JP5736936B2 - 熱間圧延棒鋼または線材、および冷間鍛造用鋼線の製造方法 - Google Patents

熱間圧延棒鋼または線材、および冷間鍛造用鋼線の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱間圧延棒鋼または線材に関し、詳しくは、引抜き、球状化焼鈍後の冷間鍛造性に優れ、かつ、浸炭または浸炭窒化時のオーステナイト粒粗大化防止特性に優れた熱間圧延棒鋼または線材に関する。さらに、本発明は、前記熱間圧延棒鋼または線材を用いた冷間鍛造用鋼線の製造方法に関し、詳しくは、冷間鍛造性に優れ、かつ浸炭または浸炭窒化時のオーステナイト粒粗大化防止特性に優れた冷間鍛造用鋼線の製造方法に関する。
自動車や産業機械の歯車、プーリー、シャフトなどの部品は、熱間鍛造または冷間鍛造により粗成形される場合が多い。
冷間鍛造は、熱間鍛造に較べて寸法精度が高い。このため、鍛造後の切削加工量を低減できることなどのメリットがあり、近年、冷間鍛造で粗成形される部品が多くなってきている。
冷間鍛造で粗成形する場合、鍛造での変形抵抗を下げるために球状化焼鈍を施すことが多い。しかしながら、球状化焼鈍を行っても、依然として、冷間鍛造時の変形抵抗が高いという問題が残っている。
さらに冷間鍛造後、切削加工を施し、その後、浸炭焼入れまたは浸炭窒化焼入れによって表面硬化させる場合が多いが、その際、焼入れ前のオーステナイト粒が粗大化すると、部品としての疲労強度が低下したり、焼入れ時の変形が大きくなるなどの問題が生じやすい。
そこで、冷間鍛造における変形抵抗を考慮しつつ、上記のオーステナイト粒の粗大化を安定して抑止できる冷間鍛造用熱間圧延棒鋼または線材、さらにはその棒鋼や線材を素材として、低い変形抵抗を実現しつつオーステナイト粒の粗大化を抑止することが可能な冷間鍛造用鋼線を製造する方法が求められている。
特許文献1には、0.2〜0.6%のCを含む鋼線材・棒鋼において、初析フェライト分率が5〜30面積%であり、残部がベイナイトを主体する組織からなり、かつ、前記ベイナイト中におけるセメンタイトのラス間隔の平均値が0.3μm以上であることを特徴とする、球状化処理後における変形能の向上と変形抵抗の低減が達成可能で、優れた冷間鍛造性を実現できる「球状化後の冷間鍛造性に優れた鋼線材・棒鋼およびその製造方法」が開示されている。
特許文献2には、フェライト、ベイナイトおよびパーライトを含む混合組織を有し、ベイナイトの面積分率を30%以上に規定することで、球状化焼鈍した時の炭化物微細化が図れて高い変形能を有する「球状化後の冷間鍛造性に優れた肌焼用鋼線材・棒鋼」が開示されている。
特開2001−89830号公報 特開2005−220377号公報
前述の特許文献1で提案された技術は、変形抵抗の低減が不十分である。さらに、オーステナイト粒粗大化に対する対策も講じられていない。
特許文献2で提案された技術は、組織について、ベイナイトの面積分率しか考慮されていないため、変形抵抗を低減するための対策が不十分である。さらに、オーステナイト粒粗大化についても配慮されていない。
本発明は、上記現状に鑑みなされたもので、その目的は、低い変形抵抗を実現しつつ、冷間鍛造後の浸炭または浸炭窒化の際にオーステナイト粒の粗大化を安定して防止できる、熱間圧延棒鋼または線材を提供することである。さらに、前記熱間圧延棒鋼または線材を用いて、低い変形抵抗を実現しつつオーステナイト粒の粗大化を抑止することが可能な冷間鍛造用鋼線を製造する方法を提供することも本発明の目的とするところである。
前記の目的を達成するために、本発明者らは、種々の検討を行い、その結果下記(a)〜(g)の知見を得た。
なお、以下の説明において、「浸炭または浸炭窒化」を単に「浸炭」ということがある。
<球状化焼鈍後の冷間鍛造時の変形抵抗に及ぼす金属組織の影響>
(a)熱間圧延材の段階で、ベイナイトの組織分率が一定値以上であるフェライトとベイナイトの混合組織(以下、「フェライト・ベイナイト組織」という)または、フェライト、ベイナイトおよびパーライトの混合組織(以下、「フェライト・ベイナイト・パーライト組織」という。)である場合、引抜き後に球状化焼鈍を施せば、変形抵抗が低くなって、優れた冷間鍛造性が得られるとともに、浸炭加熱時のオーステナイト粒粗大化を安定して抑制する効果が得られる。
(b)上記の効果は、特に、特定の範囲の減面率で引抜き後に、特定の温度範囲での球状化焼鈍を施すことによって、特に安定して得られる。
<浸炭または浸炭窒化工程におけるオーステナイト粒の粗大化に及ぼす析出物の影響>
(c)熱間圧延鋼材である熱間圧延棒鋼または線材の段階で固溶していたAlNは球状化焼鈍後ある程度析出するが、熱間圧延鋼材の段階でAlNの析出量が少ない方が、浸炭加熱時にオーステナイト粒が粗大化しにくい。
(d)量産工程として一般的な、大断面での連続鋳造後の鋳片には、粗大なAlNが生成している場合が多く、これが熱間圧延鋼材で残存していると、たとえAlNの析出量が少なくても、浸炭加熱時にオーステナイト粒が粗大化しやすい。
(e)鋳片、および鋳片を分塊圧延して得た鋼片の加熱では、表面側から昇温するため、中心部の温度が表面の温度と同等になるには長時間を要する。したがって、一般的な加熱の場合、熱間圧延鋼材での中心部では、表層部に較べて、AlNの析出量、および粗大なAlNが多い場合が少なくなく、その場合、浸炭加熱時のオーステナイト粒粗大化を必ずしも安定して防止することができない。
(f)AlN析出量の定量は、一般に、表層部から電解抽出した残渣を分析することによって行われるため、この一般的な抽出残渣分析によって求めたAlN析出量は、中心部近傍の浸炭加熱時のオーステナイト粒粗大化防止の指標にはならない。中心部近傍における浸炭加熱時のオーステナイト粒粗大化防止を達成するには、中心部近傍におけるAlN析出量についても所定量以下にする必要がある。
