JP5571996B2 - プラズマ処理方法及びプラズマ処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被処理体にプラズマ処理を施すプラズマ処理方法及びプラズマ処理装置に関し、特に、壁電位を制御する機構に関する。
プラズマ電位は、周囲の電位より高い電位をもっている。これを、図8に示した平行平板型プラズマ処理装置99を例に用いて説明する。処理容器900内のプラズマ処理空間において、バイアス電位が負のタイミング(ウエハ電位が負)の場合、すなわち、ウエハ電位Vwaferが壁電位Vwall(すなわち、グラウンド)より低くなる場合、プラズマ電位Vplasmaは壁電位Vwallより高い電位となる。一方、バイアス電位が正のタイミング(ウエハ電位が正)の場合、すなわち、ウエハ電位Vwaferが壁電位Vwallより高くなる場合、プラズマ電位Vplasmaは、ウエハ電位Vwaferより高い電位となる。
処理容器900の壁とプラズマ間の電位差(Vwall−Vplasma)は、エッチングプロセスの生産性に大きく関係する。つまり、電位差(Vwall−Vplasma)が大きすぎると、プラズマ中のイオンによる壁面へのスパッタ力が強くなり、またプラズマ中のラジカルが壁面に堆積しにくくなって、処理容器の壁が削られ、パーティクル、チャンバ内汚染、パーツの消耗等の原因になる。
一方、電位差(Vwall−Vplasma)が小さすぎると、プラズマ中のイオンによる壁面へのスパッタ力が弱くなり、プラズマ中のラジカルが壁面に付着し易くなって、壁に反応生成物が堆積し膜を形成する。例えば、前工程にてCF系ガスを使用したプロセスを実行した場合、プロセス中に処理容器の壁面にCF膜(ポリマー)が形成される。この状態で次工程にて同一処理容器内でOガスを使用したプロセスを実行すると、OにCFが混在した形でプラズマが生成されることとなり、壁面に付着したCF膜の成分がプラズマ中に入り込んで他の物質と化学反応を起こし、所望のプラズマ処理に悪影響を及ぼすこととなる。いわゆるメモリイフェクト(Memory Effect)の問題である。このメモリイフェクトの問題に加え、壁への膜の付着が多いほど処理容器内を頻繁にクリーニングする必要が生じ、生産性の低下、製造コストの増大を引き起こす。
さらに、近年、エッチングレート等を上昇させて加工時間を短縮することによりスループットを向上させたいというユーザの要求が高まっている。この要求に応じて、よりハイパワーの高周波電力を処理容器内に供給する必要が生じている。高周波電源からハイパワーの高周波電力が出力されると、壁面へのスパッタ力が強くなる一方、ラジカルが壁面に堆積しにくくなって壁の削れが大きくなる。
特許文献1では、プラズマ処理中、下部電極にバイアス用の高周波電力を印加し、下部電極にイオンを引き込む。プラズマ処理中に上部電極や処理容器の内壁に付着物が堆積することによりクリーニングが必要になった場合には、上部電極を負にバイアスするようにスイッチを切り替えて、上部電極に高周波電力を印加し、上部電極にイオンを引き込む。これによれば、イオンの引き込みによって上部電極に堆積した付着物を取り除くことができる。
特開平8−22980号公報
しかしながら、特許文献1は、バイアス用の高周波電力の印加先をプラズマ処理とクリーニング処理とで切り替える技術であるため、プラズマ処理中における壁の削れ又は壁への膜の形成という問題を解決することはできない。
これに対して、壁が削れ過ぎず、かつ壁に膜が堆積しすぎないように高周波のパワーを制御することも考えられる。一般的に、処理容器の壁及びプラズマ間の電位差(Vwall−Vplasma)は、電極から供給する高周波のパワーに依存するためである。
しかし、高周波のパワーは、プラズマを生成するために最適な値に設定する必要がある。このため、壁にかかる電位は、積極的に制御する対象とはならず、高周波のパワーや処理容器の形によって決まってしまう。
また、同一処理容器内で異なるプロセスが連続的に実行される場合、プロセス毎に最適な高周波のパワーは異なるため、あらゆるプロセス条件で処理容器の壁及びプラズマ間の電位差を所望の範囲内に納めることは極めて困難である。従って、使用する代表的な高周波のパワーに対して最適な、壁及びプラズマ間の電位差になるように処理容器の構造を設計している。しかし、近年、多層膜構造の異なる複数のエッチングプロセスを同一処理容器内で連続して実行するという多層膜構造の一括エッチングが主流となっている。このため、同一処理容器内で高周波のパワーが非常に低い条件と非常に高い条件との連続プロセスが要求される。これにより、さらに壁及びプラズマ間の電位差(Vwall−Vplasma)が非常に大きくなったり非常に小さくなったりして上記壁の削れや壁への膜の堆積の問題が大きくなっている。
