JP5572406B2 - コラーゲンゲル収縮剤 - Google Patents

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Description

本発明は、コラーゲンゲル収縮剤に関する。
近年、真皮組織モデルとして、コラーゲンゲルが、薬剤評価に利用されている。前記コラーゲンゲルは、コラーゲン液に線維芽細胞を懸濁し、前記線維芽細胞の培養条件下でゲル化させたものである。前記線維芽細胞は、前記コラーゲンゲル内で三次元的に培養され、その形状は、単層培養と異なり、生体内と類似の二極化した紡錘状となる。また、前記コラーゲンは、ゲル化によりコラーゲン繊維が再配列し、真皮組織に似た構造となる。前記コラーゲンゲルは、in vivo試験との相関性が高く、また、再現性が高いことから、細胞毒性試験、in vitro眼刺激性試験に用いられ、近年は、皮膚の弾力性、たるみ、ハリ、しわ改善評価モデル(例えば、特許文献1)や、創傷治癒促進(例えば、特許文献2)または創収縮の評価モデル(例えば、特許文献3)としても、用いられている。
特開2003−176208号公報 特開2001−064196号公報 特開2004−35526号公報
本発明の目的は、コラーゲンおよび線維芽細胞を含むコラーゲンゲルを収縮させる、コラーゲンゲル収縮剤を提供する。創傷治癒促進や収縮の評価モデルなどに利用可能である。
リンゴ抽出物に着目して、試験した結果コラーゲン収縮能があることを知見し、さらにコラーゲントリペプチド及びシリマリンとの併用によってコラーゲン収縮を増強できることを見出して、本発明に至った。
1.コラーゲンおよび線維芽細胞を含むコラーゲンゲルを収縮させるコラーゲンゲル収縮剤であって、リンゴ抽出物、コラーゲントリペプチド及びシリマリンを有効成分とするコラーゲンゲル収縮剤。
2.リンゴ抽出物がリンゴ由来のポリフェノールであり、コラーゲントリペプチドの平均分子量が400以下のものを含有するコラーゲントリペプチドであることを特徴とする1.記載のコラーゲンゲル収縮剤。
3.シリマリンがマリアアザミ抽出物であることを特徴とする1.又は2.記載のコラーゲンゲル収縮剤。
4.1.〜3.のいずれかに記載されたコラーゲン収縮剤を含む飲食品。
本発明のコラーゲンゲル収縮剤は、コラーゲンおよび線維芽細胞を含むコラーゲンゲルを収縮させることができる。リンゴポリフェノール、コラーゲントリペプチド及びシリマリンの3成分を併用することにより、コラーゲンゲルを収縮する機能が顕著に向上することが認められた。この3成分併用剤は、それぞれ単独あるいは2成分の組み合わせに比較して、コラーゲンゲルを収縮する機能が顕著である。コラーゲンゲル収縮能の試験系は、線維芽細胞とコラーゲンの相互作用によりゲルが収縮し真皮構造に類似のコラーゲンゲル構造になる。コラーゲンゲル収縮効果により、肌のはりや弾力改善効果が期待でき、皮膚状態が改善することができる。
リンゴ抽出物単独添加のコラーゲンゲル収縮能試験結果を示すグラフ シリマリン単独添加のコラーゲンゲル収縮能試験結果を示すグラフ コラーゲントリペプチド単独添加のコラーゲンゲル収縮能試験結果を示すグラフ 3成分のコラーゲンゲル収縮能試験結果を示すグラフ。 コラーゲントリペプチドとシリマリン併用によるコラーゲンゲル収縮能試験結果を示すグラフ。 リンゴ抽出物とコラーゲントリペプチド併用によるコラーゲンゲル収縮能試験結果を示すグラフ。 リンゴ抽出物とシリマリン併用によるコラーゲンゲル収縮能試験結果を示すグラフ。 シリマリン、リンゴ、コラーゲントリペプチド3者の組合せによるコラーゲンゲル収縮能状態図
