材については、特に限定されず、ガラスウール等を使用すればよい。また、冷却材についても、特に限定されず、空気、N2ガス、アルゴンガス、ミスト等を使用すればよい。
熱間鍛造工程の熱履歴は、図2の時間t2→t4に示すとおりである。
時間t2→t3については、被加工材の高強度化させる部分Xの温度をT1→T2まで下降させ、被加工材の低強度化させる部分Yの温度をT1→T3まで下降させるが、この間の平均冷却速度については、冷却手段の性能(冷却材の種類)によるものであり、特に限定されない。しかし、図2に示すとおり、略均一の冷却速度で冷却するのが好ましい。そして、時間t3→t4の鍛造時間については、高強度化させる部分Xと低強度化させる部分Yとの温度差を確保したまま被加工材を鍛造させる必要があるため、短いほうが好ましい。
なお、T2は、1000℃以上、前記加熱処理工程における加熱温度以下であり、T3は、AC3点以上、950℃以下である。
熱間鍛造工程における熱間鍛造方法の一態様(熱間鍛造方法1)を、図4を用いて詳細に説明する。
熱間鍛造方法1に使用する鍛造金型10は、略円柱凹状を呈する軸形成部13と、当該軸形成部13の開口から径方向外側に延出するフランジ形成部14と、を備える。そして、軸形成部13は、被加工材1の他端の端部を保持する底部11と、当該底部11から上方に延在する円柱孔部12と、から構成される。
また、熱間鍛造方法1に使用する被加工材1は、円柱状を呈するとともに、一端側に高強度化させる部分Xが存在し、当該高強度化させる部分Xよりも他端側に低強度化させる部分Yが存在するものである。
なお、図4には、各部材の寸法を記載しているが、当該寸法に限定されるものではない。
これにより、熱間鍛造工程の開始時(被加工材1を鍛造金型10に設置する時点)において、被加工材1の高強度化させる部分Xは鍛造金型10に当接せず、当該部分の急速な冷却(1000℃未満となってしまうような冷却)を回避することができる。
詳細には、鍛造金型10の底部11は、押圧開始時において、軸形成部13の軸方向の長さL1(開口から底部11までの長さL1)が、熱間鍛造工程後の被加工材1(鍛造部品)の軸部の軸方向の長さL2よりも短くなるように設置されている(図4(a)の状態)。
そして、押圧部材(図示せず)により押圧が開始されると同時に、鍛造金型1の底部11は下方に移動する。この際、鍛造金型10の底部11は、被加工材1の一端を押圧する圧力よりも弱い圧力により下方から上方に向けて押圧され、被加工材1の一端を押圧する押圧部材(図示せず)の下方への移動速度よりも遅い移動速度で下方に移動する。
最終的に、軸形成部13の軸方向の長さL1が、熱間鍛造工程後の被加工材1(鍛造部品)の軸部の軸方向の長さL2と同じ長さになるまで、鍛造金型10の底部11を下方に移動させながら、押圧部材(図示せず)で被加工材1を下方に押圧することで、被加工材1を所望の形状とする(図4(b)の状態)。
これにより、被加工材1を押圧する過程において、軸部とフランジ部との境界は鍛造金型10に当接せず、当該境界の急速な冷却(1000℃未満となってしまうような冷却)を回避することができる。
そして、この場合、熱間鍛造工程の開始時(被加工材1を鍛造金型10に設置する時点)において被加工材1の高強度化させる部分Xが鍛造金型10の軸形成部13から突出するように被加工材1を設置する。押圧部材(図示せず)により押圧が開始されると、被加工材1の径方向外側の部分が底部11の縁部分に流動することで、一端側に存在する高強度化させる部分X(径方向外側の部分)も下方に流動する。その結果、熱間鍛造工程の開始時において軸形成部13から突出していた高強度化させる部分X(径方向外側の部分)が、熱間鍛造工程の終了時には、鍛造金型10の軸形成部13とフランジ形成部14との境界に位置することとなる。つまり、熱間鍛造工程後の鍛造部品の軸部とフランジ部との境界は、高強度化させる部分Xにより形成することができる。
熱間鍛造工程における熱間鍛造方法の別の態様(熱間鍛造方法2)を、図5を用いて詳細に説明する。
