JP5572715B2 - N−7置換プリン及びピラゾロピリミジン化合物、組成物及び使用方法 - Google Patents

N−7置換プリン及びピラゾロピリミジン化合物、組成物及び使用方法 Download PDF

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Description

ラパマイシン哺乳類標的(mammalian target of rapamycin)(mTOR)は、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)脂質キナーゼの触媒ドメインと有意な配列相同性を有するカルボキシル末端キナーゼを含んでいるため、ホスホイノシチド-3-キナーゼ様キナーゼ(PIKK)ファミリーのメンバーであると考えられている289kDaのセリン/スレオニンキナーゼである。C末端の触媒ドメインに加えて、mTORキナーゼは、FKBP12-ラパマイシン結合(FRB)ドメイン、C末端近傍の推定リプレッサードメイン、N末端の20までの縦列反復HEATモチーフ、並びにFRAP-ATM-TRRAP(FAT)及びFATのC末端ドメインもまた含む。Huang 及び Houghton, Current Opinion in Pharmacology, 2003, 3, 371-377を参照。該文献では、mTORキナーゼは、FRAP(FKBP12及びラパマイシン関連タンパク質)、RAFT1(ラパマイシン及びFKBP12標的1)、RAPT1(ラパマイシン標的1))とも称されている。
mTORキナーゼは、PI3K-Akt経路を介して増殖因子により、又は細胞性ストレス、例えば栄養素の欠乏又は低酸素により、活性化されうる。mTORキナーゼの活性化は、翻訳、転写、mRNA代謝回転、タンパク質安定性、アクチン細胞骨格再編成及びオートファジーを含む広範囲の細胞機能を介した細胞増殖及び細胞生存において中心的な役割を担っていると思われる。mTORの細胞シグナル伝達生物学及びmTORシグナル伝達相互作用を調節する潜在的な治療効果の詳細な概説については、Sabatini, D.M. 及びGuertin, D.A.(2005)An Expanding Role for mTOR in Cancer TRENDS in Molecular Medicine, 11, 353-361; Chiang, G.C. 及びAbraham, R.T.(2007)Targeting the mTOR signaling network in cancer TRENDS 13, 433-442;Jacinto及びHall(2005)Tor signaling in bugs, brain and brawn Nature Reviews Molecular and Cell Biology, 4, 117-126;及びSabatini, D.M. 及びGuertin, D.A.(2007)Defining the Role of mTOR in Cancer Cancer Cell, 12, 9-22を参照。
mTORキナーゼ生物学を研究している研究者は、mTOR細胞シグナル伝達の調節不全と、免疫疾患、癌、代謝疾患、循環器疾患及び神経疾患を含む多くの疾患との間の病的関連性を発見した。
例えば、mTORキナーゼの上流にあるPI3K-AKTシグナル伝達経路が、癌細胞において頻繁に過剰活性化され、それがその後mTORキナーゼのように下流の標的の過剰活性化を生じせしめることを示す証拠が存在する。より詳細には、異なったヒト腫瘍において変異しているPI3K-AKT経路のコンポーネントは、増殖因子レセプターの活性化変異、及びPI3KとAKTの増幅及び過剰発現を含む。また、神経膠芽腫、肝細胞癌、肺癌、メラノーマ、子宮内膜癌、及び前立腺癌を含む多くの腫瘍タイプが、PI3K-AKT経路の負の調節の機能喪失変異、例えばまたmTORキナーゼの過剰活性シグナル伝達に至る、結節性硬化症(TSC1/TSC2)及び染色体10に欠損があるホスファターゼ・テンシンホモログ(PTEN)を含むことを示す証拠も存在する。上記の点は、mTORキナーゼ阻害剤が、少なくとも部分的にmTORキナーゼシグナル伝達の過剰活性に起因する疾患の処置に有効な治療剤でありうることを示唆している。
mTORキナーゼは、2つの物理的かつ機能的に異なるシグナル伝達複合体(すなわち、mTORC1及びmTORC2)として存在する。mTORC1は、小分子インヒビターラパマイシンに結合し、それにより阻害されるために、「mTOR-ラプター(Raptor)複合体」又は「ラパマイシン感受性複合体」としても知られている。mTORC1は、タンパク質mTOR、ラプター及びmLST8の存在により定まる。ラパマイシンはそれ自体、マクロライドであり、mTORキナーゼの最初の小分子インヒビターとして発見された。生物学的に活性であるためには、ラパマイシンは、mTOR及びFKBP12と三重複合体を形成し、これは、集合的にイムノフィリンと呼ばれるサイトゾル結合タンパク質である。ラパマイシンは、mTORとFKBP12の二量体化を誘導するように作用する。ラパマイシン-FKBP12複合体が形成されることで、複合体がmTORに直接結合し、mTORの機能を阻害するため、機能獲得に至る。
第2の、より最近発見されたmTORC複合体であるmTORC2は、タンパク質mTOR、リクター(Rictor)、プロター(Protor)-1、mLST8、及びmSIN1の存在により特徴付けられる。また、mTORC2は、ラパマイシンに結合しないために、「mTOR-リクター複合体」又は「ラパマイシン非感受性」複合体とも称されている。
双方のmTOR複合体は、細胞の成長、増殖及び生存に影響を与える細胞内シグナル伝達経路において重要な役割を担っている。例えば、mTORC1の下流の標的タンパク質は、リボソームS6キナーゼ(例えば、S6K1、S6K2)、及び真核生物開始因子4E結合タンパク質(4E-BP1)を含み、これは細胞におけるタンパク質翻訳の鍵となるレギュレーターである。また、mTORC2は、AKT(S473)のリン酸化の原因であり;研究では、AKTの過剰活性化のためにコントロールされない細胞増殖が幾つかの癌タイプの特徴であることが示されている。
現在、幾つかのラパマイシンアナログが癌の臨床段階にある(例えば、WyethのCCI-779, NovartisのRAD001 及びAriad PharmaceuticalsのAP23573)。興味あることに、臨床データには、ラパマイシンアナログが、ある種の癌タイプ、例えばマントル細胞リンパ腫、子宮内膜癌、及び腎細胞癌に効果的であるようであることが示されている。
ラパマイシン又はそのアナログにより阻害されない第2のmTORタンパク質複合体(mTORC2)の発見より、ラパマイシンによるmTORの阻害は不完全であり、触媒ATP結合部位でmTORC1及びmTORC2の双方を阻害可能な直接のmTORキナーゼ阻害剤が、ラパマイシン及びそのアナログよりも効果的であり、より広範囲の抗腫瘍活性を有する可能性があることが示唆される。
最近、小分子mTOR阻害剤が、OSI Pharmaceuticals社の米国特許出願第11/599663号及び第11/657156号;Kudos Pharmacuticalsの国際出願国際公開第2008/023161号及び国際公開第2006/090169号;AstraZenecaの国際出願国際公開第2008/032060号、国際公開第2008/032086号、国際公開第2008032033号、国際公開第2008/032028号、国際公開第2008/032036号、国際公開第2008/032089号、国際公開第2008/032072号、国際公開第2008/031091号;Wythの国際公開第2008/116129号及び米国特許出願第12/276459号に開示されている。
米国仮出願第61/085309号はmTOR活性を有するあるクラスのN-複素環縮合ピリミジン化合物を開示している。
疾患(例えば癌)におけるmTORシグナル伝達の役割についての知識の増加に鑑みると、異常なmTOR活性が観察される疾患、例えば癌を治療するために使用することができるmTOR(mTORC1及びmTORC2を含む)の小分子阻害剤を得ることが望ましい。また、mTORシグナル伝達経路の上流又は下流で機能する関連酵素(例えば、PI3K、AKT)の小分子阻害剤を得ることも望ましい場合がある。
一態様では、本発明は、式I:
Figure 0005572715
の化合物を提供する。
式Iにおいて、Y及びYはそれぞれ独立してN又はC(R)であるが、Y及びYは両方ともNであることはなく又は両方ともC(R)であることはなく、ここで、Rは水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ヘテロアルキル、6員から10員のアリール、5員から9員のヘテロアリール、3員から12員のヘテロシクロアルキル、3員から12員のシクロアルキルからなる群から選択され、ここで、Rはハロゲン、F、Cl、Br、I、-NR、-SR、-OR、-C(O)OR、-C(O)NR、-C(O)R、-NRC(O)R、-OC(O)R、-NRC(O)NR、-OC(O)NR、-NRS(O)NR、-S(O)、-S(O)NR、-R、-NO、-N、=O、-CN、Rc1、-X-NR、-X-SR、-X-OR、-X-C(O)OR、-X-C(O)NR、-X-C(O)R、-X-NRC(O)R、-X-OC(O)R、-X-NRC(O)NR、-X-OC(O)NR、-X-NRS(O)NR、-X-S(O)、-X-S(O)NR、-X-NO、-X-N、-X-CN、及びX-Rc1からなる群から選択される0から5のRR1置換基で置換され;ここで、R及びRは水素、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C2−7ヘテロシクロアルキル、フェニル及び-(CH)1−4-フェニルからそれぞれ独立して選択され、場合によってはR及びRは、同じ窒素原子に結合されたときに組み合わされて、N、O及びSから選択される1から2のヘテロ原子を含む3員から6員の複素環を形成し;RはC1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C2−7ヘテロシクロアルキル、フェニル及び-(CH)1−4-フェニルから選択され;XはC1−4アルキレン、C2−4アルケニレン及びC2−4アルキニレンからなる群から選択され;及びRc1はフェニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-イミダゾリル、2-インドリル、1-ナフチル、2-ナフチル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピロリル、2-フラニル及び3-フラニルからなる群から選択され、ここで、Rc1は、F、Cl、Br、I、-NR、-SR、-OR、-S(O)、-S(O)NR、-NO、-N、=O、-CN、ピリジル、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル及びC1−6ヘテロアルキルから選択される0から3の置換基で置換される。式Iにおいて、Rは水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ヘテロアルキル、-L-C6−10アリール、-L-C1−9ヘテロアリール、-L-C3−12シクロアルキル及び-L-C2−12ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、ここでLはC1−6アルキレン、C2−6アルケニレン、C2−6アルキニレン及びC1−6ヘテロアルキレンから選択され、ここで、Rは、ハロゲン、F、Cl、Br、I、-NR、-SR、-OR、-C(O)OR、-C(O)NR、-C(O)R、-NRC(O)R、-OC(O)R、-NRC(O)NR、-OC(O)NR、-NRS(O)NR、-S(O)、-S(O)NR、-R、-NO、-N、=O、-CN、-X-NR、-X-SR、-X-OR、-X-C(O)OR、-X-C(O)NR、-X-C(O)R、-X-NRC(O)R、-X-OC(O)R、-X-NRC(O)NR、-X-OC(O)NR、-X-NRS(O)NR、-X-S(O)、-X-S(O)NR、-X-NO、-X-N及び-X-CNからなる群から選択される0から5のRR2置換基で置換され;ここで、R及びRは水素、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C2−7ヘテロシクロアルキル、フェニル及び-(CH)1−4-フェニルからそれぞれ独立して選択され、場合によってはR及びRは、同じ窒素原子に結合されたときに組み合わされて、N、O及びSから選択される1から2のヘテロ原子を含む3員から6員の複素環を形成し;RはC1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C2−7ヘテロシクロアルキル、フェニル及び-(CH)1−4-フェニルから選択され;XはC1−4アルキレン、C2−4アルケニレン及びC2−4アルキニレンからなる群から選択される。Rは5員から12員の単環又は架橋ヘテロシクロアルキル環であり、ここで、R基は、-C(O)OR,-C(O)NR、-NR -OR、-SR、-S(O)、-S(O)R、-R、ハロゲン、F、Cl、Br、I、-NO、-CN及び-Nからなる群から選択される0から3のRR3置換基で置換され、ここで、R及びRは水素、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6ヘテロアルキル、C2−6アルケニル及びC3−6シクロアルキルからそれぞれ独立して選択され、ここで、場合によってはR及びRは、それぞれが結合する窒素原子と共に組み合わされて、N、O及びSから選択される1から2のヘテロ原子を含む3員から6員の複素環を形成し、RはC1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C3−6シクロアルキルから選択され;Rが単環式ヘテロシクロアルキル環である場合、Rの同じ原子に結合した任意の二つのRR3基は場合によっては組み合わされて、3員から7員の炭素環又は環頂点としてN、O及びSから選択される1から2の原子を含む3員から7員の複素環を形成する。A、A、A及びAはN、C(R)又はC(H)からそれぞれ独立して選択され、ここで、A、A、A及びAの少なくとも3つはそれぞれ独立してC(H)又はC(R)であり、ここで、各発生時にRはF、Cl、Br、I、-NO、-CN、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニルからなる群から独立して選択され、又は隣接原子に結合した任意の二つのR基は場合によっては組み合わされて、環頂点としてN、O及びSから選択される1から2のヘテロ原子を含むC2−6複素環、C3−7シクロアルキル環、環頂点としてN、O及びSから選択される1から2のヘテロ原子を含むC1−5ヘテロアリール環、又はフェニル環を形成する。Dは-NRC(O)NR、-NR、-C(O)NR、-OC(O)OR、-OC(O)NR、-NRC(=N-CN)NR、-NRC(=N-OR)NR、-NRC(=N-NR)NR、-NRC(O)R、-NRC(O)OR、-NRS(O)NR及び-NRS(O)からなる群から選択されるメンバーであり、ここで、Rは水素、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル及びC2−6アルケニルからなる群から選択され;R及びRは水素、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−10シクロアルキル、C2−10ヘテロシクロアルキル、C6−10アリール及びC1−9ヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、R及びRは、同じ窒素原子に結合する場合、場合によっては組み合わされて、環頂点としてN、O及びSから選択される1から3のヘテロ原子を含み、0−3のR置換基で置換された5員から7員の複
素環又は5員から9員のヘテロアリール環を形成し;ここで、R、R及びRは0から3のR置換基で更に置換され、Rはハロゲン、F、Cl、Br、I、-NO、-CN、-NR、-OR、-SR、-C(O)OR、-C(O)NR、-NRC(O)R、-NRC(O)OR、-X-NR、-X-OR、-X-SR、-X-C(O)OR、-X-C(O)NR、-X-NRC(O)R、-X-NRC(O)OR、-X-CN、-X-NO、-S(O)R、-S(O)、=O、及び-Rからなる群から独立して選択され;ここで、R及びRは水素、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ヘテロアルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル、C6−10アリール、C1−9ヘテロアリールから選択され;Rは各発生時に、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル、C6−10アリール及びC1−9ヘテロアリールから独立して選択され;XはC1−4アルキレン、C2−4アルケニレン及びC2−4アルキニレンからなる群から選択され;ここで、DとDが結合している原子に隣接した原子に結合したR置換基は場合によっては組み合わされて、0から4のR置換基で置換され、更に置換されていてもよい5員から6員の複素環又はヘテロアリール環を形成する。
他の態様では、本発明は、少なくとも一の薬学的に許容可能な希釈剤、担体又は賦形剤と式Iの化合物を含有する薬学的組成物を提供する。
他の態様では、本発明は、mTORキナーゼの阻害によって治療することができる疾患又は障害の治療のために、式Iの化合物を使用する方法を提供する。
定義
ここで使用される場合、「アルキル」なる用語は、それ自体又は他の置換基の一部として、他に記載されないならば、示された数の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素基を意味する(すなわち、C1-8は1〜8の炭素原子を意味する)。アルキル基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル等が含まれる。「アルケニル」なる用語は、一又は複数の二重結合を有する不飽和アルキル基を意味する。同様に、「アルキニル」なる用語は、一又は複数の三重結合を有する不飽和のアルキル基を意味する。このような不飽和アルキル基の例には、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-及び3-プロピニル、3-ブチニル、及び高級ホモログ及び異性体が含まれる。「シクロアルキル」、「カルボサイクリック(carbocyclic)」、又は「炭素環(carbocycle)」は、示された数の環原子を有し、完全に飽和しているか、又は環頂点の間に一以上の二重結合を有さない炭化水素環(例えば、C3-6シクロアルキル)を意味する。ここで使用される場合、「シクロアルキル」、「カルボサイクリック」又は「炭素環」は、二環式、多環式、及びスピロ環式の炭化水素環、例えばビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ピナン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、アダマンタン、ノルボレン(norborene)、スピロ環式C5-12アルカン等を含むことも意味する。ここで使用される場合、「アルケニル」、「アルキニル」、「シクロアルキル」、「炭素環」及び「カルボサイクリック」なる用語は、そのモノ及びポリハロゲン化バリアント(変形体)を含むことを意味する。
「ヘテロアルキル」とは、それ自体又は他の用語との組合せとして、他に記載されないならば、記載された数の炭素原子と、O、N、Si及びSからなる群から選択される1〜3のヘテロ原子からなる、安定した直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素基を意味し、ここで窒素及び硫黄原子は、場合によっては酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は場合によっては第4級化されていてもよい。ヘテロ原子(類)O、N及びSは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に配されうる。ヘテロ原子Siは、アルキル基が分子の残余部分に結合する位置を含む、ヘテロアルキル基の任意の位置に配されうる。「ヘテロアルキル」は、3までの不飽和単位を含み得、またモノ-及びポリ-ハロゲン化バリアント(変形体)、又はそれらの組合せを含む。例には、例えば、-CH-CH-O-CH、-CH-CH-O-CF、-CH-CH-NH-CH、-CH-CH-N(CH)-CH、-CH-S-CH-CH、-S(O)-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH=CH-O-CH、-Si(CH)、-CH-CH=N-OCH、及び-CH=CH=N(CH)-CHが含まれる。2までのヘテロ原子は連続可能であり、例えば-CH-NH-OCH及び-CH-O-Si(CH)である。
「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロサイクリック」又は「複素環」は、N、O、及びSから選択される1〜5のヘテロ原子を有するシクロアルカン基を意味し、ここで窒素及び硫黄原子は、場合によっては酸化されていてもよく、窒素原子は場合によっては第4級化されていてもよい。他に記載されないならば、「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロサイクリック」又は「複素」環は、単環式、二環式、スピロ環式、又は多環式の環系でありうる。「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロサイクリック」又は「複素環」の非限定的例には、ピロリジン、ピペリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ブチロラクタム、バレロラクタム、イミダゾリジノン、ヒダントイン、ジオキソラン、フタルイミド、ピペリジン、ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン、1,4-ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリン-S-オキシド、チオモルホリン-S,S-オキシド、ピペラジン、ピラン、ピリドン、3-ピロリン、チオピラン、ピロン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、キヌクリジン、トロパン等が含まれる。「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロサイクリック」又は「複素環」基は、一又は複数の環炭素又はヘテロ原子を介して、分子の残りに結合されうる。「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロサイクリック」又は「複素環」は、そのモノ-及びポリハロゲン化バリアント(変形体)を含むことができる。
「アルキレン」なる用語は、それ自体又は他の置換基の一部として、例えば-CHCHCHCH-に例示されるように、アルカンから誘導される二価の基を意味する。典型的には、アルキル(又はアルキレン)基は、1〜24の炭素原子を有し、10又はそれより少ない炭素原子を有する基が、本発明においては好ましい。「ハロアルキレン」は、アルキレンのモノ及びポリハロゲン化バリアント(変形体)を意味する。「アルケニレン」及び「アルキニレン」は、それぞれ二重又は三重結合を有する「アルキレン」の不飽和形態を意味し、モノ及びポリハロゲン化バリアント(変形体)をまた含むことを意味する。
「ヘテロアルキレン」なる用語は、それ自体又は他の置換基の一部として、例えば-CH-CH-S-CHCH-及び-CH-S-CH-CH-NH-CH-、-O-CH-CH=CH-、-CH-CH=C(H)CH-O-CH-及び-S-CH-C≡C-に例示されるように、ヘテロアルキルから誘導される、飽和又は不飽和又はポリ不飽和の二価の基を意味する。ヘテロアルキレン基では、ヘテロ原子は、鎖末端の何れか又は双方をまた占有しうる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ等)。
「アルコキシ」、「アルキルアミノ」及び「アルキルチオ」(又はチオアルコキシ)なる用語は、それらの一般的意味で使用され、それぞれ酸素原子、アミノ基、又は硫黄原子を介して、分子の残りに結合したアルキル基を意味する。更に、ジアルキルアミノ基では、アルキル部分は同一でも異なっていてもよく、また組み合わされて、それぞれが結合した窒素原子と共に3−7員環を形成することもできる。従って、-NRとして表される基は、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、アゼチジニル等を含むことを意味する。
「ハロ」又は「ハロゲン」なる用語は、それら自体又は他の置換基の一部として、他に記載されないならば、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子を意味する。更に、「ハロアルキル」等の用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むことを意味する。例えば、「C1-4ハロアルキル」は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピル、ジフルオロメチル等を含むことを意味する。