本発明者は、先にリンゴ抽出物に、コラーゲンゲル収縮作用があることを知見し、リンゴ抽出物を有効成分とするコラーゲンゲル収縮剤に関する特許出願(特願2009−83818号)を行った。本発明者は、さらに、リンゴ抽出物とコラーゲントリペプチドを併用することにより、コラーゲンゲル収縮作用が増強されることを見出し特許出願(特願2009-180406号)した。
本発明は、更にシリマリンを併用した3成分において、コラーゲンおよび線維芽細胞を含むコラーゲンゲルを収縮させる、コラーゲンゲル収縮剤である。それぞれ単独のコラーゲン収縮作用、あるいは、2成分の組み合わせに比較して、リンゴ抽出物、コラーゲントリペプチド及びシリマリン3成分併用剤は、格段に優れたコラーゲン収縮作用を示す。
本発明のコラーゲンゲル収縮剤は、コラーゲンおよび線維芽細胞を含むコラーゲンゲルを収縮させる。コラーゲンゲルの収縮とは、例えば、ゲルの大きさが小さくなることをいう。コラーゲンゲルの大きさの指標としては、特に制限されないが、例えば、コラーゲンゲルの直径、表面積、体積などが挙げられる。
<コラーゲンゲル>
本発明において、コラーゲンゲルは、収縮可能な形状であれば良く、ゲル状以外に、例えば、固形状であっても良い。
コラーゲンゲルに含まれるコラーゲンの種類は、特に制限されず、例えば、I型、II型、III型、IV型、V型コラーゲンなどが挙げられ、好ましくは、I型コラーゲンである。また、コラーゲンは、例えば、コラーゲンを加工処理したものであっても良い。加工処理としては、特に制限されないが、例えば、熱処理、酵素処理などが挙げられる。熱処理したコラーゲンとしては、例えば、ゼラチンなどが挙げられ、酵素処理したコラーゲンとしては、例えば、アテロコラーゲン、コラーゲンペプチドなどが挙げられる。コラーゲンゲル中の前記コラーゲン濃度は、特に制限されず、例えば、形状などに応じて、適宜設定可能である。
コラーゲンゲルにおいて、線維芽細胞の由来組織は、特に制限されず、例えば、皮膚、肺、心臓などが挙げられ、好ましくは、皮膚である。線維芽細胞の由来種は、特に制限されず、例えば、ヒト、ブタ、ウシ、ウサギ、ラット、マウスなどがあげられ、好ましくは、ヒトである。コラーゲンゲル中の線維芽細胞の細胞密度は、特に制限されず、適宜設定可能である。
コラーゲンゲルは、例えば、コラーゲンおよび線維芽細胞以外のその他成分を含んでも良い。その他成分としては、特に制限されず、例えば、培養液、血清などが挙げられる。
<リンゴ抽出物>
リンゴ抽出物が、リンゴ果実の抽出物であるのが好ましい。特に、リンゴ幼果抽出物に含まれるポリフェノールを主成分とすることが好ましい。
リンゴ抽出物には、ポリフェノール、有機酸、アミノ酸などを含むことが知られている。
リンゴ抽出物は、血管機能改善作用を高めることが可能なBNP調節剤として抽出物を有効成分として含有してなるBNP調節剤、血行促進剤(特開2007−008837号公報、特開2006−265220号公報)や飲料(特開2004−305087号公報)、化粧料配合剤(特開2001−187724号公報)、消臭剤成分(特開平11−319051号公報)、香料成分(特開平08−023939号公報)などに用いられることが知られている。
しかしながら、リンゴ抽出物およびリンゴ由来のポリフェノールについて、コラーゲンゲル収縮効果は、未だ報告されていない。
リンゴ抽出物において、リンゴ(Malus pumila)の品種は、例えば、ふじ、国光、王林、紅玉、ジョナゴールド、デリシャス、さんさ、千秋などが挙げられ、特に制限されない。リンゴの抽出部位は、特に制限されず、例えば、果実、葉、幹、花などが挙げられ、好ましくは、果実である。前記果実は、例えば、未熟果(幼果)でも良く、完熟果でも良く、特に制限されない。抽出に用いる前記果実の部位は、特に制限されず、例えば、全果、果肉、果皮、種などが挙げられる。リンゴ抽出物は、これらの部位を、単独で、または2種以上組み合わせて抽出しても良い。