(g)熱間圧延鋼材に対して、引抜きのような冷間加工を実施した場合、鋼材内部に転位が導入される。一般的に転位や、粒界のような原子配列の乱れは、析出物の生成サイトとなることが知られており、結晶粒内に比べて析出物が生成しやすい。熱間圧延鋼材の組織がフェライト・ベイナイト組織または、フェライト・ベイナイト・パーライ組織である場合、ベイナイトやパーライトに比べて軟質なフェライト粒の粒径が大きくなると、冷間加工の際に導入される転位の分布が不均一となる。その結果、球状化焼鈍時に析出するAlNの析出状態が不均一となるので、熱間圧延鋼材の段階で、中心近傍における粗大なAlNの析出、およびAlNの析出量を抑制しても、浸炭加熱時のオーステナイト粒粗大化を必ずしも安定して防止することができない。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記(1)〜(3)に示す熱間圧延棒鋼または線材、および下記(4)に示す冷間鍛造用鋼線の製造方法にある。
(1)浸炭または浸炭窒化される熱間圧延棒鋼または線材であって、
質量%で、
C:0.1〜0.3%、
Si:0.05〜1.0%、
Mn:0.4〜2.0%、
S:0.003〜0.05%、
Cr:0.5〜3.0%、
N:0.010〜0.025%および
Al:0.02〜0.05%
を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、
不純物中のP、TiおよびO(酸素)がそれぞれ、
P:0.025%以下、
Ti:0.003%以下および
O(酸素):0.002%以下
である化学組成を有し、
フェライト・ベイナイト組織またはフェライト・ベイナイト・パーライト組織からなり、ベイナイトの組織分率が70%を超え、フェライトの平均粒径が40μm以下の、金属組織を有し、
棒鋼または線材の表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、AlNとして析出しているAl量が0.005%以下、かつ、直径100nm以上のAlNの個数密度が5個/100μm2以下である、
ことを特徴とする熱間圧延棒鋼または線材。
(2)Feの一部に代えて、質量%で、
Cu:0.3%以下、
Ni:1.0%以下および
Mo:0.8%以下
のうちから選ばれる1種以上を含有する、
ことを特徴とする、上記(1)に記載の熱間圧延棒鋼または線材。
(3)Feの一部に代えて、質量%で、
Nb:0.08%以下および
V:0.2%以下
のうちから選ばれる1種以上を含有する、
ことを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の熱間圧延棒鋼または線材。
(4)浸炭または浸炭窒化される冷間鍛造用鋼線の製造方法であって、
上記(1)から(3)までのいずれかに記載の熱間圧延棒鋼または線材に対して、
減面率7.5〜15%の引抜き加工を実施し、その後740〜780℃の温度範囲で球状化焼鈍を行う、
ことを特徴とする、冷間鍛造用鋼線の製造方法。
本発明の熱間圧延棒鋼または線材は、引抜き、球状化焼鈍後の冷間鍛造性に優れ、かつ、冷間鍛造後の浸炭または浸炭窒化の際にオーステナイト粒の粗大化を安定して防止できるので、冷間鍛造で粗成形される歯車、プーリー、シャフトなどの部品の素材として好適に用いることができる。さらに、本発明の方法によって、低い変形抵抗を実現しつつオーステナイト粒の粗大化を抑止することが可能な冷間鍛造用鋼線を安定かつ容易に製造することができる。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」は「質量%」を意味する。
(A)化学組成
C:0.1〜0.3%
Cは、浸炭焼入れまたは浸炭窒化焼入れしたときの部品の芯部強度を確保するために必須の元素である。しかしながら、その含有量が0.1%未満では、前記の効果が不十分である。一方、Cの含有量が0.3%を超えると、変形抵抗が高くなり、冷間鍛造性の低下が顕著になる。したがって、Cの含有量を0.1〜0.3%とした。Cの含有量は、好ましくは0.15%以上、0.26%以下である。
Si:0.05〜1.0%
Siは、焼入れ性および焼戻し軟化抵抗を高める効果が大きく、疲労強度の向上に有効な元素である。しかしながら、その含有量が0.05%未満では、前記の効果が不十分である。一方、Siの含有量が1.0%を超えると、疲労強度を高める効果が飽和するだけでなく、変形抵抗が高くなり冷間鍛造性の低下が顕著になる。したがって、Siの含有量を0.05〜1.0%とした。Siの含有量が0.1%以上になると、疲労強度の向上効果が顕著になるので、Siの含有量は0.1%以上であることが好ましい。Siの含有量は0.8%以下であることが好ましい。
Mn:0.4〜2.0%
Mnは、焼入れ性および焼戻し軟化抵抗を高める効果が大きく、疲労強度の向上に有効な元素である。しかしながら、その含有量が0.4%未満では、前記の効果が不十分である。一方、Mnの含有量が2.0%を超えると、疲労強度を高める効果が飽和するだけでなく、変形抵抗が高くなり冷間鍛造性の低下が顕著になる。したがって、Mnの含有量を0.4〜2.0%とした。Mnの含有量は、好ましくは、0.5%以上、1.8%以下である。
S:0.003〜0.05%
Sは、Mnと結合してMnSを形成し、被削性を向上させる。しかし、その含有量が0.003%未満では、前記の効果が得難い。一方、Sの含有量が多くなると、粗大なMnSを生成しやすくなり、疲労強度を低下させる傾向があり、その含有量が0.05%を超えると、疲労強度の低下が顕著になる。したがって、Sの含有量を0.003〜0.05%とした。Sの含有量は0.01%以上、0.03%以下が好ましい。
Cr:0.5〜3.0%