熱間鍛造方法2に使用する鍛造金型20は、略円柱凹状を呈する軸形成部25と、当該軸形成部25の開口から径方向外側に延出するフランジ形成部26とを備える。そして、軸形成部25は、被加工材1の他端の端部を保持する底部21と、当該底部21から上方に延在する小径部22と、当該小径部22から上方に延在する大径部23と、小径部22と大径部23との間に形成される段部24と、から構成される。なお、小径部22は、被加工材1の外径よりも小さな内径(詳細には、被加工材1の外径>小径部22の内径)の円柱凹状を呈する。そして、大径部23は、小径部22の内径よりも大きな内径(詳細には、小径部22の内径<大径部23の内径)であるとともに、被加工材1の外径よりも大きな内径(詳細には、被加工材1の外径≦大径部23の内径)の円柱孔状を呈する。
なお、熱間鍛造方法2に使用する被加工材1は、熱間鍛造方法1に使用する被加工材1と同じものである。
なお、図5には、各部材の寸法を記載しているが、当該寸法に限定されるものではない。
これにより、熱間鍛造工程の開始時(被加工材1を鍛造金型20に設置する時点)において、被加工材1の高強度化させる部分Xは鍛造金型20に当接せず、当該部分の急速な冷却(1000℃未満となってしまうような冷却)を回避することができる。
一方、鍛造金型40の小径部42の内径に対する被加工材1の外径の比(被加工材1の外径/小径部42の内径)が1.20を超える場合(図7参照)は、熱間鍛造工程において下方に押圧されても、被加工材1の外径が小径部42の内径と比較して大きすぎるため、被加工材1の径方向外側の部分が鍛造金型の小径部42に流動せず(収まらず)、段部44でつかえてしまい、上方に流動(被加工材1に対して相対的に一端側に流動)してしまうこととなる。その結果、被加工材1の他端側に存在する低強度化させる部分Yが、フランジ部と軸部との境界を形成することとなる。つまり、応力が集中するため強度を高めたい部分である当該境界を、被加工材1の低強度化させる部分Yで形成することになってしまう。
冷却工程は、熱間鍛造工程の後に行う工程であり、800℃から600℃までの平均冷却速度が、高強度化させる部分Xについて、0.5℃/s以上、2.0℃/s以下となり、かつ、低強度化させる部分Yについて、1.0℃/s以下となるように、被加工材を冷却する工程である。
なお、冷却工程は、図1の(c−1)→(d)で表わされる。
高強度化させる部分Xについては、800℃から600℃までの平均冷却速度が、0.5℃/s以上、2.0℃/s以下となるように冷却する。
これは、高強度化させる部分Xに対し0.5℃/s未満の緩冷却を施すと、オーステナイト域で析出強化に寄与しない粗大なVCを析出させ、Vを消費してしまうことにより、析出強化量の低下を招き、高強度化させる部分Xの降伏強度の目標を達成することが不可能となるからである。また、高強度化させる部分Xに対し2.0℃/sを超える急冷却を施すと、Vの含有により特にパーライト変態が遅延されていることから、ベイナイトやマルテンサイトが形成されてしまうからである。
低強度化させる部分Yについては、800℃から600℃までの平均冷却速度が、1.0℃/s以下となるように冷却する。
これは、熱間鍛造工程においてオーステナイト中に転位が残存するように制御しているが、オーステナイト域で十分な量のVC析出を形成させるにはオーステナイト域での滞在時間を十分に取る必要があるので、冷却速度を低め(1.0℃/s以下)に制御する必要があるからである。なお、生産性の低下を防止するため、0.01℃/s以上であることが好ましい。
冷却方法については、特に限定されないが、所定の速度範囲内で冷却する必要があるため、単位時間あたりに同量の冷却材を吹き付ける方法が好ましい。また、冷却材については、冷却効果を有する圧縮ガス(空気、N2ガス、アルゴンガス、ミスト等)が好ましい。
なお、本発明が規定する高強度化させる部分Xの平均冷却速度の範囲と、低強度化させる部分Yの平均冷却速度の範囲との重なる範囲(0.5℃/s〜1.0℃/s)となるように冷却する場合であれば、被加工材全体を同じ方法で冷却すればよい(図1の(c−1))。