リンゴ抽出物を抽出する方法は、特に制限されず、従来公知の方法を採用できる。抽出方法の具体例としては、例えば、以下のようであっても良い。まず、リンゴの全果を、水洗後、グラインダーなどにより粉砕する。この粉砕物を、ペクチナーゼ処理に供し、遠心分離後、抽出溶媒により分配ろ過して、リンゴ抽出物を調製しても良い。前記ペクチナーゼ処理としては、特に制限されないが、例えば、20〜60℃の温度条件化で、ペクチナーゼを10〜50ppm添加して行っても良い。抽出溶媒としては、特に制限されないが、例えば、ヘキサン、クロロホルムなどの有機溶媒が挙げられる。
リンゴ抽出物は、例えば、市販のリンゴ抽出物を用いても良く、リンゴ果実から抽出して調製しても良く、特に制限されない。
コラーゲンゲル収縮剤中に含まれるリンゴ抽出物含量は、特に制限されないが、例えば、0.001〜99重量%、好ましくは、0.001〜5重量%である。コラーゲンやゼラチンとの併用によって、コラーゲンゲル収縮能が飛躍的に向上するので、0.01重量%以下で十分である。コラーゲンゲル収縮剤は、リンゴ由来のポリフェノールを含むリンゴ抽出物が好ましい。
ポリフェノールの分画方法は、特に制限されず、従来公知の方法を採用できる。ポリフェノールは、例えば、リンゴ抽出物をカラムに通液後、カラムの吸着物を溶出し、この溶出画分を減圧留去濃縮して分画しても良い。また、さらに、この濃縮液に粉末助剤を添加し、凍結乾燥または噴霧乾燥して、ポリフェノール粉末を調製しても良い。
ポリフェノールは、例えば、市販のリンゴ由来のポリフェノール含有物を用いても良く、リンゴ果実から抽出および分画して調製しても良く、特に制限されない。本発明のコラーゲンゲル収縮剤中に含まれる前記ポリフェノール含量は、特に制限されないが、例えば、0.01〜99重量%、好ましくは、0.1〜50重量%である。
<コラーゲントリペプチド>
リンゴ抽出物を併用するコラーゲントリペプチドは、平均分子量が400以下のものを含有するトリペプチドであり、通常一般のコラーゲンと称するものとは区別されるものである。さらに詳しくは、アミノ酸配列がGly−X−Y(X,Yはアミノ酸)であるペプタイドが好ましく、特に好ましくはアミノ酸配列がGly−Pro−Hypのものである。 本発明のコラーゲントリペプチドは、豚などの動物由来、魚由来いずれも使用可能である。
本発明のコラーゲントリペプチドは、主にコラーゲンを加水分解して製造することができる。コラーゲン加水分解物は、既に市販されているが、これらの酵素的に加水分解されたコラーゲンの多くは、分子量の分布範囲が二千から八万である。これらの加水分解物は水に対する分散性の向上を目的とするものである。
これに対して本発明のコラーゲン加水分解物は、特定の有効成分として分子量で
約400以下のペプタイドを含むことを特徴とする。
添加量は、0.01重量%以上が好ましい。本試験系の試験ではコラーゲンゲルの収縮は80%程度が上限と想定されるので、コラーゲンゲルの収縮が70%程度以上は、添加濃度を増やしても増加効果は小さい。したがって、マイナスとなることは無いと言う意味では、上限は無いが、実質的には1.0重量%程度が上限となる。
<シリマリン>
シリマリン(Silymarin;CAS No.65666−07−1)は、キク科マリアアザミ(学名シリバム・マリアナムSilybum marianum Gaertn、別名オオアザミ、オオヒレアザミ、ミルクアザミ;CAS No.84604−20−6)から抽出されるフラボノリグナンの総称であり、分子式C252210で表される、シリビン(Silybin;CAS No.22888−70−6)、シリジアニン(Silydianin;CAS No.29782−68−1)、シリクリスチン(Silychristin;CAS No.33889−69−9)、イソシリビン(Isosilybin;CAS No.72581−71−6)などを含有している組成物である(天然薬物事典、奥田拓男編、廣川書店、昭和61年3月3日 発行)。
