JP5575535B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池スタックからの排ガスを触媒燃焼させる燃焼器を有する燃料電池に関し、特には、燃焼器と改質器との間で高効率に熱交換を行うための構造に関する。
近年、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する燃料電池が、高効率でクリーンな発電装置として注目されており、特に、固体酸化物電解質型燃料電池(SOFC)は発電効率に優れることから、種々の用途への展開が期待されている。
SOFCは、他のタイプの燃料電池よりも作動温度が高いことから、発電時の排熱を、改質器における改質反応の促進や、発電反応に用いられる空気の予熱等に利用して、発電効率を向上させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された燃料電池では、4つの燃料電池スタックを縦横2列に配置し、これら燃料電池スタック間に十字形の改質器を、燃料電池スタックの側部および上部に熱交換器類を配置して、主として燃料電池スタックからの輻射熱によって、改質器、および熱交換器類が加熱されるように構成されている。
特開2007−157479号公報
しかしながら、このように構成された燃料電池では、燃料電池スタックからの輻射熱を燃料改質や空気、燃料等の加熱に利用しているものの、燃料電池スタックから排出される高温の排ガスの持つ熱エネルギーは必ずしも十分に利用されておらず、発電効率の十分な向上が図れないという問題があった。
本発明の目的は、上記の課題を解決するために、燃料電池スタックからの高温の排ガスと改質器との間で高効率に熱交換を行うことにより、発電効率に優れる燃料電池を提供することにある。
前記した目的を達成するために、本発明に係る燃料電池は、燃料と空気とを反応させて発電する発電セルを複数積層してなる燃料電池スタックと、外部から導入された燃料を水蒸気改質することにより改質燃料を生成し、前記燃料電池スタックに供給する改質器と、前記燃料電池スタックから排出された排燃料の少なくとも一部と排空気とを燃焼させ、発生した熱を前記改質器に供給する燃焼器とを備え、前記改質器と前記燃焼器とが一体的に形成されている。ここで、「一体的に形成されている」とは、単一のハウジングを共有していることをいう。
改質器において、燃料である炭化水素、例えばメタンから水素リッチな改質燃料を生成する水蒸気改質反応は、以下の反応式で示される吸熱反応である。
CH + HO = CO + 3H
CO + HO = CO + H
上記構成によれば、改質器と燃焼器とが一体的に形成されていることにより、燃焼器で発生した熱を、放熱損失を抑制しながら、吸熱反応である水蒸気改質反応を行う低温の改質器に供給できるので、燃料電池の発電効率が向上する。また、燃焼器は改質器によって冷却されるため、燃焼器内温度が過度に上昇せず、長期に渡って燃料電池の高い発電効率が維持される。
本発明に係る燃料電池において、前記燃焼器が触媒によって前記排燃料および排空気を燃焼させる触媒燃焼器であり、前記改質器が前記燃料電池スタックと前記燃焼器との間に配置されていることが好ましい。この構成によれば、改質器は、燃焼器からの燃焼熱以外にも、燃料電池スタックから受ける輻射熱も燃料の水蒸気改質反応に利用できるので、水素リッチな改質燃料の生成が可能になる。さらには、燃料電池スタックと対面する改質器の高さ寸法、あるいは燃料電池スタックと改質器との距離を調整することにより燃料電池スタックから受熱する輻射熱量を制御できるので、改質ガス温度の調整が容易になる。
本発明に係る燃料電池において、さらに、外部から導入された空気を、前記燃焼器で発生した熱によって加熱して前記燃料電池スタックに供給する空気予熱器を備え、該空気予熱器が前記燃焼器と一体的に形成されていることが好ましい。この構成によれば、燃焼器と空気予熱器との間でも高効率に熱交換を行うことができ、発電効率が一層向上する。また、燃焼器、改質器および空気予熱器を一体化することにより、これらを別体に配置する場合に比べてコンパクトな構造となり、ホットモジュール表面からの放熱損失が低減する。
本発明に係る燃料電池において、前記空気予熱器の少なくとも一部が、前記燃料電池スタックと、前記燃焼器から排出された燃焼ガスの流路との間に配設されていることが好ましい。この構成によれば、空気予熱器には燃焼ガスからの熱と燃料電池スタックからの輻射熱が供給されて、空気を必要な温度まで加熱することができる。また、低温の改質器、空気予熱器等を燃料電池スタックの周りに配置することにより、燃料電池スタックからの放熱が促進される。その結果、燃料電池スタックの冷却に要する空気量を低減することが可能となり、燃料電池に空気を送り込む空気ブロワの動力が低減して燃料電池の発電効率が向上する。さらに、燃料電池スタックと対面する空気予熱器の高さ寸法、あるいは燃料電池スタックと空気予熱器との距離を調整することにより燃料電池スタックから受熱する輻射熱量を制御できるので、予熱空気温度の調整が容易になる。