冷却工程の熱履歴は、図2の時間t4以降に示すとおりである。
時間t4以降の冷却速度については、本発明では平均値で規定しているが、図2に示しているように、略一定速度で冷却されることが好ましい。
冷却工程における冷却方法の一態様を、図8を用いて詳細に説明する。
当該冷却方法に使用する熱間鍛造工程後の被加工材1(鍛造部品)は、軸部と当該軸部よりも大径に形成されたフランジ部とから構成される形状のものである。
なお、図8には、鍛造部品の寸法を記載しているが、当該寸法に限定されるものではない。
なお、軸部は高強度化させる部分ではないが、所定速度範囲(1.0℃/s以下)であれば冷却速度を大きくしても高強度化してしまうことはないため、軸部とフランジ部との境界Zに対してだけではなく、さらに、軸部に対しても、空気等の圧縮ガスを吹き付け、局所的に冷却を行ってもよい。隣接する軸部が冷却されることにより、軸部とフランジ部との境界Zの冷却速度が適切に大きくならない場合であっても、当該境界Zの冷却速度を所定の冷却速度(0.5℃/s以上)に制御することができる。
表1に示す化学成分組成からなる円柱状(φ40mm×60mm)を呈する鋼を、表2に示す加熱温度および加熱時間で均一に加熱した後、図1の(b−1)に示すように、高強度化させる部分Xを断熱材で覆いつつ、低強度化させる部分Yを冷却材で冷却した。なお、一部の供試材については、図1の(b−2)に示すように、供試材全体を均一に冷却した。
その後、供試材がφ28.1mmの円柱状を呈するように熱間押出(熱間鍛造)を行った。
熱間押出(熱間鍛造)後、供試材を200℃まで冷却し、その後、放冷した。なお、冷却方法は、図1の(c−1)に示すように、圧縮ガスを吹き付けることで冷却する方法、図1の(c−2)に示すように、水を吹き付けることで冷却する方法、図1の(c−3)に示すように、ガラスウールで構成された断熱材で覆うことで徐冷する方法、のいずれかであった。
各条件の詳細な設定温度、時間等は表2に示した。
なお、図1の(c−1)、(c−2)に示す方法は、特定部分を局所的に冷却しているのではなく、供試材全体に冷却材を吹き付け、全体を均一に冷却する方法である。
円柱状(φ3mm×7mm)を呈する丸棒試験片を、供試材の高強度化させる部分Xと、低強度化させる部分Yからそれぞれ切り出し、当該丸棒試験片の降伏強度をJIS Z2241に記載のオフセット法により測定した。
なお、丸棒試験片の長手方向が供試材の径方向となるように、供試材から丸棒試験片を切り出した。
評価方法については、高強度化させる部分X(表2では、高強度部と記載)の降伏強度が950MPa以上であり、かつ、低強度化させる部分Y(表2では、低強度部と記載)の降伏強度が800MPa以下の場合を効果ありと評価し、それ以外の場合を効果なしと評価した。
なお、表2の均一加熱温度とは、図2のT1であり、表2の均一加熱時間とは図2のt1→t2であり、表2の高強度部熱間鍛造温度とは、図2のT2であり、表2の低強度部熱間鍛造温度とは、図2のT3である。
表1に示すように、鋼種AのV含有量(0.10質量%)は、本発明が規定するV含有量の下限値(0.20質量%)よりも少なかった。よって、鋼種Aからなる供試材No.1は、高強度化させる部分の降伏強度が、700MPaとなり、950MPaを下回る結果となった。
また、表1に示すように、鋼種DのV含有量(1.00質量%)は、本発明が規定するV含有量の上限値(0.80質量%)よりも多かった。よって、鋼種Dからなる供試材No.4は、高強度化させる部分の降伏強度が、841MPaとなり、950MPaを下回る結果となった。
供試材No.5は、加熱処理工程において、均一加熱温度を1050℃とし、TVC+50℃(1066℃)よりも低かった。よって、高強度化させる部分の降伏強度が、921MPaとなり、950MPaを下回る結果となった。
