JP5572374B2 - 免震装置、及び免震装置の製造方法 - Google Patents

免震装置、及び免震装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、積層体を備えた免震装置、及びその免震装置の製造方法に関する。
近年、建物本体などの上部構造と基礎などの下部構造との間に免震装置が介装された免震構造物が普及し始めている。前記した免震装置として、従来、上部構造を下部構造に対して相対的に水平移動可能に支持する積層体を備えた免震装置が広く知られている。この免震装置は、下部構造に固定される下側端板と上部構造に固定される上側端板との間に積層体が介在された構成からなる。また、上記した積層体は、軟質板と硬質板を交互に積層した構成からなり、相対的に鉛直剛性が高くて水平剛性が低い柱状体である。このような積層体を備える免震装置によれば、地震や暴風時等に、積層体が水平方向にせん断変形するため、上部構造の固有周期が長くなり、上部構造が受ける地震応力が緩和される。また、積層体の鉛直剛性が大きいため、上部構造の荷重を受けても積層体の沈み込みが小さく抑えられ、上部構造を長期的に安定支持することができる。
ところで、上記した免震建築物が大地震を経験した場合に、地震後の積層体の健全性を評価することが望ましい。そこで、従来、地震後の積層体の外観を目視評価したり、地震動の記録などから建物が経験した振動を応答解析して積層体の変形量を推定したり積層体の変形後のずれ量を計測したりして、経験的判断に基づいて地震後の積層体の健全性を評価している。また、従来、研究開発目的で、加速度計や変位計、ひずみ計などを積層体、若しくはその周辺に配置し、それらの計測機器で地震時における免震装置の変位等を計測したり、また、積層体をビデオカメラ等で撮影、録画して映像を解析したりする場合もある。
また、近年、例えば下記特許文献1に記載されているような、地震時における積層体内での亀裂等の発生及び進展を検出する技術が提案されている。この技術は、積層体にAEセンサを設置し、このAEセンサで検出されたAE信号をAE分析器で分析することで、積層体内での亀裂等の発生及び進展を検出するものである。
特開平11−64098号公報
しかしながら、上記した外観目視や振動応答解析による推定、ずれ量の計測などの評価方法は、定量的な判断でなく、経験的判断に基づく判断であるため、その評価の正確性を確保するのが難しいという問題がある。
また、加速度計やビデオカメラ等の計測機器を用いて免震装置の健全性を評価する上記した従来の方法では、多数の配線や機器が必要であってシステムが大掛かりになるため、その設置にコストと手間がかかるという問題がある。したがって、上記した計測機器を全ての免震装置に対して設置せず、予め選定された免震装置に対してだけ加速度計等を設置するのが一般的であり、計測対象以外の免震装置の積層体の健全性については正確に評価することが難しい。また、免震装置の積層体は、変形ひずみが最大で450%程度となり、表面ひずみが最大で300%程度になるが、従来のひずみ計ではそのような大ひずみを計測することができない。
また、上記した計測機器は精密機械であり、例えば30年以上の長期間に亘って計測するだけの耐久性はないので、定期的に保守点検したり交換したりする必要がある。よって、計測機器のメンテナンスに手間とコストがかかるという問題がある。特に、免震装置が設置される建物の基礎部分は、温度変化や湿気、埃など精密機械にとって好ましい環境下ではないので、計測機器の養生や防護を設ける必要があり、コストや手間がかかるという問題がある。
また、AEセンサを用いて積層体の健全性を評価する方法では、地震時における積層体の変形量を計測するものではないので、積層体の健全性を正確に評価することはできないという問題がある。つまり、AEセンサは、積層体に実際に発生した亀裂等の欠陥を検出するものであるので、積層体に欠陥が生じていなければ、積層体の疲労具合を検出することができない。
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、メンテナンスの手間がかからず、低コストで正確に積層体の健全性を評価することができる免震装置と、その免震装置の製造方法とを提供することを目的としている。