「アリール」なる用語は、他に記載されないならば、共に縮合した多重環(3環まで)又は単環でありうる、ポリ不飽和、典型的には芳香族の、炭化水素基を意味する。「ヘテロアリール」なる用語は、N、O、及びSから選択される1〜5のヘテロ原子を含むアリール基(又は環)を意味し、ここで窒素及び硫黄原子は、場合によっては酸化されていてもよく、窒素原子(類)は場合によっては第4級化されていてもよい。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して、分子の残りに結合されうる。アリール基の非限定的例には、フェニル、ナフチル及びビフェニルが含まれ、ヘテロアリール基の非限定的例には、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミンジニル、トリアジニル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ベンゾトリアジニル、プリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、イソベンゾフリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾトリアジニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリジン類、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、キノリル、イソキノリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、プテリジニル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、チアゾリル、フリル、チエニル等が含まれる。上述のアリール及びヘテロアリール環系の各々についての任意置換基は、以下に更に記載する許容可能な置換基の群から選択可能である。
上記用語(例えば、「アルキル」、「アリール」及び「ヘテロアリール」)は、幾つかの実施態様では、示された基の置換及び未置換形態の双方を含むであろう。各タイプの基の好ましい置換基を以下に提供する。
アルキル基(アルキレン、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル及びシクロアルキルとしばしば称される基を含む)に対する置換基は、限定されるものではないが、-ハロゲン、-OR'、-NR'R''、-SR'、-SiR'R''R'''、-OC(O)R'、-C(O)R'、-COR'、-CONR'R''、-OC(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-NR'''C(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-NHC(NH)=NH、-NR'C(NH)=NH、-NHC(NH)=NR'、-NR'''C(NR'R'')=N-CN、-NR'''C(NR'R'')=NOR'、-NHC(NH)=NR',-S(O)R'、-S(O)R'、-S(O)NR'R''、-NR'S(O)R''、-NR'''S(O)NR'R''、-CN、-NO、-(CH)1-4-OR'、-(CH)1-4-NR'R''、-(CH)1-4-SR'、-(CH)1-4-SiR'R''R'''、-(CH)1-4-OC(O)R'、-(CH)1-4-C(O)R'、-(CH)1-4-COR'、-(CH)1-4CONR'R''を含む多様な基であり得、数は0から(2m'+1)の範囲であり、m'はこのような基における炭素原子の全数である。R'、R''及びR'''はそれぞれ独立して、例えば特に水素、未置換C1-6アルキル、未置換ヘテロアルキル、未置換アリール、1−3のハロゲンで置換されたアリール、未置換C1-6アルキル、C1-6アルコキシ又はC1-6チオアルコキシ基、又は未置換アリール-C1-4アルキル基、未置換ヘテロアリール、置換ヘテロアリール等を含む基を意味する。R'及びR''が同じ窒素原子に結合している場合、それらは窒素原子と組合されて、3、4、5、6又は7員環を形成可能である。例えば、-NR'R''は、1-ピロリジニル及び4-モルホリニルを含むことを意味する。ヘテロアルキル、アルキレンを含む、アルキル基に対する他の置換基には、例えば=O、=NR'、=N-OR'、=N-CN、=NHが含まれ、ここで、R'は、上述した置換基を含む。アルキル基(アルキレン、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル及びシクロアルキルとしばしば称される基を含む)に対する置換基が、アルキレンリンカー(例えば、-(CH)1-4-NR'R'')を含む場合、アルキレンリンカーはまたハロバリアント(変形体)を含む。例えば、リンカー「-(CH)1-4-」は、置換基の一部として使用される場合、ジフルオロメチレン、1,2-ジフルオロエチレン等を含むことを意味する。
同様に、アリール及びヘテロアリール基についての置換基は様々であり、限定されるものではないが、-ハロゲン、-OR'、-OC(O)R'、-NR'R''、-SR'、-R'、-CN、-NO、-COR'、-CONR'R''、-C(O)R'、-OC(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-NR''C(O)R'、-NR'C(O)NR''R'''、-NHC(NH)=NH、-NR'C(NH)=NH、-NHC(NH)=NR'、-S(O)R'、-S(O)R'、-S(O)NR'R''、-NR'S(O)R''、-N、ペルフルオロ-C1-4アルコキシ、及びペルフルオロ-C1-4アルキル、-(CH)1-4-OR'、-(CH)1-4-NR'R''、-(CH)1-4-SR'、-(CH)1-4-SiR'R''R'''、-(CH)1-4-OC(O)R'、-(CH)1-4-C(O)R'、-(CH)1-4-COR'、-(CH)1-4CONR'R''を含む群から一般的に選択され、数は0から芳香族環系の空いた原子価の全数までの範囲であり、ここでR'、R''及びR'''は、水素、C1-6アルキル、C3-6ヘテロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、未置換アリール及びヘテロアリール、(未置換アリール)-C1-4アルキル、及び未置換アリールオキシ-C1-4アルキルから独立して選択される。他の適切な置換基には、1−4の炭素原子のアルキレン結合によって環原子に結合した上記アリール置換基の各々が含まれる。アリール又はヘテロアリール基に対する置換基が、アルキレンリンカー(例えば、-(CH)1-4-NR'R'')を含む場合、アルキレンリンカーは、またハロバリアント(変形体)を含む。例えば、リンカー「-(CH)1-4-」は、置換基の一部として使用される場合、ジフルオロメチレン、1,2-ジフルオロエチレン等を含むことを意味する。
ここで使用される場合、「ヘテロ原子」とは、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)及びケイ素(Si)を含むことを意味する。
ここで使用される場合、「キラル」とは、鏡像対に重ね合わせできない特性を有する分子を意味する一方、「アキラル」なる用語は、その鏡像対に重ね合わせ可能である分子を意味する。
ここで使用される場合、「立体異性体」なる用語は、同一の化学的構成を有しているが、空間における原子又は基の配置に関して異なっている化合物を意味する。
ここで使用される場合、化学構造中の結合に交差する曲がりくねった線
Figure 0005572715
は、結合が化学構造において分子の残り、又は分子のフラグメントの残りに連結される原子の結合点を示している。
「ジアステレオマー」は、二以上のキラル中心を有し、その分子が互いの鏡像ではない立体異性体を意味する。ジアステレオマーは、異なった物理的特性、例えば融点、沸点、スペクトル特性、及び反応性を有している。ジアステレオマーの混合物は、例えば電気泳動及びクロマトグラフィーのような高分解能の分析手順で分離しうる。
「エナンチオマー」は互いに重ねることができない鏡像である化合物の二つの立体異性体を意味する。
ここで使用される立体化学の定義及び慣習は一般にS. P. Parker編, McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (1984) McGraw-Hill Book Company, New York;及びEliel, E.及びWilen, S., 「Stereochemistry of Organic Compounds」, John Wiley & Sons,Inc., New York, 1994に従う。本発明の化合物は、非対称又はキラル中心を含み得、よって異なった立体異性形態で存在する。限定するものではないが、ジアステレオマー、エナンチオマー及びアトロプ異性体、並びにラセミ混合物のようなその混合物を含む本発明の化合物のあらゆる立体異性体形態が本発明の一部を形成することが意図される。多くの有機化合物は光学的に活性な形態で存在する、つまり、それらは平面偏光の面を回転させる能力を有している。光学的に活性な化合物を記述する場合、接頭辞D及びL、又はR及びSは、そのキラル中心の周りの分子の絶対配置を示すために使用される。接頭辞d及びl又は(+)及び(−)は化合物による平面偏光の回転の符号を示すために使用され、(−)又はlは化合物が左旋性であることを意味する。(+)又はdの接頭辞の化合物は右旋性である。所定の化学構造に対して、これらの立体異性体は、それらが互いに鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体は、エナンチオマーとも称されることがあり、そのような異性体の混合物はしばしばエナンチオマー混合物と呼ばれる。エナンチオマーの50:50混合物はラセミ混合物又はラセミ体と呼ばれ、化学反応又はプロセスに立体選択又は立体特異性がなかった場合に生じうる。「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」なる用語は、光学活性を欠く2つのエナンチオマー種の等モル混合物を意味する。
ここで使用される場合、「互変異性体」又は「互変異性形態」なる用語は、低エネルギー障壁を介して相互転換可能な異なったエネルギーの構造異性体を意味する。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピー互変異性体としても知られる)は、ケト-エノール及びイミン-エナミン異性化のようなプロトンの移動を介する相互変換を含む。原子価互変異性体は結合電子の幾らかの再構築による相互変換を含む。
ここで使用される場合、「溶媒和物」なる用語は、一又は複数の溶媒分子と本発明の化合物の結合体又は複合体を意味する。溶媒和物を形成する溶媒の例には、限定されないが、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、及びエタノールアミンが含まれる。「水和物」なる用語は、溶媒分子が水である複合体を意味する。
ここで使用される場合、「保護基」なる用語は、化合物上の特定の官能性をブロックし又は保護するために一般的に用いられる置換基を意味する。例えば、「アミノ保護基」は、化合物のアミノ官能性をブロックし又は保護するアミノ基に結合される置換基である。適切なアミノ保護基には、アセチル、トリフルオロアセチル、t-ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、及び9-フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が含まれる。同様に、「ヒドロキシ保護基」は、ヒドロキシ官能性をブロックし又は保護するヒドロキシ基の置換基を意味する。適切な保護基にはアセチル及びシリルが含まれる。「カルボキシ保護基」はカルボキシ官能性をブロックし又は保護するカルボキシ基の置換基を意味する。一般的なカルボキシ保護基には、フェニルスルホニルエチル、シアノエチル、2-(トリメチルシリル)エチル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル、2-(p-トルエンスルホニル)エチル、2-(p-ニトロフェニルスルフェニル)エチル、2-(ジフェニルホスフィノ)-エチル、ニトロエチル等が含まれる。保護基とその使用の一般的な記載については、P.G.M. Wuts及びT. W.Greene, Greene's Protective Groups in Organic Synthesis, 4版, Wiley-Interscience, New York, 2006を参照のこと。
ここで使用される場合、「哺乳動物」なる用語は、限定されるものではないが、ヒト、マウス、ラット、モルモット、サル、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、及びヒツジを含む。
ここで使用される場合、「薬学的に許容可能な塩」なる用語は、ここに記載の化合物上に見出される特定の置換基に応じて、比較的非毒性の酸又は塩基を用いて調製される活性化合物の塩を含むことを意味する。本発明の化合物が相対的に酸性の官能性を含んでいる場合、塩基付加塩は、ニートで又は適切な不活性溶媒において、十分な量の所望の塩基と、中性形態のこのような化合物を接触させることにより、得ることができる。薬学的に許容可能な無機塩基から誘導される塩の例には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第2鉄(ferric)、第1鉄(ferrous)、リチウム、マグネシウム、マンガン(manganic)、亜マンガン(manganous)、カリウム、ナトリウム、亜鉛等が含まれる。薬学的に許容可能な有機塩基から誘導される塩には、第1級、第2級及び第3級アミン、特に置換アミン、環状アミン、天然に生じる置換アミン等、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等が含まれる。本発明の化合物が相対的に塩基性の官能性を有している場合、酸付加塩は、ニートな又は適切な不活性溶媒において、十分な量の所望の酸と中性形態のこのような化合物を接触させることにより、得ることができる。薬学的に許容可能な酸付加塩の例には、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素酸、リン酸、リン酸一水素酸、リン酸二水素酸、硫酸、硫酸一水素酸、ヨウ化水素酸、又は亜リン酸から誘導されるもの、並びに比較的非毒性の有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸等から誘導される塩が含まれる。また、アミノ酸の塩、例えばアルギン酸塩、有機酸、例えばグルクロン酸又はガラクツロン酸の塩も含まれる(例えば、Berge, S. M等, 「Pharmaceutical Salts」, Journal of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1-19を参照)。本発明のある種の特定の化合物は、化合物を、塩基又は酸付加塩の何れにも転換可能な塩基性及び酸性官能性の双方を含む。
化合物の中性形態は、塩を塩基又は酸と接触させ、常套的な方法で親化合物を分離することにより、再生可能である。化合物の親形態は、ある種の物理的特性、例えば極性溶媒中での溶解度において様々な塩形態とは異なるが、その他は塩は本発明の目的に対して化合物の親形態と等価である。
塩形態に加えて、本発明は、プロドラッグ形態の化合物を提供する。ここで使用される場合、「プロドラッグ」なる用語は、本発明の化合物を提供する生理学的条件下で、直ぐに化学的変化を受ける化合物を意味する。また、プロドラッグは、エクスビボ環境で、化学的又は生化学的方法により、本発明の化合物に転換可能である。例えば、プロドラッグは、適切な酵素又は化学試薬を用いて、経皮貼布リザーバーに配した場合、本発明の化合物にゆっくりと転換可能である。
本発明のプロドラッグは、アミノ酸残基、又は2又はそれ以上(例えば、2、3又は4)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖が、本発明の化合物の遊離のアミノ、ヒドロキシ又はカルボン酸基へのアミド又はエステル結合を介して共有結合している化合物を含む。アミノ酸残基は、限定するものではないが、一般的に3文字符号で示される20の天然に生じるアミノ酸を含み、またホスホセリン、ホスホスレオニン、ホスホチロシン、4-ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デモシン(demosine)、イソデモシン、ガンマ-カルボキシグルタメート、馬尿酸、オクタヒドロインドール-2-カルボン酸、スタチン(statine)、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、ペニシラミン、オルニチン、3-メチルヒスチジン、ノルバリン、ベータ-アラニン、ガンマ-アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、メチル-アラニン、パラ-ベンゾイルフェニルアラニン、フェニルグリシン、プロパルギルグリシン、サルコシン、メチオニンスルホン、及びtert-ブチルグリシンも含まれる。
更なるタイプのプロドラッグもまた含まれる。例えば、本発明の化合物の遊離カルボキシル基はアミド又はアルキルエステルとして誘導体化可能である。他の例として、遊離ヒドロキシ基を有するこの発明の化合物は、限定されるものではないが、ホスフェートエステル、ヘミスクシネート、ジメチルアミノアセテート、又はホスホリルオキシメチルオキシカルボニル基等の、Fleisher, D.等,(1996)Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs Advanced Drug Delivery Reviews, 19:115に概説されているようなもの等の基にヒドロキシ基を転換させることにより、プロドラッグとして誘導体化することができる。またヒドロキシ及びアミノ基のカルバメートプロドラッグも、カルボネートプロドラッグ、ヒドロキシ基のスルホン酸エステル及び硫酸エステルと同様に、含まれる。アシル基が、限定されるものではないが、エーテル、アミン及びカルボン酸官能性を含む基で場合によっては置換されていてもよいアルキルエステルであり得、又はアシル基が、上述したようなアミノ酸エステルである、(アシルオキシ)メチル及び(アシルオキシ)エチルエーテル等のヒドロキシ基の誘導体化もまた含まれる。このタイプのプロドラッグは、J. Med. Chem.,(1996), 39:10に記載されている。より特定の例には、(C1-6)アルカノイルオキシメチル、1-((C1-6)アルカノイルオキシ)エチル、1-メチル-1-((C1-6)アルカノイルオキシ)エチル、(C1-6)アルコキシカルボニルオキシメチル、N-(C1-6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C1-6)アルカノイル、アルファ-アミノ(C1-4)アルカノイル、アリールアシル及びアルファ-アミノアシル、又はアルファ-アミノアシル-アルファ-アミノアシル等の基でのアルコール基の水素原子の置換を含み、ここで、各アルファ-アミノアシル基は、天然に生じるL-アミノ酸、P(O)(OH)、-P(O)(O(C1-6)アルキル)又はグリコシル(炭水化物のヘミアセタール形態のヒドロキシル基を除去することから生じる基)から独立して選択される。
プロドラッグ誘導体の更なる例については、例えば、その各々が出典明示により特にここに援用されるa)Design of Prodrugs, H. Bundgaard編,(Elsevier, 1985)、及びMethods in Enzymology, Vol. 42, p. 309-396, K. Widder等編(Academic Press, 1985);b)A Textbook of Drug Design and Development, Krogsgaard-Larsen及びH. Bundgaard編, 第5章, 「Design and Application of Prodrugs」H. Bundgaard p. 113-191(1991);c)H. Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews, 8:1-38(1992);d)H. Bundgaard等, Journal of Pharmaceutical Sciences, 77:285(1988);及びe)N. Kakeya等, Chem. Pharm. Bull., 32:692(1984)を参照のこと。
更に、本発明は、本発明の化合物の代謝産物を提供する。ここで使用される場合、「代謝産物」は、特定の化合物又はその塩の体内で代謝によって生産される産物を意味する。そのような生成物は、例えば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド化、エステル化、脱エステル化、酵素的切断等により、生じうる。
代謝産物は典型的には、本発明の化合物の放射標識(例えば14C又はH)同位元素を調製し、それを、例えばラット、マウス、モルモット、サル等の動物、又はヒトに検出可能な用量(例えば約0.5mg/kg以上)で非経口的に投与し、十分な時間かけて代謝を生じさせ(典型的には約30秒から30時間)、尿、血液又は他の生体試料からその転換産物を単離することによって同定される。これらの産物は、標識されているので容易に単離される(他のものは代謝産物中で生存するエピトープに結合可能な抗体の使用によって単離される)。代謝産物構造は一般的な方法、例えばMS、LC/MS又はNMR分析によって決定される。一般に、代謝産物の分析は当業者によく知られた常套的な薬剤代謝研究と同じ方法でなされる。転換産物は、それらがインビボで別に見出されない限り、本発明の化合物の治療用投薬の診断アッセイにおいて有用である。
本発明のある化合物は、非溶媒和形態、並びに水和形態を含む溶媒和形態で存在可能である。一般に、溶媒和形態は非溶媒和形態と均等であり、本発明の範囲に含まれるものである。本発明のある化合物は、複数の結晶又は非晶質形態で存在しうる。一般に、全ての物理的形態は本発明で考慮される使用に対して均等であり、本発明の範囲内にあるものである。
本発明のある化合物は、不斉炭素原子(光学中心)又は二重結合を有し;ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、位置異性体及び個々の異性体(例えば、別個のエナンチオマー)は、本発明の範囲に含まれることが意図される。
本発明の化合物は、このような化合物を構成する一又は複数の原子において非天然割合の原子同位体をまた含みうる。例えば、本発明は、ここに記載のものと同一であるが、原子について、通常自然に見出される優勢な原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子と置き換えられている本発明の同位体標識バリアント(変形体)も含む。特定された任意の特定の原子又は元素の全ての同位体が本発明の化合物及びその使用の範囲内であると考えられる。本発明の化合物に取り込み可能な例示的同位体は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体、例えばH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、32P、33P、35S、18F、36Cl、123I及び125Iを含む。本発明のある同位体標識化合物(例えば、H又は14Cで標識されたもの)は、化合物及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム標識(H)及び炭素-14(14C)同位体は、調製及び検出の容易性のために有用である。更に、より重い同位体、例えば重水素(すなわち、H)を有する置換イオンは、より大きな代謝安定性に起因するある種の治療的利点(例えば、インビボ半減期の増加又は必要用量の低減)をもたらし得、よって、ある環境では好ましい場合がある。陽電子放出同位体、例えば15O、13N、11C、及び18Fは、基質レセプター占有率を検査するためのポジトロン放出断層撮影(PET)研究に有用である。本発明の同位体標識化合物は、ここでの以下のスキーム及び/又は実施例に開示されたものに類似した手順に従い、同位体非標識試薬を同位体標識試薬に置き換えることにより、一般に調製することができる。
「治療する」及び「治療」なる用語は、治療的処置と、目的が癌の発症又は広がりのような、望まれない生理学的変化又は疾患を防止し又は遅延させる(少なくする)ことである予防的又は防止的処置の双方を意味する。この発明の目的では、有益な又は所望の臨床結果は、限定するものではないが、検出可能であれ検出不可能であれ、徴候の軽減、疾患の度合いの低減、疾患の安定化(つまり悪化しない)状態、疾患進行の遅延又は緩徐化、疾患状態の回復又は緩和、及び寛解(部分的又は完全)を含む。また「治療」は、治療を受けない場合に予想される生存率と比較して生存を延長することを意味しうる。治療を必要とする者は、既に症状又は疾患を持つ者並びに症状又は疾患になりやすい者又は症状又は疾患が防止されるべき者を含む。
「治療的に有効な量」なる語句は、(i)特定の疾病、症状、又は疾患を治療し又は予防する、(ii)特定の疾病、症状、又は疾患の一又は複数の徴候を減弱にし、寛解させ、又は除く、又は(iii)ここに記載された特定の疾病、症状、又は疾患の一又は複数の徴候の発症を予防し又は遅延させる、本発明の化合物の量を意味する。癌の場合、薬剤の治療的に有効な量は、癌細胞の数を減少させ;腫瘍サイズを減少させ;周辺器官への癌細胞の浸潤を阻害し(つまり、ある程度まで遅くさせ、好ましくは停止させ);腫瘍転移を阻害し(つまり、ある程度まで遅くさせ、好ましくは停止させ);腫瘍増殖をある程度まで阻害し;及び/又は癌に伴う徴候の一又は複数をある程度軽減しうる。薬剤が増殖を防止し、及び/又は存在する癌細胞を死滅させうる程度まで、それは細胞分裂阻害性及び/又は細胞傷害性でありうる。癌治療では、効能は、例えば無増悪期間(TTP)を評価し、及び/又は奏功率(RR)を決定することにより、測定することができる。