Crは、焼入れ性および焼戻し軟化抵抗を高める効果が大きく、疲労強度の向上に有効な元素である。しかしながら、Crの含有量が0.5%未満では前記の効果が不十分である。一方、Crの含有量が3.0%を超えると、疲労強度を高める効果が飽和するだけでなく、変形抵抗が高くなり冷間鍛造性の低下が顕著になる。したがって、Crの含有量を0.5〜3.0%とした。Crの含有量が1.0%以上になると、疲労強度の向上が顕著になるので、Crの含有量は1.0%以上、2.5%以下であることが好ましい。
N:0.010〜0.025%
Nは、Al、Nb、V、Tiと結合してAlN、NbN、VN、TiNを形成しやすい元素である。これらの窒化物のうち、本発明では、AlN、NbNおよびVNが浸炭加熱時のオーステナイト粒粗大化防止効果を有する。しかしながら、Nの含有量が0.010%未満では、他の要件を満たしていても、本発明で目標とするオーステナイト粒の粗大化防止効果が得られない。一方、Nの含有量が0.025%を超えると、特に製鋼工程において、安定して量産することが難しくなる。したがって、Nの含有量を0.010〜0.025%とした。Nの含有量は0.013%以上、0.020%以下であることが好ましい。
Al:0.02〜0.05%
Alは、脱酸作用を有すると同時に、Nと結合してAlNを形成しやすく、浸炭加熱時のオーステナイト粒粗大化防止に有効な元素である。しかしながら、Alの含有量が0.02%未満では、オーステナイト粒粗大化防止効果が不十分である。一方、Alの含有量が0.05%を超えると、粗大なAlNが生成しやすく本発明で目標とするオーステナイト粒粗大化防止特性が十分得られない。したがって、Alの含有量を0.02〜0.05%とした。Alの含有量は0.025%以上、0.04%以下であることが好ましい。
本発明の熱間圧延棒鋼または線材の化学組成の一つは、上記元素のほか、残部がFeと不純物からなり、不純物中のP、TiおよびO(酸素)がそれぞれ、P:0.025%以下、Ti:0.003%以下およびO:0.002%以下のものである。
なお、残部としての「Feおよび不純物」における「不純物」とは、鉄鋼材料を工業的に製造する際に、原料としての鉱石やスクラップあるいは環境などから混入するものを指す。
以下、不純物中のP、TiおよびOについて説明する。
P:0.025%以下
Pは、粒界偏析して粒界を脆化させやすい元素で、0.025%を超えると、疲労強度を低下させる。したがって、不純物中のPの含有量を0.025%以下とした。不純物中のPの含有量は0.015%以下とすることが好ましい。
Ti:0.003%以下
Tiは、Nと結合して硬質で粗大なTiNを形成しやすく、疲労強度を低下させてしまう。特に、Tiの含有量が0.003%を超えると、疲労強度の低下が著しくなる。したがって、不純物中のTiの含有量を0.003%以下とした。不純物元素としてのTiの含有量は0.002%以下にすることが好ましい。
O(酸素):0.002%以下
Oは、Alと結合して硬質な酸化物系介在物を形成しやすく、疲労強度を低下させてしまう。特に、Oの含有量が0.002%を超えると、疲労強度の低下が著しくなる。したがって、不純物中のOの含有量を0.002%以下とした。なお、O含有量の好ましい上限は0.0015%である。
本発明の熱間圧延棒鋼または線材の化学組成の他の一つは、Feの一部に代えて、Cu、Ni、Mo、NbおよびVのうちの1種以上の元素を含有するものである。以下、これらの任意元素の作用効果と、含有量の限定理由について説明する。
Cu、NiおよびMoは、いずれも、焼入れ性を高める作用を有する。このため、より大きな焼入れ性を得たい場合には、これらの元素を含有させてもよい。以下、Cu、NiおよびMoについて説明する。
Cu:0.3%以下
Cuは、焼入れ性を高める効果があり、より疲労強度を高めるために有効な元素であるので、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Cuの含有量が0.3%を超えると、焼入れ性の向上による疲労強度を高める効果が飽和するだけでなく、変形抵抗が高くなり冷間鍛造性の低下が顕著となる。そのため、含有させる場合のCuの量を0.3%以下とした。含有させる場合のCuの量は0.2%以下であることが好ましい。
一方、前記したCuの焼入れ性向上による疲労強度を高める効果を安定して得るためには、含有させる場合のCuの量は、0.05%以上であることが好ましい。
Ni:1.0%以下
Niは、焼入れ性を高める効果があり、より疲労強度を高めるために有効な元素であるので、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Niの含有量が1.0%を超えると、焼入れ性の向上による疲労強度を高める効果が飽和するだけでなく、変形抵抗が高くなり冷間鍛造性の低下が顕著となる。そのため、含有させる場合のNiの量を1.0%以下とした。含有させる場合のNiの量は0.8%以下であることが好ましい。
一方、前記したNiの焼入れ性向上による疲労強度を高める効果を安定して得るためには、含有させる場合のNiの量は0.1%以上であることが好ましい。
Mo:0.8%以下
Moは、焼入れ性を高める効果があり、また、焼戻し軟化抵抗を高める効果もあって、より疲労強度を高めるために有効な元素であるので、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Moの含有量が0.8%を超えると、疲労強度を高める効果が飽和するだけでなく、変形抵抗が高くなり冷間鍛造性の低下が顕著となる。したがって、含有させる場合のMo量を0.8%以下とした。含有させる場合のMoの量は0.4%以下であることが好ましい。
一方、前記したMoの焼入れ性の向上と焼戻し軟化抵抗の向上による疲労強度を高める効果を安定して得るためには、含有させる場合のMoの量は0.05%以上であることが好ましい。