本発明に係る免震装置は、せん断変形可能な積層体を備えた免震装置において、前記積層体の外周部に、該積層体のせん断変形に伴い伸縮変形する可撓性を有する誘電性基体と、該誘電性基体の両面にそれぞれ積層された一対の電極と、を備え、前記積層体の外周部には、前記一対の電極間の電位差を検出して前記誘電性基体の伸縮変形による前記電位差の変化に基づいて前記積層体のせん断変形量を計測する複数の前記センサが貼着されて周方向に並設され、該センサは、前記積層体の軸方向の中間部で、前記積層体の上端部から下端部まで延在していることを特徴としている。
このような特徴により、積層体がセンサの方向にせん断変形すると、そのせん断変形に伴いセンサ(誘電性基体)が伸張し、積層体の変位量(せん断変形量)に比例してセンサの長さが長くなって誘電性基体の表面積が拡大すると共に、誘電性基体の厚さが薄くなって一対の電極間の距離が狭くなる。これにより、一対の電極上に、誘電性基体の表面積の大きさに比例した電荷が出現する。続いて、せん断変形した積層体が元の形状に戻るとき、伸張したセンサ(誘電性基体)が積層体の戻り変形に伴い収縮し、誘電性基体の表面積が縮小するとともに一対の電極間の距離が拡がる。その結果、誘電性基体上の電荷の間隔が狭くなると共に電荷が押し出されて電気エネルギーとして放出され、一対の電極間の電位差が増加する。そして、この一対の電極間の電位差の変化に基づいて誘電性基体の伸張量が計測され、その伸張量に比例する積層体のせん断変形量が計測される。
また、複数のセンサで計測される各計測値と各センサの設置位置情報に基づいて積層体の変形方向が検知される。すなわち、積層体がせん断変形するとき、その変形方向に配設されたセンサの誘電性基体の表面積が拡大し、変形方向に直交する方向に配設されたセンサの誘電性基体の表面積は拡大しない。したがって、積層体のせん断変形に伴い誘電性基体の表面積が拡大したセンサの設置位置を検出することで積層体の変形方向が判別される。
また、本発明に係る免震装置の製造方法は、上述した免震装置の製造方法であって、せん断変形可能な積層体が備えられ、該積層体の外周部に、該積層体のせん断変形に伴い伸縮変形する可撓性を有する誘電性基体と、該誘電性基体の両面にそれぞれ積層された一対の電極と、を備え、前記一対の電極間の電位差を検出して前記誘電性基体の伸縮変形による前記電位差の変化に基づいて前記積層体のせん断変形量を計測する複数のセンサが設置された免震装置の製造方法であって、複数の前記センサを、帯状のガイドシートに該ガイドシートの長さ方向に間隔をあけてそれぞれ貼着させておき、該ガイドシートを前記積層体の外周面に巻き付けることを特徴としている。
このような特徴により、積層体の外周部に複数のセンサが一括で取り付けられる。また、複数のセンサを個別に位置合わせして所定間隔に配置する必要がなく、複数のセンサが、正確且つ容易に所定間隔で配置される。
本発明に係る免震装置によれば、センサによって計測した計測結果(積層体のせん断変形量)を蓄積することで積層体の変位履歴(載荷履歴)を取得することができ、また、時間に対する積層体のせん断変形量の波形を取ることで積層体の変形加速度も取得することができる。そして、これらの情報に基づいて、積層体の劣化度(疲労具合)を推定して積層体の健全性を評価することができる。
また、センサによって積層体の変形量が計測され、その定量的な値に基づいて積層体の健全性が評価されるので、正確な評価を容易に行うことができ、健全性評価の信頼性を向上させることができる。
また、上記したセンサは単純な構造であり、耐久性に優れているので、厳しい環境下においても長期間に亘って使用可能であり、メンテナンスの手間とコストを低減させることができ、また、防護や養生等も軽減することが可能である。また、上記したセンサは大量生産(ロール生産等)によって安価に製作でき、また、積層体の外周部に設置するだけなので、多数の免震装置に対してセンサを設置しても、その手間やコストは低く抑えることができる。したがって、例えば免震構造物の全ての免震装置に対して健全性を評価することが経済的にも実現可能であり、そして、個々の免震装置についてそれぞれ健全性を評価することで、各免震装置の健全性を正確に把握することができ、免震構造物に対する信頼性を向上させることができる。
本発明の実施の形態を説明するための免震装置の斜視図である。 本発明の実施の形態を説明するための免震装置の断面図である。 本発明の実施の形態を説明するためのセンサの部分断面図である。 図2に示すA−A間の断面図である。 本発明の実施の形態を説明するための免震装置の製造工程を表した斜視図である。 本発明の実施の形態を説明するためのせん断変形時の免震装置の側面図である。