上記課題に鑑み、本発明は、プラズマの状態を安定的に保ちながら、プロセスに応じて適正に壁の電位を調整することが可能な、プラズマ処理方法及びプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のある態様によれば、処理容器内のプラズマ処理空間にプラズマを生成し、被処理体をプラズマ処理するプラズマ処理装置であって、プラズマ励起用の高周波電力を印加するプラズマ励起用高周波電源と、プラズマ励起用の高周波より低い周波数の電位調整用の高周波電力を印加する電位調整用高周波電源及び直流電圧を印加する直流電源、被処理体を載置する載置台と、前記載置台に載置された被処理体より外側であって前記載置台に対向し、上部電極の外縁にて該上部電極と離隔して配置され、前記電位調整用高周波電源及び前記直流電源接続された補助電極と、を備え、前記電位調整用高周波電源から前記補助電極への高周波電力の印加と前記直流電源から前記補助電極への直流電圧の印加とを切り替えることを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
かかる構成によれば、載置台に載置された被処理体より外側であって載置台に対向して配置され、高周波電源及び直流電源接続される補助電極が設けられる。これにより、補助電極には、高周波電源から出力された高周波電力、及び直流電源から出力された直流電圧印加される。
これまでの知見から、発明者は、補助電極に直流電源から出力された直流電圧を印加すると、処理容器の壁とプラズマ間の電位差(Vwall−Vplasma)は小さくなり、補助電極に高周波電源から出力された高周波電力を印加すると、その電位差(Vwall−Vplasma)は大きくなることを発見した。
よって、壁に反応物が堆積し易いプロセスの場合には、補助電極に高周波電源から出力された高周波電力を印加するように制御する。これにより、処理容器の壁とプラズマとの電位差(Vwall−Vplasma)は大きくなり、壁面側のシース電圧が高くなる。これによれば、壁面側のシース領域にてイオンの加速を強め、壁へのイオンの衝突力を大きくして、壁に反応物が堆積することを抑制することができる。
一方、壁が削れ易いプロセスの場合には、補助電極に直流電源から出力された直流電圧を印加するように制御する。これにより、処理容器の壁とプラズマとの電位差(Vwall−Vplasma)は小さくなり、壁面側のシース電圧が低くなる。これにより、壁面側のシース領域にてイオンの加速を弱め、壁へのイオンの衝突力を小さくして、壁が削れることを抑制することができる。かかる構成によれば、このようにして処理容器内にて壁が削れ過ぎず、かつ壁に堆積物が付着しすぎないように制御することができる。
また、かかる構成では、プラズマ励起用の高周波より低い周波数の電位調整の高周波電力を用い、プラズマ生成用の高周波電源を壁電位の制御に用いない。よって、プラズマ生成用の高周波電力は、プロセスに応じて適正なパワーに設定することができる。このため、プラズマの状態を安定的に保つことができる。さらに、かかる構成によれば、補助電極は、被処理体より外側であって載置台に対向して配置されている。よって、上記壁電位の制御は、プラズマ生成のための制御と独立し、影響を及ぼしあわない。この結果、被処理体の加工に用いられるプラズマの状態を安定的に保ちながら、適正に壁の電位を調整することができる。
下部電極としての前記載置台にバイアス用の高周波電力を印加するバイアス用高周波電源を備え、前記バイアス用高周波電源から印加される高周波電力が500W以下の場合、前記電位調整用高周波電源から前記補助電極に高周波電力を印加し、前記バイアス用高周波電源から印加される高周波電力が1500W以上の場合、前記直流電源から前記補助電極に直流電圧を印加してもよい。
前記プラズマ励起用高周波電源から印加される高周波電力は、200W以上に設定されてもよい。
多層膜構造の異なる複数のエッチングプロセスを前記処理容器内で連続して実行する場合、各エッチングプロセスの条件に応じて前記電位調整用高周波電源から前記補助電極への高周波電力の印加と前記直流電源から前記補助電極への直流電圧の印加とを切り替えてもよい。
多層膜構造の異なる複数のエッチングプロセスを前記処理容器内で連続して実行する場合、各エッチングプロセスの条件に応じて前記電位調整用高周波電源又は前記直流電源からの高周波電力又は直流電圧の印加先を、前記補助電極と前記上部電極との間で切り替える第1の切替機構を有してもよい。
前記電位調整用高周波電源及び前記バイアス用高周波電源は、前記補助電極及び前記下部電極に接続される1つの高周波電源から構成され、前記高周波電源から前記補助電極への高周波電力の印加と同一の該高周波電源から前記下部電極への高周波電力の印加とを切り替える第2の切替機構を有してもよい。
