JP5035159B2 - 高強度鋼製粗形品およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高強度鋼製粗形品およびその製造方法に関し、詳しくは、自動車、トラック、その他産業機械の部品であるシャフト、ハブユニット、等速ジョイント、コネクティングロッド(以下、「コンロッド」という。)など高強度鋼製部品の素材となる高強度鋼製粗形品およびその製造方法に関する。
自動車、トラック、その他産業機械の部品であるシャフト、ハブユニット、等速ジョイント、コンロッドなどの鋼製部品は、棒鋼あるいは線材を熱間鍛造して粗形品を製造した後、これを素材として切削加工を施し、最終形状の部品に仕上げることが多い。
近年、燃費効率の向上の観点から、産業界から軽量化を目的とした、部品の高強度化を強く求められている。一方、部品を高強度化すると、熱間鍛造後の切削加工性が低下するという問題点がある。
そこで、上記の問題を解決する技術が、例えば、特許文献1〜3に開示されている。
具体的には、特許文献1に、鋼の化学組成、パーライトの平均粒度番号、平均コロニーサイズおよび平均ラメラー間隔を制御することにより、非調質のままでも高い疲労強度を得るとともに、被削性を低下させることなく、高い引張強さが得られる「高疲労強度を有する熱間鍛造非調質鋼および鍛造品の製造方法」が開示されている。
特許文献2に、鋼材の化学組成および熱間鍛造条件を制御する「非調質部品の製造方法およびそれを用いた非調質鋼部品」が開示されており、実施例には最高で987MPaという高い耐力が得られたことが示されている。
特許文献3に、熱間鍛造後に部分冷却することによって導入された硬化部と非硬化部を有する「疲労強度に優れた熱間鍛造品およびその製造方法並びに機械構造部品」が開示されている。
特開平9−143610号公報 特開2005−171334号公報 特開2007−39704号公報
前述の特許文献1で開示された熱間鍛造非調質鋼の場合、実施例を見ると、特許文献1に記載された発明の例のうち最も引張強さが高いものでも、97.6kgf/mm2(約957MPa)しかなく、高強度化が不十分である。
特許文献2で開示された技術は、一般的な熱間鍛造温度よりも低い680〜850℃で、圧縮加工率で30%以上という加工を行う必要がある。このため、金型寿命が低下するので生産効率の低下とコストアップを招いてしまう。
特許文献3で開示された技術は、部分的に冷却し、その後の復熱によって強度および組織を制御するため、適用できる部品の形状や大きさが限定されてしまう。また、実施例を見ると、特許文献3に記載された発明例の場合の硬化部における組織はマルテンサイトおよび/またはベイナイト組織である。すなわち、硬化部の組織が低温変態組織であるため、熱処理ひずみが大きくなりやすく、熱間鍛造後に最終形状の部品に仕上げるには切削量を増やす必要がある。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、高強度化および製造コストの低減が可能で、さらに必要に応じて、良好な被削性も兼ね備えることが可能な高強度鋼製粗形品およびその製造方法を提供することを目的とする。
具体的には、本発明は、最終の鋼製部品として、強度が必要な部位における平均ビッカース硬さが380〜540である高強度鋼製粗形品およびその製造方法を提供することを目的とする。
従来から、V添加によって非調質鋼が高強度化することはよく知られている。そこで、本発明者は、先ず、V添加の効果を最大限利用することによって、熱間鍛造後に焼入れ・焼戻しすることなく、従来にない高強度を得ることを目標として、最適な化学組成、金属組織、加工熱処理条件について調査・研究を重ねた。その結果、下記(a)〜(d)の知見を得た。
(a)部品全体を高強度化するためには、VCによる析出強化とマトリックスの強化の双方を図る必要がある。
(b)VCの析出は、オーステナイトからのフェライト変態時だけではなく、適切な条件で加工熱処理を施せば、パーライトを構成するフェライト中にも生じる。
(c)VCによる析出強化とマトリックスの強化を両立させるためには、パーライトを主体とする組織とするとともにパーライトラメラ間隔を小さくし、さらに、パーライトを構成するフェライト中に微細なVCを多数分散させる必要がある。これを実現するためには、熱間鍛造の素材となる鋼材の加熱温度および熱間鍛造後の冷却速度を、鋼の焼入れ性に応じて制御すると同時に、パーライト変態を適切な温度域および時間で行わせることによって、オーステナイトがパーライト変態するときの界面において、パーライトを構成するフェライト中にVCを相界面析出させる必要がある。
(d)Vの含有量が多くなると、オーステナイト域でVCが析出しやすくなり、このオーステナイト域で析出したVCは強化にはほとんど寄与しない。このため、熱間鍛造後の冷却を早くして、オーステナイト域でのVC析出を抑制する必要がある。
次に、本発明者は高強度化と被削性を両立させることについても調査・研究を重ねた。その結果、下記(e)および(f)の知見を得た。
(e)被削性は鋼材の硬さとの相関が強いので、被削性を確保するためには鋼材の硬さの低減が必要である。そのため、部品の中で高強度化が必要な部分のみ高強度化し、それ以外のところは軟質化すると、部品全体の被削性を高めることができる。
(f)オーステナイト域に加熱したときに、未固溶のVCが存在すると、オーステナイト粒が微細になるために、焼入れ性が低下して、マトリックスの硬さが低下すると同時に、オーステナイトからフェライト、およびパーライトに変態する際に析出する微細なVCの量が減少して、軟質化する。したがって、熱間鍛造が施される鋼材内で適切、かつ大きな加熱温度差を付けることにより、熱間鍛造して得た同一粗形品内に高強度部と軟質部の双方を具備させることができる。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記(1)〜(4)に示す高強度鋼製粗形品および(5)〜(8)に示す高強度鋼製粗形品の製造方法にある。
(1)質量%で、C:0.4〜0.9%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.5〜2.0%、V:0.3〜0.9%、P:0.10%以下、S:0.005〜0.2%、Al:0.01〜0.05%およびN:0.003〜0.020%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物としてのOが0.0015%以下の化学組成を有する鋼材からなる鋼製粗形品であって、少なくとも一つの断面における金属組織が、パーライトの単相組織またはパーライトとフェライト、ベイナイトおよびマルテンサイトのうちの1種以上との混合組織からなり、前記混合組織の場合には各組織の割合が、パーライト:60%以上、フェライト:20%以下、かつベイナイト+マルテンサイト:20%以下であり、さらに、前記の単相組織または混合組織においてパーライトを構成するフェライト中に、粒径5nm以下の析出物が15nm以下の平均列間隔で点列状に存在し、しかも、前記の断面における平均ビッカース硬さが380〜540であることを特徴とする高強度鋼製粗形品。