以下、本発明に係る免震装置、及び免震装置の製造方法の実施の形態について、図面に基いて説明する。
図1に示す免震装置1は、基礎等の図示せぬ下部構造と建物本体等の図示せぬ上部構造との間に介装され、上部構造を下部構造に対して相対的に水平移動可能に支持する装置である。この免震装置1の概略構成としては、図1、図2に示すように、下部構造に固定される下側端板2と、上部構造に固定される上側端板3と、下側端板2と上側端板3の間に介在された積層体4と、積層体4の外周部に設置された複数のセンサ5と、を備えている。
下側端板2及び上側端板3は、例えば平面視円形の鋼板であり、上下に対向して配置されている。また、下側端板2及び上側端板3は、それぞれ積層体4の断面形状よりも大径に形成されており、これら下側端板2及び上側端板3の各外周部は、全周に亘って積層体4の径方向外側に向けて突出されている。また、下側端板2及び上側端板3は、例えばアンカーボルト等を介して下部構造や上部構造に固定されるプレートであり、下側端板2及び上側端板3の各外周部には、周方向に間隔をあけて複数のボルト孔20、30が形成されている。
図2に示すように、積層体4は、複数の軟質板40と硬質板41とが交互に積層された積層構造の柱状体であり、水平方向にせん断変形可能な略円柱形状に形成されている。この積層体4の外周部には、上記した軟質板40及び硬質板41の外周を被覆する被覆ゴム42が全周に亘って形成されている。軟質板40と被覆ゴム42とは、一体に形成された弾性変形可能な加硫ゴムからなり、上記した複数の硬質板41と共に未加硫の軟質板40及び被覆ゴム42を加硫させることで、軟質板40及び被覆ゴム42と複数の硬質板41とが加硫接着されている。
なお、上記した軟質板40及び被覆部42はゴム以外であってもよく、例えば軟質樹脂で形成することも可能である。また、上記した硬質板41は、鋼板以外であってもよく、例えば硬質樹脂からなる板材であってもよい。
上記した構成の積層体4は、鉛直剛性が高くて鉛直方向に沈みにくく、且つ水平剛性が低くて水平方向にせん断変形しやすい。具体的には、積層体4の鉛直剛性が水平剛性の約3万倍程度大きくなっており、積層体4の水平方向の最大変形ひずみは、300〜450%程度となっている。なお、前記した「変形ひずみ」は、複数の軟質板40の高さ寸法hの合計値に対する積層体4の水平方向の変形量の比率である。
センサ5は、積層体4(被検体)の外周面に貼着されたシート状のセンサであり、地震動や暴風時の風荷重等で積層体4がせん断変形したときにそれに追従して伸張され、その伸張量に比例して発生する電気的エネルギーに基づいて積層体4の変形量を計測するセンサである。
具体的に説明すると、センサ5は、電極間に誘電体が挟まれたコンデンサーと同様な構造からなるセンサであって、その概略構成としては、図3に示すように、積層体4のせん断変形に伴い伸張変形する可撓性を有するシート状の誘電性基体50と、その誘電性基体50の両面にそれぞれ積層された一対の電極51、52と、を備えたサンドイッチ構造を成している。このセンサ5は、一対の電極51、52間の電位差を検出し、誘電性基体50の伸張変形に比例する一対の電極51、52間の電位差の変化に基づいて誘電性基体50の表面積(伸張量)を計測し、その計測値に基づいて積層体4の変形量を算出するものである。
誘電性基体50は、電歪ポリマーからなる伸縮可能なシート(フィルム)であり、膜面方向に伸張すると膜厚方向に縮小し、膜面方向に収縮すると膜厚方向に拡大する。具体的には、誘電性基体50は、例えばアクリルやウレタン、シリコンなどの弾性変形可能な誘電エラストマーからなる誘電体膜である。
電極51、52は、誘電性基体50の両面全体を被覆する導電性膜である。この電極51、52は、可撓性を有する柔軟な電極であり、誘電性基体50の伸縮に追従して伸縮変形可能である。具体的には、電極51、52は、例えば導電性グリスや、ポリマー材料等に炭素粉末を混合したものからなる。
上記した構成のセンサ5は、少なくとも積層体4の軸方向(鉛直方向)の中間部に配設され、好ましくは、図1に示すように、積層体4の上端部から下端部まで延在している。また、センサ5は、積層体4の被覆ゴム42の外周面に接着剤を介して接着されており、少なくとも積層体4のせん断変形時に剥離しない程度の接着強度で接着されている。また、上記したセンサ5は、絶縁性を有する図示せぬ防護部材で被覆されていることが好ましい。