上記のCu、NiおよびMoは、そのうちのいずれか1種のみ、または、2種以上の複合で含有させることができる。これらの元素の合計含有量は2.1%以下であってもよいが、1.5%以下とすることが好ましい。
NbおよびVは、いずれも、浸炭加熱時のオーステナイト粒粗大化防止を補完する作用を有する。このため、より高いオーステナイト粒粗大化防止効果を得たい場合には、これらの元素を含有させてもよい。以下、NbおよびVについて説明する。
Nb:0.08%以下
Nbは、C、Nと結合してNbC、NbN、Nb(C、N)を形成しやすく、AlNによる浸炭加熱時のオーステナイト粒粗大化防止を補完するのに有効な元素であるので、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Nbの含有量が0.08%を超えると、オーステナイト粒粗大化防止の効果が飽和する。このため、合金コストがかさんで、経済性を損なうことになる。したがって、含有させる場合のNbの量を0.08%以下とした。含有させる場合のNbの量は0.05%以下であることが好ましい。
一方、前記したNbのオーステナイト粒粗大化防止効果を安定して得るためには、含有させる場合のNbの量は0.01%以上であることが好ましい。
V:0.2%以下
Vは、C、Nと結合してVC、VNを形成しやすく、AlNによる浸炭加熱時のオーステナイト粒粗大化防止を補完するのに有効な元素であるので、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Vの含有量が0.2%を超えると、オーステナイト粒粗大化防止の効果が飽和する。このため、合金コストがかさんで、経済性を損なうことになる。したがって、含有させる場合のVの量を0.2%以下とした。含有させる場合のVの量は0.15%以下であることが好ましい。
一方、前記したVのオーステナイト粒粗大化防止効果を安定して得るためには、含有させる場合のVの量は0.02%以上であることが好ましい。
上記のNbおよびViは、そのうちのいずれか1種のみ、または、2種の複合で含有させることができる。これらの元素の合計含有量は0.28%以下であってもよいが、0.20%以下とすることが好ましい。
(B)金属組織
熱間加工した状態である熱間圧延棒鋼または線材の段階での金属組織は、球状化焼鈍後に歯車など所要部品形状に成形する際の冷間鍛造性としての変形抵抗、さらには、冷間鍛造後の浸炭加熱時のオーステナイト粒粗大化防止特性に影響を及ぼす。
このため、熱間圧延棒鋼または線材の段階での金属組織を適正なものにする必要がある。そして、金属組織を、フェライト・ベイナイト組織またはフェライト・ベイナイト・パーライト組織からなり、ベイナイトの組織分率が70%を超え、フェライトの平均粒径が40μm以下のものとすることにより、優れた冷間鍛造性としての低い変形抵抗および浸炭加熱時のオーステナイト粒粗大化防止を実現することができる。
すなわち、先ず、フェライト・ベイナイト組織またはフェライト・ベイナイト・パーライト組織からなり、ベイナイトの組織分率が70%を超える場合に、冷間鍛造性としての低い変形抵抗を実現することができるので、良好な冷間鍛造性を確保することが可能となる。ベイナイトの組織分率は75%以上であることが好ましい。
なお、上記(A)項で述べた化学組成を有する鋼を素材として、熱間圧延および空冷すると、金属組織中にフェライトは必然的に含まれる。ベイナイトの組織分率が上記の70%を超えるという条件を満たしておれば、フェライト・ベイナイト組織におけるフェライトの組織分率、また、フェライト・パーライト・ベイナイト組織におけるフェライトとパーライトの個々の組織分率には特に制限はない。そして、フェライトの平均粒径が40μm以下の場合に、浸炭加熱時のオーステナイト粒粗大化の抑制を実現することができるので、得られた部品(製品)に良好な疲労強度を確保させることができる。
上記フェライトの平均粒径は35μm以下であることが好ましい。また、10μm以上であることが好ましい。
上記の金属組織における「相」の同定は、例えば、熱間圧延棒鋼または線材の長手方向に垂直、かつ、中心部を含む断面を切り出した後、鏡面研磨してナイタールで腐食した試験片について、倍率400倍で、視野の大きさを250μm×250μmとしてランダムに各10視野観察することによって行うことができる。
ベイナイトの組織分率およびフェライトの平均粒径は、例えば、上記各視野について通常の方法による画像解析を行うことによって求めることができる。
本発明における「フェライトの平均粒径」の定義は、次のとおりである。すなわち、熱間圧延棒鋼または線材の断面において、先ず各フェライト粒の面積を求め、その面積と等価な面積である円の直径を求め、それを各フェライト粒の見かけの粒径とする。次いで、面積を測定したすべてのフェライト粒の見かけの粒径の平均値を見かけのフェライト平均粒径とし、上記見かけのフェライト平均粒径を1.12倍したものをフェライトの平均粒径と定義する。
(C)熱間圧延棒鋼または線材の表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、AlNとして析出しているAl量および直径100nm以上のAlNの個数密度
鋳片および鋼片は大断面であるため、中心部まで所定の温度になるのに長時間を要する。したがって、鋳片および鋼片を加熱した際、表層部に較べて、中心部は温度が低かったり、所定の温度に保持される時間が短いことが一般的である。そのため、熱間加工した状態である熱間圧延棒鋼または線材の段階では、表層部と中心部とでAlNの析出量および分散状態が異なることとなり、冷間鍛造後の浸炭加熱時のオーステナイト粒の粗大化にも差異が生じる。