本発明に係る燃料電池において、前記燃料電池スタックが矩形の前記発電セルを複数積層してなり、前記改質器、前記空気予熱器および前記燃焼器が、前記燃料電池スタックの外周を囲む角筒形状のスタック外囲ユニットを形成しており、このスタック外囲ユニットの内周部に前記改質器および前記空気予熱器が配設され、外周部に前記燃焼器が配設されていてもよい。この構成によれば、上述のように発電効率に優れる燃料電池の小型化を図ることができる。
以上のように、本発明に係る燃料電池によれば、燃料電池スタックからの輻射熱および高温の排ガスが持つ熱エネルギーを有効利用することにより、燃料電池の発電効率が向上する。
本発明の一実施形態に係る燃料電池を示す斜視図である。 図1のII-II線に沿った断面図である。 図1の燃料電池を示す横断面図である。 図1の実施形態に用いられる外囲ユニットの変形例を示す概略構成図である。 複数の燃料スタックを有する燃料電池の配置例を示す平面図である。
以下、本発明に係る実施形態を図面に従って説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池1を示す斜視図である。燃料電池1は、発電装置として使用されるものであり、燃料電池スタック3、改質器5、空気予熱器7および燃焼器9を主要な構成要素として備えている。
図1のII-II線に沿った断面図である図2に模式的に示すように、燃料電池1は後述の断熱部材で囲まれた密閉された高温室10内に設置されている。燃料電池スタック3は、燃料と空気とを反応させて発電する扁平な矩形の発電セル11を、その主面と直交する方向Xに、セパレータ12を介して複数積層して構成されている。各発電セル11は燃料極(アノード)と空気極(カソード)との間にイオン導電性セラミック製電解質を介在させた固体酸化物型燃料電池(SOFC)として構成されている。燃料電池スタック3の底部には、スタックアダプタ13が取り付けられている。スタックアダプタ13内には燃料電池スタック3に接続する空気A、燃料F、排燃料EFのガス流路が設けられており、空気供給管33、燃料供給管25を通じて、空気A、燃料Fが燃料電池スタック3へ供給され、排燃料配管35を介して、燃料電池スタック3からの排燃料EFの少なくとも一部が燃焼器9へ排出される。
図1に示すように、改質器5は、外部から、燃料導入通路を形成する燃料導入管23を介して導入された、水蒸気を含む燃料Fから、吸熱反応である水蒸気改質反応によって、改質燃料RFであるHおよびCO等を生成する。この改質反応には、燃焼器9で発生した熱および燃料電池スタック3からの輻射熱が利用される。生成した改質燃料RFは、燃料供給通路を形成する燃料供給管25を介してスタックアダプタ13に送られた後、発電セル11の燃料極に供給される。本実施形態では、燃料Fとして、メタンを主成分とするガス、例えば都市ガスを使用している。改質器5内には、改質触媒27として、ニッケル、ルテニウム等を担持したアルミナボールが充填されている。改質触媒27としては、このほかに、水蒸気改質用触媒として一般的に用いられる各種の金属粒子を使用することができる。
空気予熱器7は、外部から空気導入路を形成する空気導入管31を介して導入された空気Aを、燃焼器9で発生した熱および燃料電池スタック3からの輻射熱によって加熱する。空気予熱器7内で加熱された高温の空気HAは、空気供給路を形成する空気供給管33を介してスタックアダプタ13に送られた後、燃料電池スタック3の空気極に供給される。
燃料電池スタック3の燃料極から排出された排燃料EFの一部または全部は、排燃料流路を形成する排燃料流路管35を介して燃焼器9に導入される。また、燃焼器9の端部には、パンチングメタルを備える空気導入部9aが設けられており、燃料電池スタック3の空気極から高温室10に排出された排空気EAは、空気導入部9aを介して燃焼器9に導入される。燃焼器9は、導入された排燃料EFおよび排空気EAを燃焼させて、高温の燃焼ガスHGを生成する。燃焼ガスHGは、燃焼器9の下流側端部に接続された燃焼ガス流路39を経由して外部へ排出される。本実施形態の燃焼器9は、触媒によって排燃料EFおよび排空気EAを燃焼させる触媒燃焼器として構成されており、図2に示すように、その内部に、燃焼触媒41としてパラジウム、白金等を担持したアルミナボールが充填されている。燃焼器9における燃焼によって発生する熱は、改質器5における改質反応および空気予熱器7における空気の加熱に利用される。