(2)質量%で、C:0.4〜0.9%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.5〜2.0%、V:0.3〜0.9%、P:0.10%以下、S:0.005〜0.2%、Al:0.01〜0.05%およびN:0.003〜0.020%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物としてのOが0.0015%以下の化学組成を有する鋼材からなり、ビッカース硬さの最大値が540以下である鋼製粗形品であって、少なくとも特定の一つの断面S1における金属組織が、パーライトの単相組織またはパーライトとフェライト、ベイナイトおよびマルテンサイトのうちの1種以上との混合組織からなり、前記混合組織の場合には各組織の割合が、パーライト:60%以上、フェライト:20%以下、かつベイナイト+マルテンサイト:20%以下であり、さらに、前記の単相組織または混合組織においてパーライトを構成するフェライト中に、粒径5nm以下の析出物が15nm以下の平均列間隔で点列状に存在し、しかも、前記特定の断面S1における平均ビッカース硬さが380〜540で、かつ、断面S1以外において、断面S1の平均ビッカース硬さよりも、平均ビッカース硬さが50以上低い断面を有することを特徴とする高強度鋼製粗形品。
(3)鋼材の化学組成が、質量%で、さらに、Ni:1.5%以下、Cr:1.5%以下およびMo:0.5%以下のうちの1種以上を含有するものであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の高強度鋼製粗形品。
(4)鋼材の化学組成が、質量%で、さらに、Nb:0.08%以下およびTi:0.08%以下のうちの1種以上を含有するものであることを特徴とする上記(1)から(3)までのいずれかに記載の高強度鋼製粗形品。
(5)質量%で、C:0.4〜0.9%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.5〜2.0%、V:0.3〜0.9%、P:0.10%以下、S:0.005〜0.2%、Al:0.01〜0.05%およびN:0.003〜0.020%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物としてのOが0.0015%以下の化学組成を有する鋼材の少なくとも一部分を1100〜1300℃に加熱した後、仕上げ温度を900℃以上として熱間鍛造を行い、熱間鍛造終了後、CR℃/秒以上100℃/秒以下の冷却速度で550〜630℃の温度域まで冷却した後、その温度域に300〜3600秒保持することを特徴とする高強度鋼製粗形品の製造方法。
ただし、CR=10/(ID1.5
ID={0.36+0.46×(C−0.4)}×(1+0.70×Si)
×(1+3.3×Mn)×(1+2.2×Cr)×(1+3.0×Mo)
×(1+0.36×Ni)
なお、上記の式におけるC、Si、Mn、Cr、MoおよびNiは、鋼材中のその元素の質量%での含有量を表す。
(6)質量%で、C:0.4〜0.9%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.5〜2.0%、V:0.3〜0.9%、P:0.10%以下、S:0.005〜0.2%、Al:0.01〜0.05%およびN:0.003〜0.020%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物としてのOが0.0015%以下の化学組成を有する鋼材を加熱して800℃以上、かつその少なくとも一部分を1100〜1300℃に、また、他の部分を1000℃以下にした後、熱間鍛造を行い、その熱間鍛造による加工部位のうちで前記1100〜1300℃に加熱した部分の仕上げ温度を900℃以上として熱間鍛造を終了し、次いで、被鍛造材を、前記1100〜1300℃に加熱した部分に該当する部位を基準に、CR℃/秒以上100℃/秒以下の冷却速度で550〜630℃の温度域まで冷却し、その後、前記の温度域に300〜3600秒保持することを特徴とする高強度鋼製粗形品の製造方法。
ただし、CR=10/(ID1.5
ID={0.36+0.46×(C−0.4)}×(1+0.70×Si)
×(1+3.3×Mn)×(1+2.2×Cr)×(1+3.0×Mo)
×(1+0.36×Ni)
なお、上記の式におけるC、Si、Mn、Cr、MoおよびNiは、鋼材中のその元素の質量%での含有量を表す。
(7)鋼材の化学組成が、質量%で、さらに、Ni:1.5%以下、Cr:1.5%以下およびMo:0.5%以下のうちの1種以上を含有するものであることを特徴とする上記(5)または(6)に記載の高強度鋼製粗形品の製造方法。
(8)鋼材の化学組成が、質量%で、さらに、Nb:0.08%以下およびTi:0.08%以下のうちの1種以上を含有するものであることを特徴とする上記(5)から(7)までのいずれかに記載の高強度鋼製粗形品の製造方法。
なお、本発明における「粒径」とは、「(長径+短径)/2」を指す。
また、析出物の「列間隔」とは、後述の図2(b)に模式的に示すように、オーステナイトからパーライトに変態するときの相界面で、パーライトを構成するフェライト中に規則性を持って点列状に存在する析出物群の列同士の間隔を指す。
さらに、パーライトとともに混合組織を形成するフェライトの割合には、パーライト中のフェライトは含まない。
「被鍛造材を、1100〜1300℃に加熱した部分に該当する部位を基準に、CR℃/秒以上100℃/秒以下の冷却速度で550〜630℃の温度域まで冷却」するとは、1100〜1300℃に加熱された部位について、仕上げ温度を900℃以上として熱間鍛造を終了した後、当該部位の温度が550〜630℃の温度域の温度になるまで、CR℃/秒以上100℃/秒以下の冷却速度で冷却することを指す。
なお、本発明でいう「温度」および「冷却速度」は対象となる鋼材、被鍛造材や該当部位の表面での温度および冷却速度を指す。
本発明の高強度鋼製粗形品は、高い強度を有するとともに製造コストの低減が可能で、また、良好な被削性も備えているので、自動車、トラック、その他産業機械の部品であるシャフト、ハブユニット、等速ジョイント、コンロッドなど、高強度鋼製部品の素材として好適に用いることができる。この高強度鋼製粗形品は、本発明の製造方法によって製造することができる。