本発明においては、シリマリンを含む植物体から抽出した抽出物に含有されるこれらのフラボノリグナンを含有している組成物を従来技術と同様、シリマリンと呼ぶ。例えば、シリマリンを含む植物体から抽出した抽出物としては、マリアアザミ抽出物がある。
またシリマリンは前記の通りフラボノリグナンの混合物であり、シリマリンとしての植物抽出物や植物中の含有量は、分光光度計による測定に基づいた方法(Wagner,H.,et al.,Arznein.Forsch,18,696,1968.)、薄層クロマトグラフィーによる方法(Wagner,H.,et al.,Arznein.Forsch,24,466,1974.)、高速液体クロマトグラフィーによる方法(Tittel,G.,et al.,J.Chromatogr.,135,499,1977.、Tittel,G.,et al.,J.Chromatogr.,153,227,1978.、Quercia,V.,et al.,Chromatography in Biochemistry,Medicine and Enviromental Research,Frigerio A.(Ed).,Elsevier Scientific Publishing Company,Amsterdam,1983,p1.)により測定可能である。これらの測定法の中でも、分光光度計による測定に基づいた方法の一つである2,4−ジニトロヒドラジン分析は、ドイツ薬局方(Silybum marianumの果実に関するモノグラフ)に報告されており、広く用いられている。
また、シリマリン又はその構成成分であるシリビン、シリジアニン、シリクリスチン、イソシリビンをリン脂質複合体として配合することができる。リン脂質複合体はINDENA社が市販しているSILYMARIN PHYTOSOME(シリマリンのリン脂質複合体)、SILIPHOS(シリビンのリン脂質複合体)を使用することができる。
例えば、INDENA社製シリマリンは、ドイツ薬局方DABに収載された吸光度比法でシリビン換算で測定したシリビン、イソシリビン、シリクリスチン、シリジアニン含量が約65%以上、そのうちHPLC法で測定したシリビンとイソシリビンの合計は約30%以上である。SIGMA社製のシリビンは、SILIBININ(Silybin:2,3−Dihydro−3−[4−hydroxy−3−methoxyphenyl]−2−[hydroxymethyl]−6−[3,5,7−trihydroxy−4−oxobenzopyran−2−yl]benzodioxinで、HPLC法で測定したシリビン含量が約98.0質量%である。INDENA社製のリン脂質複合体SILYMARIN PHYTOSOMEは、シリマリン30%(うちHPLC法で測定したシリビンを約9%含有)、大豆リン脂質70%のリン脂質複合体である。INDENA社製のリン脂質複合体SILIPHOSは、シリビン濃縮エキス30%(うちHPLC法で測定したシリビンを約25%含有)、大豆リン脂質70%のリン脂質複合体である。
本発明に配合するシリマリン又はその構成成分であるシリビン、イソシリビン、シリジアニン、シリクリスチンの濃度は0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がさらに好ましい。0.01重量%未満では、I型コラーゲン産生促進作用、エラスチン産生促進作用が十分に発揮されない。濃度は高いほど好ましいが、2.0重量%以上では完全に溶解しにくい傾向がある。
以下に、3成分について、コラーゲン収縮作用に関して、それぞれ単独、2成分系及び3成分系の試験を行い実証する。