前記電位調整用高周波電源及び前記バイアス用高周波電源は、前記補助電極及び前記下部電極に接続される1つの高周波電源から構成され、前記高周波電源から前記補助電極へ印加される高周波電力と同一の該高周波電源から前記下部電極へ印加される高周波電力とのパワー比を配分するパワースプリッタを有してもよい。
前記補助電極は、シリコンを含有した材料又は金属から形成されてもよい。
前記処理容器の壁は、アルミニウムの母材に絶縁物を溶射した部材、或いは、シリコン又はアルミニウムの母材に炭化ケイ素を被覆した部材から形成されてもよい。
上記課題を解決するために、本発明のある態様によれば、プラズマ励起用の高周波電力を印加して処理容器内のプラズマ処理空間にプラズマを生成するプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法であって、前記プラズマ処理装置は、プラズマ励起用の高周波より低い周波数の電位調整用の高周波電力を印加する電位調整用高周波電源及び直流電圧を印加する直流電源、載置台に載置された被処理体より外側であって前記載置台に対向し、上部電極の外縁にて該上部電極と離隔して配置され、前記電位調整用高周波電源及び前記直流電源接続された補助電極とを備え、前記プロセス条件に応じて、前記電位調整用高周波電源又は前記直流電源から前記補助電極へ高周波電力又は直流電圧を印加することを特徴とするプラズマ処理方法が提供される。
前記プラズマ処理装置は、前記電位調整用高周波電源及び前記直流電源に加え、下部電極としての前記載置台にバイアス用の高周波電力を印加するバイアス用高周波電源を備え、前記バイアス用高周波電源から印加される高周波電力が500W以下の場合、前記電位調整用高周波電源から前記補助電極に高周波電力を印加し、前記バイアス用高周波電源から印加される高周波電力が1500W以上の場合、前記直流電源から前記補助電極に直流電圧を印加してもよい。
以上説明したように本発明によれば、プラズマの状態を安定的に保ちながら、プロセスに応じて適正に壁の電位を調整することができる。
本発明の第1実施形態に係るエッチング装置の全体構成を示した縦断面図である。 LFパワーとイオンエネルギーの関係を示したグラフである。 直流電圧と壁の電位との関係を示したグラフである。 第1実施形態に係るエッチング装置を用いた多層膜構造の連続エッチングを説明するための図である。 本発明の第2実施形態に係るエッチング装置の全体構成を示した縦断面図である。 スイッチによる電力供給の切り替えを説明するための図である。 パワースプリッタによる電力供給の分配を説明するための図である。 プラズマ処理空間での電位の状態を説明するための図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<第1実施形態>
(プラズマ処理装置の全体構成)
まず、本発明の第1実施形態に係るプラズマ処理装置の全体構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る容量結合型(平行平板型)のエッチング装置を模式的に示した縦断面図である。エッチング装置10は、処理容器内部にて被処理体をプラズマ処理するプラズマ処理装置の一例である。
エッチング装置10は、ウエハWをプラズマ処理する処理容器100を有する。処理容器100は円筒状で、接地されている。処理容器100は、たとえばアルミニウムの母材に絶縁物を溶射した部材、シリコン又はアルミニウムの母材に炭化ケイ素を被覆した部材から形成されている。
処理容器100の内部には、上部電極105及び下部電極110が対向して配設され、これにより、一対の平行平板電極が構成されている。上部電極105はアルミニウムやシリコンから形成されていて、アルミニウムの表面にはアルミナ又はイットリアが溶射されている。上部電極105には、複数のガス穴105aが貫通していて、ガス供給源115から供給されたガスを複数のガス穴105aから処理容器内に導入するようになっている。
下部電極110には、ウエハWを載置する載置台120が設けられている。載置台120はアルミニウム等の金属から形成されていて、図示しない絶縁体を介して支持部材123により支持されている。これにより、下部電極110は電気的に浮いた状態になっている。載置台120の外周近傍には、細孔を有するバッフル板125が設けられていてガスの流れを制御する。バッフル板125は接地されている。
上部電極105の外周近傍には、リング状の補助電極165が配置されている。補助電極165は、シリコンを含有した材料又は金属から形成されている。補助電極165が金属の場合には、その表面にアルミナ又はイットリアが溶射されている。補助電極165は、絶縁部材170,175により上部電極105及び処理容器100と絶縁されている。このようにして、補助電極165は、絶縁部材170を間に挟んで上部電極105の外縁にて該上部電極105と離隔して配置される。また、補助電極165は、ウエハWより外側であって載置台120に対向した位置に配置され、これにより生成されたプラズマ(バルクプラズマ)に影響に及ぼさないようになっている。