本発明において、鋼材の化学組成、金属組織とビッカース硬さ、および製造条件を上述のように規定した理由について、以下に詳述する。なお、各成分元素の含有量の「%」は「質量%」を意味する。
(A)鋼材の化学組成
C:0.4〜0.9%
Cは、部品の強度を高めるのに有効な元素であり、Cの含有量が0.4%未満では強度が不十分で、他の要件を満たしていても所望の硬さが得られない。一方、Cの含有量が0.9%を超えると、初析セメンタイトが生成しやすくなり、靱性が著しく低下する。したがって、Cの含有量を0.4〜0.9%とした。なお、C含有量の望ましい下限は0.5%であり、また、望ましい上限は0.7%である。
Si:0.4〜1.5%
Siは、部品の強度を高めるのに有効な元素であり、Siの含有量が0.4%未満では強度が不十分で、他の要件を満たしていても所望の硬さが得られない。一方、Siの含有量が1.5%を超えると、その効果が飽和し、むしろ靱性が低下する。したがって、Siの含有量を0.4〜1.5%とした。なお、Si含有量の望ましい下限は0.6%であり、また、望ましい上限は1.0%である。
Mn:0.5〜2.0%
Mnは、部品の強度を高めるのに有効な元素であり、Mnの含有量が0.5%未満では強度が不十分で、他の要件を満たしていても所望の硬さが得られない。一方、Mnの含有量が2.0%を超えると、その効果が飽和し、むしろ靱性が低下する。したがって、Mnの含有量を0.5〜2.0%とした。なお、Mn含有量の望ましい下限は0.9%であり、また、望ましい上限は1.5%である。
V:0.3〜0.9%
Vは、C、Nと結合して炭化物、窒化物、あるいは炭窒化物として鋼中に析出し、特にオーステナイトからパーライトに変態するときの界面で析出すると、微細に析出して部品の強度を高めるのに有効であり、Vの含有量が0.3%未満では強度が不十分で、他の要件を満たしていても所望の硬さが得られない。一方、Vの含有量が0.9%を超えると、その効果が飽和し、むしろ靱性が低下する。したがって、Vの含有量を0.3〜0.9%とした。なお、V含有量の望ましい下限は0.4%であり、また、望ましい上限は0.7%である。
P:0.10%以下
Pは、粒界偏析して粒界を脆化させやすい元素である。このため、コンロッドのように、部品の製造中に破断分離させる工程が含まれる場合には、破断時の変形を抑制するために積極的に添加する必要がある。しかしながら、その含有量が多くなって特に0.10%を超えると、疲労強度の低下が著しくなる。したがって、Pの含有量を0.10%以下とした。なお、破断分離を行わない部品においては、Pの含有量は低減する方が好ましく、0.03%以下とすることが好ましい。
S:0.005〜0.2%
Sは、Mnと結合してMnSを形成し、被削性を向上させる作用を有する。しかしながら、その含有量が0.005%未満では、前記の効果が得難い。一方、粗大なMnSは疲労強度を低下させる傾向があり、Sの含有量が0.2%を超えると、粗大なMnSを形成しやすくなって疲労強度の低下が著しくなる。したがって、Sの含有量を0.005〜0.2%とした。なお、Sを0.02%以上含有する場合には、被削性が一層向上するので、より被削性を重視する場合には、S含有量の下限は0.02%とすることが好ましい。また、より疲労強度を重視する場合には、S含有量の上限は0.05%とすることが好ましい。
Al:0.01〜0.05%
Alは、脱酸作用を有すると同時に、Nと結合してAlNを形成しやすく、結晶粒を微細化させるため、靱性向上に有効である。しかしながら、Alの含有量が0.01%未満ではこれらの効果は得難い。一方で、Alは硬質な酸化物系介在物を形成して疲労強度を低下させてしまう。特に、Alの含有量が0.05%を超えると、疲労強度の低下が著しくなる。したがって、Alの含有量を0.01〜0.05%とした。なお、Al含有量の望ましい下限は0.02%であり、また、望ましい上限は0.04%である。
N:0.003〜0.020%
Nは、Al、V、Nb、Tiと結合して窒化物、あるいは炭窒化物を形成しやすく、結晶粒を微細化させるため、靱性向上に有効である。しかしながら、Nの含有量が0.003%未満ではこの効果は得難い。一方で、Nの含有量が0.020%を超えると、粗大な窒化物が形成されやすくなり、疲労強度の低下が著しくなる。したがって、Nの含有量を0.003〜0.020%とした。なお、N含有量の望ましい下限は0.006%であり、また、望ましい上限は0.015%である。
本発明の鋼材の化学組成の一つは、上記元素のほか、残部がFeと不純物からなり、不純物としてのO(酸素)が0.0015%以下のものである。
以下、不純物としてのOについて説明する。
O(酸素):0.0015%以下
Oは、Alと結合して硬質な酸化物系介在物を形成しやすく、特にOの含有量が0.0015%を超えると、粗大な酸化物系介在物を形成しやすくなり、疲労強度が低下する場合がある。したがって、Oの含有量を0.0015%以下とした。さらに、不純物としてのOの含有量はできる限り少なくすることが望ましいが、製鋼でのコストを考慮すると、0.0010%以下にすることが好ましい。
本発明の鋼材の化学組成の他の一つは、上記の元素に加えてさらに、Ni、Cr、Mo、NbおよびTiのうちから選んだ1種以上の元素を含有するものである。以下、これらの元素の作用効果と、含有量の限定理由について説明する。
Ni、CrおよびMoは、いずれも強度を高める作用を有する。このため、より高い強度を具備させたい場合には、以下の範囲で含有してもよい。
Ni:1.5%以下
Niは、強度を高めるのに有効な元素であるので、高強度化のためにNiを含有してもよい。しかしながら、Niを1.5%を超えて含有させても、強度を高める効果が飽和して、コストが嵩むばかりである。したがって、Niの含有量を1.5%以下とした。なお、Niの含有量は1.0%以下とすることが望ましい。
一方、前記したNiの強度向上効果を確実に得るためには、Ni含有量の下限を0.1%とすることが望ましく、0.3%とすれば一層望ましい。
Cr:1.5%以下
Crは、強度を高めるのに有効な元素であるので、高強度化のためにCrを含有してもよい。しかしながら、Crの含有量が1.5%を超えると、その効果が飽和し、むしろ靱性が低下する。したがって、Crの含有量を1.5%以下とした。なお、Crの含有量は0.8%以下とすることが望ましい。
一方、前記したCrの強度向上効果を確実に得るためには、Cr含有量の下限を0.1%とすることが望ましく、0.2%とすれば一層望ましい。
Mo:0.5%以下
Moも、強度を高めるのに有効な元素であるので、高強度化のためにMoを含有してもよい。しかしながら、Moを0.5%を超えて含有させても、強度を高める効果が飽和して、コストが嵩むばかりである。したがって、Moの含有量を0.5%以下とした。なお、Moの含有量は0.3%以下とすることが望ましい。