しかしながら、熱間圧延棒鋼または線材の表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、AlNとして析出しているAl量が0.005%以下であり、かつ、直径100nm以上のAlNの個数密度が5個/100μm2以下であれば、表層部から中心部の全域において、冷間鍛造後の浸炭加熱時のオーステナイト粒粗大化を抑制することができる。
したがって、本発明においては、熱間圧延棒鋼または線材の表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、AlNとして析出しているAl量が0.005%以下、かつ、直径100nm以上のAlNの個数密度が5個/100μm2以下であることと規定した。
上記2つの領域において、AlNとして析出しているAlの量は0.004%以下であることが好ましい。
上記2つの領域において、直径100nm以上のAlNの個数密度は4個/100μm2以下であることが好ましい。
上述のAlNとして析出しているAlの量は、例えば、適宜の試験片を採取し、この試験片の横断面について、電解研磨されないように樹脂でマスキングした後、一般的な条件である、いわゆる「10%AA系電解液」、すなわち、10体積%アセチルアセトン−1質量%塩化テトラメチルアンモニウム−メタノール溶液を用い、電流密度250〜350A/m2で抽出(電気分解)し、抽出した溶液をメッシュサイズ0.2μmのフィルタでろ過して、ろ過物について一般的な化学分析を行うことによって求めることができる。
上述の直径100nm以上のAlNの個数密度については、例えば、各領域から一般的な方法で抽出レプリカ試料を作製し、透過型電子顕微鏡を用いて、倍率20000倍、1視野あたりの面積10μm2で、ランダムに各10視野観察することによって、面積100μm2当たりの個数密度として求めることができる。
(D)本発明の熱間圧延棒鋼または線材の製造方法の一例
AlNとして析出しているAlの量、AlNの分散状態(個数密度)および金属組織には、鋼の化学組成、鋳片や鋼片の製造条件、鋳片や鋼片における成分元素の偏析、熱間圧延棒鋼または線材の圧延条件、その後の冷却速度などが影響する。
そこで、上記のAlNとして析出しているAlの量、AlNの分散状態および金属組織を得る方法の一例として、C:0.20〜0.25%、Si:0.2〜0.8%、Mn:0.5〜0.8%およびCr:1.5〜2.0%を含有する鋼を用いた場合について示す。本発明の熱間圧延棒鋼または線材の製造方法は、これに限るものではないことはもちろんである。
・凝固途中の鋳片に圧下を加えること、
・鋳片を加熱温度1250〜1300℃で300分以上加熱してから分塊圧延すること、
・分塊圧延後の鋼片の冷却は放冷とすること、
・鋼片の加熱温度を1230〜1280℃、かつ、加熱時間を90分以上として熱間圧延すること、
・熱間圧延仕上げ温度を950〜1050℃とし、仕上げ圧延後は風冷程度の冷却速度で600℃以下の温度まで冷却すること、
・鋼片から熱間圧延棒鋼または線材への鍛錬比(鋼片の断面積/棒鋼または線材の断面積)が8以上で、熱間圧延棒鋼または線材の直径を15〜45mmとすること。
上記において、熱間圧延での仕上げ圧延後の冷却は、600℃以下の温度に至った時点で、放冷、ミスト冷却、水冷など、適宜の手段に変更して冷却してもよい。
上記の加熱温度とは加熱炉の炉内温度の平均値、加熱時間とは在炉時間を意味する。また、熱間圧延の仕上げ温度とは、熱間圧延で所定の形状に成形した際の棒鋼、線材の表面温度を指し、さらに、仕上げ圧延後の冷却速度および温度も、棒鋼、線材の表面での冷却速度および温度を指す。
(E)熱間圧延棒鋼または線材に施す引抜き加工の減面率
本発明の冷間鍛造用鋼線の製造方法における引抜き加工の減面率は、次の式によって規定される。
減面率(%)={1−(「引抜き加工後の棒鋼または線材の断面積」/「引抜き加工前の棒鋼または線材の断面積」)}×100。
本発明の製造方法で用いる熱間圧延棒鋼または線材が、上記(B)項で述べた金属組織を有する場合、引抜き加工の減面率が15%を超えると、AlNの析出サイトとなる転位が多く導入され、その結果、球状化焼鈍早期にAlNが析出し、球状化焼鈍後には粗大なAlNが生成してしまい、冷間鍛造後の浸炭加熱時のオーステナイト粒粗大化の抑制を達成することができないことがある。引抜き加工の減面率は、好ましくは、12.5%以下である。
引抜き加工した後で球状化焼鈍を施す場合、炭化物の球状化による硬さの低下に加えて、フェライトが再結晶することにより硬さが低下する。しかしながら、引抜き加工の減面率が7.5%未満の場合、引抜き加工時に導入されるひずみ量が不十分となり、球状化焼鈍時のフェライト再結晶が不十分となって、硬さ低下が不十分となり、優れた冷間鍛造性を得ることができないことがある。引抜き加工の減面率は、好ましくは10%以上である。
(F)引抜き加工後の球状化焼鈍
前述のように引抜き加工後、球状化焼鈍を施すことにより、炭化物の球状化およびフェライトの再結晶が起きるために、硬さが低下する。この際、球状化焼鈍時の保持温度(以下、「球状化焼鈍温度」という。)が高い方が、炭化物の球状化、フェライトの再結晶ともに促進される。そのため、優れた冷間鍛造性としての低変形抵抗を実現するには、球状化焼鈍温度を740℃以上とする。好ましい球状化焼鈍温度は750℃以上である。
一方、球状化焼鈍温度が高くなるにつれて、AlNが粗大化し、特に、780℃を超えると、冷間鍛造後の浸炭加熱時のオーステナイト粒粗大化を抑制することができないことがあるため、球状化焼鈍温度は780℃以下とする。球状化焼鈍温度は、好ましくは770℃以下である。
球状化焼鈍温度での保持時間が短いと、炭化物の球状化、フェライトの再結晶が不十分となり優れた冷間鍛造性としての低変形抵抗の実現が困難になることがある。そのため、球状化焼鈍温度での保持時間は120分以上とするのが好ましく、180分以上とすればより好ましい。球状化焼鈍温度での保持時間が360分を超えても効果に変わりがない上に、操業コストが高くなるため、保持時間は360分以下が好ましい。