「癌」及び「癌性」なる用語は、典型的には調節されない細胞増殖により特徴付けられる哺乳動物における生理学的状態を意味し、又は記述する。「腫瘍」は一又は複数の癌細胞を含む。癌の例には、限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病又はリンパ性腫瘍が含まれる。このような癌のより特定な例には、扁平上皮細胞癌(例えば上皮扁平細胞癌)、肺癌、例えば小細胞肺癌、非小細胞肺癌(「NSCLC」)、肺の腺癌及び肺の扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃癌(gastric又はstomach)、例えば胃腸癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝腫瘍、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌(kidney又はrenal)、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、並びに頭頸部癌が含まれる。
ここで使用される場合、「補助」なる用語は、既知の治療手段と組み合わせた活性化合物の使用を意味する。そのような手段は、異なった癌タイプの治療に使用される薬剤及び/又はイオン化放射線の細胞毒性レジメンを含む。本発明の化合物と組合せることができる化学治療剤の例には、エルロチニブ(Tarceva(登録商標),Genentech/OSI Pharm.)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)Millennium Pharm.)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標),AstraZeneca)、スーテント(SU11248,Pfizer)、レトロゾール(FEMARA(登録商標),Novartis)、イマチニブメシル酸塩(GLEEVEC(登録商標),Novartis)、PTK787/ZK222584(Novartis)、オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標),Sanofi)、5−FU(5−フルオロウラシル)、ロイコボリン、ラパマイシン(Sirolimus,RAPAMUNE(登録商標),Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標),GSK572016,Glaxo Smith Kline)、ロナファーニブ(SCH66336)、ソラフェニブ(BAY43−9006,Bayer Labs)、及びゲフィチニブ(IRESSA(登録商標),AstraZeneca)、AG1478、AG1571(SU5271;Sugen)、アルキル化剤、例えばチオテパ及びCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミド;スルホン酸アルキル、例えばブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパ;エチレンイミン及びメチラメラミン、例えばアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチロメラミン;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成アナログトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成アナログを含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成アナログ、KW−2189及びCB1−TM1を含む);エロイテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムヌスチン(ranimnustine);抗生物質、例えばエネジン抗生物質(例えばカリケアマイシン、特にカリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンωI1(Agnew,Chem Intl.Ed.Engl.,(1994)33:183−186);ダイネミシン、例えばダイネミシンA;ビスホスホネート、例えばクロドロネート;エスペラマイシン;並びにネオカルジノスタチン発色団及び関連色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オートラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)(ドキソルビシン)、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗物質、例えば、メトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えばデノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート、プリンアナログ、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジン;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎薬、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸リプレニッシャー、例えばフロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホルニチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシノイド、例えばメイタンシン及びアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products,Eugene,OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン、スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2',2"-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2毒素、ベラクリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばTAXOL(登録商標)(パクリタキセル;Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,NJ)、ABRAXANE(登録商標)(Cremophor-free)、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,Illinois)、及びTAXOTERE(登録商標)(ドセタキセル;Rhone−Poulenc Rorer,Antony,France);クロラムブシル;GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金アナログ、例えばシスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)(ビノレルビン);ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標));イバンドロネート;CPT-I1;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えばレチノイン酸;及び上記の何れかの薬学的に許容可能な塩、酸及び誘導体が含まれる。
「化学療法剤」の定義にまた含まれるものは、(i)腫瘍に対するホルモン作用を調節し又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)、例えばタモキシフェン(例えばNOLVADEX(登録商標);タモキシフェンクエン酸塩)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)(トレミフェンクエン酸塩);(ii)副腎においてエストロゲン生産を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール類、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(メゲストロール酢酸エステル)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン;Pfizer)、フォルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール;Novartis)、及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール;AstraZeneca);(iii)抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;並びにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);(iv)プロテインキナーゼ阻害剤、例えばPI3K阻害剤、MEK阻害剤等;(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に例えばPKC-α、Ralf及びH-Rasのような異常な細胞増殖に関与するシグナリ伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの;(vii)リボザイム、例えばVEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標))及びHER2発現阻害剤;(viii)ワクチン、例えば遺伝子療法ワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)、及びVAXID(登録商標);PROLEUKIN(登録商標)rIL-2;LURTOTECAN(登録商標)のようなトポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;(ix)抗血管新生剤、例えばベバシズマブ(AVASTIN(登録商標),Genentech);及び(x)上記の何れかの薬学的に許容可能な塩、酸及び誘導体である。
活性な化合物は、例えば既知の化学療法剤又はインビトロでの電離放射線治療に対して細胞を感作させるためにmTORを阻害する細胞培養添加剤としてもまた使用することができる。
I.A 化合物
一態様では、本発明は式I:
Figure 0005572715
の化合物を提供する。
式Iにおいて、Y及びYはそれぞれ独立してN又はC(R)であるが、Y及びYは両方ともNであることはなく又は両方ともC(R)であることはなく、ここで、Rは水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ヘテロアルキル、6員から10員のアリール、5員から9員のヘテロアリール、3員から12員のヘテロシクロアルキル、3員から12員のシクロアルキルからなる群から選択され、ここで、Rはハロゲン、F、Cl、Br、I、-NR、-SR、-OR、-C(O)OR、-C(O)NR、-C(O)R、-NRC(O)R、-OC(O)R、-NRC(O)NR、-OC(O)NR、-NRS(O)NR、-S(O)、-S(O)NR、-R、-NO、-N、=O、-CN、Rc1、-X-NR、-X-SR、-X-OR、-X-C(O)OR、-X-C(O)NR、-X-C(O)R、-X-NRC(O)R、-X-OC(O)R、-X-NRC(O)NR、-X-OC(O)NR、-X-NRS(O)NR、-X-S(O)、-X-S(O)NR、-X-NO、-X-N、-X-CN、及びX-Rc1からなる群から選択される0から5のRR1置換基で置換され;ここで、R及びRは水素、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C2−7ヘテロシクロアルキル、フェニル及び-(CH)1−4-フェニルからそれぞれ独立して選択され、場合によってはR及びRは、同じ窒素原子に結合されたときに組み合わされて、N、O及びSから選択される1から2のヘテロ原子を含む3員から6員の複素環を形成し;RはC1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C2−7ヘテロシクロアルキル、フェニル及び-(CH)1−4-フェニルから選択され;XはC1−4アルキレン、C2−4アルケニレン及びC2−4アルキニレンからなる群から選択され;及びRc1はフェニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-イミダゾリル、2-インドリル、1-ナフチル、2-ナフチル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピロリル、2-フラニル及び3-フラニルからなる群から選択され、ここで、Rc1は、F、Cl、Br、I、-NR、-SR、-OR、-S(O)、-S(O)NR、-NO、-N、=O、-CN、ピリジル、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル及びC1−6ヘテロアルキルから選択される0から3の置換基で置換される。式Iにおいて、Rは水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ヘテロアルキル、-L-C6−10アリール、-L-C1−9ヘテロアリール、-L-C3−12シクロアルキル及び-L-C2−12ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、ここでLはC1−6アルキレン、C2−6アルケニレン、C2−6アルキニレン及びC1−6ヘテロアルキレンから選択され、ここで、Rは、ハロゲン、F、Cl、Br、I、-NR、-SR、-OR、-C(O)OR、-C(O)NR、-C(O)R、-NRC(O)R、-OC(O)R、-NRC(O)NR、-OC(O)NR、-NRS(O)NR、-S(O)、-S(O)NR、-R、-NO、-N、=O、-CN、-X-NR、-X-SR、-X-OR、-X-C(O)OR、-X-C(O)NR、-X-C(O)R、-X-NRC(O)R、-X-OC(O)R、-X-NRC(O)NR、-X-OC(O)NR、-X-NRS(O)NR、-X-S(O)、-X-S(O)NR、-X-NO、-X-N及び-X-CNからなる群から選択される0から5のRR2置換基で置換され;ここで、R及びRは水素、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C2−7ヘテロシクロアルキル、フェニル及び-(CH)1−4-フェニルからそれぞれ独立して選択され、場合によってはR及びRは、同じ窒素原子に結合されたときに組み合わされて、N、O及びSから選択される1から2のヘテロ原子を含む3員から6員の複素環を形成し;RはC1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C2−7ヘテロシクロアルキル、フェニル及び-(CH)1−4-フェニルから選択され;XはC1−4アルキレン、C2−4アルケニレン及びC2−4アルキニレンからなる群から選択される。Rは5員から12員の単環又は架橋ヘテロシクロアルキル環であり、ここで、R基は、-C(O)OR,-C(O)NR、-NR -OR、-SR、-S(O)、-S(O)R、-R、ハロゲン、F、Cl、Br、I、-NO、-CN及び-Nからなる群から選択される0から3のRR3置換基で置換され、ここで、R及びRは水素、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6ヘテロアルキル、C2−6アルケニル及びC3−6シクロアルキルからそれぞれ独立して選択され、ここで、場合によってはR及びRは、それぞれが結合する窒素原子と共に組み合わされて、N、O及びSから選択される1から2のヘテロ原子を含む3員から6員の複素環を形成し、RはC1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C3−6シクロアルキルから選択され;Rが単環式ヘテロシクロアルキル環である場合、Rの同じ原子に結合した任意の二つのRR3基は場合によっては組み合わされて、3員から7員の炭素環又は環頂点としてN、O及びSから選択される1から2の原子を含む3員から7員の複素環を形成する。A、A、A及びAはN、C(R)又はC(H)からそれぞれ独立して選択され、ここで、A、A、A及びAの少なくとも3つはそれぞれ独立してC(H)又はC(R)であり、ここで、各発生時にRはF、Cl、Br、I、-NO、-CN、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニルからなる群から独立して選択され、又は隣接原子に結合した任意の二つのR基は場合によっては組み合わされて、環頂点としてN、O及びSから選択される1から2のヘテロ原子を含むC2−6複素環、C3−7シクロアルキル環、環頂点としてN、O及びSから選択される1から2のヘテロ原子を含むC1−5ヘテロアリール環、又はフェニル環を形成する。Dは-NRC(O)NR、-NR、-C(O)NR、-OC(O)OR、-OC(O)NR、-NRC(=N-CN)NR、-NRC(=N-OR)NR、-NRC(=N-NR)NR、-NRC(O)R、-NRC(O)OR、-NRS(O)NR及び-NRS(O)からなる群から選択されるメンバーであり、ここで、Rは水素、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル及びC2−6アルケニルからなる群から選択され;R及びRは水素、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−10シクロアルキル、C2−10ヘテロシクロアルキル、C6−10アリール及びC1−9ヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、R及びRは、同じ窒素原子に結合する場合、場合によっては組み合わされて、環頂点としてN、O及びSから選択される1から3のヘテロ原子を含み、0−3のR置換基で置換された5員から7員の複
素環又は5員から9員のヘテロアリール環を形成し;ここで、R、R及びRは0から3のR置換基で更に置換され、Rはハロゲン、F、Cl、Br、I、-NO、-CN、-NR、-OR、-SR、-C(O)OR、-C(O)NR、-NRC(O)R、-NRC(O)OR、-X-NR、-X-OR、-X-SR、-X-C(O)OR、-X-C(O)NR、-X-NRC(O)R、-X-NRC(O)OR、-X-CN、-X-NO、-S(O)R、-S(O)、=O、及び-Rからなる群から独立して選択され;ここで、R及びRは水素、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ヘテロアルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル、C6−10アリール、C1−9ヘテロアリールから選択され;Rは各発生時に、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル、C6−10アリール及びC1−9ヘテロアリールから独立して選択され;XはC1−4アルキレン、C2−4アルケニレン及びC2−4アルキニレンからなる群から選択され;ここで、DとDが結合している原子に隣接した原子に結合したR置換基は場合によっては組み合わされて、0から4のR置換基で置換され、更に置換されていてもよい5員から6員の複素環又はヘテロアリール環を形成する。
一実施態様では、式Iの化合物は式I−Aのものである:
Figure 0005572715
他の実施態様では、式Iの化合物は式I−Bのものである:
Figure 0005572715
他の実施態様では、式I、I-A及びI-Bの化合物において、Rは、モルホリン-4-イル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル、3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、1,4-オキサゼパン-4-イル、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル、3-オキサ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル、ピペリジン-1-イル及び8-オキサ-3-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イルからなる群から選択され、ここで、R基は、-C(O)OR,-C(O)NR、-NR、-OR、-SR、-S(O)、-S(O)R、-R、ハロゲン、F、Cl、Br、I、-NO、-CN及び-Nからなる群から選択される0から3のRR3置換基で置換され、ここで、R及びRは、水素、C-アルキル、C-ハロアルキル、C-ヘテロアルキル、C-アルケニル及びC-シクロアルキルからそれぞれ独立して選択され、場合によってはR及びRは、それぞれが結合する窒素原子と共に組み合わされて、N、O及びSから選択される1から2のヘテロ原子を含む3員から6員の複素環を形成し、RはC-アルキル、C-ハロアルキル、C-アルケニル、C-シクロアルキルから選択され;Rが単環式ヘテロシクロアルキル環であるならば、Rの同じ原子に結合した任意の二つのRR3基は、場合によっては組み合わされて、3員から7員の炭素環又は環頂点としてN、O及びSから選択される1から2の原子を含む3員から7員の複素環を形成する。この実施態様のある態様では、Rは、NR、-OR、及びRから選択される0から2のRR3置換基で置換され、Rが単環式ヘテロシクロアルキル環ならば、Rの同じ原子に結合した任意の二つのRR3基は場合によっては組み合わされて、3員から7員の炭素環又は環頂点としてN、O及びSから選択される1から2の原子を含む3員から7員の複素環を形成する。この実施態様のある態様では、Rは場合によってはメチル又はエチルで置換される。この実施態様のある態様では、Rはモルホリン-4-イル、3(R)-メチル-モルホリン-4-イル、3(S)-メチル-モルホリン-4-イル、3(R)-エチル-モルホリン-4-イル、3(S)-エチル-モルホリン-4-イル、3(R)-イソプロピル-モルホリン-4-イル、3(S)-イソプロピル-モルホリン-4-イル、3,3-ジメチル-モルホリン-4-イル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル、3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、1,4-オキサゼパン-4-イル、ピペリジン-1-イル、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル、3-オキサ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル、4-メトキシ-ピペリジン-1-イル及び8-オキサ-3-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イルからなる群から選択される。
他の実施態様では、式Iの化合物は、
Figure 0005572715
からなる群から選択される。
他の実施態様では、式Iの化合物は式I-C:
Figure 0005572715
のものであり、ここで、Y、Y、R、R、R及びRはここで定義された通りである。
他の実施態様では、式I、I-A又はI-Bの化合物において、Dは、-NRC(O)NR、-NR、-C(O)NR、-NRC(=N-CN)NR、-NRC(O)R、-NRC(O)OR、-NRS(O)NR及び-NRS(O)からなる群から選択される。
他の実施態様では、式Iの化合物において、Dは-NRC(O)NR又は-NRであり、Rは水素であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-7シクロアルキル、C2-7ヘテロシクロアルキル、C6-10アリール、及びC1-9ヘテロアリールからなる群から選択される置換されていてもよい基であり、R及びRは、同じ窒素原子に結合したとき、場合によっては組み合わされて、環頂点としてN、O及びSから選択される1から3の原子を含む5員から7員の複素環又は5員から9員のヘテロアリール環を形成し、0から3のR置換基で置換される。この実施態様のある態様では、Dは-NRであり、ここで、Rは水素又はC1-3アルキルであり、Rは置換されていてもよいC6-10アリール、C1-9ヘテロアリール又はC3-7ヘテロシクロアルキルである。この実施態様のある態様では、Dは-NRであり、ここで、Rは水素又はC1-3アルキルであり、R
Figure 0005572715
からなる群から選択される置換されていてもよいC3-7ヘテロシクロアルキルであり、ここで、C3-7ヘテロシクロアルキル環中の一又は複数の窒素又は炭素環頂点に結合した水素原子は、場合によってはF、Cl、Br、I、-NR、-OR及びRからなる群から選択されるR置換基で置換される。この実施態様のある態様では、Dは、
Figure 0005572715
からなる群から選択される。
他の実施態様では、式Iの化合物において、Dは-NRであり、ここで、R及びRは組み合わされて、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル及びトリアゾリルからなる群から選択される置換されていてもよい5員のヘテロアリール環を形成する。
他の実施態様では、式Iの化合物において、Dは-NRC(O)NRであり、ここで、Rは水素であり;R及びRはそれぞれ独立して、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6ヘテロアルキル、C3-7シクロアルキル、C3-7ヘテロシクロアルキル、5員から6員のヘテロアリール、及び置換されていてもよいフェニルからなる群から選択される置換されていてもよい基である。この実施態様のある態様では、R及びRの一つは水素である。この実施態様のある態様では、R及びRはそれぞれ水素であり、RはC1-6アルキル及びC1-6ハロアルキルから選択される置換されていてもよい基である。該実施態様のある態様では、R
Figure 0005572715
からなる群から選択される。
この実施態様のある態様では、Rはエチルである。