一方、前記したMoの強度向上効果を確実に得るためには、Mo含有量の下限を0.03%とすることが望ましく、0.08%とすれば一層望ましい。
なお、上記のNi、CrおよびMoは、そのうちのいずれか1種のみ、または2種以上の複合で含有することができる。
次に、NbおよびTiは、いずれも結晶粒を微細化して靱性を高める作用を有する。このため、より優れた靱性を得たい場合には、以下の範囲で含有してもよい。
Nb:0.08%以下
Nbは、C、Nと結合して炭化物、窒化物、あるいは炭窒化物を形成しやすく、結晶粒を微細化して靱性を高める作用を有するので、この効果を得るためにNbを含有してもよい。しかしながら、Nbの含有量が0.08%を超えると、粗大な炭化物、窒化物、あるいは炭窒化物を形成しやすくなり、疲労強度の低下が著しくなる。したがって、Nbの含有量を0.08%以下とした。なお、Nbの含有量は0.05%以下とすることが望ましい。
一方、前記したNbの靱性向上効果を確実に得るためには、Nb含有量の下限を0.005%とすることが望ましく、0.01%とすれば一層望ましい。
Ti:0.08%以下
Tiも、C、Nと結合して炭化物、窒化物、あるいは炭窒化物を形成しやすく、結晶粒を微細化して靱性を高める作用を有するので、この効果を得るためにTiを含有してもよい。しかしながら、Tiの含有量が0.08%を超えると、粗大な炭化物、窒化物、あるいは炭窒化物を形成しやすくなり、疲労強度の低下が著しくなる。したがって、Tiの含有量を0.08%以下とした。なお、Tiの含有量は0.05%以下とすることが望ましい。
一方、前記したTiの靱性向上効果を確実に得るためには、Ti含有量の下限を0.005%とすることが望ましく、0.01%とすれば一層望ましい。
なお、上記のNbおよびTiは、そのうちのいずれか1種のみ、または2種の複合で含有することができる。
(B)金属組織とビッカース硬さ
自動車、トラック、その他産業機械の部品であるシャフト、ハブユニット、等速ジョイント、コンロッドなど、鋼製部品の中で高強度が必要な部分は一部分であるため、本発明においては、高強度化が必要な部分の金属組織と硬さを規定する。さらに必要に応じて、高強度化が不要な部分の硬さも規定する。
先ず、部品の強度としては、引張試験での0.2%耐力、引張強さ、疲労試験での疲労強度などが要求されるが、これらは硬さと相関がある。このため、本発明ではビッカース硬さを高強度化の指標として用いた。なお、現在量産化されている鋼製熱間鍛造部品の0.2%耐力は800MPa程度が最高であるので、それを上回る950MPa以上を目標とした。そして、0.2%耐力が950MPaの場合のビッカース硬さはおよそ380である。一方、ビッカース硬さが540を上回ると、延性の確保、具体的には、引張試験での絞りが10%以上という延性の確保が極めて困難になる。
このため、本発明の高強度鋼製粗形品は、断面における平均ビッカース硬さを380〜540とした。なお、断面における平均ビッカース硬さの望ましい下限は410であり、また、望ましい上限は500である。
さらに、次に示す調査を実施し、その結果に基づいて、金属組織と硬さを規定することを行った。
すなわち、本発明者は、表1に示す鋼A〜Dを50kg真空溶解炉で溶解した後、鋳造してインゴットを得た。なお、表1には、前記〔CR=10/(ID1.5)〕の式で表されるCRの値および〔ID={0.36+0.46×(C−0.4)}×(1+0.70×Si)×(1+3.3×Mn)×(1+2.2×Cr)×(1+3.0×Mo)×(1+0.36×Ni)〕の値で表されるIDの値を併記した。
Figure 0005035159
各インゴットを一旦室温まで冷却した後、再度1250℃で30分加熱し、仕上げ温度を950℃以上として熱間鍛造して、直径25mmの丸棒を得た。
次いで、上記の直径25mmの各丸棒を、850℃で1時間保持して室温まで放冷する処理を行った後、機械加工によって直径8mm、長さ12mmの試験片を作製した。
上記の試験片は、加工熱処理シミュレーター(富士電波工業製サーメックマスター試験機)を用いて、図1および表2に示す条件で加工熱処理を行った。なお、図1における表示の意味は次のとおりである。
A(℃)×600秒:温度A(℃)で600秒保持したこと、
B(℃)、R(%)、ひずみ速度10/秒:温度B(℃)でひずみ速度を10/秒として圧縮加工量R(%)つまり、[{12−加工後の長さ(mm)}/12]×100の値が「R」となる加工を行ったこと、
D(℃/秒):パターンXにおける加工後の冷却速度、
E(℃/秒):パターンYにおける加工後の冷却速度、
F(℃)×G(秒):温度F(℃)でG秒保持したこと。
Figure 0005035159
上記の加工熱処理を行った各試験片を縦断面方向で2等分して、その片方について、鏡面研磨した後、次に示す条件でビッカース硬さを測定し、その算術平均値を平均ビッカース硬さとした。さらに、ナイタールで腐食した後、次に示す条件で光学顕微鏡による金属組織の観察を行い、光学顕微鏡で撮影した写真を用いて、通常の画像解析方法によりパーライト、フェライト、ベイナイトおよびマルテンサイトの面積分率を測定し、6視野の面積分率の平均値をその試験番号の各組織の割合とした。
〈ビッカース硬さ測定〉
・試験力:9.8N、
・測定数:10点、
・測定間隔:1mm。
〈光学顕微鏡による金属組織観察〉
・倍率:400倍、
・視野数:6、
・各視野の大きさ:0.25mm×0.25mm。
また、加工熱処理を行った試験片を縦断面方向で2等分した残りの片方を用いて、通常の湿式研磨方法で100μm以下、具体的には70μm程度の厚さに仕上げた後、通常の電解研磨法で透過型電子顕微鏡用の薄膜試料を作製した。
上記の薄膜試料を用いて、日本電子製JEM−200CX(加速電圧200kV)の透過型電子顕微鏡で観察し、面間隔からVC(面心立方晶、格子定数:0.416nm)と推定される電子線回折の反射を用いて、暗視野像を結像させて、次に示す条件で撮影した。
〈透過型電子顕微鏡による観察〉
・倍率:200000倍、
・視野数:4、
・各視野の大きさ:0.3μm×0.4μm。
図2に、上記の透過型電子顕微鏡の観察例(図2の(a))およびその模式図(図2の(b))を示した。この図2から、パーライトを構成するフェライト中に粒径5nm以下の析出物が規則性を持って存在していることがわかる。なお、上記の析出物は電子線回折の結果から、VCを主体とする粒子と考えられ、オーステナイトからパーライトに変態するときの相界面で点列状に析出したと考えられる。
