JP3706874B2 - 膜の歪測定器とそれを使用した歪測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、膜構造建築物等における膜の歪を精確に測定できる膜の歪測定器およびその測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、膜材料で構成される膜構造建築物が屋内グランド、屋内野球場、屋外音楽ステージの天蓋等として広く利用されるようになっており、こうした大規模構造物以外に、宇宙構造物においても大規模構造物の需要の増大に伴い膜構造の応用が考えられている。
【0003】
膜構造は面内方向への張力の導入によって面外剛性を得る張力安定構造であり、例えば図4に示すようなものがある。図中101は膜構造体の膜、102は膜の中央部に配置した応力センサー、103は膜張力を与えるアクチュエータ、104は境界ケーブルを支持する支持柱、105は測定機器であり、この例では膜構造の制御としてはたとえば境界ケーブルの変位を制御することにより膜の応力・歪を制御するようにしている。そして、このような膜構造体においてより精確膜制御を可能とするためには膜材料の変形、応力状態を詳細に把握する必要がある。
しかしながら、膜は材料の剛性の低さのため従来のセンサーではセンサー自体の剛性の影響が無視できず膜の歪を精確に測定することができず、現在でも有効なセンシング法が確立されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、低剛性の圧電ポリマー(PVDF:ポリフッ化ビニリデン)に着目し、これを用いて膜構造体における膜の歪測定を行うことが可能な膜の歪測定器および測定方法を提供し、上記のような問題点を解決することを目的とする。
本発明で使用する圧電ポリマーは歪と電界の関係が線形でセンサー/アクチュエータとしてモデル化しやすく、圧電計数の温度依存性が無いなどの優れた特性をもち、代表的なスマート材料として知られている。圧電ポリマーは高分子系の圧電材料であり、剛性が低く、柔軟性に富むためセンサーに適した材料である。また、容易に任意形状にカットできるため、特定モードのみを観測/制御するモードセンサー、モードアクチュエータの開発例などもあり、応用性の広い材料である。この材料は誘電体であり、面内方向に歪 応力が加わったときに面外方向に生じる電圧を取り出すために材料の両面に電極を接着あるいは蒸着している。本発明では、この圧電ポリマーを用いて、以下に述べるセンサー方程式により、膜の歪を検出できるようにしたことを特徴としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明が採用した技術解決手段は、
圧電ポリマーと、この圧電ポリマーに設けた電極と、この電極を介して得られた圧電ポリマーからの出力電圧をもとに膜の歪を算出する演算手段とを備えていることを特徴とする膜の歪測定器である。
また、前記圧電ポリマーは、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)であることを特徴とする膜の歪測定器である。
また、圧電ポリマーを、膜の剛性に対して無視できる程度の剛性を有する弾性接着剤によって接着方向を変えて膜表面に3個接着し、前記3個の圧電ポリマーの電位を圧電ポリマーに取り付けた電極を介して測定し、この出力電圧をもとに膜の歪を算出することを特徴とする膜の歪測定方法である。
また、圧電ポリマーを非接着領域を残して膜表面に接着方向を変えて3個取付け、前記3個の圧電ポリマーの表面の電位を表面電位計を用いて測定し、この出力電圧をもとに膜の歪を算出することを特徴とする膜の歪測定方法である。
また、前記圧電ポリマーは、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)であることを特徴とする膜の歪測定方法である。
【0006】
【実施の形態】
以下、本発明に係る膜の歪測定方法を説明する。
本発明に係る歪測定器で使用するセンサーは図1に示すように、圧電ポリマーとしてPVDF(ポリフッ化ビニリデン)1を使用しており、図に示すように圧電ポリマーの両面に電極2を取り付けた構造となっている。また、歪測定器は前記圧電ポリマー1の出力電圧をもとに、後述する式を基に歪を演算する演算手段3、その結果を表示する表示装置4を備えている。演算手段としてはパソコン、専用チップ等を使用することができる。なお、圧電ポリマーへの電極の取付位置は図1に示す両面に設けるものに限定されず、圧電ポリマーの電位の変化を検出できれば、その取付位置は自由に設定可能である。
この圧電ポリマーを歪センサーとして用いた膜の歪測定方法には、以下に説明する閉回路測定方法、開回路測定方法がある。
【0007】
閉回路測定方法
閉回路測定方法は、圧電ポリマーの両面に電極を取り付けたセンサーを膜の表面に弾性接着剤を使用して取り付け、膜の歪を測定するものである。前記センサーにおいて圧電ポリマー両面の電極が短絡している場合、圧電ポリマーの誘起する電圧に対して電荷の移動が生じ圧電ポリマーはコンデンサーとしての性質を持つことから、両電極間に抵抗を介せばRC回路が形成される。閉回路測定方法は上記RC回路内の抵抗に生じる電圧を測定することにより、次式からなるセンサー方程式(以下にその求め方について詳述する)により膜の歪を測定するものである。
【0008】
【数5】
上記センサー方程式から明らかなように一つのセンサーの出力電圧に対して3方向の歪(Δεx 、Δεy 、Δγxy)が含まれている。従って膜の歪を得るためには接着方向の異なる3つのセンサーから得られる連立方程式を解くことで、膜の歪を容易に測定することができる。なお、〔数5〕の左辺に対応する積分値は計算機内において数値的に積分し求めることができる。