供試材No.6は、熱間鍛造工程において、高強度化させる部分Xの熱間鍛造温度を900℃とし、1000℃よりも低かった。よって、高強度化させる部分Xの降伏強度が、715MPaとなり、950MPaを下回る結果となった。
供試材No.7は、熱間鍛造工程において、低強度化させる部分Yの熱間鍛造温度を1050℃とし、950℃よりも高かった。よって、低強度化させる部分Yの降伏強度が、874MPaとなり、800MPaを上回る結果となった。
供試材No.8は、熱間鍛造工程において、低強度化させる部分Yの熱間鍛造温度を750℃とし、AC3点(815℃)よりも低かった。よって、低強度化させる部分Yの降伏強度が、841MPaとなり、800MPaを上回る結果となった。
供試材No.9は、熱間鍛造工程において、低強度化させる部分Yの相当歪量を0.1とし、0.2よりも低かった。よって、低強度化させる部分Yの降伏強度が、878MPaとなり、800MPaを上回る結果となった。
供試材No.10は、冷却工程において、高強度化させる部分Xの冷却速度を5.0℃/sとし、本発明が規定する冷却速度の上限値(2.0℃/s)よりも速かった。加えて、低強度化させる部分Yの冷却速度を3.5℃/sとし、本発明が規定する冷却速度の上限値(1.0℃/s)よりも速かった。よって、高強度化させる部分Xの降伏強度が、912MPaとなり、950MPaを下回り、低強度化させる部分Yの降伏強度が、833となり、800MPaを上回る結果となった。
供試材No.11は、冷却工程において、高強度化させる部分Xの冷却速度を0.1℃/sとし、本発明が規定する冷却速度の下限値(0.5℃/s)よりも遅かった。よって、高強度化させる部分Xの降伏強度が、881MPaとなり、950MPaを下回る結果となった。
供試材の作製について、実施例1と異なる部分のみ以下に説明する。
熱間鍛造工程における熱間鍛造方法については、次の4つの方法を用いた。
A:図4に示す鍛造金型10を用いて行う熱間鍛造方法であり、熱間鍛造開始時(図4(a))から熱間鍛造終了時(図4(b))にわたり、一定の速度で、鍛造金型10の底部11を下方に移動させながら、熱間鍛造を行う方法である。
B:図5に示す鍛造金型20を用いて行う熱間鍛造方法である。
C:図6に示す鍛造金型30を用いて行う熱間鍛造方法である。
D:図7に示す鍛造金型40を用いて行う熱間鍛造方法である。
なお、A〜Dのいずれの方法においても、上方から押圧部材(図示せず)により、3000kNプレスで押圧することにより、熱間鍛造を行った。また、図4〜図7の数値の単位はmmである。
A:図8(a)に示すように、軸部とフランジ部との境界Zに対し、ノズルから空気を吹き付け(合計流量280L/min)、局所冷却を行う方法である。
B:図8(a)に示すように、軸部とフランジ部との境界Zに対し、ノズルから空気を吹き付けるとともに、軸部に対しても空気を吹き付け(合計流量280L/min)、局所冷却を行う方法である。
なお、図8の数値の単位はmmである。
試験片を、供試材の高強度化させる部分(フランジ部)と、供試材の高強度化させる部分(境界)と、低強度化させる部分からそれぞれ切り出し、当該試験片のビッカーズ硬さ(HV)をJIS Z2244 に記載の方法により測定した。
評価方法については、高強度化させる部分のフランジ部(表3では、高強度部(フランジ部)と記載)のビッカーズ硬さ(HV)が400以上であり、高強度化させる部分の境界部分(表3では、高強度部(境界)と記載)のビッカーズ硬さ(HV)が400以上であり、かつ、低強度化させる部分(表3では、低強度部と記載)のビッカーズ硬さ(HV)が300以下の場合を、適切な熱間鍛造方法・冷却方法であると評価し、それ以外の場合を適切な熱間鍛造方法・冷却方法ではないと評価した。
なお、表3の各用語は、前記した表2の各用語と同じ意味である。
供試材No.14は、熱間鍛造方法として前記Cの方法を用いており、熱間鍛造工程中に高強度化させる部分の境界部分Zが、鋳造金型30に接触してしまっていた。その結果、熱間鍛造工程中における境界部分Zの温度が下がってしまい、当該部分のビッカーズ硬さ(HV)が400未満となってしまった。