また、図1、図4に示すように、積層体4の外周面には、複数のセンサ5が周方向に並設されている。具体的に説明すると、センサ5は、積層体4の周囲の8つの方角にそれぞれ独立して設置されている。つまり、積層体4の外周面のうち、水平方向の一方向(X方向)の両側の位置及び該一方向に直交する水平方向の他方向(Y方向)の両側の位置にそれぞれ配設されていると共に、それらの位置の周方向中間部分の位置にそれぞれ配設されている。
また、複数のセンサ5の電極51、52(図3に示す)は、それぞれ配線60を介してデータロガー6に電気的に接続されている。このデータロガー6は、複数のセンサ5で検出した電極51、52間の電位差(電圧)をデジタルデータでそれぞれ保存する記録装置である。このデータロガー6の電源には電池が用いられており、この電池を電源として上記した一対の電極51、52に初期電荷が付与される。また、データロガー6は、外部に配設された図示せぬモニタリング装置に無線で接続されており、データロガー6で記録されたデジタルデータは図示せぬモニタリング装置に転送される。
次に、上記した免震装置1の製造方法について説明する。
まず、下側端板2、上側端板3及び積層体4からなる免震装置本体10(図5に示す)を製造する。詳しく説明すると、下側端板2上に未加硫のゴム板(軟質板40)と硬質板41とを交互に積層した後、これらの積層体の外周面に未下流の被覆ゴム42を巻き付け、最後に上側端板3を載せる。その後、下側端板2と上側端板3とで挟まれた積層体を図示せぬ加硫釜の中に配置した後、硫黄等の加硫剤を加えると共に熱と圧力を加えて加硫工程を行う。これにより、軟質板40と被覆ゴム42が一体に形成されると共に、軟質板40及び被覆ゴム42が下側端板2、上側端板3及び複数の硬質板41に対して強固に接着される。以上により、免震装置本体10が完成する。
また、帯状のガイドシート11(図5に示す)を用意し、そのガイドシート11の裏側の粘着面11aに複数のセンサ5をガイドシート11の長さ方向に間隔をあけてそれぞれ貼着する。上記したガイドシート11は、積層体4の外周面に巻き付け可能な可撓性を有するシートである。複数のセンサ5は、積層体4の外周面への設置間隔と等しい間隔をあけて配置する。なお、複数のセンサ5は、ガイドシート11の粘着面11aに対して剥離可能に仮着されている。
次に、図5に示すように、複数のセンサ5が貼着された粘着面11aを内周側にしてガイドシート11を積層体4の外周面に巻き付ける。このとき、複数のセンサ5の裏面(電極51の表面)に接着剤を塗布しておき、ガイドシート11を積層体4の外周面に巻き付けることで、複数のセンサ5が積層体4の外周面に接着剤を介して接着される。
次に、積層体4の外周面に巻き付けたガイドシート11を除去する。このとき、複数のセンサ5は、ガイドシート11の粘着面11aに仮着されているだけであり、また、積層体4の外周面に接着剤を介して強固に接着されているので、ガイドシート11を除去したときガイドシート11から複数のセンサ5が剥離され、複数のセンサ5は積層体4の外周面に接合された状態となる。
なお、絶縁性及び適度な追従性を有するガイドシート11であれば除去しなくてもよい。この場合、ガイドシート11に、配線60としてプリント配線を形成してもよく、或いは、センサ5を防護する防護部材としてガイドシート11を利用することも可能である。また、ガイドシート11を除去しない場合には、ガイドシート11の表面(粘着面11aの反対側の面)に複数のセンサ5を強固に接着させ、複数のセンサ5が貼着された面を外周側にしてガイドシート11を積層体4の外周面に巻き付けることも可能である。
次に、データロガー6を用意し、このデータロガー6と複数のセンサ5の電極51、52とをそれぞれ配線60を介して電気的に接続する。
以上により、免震装置1が完成する。
次に、上記した免震装置1の作用について説明する。
図6に示すように、地震等によって積層体4が例えば一方向(X方向)にせん断変形すると、積層体4の外周面のうちの変形方向側の部分(変形側部分4a)が伸張される。このとき、複数のセンサ5のうち、変形方向側に配置されたセンサ5A、つまり、上記した変形側部分4aに固定されたセンサ5Aが、積層体4の外周面の変形側部分4aと共に縦方向に伸張し、積層体4の変位量(せん断変形量)に比例してセンサ5A(誘電性基体50)の縦長さ寸法が長くなって誘電性基体50の表面積が拡大すると共に、センサ5Aの誘電性基体50の膜厚が薄くなって一対の電極51、52間の距離が狭くなる。これにより、一対の電極51、52上に、誘電性基体50の表面積の大きさに比例した電荷が出現する。