一般に析出物の間隔は、析出粒子による強化に密接に関連するといわれている。このため、図2(b)に模式的に示すように、上記の点列状に析出した析出粒子群の列同士の間隔を測定し、その平均値である平均列間隔を求めた。なお、一部のものについては、析出物自体が存在していないか、あるいは析出物の大きさが、今回使用した透過型電子顕微鏡によって識別できる大きさより小さかった(粒径がおよそ1nm未満)ため、「平均列間隔」を測定することができなかった。
表3および表4に、上記の各調査結果をまとめて示した。
Figure 0005035159
Figure 0005035159
金属組織は、表3および表4に示されるように、パーライトの単相組織またはパーライトとフェライト、ベイナイトおよびマルテンサイトのうちの1種以上との混合組織からなっていた。
ここで、例えば、「快削鋼の被削性の評価と材質の影響」(古澤貞良、第96、97回西山記念技術講座、「快削鋼の製造技術の発展と品質の向上」、(昭和59年)、日本鉄鋼協会編集発行、第23〜49ページ)の第44ページの図22に示されているように、同じ化学組成の鋼で比較すると、パーライトの単相組織の被削性が優れており、マルテンサイトの単相組織およびベイナイトの単相組織の場合には、パーライトに比べて被削性が悪い。しかしながら、組織に占めるベイナイトとマルテンサイトの合計の割合、つまり「ベイナイト+マルテンサイト」の割合が20%以下であれば、これらの組織による被削性の低下の影響は小さい。このため、本発明においては、少なくとも特定の一つの断面S1における金属組織が、パーライトとフェライト、ベイナイトおよびマルテンサイトのうちの1種以上との混合組織からなる場合には、ベイナイト+マルテンサイトの割合を20%以下と規定した。
また、フェライトは、パーライトよりも低強度であるので、表3および表4に示すように、フェライの割合が20%を超える場合には、平均ビッカース硬さで380という値を確保することが難しい。このため、上記混合組織におけるフェライの割合を20%以下と規定した。
以上のことから、本発明においては、少なくとも特定の一つの断面S1における金属組織が、パーライトの単相組織またはパーライトとフェライト、ベイナイトおよびマルテンサイトのうちの1種以上との混合組織からなり、前記混合組織の場合には各組織の割合が、パーライト:60%以上、フェライト:20%以下、かつベイナイト+マルテンサイト:20%以下であることと規定した。
なお、上記混合組織におけるパーライトの割合は80%以上であることが好ましい。また、上記混合組織におけるベイナイト+マルテンサイトの割合の下限およびフェライトの割合の下限は、それぞれ、0%であっても構わない。そして、混合組織におけるベイナイト+マルテンサイトの割合およびフェライトの割合がともに0%のときが、パーライトの単相組織である。
さらに、表3および表4からわかるように、パーライトの単相組織またはパーライトとフェライト、ベイナイトおよびマルテンサイトのうちの1種以上との混合組織からなり、前記混合組織の場合には各組織の割合が、パーライト:60%以上、フェライト:20%以下、かつベイナイト+マルテンサイト:20%以下で、パーライトを構成するフェライト中に、粒径5nm以下の析出物が平均15nm以下の平均列間隔で点列状に存在するとき、平均ビッカース硬さ380以上が得られた。したがって、上記パーライトの単相組織または上記混合組織において、パーライトを構成するフェライト中に粒径5nm以下の析出物が15nm以下の平均列間隔で点列状に存在することと規定した。より好ましい平均列間隔は12nm以下である。なお、上記平均列間隔の下限は、特に限定しないが、本発明での測定値で最も小さいもので、8nm程度となった。また、上記パーライトを構成するフェライト中に点列状に存在する析出物の粒径の下限値は、透過型電子顕微鏡によって識別できる大きさが1nm程度のため、1nm程度となる。
また、「金属材料と加工技術講座9 金属切削・研削技術と材料および設計」(編集代表者:伊藤鎮、竹山秀彦、発行日:昭和39年12月25日、発行所:地人書館)の第47ページの図2・51に示されているように、被削性は硬さとの相関が強い。なお、そこに示されているのは、ブリネル硬さと被削率の関係であるが、ブリネル硬さとビッカース硬さは、ほぼ同等の数値を示すことが知られている。このため、本発明のようにビッカース硬さで380以上という高い硬さを必要とする場合に被削性を向上させるためには、被削性が要求される箇所の硬さをビッカース硬さで50以上低減することが有効であることがわかる。
すなわち、部品の中で高強度化が必要な部分のみ平均ビッカース硬さで380〜540という高い硬さにし、それ以外のところをビッカース硬さで50以上低減して軟質化すると、高硬度部の強度は同等であって、部品全体の被削性を高めることができる。
したがって、被削性が重視される場合には、鋼製粗形品のビッカース硬さの最大値が540以下であって、前記特定の一つの断面S1における平均ビッカース硬さが380〜540で、かつ、断面S1以外において、断面S1の平均ビッカース硬さよりも、平均ビッカース硬さが50以上低い断面を有することと規定した。断面S1以外において、断面S1の平均ビッカース硬さよりも、平均ビッカース硬さが80以上低い断面を有することがより好ましい。
自動車、トラック、その他産業機械の部品の中で高強度化が必要な部位としては、例えばハブユニットではフランジの付け根部分、コンロッドでは桿部が挙げられる。
(C)製造条件
前記した表2〜4からわかるように、鋼材の少なくとも一部分を1100〜1300℃に加熱した後、仕上げ温度を900℃以上として熱間鍛造を行い、熱間鍛造終了後、550〜630℃の温度域まで冷却した後、その温度域に300秒以上保持することによって、少なくとも一つの断面S1における金属組織が、パーライトの単相組織またはパーライトとフェライト、ベイナイトおよびマルテンサイトのうちの1種以上との混合組織からなり、前記混合組織の場合には各組織の割合が、パーライト:60%以上、フェライト:20%以下、かつベイナイト+マルテンサイト:20%以下であり、さらに、前記の単相組織または混合組織においてパーライトを構成するフェライト中に、粒径5nm以下の析出物が15nm以下の平均列間隔で点列状に存在し、しかも、前記の断面における平均ビッカース硬さが380〜540という条件を満足させることができる。なお、表3および表4中の平均列間隔の欄で、「測定できず」とあるものは、析出物自体が存在していないか、あるいは析出物の大きさが、今回使用した透過型電子顕微鏡によって識別できる大きさより小さかった(粒径がおよそ1nm未満)ため、「平均列間隔」を測定することができなかったものである。
ただし、熱間鍛造終了後の冷却中にオーステナイト域でVCが析出したり、フェライト変態またはパーライト変態が生じると、硬さの低下を招くため、被鍛造材である鋼材の焼入れ性に応じた特定の冷却速度以上で冷却する必要がある。