補助電極165には、可変直流電源DC(以下、直流電源130とも称呼する。)が接続されていて、直流電源130から供給された直流電流を補助電極165に印加するようになっている。また、補助電極165には、整合器135を介して電位調整用高周波電源(LF)140が接続されていて、プラズマ励起用の高周波よりも低い300kHz〜13.56MHz以下の電位調整用の高周波を補助電極165に印加するようになっている。
13.56MHz以下の高周波及び直流電圧はプラズマの生成に寄与しない。よって、電位調整用高周波電源140及び直流電源130から補助電極165に印加される高周波電力及び直流電圧は、イオンの引き込みや壁の電位の制御のみに寄与する。これにより、直流電源130及び電位調整用高周波電源140によって、処理容器内で生成されるプラズマを変動させることなく、処理容器の壁とプラズマとの電位差(Vwall−Vplasma)を制御することができる。この結果、上部電極105や処理容器100の壁に膜が付着しすぎず、かつ上部電極105や処理容器100の表面を削り過ぎないように制御することができる。
なお、本実施形態では、補助電極165は、直流電源130及び電位調整用高周波電源140の両方に接続されているが、直流電源130及び電位調整用高周波電源140の少なくともいずれかに接続されていればよい。
下部電極110には、整合器145を介して高周波電源(HF)150が接続されている。プラズマ励起用高周波電源150は、プラズマ生成に寄与する13.56MHz以上の高周波電力(HFパワー)を出力する。ここでは、プラズマ励起用高周波電源150から60MHzの高周波が出力される。ガス供給源115から供給されたガスは、プラズマ励起用高周波電源150から出力された高周波の電界エネルギーにより励起され、これにより、プラズマ処理空間Uにプラズマが生成される。プラズマ処理空間Uでは、生成されたプラズマによりウエハWにエッチング処理が施される。なお、プラズマ処理空間Uは、処理容器100の内壁、バッフル板125及び載置台120で囲まれた空間である。
下部電極110には、整合器155を介してバイアス用高周波電源160が接続されている。バイアス用高周波電源160は、プラズマ励起用の高周波よりも低い300kHz〜13.56MHz以下のバイアス用の高周波電力(LFパワー)を出力する。このようにして載置台120にバイアス電圧を印加することにより、載置台120に向けてプラズマ中のイオンを引き込むようになっている。
なお、プラズマ励起用高周波電源150から出力される高周波電力は13.56MHz以上であればよく、例えば40MHz、60MHz、100MHzであってもよい。また、バイアス用高周波電源160から出力される高周波電力は13.56MHz以下であればよく、例えば800kHz、2MHz、3MHzであってもよい。
処理容器100の底面には排気口155が設けられ、排気口155に接続された図示しない排気装置により処理容器100の内部を排気し、処理容器内を所望の真空状態に維持する。
(補助電極へのDC,LF供給)
ここで、上記構成のエッチング装置10に対する補助電極165へのDC,LFの供給について詳しく説明する。
近年、多層膜構造の異なる複数のエッチングプロセスを同一処理容器内で連続して実行する一括エッチングが主流となっている。このため、一つの処理容器内で高周波のパワーが非常に低い条件と非常に高い条件との連続ステップが要求される。これにより、処理容器100の壁面及びプラズマ間の電位差(Vwall−Vplasma)が非常に大きくなったり非常に小さくなったりして壁の削れや壁への堆積の問題が大きくなっている。
この問題に対して、発明者は、直流電源130から出力された直流電圧を補助電極165に印加すると、処理容器100の壁とプラズマ間の電位差(Vwall−Vplasma)は小さくなり、電位調整用高周波電源140から出力された高周波電力を補助電極165に印加すると、その電位差(Vwall−Vplasma)は大きくなることを発見した。
よって、壁に反応物が堆積し易いプロセスの場合には、補助電極165に電位調整用高周波電源140から出力された高周波電力を印加するように制御する。これにより、処理容器の壁とプラズマとの電位差(Vwall−Vplasma)は大きくなり、壁面側のシース電圧が高くなる。これによれば、壁面側のシース領域にてイオンの加速を強め、壁へのイオンの衝突力を大きくして、壁に反応物が堆積することを抑制することができる。
