JP5575719B2 - 磁気光学素子用焼結体及び磁気光学デバイス - Google Patents
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Θ=VHL
で表される。比例係数のVはヴェルデ定数といい、材料に依存する特性値である。
ファラデー回転子を小型化(ヴェルデ定数を大きく)するためには、単位体積当りの3価のテルビウムイオンの含有量を多くすれば良いことが知られている。
また、3価のテルビウムイオンを含有した単結晶としてはテルビウム・ガリウム・ガーネット(化学式Tb3Ga5O12)結晶があるが、この結晶のヴェルデ定数は0.13min./(エルステッド・cm)と比較的小さな値に留まっており、このため、小型の光アイソレータ用ファラデー回転子としては不満足な材料である。
Tb2O3を含有する単結晶や焼結体からなる磁気光学素子材料を、ファラデー回転子として利用することが特許文献1、2に開示されている。
このような化合物を含むことで、透明性により優れた焼結体となる。
このような本発明の磁気光学素子用焼結体を用いたものであれば、小型化が可能で、高品質の磁気光学デバイスとなる。
本発明の焼結体であれば、3価のテルビウムイオンを従来よりも高濃度に含み、例えば使用波長である1μm帯で透明な磁気光学素子材料となる。珪酸テルビウム(Tb2SiO5)は、その結晶構造は単斜晶系ではあるが、高温から室温まで相転移を起こすことがなく、また、波長1μm帯での吸収もない材料である。このため、還元性の雰囲気で焼成すると、3価のテルビウムイオンに起因する波長500nm付近の狭い幅での吸収以外の吸収は生じず、透光性に優れた焼結体となる。
珪酸テルビウム単体の焼結体でもファラデー回転子の材料として使用できるが、珪酸テルビウムは、単斜晶系のうち点群C2/cと点群P21/cの両方になるため、実用上問題はないものの、波長1μm帯で光アイソレータとしたときの挿入損失が少し見られる。従って、珪酸テルビウムを主体とする焼結体を製造するときに、例えばY2O3、Lu2O3といったTb3+イオンよりもイオン半径の小さな3価となる希土類元素の酸化物や、例えばZrO2、HfO2といった焼結助剤として用いられる4価となる酸化物から選択される一種以上の化合物となるような原料を添加すると、単斜晶系が安定するため、透明性がより優れた焼結体が得られる。この場合、3価のテルビウムイオン濃度は希釈されるが、この希釈効果を抑えるためには、上記添加する物質の量は10モル%未満とすることが必要となる。
本発明の焼結体の原料として、例えば、全て3価のテルビウムイオンで構成される化学式Tb2O3の純度4Nの酸化物粉末がある。市販されている純度4NのTb4O7を用いるときは、これを予め水素雰囲気で還元処理してTb2O3として用いても良い。
また、原料として、酸化ケイ素は市販品の純度4NのSiO2を用いることができる。
原料は、上記のような高純度であることが好ましく、また、その粒度は小さい方が焼成過程の反応性は良いが、微細すぎると取り扱いに不便であるので、原料粉末の平均粒径は数μmからサブμmのものを用いると良い。
純度4NのTb2O3を0.2モル秤取し、純度6Nの硝酸に溶解し、約300mlの溶液とした後に、0.2モルのテトラエトキシシランと300mlのエタノールを加える。この溶液に純度2Nのアンモニア水を撹拌しながら滴下し、ゲル状の物質を得る。なお、原料としてTb4O7を使うときは、少量のH2O2を添加することが好ましい。
この後、約70℃で余分なエタノールを蒸発させ、120℃で5日間乾燥させることでTb2SiO5用の原料が得られる。
この乾燥粉末を一軸プレスし、更に冷間等方加圧(CIP)で成形体を作製する。成形体密度が低いと、その後の焼成によって気孔が残って透過損失となるため、成形体密度は50%以上であることが好ましい。
HIP処理は、1100〜1400℃の温度範囲で数時間以内の処理によって残留気孔の低減効果が得られる。高温にするほうが残留気孔を短時間で低減できることより好ましく、残留気孔の比率としては焼結体の密度が理論密度の99.8%以上(気孔率では0.2%以下)であることが好ましい。焼結体の密度が理論密度の99.8%以上であれば、光の透過率が極端に低くなることもない。焼結体の密度はアルキメデス法で測定できる。気孔率は、焼結体の実測密度と理論密度の差異から求めることができる。
(実施例1)
純度99.9%で粒径1μm以下のTb2O3粉末を100g、SiO2粉末を16.42g、エチルアルコール150g、PVA1gを秤量し、表面を樹脂コートしたボールを用いてボールミル混合した。24時間後にスラリーを取り出し、エチルアルコールを蒸発させて乾燥粉末を得た。乾燥した粉末は、乳鉢と乳棒を用いて解砕した。
得られた焼結体から直径3mm×長さ10mmの円柱を切り出し、対向する2面を鏡面研磨した試料を作製した。
実施例1と同様に、ただし原料に、Y2O3、Lu2O3、ZrO2又はHfO2を5%あるいは10%含む粉末および各原料と等モルのSiO2を加え、実施例1と同じ手順で、Tb2SiO5の含有量が90モル%以上の焼結体を作製した。実施例1と同様に、作製した焼結体の両端を鏡面化し、無反射コートを施して挿入損失を測定した結果、挿入損失は0.12dB〜0.15dBと実施例1より小さな値を示した。
上記添加した化合物により、焼結体の透明性がより向上したためと考えられる。
Claims (3)
- 磁気光学素子用の多結晶焼結体であって、
該焼結体は、Tb2SiO5を主成分とし、該Tb2SiO5の含有量が90モル%以上であり、前記焼結体の密度が理論密度の99.8%以上であることを特徴とする磁気光学素子用焼結体。 - 前記焼結体は、Y2O3、Lu2O3、ZrO2、HfO2から選択される一種以上の化合物を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の磁気光学素子用焼結体。
- 請求項1又は請求項2に記載の磁気光学素子用焼結体を用いたものであることを特徴とする磁気光学デバイス。
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