他の実施態様では、式Iの化合物において、Dは-NRC(O)NRであり、ここで、Rは水素であり、Rは水素又はC1-3アルキルであり、Rは、置換されていてもよいイソキサゾール-3-イル、イソキサゾール-4-イル、イソキサゾール-5-イル、オキサゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、オキサゾール-5-イル、ピラゾール-3-イル、ピラゾール-4-イル、ピラゾール-5-イル、1,2,3-オキサジアゾール-4-イル、1,2,3-オキサジアゾール-5-イル、1,3,4-オキサジアゾール-2-イル、1,3,4-オキサジアゾール-5-イル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、5-ピリジル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2-オキセパニル、3-オキセパニル、2-テトラヒドロフラニル、3-テトラヒドロフラニル及びフェニルからなる群から選択される置換されていてもよい基である。この実施態様のある態様では、Rは、F、Cl、Br、I、-CN、-NR及び-ORから選択される0から3の置換基で独立して置換される。この実施態様のある態様では、R
Figure 0005572715
からなる群から選択される。
他の実施態様では、式Iの化合物において、Dは-NRC(O)NRであり、ここで、Rは水素であり、Rは水素又はC1-3アルキルであり、Rは、
Figure 0005572715
からなる群から選択される。
他の実施態様では、式Iの化合物において、D及びDが結合する原子に隣接する原子に結合したR置換基は場合によっては組み合わされて、0から4のR置換基で置換された5員から6員の複素環又はヘテロアリール環を形成する。この実施態様のある態様では、形成された5員から6員の複素環又はヘテロアリール環は、置換されていてもよいイミダゾリジノン、ピラゾール、イミダゾール、ピロリジノン及びピリミジンからなる群から選択される。この実施態様のある態様では、D及びDが結合する原子に隣接する原子に結合したR置換基は場合によっては組み合わされて、
Figure 0005572715
からなる群から選択される置換されていてもよい5員から6員の複素環又はヘテロアリール環を形成する。
他の実施態様では、式I、I-A又はI-Bの化合物において、Rは、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ヘテロアルキル、フェニル、5員から6員のヘテロアリール、3員から7員のヘテロシクロアルキル、3員から7員のシクロアルキルからなる群から選択され、ここで、Rは、ハロゲン、F、Cl、Br、I、-NR、-SR、-OR、-C(O)OR、-C(O)NR、-C(O)R、-NRC(O)R、-OC(O)R、-NRC(O)NR、-OC(O)NR、-NRS(O)NR、-S(O)、-S(O)NR、-R、-NO、-N、=O、-CN、Rc1、-X-NR、-X-SR、-X-OR、-X-C(O)OR、-X-C(O)NR、-X-C(O)R、-X-NRC(O)R、-X-OC(O)R、-X-NRC(O)NR、-X-OC(O)NR、-X-NRS(O)NR、-X-S(O)、-X-S(O)NR、-X-NO、-X-N、-X-CN、及びX-Rc1からなる群から選択される0から5のRR1置換基で置換され;ここで、R及びRは水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6ヘテロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、C2-7ヘテロシクロアルキル、フェニル及び-(CH)1-4-フェニルからそれぞれ独立して選択され、場合によってはR及びRは、同じ窒素原子に結合したとき、組み合わされて、N、O及びSから選択される1から2のヘテロ原子を含む3員から6員の複素環を形成し;Rは、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、C2-7ヘテロシクロアルキル、フェニル及び-(CH)1-4-フェニルから選択され;XはC1-4アルキレン、C2-4アルケニレン及びC2-4アルキニレンからなる群から選択され、Rc1はフェニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-イミダゾリル、2-インドリル、1-ナフチル、2-ナフチル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピロリル、2-フラニル及び3-フラニルからなる群から選択され、ここで、Rc1は、F、Cl、Br、I、-NR、-SR、-OR、-S(O)、-S(O)NR、-NO、-N、=O、-CN、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル及びC1-6ヘテロアルキルから選択される0から3の置換基で置換される。Rは水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル及びC1-6ヘテロアルキルからなる群から選択され、ここで、Rは、ハロゲン、F、Cl、Br、I、-NR、-SR、-OR、-C(O)OR、-C(O)NR、-C(O)R、-NRC(O)R、-OC(O)R、-NRC(O)NR、-OC(O)NR、-NRS(O)NR、-S(O)、-S(O)NR、-R、-NO、-N、=O及び-CNからなる群から選択される0から3のRR2置換基で置換され;ここで、R及びRは、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6ヘテロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、C2-7ヘテロシクロアルキル、フェニル及び-(CH)1-4-フェニルからそれぞれ独立して選択され、場合によっては、R及びRは、同じ窒素原子に結合したとき、組み合わされて、N、O及びSから選択される1から2のヘテロ原子を含む3員から6員の複素環を形成し;RはC1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、C2-7ヘテロシクロアルキル、フェニル及び-(CH)1-4-フェニルから選択される。この実施態様のある態様では、Rは水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ヘテロアルキルからなる群から選択され、ここで、Rは、ハロゲン、F、Cl、Br、I、-NR、-SR、-OR、-C(O)OR、-C(O)NR、-C(O)R、-NRC(O)R、-OC(O)R、-NRC(O)NR、-OC(O)NR、-NRS(O)NR、-S(O)、-S(O)NR、-R、-NO、-N、=O-CN及びX-Rc1からなる群から選択される0から5のRR1置換基で置換され;Rは、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ヘテロアルキルからなる群から選択され、0から3のRR2置換基で置換される。この実施態様のある態様では、Rは水素又はC1-6アルキルであり、ここで、C1-6アルキルは場合によってはOHによって置換される。この実施態様のある態様では、Rは水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-ヒドロキシプロパ-2-イル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、ペンチル、ジメチルアミノメチル及びヘキシルからなる群から選択される。この実施態様のある態様では、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アゼチジン-1-イル、アゼチジン-2-イル、アゼチジン-3-イル、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-1-イル、ピペリジイン-2-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロピラン-2-イル、テトラヒドロピラン-3-イル及びテトラヒドロピラン-4-イル、オキセパン-2-イル、オキセパン-3-イル、オキセパン-4-イル、フェニル、ピロール-2-イル、ピロール-3-イル、ピラゾール-3-イル、ピラゾール-4-イル、ピラゾール-5-イル、フラン-2-イル、フラン-3-イル、チエン-2-イル、チエン-3-イル、チアゾール-2-イル、チアゾール-3-イル、チアゾール-4-イル、イミアゾール-1-イル、イミダゾール-4-イル、ピリド-2-イル、ピリド-3-イル、ピリド-4イル、ピリミジン-1-イル、ピリミジン-2-イル、ピリミジン-3-イル、ピラジン-2-イル、ピリダジン-2-イル、ピリダジン-3-イル及びトリアジン-2-イルからなる群から選択され、ここで、Rは0から3のRR1置換基で置換され;Rは水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ヘテロアルキルからなる群から選択され、0から3のRR2置換基で置換される。
この実施態様のある態様では、R
Figure 0005572715
からなる群から選択される。
この実施態様のある態様では、Rは、
Figure 0005572715
からなる群から選択される。
他の実施態様では、式Iの化合物において、Rは、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ヘテロアルキルからなる群から選択され、ここで、Rは、ハロゲン、F、Cl、Br、I、-NR、-SR、-OR、-C(O)OR、-C(O)NR、-C(O)R、-NRC(O)R、-OC(O)R、-NRC(O)NR、-OC(O)NR、-NRS(O)NR、-S(O)、-S(O)NR、-R、-NO、-N、=O-CN及びX-Rc1からなる群から選択される0から5のRR1置換基で置換され;Rは水素、
Figure 0005572715
からなる群から選択される。
この実施態様のある態様では、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピルメチル、及びメトキシエチルからなる群から選択され、特にRはメチル又はエチルである。
他の実施態様では、式Iの化合物は表1から選択される。
Figure 0005572715
Figure 0005572715
Figure 0005572715
I.B 化合物の合成
以下の実施例セクションに示されるように、当業者が本発明の化合物及びかかる化合物を調製するために使用される関連した中間体を調製することができる様々な合成経路が存在する。次のスキームは本発明の化合物及び重要な中間体の調製のための幾つかの一般的な方法を例証する。別の定義が示されない限り、以下のスキーム中で使用される略語は次の意味を持つ:R、R'、R"、R'"=各発生時において独立して未置換又は置換アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールで、非干渉基であるために必要に応じて保護されているもの、LG=脱離基(例えば、ハライド、トシレート)、Cyc=炭素環又は又は複素環、H(Ar)=アリール又はヘテロアリール環、LDA=リチウムジイソプロピルアミド、THF=テトラヒドロフラン、X=O、NP、CH、CHR、CRR、P=保護基(例えばBOC)、及びn=1から6。
スキーム1は式Iの化合物の調製に有用である2-クロロプリン中間体を合成するための一般的合成方法を例証する。例えばR-LGを使用するアルキル化によるジクロロプリン(i)におけるN-7窒素原子の置換と、続くC-6クロロ基のモルホリノ又は別のアミノ基による置換は、C-6アミノ置換化合物iiiを生成する。例えば第一ハロゲン化化合物iiiによる化合物iiiのC-8位での置換は中間体化合物ivを生じる。その後のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルボロネートでの化合物ivのパラジウム媒介クロスカップリング(例えばSuzukiカップリング)は、C-8置換産物中間体(例えば化合物v-a、又はv-b)をもたらす。別法では、強塩基を使用する化合物iiiの脱保護と、続く環状ケトン等の求電子試薬での得られたアニオンのクエンチングは他のC-8置換産物中間体、例えば化合物viを生じる。化合物viのヒドロキシ官能基のフルオロ基(例えば化合物vii)への転換は、ジエチルアミノサルファートリフルオリド(DAST)等のフッ素化剤を使用して達成することができる。
Figure 0005572715
スキーム2は、プリンのN-7位及びC-8位の置換の順序が逆である本発明の中間体化合物を調製する方法を例証する。先ず、ジクロロプリン(i)のN-7窒素原子をパラ-メトキシベンジル(PMB)保護基で保護して化合物viiiを形成する。このN-7位は、トキシレートのような、塩基性又は還元条件下で除去されるもののような他の保護機でまた保護できる。N-7位を保護するのに適した他の保護基は、P.G.M. Wuts 及びT.W. Greene, Greene's Protective Groups in Organic Synthesis 4版, Wiley-Interscience, New York, 2006に記載されている。モルホリノ基、又は別のアミノ基でのC-6クロロ基の置換は、C-6アミノ置換(例えばモルホリノ置換)産物ixをもたらす。化合物ixの脱プロトン化によるC-8位のアルキル化と、続く求電子試薬(例えば環状ケトン)でのクエンチングは化合物xをもたらす。アリールボロネート試薬での化合物xのパラジウム媒介クロスカップリング(例えばSuzukiカップリング)はアリール化産物xiをもたらす。酸化的条件下でのパラ-メトキシベンジルN-7保護基の除去と、その後の得られたN-7脱保護産物xiiの置換(例えばR-LGを使用するアルキル化)は化合物xiiiを生じる。化合物xiiiにおけるニトロ基の水素化は、アミノ中間体xivをもたらし、これをここでの実施例セクションに更に記載された方法を使用して他の式Iの化合物に更に合成することができる。
Figure 0005572715
スキーム3は、本発明の化合物を提供するためにプリン中間体のC-2位を合成するある種の方法を例証する。スキーム3-Aに示されるように、クロロ化合物xv及びフェニルウレア-ボロネート化合物を使用するパラジウムクロスカップリング反応は尿素化合物xviを生じる。スキーム3-Bに示されるように、化合物xviiの水素化と、続くトリホスゲンでのアミノ化合物xviiiのアシル化と、得られたカルバモイル化合物のアミンとの反応は、フェニル尿素基を有する式Iの尿素化合物の調製の別法を提供する。スキーム3-Cは、式Iの他の化合物を調製するためのパラジウム媒介クロスカップリング反応(Buchwald-Hartwigカップリング)におけるアリールクロライドクロスカップリング試薬の使用を例証する。
Figure 0005572715
スキーム4は、式Iのピラゾロ[4,3-d]ピリミジン類の一般的合成法を例証する。化合物xxiiiからxxxを調製するためのこの合成方法の更なる詳細は実施例セクションに記載する。
Figure 0005572715
スキーム5は式Iの1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン類化合物の合成方法を例証する。テトラヒドロピラニル(THP)基での化合物xxxiのピラゾロ窒素原子の保護は化合物xxxiiを提供する。上記スキームに記載されたものと同様の化合物xxxiiの更なる合成(例えばモルホリン置換、パラジウム媒介クロスカップリング反応)は化合物xxxivをもたらす。THP保護基の除去は化合物xxxvを提供し、これを更にピラゾロ窒素原子で置換して、式Iの更なる化合物を提供することができる。以下のスキーム6を参照のこと。
Figure 0005572715
スキーム6は、例えばアルキル化(スキーム6A);アシル化(スキーム6B);及び還元的アルキル化(スキーム6C)によって、式Iの化合物におけるピラゾロ窒素原子の置換のための幾つかの一般的合成法を例証する。
Figure 0005572715
スキーム7は式Iの化合物を調製するのに有用な式Iのピラゾロ[4,3-d]ピリミジン又はその中間体を調製するための一般的合成法を例証する。スキーム7AはN-ブロモスクシンイミドを使用する化合物xxxviiのブロム化法を例証する。スキーム7Bは水素化物試薬(LiBH)を使用するエステルxxxviiiの還元と続く還元産物のトシル化によるトシレートの製造を例証する。スキーム7Cはアルデヒド xxxviii−bを製造するための水素化ジイソブチルアルミニウムを使用するエステルxxxviiiの還元を例証する。スキーム7DはN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド及びヒドロキシベンゾトリアゾール及びアミンを使用してアミド化合物xxxvix−aを形成するアミノ酸カップリング条件を例証する。
Figure 0005572715
II.薬学的組成物
上に提供された化合物(又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物又は薬学的に許容可能な塩、又はプロドラッグ)の一又は複数に加え、ヒト及び動物におけるmTOR活性を調節するための組成物は、典型的には薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を含むであろう。
ここで使用される「組成物」なる用語は、特定の成分を特定の量で含有する生成物、並びに特定の量で特定の成分の組み合わせから、直接又は間接的に生じる任意の生成物を包含することを意図する。「薬学的に許容可能な」とは、担体、希釈剤又は賦形剤が、製剤の他の成分と融和性があり、そのレシピエントに対して有害ではないことを意味する。
ヒトを含む哺乳動物の治療的処置(予防的処置を含む)にこの発明の化合物を使用するために、それは、通常、薬学的組成物として、標準的な薬務に従い製剤化される。本発明のこの態様によれば、薬学的に許容可能な希釈剤、担体又は賦形剤と併せて、この発明の化合物を含有する薬学的組成物が提供される。
典型的な製剤は、本発明の化合物と、担体、希釈剤又は賦形剤とを混合することにより調製される。適切な担体、希釈剤及び賦形剤は、当業者によく知られており、炭水化物、ロウ、水溶性及び/又は膨張性ポリマー、親水性又は疎水性物質、ゼラチン、油、溶媒、水等を含む。使用される特定の担体、希釈剤又は賦形剤は、本発明の化合物が適用される手段及び目的に依存するであろう。溶媒は、一般的には、哺乳動物に投与した際に安全(GRAS)であると当業者に認識されている溶媒に基づき選択される。一般的に、安全な溶媒は非毒性の水性溶媒、例えば水、及び水に可溶性又は混和性である他の非毒性溶媒である。適切な水性溶媒には、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400、PEG300)等、及びその混合物が含まれる。また製剤は、一又は複数のバッファー、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、滑剤、乳化剤、懸濁剤、保存料、酸化防止剤、不透明化剤、流動促進剤、加工助剤、着色剤、甘味料、香料、フレーバー、及び薬剤(すなわち、本発明の化合物又はその薬学的組成物)を見栄え良く提供するため又は薬学的製品(すなわち、医薬)の製造を補助する他の既知の添加剤を含むこともできる。
製剤は、一般的な溶解及び混合手順を使用して調製することができる。例えば、バルク薬剤物質(すなわち、本発明の化合物、又は本化合物の安定化形態(例えばシクロデキストリン誘導体又は他の既知の錯化剤との複合体))を、上述の一又は複数の賦形剤の存在下、適切な溶媒に溶解させる。本発明の化合物は、典型的には、薬学的投薬形態に製剤化されて、容易に制御可能な薬剤の投薬をもたらし、処方されたレジメンを患者が順守することが可能になる。
適用される薬学的組成物(又は製剤)は、薬剤の投与に使用される方法に応じて、多様な方法で包装することができる。一般的に、流通用の物品は、適切な形態の薬学的製剤をそこに付与する容器を含む。適切な容器は当業者によく知られており、ボトル(プラスチック及びガラス)、サシェ、アンプル、プラスチック袋、金属シリンダー等の材料を含む。また容器は、包装の内容物への軽率な接近を防止するための不正開封防止が施されたアセンブリも含む。また、容器には、容器の内容物を記述するラベルがそこに付与されている。またラベルは適切な警告を含みうる。
本発明の化合物の薬学的製剤は、様々な投与経路及びタイプに対して調製することができる。例えば、所望の純度を有する本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)は、凍結乾燥製剤、粉砕パウダー、又は水溶液の形態で、場合によっては、薬学的に許容可能な希釈剤、担体、賦形剤又は安定剤と混合可能である(Remington:The Science and Practice of Pharmacy:Remington the Science and Practice of Pharmacy (2005) 21版, Lippincott Williams & Wilkins, Philidelphia, PAを参照)。製剤化は、周囲温度、適切なpH、及び所望の純度で、生理学的に許容可能な担体、すなわち用いられる投薬量及び濃度でレシピエントに非毒性である担体と混合することにより、実施することができる。製剤のpHは、主として、化合物の特定の使用及び濃度に依存するが、約3から約8の範囲とすることができる。pH5でのアセテートバッファーでの製剤が適切な実施態様である。
ここで使用するためのこの発明の化合物(例えば、式Iの化合物)は、滅菌されていることが好ましい。特に、インビボ投与に使用される製剤は、滅菌されていなければならない。このような滅菌は、滅菌濾過膜を通して濾過することにより直ぐに達成される。
通常、本発明の化合物は、固形組成物、凍結乾燥製剤又は水溶液として保存することができる。
本発明の薬学的組成物は、良好な医療行為と一致した様式で、すなわち、量、濃度、スケジュール、過程、ビヒクル及び投与経路で、製剤化され、用量決定され、投与されるであろう。この文脈で考慮される因子には、治療される特定の疾患、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、疾患の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医師に知られている他の因子が含まれる。投与される化合物の「治療的有効量」は、このような考慮に支配され、凝固因子媒介性疾患を予防、寛解、又は治療するのに必要な最小量である。このような量は、好ましくは、ホストに毒性であるか、又はホストを出血により有意に感受性にする量以下である。
一般的な提案としては、一用量当たりに非経口的に投与される本発明の阻害剤化合物の初期の薬学的有効量は、一日当たり患者の体重に対して約0.01−100mg/kg、例えば約0.1から20mg/kgの範囲であり、使用される化合物の典型的な初期範囲は、0.3から15mg/kg/日である。
許容可能な希釈剤、担体、賦形剤及び安定剤は、用いられる用量及び濃度でレシピエントに非毒性であり、ホスフェート、シトレート、及び他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存料(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール等);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール等の糖類;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/又はトゥイーン(TWEEN)(登録商標)、プルロニクス(PLURONICS)(登録商標)、又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。また、本発明の活性な薬学的成分は活性成分(例えば、式Iの化合物)は、例えばコアセルベーション技術により又は界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メタクリル酸メチル)マイクロカプセルに、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)に又はマクロエマルジョンに、捕捉されうる。このような技術は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy:Remington the Science and Practice of Pharmacy (2005), 21版, Lippincott Williams & Wilkins, and Philedelphia, PAに開示されている。
本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)の徐放性調製物を調製することができる。徐放性調製物の適切な例は、式Iの化合物を含む固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを含み、このマトリックスは成形品、例えばフィルム、又はマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリアクチド類(米国特許第3773919号)、Lグルタミン酸とγ-エチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-ビニルアセテート、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(登録商標)(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフィア)、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含む。
製剤は、ここに詳述される投与経路に適したものを含む。製剤は、簡便には、単位投薬形態で提供可能であり、薬学分野でよく知られている任意の方法により調製可能である。技術及び製剤は、一般的に、Remington: The Science and Practice of Pharmacy:Remington the Science and Practice of Pharmacy(2005), 21版, Lippincott Williams & Wilkins, Philidelphia, PAに見出される。このような方法は、一又は複数の補助的成分を構成する担体と、活性成分とを併せる工程を含む。一般的に、製剤は、液状担体又は微細に粉砕された固形担体又は双方と活性成分を均質かつ密に併せ、ついで、必要ならば、生成物を成形することにより、調製される。