続いて、せん断変形した積層体4が元の形状に戻るとき、伸張したセンサ5A(誘電性基体50)が積層体4の戻り変形に伴い収縮し、誘電性基体50の表面積が縮小すると共に一対の電極51、52間の距離が拡がる。これにより、誘電性基体50上の電荷の間隔が狭くなると共に電荷が押し出され、その電荷が電気エネルギーとして放出され、一対の電極51、52間の電位差が増加する。
上記した一対の電極51、52間の電位差は電圧値として検出され、その検出値がデータロガー6に保存され、データロガー6から図示せぬモニタリング装置に転送される。そして、この検出値の変化、つまり発生した電気的エネルギー(発生電圧)に基づいて誘電性基体50の伸張量(縦長さ寸法の増加量)が計測され、その伸張量に比例するセンサ5のせん断変形量が計測される。
なお、誘電性基体50の伸張量Δxは、センサ5Aによって検出された発生電圧値Vから下記の数式(1)で算出される。
Figure 0005572374
このとき、γは誘電性基体50のポアソン比であり、εは真空中の誘電率であり、εは材料の比誘電率であり、Eはヤング率であり、dは誘電性基体50の厚さ寸法である。
また、複数のセンサ5で計測される各計測値と各センサ5の設置位置情報に基づいて積層体4の変形方向が検知される。すなわち、図6に示すように、積層体4がせん断変形するとき、その変形方向に配設されたセンサ5Aの誘電性基体50の表面積が拡大し、変形方向に直交する方向に配設されたセンサ5Bの誘電性基体50の表面積は拡大しない。したがって、積層体4のせん断変形に伴い誘電性基体50の表面積が拡大したセンサ5Aの設置位置を検出することで積層体4の変形方向が判別される。
上記した免震装置1によれば、センサ5によって計測した積層体4のせん断変形量を蓄積することで、積層体4の変位履歴を取得することができる。また、時間に対する積層体4のせん断変形量の波形を取ることで積層体4の変形加速度も取得することができる。そして、これらの情報に基づいて、積層体4の劣化度(疲労具合)を推定して積層体4の健全性を評価することができる。
特に、上記した免震装置1では、複数のセンサ5が周方向に並設されており、積層体4のせん断変形に伴い誘電性基体50の表面積が拡大したセンサ5Aの設置位置を検出することで積層体4の変形方向が判別されるので、積層体4の健全性をより詳細に評価することができる。
また、センサ5によって積層体4のせん断変形量が計測され、その定量的な値に基づいて積層体4の健全性が評価されるので、正確な評価を容易に行うことができ、健全性評価の信頼性を向上させることができる。
また、上記したセンサ5は単純な構造であり、耐久性に優れているので、厳しい環境下においても長期間に亘って使用可能であり、メンテナンスの手間とコストを低減させることができ、また、防護や養生等も軽減することが可能である。また、上記したセンサ5は大量生産(ロール生産等)によって安価に製作でき、また、積層体4の外周部に設置するだけなので、多数の免震装置1に対してセンサ5を設置しても、その手間やコストは低く抑えることができる。このように、家電並みの手頃さでセンサ5を設置することができる。
また、上述したように、センサ5を安価及び容易に設置することができると共にメンテナンスの手間とコストが軽減されるので、例えば免震構造物の全ての免震装置1に対して健全性を評価することが経済的にも実現可能である。そして、個々の免震装置1についてそれぞれ健全性を評価することで、各免震装置1の健全性を正確に把握することができ、免震構造物に対する信頼性を向上させることができる。
また、上記した免震装置1では、センサ5の計測値をデジタルデータで取り扱い可能であるので、データの保存や管理、解析等が行い易い。しかも、計測値がデータロガー6から図示せぬモニタリング装置に無線で転送されるので、免震装置1の設置場所まで行かなくても免震装置1の健全性の評価を行うことができる。したがって、積層体4の健全性の評価の作業能率を向上させることができ、常時モニタリングも可能である。