以下、燃料電池1の構造について詳しく説明する。燃料電池1では、改質器5が燃焼器9と一体的に形成されており、さらに、空気予熱器7が燃焼器9および改質器5と一体的に形成されている。すなわち、図1に示すように、改質器5、空気予熱器7および燃焼器9が、単一のユニットハウジング44に収容されることにより一体化されており、ほぼ角筒形状のスタック外囲ユニット45を形成している。スタック外囲ユニット45の内周部45Aは、図3に示す平面視における一辺の位置を改質器5が占め、他の三辺の位置を空気予熱器7が占めている。一方、スタック外囲ユニット45の外周部45Bは、改質器5の外周側の部分が燃焼器9によって形成されており、空気予熱器7の外周側の部分が、燃焼ガス流路39を形成する燃焼ガス排出器46によって形成されている。
このように、改質器5、空気予熱器7および燃焼器9が一体化されているため、燃焼器9で発生した熱が、放熱損失を抑制しながら改質器5、および空気予熱器7に供給されるので、燃料電池1の発電効率が向上する。また、本実施形態では、燃料電池スタック3の動作温度が約800℃、燃焼器9の動作時の温度が約650〜700℃であるのに対し、改質器5の動作時の温度が約600〜650℃である。このように、燃焼器9は改質器5により冷却されて過度に温度が上昇することがないため、図2に示す燃焼器9内の燃焼触媒41の劣化が抑制され、長期に渡って燃料電池1の高い発電効率が維持される。
また、図1に示すように、スタック外囲ユニット45の1つの角部45aには、燃料電池1の運転時の熱膨張分を吸収するための隙間47が設けられている。隙間47は、角部45aにおいて、スタック外囲ユニット45の、燃料電池スタック3の積層方向Xの全範囲に渡って設けられている。上述の燃焼器9の空気導入部9aは、隙間47に臨む端部に設けられている。
図2に示すように、燃料電池スタック3は、その外周部3aが、スタック外囲ユニット45によって所定の間隔離間した状態で囲まれている。換言すれば、燃料電池スタック3の外周部3a、つまり、ほぼ直方体形状を有する燃料電池スタック3の、発電セル11の積層方向Xに平行な4つの側面に対向して、スタック外囲ユニット45の内周部45Aを形成する改質器5および空気予熱器7のいずれか一方が配置されている。このようにして、改質器5が、燃料電池スタック3と燃焼器9との間に配設されており、また、空気予熱器9が、燃料電池スタック3と燃焼ガス流路39との間に配設されている。図1に示すように、スタック外囲ユニット45の全体は、スタックアダプタ13とスタック外囲ユニット45とを接続する燃料供給管25、空気供給管33等の配管およびスタックアダプタ13に取り付けられた金属製の支持部材48によって、燃料電池スタック3を囲むように支持されている。
このように、燃焼器9と燃料電池スタック3との間に改質器5が配置されているので、燃料電池スタック3からの輻射熱と燃焼器9で発生した熱が改質器5へ供給されて、水素リッチな改質燃料RFの生成が可能なため、燃料電池1の発電効率が向上する。また、燃焼ガス流路39と燃料電池スタック3との間に空気予熱器9が配置されているので、燃料電池スタック3からの輻射熱と燃焼ガスからの熱により、空気が十分に加熱される。
また、低温の改質器5、空気予熱器7を燃料電池スタック3の周りに配置することにより、燃料電池スタック3からの放熱が促進される。その結果、燃料電池スタック3の冷却に要する空気量を低減することが可能となり、燃料電池1に空気を送り込む空気ブロワの動力が低減して燃料電池1の発電効率が向上する。さらには、燃料電池スタック3と対面する改質器5、空気予熱器7の高さ寸法(X方向の寸法)、あるいは燃料電池スタック3と改質器5、空気予熱器7との距離を調整することにより燃料電池スタック3から受熱する輻射熱量を制御できるので、改質ガス温度および空気予熱温度の調整が容易になる。
スタック外囲ユニット45は、例えば、ステンレス鋼のような耐食性を有する金属板で形成されたユニットハウジング44の内部に、同じ材質からなる仕切板49を溶接などによって接合して設けることにより形成されている。すなわち、燃焼器9と改質器5とは、ユニットハウジング44を共有し、1枚の仕切板49のみを介して隣接している。同様に、燃焼器9と空気予熱器7とは、ユニットハウジング44を共有し、仕切板のみを介して隣接している。なお、スタック外囲ユニット45を形成する材料は、ステンレス鋼に限らず、機械的強度、耐食性、熱伝導性等を考慮して適宜選択してよい。また、スタック外囲ユニットの構造も、図2に示した例に限らず、機械的強度や組立性を考慮して適宜選択することができる。