経口投与に適した本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)の製剤は、それぞれ所定量の本発明の化合物を含む離散単位、例えば丸薬、カプセル剤、カシェー(薬包)又は錠剤として調製することができる。
圧縮錠剤は、適切な機械において、流動形態、例えばパウダー又は顆粒を、場合によってはバインダー、滑剤、不活性希釈剤、保存料、界面活性剤又は分散剤と混合して圧密化することにより調製することができる。成形錠剤は不活性な液体希釈剤で湿潤させた粉末化活性成分の混合物を適切な機械で成形することによって製造することができる。錠剤は場合によっては被覆し又は切り込み線を入れ、場合によっては活性成分の遅延又は制御放出をもたらすように製剤化される。
錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性又は油性懸濁液、分散可能パウダー又は顆粒、エマルジョン、硬カプセル又は軟カプセル剤、例えばゼラチンカプセル、シロップ又はエリキシル剤を経口用途のために調製することができる。経口用途を意図した本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)の製剤は、薬学的組成物の製造に対して当該技術分野で知られている任意の方法に従って調製することができ、そのような組成物は、美味な調製物を提供するために、甘味料、香味料、着色剤及び保存剤を含む一又は複数の薬剤を含みうる。錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容可能な賦形剤と混合せしめられて活性成分を含む錠剤が許容できる。これらの賦形剤は、例えば不活性な希釈剤、例えば炭酸カルシウム又はナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はナトリウム;顆粒化及び崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン、又はアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチン又はアカシア;及び滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクでありうる。錠剤は非被覆でも、又は胃腸管中での崩壊と吸着を遅延させるマイクロカプセル化を含む既知の方法によって被覆してもよく、それによって長時間にわたる持続作用をもたらす。例えば、時間遅延物質、例えばモノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルを単独で又はロウと共に用いることができる。
眼又は他の外部組織、例えば口及び皮膚の治療に対しては、製剤は、好ましくは、例えば0.075から20%w/wの量で活性成分(類)を含む局所用軟膏又はクリームとして適用される。軟膏に製剤化される場合、活性成分はパラフィン系又は水混和性軟膏基剤と共に用いることができる。あるいは、活性成分は水中油クリーム基剤でのクリームに製剤化することができる。
所望される場合、クリーム基剤の水性相は多価アルコール、すなわち、例えばプロピレングリコール、ブタン1,3-ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール及びポリエチレングリコール(PEG400を含む)及びその混合物のような二又はそれ以上のヒドロキシル基を有するアルコールを含みうる。局所用製剤は、望ましくは、皮膚又は他の患部領域を通しての活性成分の吸収又は浸透を向上させる化合物を含みうる。そのような皮膚浸透向上剤の例はジメチルスルホキシド及び関連アナログを含む。
この発明のエマルジョンの油性相は知られた方法で既知の成分から構成することができる。該相は単に乳化剤を含むことができるが、望ましくは脂肪又は油との、あるいは脂肪と油の双方との少なくとも一の乳化剤の混合物を含む。好ましくは、親水性乳化剤が、安定剤として作用する親油性乳化剤と共に含められる。油と脂肪の双方を含むことがまた好ましい。併せて、安定剤と共に又は安定剤を伴わない乳化剤はいわゆる乳化ロウを構成し、油及び脂肪と共にロウがクリーム製剤の油性分散相を形成するいわゆる乳化軟膏基剤を構成する。本発明の製剤に使用するのに適した乳化剤及び乳化安定剤には、トゥイーン(Tween(登録商標))60、スパン(Span(登録商標))80、セトステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ミリスチルアルコール、モノ-ステアリン酸グリセリル及びラウリル硫酸ナトリウムが含まれる。
本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)の水性懸濁液は水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合せしめられて活性物質を含む。そのような賦形剤には、懸濁剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、クロスカルメロース、ポビドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガム、及び分散又は湿潤剤、例えば天然に生じるホスファチド(例えばレシチン)、脂肪酸とアルキレンオキシドとの縮合産物(例えばポリオキシエチレンステアレート)、長鎖脂肪族アルコールとエチレンオキシドとの縮合産物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとエチレンオキシドとの縮合産物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)が含まれる。水性懸濁液はまた一又は複数の保存料、例えばエチル又はn-プロピルp-ヒドロキシ-ベンゾエート、一又は複数の着色剤、一又は複数の香味剤及び一又は複数の甘味料、例えばスクロース又はサッカリンを含みうる。
本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)の薬学的組成物は滅菌された注射用調製物の形態、例えば滅菌注射用水性又は油性懸濁液でありうる。この懸濁液は上に述べた好適な分散又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて既知の技術に従って処方することができる。滅菌された注射用調製物はまた1,3-ブタンジオール溶液又は凍結乾燥粉末として調製したもののように、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液又は懸濁液でありうる。用いることができる許容可能なビヒクル及び溶媒は水、リンガー液及び等張塩化ナトリウム溶液である。また、滅菌固定化油を溶媒又は懸濁媒質として簡便に用いることができる。この目的に対して、合成のモノ-又はジグリセリドを含む任意のブランドの固定化油を用いることができる。また、オレイン酸のような脂肪酸も同様に注射剤の調製に使用することができる。
単一の投薬形態をつくるために担体物質と混合されうる活性成分の量は治療されるホストと特定の投与態様に応じて変わる。例えば、ヒトへの経口投与のための時間放出製剤は、全組成物の約5から約95%(重量:重量)と変わりうる適切で簡便な量の担体物質と共に配合されておよそ1から1000mgの活性物質を含みうる。薬学的組成物は投与のために容易に測定可能な量をもたらすように調製することができる。例えば、静脈点滴のための水溶液は、約30mL/hrの速度で適した体積の点滴が生じうるようにするために、溶液1ミリリットル当たり約3から500μgの活性成分を含みうる。
非経口投与に適した製剤は、抗酸化剤、バッファー、静菌剤及び意図したレシピエントの血液と製剤を等張にする溶質を含みうる水性及び非水性滅菌注射用溶液;及び懸濁剤及び増粘剤を含みうる水性及び非水性滅菌懸濁液を含む。
眼への局所投与に適した製剤は、好適な担体、特に活性成分のための水性溶媒に活性成分が溶解又は懸濁させられた点眼液をまた含む。活性成分はそのような製剤中に、好ましくは約0.5から20%w/w、例えば約0.5から10%w/w、例えば約1.5%w/wの濃度で存在する。
口腔への局所投与に適した製剤は、香味基剤、通常はスクロース及びアカシア又はトラガカント中に活性成分を含むロゼンジ;ゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアカシアのような不活性基剤に活性成分を含むパスティユ;及び適切な液体担体に活性成分を含むうがい薬を含む。
直腸投与のための製剤は、例えばココアバター又はサリチレートを含む適切な基剤を用いて座薬として提供されうる。
肺内又は経鼻投与に適した製剤は、例えば0.1から500ミクロン(例えば0.5、1、30ミクロン、35ミクロン等々のような増分ミクロンで0.1から500ミクロンの範囲の粒子径を含む)の範囲の粒子径を有し、これが鼻経路を通る迅速な吸入又は肺胞嚢に達するように口からの吸入によって投与される。好適な製剤には、活性成分の水性又は油性溶液が含まれる。エアゾール又は乾燥粉末投与に適した製剤は常法によって調製することができ、以下に記載される疾患の治療又は予防にこれまで使用されている化合物のような他の治療剤と共に送達されうる。
膣投与に適した製剤は、活性成分に加えて、当該技術分野で適切であることが知られているような担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレー製剤として提供することができる。
製剤は、単位投薬又は複数投薬容器、例えば密封アンプル及びバイアルに包装することができ、使用直前に注射用の滅菌液体担体、例えば水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)条件で保存することができる。即時混合注射溶液及び懸濁液は既に記載された種類の滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製される。好適な単位投薬製剤は、活性成分の、上に記載されたような毎日の投薬又は毎日の部分用量単位、又はその適切な画分を含むものである。
本発明は更に獣医学的担体と共に上述の少なくとも一の活性成分(例えば、式Iの化合物)を含む獣医学的組成物を提供する。獣医学的担体は組成物を投与する目的に有用な物質であり、不活性な又は獣医学分野で許容され、活性成分と相容性がある固形、液体又は気体物質でありうる。これらの獣医学的組成物は非経口的、経口的又は任意の他の所望の経路によって投与することができる。
III.方法
他の態様では、本発明は、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)、又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、又は薬学的に許容可能な塩、プロドラッグで、mTORキナーゼの活性を阻害するものを提供する。一実施態様では、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)、又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、又は薬学的に許容可能な塩、プロドラッグは、mTORC1とmTORC2の活性を阻害する。他の実施態様では、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)、又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、又は薬学的に許容可能な塩、プロドラッグは、mTORC1の活性を阻害する。他の実施態様では、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)、又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、又は薬学的に許容可能な塩、プロドラッグは、mTORC2の活性を阻害する。ある実施態様では、式Iの化合物は、mTORC2に対しmTORC1の活性を阻害することにおいて1×、2×、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×、10×、11×、12×、13×、14×、15×、16×、17×、18×、19×、20×、25×、30×、40×、50×、60×、70×、80×、90×、100×、200×、300×、400×、500×、600×、700×、800×、900x又は1000x以上選択的である。ある実施態様では、式Iの化合物は、mTORC1に対しmTORC2の活性を阻害することにおいて1×、2×、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×、10×、11×、12×、13×、14×、15×、16×、17×、18×、19×、20×、25×、30×、40×、50×、60×、70×、80×、90×、100×、200×、300×、400×、500×、600×、700×、800×、900x又は1000x以上選択的である。ある実施態様では、本発明の化合物は、関連したPI3脂質キナーゼに対しmTORC1及び/又はmTORC2の活性を阻害することにおいてより選択的である。ある実施態様では、式Iの化合物は、PI3脂質キナーゼに対しmTORキナーゼ(例えばmTORC1、mTORC2)の活性を阻害することにおいて1×、2×、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×、10×、11×、12×、13×、14×、15×、16×、17×、18×、19×、20×、25×、30×、40×、50×、60×、70×、80×、90×、100×、200×、300×、400×、500×、600×、700×、800×、900x又は1000x以上選択的である。一態様では、本発明の化合物は、驚いたことに、関連PI3脂質キナーゼ、例えばPI3K-αよりもmTORキナーゼの阻害に対して優れた選択性を示す。例えば、N-7置換プリン化合物(S)-1-エチル-3-(4-(7-メチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレアは関連PI3キナーゼ(PI3K-α)よりもmTORキナーゼに対して357×より選択的であり、N-1置換ピラゾロピリミジン化合物(S)-1-エチル-3-(4-(1-メチル-7-(3-メチルモルホリノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)ウレアは関連PI3キナーゼ(PI3K-α)よりもmTORキナーゼに対して1250×選択的である一方、異性体化合物(S)-1-エチル-3-(4-(9-メチル-6-(3-メチルモルホリノ)-9H-プリン-2-イル)フェニル)ウレアは関連PI3キナーゼ(PI3K-α)よりもmTORキナーゼに対して29×選択的である。N-7置換プリン化合物(S)-1-エチル-3-(4-(7-エチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレアは関連PI3キナーゼ(PI3K-α)よりもmTORキナーゼに対して250×選択的である一方、異性体化合物(S)-1-エチル-3-(4-(9-エチル-6-(3-メチルモルホリノ)-9H-プリン-2-イル)フェニル)ウレアは関連PI3キナーゼ(PI3K-α)よりもmTORキナーゼに対して45×選択的である。
上記実施態様のそれぞれにおいて、特定の一態様では、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)、又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、又は薬学的に許容可能な塩、又はプロドラッグは、薬学的組成物として製剤化される。
本発明は、本発明の活性化合物(例えば、式Iの化合物)、又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、又は薬学的に許容可能な塩又はプロドラッグの有効量を細胞と接触させることを含む、細胞におけるmTORの活性を阻害する方法を提供する。本発明は、細胞を式Iの化合物又はその亜属と接触させることを含む細胞増殖を阻害する方法を更に提供する。このような方法は、インビトロ又はインビボで実施可能である。
本発明の化合物、又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、又は薬学的に許容可能な塩、プロドラッグは、限定するものではないが、PIKKキナーゼ、例えばmTORキナーゼの過剰発現により特徴付けられるものを含む、疾患、症状及び/又は疾病の治療に有用である。従って、この発明の他の態様は、mTORキナーゼを阻害することにより治療されうる疾患又は症状を治療する方法を提供する。一実施態様では、本方法は、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)、又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、又は薬学的に許容可能な塩又はプロドラッグの治療的有効量をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む。上述の実施態様では、特定の一態様では、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)、又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、又は薬学的に許容可能な塩、プロドラッグは、薬学的組成物として製剤化される。
本発明の化合物は治療される症状に適した任意の経路によって投与されうる。適切な経路には、経口、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、皮内、くも膜下腔内及び硬膜外を含む)、経皮、直腸、経鼻、局所(頬側及び舌下を含む)、膣、腹腔内、肺内及び鼻腔内が含まれる。局所的な免疫抑制治療に対しては、化合物は、移植前に、移植片を阻害剤とかん流又は接触させることを含む病巣内投与により投与することができる。好ましい経路は例えばレシピエントの状態に応じて変わりうることは理解される。本化合物が経口投与される場合、化合物は、丸薬、カプセル剤、錠剤等として薬学的に許容可能な担体又は賦形剤と共に製剤化することができる。本化合物が非経口的に投与される場合、化合物は、以下に詳述されるように、薬学的に許容可能な非経口ビヒクルと共に単位投薬注射可能形態で処方することができる。
哺乳動物(例えばヒト)を治療するための用量は、式Iの化合物で、約10mgから約1000mgの範囲とすることができる。典型的な用量は、約100mgから約300mgの化合物とすることができる。用量は、特定の化合物の吸収、分布、代謝、及び排出を含む、薬物動態及び薬力学的特性に応じて、1日1回(QID)、1日2回(BID)、又はより頻繁に投与することができる。また、毒性要因は、投薬量及び投与レジメンに影響を与えるおそれがある。経口的に投与される場合、毎日、又は特定の期間でより少ない頻度で、丸薬、カプセル剤、又は錠剤を摂取可能である。レジメンは多くの治療サイクルで、繰り返すことができる。
この発明の方法で治療可能な疾患及び症状は、限定されるものではないが、患者における、癌、脳卒中、糖尿病、肝腫、循環器疾患、アルツハイマー病、嚢胞性線維症、ウイルス性疾患、自己免疫疾患、アテローム性動脈硬化、再狭窄、乾癬、アレルギー性疾患、炎症、神経性疾患、ホルモン関連疾患、臓器移植に関連した病状、免疫不全疾患、破壊性骨障害、増殖性疾患、感染性疾患、細胞死に関連した病状、トロンビン誘発性血小板凝集、慢性骨髄性白血病(CML)、肝臓病、ポイツ・ジェガース症候群、結節性硬化症、T細胞活性化を含む病的な免疫疾患、CNS疾患を含む。一実施態様では、ヒト患者は、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)、及び薬学的に許容可能な担体、アジュバント、又はビヒクルで治療され、ここで本発明の化合物は、mTORキナーゼ活性を検出可能に阻害する量で存在している。
この発明の方法で治療可能な癌には、限定されるものではないが、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、精巣癌、泌尿生殖器癌、食道癌、咽頭癌、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、胃癌、皮膚癌、ケラトアカントーマ、肺癌、類表皮癌、大細胞癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞癌、肺腺癌、骨癌、結腸癌、アデノーマ、膵臓癌、腺癌、甲状腺癌、濾胞性癌、未分化癌、乳頭癌、セミノーマ、メラノーマ、肉腫、膀胱癌、肝臓癌及び胆汁道癌、腎臓癌、骨髄性疾患、リンパ性疾患、ヘアリー細胞癌、頬側口腔癌及び咽頭(口腔)癌、口唇癌、舌癌、口腔癌、咽頭癌、小腸癌、結腸直腸癌、大腸癌、直腸癌、脳癌及び中枢神経系癌、ホジキン病及び白血病が含まれる。ある実施態様では、本発明の化合物は、乳癌、NSCLC、小細胞癌、肝臓癌、リンパ性疾患、肉腫、結腸直腸癌、直腸癌及び白血病からなる群から選択される癌の治療に有用である。
この発明の方法によって治療できる循環器疾患には、限定されるものではないが、再狭窄、心肥大、アテローム性動脈硬化、心筋梗塞、及び鬱血性心不全が含まれる。
この発明の方法によって治療できる神経変性疾患には、限定されるものではないが、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、及び脳虚血、外傷、グルタミン酸神経毒及び低酸素に起因する神経変性疾患が含まれる。
この発明の方法によって治療できる炎症性疾患には、限定されるものではないが、関節リウマチ、乾癬、接触性皮膚炎、及び遅延型過敏症反応が含まれる。
この発明の他の態様は、ここに記載の疾患又は症状を煩っている哺乳動物、例えばヒトにおけるこのような疾患又は症状の治療における、本発明の化合物、又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、又は薬学的に許容可能な塩、又はプロドラッグを提供する。また提供されるのは、ここに記載の疾患又は症状を煩っている哺乳動物、例えばヒトにおけるこのような疾患又は症状の治療のための医薬の調製における、本発明の化合物、又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、又は薬学的に許容可能な塩、又はプロドラッグの使用である。
一実施態様では、本発明の化合物(例えば式Iの化合物)、又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、又は薬学的に許容可能な塩、プロドラッグは、抗癌剤として、又は併用療法における癌治療の補助薬として使用される。当業者は候補化合物が任意の特定の細胞タイプの癌性症状を単独で又は組合せで治療するかどうかを直ぐに決定することができる。この実施態様の所定の側面では、本発明の化合物は、癌の治療に対して、一般的な外科手術、放射線療法及び化学療法を含む他の治療法に付加されて使用される。そのような化学療法は、限定しないが、ここに記載された化学療法剤の一又は複数を含みうる。
併用療法は同時又は逐次のレジメンとして投与されうる。逐次的に投与される場合、併用薬は二回以上の投与で投与することができる。併用投与には、別個の製剤又は単一の薬学的製剤を使用する同時投与、何れかの順での逐次投与が含まれ、その場合、好ましくは時間があり、両方の(又は全ての)活性剤が同時にその生物学的活性を作用させる。
上記の同時投与薬剤の任意のものに適した投薬量は現在使用されているものであり、新たに同定された薬剤と他の化学療法剤又は治療の併用作用(相乗作用)のために低下させることができる。
併用療法は、「相乗効果」をもたらし、「相乗的」でありうる、つまり活性成分が併せて使用されるときに達成される効果が化合物を別個に使用して生じる効果の合計よりも大きい。相乗効果は、活性成分が、(1)同時処方され、併用された単位投薬製剤として同時に投与又は送達され;(2)別個の製剤として交互に又は平行して送達される場合;又は(3)ある種の他のレジメンによって、達成することができる。交互療法で送達される場合、相乗効果は、化合物が、例えば別個にシリンジで、別個に丸薬又はカプセルで、又は別個に注入して、異なった注射によって、逐次的に投与され又は送達されるときに達成できる。一般に、交互療法の間、各活性成分の有効な用量が逐次的、つまり連続的に投与される一方、併用療法では二又はそれ以上の活性成分の有効な用量が一緒に投与される。
これらの実施例は、本発明の範囲の限定を意図するものではなく、むしろ、当業者に、本発明の化合物、組成物、及び方法を準備し、使用するための指針を提供するものである。本発明の特定の実施態様を記載しているが、当業者であれば、様々な変化及び変更を、本発明の精神及び範囲を逸脱しないようになすことができることが分かるであろう。
記載された実施例中の化学反応は、本発明の多くの他のmTOR阻害剤を調製するために直ぐに適合可能であり、この発明の化合物を調製するための代替法は、この発明の範囲に入ると考えられる。例えば、本発明に係る非例示的化合物の合成は、当業者に明らかな修正により、例えば干渉基を適切に保護することにより、記載したもの以外の当該技術分野で知られている他の適切な試薬を利用することにより、及び/又は反応条件を常套的に修正することにより、成功裏に実施可能である。あるいは、ここに開示された又は当該技術分野で知られている他の反応も、本発明の他の化合物の調製に対して適用性を有するものとして認識されるであろう。従って、次の実施例は本発明を例証するために提供されるもので、本発明を限定するものではない。