ここで、鋼の焼入れ性は、理想焼入れをしたときの臨界直径、すなわち理想臨界直径(DI)で見積ることができること、また、DIは鋼の化学組成などから見積ることができることが知られている。そして、DIは前記(A)項で述べた化学組成であれば、
ID={0.36+0.46×(C−0.4)}×(1+0.70×Si)
×(1+3.3×Mn)×(1+2.2×Cr)×(1+3.0×Mo)
×(1+0.36×Ni)
の式で求められるIDと一次の相関があることが知られている。
また、丸棒の表面から「半径/2」の深さの位置での冷却速度は、おおむね丸棒の直径の1.5乗に反比例する。
そこで、表3および表4に示した結果のうち、冷却速度を系統的に変化させた表2の加工熱処理符号f〜iの条件で処理した分について、熱間鍛造後の冷却速度と結果の関係を整理して図3に示した。
なお、図3における●印は、一つの断面S1において、パーライトの単相組織またはパーライトとフェライト、ベイナイトおよびマルテンサイトのうちの1種以上との混合組織からなり、前記混合組織の場合には各組織の割合が、パーライト:60%以上、フェライト:20%以下、かつベイナイト+マルテンサイト:20%以下であり、さらに、前記の単相組織または混合組織においてパーライトを構成するフェライト中に、粒径5nm以下の析出物が15nm以下の平均列間隔で点列状に存在するという金属組織と、断面における平均ビッカース硬さが380〜540という条件を満たしている試験例であり、一方、×印は、上記の金属組織と平均ビッカース硬さのいずれか、または双方を満たしていない試験例である。
図3から、熱間鍛造後の冷却速度(CR)が、
CR=10/(ID1.5
の式で表されるCR以上の値であれば、良好な結果を得ることができることがわかる。ただし、熱間鍛造終了後に、100℃/秒以上の冷却速度を安定して確保することは難しい。一方、上記550〜630℃の温度域まで冷却した後、その温度域に保持時間が3000秒を超えても効果が飽和し、コストが嵩むだけである。
したがって、鋼製粗形品の製造方法として、鋼材の少なくとも一部分を1100〜1300℃に加熱した後、仕上げ温度を900℃以上として熱間鍛造を行い、熱間鍛造終了後、前記のCR℃/秒以上で100℃/秒以下の冷却速度で550〜630℃の温度域まで冷却した後、その温度域に300〜3600秒保持することとした。ここで、550〜630℃の温度域まで冷却した後の、その温度域での300〜3600秒の保持は、550〜630℃の温度域のある特定の温度まで冷却してその特定の温度で300〜3600秒保持してもよいし、上記特定の温度まで冷却した後、550〜630℃の温度域内で昇温や降温を行って上記温度域における合計の保持時間が300〜3600秒となるようにしてもよい。
なお、前記(A)項に記載の化学組成を有する鋼材を、上記の方法によって製造すれば、低コストにして容易に、少なくとも一つの断面S1において、パーライトの単相組織またはパーライトとフェライト、ベイナイトおよびマルテンサイトのうちの1種以上との混合組織からなり、前記混合組織の場合には各組織の割合が、パーライト:60%以上、フェライト:20%以下、かつベイナイト+マルテンサイト:20%以下であり、さらに、前記の単相組織または混合組織においてパーライトを構成するフェライト中に、粒径5nm以下の析出物が15nm以下の平均列間隔で点列状に存在するという金属組織と、断面における平均ビッカース硬さが380〜540という条件を満足させることができる。
さらに、表3および表4に示した結果のうち、加熱温度およびその後の鍛造温度のみ異なる表2の加工熱処理符号cとdの条件で処理した結果から、加熱温度が1000℃以下であれば、ビッカース硬さが50以上低下することがわかる。しかしながら、加熱温度が800℃を下回ると、その後の鍛造での荷重が大きくなって、金型寿命が大幅に低下してしまう。
したがって、被削性が重視される場合の鋼製粗形品の製造方法として、鋼材を加熱して800℃以上、かつその少なくとも一部分を1100〜1300℃に、また、他の部分を1000℃以下にした後、熱間鍛造を行い、その熱間鍛造による加工部位のうちで前記1100〜1300℃に加熱した部分の仕上げ温度を900℃以上として熱間鍛造を終了し、次いで、被鍛造材を、前記1100〜1300℃に加熱した部分に該当する部位を基準に、CR℃/秒以上100℃/秒以下の冷却速度で550〜630℃の温度域まで冷却し、その後、前記の温度域に300〜3600秒保持することとした。
なお、先にも述べたように「被鍛造材を、1100〜1300℃に加熱した部分に該当する部位を基準に、CR℃/秒以上100℃/秒以下の冷却速度で550〜630℃の温度域まで冷却」するとは、1100〜1300℃に加熱された部位について、仕上げ温度を900℃以上として熱間鍛造を終了した後、当該部位の温度が550〜630℃の温度域の温度になるまで、CR℃/秒以上100℃/秒以下の冷却速度で冷却することを指す。
そして、550〜630℃の温度域まで冷却した後の、その温度域での300〜3600秒の保持は、550〜630℃の温度域のある特定の温度まで冷却してその特定の温度で300〜3600秒保持してもよいし、上記特定の温度まで冷却した後、550〜630℃の温度域内で昇温や降温を行って上記温度域における合計の保持時間が300〜3600秒となるようにしてもよい。
なお、前記(A)項に記載の化学組成を有する鋼材を、上記の方法によって製造すれば、低コストで、しかも容易に、少なくとも特定の一つの断面S1における金属組織が、パーライトの単相組織またはパーライトとフェライト、ベイナイトおよびマルテンサイトのうちの1種以上との混合組織からなり、前記混合組織の場合には各組織の割合が、パーライト:60%以上、フェライト:20%以下、かつベイナイト+マルテンサイト:20%以下であり、さらに、前記の単相組織または混合組織においてパーライトを構成するフェライト中に、粒径5nm以下の析出物が15nm以下の平均列間隔で点列状に存在し、しかも、前記特定の断面S1における平均ビッカース硬さが380〜540で、かつ、断面S1以外において、断面S1の平均ビッカース硬さよりも、平均ビッカース硬さが50以上低い断面を有することという条件を満足させることができる。
なお、鋼材を加熱して800℃以上、かつその少なくとも一部分を1100〜1300℃に、また、他の部分を1000℃以下にする方法の一例としては、鋼材の全体を一般的な熱処理炉により800〜1000℃に加熱した後、特定の一部分を高周波加熱によって1100〜1300℃に加熱する方法を挙げることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