一方、壁が削れ易いプロセスの場合には、補助電極165に直流電源130から出力された直流電圧を印加するように制御する。これにより、処理容器の壁とプラズマとの電位差(Vwall−Vplasma)は小さくなり、壁面側のシース電圧が低くなる。これにより、壁面側のシース領域にてイオンの加速を弱め、壁へのイオンの衝突力を小さくして、壁が削れることを抑制することができる。かかる構成によれば、このようにして処理容器内にて壁が削れ過ぎず、かつ壁に堆積物が付着しすぎないように制御することができる。以上の理論について、図2及び図3を参照しながら説明する。
図2には、下部電極にかかるプラズマ励起用の高周波電力(HFパワー)を1500Wに固定し、下部電極にかかるバイアス用の高周波電力(LFパワー)を可変にして横軸に表し、プラズマ中のアルゴンのイオンArの最大エネルギーを縦軸に表したときのパーティクル発生及びポリマー付着の状態を示している。バイアス用高周波電源からは、プラズマの生成に寄与しない13.56MHz以下のバイアス用の高周波電力が出力されている。グラフ上の直線は、上からバイアス用の高周波電力が2MHzでA/C比が6の場合、バイアス用の高周波電力が13MHzでA/C比が4の場合、バイアス用の高周波電力が13MHzでA/C比が6の場合が示されている。
このグラフは、イオンの最大エネルギーが150[eV]以上では、壁の削れによりパーティクルが発生する懸念があり、75[eV]以下では壁にポリマーが付着する懸念があることを示している。しかし、いずれの条件の場合にも、イオンの最大エネルギーを75[eV]〜150[eV]に制御することは上記連続ステップのプロセスではほぼ不可能である。
ここで、グラフ内の3つの直線を比べてみると、すべての場合においてLFパワーが高いほうが、スパッタ力が大きくなり、壁が削れやすいことがわかる。よって、バイアス用の高周波電源のLFパワーを印加しない場合より、高周波電源のLFパワーを印加した方が壁の電位が高くなりスパッタ力が増していることがわかる。よって、壁への膜の付着を防ぐためには、高周波電源のLFパワーを印加するとよいことがわかる。
以上の説明及び図2では、下部電極に印加されるバイアス用高周波電力とスパッタ力との関係について説明したが、他の部材に同程度の周波数の高周波電力を印加しても、同様な原理により高周波電力とスパッタ力との関係を導くことができる。
図3では、上部電極105に0V、−150V、−300Vの直流電圧DCSを印加した場合の直流電圧DCSと壁の電位との関係を示している。図3には、下部電極110に印加するバイアス用の高周波電力(LFパワー)を可変にして横軸に表し、LFパワーを変化させた場合の壁の電位を示している。なお、このときのプロセス条件は、圧力 30mT、ガス Cガス/Oガス/Arガス=70/70/200sccm、40MHzのRFパワー 1500Wである。
図3の3つの直線を見ると、直流電圧DCSを印加しない場合(0V)より、直流電圧DCSを印加した場合(−150V、−300V)の方が壁の電位が低くなっていることがわかる。よって、壁の削れを防ぐためには、直流電圧DCSを上部電極に印加するとよいことがわかる。
以上の説明及び図3では、上部電極105に印加される直流電圧DCSと壁の電位との関係について説明したが、他の部材に直流電圧DCSを印加しても、同様な原理により直流電圧DCSと壁の電位との関係を導くことができる。
プラズマは、下部電極110に印加された高周波電力(HFパワー)により、主にウエハWの上方に生成される。よって、本実施形態では、前述したように、補助電極165を上部電極105の外周近傍であって、ウエハWより外側に配置する。これにより、下部電極110に印加されたHFパワーによるプラズマ生成に影響を与えることなく、補助電極165に印加されたLFパワー又は直流電圧によって壁の電位のみを制御することができる。
以上から、直流電源130又は電位調整用高周波電源140から補助電極165に直流電圧又はLFパワーを印加することにより、処理容器内で生成されるプラズマを変動させることなく、処理容器100の壁とプラズマとの電位差(Vwall−Vplasma)を制御し、処理容器100の壁が削れ過ぎず、かつ膜が付着しすぎない状態にすることができる。
(多層膜の連続エッチングの具体例)
次に、本実施形態に係るエッチング装置10を用いて、多層膜構造の異なる複数のエッチングプロセスを同一処理容器内で連続して実行する場合の具体例について、図4を参照しながら説明する。ここでは、図4(a)に示したように、シリコン基板Siには、下から順にSiO膜40、アモルファスカーボン膜50、SiON膜60、反射防止膜(BARC)70、レジスト膜80が積層されている。
(反射防止膜BARC+SiON膜のエッチング)