なお、図1に示した例では、スタック外囲ユニット45において、内周部45Aの平面視における一辺の位置を改質器5が占め、他の三辺の位置を空気予熱器7が占めるように構成し、外周部45Bの、改質器5の外周側の部分が燃焼器9によって形成され、空気予熱器7の外周側の部分が、燃焼ガス流路39を形成する燃焼ガス排出器46によって形成されるように構成したが、改質器5、空気予熱器7および燃焼器9の形状および配置はこれに限らず、例えば図4に示す変形例のように構成することができる。図4(a)は、燃焼器9を増設して断面L字形に形成した例、(b)は改質器5を増設して断面L字形に形成した例を示している。また、図4(c)は、スタック外囲ユニット45の平面視における一辺を占める燃焼器9の上流側の三辺の部分、つまり空気予熱器7の外周側に位置する部分を、燃料電池スタック3から排出された排空気EAの排出路51として形成して、排空気EAが、空気予熱器7内に外部から導入された空気Aと熱交換を行った後に燃焼器9に導入されるように構成した例である。
また、図3に示すように、燃料電池1は、その外側を密閉構造によって覆う断熱部材55によって形成された高温室10に設置されていることが好ましい。断熱部材55としては、グラスウールのような一般的な断熱材を用いることができる。燃料電池1の燃焼器9の外周部9aを覆う断熱部材55を設けることにより、燃焼器9からの放熱損失がさらに抑制されて、燃焼器9の熱が改質器5または空気予熱器7に高効率に伝達され、燃料電池1の発電効率が一層向上する。
本実施形態に係る燃料電池1においては、1つの燃料電池スタック3に対して1つの改質器5が設けられるので、複数、例えば4つの燃料電池スタック3を用いる場合、4つの燃料電池スタック3の配置は適宜選択することができる。例えば、図5(a)に示すように、4つの燃料電池スタック3を縦横各2列に配置して、その周囲を断熱部材55で覆ってもよく、あるいは、図5(b)に示すように、4つの燃料電池スタック3のすべてを1列に並べて配置して、その周囲を断熱部材55で覆ってもよい。
本実施形態に係る燃料電池1によれば、改質器5と燃焼器9とが一体的に形成されていることにより、吸熱反応を行う低温の改質器5と、燃料電池スタック3からの高温の排ガス、すなわち排燃料EFおよび排空気EAとの間での熱交換の放熱損失が抑制され、燃料電池1の発電効率が向上する。
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
1 燃料電池
3 燃料電池スタック
5 改質器
7 空気予熱器
9 燃焼器
11 発電セル
45 スタック外囲ユニット
A 空気
F 燃料
EA 排空気
EF 排燃料
X 燃料電池スタックの積層方向

Claims (4)

  1. 燃料と空気とを反応させて発電する発電セルを複数積層してなる燃料電池スタックと、
    外部から導入された燃料を水蒸気改質することにより改質燃料を生成し、前記燃料電池スタックに供給する改質器と、
    前記燃料電池スタックから排出された排燃料の少なくとも一部および排空気を燃焼させ、発生した熱を前記改質器に供給する燃焼器と、
    を備え、
    前記改質器と前記燃焼器とが一体的に形成されており、
    前記燃焼器が触媒によって前記排燃料および排空気を燃焼させる触媒燃焼器であり、
    前記改質器が前記燃料電池スタックと前記燃焼器との間に配置されており、
    前記改質器が前記燃料電池スタックの側面に対向して配置されている
    燃料電池。
  2. 請求項において、外部から導入された空気を、前記燃焼器で発生した熱によって加熱して前記燃料電池スタックに供給する空気予熱器を備え、該空気予熱器が前記燃焼器と一体的に形成されている燃料電池。
  3. 請求項1または2において、前記空気予熱器の少なくとも一部が、前記燃料電池スタックと、前記燃焼器から排出された燃焼ガスの流路との間に配設されている燃料電池。
  4. 請求項において、前記燃料電池スタックが矩形の前記発電セルを複数積層してなり、前記改質器、前記空気予熱器および前記燃焼器が、前記燃料電池スタックの外周を囲む角筒形状のスタック外囲ユニットを形成しており、このスタック外囲ユニットの内周部に前記改質器および前記空気予熱器が配設され、外周部に前記燃焼器が配設されている燃料電池。
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