上記の球状化焼鈍温度および該温度での保持時間は、それぞれ、加熱炉の炉内温度の平均値および在炉時間を意味する。
球状化焼鈍温度で保持した後は、例えば大気中で放冷すれば良い。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
(実施例1)
表1に示す化学組成を有する鋼αおよび鋼βを70トン転炉で成分調整した後、連続鋳造を行って、400mm×300mm角の鋳片(ブルーム)を作製し、600℃まで冷却した。なお、連続鋳造の凝固途中の段階で圧下を加えた。上記の鋼αおよび鋼βはいずれも、化学組成が本発明で規定する範囲内にある鋼である。
このようにして作製した鋳片を、上記の600℃から1280℃に加熱した後、分塊圧延して180mm×180mm角の鋼片を作製し、室温まで冷却した。さらに、上記180mm×180mm角の鋼片を加熱した後、熱間圧延を行って直径30mmの棒鋼を得た。
表2に、製造条件〈1〉〜〈7〉として、400mm×300mmの鋳片から直径30mmの棒鋼に仕上げるに際しての、鋳片の加熱条件、分塊圧延後の冷却条件、鋼片の加熱条件、棒鋼圧延の圧延仕上げ温度と圧延後の冷却条件の詳細を示す。
Figure 0005736936
Figure 0005736936
上記のようにして得た直径30mmの各棒鋼について、表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、AlNとして析出しているAl量および直径100nm以上のAlNの個数密度を、次に述べる方法で調査した。
直径30mmの棒鋼には表面にスケールが存在しているため、そのままでは抽出残渣分析を行うことができない。このため、旋削加工により、同心円位置から直径29mm、長さ10mm、および直径6mm、長さ20mmの試験片を採取した。この試験片の横断面について、電解研磨されないように樹脂でマスキングした後、一般的な条件である、10%AA系電解液を用いて、電流密度250〜350A/m2で抽出(電気分解)した。抽出した溶液をメッシュサイズ0.2μmのフィルタでろ過して、ろ過物について一般的な化学分析を行って、AlNとして析出しているAl量を求めた。なお、前述したように、10%AA系電解液とは、10体積%アセチルアセトン−1質量%塩化テトラメチルアンモニウム−メタノール溶液である。
また、直径30mmの各棒鋼について、横断面表面から半径の1/5までの領域、および横断面中心部から半径の1/5までの領域から、それぞれ、一般的な方法で抽出レプリカ試料を作製して、透過型電子顕微鏡を用いて、倍率20000倍、1視野あたりの面積10μm2で、ランダムに各10視野観察し、先ず、AlNについて、長径と短径の算術平均である直径を求め、次いで、面積100μm2当たりについて、直径が100nm以上のAlNの個数密度を求めた。
金属組織における「相」、ベイナイトの組織分率およびフェライトの平均粒径は、次に述べる方法で調査した。
直径30mmの各棒鋼について、長手方向に垂直、かつ、中心部を含む断面を切り出した後、鏡面研磨してナイタールで腐食した試験片について、光学顕微鏡を用いて、倍率400倍で、視野の大きさを250μm×250μmとしてランダムに各10視野観察し、金属組織における「相」を同定するとともに、上記の各視野について通常の方法による画像解析を行って、ベイナイトの組織分率およびフェライトの平均粒径を求めた。フェライト平均粒径の算出方法は前述したとおりである。
さらに、引抜き、球状化焼鈍後の冷間鍛造を模擬した試験を行って冷間鍛造性を調査するとともに、冷間鍛造後の浸炭を模擬した試験を行ってオーステナイト粒の粗大化発生状況を調査した。
すなわち、前記表2の各製造条件で作製した直径30mmの棒鋼に対して、減面率10%の引抜きを施した。次いで、引抜きした棒鋼を、760℃に加熱して4時間保持した後、15℃/時の冷却速度で660℃まで冷却し、その後放冷する条件で、球状化焼鈍を行い、また、表2の製造条件〈1〉で作製した直径30mmの棒鋼については、上記の球状化焼鈍に代えて、920℃で60分保持した後、室温まで放冷する焼きならしを行ったものも作製して、冷間鍛造性を調査した。さらに、上記の引抜きと球状化焼鈍を施した場合について、冷間鍛造後に浸炭する際のオーステナイト粒の粗大化発生特性を調査した。
冷間鍛造性を調査するため、上記の球状化焼鈍を行った棒鋼および焼きならしを行った棒鋼について、表面から1mmを旋削加工し、高さを旋削後の直径の1.5倍とした円柱状試験片を作製した。前記円柱状試験片の端面を拘束して、円柱の高さ方向から、高さの60%の圧縮加工を行い、その際の変形抵抗値を測定した。各鋼について、焼きならし材の変形抵抗値を「100」として規格化した場合の、球状化焼鈍材の変形抵抗値の相対値を求めた。上記の相対値が90以下の場合に、球状化焼鈍後の変形抵抗が低く冷間鍛造性に優れていると判断し、これを本発明の目標とした。
冷間鍛造後に浸炭する際のオーステナイト粒の粗大化発生特性は、次に示す方法で調査した。すなわち、球状化焼鈍を行った棒鋼について、表面から1mmを旋削加工し、高さを旋削後の直径の1.5倍とした円柱状試験片を作製した。先ず、冷間鍛造を模擬するために、前記円柱状試験片の端面を拘束して、円柱の高さ方向で70%の圧縮加工を行った。次いで、浸炭を模擬するために、上記の圧縮加工を施した試験片を、930℃、950℃、970℃、990℃、1010℃および1030℃の各温度で180分保持した後、水焼入れした。
このようにして得た各試験片の中心部を含む縦断面を切り出した後、その切断面を鏡面研磨し、界面活性剤を添加したピクリン酸飽和水溶液で腐食した後、光学顕微鏡を用いて倍率100倍で観察して、JIS G 0551(2005)に準じて、結晶粒度標準図との比較による評価方法により、オーステナイト粒の粗大化発生状況を調査した。