〔試験に用いる材料〕
[材料]
(1)アテロコラーゲン(商品名:AteloCell、アテロコラーゲン(牛真皮由来)5mg/ml(2)DMEM(粉末)(商品名:ダルベッコ変法イーグル培地(2)、日水)
(3)DMEM(液体)(商品名;Gibco)
[評価検体]
(1)リンゴ抽出物(リンゴポリフェノール) 商品名:ポマクティブHFV(ユニテックフーズ社製)
規格;全ポリフェノール量90%以上(UV法)
(2)コラーゲントリペプチド 商品名:HACP-01(HTCコラーゲン、ゼライス社製)
規格;トリペプチド15%以上
(3)シリマリン 商品名:シリマリンET/G(Indena S.p.A.社製)
規格;シリビン・イソシリビン合計30%以上(HPLC法)、シリマリン含量65%以上(DAB10[ドイツ薬物規格第10項]による)
[試験方法]
予め継代培養した皮膚線維芽細胞(新生児由来)を細胞懸濁液(6×10cells/ml 溶媒10%FBS含有DMEM)として調整した。氷冷中でアテロコラーゲン(5mg/ml)4ml、3倍濃度DMEM2ml、FBS(牛血清)0.67ml、10%FBS含有DMEM 3.34ml及び細胞懸濁液2mlを混合し、平底12ウェルプレートに1mlずつ添加した。37℃5%CO2インキューベーターで培養し、5時間後にアテロコラーゲンが再線維化することでゲル化することを認めた。添加から6時間後に滅菌したスパチュラの柄を用いてゲルをウェルプレートから剥がした後、各評価検体を任意の濃度に調整した10%FBS含有DMEM溶液1mlを添加して、再び37℃5%CO2インキューベーターで7日間培養した。培養液は1日おきに評価薬剤を任意の濃度に溶解させた10%FBS含有DMEM溶液1mlを培地交換した。培養終了後、培養液を完全に除去しPBSで洗浄後、10%中性ホルマリン溶液(Wako)で24時間浸潤しゲルを固定した。その後、1%(w/v)Triton−X溶液に置換して、ゲル直径の計測を行った。
[ゲル直径の計測およびゲル面積の算出]
ゲルの形状はウェルプレートと同様に真円状になることを利用してゲル面積を算出した。
上記処理方法によって調整したゲルを2方向について直径を計測し、2直線の平均値を算出した。そのゲル直径の平均値からゲル半径が算出され、ゲル面積は次の式で算出することができる。