供試材No.15は、熱間鍛造方法として前記Dの方法を用いており、熱間鍛造工程中に被加工材1の径方向外側の部分が鍛造金型の小径部42に流動せず(収まらず)、段部44でつかえてしまい、上方に流動(被加工材1に対して相対的に一端側に流動)してしまった。したがって、被加工材1の他端側に存在する低強度化させる部分が、境界部分を形成することとなった。その結果、当該部分のビッカーズ硬さ(HV)が400未満となってしまった。
供試材No.16は、低強度化させる部分の冷却速度が、本発明が規定する冷却速度の上限値(1.0℃/s)よりも速かった。よって、当該部分のビッカーズ硬さ(HV)が300MPaを上回る結果となった。
10 鍛造金型
11 底部
13 軸形成部
14 フランジ形成部
20 鍛造金型
21 底部
22 小径部
23 大径部
24 段部
25 軸形成部
26 フランジ形成部
X 高強度化させる部分
Y 低強度化させる部分
Z 境界(軸部とフランジ部との境界)
Claims (8)
- C:0.20〜0.80質量%、Si:0.50質量%以下、Mn:0.40〜1.00質量%、P:0.050質量%以下、S:0.050質量%以下、V:0.20〜0.80質量%、N:0.0100質量%以下を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼を用いて、
前記鋼からなる被加工材を、下記式(1)で算出されるTVC+50℃以上、1350℃以下となるように加熱する加熱処理工程と、
前記加熱処理工程の後に、前記被加工材の高強度化させる部分について、1000℃以上、前記加熱処理工程における加熱温度以下とし、かつ、前記被加工材の低強度化させる部分について、AC3点以上、950℃以下として、熱間鍛造を行い、当該熱間鍛造により当該低強度化させる部分の相当歪量を0.2以上とする熱間鍛造工程と、
前記熱間鍛造工程の後に、800℃から600℃までの平均冷却速度が、前記高強度化させる部分について、0.5℃/s以上、2.0℃/s以下となり、かつ、前記低強度化させる部分について、1.0℃/s以下となるように、前記被加工材を冷却する冷却工程と、を含む、ことを特徴とするフェライト−パーライト型非調質鍛造部品の製造方法。
TVC(℃)=−9500/(log([%C]・[%V])−6.72)−273・・・(1)
(ただし、前記式(1)において、[%C]、[%V]は、前記C、前記Vの各含有量(質量%)とする。) - C:0.20〜0.80質量%、Si:0.50質量%以下、Mn:0.40〜1.00質量%、P:0.050質量%以下、S:0.050質量%以下、V:0.20〜0.80質量%、N:0.0100質量%以下を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼を用いて、
前記鋼からなる被加工材の全体を、下記式(1)で算出されるTVC+50℃以上、1350℃以下となるように加熱する加熱処理工程と、
前記加熱処理工程の後に、前記被加工材の高強度化させる部分を断熱材で覆うとともに、前記被加工材の低強度化させる部分に冷却材を吹き付け、前記高強度化させる部分について、1000℃以上、前記加熱処理工程における加熱温度以下とし、かつ、前記被加工材の低強度化させる部分について、AC3点以上、950℃以下として、1段または2段以上の熱間鍛造を行い、当該熱間鍛造により当該低強度化させる部分の相当歪量を0.2以上とする熱間鍛造工程と、
前記熱間鍛造工程の後に、800℃から600℃までの平均冷却速度が、前記高強度化させる部分について、0.5℃/s以上、2.0℃/s以下となり、かつ、前記低強度化させる部分について、1.0℃/s以下となるように、前記被加工材を冷却する冷却工程と、を含む、ことを特徴とするフェライト−パーライト型非調質鍛造部品の製造方法。
TVC(℃)=−9500/(log([%C]・[%V])−6.72)−273・・・(1)