上記の光学顕微鏡観察によって、粒度番号が5番以下のオーステナイト粒が認められた場合に、オーステナイト粒の粗大化が発生したと定義した。なお、オーステナイト粒粗大化防止効果の目標は、990℃以下の温度で180分保持した際に、オーステナイト粒の粗大化が発生しないこととした。
表3に、上記の各調査結果を、棒鋼の製造条件とともにまとめて示す。なお、表3における製造条件は、前記表2に記載した製造条件に対応するものである。
Figure 0005736936
表3から、化学組成、金属組織(つまり、「相」、ベイナイトの組織分率およびフェライトの平均粒径)、ならびに、表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、AlNとして析出しているAl量および直径100nm以上のAlNの個数密度の全てが本発明で規定する条件を満たす本発明例の試験番号1および8の場合には、目標とする冷間鍛造性およびオーステナイト粒粗大化防止効果が得られていることが明らかである。
これに対して、化学組成が本発明で規定する範囲内にあっても、金属組織におけるベイナイトの組織分率およびフェライトの平均粒径、ならびに、表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、AlNとして析出しているAl量およびAlNの個数密度のうちの少なくともいずれかが本発明で規定する条件から外れた比較例の試験番号2〜7および9〜14の場合には、冷間鍛造性およびオーステナイト粒粗大化防止効果のうちのいずれか一方または双方が目標に達していない。
(実施例2)
表4に示す化学組成を有する鋼a〜iを70トン転炉で成分調整した後、連続鋳造を行って、400mm×300mm角の鋳片(ブルーム)を作製し、600℃まで冷却した。なお、連続鋳造の凝固途中の段階で圧下を加えた。
上記の鋼のうち、鋼a〜gは化学組成が本発明で規定する範囲内にある鋼である。一方、鋼hおよび鋼iは化学組成が本発明で規定する範囲から外れた比較例の鋼である。
このようにして作製した鋳片を、上記の600℃から1280℃に加熱した後、分塊圧延して180mm×180mm角の鋼片を作製し、室温まで冷却した。さらに、上記180mm×180mm角の鋼片を加熱した後、熱間圧延を行って直径30mmの棒鋼を得た。
400mm×300mmの鋳片から直径30mmの棒鋼に仕上げるための製造条件は、各鋼について、前記表2に記載の製造条件〈1〉および製造条件〈2〉〜〈7〉のうちのいずれかの1つの計2条件とした。
表5に、各鋼を400mm×300mmの鋳片から直径30mmの棒鋼に仕上げた製造条件を、表2に記載の製造条件を用いて示す。
Figure 0005736936
Figure 0005736936
上記のようにして得た直径30mmの各棒鋼について、前記の(実施例1)におけるのと同じ方法で、金属組織における「相」、ベイナイトの組織分率およびフェライトの平均粒径、ならびに、表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、AlNとして析出しているAl量および直径が100nm以上のAlNの個数密度を調査するとともに、冷間鍛造性およびオーステナイト粒の粗大化発生状況を調査した。
本実施例においても、冷間鍛造性およびオーステナイト粒粗大化防止効果に関して、前記の(実施例1)に示したのと同じ目標を設定した。
表5に、上記の各調査結果を、棒鋼の製造条件とともにまとめて示した。
表5から、化学組成、金属組織(つまり、「相」、ベイナイトの組織分率およびフェライトの平均粒径)、ならびに、表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、AlNとして析出しているAl量および直径100nm以上のAlNの個数密度の全てが本発明で規定する条件を満たす本発明例の試験番号15、17、19、21、23、25および27の場合には、目標とする冷間鍛造性およびオーステナイト粒粗大化防止効果が得られていることが明らかである。
これに対して、本発明で規定する条件の全てを同時に満たしていない「比較例」の場合には、冷間鍛造性およびオーステナイト粒粗大化防止効果のうちのいずれか一方または双方が目標に達していない。
すなわち、化学組成が本発明で規定する範囲内にある鋼a〜gを用いた場合であっても、金属組織におけるベイナイトの組織分率およびフェライトの平均粒径、ならびに、表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、AlNとして析出しているAl量およびAlNの個数密度のうちの少なくともいずれかが本発明で規定する条件から外れた比較例の試験番号16、18、20、22、24、26および28の場合には、冷間鍛造性およびオーステナイト粒粗大化防止効果のうちのいずれか一方または双方が目標に達していない。
化学組成が本発明で規定する範囲から外れた鋼hを用いた比較例の試験番号29、30の場合には、表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、AlNとして析出しているAl量およびAlNの個数密度のうちの少なくとも1つ以上の条件も本発明の規定から外れるので、オーステナイト粒粗大化防止効果が目標に達していない。
また、化学組成が本発明で規定する範囲から外れた鋼iを用いた比較例の試験番号31、32の場合、金属組織におけるフェライトの平均粒径が本発明で規定する条件を満たす、満たさないに拘わらず、オーステナイト粒粗大化防止効果が目標に達していない。
(実施例3)