表5に示す化学組成を有する鋼E〜Uを50kg真空溶解炉で溶解した後、鋳造してインゴットを得た。なお、表5には、前記〔CR=10/(ID1.5)〕の式で表されるCRの値および〔ID={0.36+0.46×(C−0.4)}×(1+0.70×Si)×(1+3.3×Mn)×(1+2.2×Cr)×(1+3.0×Mo)×(1+0.36×Ni)〕の値で表されるIDの値を併記した。
表5中の鋼F〜H、鋼Jおよび鋼L〜Uは、化学組成が本発明で規定する範囲内にある鋼である。一方、鋼E,鋼Iおよび鋼Kは、化学組成が本発明で規定する条件から外れた比較例の鋼である。
Figure 0005035159
各インゴットを一旦室温まで冷却した後、再度1250℃で30分加熱し、仕上げ温度を950℃以上として熱間鍛造して、直径25mmの丸棒を得た。
次いで、上記の直径25mmの各丸棒を、850℃で1時間保持して室温まで放冷する処理を行った後、機械加工によって直径8mm、長さ12mmの試験片を作製した。
上記の試験片は、加工熱処理シミュレーター(富士電波工業製サーメックマスター試験機)を用いて、前記した図1および表2に示す条件で加工熱処理を行った。
上記の加工熱処理を行った各試験片を縦断面方向で2等分して、その片方について、鏡面研磨した後、次に示す条件でビッカース硬さを測定し、その算術平均値を平均ビッカース硬さとした。さらに、ナイタールで腐食した後、次に示す条件で光学顕微鏡による金属組織の観察を行い、光学顕微鏡で撮影した写真を用いて、通常の画像解析方法によりパーライト、フェライト、ベイナイトおよびマルテンサイトの面積分率を測定し、6視野の面積分率の平均値をその試験番号の各組織の割合とした。
〈ビッカース硬さ測定〉
・試験力:9.8N、
・測定数:10点、
・測定間隔:1mm。
〈光学顕微鏡による金属組織観察〉
・倍率:400倍、
・視野数:6、
・各視野の大きさ:0.25mm×0.25mm。
また、加工熱処理を行った試験片を縦断面方向で2等分した残りの片方を用いて、通常の湿式研磨方法で100μm以下、具体的には70μm程度の厚さに仕上げた後、通常の電解研磨法で透過型電子顕微鏡用の薄膜試料を作製した。
上記の薄膜試料を用いて、日本電子製JEM−200CX(加速電圧200kV)の透過型電子顕微鏡で観察し、面間隔からVC(面心立方晶、格子定数:0.416nm)と推定される電子線回折の反射を用いて、暗視野像を結像させて、次に示す条件で撮影した。
〈透過型電子顕微鏡による観察〉
・倍率:200000倍、
・視野数:4、
・各視野の大きさ:0.3μm×0.4μm。
次いで、透過型電子顕微鏡で撮影した写真を用いて、パーライトを構成するフェライト中の粒径1〜5nmの点列状に析出した析出粒子群の列同士の間隔を測定し、その平均値である平均列間隔を求めた。なお、一部のものについては、析出物自体が存在していないか、あるいは析出物の大きさが、今回使用した透過型電子顕微鏡によって識別できる大きさより小さかった(粒径がおよそ1nm未満)ため、「平均列間隔」を測定することができなかった。
表6に、上記の各調査結果をまとめて示した。
Figure 0005035159
表6から明らかなように、鋼材の化学組成が本発明で規定する条件から外れた鋼E、鋼Iおよび鋼Kを用いた比較例の試験番号1、試験番号2、試験番号9、試験番号10、試験番号13および試験番号14の場合、平均ビッカース硬さが本発明で規定する380に達しておらず、このため、シャフト、ハブユニット、等速ジョイント、コンロッドなどの高強度鋼製部品に対して950MPa以上という高い0.2%耐力を確保させることはできない。
また、鋼材の化学組成が本発明で規定する範囲内であっても、金属組織におけるフェライトの割合がそれぞれ、35%および25%と高く、本発明で規定する範囲を超える比較例の試験番号3および試験番号17の場合、平均ビッカース硬さが本発明で規定する380に達していない。このため、シャフト、ハブユニット、等速ジョイント、コンロッドなどの高強度鋼製部品に対して950MPa以上という高い0.2%耐力を確保させることはできない。
同様に、鋼材の化学組成が本発明で規定する範囲内であっても、パーライトを構成するフェライト中に点列状に存在する粒径5nm以下の析出物の平均列間隔が本発明で規定する15nmを超える比較例の試験番号6,試験番号8、試験番号23および試験番号33の場合も平均ビッカース硬さが本発明で規定する380に達していない。このため、シャフト、ハブユニット、等速ジョイント、コンロッドなどの高強度鋼製部品に対して950MPa以上という高い0.2%耐力を確保させることはできない。
鋼材の化学組成が本発明で規定する範囲内であっても、金属組織中に本発明で規定する割合を超える「ベイナイト+マルテンサイト」が含まれる比較例の試験番号11、試験番号16、試験番号19、試験番号22、試験番号25、試験番号30および試験番号31の場合、シャフト、ハブユニット、等速ジョイント、コンロッドなどの最終形状に仕上げる際の被削性が低くなってしまう。そして、上記の試験番号のうちでも、試験番号11、試験番号19、試験番号22および試験番号25の場合、平均ビッカース硬さが本発明で規定する上限の540を超えるので、引張試験での絞りが10%以上という延性の確保が極めて困難で、このため、部品に衝撃的な応力が負荷された時に破壊する可能性が生じてしまう。
鋼材の化学組成が本発明で規定する範囲内であっても、比較例の試験番号27の場合、粒径5nm以下の析出物がほとんど析出していなかったため、粒径5nm以下の析出物の平均列間隔も測定できなかったので、平均ビッカース硬さが本発明で規定する380に達していない。
これに対して、本発明の規定を全て満たす本発明例の各試験番号の場合には、高い強度を有し、しかも、良好な被削性と高い延性も備えるものであることが明らかである。
本発明の高強度鋼製粗形品は、高い強度を有するとともに製造コストの低減が可能で、また、良好な被削性も備えているので、自動車、トラック、その他産業機械の部品であるシャフト、ハブユニット、等速ジョイント、コンロッドなど、高強度鋼製部品の素材として好適に用いることができる。この高強度鋼製粗形品は、本発明の製造方法によって製造することができる。
加工熱処理のパターンXおよびパターンYの各条件について説明する図である。 薄膜試料を用いて、倍率を200000倍として透過型電子顕微鏡観察して撮影した観察例を示す図である。図中の(a)は、面間隔からVC(面心立方晶、格子定数:0.416nm)と推定される電子線回折の反射を用いて、暗視野像を結像させて撮影した実際の観察例を示す図である。また、(b)は上記(a)を模式的に示す図であって、オーステナイトからパーライトに変態するときの相界面で、パーライトを構成するフェライト中に規則性を持って点列状に存在する析出物群の列同士の間隔(つまり、「列間隔」)について説明する図である。 表3および表4に示した結果のうち、冷却速度を系統的に変化させた表2の加工熱処理符号f〜iの条件で処理した分について、熱間鍛造後の冷却速度と結果の関係を整理して示す図である。