さらに、上記した免震装置1では、センサ5に付与する初期電荷の電源をデータロガー6の電源(電池)から取っているので、外部から電源供給を行う必要がなく、外部に接続する電気配線を省略することができる。しかも、上記したセンサ5では、初期電荷を付与するだけでよいので、消費電力を抑えることができ、ランニングコストを低減させることができる。
また、電歪ポリマーからなる誘電性基体50を一対の電極51、52で挟み込んだ構成のセンサ5は、最大で300%〜400%まで伸張可能であるので、表面ひずみが最大で300%程度(変形ひずみが最大で450%程度)の積層体4のせん断変形にも追従することが可能である。
また、上記した免震装置1の製造方法によれば、ガイドシート11を積層体4の外周面に巻き付けるだけで、積層体4の外周部に複数のセンサ5が一括で取り付けられる。また、複数のセンサ5を個別に位置合わせして所定間隔に配置する必要がなく、複数のセンサ5が、正確且つ容易に所定間隔で配置される。したがって、複数のセンサ5の位置精度を向上させることができると共に、センサ5の設置作業の効率を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本発明は、既存の免震装置に対してセンサ5を後付けで設置することも可能である。
また、本発明は、積層体が斜めに傾けて設置され、積層体が水平面に対して傾斜した方向にせん断変形する構成であってもよい。
また、上記した実施の形態では、接着剤を介してセンサ5を積層体4の外周面に接着しているが、本発明は、他の方法に積層体4の外周部にセンサ5を設置することも可能である。例えば、センサ5と共に積層体4を一体加硫することで、センサ5を積層体4の外周部に加硫接着することも可能である。これにより、センサ5が積層体4の外周部に確実かつ強固に固定されるので、積層体4からのセンサ5の剥離を防止することができる。なお、センサ5を加硫接着で積層体4に設置する場合、積層体4の被覆ゴム42の外周面にセンサ5が設置されていなくてもよく、例えば、被覆ゴム42内にセンサ5が埋設されていてもよい。
また、上記した実施の形態では、積層体4の外周面に8つのセンサ5が周方向に均等に並設されているが、本発明は、センサ5の数量や位置は適宜変更可能である。例えば、4つのセンサ5を周方向に均等配置してもよく、或いは、積層体4の外周面のうち、片側の面だけにセンサ5を配設してもよい。また、複数のセンサ5が間をあけずに連続的に設置されていてもよく、或いは、一枚のセンサが積層体4の外周面に巻き付けられていてもよい。
また、上記した実施の形態では、矩形状のセンサ5が用いられているが、本発明は、センサ5の形状は適宜変更可能であり、例えば、センサが正方形や円形、多角形に形成されていてもよい。
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
1 免震装置
4 積層体
5 センサ
11 ガイドシート
50 誘電性基体
51 電極
52 電極

Claims (2)

  1. せん断変形可能な積層体を備えた免震装置において、
    前記積層体の外周部に、該積層体のせん断変形に伴い伸縮変形する可撓性を有する誘電性基体と、該誘電性基体の両面にそれぞれ積層された一対の電極と、を備え、
    前記積層体の外周部には、前記一対の電極間の電位差を検出して前記誘電性基体の伸縮変形による前記電位差の変化に基づいて前記積層体のせん断変形量を計測する複数の前記センサが貼着されて周方向に並設され、
    該センサは、前記積層体の軸方向の中間部で、前記積層体の上端部から下端部まで延在していることを特徴とする免震装置。
  2. 請求項1に記載の免震装置の製造方法であって、
    せん断変形可能な積層体が備えられ、
    該積層体の外周部に、該積層体のせん断変形に伴い伸縮変形する可撓性を有する誘電性基体と、該誘電性基体の両面にそれぞれ積層された一対の電極と、を備え、前記一対の電極間の電位差を検出して前記誘電性基体の伸縮変形による前記電位差の変化に基づいて前記積層体のせん断変形量を計測する複数のセンサが設置された免震装置の製造方法であって、
    複数の前記センサを、帯状のガイドシートに該ガイドシートの長さ方向に間隔をあけてそれぞれ貼着させておき、
    該ガイドシートを前記積層体の外周面に巻き付けることを特徴とする免震装置の製造方法。
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