(ただし、前記式(1)において、[%C]、[%V]は、前記C、前記Vの各含有量(質量%)とする。) - 円柱状を呈するとともに、一端側に前記高強度化させる部分が存在し、当該高強度化させる部分よりも他端側に前記低強度化させる部分が存在する前記被加工材を、軸部と当該軸部よりも大径に形成されたフランジ部とから構成される形状となるように鍛造するフェライト−パーライト型非調質鍛造部品の製造方法であって、
前記熱間鍛造工程において、前記被加工材の前記他端側の端部が、鍛造金型の略円柱凹状を呈する軸形成部の底部に当接するとともに、前記一端側に存在する前記高強度化させる部分が、前記軸形成部から突出するように前記被加工材を設置し、その後、前記底部の方向に前記被加工材を押圧することで、前記軸形成部と当該軸形成部の開口から径方向外側に延出するフランジ形成部とにより前記被加工材を前記形状に熱間鍛造することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフェライト−パーライト型非調質鍛造部品の製造方法。 - 前記熱間鍛造工程において、前記軸形成部の軸方向の長さが前記軸部の軸方向の長さよりも短くなるように設置されている前記軸方向に移動可能な前記底部を、前記軸形成部の軸方向の長さが前記軸部の軸方向の長さと同じになる位置まで移動させながら前記被加工材の熱間鍛造を行うことを特徴とする請求項3に記載のフェライト−パーライト型非調質鍛造部品の製造方法。
- 円柱状を呈するとともに、一端側に前記高強度化させる部分が存在し、当該高強度化させる部分よりも他端側に前記低強度化させる部分が存在する前記被加工材を、軸部と当該軸部よりも大径に形成されたフランジ部とから構成される形状となるように鍛造するフェライト−パーライト型非調質鍛造部品の製造方法であって、
前記熱間鍛造工程において用いる鍛造金型は、略円柱凹状を呈する軸形成部を備えるとともに、前記軸形成部は、前記被加工材の外径よりも小さな内径の円柱凹状を呈する小径部と、当該小径部から開口側に設けられ当該小径部より大きな内径の円柱孔状を呈する大径部と、を有し、
前記熱間鍛造工程において、前記被加工材の前記他端側の端部が、前記鍛造金型の前記小径部と前記大径部との間に形成される段部に当接するとともに、前記一端側に存在する前記高強度化させる部分が、前記軸形成部から突出するように前記被加工材を設置し、その後、前記小径部の方向に前記被加工材を押圧することで、前記軸形成部と当該軸形成部の開口から径方向外側に延出するフランジ形成部とにより前記被加工材を前記形状に熱間鍛造することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフェライト−パーライト型非調質鍛造部品の製造方法。 - 前記熱間鍛造工程において用いる鍛造金型の前記小径部の内径に対する前記被加工材の外径の比(前記被加工材の外径/前記小径部の内径)が1.20以下となることを特徴とする請求項5に記載のフェライト−パーライト型非調質鍛造部品の製造方法。
- 前記冷却工程において、前記高強度化させる部分を局所冷却することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のフェライト−パーライト型非調質鍛造部品の製造方法。
- 円柱状を呈するとともに、一端側に前記高強度化させる部分が存在し、当該高強度化させる部分よりも他端側に前記低強度化させる部分が存在する前記被加工材を、軸部と当該軸部よりも大径に形成されたフランジ部とから構成される形状となるように鍛造するフェライト−パーライト型非調質鍛造部品の製造方法であって、
前記冷却工程において、前記軸部と前記フランジ部との境界を局所冷却する、または、前記境界および前記軸部を局所冷却することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のフェライト−パーライト型非調質鍛造部品の製造方法。
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