ゲル面積=(ゲル半径 cm)×(ゲル半径 cm)×円周率
薬剤未処理のコラーゲンゲルのゲル面積に対する薬剤処理時のコラーゲンゲルのゲル面積の面積比からコラーゲンゲル収縮率(%)を算出した。

コラーゲンゲル収縮率(%)=100×{(薬剤未処理のゲル面積)−(薬剤処理時のゲル面積)}/(薬剤未処理のゲル面積)

一つのデータについてn=3ウェルで評価し、平均±標準偏差(mean±S.D.)でグラフ表記した。
[リンゴ抽出物単独試験]
表1及び図1に、リンゴ抽出物(ポマクティブHFV)単独添加の試験例についてのコラーゲンゲル収縮率(%)の結果を示す。ポマクティブHFVは数mg/mlから数十mg/mlの濃度域で濃度依存的にコラーゲンゲル収縮能が認められた(図1)。
[シリマリン単独添加試験]
表2及び図2に、シリマリン(シリマリンET/G)単独添加の試験例についてのコラーゲンゲル収縮率(%)の結果を示す。シリマリンET/Gは数mg/mlから数十mg/mlの濃度域で濃度依存的にコラーゲンゲル収縮能が認められた(図2)。
[コラーゲントリペプチド単独試験]
表3及び図3に、コラーゲントリペプチド(HACP−01)単独添加の試験例についてのコラーゲンゲル収縮率(%)の結果を示す。 HACP−01は数百mg/mlから数千mg/mlの濃度域で濃度依存的にコラーゲンゲル収縮能が認められた(図3)。
[3成分のコラーゲンゲル収縮能試験]
表4及び図4に、3成分を配合した試験例についてのコラーゲンゲル収縮率(%)の結果を示す。
<考察>
(1)想定総和効果について
表1、2、3に示されたそれぞれの検体を単独添加した時の結果、
ポマクティブHFV 1mg/mlで収縮率16.0%
シリマリンET/G 5mg/mlで収縮率22.6%
HACP−01 30mg/mlで収縮率0%、
300mg/mlで収縮率18.1%
から、3者の理論値としてのゲル収縮率の総和(表4、図4参照)は、
例えば
理論値1:
ポマクティブHFV:シリマリンET/G:HACP−01=1mg/ml:5mg/ml:30mg/mlで 16.0%+22.6%+0%=38.6% 、
理論値2:
ポマクティブHFV:シリマリンET/G:HACP−01=1mg/ml:5mg/ml:300mg/mlで 16.0%+22.6%+18.1%=56.7%、
等となる。
(2)3者併用時のコラーゲンゲル収縮能についてシリマリンET/G、ポマクティブHFV、HACP−01の3者添加時の評価(表4、図4参照)
(a) 試験群1における収縮率の理論値は38.6%であるのに対し、実験値では57.5±2.3%であり、実験値57.5%>理論値38.6%となり、3者の評価検体における相乗効果が認められた。
(b)試験群2における収縮率の理論値は56.7%であるのに対し、実験値では70.7±2.4%であり、実験値70.7%>理論値38.6%となり、3者の評価検体における相乗効果が認められた。
(c)試験群3における収縮率の理論値は72.9%であるのに対し、実験値では80.8±2.2%であり、実験値80.8%>理論値72.9%となり、3者の評価検体における相乗効果が認められた。
(d)試験群4における収縮率の理論値は38.6%であるのに対し、実験値では56.6±6.7%であり、実験値56.6%>理論値38.6%となり、3者の評価検体における相乗効果が認められた。
(e)試験群5における収縮率の理論値は53.7%であるのに対し、実験値では65.5±5.9%であり、実験値56.6%>理論値53.7%となり、3者の評価検体における相乗効果が認められた。

したがって、図4試験群1から試験群5の任意の濃度添加条件のいずれにおいても、リンゴ抽出物、シリマリン、コラーゲントリペプチド3者間の相乗効果が認められる。
[コラーゲントリペプチドとシリマリン併用によるコラーゲンゲル収縮能試験]
表5及び図5に、コラーゲントリペプチド(HACP−01)とシリマリン(シリマリンET/G)併用配合した試験例についてのコラーゲンゲル収縮率(%)の結果を示す。
(a)配合1では、シリマリンET/G単独添加5mg/mlで22.6±5.4%ゲル収縮した。
(b)配合2における収縮率の理論値は22.6%であるのに対し、実験値では27.4±4.8%であり、実験値27.4%>理論値22.6%となり、2者の評価検体における相乗効果が認められたが、その差はごく僅かであった。
(c)配合3における収縮率の理論値は22.6%であるのに対し、実験値では39.1±4.9%であり、実験値39.1%>理論値22.6%となり、2者の評価検体における相乗効果が認められた。
(d)配合4における収縮率の理論値は40.7%であるのに対し、実験値では41.2±31.7%であり、実験値41.2%>理論値40.7%となり、2者の評価検体における相乗効果が認められたが、その差はごく僅かであった。