70トン転炉で成分調整した後、連続鋳造の凝固途中の段階で圧下を加えて600℃まで冷却した、前記表4に示す化学組成を有する鋼a、鋼b、鋼fおよび鋼gの400mm×300mm角の鋳片を、600℃から1280℃に加熱し、分塊圧延して180mm×180mm角の鋼片を作製し、室温まで冷却した。さらに、上記180mm×180mm角の鋼片を加熱した後、熱間で棒鋼圧延を行い直径30mmの棒鋼を得た。400mm×300mmの鋳片から直径30mmの棒鋼に仕上げるに際しての、鋳片の加熱条件、分塊圧延後の冷却条件および鋼片の加熱条件、ならびに棒鋼圧延の圧延仕上げ温度と圧延後の冷却条件は、表2の製造条件〈1〉に示す条件とした。
上記のようにして得た直径30mmの各棒鋼について、前記の(実施例1)におけるのと同じ方法で、金属組織における「相」、ベイナイトの組織分率およびフェライトの平均粒径、ならびに、表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、AlNとして析出しているAl量および直径100nm以上のAlNの個数密度を調査した。
上記直径30mmの各棒鋼に対して、表6に示す様々な条件で引抜き加工および球状化焼鈍を実施した。なお、いずれの試験番号の場合も、200分かけて球状化焼鈍温度まで加熱した後、200分保持し、その後は、大気中で放冷した。
さらに、本実施例においても、冷間鍛造性およびオーステナイト粒粗大化防止効果に関して、(実施例1)に準ずる方法で調査した。
すなわち、表6の条件で引抜き加工と球状化焼鈍を行った後、いずれの試験番号の場合も、表面から1mmを旋削加工し、高さを旋削後の直径の1.5倍とした円柱状試験片を作製し、前記円柱状試験片の端面を拘束して、円柱の高さ方向から、高さの60%の圧縮加工を行い、その際の変形抵抗値を測定して冷間鍛造性を調査した。なお、各試験番号について、実施例1の焼きならし材の変形抵抗値を「100」として規格化した場合の、変形抵抗値の相対値を求め、上記の相対値が90以下の場合に、変形抵抗が低く冷間鍛造性に優れていると判断し、これを目標とした。
また、上記のようにして作製した円柱状試験片の端面を拘束して、円柱の高さ方向で70%の圧縮加工を行い、次いで、上記の圧縮加工を施した試験片を、930℃、950℃、970℃、990℃、1010℃および1030℃の各温度で180分保持した後、水焼入れした。この後、結晶粒度標準図との比較による評価方法により、オーステナイト粒の粗大化発生状況を調査した。なお、本実施例においても、オーステナイト粒粗大化防止効果に関して、前記の(実施例1)に示したのと同じ目標を設定した。
表6に、上記の調査結果を併せて示す。
Figure 0005736936
表6から、本発明の熱間圧延棒鋼または線材に対して、減面率7.5〜15%の引抜き加工を実施し、その後740〜780℃の温度範囲で球状化焼鈍を行うことにより、良好な冷間鍛造性および浸炭または窒化の際のオーステナイト粒粗大化抑制効果を有する冷間鍛造用鋼線を安定して得られることが分かる。
本発明の熱間圧延棒鋼または線材は、引抜き、球状化焼鈍後の冷間鍛造性に優れ、かつ、冷間鍛造後の浸炭または浸炭窒化の際にオーステナイト粒の粗大化を安定して防止できるので、冷間鍛造で粗成形される歯車、プーリー、シャフトなどの部品の素材として好適に用いることができる。さらに、本発明の方法によって、低い変形抵抗を実現しつつオーステナイト粒の粗大化を抑止することが可能な冷間鍛造用鋼線を安定かつ容易に製造することができる。

Claims (4)

  1. 浸炭または浸炭窒化される熱間圧延棒鋼または線材であって、
    質量%で、
    C:0.1〜0.3%、
    Si:0.05〜1.0%、
    Mn:0.4〜2.0%、
    S:0.003〜0.05%、
    Cr:0.5〜3.0%、
    N:0.010〜0.025%および
    Al:0.02〜0.05%
    を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、
    不純物中のP、TiおよびO(酸素)がそれぞれ、
    P:0.025%以下、
    Ti:0.003%以下および
    O(酸素):0.002%以下
    である化学組成を有し、
    フェライト・ベイナイト組織またはフェライト・ベイナイト・パーライト組織からなり、ベイナイトの組織分率が70%を超え、フェライトの平均粒径が40μm以下の、金属組織を有し、
    棒鋼または線材の表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、AlNとして析出しているAl量が0.005%以下、かつ、直径100nm以上のAlNの個数密度が5個/100μm2以下である、
    ことを特徴とする熱間圧延棒鋼または線材。
  2. Feの一部に代えて、質量%で、
    Cu:0.3%以下、
    Ni:1.0%以下および
    Mo:0.8%以下
    のうちから選ばれる1種以上を含有する、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の熱間圧延棒鋼または線材。
  3. Feの一部に代えて、質量%で、
    Nb:0.08%以下および
    V:0.2%以下
    のうちから選ばれる1種以上を含有する、
    ことを特徴とする、請求項1または2に記載の熱間圧延棒鋼または線材。
  4. 浸炭または浸炭窒化される冷間鍛造用鋼線の製造方法であって、
    請求項1から3までのいずれかに記載の熱間圧延棒鋼または線材に対して、
    減面率7.5〜15%の引抜き加工を実施し、その後740〜780℃の温度範囲で球状化焼鈍を行う、
    ことを特徴とする、冷間鍛造用鋼線の製造方法。
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