以下に記載の実施例では、特に別の定義を示さない限りは、全ての温度は摂氏で記載している。市販試薬は、例えばAldrich Chemical Company, Lancaster, TCI又はMaybridgeのような供給者から購入し、特に示さない限りは、更なる精製をすることなく使用した。以下に記載する反応は、一般的に窒素又はアルゴンの正圧下、又は無水溶媒中の乾燥チューブ(特に記載しない場合)で実施し、反応フラスコには、典型的にはシリンジを介した試薬及び基質の導入用のゴム隔膜を取り付けた。ガラス製品はオーブンで乾燥させ、及び/又は加熱乾燥させた。カラムクロマトグラフィーは、シリカゲルカラム又はシリカSEP PAK(登録商標)カートリッジ(Waters)を具備するBiotageシステム(製造者:Dyax Corporation)で実施するか、又は別のカラムクロマトグラフィーを、シリカゲルカラムを具備するISCOクロマトグラフィーシステム(製造者:Teledyne ISCO)を使用して実施した。H NMRスペクトルを400MHzで操作してVarian機器で記録した。H NMRスペクトルを、参照標準体(7.25ppm)としてクロロホルムを使用し、重水素化CDCl、d-DMSO、CHOD又はd-アセトン溶液(ppmで報告)において得た。ピーク多重度が報告される場合、以下の略語が使用される:s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、br(広幅化)、dd(二重線の二重線)、dt(三重線の二重線)。カップリング定数は、与えられる場合、ヘルツ(Hz)で報告される。
可能な場合、反応混合物中に形成される生成物をLC/MSによってモニターした。保持時間(R)及び関連質量イオンを決定するために高圧液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)実験を次の方法の一つを使用して実施した。方法A:実験をPE Sciex API 150 EX四重極質量分析計で実施し、Shimadzu LC-10AD LCシステムに連結し、ダイオードアレイ検出器及び225位置オートサンプラーを用い、Kromasil C18の50×4.6mmカラム及び3ml/分の流量を使用した。溶媒系は、0.05%TFAを有する水(溶媒A)100%及び0.0375%TFAを有するアセトニトリル(溶媒B)0%から始め、4分間にわたって10%溶媒A及び90%溶媒Bまで勾配させた。最終溶媒系を更に0.50分間一定に保った。方法B:実験をAgilent Technologies液体クロマトグラフィー質量分析計において実施し、Agilent Technologies Series 1200 LCシステムに連結し、ダイオードアレイ検出器を用い、Zorbax 1.8 micron SB-C18の30×2.1mmカラム及び1.5ml/分の流量を使用した。方法B1:開始溶媒系は0.05%トリフルオロ酢酸を有する水(溶媒A)95%及び0.05%トリフルオロ酢酸を有するアセトニトリル(溶媒B)5%であり、1.5分にわたって5%の溶媒A及び95%の溶媒Bまで勾配させた。最終溶媒系を更に1分間一定に保った。方法B2:開始溶媒系は0.05%トリフルオロ酢酸を有する水(溶媒A)95%及び0.05%トリフルオロ酢酸を有するアセトニトリル(溶媒B)5%であり、3.0分間にわたって5%の溶媒A及び95%の溶媒Bまで勾配させた。最終溶媒系を更に1分間一定に保った。方法C:実験をAgilent Technologies液体クロマトグラフィー質量分析計において実施し、Agilent Technologies Series 1200 LCシステムに連結させ、ダイオードアレイ検出器を用い、Zorbax 1.8 micron SB-C18の30×2.1mmカラム及び0.6ml/分の流量を使用した。開始溶媒系は0.05%トリフルオロ酢酸を有する水(溶媒A)95%及び0.05%トリフルオロ酢酸を有するアセトニトリル(溶媒B)5%であり、9.0分間にわたって5%の溶媒A及び95%の溶媒Bまで勾配させた。最終溶媒系を更に1分間一定に保った。反応混合物において形成された産物は以下の条件を使用して逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)によって精製することができる:逆相HPLCをGemini-NXカラム(100×30mm,10ミクロン);60ml/分で0.1%FA又は0.1%NH4OHで10分にわたり5−85%のACN、254nm、又はZymor Pegasusカラム(150×21.2mm,5ミクロン);70ml/分で5−60%のメタノール、254nmで実施した。
使用された試薬、反応条件、又は器具を記述するのに使用した全ての略語は、Journal of Organic Chemistry(American Chemical Societyジャーナル)によって年一回発行される「List of standard abbreviations and acronyms」に記載された定義に一致する。本発明の個々の化合物の化学名は、構造命名機能ChemBioDraw Version 11.0を使用して、又はAccelrysのPipeline Pilot IUPAC化合物命名プログラムから得た。
実施例1
3,7ジメチル-1H-プリン2,6(3H,7H)ジオン(テオブロミン)からの2,6-ジクロロ-7-メチル-7H-プリンの合成(a-2):
Figure 0005572715
2,6ジクロロ-7-メチル-7H-プリンを、Australian Journal of Chemistry, 1981, 34, 1729においてStanovik, B.等によって開示されたN,N,ジエチルアニリンを変更して、Uretskaya, G.Ya., Rybinka, E.I.及びMen'shikov, G.P. Zh. Obshch. Ki., 1960, 30, 327 の手順に従って、10%収率でテオブロミン(a-1)から調製した。1H NMRは市販の2,6ジクロロプリンの塩基及びヨードメタンでのアルキル化によって調製された材料と全ての点において同一であった。例えば、Feng等(国際公開第2004/087053号)によって報告された手順は塩基としての60%のNaHを、溶媒としてジメチルホルムアミド(DMF)を、またヨードメタンを用いてN-7/N-9メチル化産物の1:1混合物を得、これをシリカクロマトグラフィーによって分離した。Lewi等(国際公開第2005/028479A2号)によって報告された手順は塩基として炭酸カリウムを、溶媒としてアセトニトリル(室温70h)を、またヨードメタンを用い、シリカクロマトグラフィー(60%収率N9Me/30%収率N-7メチル化)後に2:1の分離収率のメチル化プリンを得た。同様に、アセトンは溶媒としてアセトニトリルに置換し得、炭酸カリウム及びヨードメタンとの24時間の還流後、N9/N7の3:1混合物が得られる。N-7メチル化産物をシリカクロマトグラフィー後に16.3%の精製収率で分離した。Chi-Huey Wong等の報告書(Bioorg & Med Chem 13(2005) 4622-4626を参照)は塩基としてのテトラブチルアンモニウムフルオライド(1MのTHF溶液)とヨードメタンを使用して、同様に3:1の比のN-9/N-7メチル化プリンを付与し、これをシリカクロマトグラフィーによって分離することができた。H NMR(400MHz、DMSO d)8.79(s、1H、H8)、4.06(s、3H、N7Me)。
実施例2
1-エチル-3-(4-(7-メチル-6-モルホリノ-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレア(b-2)の合成:
Figure 0005572715
4-(2-クロロ-7-メチル-7H-プリン-6-イル)モルホリン(b-1)の調製: 攪拌子及び隔壁を装備したオーブン乾燥の15mLの圧力管を窒素下で冷却し、123.1mg(0.61mmol)の2,6ジクロロ-7-メチル-7H-プリンを投入し、無水エタノール/DMF(0.5mL/0.3mL、0.76M)に溶解させた。N,Nジイソプロピルエチルアミン(0.130mL、0.73mmol)をシリンジによって加えた後、モルホリン(0.064mL、0.73mmol)を加えた。圧力管に窒素を流し、隔壁をテフロン(商標)スクリューキャップに置き換えた。反応混合物は室温で一晩攪拌した。LCMS(方法A)は、aと一つの主要なuv活性生成物(保持時間1.17分)を示し、それは(b)に対して正しいM+Hを示した。20%MeOH/EAでの薄層クロマトグラフ(TLC)は一つの主要なuv活性生成物を確認した。反応混合物を、30mLの50/50EtO/EAを含むフラスコ中に注ぎ、圧力管を2×10mLの50/50EtO/EAと、ついで10mLのEAですすいだ。分液漏斗に移し、50%のブラインで1×、ブラインで1×洗浄した。組み合わせた水性層を更に50/50EtO/EA(ジエチルエーテル:酢酸エチル)(2×20mL)で再抽出し、有機抽出物を組み合わせ、乾燥(MgSO)させ、濾過し、高真空下で乾燥させて、119.3mgの粗生成物(77.6%)を得、これを次工程に直接取り上げた。H NMR(400MHz、DMSO d)8.44(s、1H)、3.96(s、3H)、3.80−3.71(m、4H)、3.53−3.44(m、4H)。LC/MS-m/z+254.5(M+H)+。
表題化合物(b-2)の調製: 窒素を水とアセトニトリルに一晩バブリングして脱ガスした。2-5mLの円錐状マイクロ波チューブに84mg(0.29mmol)の[(4-エチルウレイド)フェニル]ボロン酸ピナコールエステル、17mg(0.015mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、39mg(0.37mmol)の炭酸ナトリウム、及び40mg(0.4mmol)の酢酸カリウムを入れた。56.8mg(0.224mmol)の4-(2-クロロ-7-メチル-7H-プリン-6-イル)モルホリンと続いて攪拌子を加え、混合物をACN(3.0mL)/水(0.9mL)に溶解させた。マイクロ波バイアルにキャップをし、マイクロ波処理した(300ワット、130℃15分)。冷却後、LCMS(方法A)分析は、bの完全な消費を示し、主要なuv活性生成物(保持時間1.30分)を与え、これは副産物としてのトリフェニルホスフィンと共にウレアに対して正しいM+Hを示した(保持時間2.24分)。反応混合物を30mLのEA中に希釈し、チューブを更なるEAですすいだ。EAを125mLの分液漏斗に移し、水で1×、ブラインで1×洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過し、濃縮して、96.4mgの粗物質を得、これをRP HPLCによって精製して32.5mg(38%)を得、これをLCMS(方法C)によって分析して同一性と純度を得た。H NMR(500MHz、DMSO d)8.64(s、1H)、8.38(s、1H)、8.25(d、J=8.7Hz、2H)、7.49(d、J=8.7Hz、2H)、6.18(t、J=5.5Hz、1H)、3.99(s、3H)、3.87−3.77(m、4H)、3.53-3.45(m,4H)、3.19−3.06(m、2H)、1.06(t、J=7.2Hz、3H)。LC/MS-m/z+382.1(M+H)+。
実施例3
(S)-1-エチル-3-(4-(7-メチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレア(c-2)の合成:
Figure 0005572715
(S)-4-(2-クロロ-7-メチル-7H-プリン-6-イル)-3-メチルモルホリン(c-1)の調製: 化合物(c-1)を、(S)-3-メチルモルホリンをモルホリンの代わりに使用し、1.0mL/0.6mLのエタノール/DMFプラス穏やかな加熱が(a-2)の溶解をなすのに必要であった点を変更して、実施例2に対して記載されたようにして調製した。ひとたび溶解されれば、反応混合物は室温への冷却時に均一のままであった。ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)及び(S)-3-メチルモルホリンを室温で加えた。処理後、中間体化合物(c-1)を白色泡状物質として85%の収率で得、次工程に直接取り上げた。H NMR(400MHz、DMSO d)8.44(s、1H)、4.04(dd、J=6.7、3.3Hz、1H)、3.96(s、3H)、3.84(dt、J=10.8、2.8Hz、1H)、3.76(dd、J=11.3、2.8Hz、1H)、3.68−3.49(m、3H)、3.40−3.37(m、1H)、1.20(d、J=6.6Hz、3H)。LC/MS-m/z+268.1(M+H)+。
表題化合物(c-2)の調製:(S)-1-エチル-3-(4-(7-メチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレアを実施例2に対して記載されたようにして調製し、RP HPLCによって精製して37.2mg(48%)を得、その同一性と純度をLCMS(方法C)によって分析した。H NMR(500MHz、DMSO d)8.67(s、1H)、8.39(s、1H)、8.25(d、J=8.8Hz、2H)、7.50(d、J=8.8Hz、2H)、6.21(t、J=5.6Hz、1H)、3.99(s、4H)、3.94-3.81(m、2H)、3.75(t、J=8.4Hz、1H)、3.62-3.47(m、3H)、3.20-3.0(m、2H)、1.19(d、J=6.4Hz、3H)、1.06(t、J=7.2Hz、3H)。LC/MS-m/z+396.2(M+H)+。
実施例4
(R)-1-エチル-3-(4-(7-メチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレア(d-2)の合成:
Figure 0005572715
(R)-4-(2-クロロ-7-メチル-7H-プリン-6-イル)-3-メチルモルホリン(d-1)の調製は、(R)-3-メチルモルホリンをモルホリンの代わりに使用し、2.0mL/0.75mLのエタノール/DMFプラス穏やかな加熱が(a-1)の溶解をなすのに必要であった点を変更して、実施例2に記載されたようにして調製した。ひとたび溶解されれば、反応混合物は室温への冷却時に均一のままであった。ジイソプロピルアミン及び(R)-3-メチルモルホリンを室温で加え、反応を50℃に36時間加熱した。処理後、中間体化合物(d-1)をロウ状の褐色固形物として68%の収率で得、次工程に直接取り上げた。H NMR(400MHz、DMSO d)8.44(s、1H)、4.04(dd、J=6.7、3.3Hz、1H)、3.96(s、3H)、3.84(dt、J=10.8、2.8Hz、1H)、3.76(dd、J=11.3、2.8Hz、1H)、3.68−3.49(m、3H)、3.40−3.37(m、1H)、1.20(d、J=6.6Hz、3H)。LC/MS-m/z+268.1(M+H)+。
表題化合物(d-2)の調製: (R)-1-エチル-3-(4-(7-メチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレア(d-2)を実施例2に対して記載されたようにして調製し、RP HPLCによって精製して23.5mg(32%)を得、その同一性と純度をLCMS(方法C)によって分析した。H NMR(500MHz、DMSO d)8.67(s、1H)、8.39(s、1H)、8.25(d、J=8.8Hz、2H)、7.50(d、J=8.8Hz、2H)、6.21(t、J=5.6Hz、1H)、3.99(s、4H)、3.94-3.81(m、2H)、3.75(t、J=8.4Hz、1H)、3.62-3.47(m、3H)、3.20-3.0(m、2H)、1.19(d、J=6.4Hz、3H)、1.06(t、J=7.2Hz、3H)。LC/MS-m/z+396.2(M+H)+。
実施例5
(S)-1-エチル-3-(4-(6-(3-エチルモルホリノ)-7-メチル-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレア(e-2)の合成:
Figure 0005572715
(S)-4-(2-クロロ-7-メチル-7H-プリン-6-イル)-3-エチルモルホリン(e-1)の調製は、(S)-3-エチルモルホリンHCl塩をモルホリンの代わりに使用し、穏やかな加熱を要したエタノール/DMFの3.5/1混合物が(a-2)の溶解をなすのに必要であった点を変更して、実施例2に記載されたようにして調製した。ひとたび溶解されれば、反応混合物は室温への冷却時に均一のままであった。ジイソプロピルアミン及び(S)-3-エチルモルホリンHClを室温で加え、反応を20時間攪拌した。60℃への24時間の更なる加熱が(e-1)への完全な転換に必要であった。処理後、中間体化合物(e-1)を褐色固形物として87%の収率で得、次工程に直接取り上げた。H NMR(400MHz、DMSO d)8.43(s、1H)、4.03(m、1H)、3.94(s、3H)、3.78(m、3H)、3.62(m、1H)、3.52(dd、J=7.3、18.4Hz、2H)、1.79(m、2H)、0.79(t、J=7.4Hz、3H)。LC/MS-m/z+282.5(M+H)+。
表題化合物(e-2)の調製: (S)-1-エチル-3-(4-(7-メチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレア(e-2)を実施例2に記載されたようにして調製し、RP HPLCによって精製して136.5mg(56%)を得、その同一性と純度をLCMS(方法C)によって分析した。H NMR(400MHz、DMSO d)8.61(s、1H)、8.36(s、1H)、8.24(d、J=8.7Hz、2H)、7.49(d、J=8.7Hz、2H)、6.17(t、J=5.4Hz、1H)、3.97(s+m、4H)、3.83(dtd、J=14.1、11.4、2.8Hz、4H)、3.63(d、J=9Hz、2H)、3.45(m、1H)、3.14(dd、J=14.1,7.1Hz、2H)、1.79(p、J=7.4Hz、2H)、1.07(t、J=7.2Hz、3H)、0.83(t、J=7.4Hz、3H)。LC/MS-m/z+410.2(M+H)+。
実施例6
1-エチル-3-(4-(7-メチル-6-(1,4-オキサゼパン-4-イル)-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレア(f-2)の調製:
Figure 0005572715
4-(2-クロロ-7-メチル-7H-プリン-6-イル)-1,4-オキサゼパンの調製: 化合物(f-1)を、1,4オキサゼパンをモルホリンの代わりに使用し、穏やかな加熱を要したエタノール/DMFの3/1混合物がaの溶解をなすのに必要であった点を変更して、実施例2に記載されたようにして調製した。反応混合物を室温で72時間攪拌し、実施例2に記載されたようにして処理した。粗生成物を更にシリカクロマトグラフィー(ISCO、0-30%MeOH/EA)によって精製して、(f-1)を40%の精製収率で得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.86(s、1H)、3.96(s、3H)、3.92−3.87(m、2H)、3.86−3.78(m、6H)、2.15−2.05(m、2H)。LC/MS-m/z+268.3(M+H)+。
表題化合物(f-2)の調製: 表題化合物を実施例2に記載されたようにして調製し、RP HPLCによって精製して7.5mg(13%)を得、その同一性と純度をLCMS(方法C)によって分析した。H NMR(400MHz、DMSO d)8.58(s、1H)、8.29(s、1H)、8.23(d、J=8.7Hz、2H)、7.47(d、J=8.7Hz、2H)、6.15(t、J=5.5Hz、1H)、3.98(s、3H)、3.87(m、6H)、3.74(t、J=5.5Hz、2H)、3.19−3.06(m、2H)、2.25−1.97(m、2H)、1.07(t、J=7.2Hz、3H)。LC/MS-m/z+396.2(M+H)+。
実施例7
(S)-1-エチル-3-(4-(7-エチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレア(g-3)の調製
Figure 0005572715
2,6-ジクロロ-7-エチル-7H-プリン(g-1)の調製: 化合物(g-1)を、塩基としてのテトラブチルアンモニウムフルオライド(THF中1Mmの溶液)とヨードエタンを使用し、Chi-Huey Wong等 Bioorg. & Med. Chem. 13(2005) 4622-4626によって記載された手順を使用して、処理後に2,6-ジクロロ-7-エチル-7H-プリンを6.5%の収率で得、シリカ(ISCO、10−100%EA/ヘキサン)で位置異性体を分離した。H NMR(500MHz、DMSO d)8.91(s、1H)、4.49(q、J=7.2Hz、2H)、1.46(t、J=7.2Hz、3H)。LC/MS-m/z+217.2(M+H)+。
(S)-4-(2-クロロ-7-エチル-7H-プリン-6-イル)-3-メチルモルホリン(g-2)の調製: 化合物(g-2)を、(S)-3-メチルモルホリンをモルホリンの代わりに使用した点を変更して、実施例2に記載されたようにして調製した。反応混合物を室温で72時間攪拌し、実施例2に記載されたようにして処理し、(g-2)を74%の収率で得た。粗物質を更なる精製なしで使用した。H NMR(400MHz、DMSO d)8.60(s、1H)、4.31(m、2H)、3.93(m、1H)、3.81(m、2H)、3.65(t、J=9.0Hz、1H)、3.53(m、2H)、3.29(m、1H)、1.39(t、J=7.2Hz、3H)、1.17(d、J=6.5Hz、3H)。LC/MS-m/z+282.3(M+H)+。
(S)-1-エチル-3-(4-(7-エチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレア(g-3)の調製:(S)-1-エチル-3-(4-(7-エチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレアを実施例2に記載されたようにして調製し、RP HPLCによって精製して61.6mg(77.4%)を得、同一性と純度をLCMS(方法C)によって分析した。H NMR(500MHz、DMSO d)8.65(s、1H)、8.54(s、1H)、8.27(d、J=8.8Hz、2H)、7.51(d、J=8.8Hz、2H)、6.20(t、J=5.6Hz、1H)、4.36(m、2H)、4.02-3.71(m、4H)、3.60-3.44(m、2H)、3.18(m、2H)、1.44(t、J=7.2Hz、3H)、1.15(d、J=6.3Hz、3H)、1.07(t、J=7.2Hz、3H)。LC/MS-m/z+410.2(M+H)+。
実施例8
(S)-1-(4-(8-ブチル-7-メチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-2-イル)フェニル)-3-エチルウレア(h-2)の調製:
Figure 0005572715
(S)-4-(8-ブチル-2-クロロ-7-メチル-7H-プリン-6-イル)-3-メチルモルホリン(h-1)の調製: 化合物(h-1)を、窒素下で無水THF(1.6mL)中に(S)-4-(2-クロロ-7-メチル-7H-プリン-6-イル)-3-メチルモルホリン(c-1、52.3mg.0.195mmol)を溶解させ、ドライアイスアセトン冷却浴で-78℃に冷却し、-78℃でnBuLi(ヘキサン中0.23mLの2.5Mのn-ブチルリチウム溶液,0.58mmol)をゆっくりと滴下して加えることによって調製した。-78℃で2時間激しく攪拌した後、過剰のアセトンを用いて反応をクエンチし、所望の第三級アルコールを得た。反応を室温まで温め、溶媒を除去してロウ状固形物を得た。LCMSは保持時間2.30分(方法C)の主要なuv活性生成物の存在を示し、C-8ブチル付加産物と一致した324.1のM+H+を示した。粗生成物をRP HPLCによって精製して95%純度で24mg(20%)の(b)を得た。H NMR(500MHz、DMSO d)3.93−3.80(m+s、5H)、3.66(m、1H)、3.54(dd、J=11.4、3.8Hz、1H)、3.52−4.42(m、1H)、3.21(m、1H)、2.86(dd、J=8.2、6.6Hz、2H)、1.81−1.69(m、2H)、1.42(dq、J=14.7、7.4Hz、2H)、1.13(d、J=6.5Hz、3H)、0.94(t、J=7.4Hz,3H)。LC/MS-m/z+324.1(M+H)+。
(S)-1-(4-(8-ブチル-7-メチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-2-イル)フェニル)-3-エチルウレア(h-2)の調製:(S)-1-(4-(8-ブチル-7-メチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-2-イル)フェニル)-3-エチルウレアを24mgの(h-1)から実施例2に記載されたようにして調製し、RP HPLCによって精製して11.9mg(35%)を得、その同一性と純度をLCMS(方法C)によって分析した。H NMR(500MHz、DMSO d)8.80(s、1H)、8.22(d、J=8.8Hz、2H)、7.49(d、J=8.8Hz、2H)、6.36(t、J=5.3Hz、1H)、3.99−3.82(m+s5H)、3.75(m、2H)、3.21−3.02(m、5H)、2.96−2.75(m、2H)、1.92−1.69(m、2H)、1.44(dd、J=15、7.4Hz、2H)、1.12(d、J=6.2Hz、3H)、1.05(t、J=7.2Hz、3H)、0.95(t、J=7.4Hz、3H)LC/MS-m/z+452.3(M+H)+。
実施例9
(S)-1-エチル-3-(4-(8-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-7-メチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレア(i-2)の調製:
Figure 0005572715