本例の多層膜の連続エッチングでは、まず、レジスト膜80をマスクとして、反射防止膜70及びSiON膜60をエッチングする。このときのプロセス条件は、圧力/100mT、ガス種/CF4ガス、ガス流量/200sccm、下部電極110に印加される高周波電力(プラズマ励起用高周波電源150)/周波数40MHz/パワー1000W、下部電極110に印加される高周波電力(バイアス用高周波電源160)/周波数3MHz/パワー0Wである。このプロセスでは下部電極110にLFパワーは印加されない。よって、プロセス中、壁はたたかれない。このため、壁に膜が付着しやすい。従って、補助電極165に電位調整用高周波電源140のLFパワーを印加することにより、壁の電位を高くする。これにより、壁へのスパッタ力を強めて壁への膜の付着を防ぐことができる。
(アモルファスカーボン膜a−Carbonのエッチング)
次に、図4(b)に示したアモルファスカーボン(α−カーボン)膜50をエッチングする。このときのプロセス条件は、圧力/10mT、ガス種/Oガス/COSガスの混合ガス、ガス流量/400/20sccm、下部電極110に印加される高周波電力(プラズマ励起用高周波電源150)/周波数40MHz/パワー1000W、下部電極110に印加される高周波電力(バイアス用高周波電源160)/周波数3MHz/パワー0Wである。このプロセスでも下部電極110にLFパワーは印加されないため、壁はたたかれない。しかし、本プロセスではガス種により壁に膜はつかない。以上から、本エッチングの実行に際しては、補助電極165にいかなるパワーも印加しなくてよい。
(SiO膜のエッチング)
次に、図4(c)に示したSiO膜40をエッチングする。このときのプロセス条件は、圧力/30mT、ガス種/C/O/Arの混合ガス、ガス流量/70/70/200sccm、下部電極110に印加される高周波電力(プラズマ励起用高周波電源150)/周波数40MHz/パワー1500W、下部電極110に印加される高周波電力(バイアス用高周波電源160))/周波数3MHz/パワー4500Wである。このプロセスでは、バイアス用高周波電源160から出力されるLFパワーは4500Wであるため、壁がたたかれる。このため、壁が削れてしまう。よって、補助電極165に直流電圧DCSを印加して壁の電位を低くする。これにより、壁の電位を下げてスパッタ力を弱め、壁の削れを防ぐことができる。
このように、本実施形態では、同一処理容器内での多層膜の連続エッチングプロセスに応じて各プロセス開始前に直流電源130及び電位調整用高周波電源140と補助電極165との接続を切り替える。これにより、壁の電位を調整してパーティクルの発生や壁への膜の付着を抑止し、壁が削れ過ぎず、かつ壁に堆積物が付着しすぎないように制御する。
特に、HARC(High Aspect Ratio Contact)では、一般的に2MHz程度の低い周波数をバイアス用の高周波電力として使用する。よって、図2に示したように、下部電極110に印加される高周波電力が500W以下の場合、ポリマーの付着の懸念があり、下部電極110に印加される高周波電力が1500W以上の場合、パーティクル発生の懸念がある。このため、直流電源130及び電位調整用高周波電源140を、上記パワーを基準として切り替えることが好ましい。
つまり、バイアス用高周波電源160から印加される高周波電力が500W以下の場合、電位調整用高周波電源140から補助電極165に高周波電力を印加し、バイアス用高周波電源160から印加される高周波電力が1500W以上の場合、直流電源130から補助電極165に直流電圧を印加する。これにより、HARC等のプロセスにおいて、2MHz程度の低い周波数をバイアス用の高周波電力として使用する場合にも、壁が削れ過ぎず、かつ壁に堆積物が付着しすぎないように制御することができる。
なお、バイアス用高周波電源160から印加される高周波電力が500Wより大きく1500Wより小さい場合には、パーティクル発生及びポリマー付着の懸念はない。よって、この範囲では、直流電源130及び電位調整用高周波電源140から補助電極165への電力の印加は不要である。
また、このような直流電源130及び電位調整用高周波電源140の電力の印加の制御は、プラズマ励起用高周波電源150から出力される高周波のパワーが、200W以上に設定されていることが基準となる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るエッチング装置の全体構成について、図5を参照しながら説明する。第2実施形態に係るエッチング装置10では、直流電源130及び電位調整用高周波電源140と上部電極105電極及び補助電極165との接続が第1実施形態と異なる。よって、その相違点を中心に説明し、第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