Claims (8)

  1. 質量%で、C:0.4〜0.9%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.5〜2.0%、V:0.3〜0.9%、P:0.10%以下、S:0.005〜0.2%、Al:0.01〜0.05%およびN:0.003〜0.020%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物としてのOが0.0015%以下の化学組成を有する鋼材からなる鋼製粗形品であって、少なくとも一つの断面における金属組織が、パーライトの単相組織またはパーライトとフェライト、ベイナイトおよびマルテンサイトのうちの1種以上との混合組織からなり、前記混合組織の場合には各組織の割合が、パーライト:60%以上、フェライト:20%以下、かつベイナイト+マルテンサイト:20%以下であり、さらに、前記の単相組織または混合組織においてパーライトを構成するフェライト中に、粒径5nm以下の析出物が15nm以下の平均列間隔で点列状に存在し、しかも、前記の断面における平均ビッカース硬さが380〜540であることを特徴とする高強度鋼製粗形品。
  2. 質量%で、C:0.4〜0.9%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.5〜2.0%、V:0.3〜0.9%、P:0.10%以下、S:0.005〜0.2%、Al:0.01〜0.05%およびN:0.003〜0.020%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物としてのOが0.0015%以下の化学組成を有する鋼材からなり、ビッカース硬さの最大値が540以下である鋼製粗形品であって、少なくとも特定の一つの断面S1における金属組織が、パーライトの単相組織またはパーライトとフェライト、ベイナイトおよびマルテンサイトのうちの1種以上との混合組織からなり、前記混合組織の場合には各組織の割合が、パーライト:60%以上、フェライト:20%以下、かつベイナイト+マルテンサイト:20%以下であり、さらに、前記の単相組織または混合組織においてパーライトを構成するフェライト中に、粒径5nm以下の析出物が15nm以下の平均列間隔で点列状に存在し、しかも、前記特定の断面S1における平均ビッカース硬さが380〜540で、かつ、断面S1以外において、断面S1の平均ビッカース硬さよりも、平均ビッカース硬さが50以上低い断面を有することを特徴とする高強度鋼製粗形品。
  3. 鋼材の化学組成が、質量%で、さらに、Ni:1.5%以下、Cr:1.5%以下およびMo:0.5%以下のうちの1種以上を含有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の高強度鋼製粗形品。
  4. 鋼材の化学組成が、質量%で、さらに、Nb:0.08%以下およびTi:0.08%以下のうちの1種以上を含有するものであることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の高強度鋼製粗形品。
  5. 質量%で、C:0.4〜0.9%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.5〜2.0%、V:0.3〜0.9%、P:0.10%以下、S:0.005〜0.2%、Al:0.01〜0.05%およびN:0.003〜0.020%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物としてのOが0.0015%以下の化学組成を有する鋼材の少なくとも一部分を1100〜1300℃に加熱した後、仕上げ温度を900℃以上として熱間鍛造を行い、熱間鍛造終了後、CR℃/秒以上100℃/秒以下の冷却速度で550〜630℃の温度域まで冷却した後、その温度域に300〜3600秒保持することを特徴とする高強度鋼製粗形品の製造方法。
    ただし、CR=10/(ID1.5
    ID={0.36+0.46×(C−0.4)}×(1+0.70×Si)
    ×(1+3.3×Mn)×(1+2.2×Cr)×(1+3.0×Mo)
    ×(1+0.36×Ni)
    なお、上記の式におけるC、Si、Mn、Cr、MoおよびNiは、鋼材中のその元素の質量%での含有量を表す。
  6. 質量%で、C:0.4〜0.9%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.5〜2.0%、V:0.3〜0.9%、P:0.10%以下、S:0.005〜0.2%、Al:0.01〜0.05%およびN:0.003〜0.020%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物としてのOが0.0015%以下の化学組成を有する鋼材を加熱して800℃以上、かつその少なくとも一部分を1100〜1300℃に、また、他の部分を1000℃以下にした後、熱間鍛造を行い、その熱間鍛造による加工部位のうちで前記1100〜1300℃に加熱した部分の仕上げ温度を900℃以上として熱間鍛造を終了し、次いで、被鍛造材を、前記1100〜1300℃に加熱した部分に該当する部位を基準に、CR℃/秒以上100℃/秒以下の冷却速度で550〜630℃の温度域まで冷却し、その後、前記の温度域に300〜3600秒保持することを特徴とする高強度鋼製粗形品の製造方法。
    ただし、CR=10/(ID1.5
    ID={0.36+0.46×(C−0.4)}×(1+0.70×Si)
    ×(1+3.3×Mn)×(1+2.2×Cr)×(1+3.0×Mo)
    ×(1+0.36×Ni)
    なお、上記の式におけるC、Si、Mn、Cr、MoおよびNiは、鋼材中のその元素の質量%での含有量を表す。
  7. 鋼材の化学組成が、質量%で、さらに、Ni:1.5%以下、Cr:1.5%以下およびMo:0.5%以下のうちの1種以上を含有するものであることを特徴とする請求項5または6に記載の高強度鋼製粗形品の製造方法。
  8. 鋼材の化学組成が、質量%で、さらに、Nb:0.08%以下およびTi:0.08%以下のうちの1種以上を含有するものであることを特徴とする請求項5から7までのいずれかに記載の高強度鋼製粗形品の製造方法。
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