【0009】
開回路測定方法
開回路測定方法は、表面電位計を用いて膜に取り付けた圧電ポリマー表面の電位を非接触で測定する方法であり、出力電圧は歪値に比例する。図2に圧電ポリマーを膜に取付けた状態を示す。図のように圧電ポリマーを膜の表面に接着領域で接着し、接着領域で挟まれた非接着の範囲をセンサー有効領域とする。圧電ポリマーを回路につながず、表面電位計を用いて圧電ポリマー表面の電位を非接触で測定する。測定対象との接着面には電極を貼って電位の基準面とする。測定面は電極を貼らない場合には測定点の歪に比例した電圧が観測され、センサー領域での局所的な歪分布を求めることが可能であるのに対し、電極を貼った場合にはセンサー領域での歪の平均値に比例した電圧が出力される。
開回路測定方法では、次式からなるセンサー方程式(以下にその求め方について詳述する)により膜の歪を測定する。
【0010】
【数6】
この数式から明らかなように一つのセンサーの出力電圧に対して3方向の歪(Δεx 、Δεy 、Δγxy)が含まれている。従って膜の歪を得るためには接着方向の異なる3つのセンサーから得られる連立方程式を解くことで、膜の歪を容易に測定することができる。
【0011】
つづいて、上記二つのセンサー方程式を求める方法について説明する。
センサー方程式
圧電方程式はアインシュタインの規約を用いれば〔数7〕に示す式で表される。
【0012】
【数7】
〔数7〕中、(1−a)式は電気的な関係式に圧電材料に応力が加えられたときに生じる電界/電束密度が加わったセンサーとしての式、(1−b)式は力学的な歪ー応力関係式に圧電材料に電界が印加されたときに生じる歪/応力の項が加えられたアクチュエータとしての式と解釈できる。
圧電ポリマーは厚さ10〜数百μm程度であり、面外方向の応力は考慮しない平面応力問題と考えられる。また面内方向は力学的には等方性とみなせるが電気的には異方性である。
以上のことから圧電方程式と力学的、電気的諸式を用いれば各測定方法に対するセンサー方程式が導出される。
即ち
【0013】
【数8】
式中、Rは抵抗値、Sはセンサー有効面積、hは厚さ、Yはヤング率、νはポアソン比を示す。ただし、いずれもPVDF両面に電極が貼られている場合に対応している。またφx 、φy 、φxyは歪に対する感度とも言える係数であり、測定対象に対するPVDFの接着角度θの変数となっている。
〔数8〕中の式(2)、(3)から判るように一つのセンサーの出力電圧に対して3方向の歪(Δεx 、Δεy 、Δγxy)が含まれる。したがって歪を得るためには、接着方向の異なる3つのセンサーから得られる連立方程式を解けばよい。
なお、この演算は、パソコン、専用チップ等を用いておこなうことができる。また、〔数8〕の(2)式中、左辺に対応する積分値は計算機内において数値的に積分し求めることができる。
【0014】
〔測定例〕
閉回路測定方法により膜の歪を測定する例について説明する。
図3に示すように圧電ポリマーからなるセンサーA、B、Cを膜の表面に弾性接着剤を用いて接着方向を変えて3個取り付ける。なお、膜の歪を測定する際には接着層の弾性に注意する必要があり、本例では、図1に示す構造のセンサーの一面を弾性接着剤により完全に膜表面に接着している。
膜の表面に取り付けた3個のセンサーA、B、Cの出力電圧を同時に測定し、前述した閉回路測定のセンサー方程式を用い、3個のセンサーによる歪を求めることができる。
また、同様にして開回路測定方法によっても、膜の歪を測定することができる。
【0015】
本発明の実施の形態について説明してきたが、圧電ポリマーとしてPVDFに限定することはなく、同様の機能を達成できる材料であれば、他の材料を使用することも可能である。また、圧電ポリマーを膜の表面に取り付ける際には、接着剤の剛性が膜の剛性に影響を与えないようにすることが重要であり、この場合の接着法は測定場所に対応して変形することができる。また、本発明に係る「膜の歪測定器とそれを使用した歪測定方法」は、地球上に存在する膜構造物に限らず、宇宙構造物等に於ける膜の歪みを測定することができることは当然である。さらに本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいかなる形でも実施でき、そのため、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず限定的に解釈してはならない。
【0016】
【発明の効果】
以上の詳細に説明した如く、本発明によれば、圧電ポリマーを用いることで膜構造体の膜の歪を精確に測定することができるという優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧電ポリマーを使用した歪測定器の概念図である。
【図2】開回路測定方法による圧電ポリマーセンサーの膜への取付状態を示す平面図である。
【図3】閉回路測定方法による3個のセンサーを膜へ取付た状態の平面図である。
【図4】膜構造の歪、応力制御法を示す概念図である。
【符号の説明】
1 圧電ポリマー
2 電極
3 演算手段
4 表示装置
Claims (5)
- 前記圧電ポリマーは、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)であることを特徴とする請求項1に記載の膜の歪測定器。
- 前記圧電ポリマーは、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の膜の歪測定方法。
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