本実施形態に係る直流電源130及び電位調整用高周波電源140は、補助電極165だけでなく上部電極105にも接続される。直流電源130及び電位調整用高周波電源140と上部電極105との間にはスイッチ200が設けられている。直流電源130及び電位調整用高周波電源140と補助電極165との間にはスイッチ205が設けられている。
スイッチ200及びスイッチ205は、各エッチングプロセスの条件に応じて電位調整用高周波電源140又は直流電源130からの高周波電力又は直流電圧の印加先を、補助電極165と上部電極105との間で切り替える第1の切替機構の一例である。
本実施形態では、多層膜構造の異なる複数のエッチングプロセスを処理容器内で連続して実行する場合、各エッチングプロセスの条件に応じて電位調整用高周波電源140又は直流電源130から補助電極165への電力の印加と、電位調整用高周波電源140又は直流電源130から上部電極105への電力の印加とを切り替える。
スイッチ200をオフにしてスイッチ205をオンにすると、第1実施形態と同様に、直流電源130及び電位調整用高周波電源140と補助電極165とが接続される。これにより、直流電源130及び電位調整用高周波電源140を用いてプロセスに応じた壁電位の制御を行うことができる。
一方、スイッチ200をオンにしてスイッチ205をオフにすると、直流電源130及び電位調整用高周波電源140と上部電極105とが接続される。これにより、直流電源130及び電位調整用高周波電源140を用いてプラズマの特性や上部電極105の表面状態を制御することができる。
例えば、電位調整用高周波電源140から上部電極105に13.56MHz以下の高周波電力を印加すると、生成されたプラズマに影響を与えずに上部電極105にイオンを引き込むことができる。このようにして、上部電極105の表面にシリコンから形成された部分を含む上部電極105にイオンを衝突させることにより、上部電極105に膜が堆積することを抑止できる。
直流電源130から上部電極105に直流電圧を印加すると、上部電極105へのイオンのアタックが促進され、上部電極105へのポリマー膜の堆積を抑止することができる。
また、直流電源130から上部電極105に直流電圧を印加すると、上部電極105の表面近傍にはイオンしか入れない。よって、電子は上部電極105に当たると通常は消滅してしまうが、直流電圧を印加すると、電子が上部電極105の表面近傍に近づけないため、上部電極105の表面での電子の消費を抑えることができる。これにより、プラズマ密度を高めることができる。さらに、イオンが上部電極105の金属材料にあたると、二次電子が放出される。これにより、ウエハWに向けて電子のビームを照射することができ、ウエハWの加工に寄与させることができる。
以上、本実施形態によれば、直流電源130及び電位調整用高周波電源140からの給電先を上部電極105と補助電極165との間にて切り替える。これにより、直流電源130及び電位調整用高周波電源140からの給電先が補助電極165の場合には、第1実施形態と同様に、壁電位を制御して、壁の削れ及び壁への付着物の堆積を防ぐことができる。一方、直流電源130及び電位調整用高周波電源140からの給電先を上部電極105に切り替えた場合には、直流電源130及び電位調整用高周波電源140を用いてプラズマの特性や上部電極105の表面状態を制御することができる。
なお、上部電極105及び壁の両方に付着した膜を取り除きたい場合には、スイッチ200及びスイッチ205を両方オンにして、上部電極105及び補助電極165の両方に直流電圧又は高周波電力を印加する。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係るエッチング装置の全体構成について、図6を参照しながら説明する。第3実施形態に係るエッチング装置10では、補助電極165に印加する高周波電力の供給源を、下部電極110にバイアス用の電圧を印加するバイアス用高周波電源160と兼用する点で、補助電極165に印加する高周波電力の供給源(電位調整用高周波電源140)をバイアス用高周波電源160とは別に持たせた第1実施形態と異なる。よって、その相違点を中心に説明し、第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
本実施形態では、第1実施形態に係る電位調整用高周波電源140は存在せず、補助電極165及び下部電極110に接続され得るバイアス用高周波電源160のみから構成されている。バイアス用高周波電源160と補助電極165との間にはスイッチ300が設けられている。スイッチ300は、バイアス用高周波電源160から補助電極165への高周波電力の印加と、同一の該高周波電源160から下部電極110への高周波電力の印加とを切り替える第2の切替機構の一例である。