THF中の0.52MのLDAの調製: 窒素雰囲気下で攪拌子を備えたオーブン乾燥の100mLの丸底フラスコにジイソプロピルアミン(2.0mL、1.43gm、14.1mmol),無水DriSolv THF(26.4mL、〜25ppmのBHTで安定化されている)を投入し、0℃に冷却した。THF中2.5MのnBuLi(6.0mL、15mmol、1.06当量)を0℃で滴下して加えた。氷浴から除去し、室温まで温め、室温で2.5時間窒素下で攪拌した。LDAを典型的には調製直後に使用したが、一週間の期間、冷蔵庫に保存できた。
(S)-2-(2-クロロ-7-メチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-8-イル)プロパン-2-オール(i-1)の調製: 窒素下で冷却し攪拌子を備えたオーブン乾燥の25mLの丸底フラスコに5.3mLの0.52MのLDA(2.8mmol、5.0当量)を投入し、-78℃に冷却し、-78℃で10分攪拌した。(S)-4-(2-クロロ-7-メチル-7H-プリン-6-イル)-3-メチルモルホリン(c-1、148mg,0.553mmol)を無水THF(6.0mL、0.092M)に溶解させ、12分かけてゆっくりと滴下して加えた。淡黄色からオレンジ色への色の変化が添加時にあった。(a)の添加が完了したところで、反応混合物を-78℃で55分攪拌し、その時点で過剰のアセトン(1.0mL、13.6mmol、25当量)でクエンチし、室温まで温めた。LCMS分析は、主要なuv活性生成物が(i-1)に対してM=H+を示したことを示した。反応物を蒸発乾固させて処理した。残留物を酢酸エチルに溶解させ、分液漏斗に移し、水で1X、ブラインで1X処理した。水性抽出物を酢酸エチルで更に抽出し、酢酸エチル抽出物を組み合わせ、乾燥(MgSO)させ、濾過し、濃縮して、152.5mgのオレンジ/黄色の粗固形物を得た。粗物質をシリカクロマトグラフィー(ISCOヘプタン/酢酸エチル15−100%)によって精製して109mg(60%)の(b)を白色泡状物として得た。H NMR(400MHz、CDCl)5.28(s、1H)、4.15(s、3H)、3.88(dd、J=8.2、3.7Hz、3H)、3.78(m、1H)、3.59(dd、J=12、5.0Hz、1H)、3.50(ddd、J=11.7、8.4、3.1Hz、1H)、、3.28(m、1H)、1.78(s、3H)、1.75(s、3H)、1.22(d、J=6.7Hz、3H)。LC/MS-m/z+326.4(M+H)+。
(S)-1-エチル-3-(4-(8-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-7-メチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレア(i-2)の調製: 化合物(i-2)を44mgの(i-1)から実施例2に記載されたようにして調製し、RP HPLCによって精製して26.7mg(45%)を得、その同一性と純度をLCMS(方法C)によって精製した。H NMR(400MHz、DMSO d)8.60(s、1H)、8.24(d、J=8.7Hz、2H)、7.49(d、J=8.7Hz、2H)、6.17(t、J=5.5Hz、1H)、5.69(s、1H)、4.18(s、3H)、4.02−3.67(m 4H)、3.68−3.39(m、2H)、3.24−3.0(m、3H)、1.66(s、3H)、1.64(s、3H)、1.13(d、J=6.4Hz、3H).、1.07(t、J=7.2Hz、3H)LC/MS-m/z+454.2(M+H)+。
実施例10
(S)-3-エチルモルホリン臭化水素酸塩(j-1)の合成:
Figure 0005572715
工程1:(S)-N-(1-ヒドロキシブタン-2-イル)-4-メチルベンゼン-スルホンアミド(j-2)の調製:
Figure 0005572715
(2S)-2-アミノブタン-1-オール(2.1mL、22mmol)及びトリエチルアミン(3.8mL、27mmol)塩化メチレン(30mL、500mmol)に溶解させ、溶液を0℃で5分攪拌した。ついで、塩化p-トルエンスルホニル(4.3g、22mmol)を加え、混合物を、室温まで温めながら攪拌した。反応を水でクエンチし、相を分離した。水性相を1×50mLのDCMで抽出した。組み合わせた有機相を1NのHCl(50mL)、飽和NaHCO3(50mL)及びブライン(50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して白色固形物を得た。粗物質をエーテル/ヘキサンで結晶化させて、(S)-N-(1-ヒドロキシブタン-2-イル)-4-エチルベンゼンスルホンアミド(j-2)を白色固形物として得た:1H NMR(400MHz、DMSO)δ7.69(d、J=8.2Hz、2H)、7.38(t、J=9.0Hz、3H)、4.62(t、J=5.6Hz、1H)、3.24(dd、J=10.3、5.2Hz、1H)、3.18−3.02(m、1H)、2.92(dd、J=7.9、4.2Hz、1H)、1.61-1.39(m、1H)、1.19(dd、J=14.5、7.1Hz、1H)、0.63(t、J=7.4Hz、3H);LC-MS:m/z=244(M+H)。
工程2:(S)-3-エチル-4-トシルモルホリン(j-3)の調製:
Figure 0005572715
(S)-N-(1-ヒドロキシブタン-2-イル)-4-メチルベンゼン-スルホンアミド(800mg、3mmol)をジクロロメタン(20mL)に溶解させ、トリエチルアミン(0.92mL、6.6mmol)を加えた。混合物を0℃で10分間、攪拌した。ジクロロメタン(10mL)に溶解させたトリフルオロメタンスルホン酸ジフェニル(ビニル)スルホニウム(1.25g、3.45mmol)を5分かけて滴下して加えた。混合物を、室温まで一晩温めながら攪拌した。飽和水性NH4Clを加え、相を分離させた。水性相を2×30mLのDCMで抽出した。組み合わせた有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過した。濾過物をシリカゲルで濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(100%Hexから60%EtOAc/Hex)で精製して、(S)-3-エチル-4-トシルモルホリン(j-3)を白色固形物として得た:1H NMR(400MHz、CDCl3)δ7.71(d、J=8.3Hz、2H)、7.30(t、J=8.3Hz、2H)、3.77−3.60(m、3H)、3.60−3.44(m、2H)、3.44−3.19(m、3H)、2.43(s、3H)、1.67(dtd、J=28.6、14.0、7.4Hz、2H)、1.31−1.12(m、2H)、0.97−0.84(m、3H);LC-MS:m/z=270(M+H)。
工程3:(S)-3-エチルモルホリン臭化水素酸塩(j-1)の調製:(S)-3-エチル-4-トシルモルホリン(220mg、0.82mmol)及びフェノール(150mg、1.6mmol)を酢酸(2.4mL)中の4.1Mの臭化水素に溶解させ、溶液を室温で一晩攪拌した。反応物をエーテルに注ぎ、固形物を濾過によって収集し、エーテルで洗浄して、(S)-3-エチルモルホリン臭化水素酸塩(j-1)を白色固形物として得た:1H NMR(400MHz、CDCl3)δ3.77−3.60(m、3H)、3.60−3.44(m、2H)、3.44−3.19(m、3H)、1.67(dtd、J=28.6、14.0、7.4Hz、2H)、1.31−1.12(m、2H)、0.97−0.84(m、3H)。
実施例11
(S)-4-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-3-メチルモルホリン(k-1)の合成:
Figure 0005572715
工程1:1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5,7(4H,6H)-ジオン(k-2)の調製:
Figure 0005572715
この化合物を、国際公開第2008/071650号に記載された方法に従って調製した。100℃で還流したアセトニトリル(35.6mL)中の1-メチル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(1.27g、9.06mmol)の攪拌溶液に1時間かけて少しずつN,N-カルボニルジミダゾール(1.91g、11.78mmol、1.3当量)を加えた。反応混合物をN下で18時間100℃で攪拌した。得られた沈殿物を濾過し、冷アセトニトリルでよくすすいで、高真空で乾燥させて移相し、1.38g(91.5%)の白色固形物を得た。H NMR(DMSO-d、500MHz)δppm11.04(ブロードd、2H)、7.34(s、1H)、4.04(s、3H)。
工程2:,7-ジクロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン(k-3)の調製:
Figure 0005572715
N,N-ジエチルアニリン(14mL)中の1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5,7(4H,6H)-ジオン(k-2、500.0mg、2.97mmol)の不均一混合物に塩化ホスホリル(20mL)を加え、反応混合物をN下で18時間130℃で攪拌した。反応を0℃に冷却し、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチした。水性相を酢酸エチル(3×)で抽出し、組み合わせた有機相を水とブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(Si-PPC、ヘプタン中勾配0から60%のDCM)で精製した。エーテル-ヘプタンからの結晶化により所望の生成物が固形物(435.8mg、72.2%)として得られた。H NMR(CDCl、500MHz)δppm8.17(s、1H)、4.41(s、3H);LC-MSm/z(方法B2)=203/205[M+H]、R=1.55分。
工程3:(S)-4-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-3-メチルモルホリン(k-1)の調製: 無水DMF(2mL)中の5,7-ジクロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン(200.0mg、0.98mmol)の攪拌溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.21mL、1.18mmol、1.2当量)と続いて(S)-3-メチルモルホリン(199.3mg、1.9mmol、2.0当量)を加えた。反応混合物をN下で4時間室温で攪拌し、エーテル(50mL)で希釈した。有機層を、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液、水及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(Si-PPC、ヘプタン中0から100%の酢酸エチルの勾配)によって精製して、所望の生成物(k-1)を泡状物(245.4mg、93.0%)として得た。H NMR(CDCl、500MHz)δppm8.03(s、1H)、4.21(ブロードd、J=6.2Hz、1H)、4.15(s、3H)、3.97(d、J=10.7Hz、1H)、3.90(d、J=9.8Hz、1H)、3.81から3.65(m、3H)、3.56(d、J=12.4Hz、1H)、1.38(d、J=6.6Hz、3H);LC-MSm/z(方法A)=268[M+H]、R=1.71分。
実施例12
(S)-4-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-3-エチルモルホリン(l-1)の合成:
Figure 0005572715
この化合物を、(S)-エチル-モルホリン臭化水素酸塩を出発物質として使用して、(S)-4-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-3-メチルモルホリンと類似の方式で調製した。H NMR(CDCl、500MHz)δppm8.00(s、1H)、4.15から4.07(m、4H)、3.92(dd、J=11.8Hz、3.8Hz、1H)、3.88(d、J=1.9Hz、2H)、3.82から3.71(m、1H)、3.67から3.56(m、2H)、2.03から1.82(m、2H)、0.90(t、J=7.4Hz、3H);LC-MSm/z(方法A)=282[M+H]、R=1.95分。
実施例13
(1S,4S)-5-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]-ピリミジン-7-イル)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン(m-1)の調製:
Figure 0005572715
この化合物を、(1S,4S)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン塩酸塩を出発物質として使用して、(S)-4-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-3-メチルモルホリンと類似の形で調製した。H NMR(CDCl、500MHz)δppm7.96(s、1H)、5.15(s、1H)、4.76(s、1H)、4.20(s、3H)、4.13(d、J=8.1Hz、1H)、3.97(ddd、J=7.0Hz、4.7Hz、1.5Hz、2H)、3.69(d、J=9.5Hz、1H)、2.09から1.94(m、2H);LC-MSm/z(方法A)=266.1[M+H]、R=1.37分。
実施例14
(S)-4-(5-クロロ-1,3-ジメチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-3-エチルモルホリン(n-1)の調製:
Figure 0005572715
工程1:1,3-ジメチル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(n-2)の調製:
Figure 0005572715
0℃の発煙硝酸(1.26mL、29.97mmol、2.0当量)に30分かけて滴下して発煙硫酸(9.76mL、104.90mmol、7.0当量)をゆっくりと添加した。内部温度を60℃以下に維持しながら1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(2.10g、14.98mmol)をついで少しずつ加えた。反応混合物をN下で4時間60℃で攪拌した後、室温(RT)まで冷却した。反応混合物を氷に注いだ。氷が解けたところで、反応混合物をEtOAc(3×500mL)で抽出した。有機層を組み合わせ、水とブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)させ、濾過し、真空下で蒸発させて、所望の化合物を白色固形物(2.67g、96.1%)として得た。H NMR(DMSO-d、500MHz)δppm3.87(s、3H)、2.39(s、3H);TLC(15%MeOH/DCM):R=0.12。
工程2:1,3-ジメチル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(n-3)の調製:
Figure 0005572715
無水ジクロロメタン(DCM)(25mL)及びDMF(0.5mL)中の1,3-ジメチル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(1.08g、5.84mmol)に10分かけて塩化オキサリル(0.74mL、8.77mmol、1.5当量)を滴下して加えた。反応混合物をN下で17時間室温で攪拌した。揮発性溶媒を真空下で蒸発させ、粗物質を無水THF(20mL)及びアセトン(10mL)に溶解させた。濃縮した水性水酸化アンモニウム(5.0mL、128.4mmol、22当量)をゆっくりと加え、反応混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、残留物を酢酸エチルで希釈した。有機層を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液と、水とブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)させ、濾過し、真空下で濃縮した。エーテル-ヘプタンからの倍散により所望の生成物を白色固形物(550.0mg、51.5%)として得た。H NMR(DMSO-d、500MHz)δppm8.39(ブロードs、1H)、8.21(ブロードs、1H)、3.77(s、3H)、2.42(s、3H)。
工程3:4-アミノ-1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(n-4)の調製:
Figure 0005572715
無水エタノール(100mL)及び酢酸エチル(100mL)中の1,3-ジメチル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(730mg、3.96mmol)の溶液にカーボン担持10wt%Pd(100.0mg)を加えた。反応混合物を真空で排気しH(3×)をパージし、ついで50psiで5時間H下で攪拌した。ついで、反応混合物をセライト(登録商標)パッドを通して濾過した。濾液を真空で濃縮し、粗物質をカラムクロマトグラフィー(Si-PPC、ジクロロメタン中0から30%のメタノール勾配)で精製して所望の生成物(597.0mg、97.7%)を固形物として得た。H NMR(DMSO-d、400MHz)δppm7.26(br s、2H)、4.03(br s、2H)、3.84(s、3H)、2.02(s、3H);LC-MSm/z(方法A)=155.2[M+H]、R=0.35分。
工程4:1,3-ジメチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5,7(4H,6H)-ジオン(n-5)の調製:
Figure 0005572715
この化合物は、出発物質として4-アミノ-1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-5-カルボキサミドを使用して、1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5,7(4H,6H)-ジオンと類似した形で調製した。H NMR((DMSO-d、400MHz)δppm11.02(s、2H)、3.97(s、3H)、2.20(s、3H)。
工程5:5,7-ジクロロ-1,3-ジメチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン(n-6)の調製:
Figure 0005572715
この化合物は、出発物質として1,3-ジメチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]-ピリミジン-5,7(4H,6H)-ジオンを使用して、5,7-ジクロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジンと類似した形で調製した。H NMR(CDCl、400MHz)δppm4.32(s、3H)、2.60(s、3H);LC-MSm/z(方法B2)=217.2/219.2[M+H]、R=1.688分。
工程6:(S)-4-(5-クロロ-1,3-ジメチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-3-エチルモルホリン(n-1)の調製: この化合物は、出発物質として5,7-ジクロロ-1,3-ジメチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジンを使用して、(S)-4-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-3-メチルモルホリンと類似した形で調製した。H NMR(CDCl、400MHz)δppm4.08(t、J=7.3Hz、1H)、4.01(s、3H)、3.96から3.84(m、3H)、3.79から3.67(m、1H)、3.67から3.56(m、2H)、2.53(s、3H)、2.05から1.78(m、2H)、0.89(t、J=7.5Hz、3H);LC-MSm/z(方法A)=296.3[M+H]、R=2.16分。
実施例15
(S)-1-エチル-3-(4-(1-メチル-7-(3-メチルモルホリノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)ウレア(o-1)の合成:
Figure 0005572715
攪拌子を装備した5mLのマイクロ波容器中に(S)-4-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-3-メチルモルホリン(91.5mg、0.34mmol)、[4-エチルウレイド)フェニル]ボロン酸・ピナコールエステル(121.0mg、0.42mmol、1.22当量)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(24.5mg、0.022mmol、0.062当量)、炭酸ナトリウム(55.4mg、0.52mmol、1.53当量)、及び酢酸カリウム(54.7mg、0.56mmol、1.63当量)を入れた。脱ガスしたアセトニトリル(3.5mL)と水(1.2mL)を加えた。マイクロ波バイアルにキャップをし、反応混合物を15分間マイクロ波照射(300ワット、120℃)下で加熱した。反応混合物を酢酸エチル(10mL)で希釈し、セライト(登録商標)パッドで濾過した。有機層を水とブラインで洗浄し、ついで乾燥(NaSO)させ、濾過し、真空下で蒸発させた。得られた残留物を逆相HPLCによって精製して、表題化合物を白色固形物(102.6mg、75.9%)として得た。H NMR(DMSO-d、400MHz)δppm8.62(s、1H)、8.24(d、J=8.7Hz、2H)、8.20(s、1H)、7.50(d、J=8.8Hz、2H)、6.16(t、J=5.5Hz、1H)、4.25から4.11(m、4H)、3.96から3.83(m、2H)、3.73(t、J=11.2Hz、1H)、3.69から3.59(m、2H)、3.50(d、J=13.3Hz、1H)、3.19から3.06(m、2H)、1.27(d、J=6.5Hz、3H)、1.07(t、J=7.2Hz、3H)。LC-MSm/z(方法C1)=396.2[M+H]、R=3.31分。
実施例16
(S)-1-エチル-3-(4-(7-(3-エチルモルホリノ)-1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)ウレア(p-1)の合成:
Figure 0005572715
表題化合物を実施例15に対して記載した手順に従って調製した。(S)-4-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-3-エチルモルホリンを使用し、表題化合物を得た。H NMR(DMSO-d、400MHz)δppm8.60(s、1H)、8.23(d、J=8.7Hz、2H)、8.18(s、1H)、7.49(d、J=8.7Hz、2H)、6.16(t、J=5.5Hz、1H)、4.19から4.07(m、4H)、3.92から3.80(m、3H)、3.75から3.54(m、3H)、3.19から3.07(m、2H)、1.91から1.79(m、2H)、1.07(t、J=7.2Hz、3H)、0.83(t、J=7.4Hz、3H);LC-MSm/z(方法C2)=410.2[M+H]、R=9.11分。
実施例17
1-(4-(7-((1S,4S)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)-3-エチルウレア(q-1)の合成:
Figure 0005572715
表題化合物を実施例15に対して記載した手順に従って調製した。(1S,4S)-5-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]-ピリミジン-7-イル)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンを使用し、表題化合物を得た。H NMR(DMSO-d、400MHz)δppm8.62(s、1H)、8.22(d、J=8.7Hz、2H)、8.11(s、1H)、7.47(d、J=8.7Hz、2H)、6.16(t、J=5.5Hz、1H)、5.21(s、1H)、4.73(s、1H)、4.19(s、3H)、4.09(d、J=9.6Hz、1H)、4.02(d、J=7.6Hz、1H)、3.91(d、J=7.6Hz、1H)、3.63(d、J=9.8Hz、1H)、3.15から3.07(m、2H)、1.94(dd、J=25.8Hz、9.8Hz、2H)、1.07(t J=7.1Hz、3H)。LC-MSm/z(方法C)=394.2[M+H]、R=3.07分。
実施例18
(S)-1-エチル-3-(4-(7-(3-エチルモルホリノ)-1,3-ジメチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)ウレア(r-1)の合成:
Figure 0005572715
表題化合物を実施例15に対して記載した手順に従って調製した。(S)-4-(5-クロロ-1,3-ジメチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)-3-エチルモルホリンを使用し、表題化合物を得た。H NMR(DMSO-d、400MHz)δppm8.60(s、1H)、8.24(d、J=8.7Hz、2H)、7.49(d、J=8.7Hz、2H)、6.14(t、J=5.5Hz、1H)、4.09(ブロードs、1H)、4.03(s、3H)、3.92から3.79(m、3H)、3.73から3.54(m、3H)、3.20から3.05(m、2H)、2.48(s、3H)、1.90から1.76(m、2H)、1.07(t、J=7.2Hz、3H)、0.82(t、J=7.4Hz、3H);LC-MSm/z(方法C)=424.2[M+H]、R=3.65分。