したがって、図5の配合2から配合4において相乗効果は認められたが、配合2および配合4における相乗効果はごく僅かなものであり、シリマリンとコラーゲントリペプチド2者間の相乗効果はごく僅かもしくは無いと考えられる。
[リンゴ抽出物とコラーゲントリペプチド併用によるコラーゲンゲル収縮能試験]
表6及び図6に、リンゴ抽出物(ポマクティブHFV)とコラーゲントリペプチド(HACP−01)併用配合した試験例についてのコラーゲンゲル収縮率(%)の結果を示す。
(a)配合1では、ポマクティブHFV単独添加1mg/mlで16.0±9.4%ゲル収縮した。
(b)配合2における収縮率の理論値は16.0%であるのに対し、実験値では18.0±3.6%であり、実験値18.0%>理論値16.0%となり、2者の評価検体における相乗効果が認められたが、その差はごく僅かであった。
(c)配合3における収縮率の理論値は16.0%であるのに対し、実験値では34.5±3.9%であり、実験値34.5%>理論値16.0%となり、2者の評価検体における相乗効果が認められた。
(d)配合4における収縮率の理論値は34.1%であるのに対し、実験値では36.5±8.0%であり、実験値36.5%>理論値34.1%となり、2者の評価検体における相乗効果が認められたが、その差はごく僅かであった。

したがって、図6の配合2から配合4において相乗効果が認められたが、配合2および配合4における相乗効果はごく僅かなものであり、シリマリンとコラーゲントリペプチド2者間の相乗効果はごく僅かもしくは無いと考えられる。
[リンゴ抽出物とシリマリン併用によるコラーゲンゲル収縮能試験]
表7及び図7に、リンゴ抽出物(ポマクティブHFV)とシリマリン(シリマリンET/G)併用配合した試験例についてのコラーゲンゲル収縮率(%)の結果を示す。
(a)配合1における収縮率の理論値は53.7%であるのに対し、実験値では45.1±11.5%であり、実験値45.1%<理論値53.7%となり、2者間での相乗効果が無かった。
(b)配合2における収縮率の理論値は57.5%であるのに対し、実験値では46.2±5.3%であり、実験値46.2%<理論値57.5%となり、2者間での相乗効果が無かった。
(c)配合3における収縮率の理論値は53.7%であるのに対し、実験値では34.9±12.0%であり、実験値34.9%<理論値53.7%となり、2者間の相乗効果が無かった。

したがって、図7の配合1から配合3において、いずれも理論値を上回るゲル収縮能を発揮しなかった事から、リンゴ抽出物とシリマリンとの間に相乗効果は無いと結論付けた。
[試験結果の総合考察]
(a)リンゴ抽出物、シリマリン、コラーゲントリペプチドの3者併用により、著しくゲル収縮能が高まった。
(b)リンゴ抽出物とコラーゲントリペプチドの2者併用により相乗的にゲル収縮能が高まったが、その相乗効果は僅かであるか、もしくは、特定の濃度の組合せに限定された。
(c)シリマリンとコラーゲントリペプチドの2者併用により相乗的にゲル収縮能が高まったが、その相乗効果は僅かであるか、もしくは、特定の濃度の組合せに限定された。
(d)リンゴ抽出物とシリマリンの2者併用により相乗的なゲル収縮能は見出せなかった。

という結果になり、リンゴ抽出物、シリマリン、コラーゲントリペプチドの3者の組合せがそれぞれ2者の組合せよりも優れたコラーゲンゲル収縮能を発揮する事が明らかとなった。

Claims (4)

  1. コラーゲンおよび線維芽細胞を含むコラーゲンゲルを収縮させるコラーゲンゲル収縮剤であって、リンゴ抽出物、コラーゲントリペプチド及びシリマリンを有効成分とするコラーゲンゲル収縮剤。
  2. リンゴ抽出物がリンゴ由来のポリフェノールであり、コラーゲントリペプチドの平均分子量が400以下のものを含有するコラーゲントリペプチドであることを特徴とする請求項1記載のコラーゲンゲル収縮剤。
  3. シリマリンがマリアアザミ抽出物であることを特徴とする請求項1又は2記載のコラーゲンゲル収縮剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載されたコラーゲン収縮剤を含む飲食品。
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