実施例19
(S)-1-(4-(1-メチル-7-(3-メチルモルホリノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)-3-(オキセタン-3-イル)ウレア(s-1)の合成:
Figure 0005572715
工程1:(S)-3-メチル-4-(1-メチル-5-(4-ニトロフェニル)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)モルホリン(s-2)の調製:
Figure 0005572715
この化合物は、(S)-1-エチル-3-(4-(1-メチル-7-(3-メチルモルホリノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)ウレアと類似の方法で、4-ニトロフェニルボロン酸ピナコールエステルを出発物質として使用して調製した。H NMR(CDCl、400MHz)δppm8.62(d、J=9.0Hz、2H)、8.32(d、J=9.0Hz、2H)、8.22(s、1H)、4.27から4.17(m、4H)、4.08から3.95(m、2H)、3.93から3.82(m、1H)、3.79から3.67(m、2H)、3.60から3.50(m、1H)、1.38(d、J=6.6Hz、3H)。
工程2:(S)-4-(1-メチル-7-(3-メチルモルホリノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)アニリン(s-3)の調製:
Figure 0005572715
無水THF(15mL)に溶解させた(S)-3-メチル-4-(1-メチル-5-(4-ニトロフェニル)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)モルホリン(122.4mg、0.345mmol)の溶液を連続流水素化装置(H-Cube:10%Pd/Cカートリッジ、1.0mL/分流量)に供した。粗物質を真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(Si-PPC、ヘプタン中0から100%のEtOAc勾配)で精製して所望の生成物を黄色泡状物(92.0mg、82.1%)として得た。LC-MSm/z(方法A)=325.4[M+H]、R=1.34分。
工程3:(S)-1-(4-(1-メチル-7-(3-メチルモルホリノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)-3-(オキセタン-3-イル)ウレア(s-1)の調製: 無水1,2-ジクロロエタン(5.0mL)中の(S)-3-メチル-4-(1-メチル-5-(4-ニトロフェニル)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-7-イル)モルホリン(50.0mg、0.154mmol)の攪拌溶液にトリエチルアミン(0.071mL、0.51mmol、3.3当量)を加えた。反応を0℃に冷却し、トリホスゲン(45.7mg、0.154mmol、1.0当量)を一回で加えた。N下で5分間0℃で攪拌した後、反応混合物を70℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、3-オキセタンアミン塩酸塩(84.4mg、0.77mmol、5.0当量)をついで加えた。反応混合物をN下で16時間室温で攪拌した後、EtOAc(25mL)で希釈した。有機層を水とブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)させ、濾過し、真空下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(Si-PPC、ヘプタン中50から100%のEtOAcと、続くジクロロメタン中0から30%のメタノールの勾配)で精製した。メタノールからの倍散により表題化合物(49.3mg、75.5%)を固形物として得た。H NMR(DMSO-d、400MHz)δppm8.76(s、1H)、8.25(d、J=8.8Hz、2H)、8.21(s、1H)、7.50(d、J=8.8Hz、2H)、6.97(d、J=6.7Hz、1H)、4.85から4.69(m、3H)、4.44(t、J=6.0Hz、2H)、4.23から4.12(m、4H)、3.96から3.81(m、2H)、3.72(dd、J=14.7Hz、5.8Hz、1H)、3.69から3.58(m、2H)、3.50(d、J=13.3Hz、1H)、1.26(d、J=6.5Hz、3H);LC-MSm/z(方法C1)=424.2[M+H]、R=3.12分。
実施例20
(S)-1-(4-(1-メチル-7-(3-メチルモルホリノ)-1H-ピラゾロ-[4,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)-3-(2-(メチルスルホニル)エチル)ウレア(t-1)の合成:
Figure 0005572715
この化合物は、(S)-1-(4-(1-メチル-7-(3-メチルモルホリノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)-3-(オキセタン-3-イル)ウレアと類似の方法で、2-(メチルスルホニル)エタンアミン塩酸塩を出発物質として使用して調製した。H NMR(DMSO-d、400MHz)δppm8.96(s、1H)、8.25(d、J=8.8Hz、2H)、8.21(s、1H)、7.51(d、J=8.8Hz、2H)、6.42(t、J=5.9Hz、1H)、4.25から4.13(m、4H)、3.96から3.83(m、2H)、3.78から3.79(m、1H)、3.79から3.60(m、2H)、3.60から3.47(m、3H)、3.37から3.30(m、5H)、1.27(d、J=6.5Hz、3H);LC-MSm/z(方法C1)=474.2[M+H]、R=3.13分
実施例21
化合物の生物学的評価:
a.インビトロmTORキナーゼアッセイ
mTOR酵素のキナーゼ活性を、ATP、MnCl、及び蛍光標識mTOR基質、例えばGFP-4E-BP1(Invitrogen,製品#PR8808A)を含む反応混合物中で精製された組換え酵素(mTOR(1360-2549)+GBL、社内で調製)をインキュベートすることにより評価する。反応は、テルビウム標識されたホスホ特異的抗体、例えばTb標識された抗p4E-BP1 T37/T46、(Invitrogen,製品#PR8835A)、EDTA、及びTR-FRETバッファー溶液(Invitrogen,製品#PR3756B)の添加により、停止させる。リン酸化基質と標識抗体がホスホ特異的結合のために近接している場合に生じる、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR-FRET)により、生成物形成が検出される。パーキンエルマーエンビジョンプレートリーダーを使用し、TR-FRETシグナルの増加として、酵素活性が測定される。次のプロトコルを使用し、384ウェルプロキシプレート(Proxiplate)プラス(Perkin Elmer. 製品#6008269)においてアッセイが実施される。
化合物活性は、最も高い最終濃度10uMで出発する10ポイントの用量曲線において試験される。それらを100%のDMSOにおいて連続的に希釈した後、アッセイバッファーフで更に希釈する。0.25nMのmTOR+GBL酵素、400nMのGFP-4E-BP1、8uMのATP、50mMのHepes、pH7.5、0.01%のトゥイーン20、10mMのMnCl、1mMのEGTA、1mMのDTT、1%のDMSO(+/−化合物)を含む反応混合物(8uls)を、室温で30分、インキュベートする。ついで、TR-FRETバッファーで希釈された2nMのTb-抗p4E-BP1抗体と10mMのEDTAを含む8μLの溶液を添加し、30分インキュベートして、反応を停止させる。エンビジョンプレートリーダーを使用し、プレートをスキャンする。Ki見かけ値の決定のために、モリソンATP-競合密接結合式(Morrison ATp-Competitive tight binding equation)を使用し、Ki値をアッセイエクスプローラーにおいて算出する。
本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)は約0.0001nMから約5uMの間のmTORキナーゼアッセイにおける活性レベル(Ki)を有しており、所定の実施態様では、約0.0001nMから約1uMの間、及び所定の他の実施態様では約0.0001nMから約0.5uMの間である。表1に現れる本発明の化合物101−114はそれぞれ次の活性レベル(uM)を有している:0.143、0.028、0.069、0.004、0.121、0.040、0.053、0.030、0.008、0.001、0.028、0.002、0.039及び0.145。
b.インビトロホスホ-AKTセリン473細胞アッセイ
本アッセイでは、上皮増殖因子(EGF)で刺激されたヒト前立腺腺癌誘導化PC-3(ATCC CRL-1435)細胞におけるAKTセリン-473リン酸化の試験化合物の阻害を測定する。
PC-3細胞株を、5%のCO2加湿インキュベータにおいて、37℃で、10%のFBS、2mMgのグルタミン、10mMのHEPES、pH7.4が補填されたRPMI1640培地に維持する。
細胞を、384ウェルプレートにおいて50μlの増殖培地で7000細胞/ウェルで播種する。24時間後、増殖培地を除去し、FBSを含まないRPMI1640と置き換える。細胞を、10の濃度の試験化合物又はコントロールにDMSO単独(最終DMSO濃度0.5%)で処理し、37℃で30分、インキュベートする。ついで、100ng/mlのEGF(最終濃度)で細胞を10分刺激する。刺激細胞と非刺激細胞間のシグナル比を観察するために、1カラムのコントロールはEGFで刺激されない。10分後、化合物と刺激培地を除去し、プロテアーゼ阻害剤とホスファターゼ阻害剤を含む25μlの溶解バッファーで置き換える。このバッファーは、細胞破壊を引き起こさせるために洗浄剤を含む。完全に細胞を破壊した後、20μlの溶菌液を、トリス緩衝生理食塩水中の3%のウシ血清アルブミンで予めブロックされたAKT(MesoScale Discovery(MSD)製品K211CAD-2)に対する抗体で被覆されたMesoScale Discovery 384ウェル4-スポットプレートに移す。MSDプレートに溶菌液を移した後、溶菌液中のAKTを、4℃で16時間、シェーカーにおいてインキュベートすることにより、被覆抗体に捕捉させる。捕捉工程後、プレートを洗浄し、ついでスルホ-タグとコンジュゲートされたS473リン酸化AKTに対する抗体と共に2時間インキュベートする。このタグは、MSDプレートの基部にある電極に近接した場合にシグナルを与える。捕捉タンパク質へのタグ付き抗体の結合により、MSDリーダーでの検出が可能となる。
EC50は、与えられた化合物が、S473AKTリン酸化の測定レベルの50%低減を達成する濃度として定義される。EC50値は可変傾きを有するS字状曲線に適合させるMDLアッセイエクスプローラー3.0.1.8を使用して算出される。
表1に記載の化合物101−108は、(uMで)それぞれN/A、0.632、N/A、0.069、N/A、0.511、N/A及び3.5のEC50活性レベルを有している。
c.インビトロ細胞増殖アッセイ
式Iの化合物の効能を、次のプロトコルを用いた細胞増殖アッセイによって測定した:
1. 培地中に約10の細胞を含む細胞培養物(PC3又はMDAMB361.1)の20μlのアリコートを、384ウェルの不透明壁のプレートの各ウェルに沈着させた。
2. 培地を含み細胞を伴わないコントロールウェルを調製した;細胞は一晩静置した。
3. 化合物を実験ウェルに加え、3日間インキュベートした。
4. プレートを室温に約30分間平衡化した。
5. 各ウェル中に存在する細胞培養培地の体積と等しい体積のCellTiter-Glo試薬を加えた。
6. 内容物をオービタルシェーカーで2分間混合し、細胞溶解を誘発した。
7. プレートを室温で20分間インキュベートし、発光シグナルを安定化させた。
8. 発光を記録し、RLU=相対発光単位としてグラフで報告した。
別法では、細胞を96ウェルプレートに最適密度で播き、試験化合物の存在下で4日間インキュベートした。続いて、アラマーブルー(商標)をアッセイ培地に加え、細胞を6時間インキュベートした後、544nmの励起、590nmの発光で読み取った。シグモイド用量反応曲線の当てはめを使用してEC50値を計算した。表1に記載された本発明の化合物101から114はそれぞれ次のIC50値(PC3細胞でのuM)を有している:N/A、0.294、10、0.737、N/A、4.2、2.4、8、0.399、0.131、2.9、0.086、5.9、及びN/A。
d.p110α(アルファ)PI3K結合アッセイ
結合アッセイ: 最初の偏光実験を、アナリストHT96-384(Molecular Devices Corp, Sunnyvale, CA.)で実施した。蛍光偏光親和性測定のための試料を、偏光バッファー(10mMのトリス(pH7.5)、50mMのNaCl、4mMのMgCl、0.05%のChaps、及び1mMのDTT)中の20ug/mLの最終濃度で開始するp110αPI3Kの1:3段階希釈物(Upstate Cell Signaling Solutions, Charlottesville, VA)を、10mMのPIP(Echelon-Inc., Salt Lake City, UT.)最終濃度まで加えることによって調製した。室温での30分のインキュベーション時間後、それぞれ100nM及び5nMの最終濃度のGRP-1及びPIP3-TAMRAプローブ(Echelon-Inc., Salt Lake City, UT.)を加えることによって反応を止めた。384ウェルの黒の低容量プロキシプレート(PerkinElmer, Wellesley, MA)中のローダミンフルオロフォア(λex=530nm;λem=590nm)について標準的なカットオフフィルターで読み取る。蛍光偏光値をタンパク質濃度の関数としてプロットし、KaleidaGraphソフトウェア(Synergy software, Reading, PA)を使用してデータを4パラメータ式にフィットさせることによってEC50値を得た。この実験は阻害剤での続く競争実験において使用する適切なタンパク質濃度をまた確立する。
PIP(10mMの最終濃度)と合わせた0.04mg/mLのp110αPI3K(最終濃度)を、偏光バッファー中の25mMの最終濃度のATP(Cell Signaling Technology, Inc., Danvers, MA)中のアンタゴニストの1:3段階希釈物を含むウェルに加えることによって、阻害剤IC50値を決定した。室温で30分のインキュベーション時間後、それぞれ100nM及び5nMの最終濃度のGRP-1及びPIP3-TAMRAプローブ(Echelon-Inc, Salt Lake City, UT.)を加えることによって反応を止めた。384ウェルの黒の低容量プロキシプレート(PerkinElmer, Wellesley, MA)中のローダミンフルオロフォア(λex=530nm;λem=590nm)について標準的なカットオフフィルターで読み取る。蛍光偏光値をアンタゴニスト濃度の関数としてプロットし、Assay Explorerソフトウェア(MDL, San Ramon, CA.)でデータを4パラメータ式にフィットすることによってIC50値を得た。
上記の説明は本発明の原理の単なる例証と考えられる。更に、当業者には数多くの変更と変化が直ぐに明らかであるので、上に記載のように示された正確な構成及び方法に本発明を限定することは望まれない。従って、全ての適切な変更及び均等物が、以下の特許請求の範囲によって定まる本発明の範囲に入ると考えることができる。

Claims (19)

  1. 式I:
    Figure 0005572715
    [上式中、Y及びYはそれぞれ独立してN又はC(R)であるが、Y及びYは両方ともNであることはなく又は両方ともC(R)であることはなく、ここで、R水素、又は、OHで置換されていてもよいC 1−6 アルキルであり;
    は、水素、又は、C 1−6 アルキルであり;
    は、5員から12員の単環又は架橋ヘテロシクロアルキル環であり、ここで、R基は、メチル、又は、エチルで置換されていてもよく;
    、A、A及びAは、C(H)であり;そして
    Dは、-NRC(O)NR又は、-NR であるメンバーであり、ここで、R水素であり、及びR水素、C 1−6 アルキル、C 1−6 ハロアルキル、C 3−7 シクロアルキル、C 2−7 ヘテロシクロアルキル、C 6−10 アリール、及びC 1−9 ヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択される置換されていてもよい基であり、及びRは、同じ窒素原子に結合する場合、場合によっては組み合わされて、環頂点としてN、O及びSから選択される1から3のヘテロ原子を含み、0−3のR置換基で置換された5員から7員の複素環又は5員から9員のヘテロアリール環を形成し;ここで、R-S(O) であり;ここで、R 1−6 アルキルである]の化合物。
  2. 上記化合物は式I−A:
    Figure 0005572715
    のものである請求項1に記載の化合物。
  3. 上記化合物は式I−B:
    Figure 0005572715
    のものである請求項1に記載の化合物。
  4. が、モルホリン-4-イル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル、3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、1,4-オキサゼパン-4-イル、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル、3-オキサ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル、ピペリジン-1-イル及び8-オキサ-3-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イルからなる群から選択され、ここで、R基は、メチル、又は、エチルで置換されていてもよい、請求項1から3の何れか一項に記載の化合物。
  5. が、モルホリン-4-イル、3(R)-メチル-モルホリン-4-イル、3(S)-メチル-モルホリン-4-イル、3(R)-エチル-モルホリン-4-イル、3(S)-エチル-モルホリン-4-イル、3(R)-イソプロピル-モルホリン-4-イル、3(S)-イソプロピル-モルホリン-4-イル、3,3-ジメチル-モルホリン-4-イル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル、3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、1,4-オキサゼパン-4-イル、ピペリジン-1-イル、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル、3-オキサ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル、4-メトキシ-ピペリジン-1-イル及び8-オキサ-3-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イルからなる群から選択される、請求項1から4の何れか一項に記載の化合物。
  6. Dが、-NRであり、ここで、R及びRは組み合わされて、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル及びトリアゾリルからなる群から選択される置換されていてもよい5員のヘテロアリール環を形成する、請求項1から5の何れか一項に記載の化合物。
  7. Dが-NRC(O)NRであり、ここで、Rは水素であり;R及びRはそれぞれ独立して、水素、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、C 3-7 シクロアルキル、C 3-7 ヘテロシクロアルキル、5員から6員のヘテロアリール、及びフェニルからなる群から選択される置換されていてもよい基である、請求項1から5の何れか一項に記載の化合物。
  8. 及びRの一つが水素である請求項に記載の化合物。
  9. 及びRがそれぞれ水素であり、RはC1-6アルキル及びC1-6ハロアルキルから選択される置換されていてもよい基である、請求項7又は8に記載の化合物。

  10. Figure 0005572715
    からなる群から選択される、請求項7から9の何れか一項に記載の化合物。
  11. がエチルである、請求項7から10の何れか一項に記載の化合物。
  12. が水素であり、Rが水素又はC1-3アルキルであり、Rが、置換されていてもよいイソキサゾール-3-イル、イソキサゾール-4-イル、イソキサゾール-5-イル、オキサゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、オキサゾール-5-イル、ピラゾール-3-イル、ピラゾール-4-イル、ピラゾール-5-イル、1,2,3-オキサジアゾール-4-イル、1,2,3-オキサジアゾール-5-イル、1,3,4-オキサジアゾール-2-イル、1,3,4-オキサジアゾール-5-イル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、5-ピリジル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2-オキセパニル、3-オキセパニル、2-テトラヒドロフラニル、3-テトラヒドロフラニル及びフェニルからなる群から選択される置換されていてもよい基である、請求項に記載の化合物。
  13. が、F、Cl、Br、I、-CN、-NR及び-ORから選択される0から3の置換基で独立して置換される請求項12に記載の化合物。
  14. が、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-ヒドロキシプロパ-2-イル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、ペンチル、ジメチルアミノメチル及びヘキシルからなる群から選択される、請求項1から13の何れか一項に記載の化合物。
  15. が、水素、メチル、エチル、プロピル、及びイソプロピルからなる群から選択される、請求項1から14の何れか一項に記載の化合物。
  16. 化合物が、1-エチル-3-(4-(7-メチル-6-モルホリノ-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレア;(S)-1-エチル-3-(4-(7-メチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレア;(R)-1-エチル-3-(4-(7-メチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレア;(S)-1-エチル-3-(4-(6-(3-エチルモルホリノ)-7-メチル-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレア;1-エチル-3-(4-(7-メチル-6-(1,4-オキサゼパン-4-イル)-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレア;(S)-1-エチル-3-(4-(7-エチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレア;(S)-1-(4-(8-ブチル-7-メチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-2-イル)フェニル)-3-エチルウレア;(S)-1-エチル-3-(4-(8-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-7-メチル-6-(3-メチルモルホリノ)-7H-プリン-2-イル)フェニル)ウレア;1-(4-(7-((1S,4S)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)-3-エチルウレア;(S)-1-エチル-3-(4-(1-メチル-7-(3-メチルモルホリノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)ウレア;(S)-1-エチル-3-(4-(7-(3-エチルモルホリノ)-1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)ウレア;(S)-1-エチル-3-(4-(7-(3-エチルモルホリノ)-1,3-ジメチル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)ウレア;(S)-1-(4-(1-メチル-7-(3-メチルモルホリノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)-3-(オキセタン-3-イル)ウレア;及び(S)-1-(4-(1-メチル-7-(3-メチルモルホリノ)-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)-3-(2-(メチルスルホニル)エチル)ウレアからなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
  17. 請求項1から16の何れか一項に記載の化合物と薬学的に許容可能な希釈剤、担体又は賦形剤を含有する薬学的組成物。
  18. 癌の治療のための医薬の製造における請求項1から16の何れか一項に記載の化合物の使用。
  19. 癌の治療に使用される請求項1から16の何れか一項に記載の化合物。
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