本実施形態では、多層膜構造の異なる複数のエッチングプロセスを処理容器内で連続して実行する場合、各エッチングプロセスの条件に応じてバイアス用高周波電源160から補助電極165への電力の印加と、バイアス用高周波電源160から下部電極110への電力の印加とを切り替える。
これによれば、スイッチ300を補助電極165側に接続すると、バイアス用高周波電源160と補助電極165とが接続される。これにより、直流電源130及びバイアス用高周波電源160を用いてプロセスに応じた壁電位の制御を行うことができる。
一方、スイッチ200を下部電極110側に接続すると、バイアス用高周波電源160と下部電極110とが接続される。これにより、バイアス用高周波電源160を用いてウエハWに向けたイオンの引き込みを制御することができる。この場合、直流電源130は補助電極165に接続されているので、直流電源130を用いてプロセスに応じた壁電位の制御を行うこともできる。
以上、本実施形態によれば、バイアス用高周波電源160からの給電先を下部電極110と補助電極165との間にて切り替える切替機構を設けたことにより、プロセスに応じた壁電位の制御と、ウエハWに向けたイオンの引き込みの制御とを既存のバイアス用高周波電源160のみを用いて行うことができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係るエッチング装置の全体構成について、図7を参照しながら説明する。第4実施形態に係るエッチング装置10では、補助電極165に印加する高周波電力の供給源を、下部電極110にバイアス用の電圧を印加するバイアス用高周波電源160と兼用する点で、第3実施形態と共通する。しかしながら、第4実施形態では、電力供給時のパワー配分にパワースプリッタ400を用いる点で、スイッチ300を用いて供給先を切り替えた第3実施形態と異なる。よって、その相違点を中心に説明し、第3実施形態と同じ構成については説明を省略する。
本実施形態では、電位調整用高周波電源140は存在せず、補助電極165及び下部電極110に接続されるバイアス用高周波電源160のみから構成されている。バイアス用高周波電源160と補助電極165と下部電極110とを接続する電源ラインに、パワースプリッタ400が設けられている。
パワースプリッタ400は、バイアス用高周波電源160から補助電極165へ印加される電力とバイアス用高周波電源160から下部電極110へ印加される電力とを異なるパワーに分配する。例えば、ここでは、パワースプリッタ400は、下部電極110に300WのLFパワーを供給し、補助電極165に400WのLFパワーを供給する。
以上、本実施形態によれば、バイアス用高周波電源160から下部電極110及び補助電極165へパワー配分して電力を供給することができる。これによれば、プロセスに応じた壁電位の制御と、ウエハWに向けたイオンの引き込み制御とを既存のバイアス用高周波電源160のみを用いて同時に行うことができる。
以上に説明したように、上記各実施形態に係るエッチング装置10を用いて本実施形態に係るプラズマ処理方法を実行することができる。これにより、多層膜構造の一括エッチングにおいて、同一処理容器内で高周波のパワーが非常に低い条件と非常に高い条件との連続ステップを実行しても、調整機構の位置調節により壁が削れ過ぎず、かつ壁に堆積物が付着しすぎない状態に制御することができる。この結果、パーティクルや処理容器内の汚染の問題、パーツの消耗の問題、メモリイフェクトの問題を低減できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
たとえば、本発明に係るプラズマ処理装置は、直流電源130から補助電極165への直流電圧の印加と電位調整用高周波電源140から補助電極165への高周波電力の印加とを切り替える図示しない第3の切替機構を有していてもよい。また、第3の切替機構に替えて、直流電源130の下流側及び整合器135の下流側に図示しないフィルタを設けてもよい。
また、本発明に係るプラズマ処理装置では、直流電源130や電位調整用高周波電源140には、図示しない制御部が接続されている。直流電源130や電位調整用高周波電源140のどちらから補助電極165に電力を印加するかは制御部により制御される。また、制御部は、図5のスイッチ200,205(第1の切替機構)や図6のスイッチ300(第2の切替機構)や図示しない第3の切替機構や図7に示したパワースプリッタ400にも接続されていて、各切替機構の切り替えや、パワー分配の比率を制御する。
一般に、平行平板型プラズマ処理装置では、圧力が100mT以下のプロセスの場合には、全体にプラズマが生成される。一方、圧力が100mT以上のプロセスの場合、印加した側にプラズマが生成される。よって、上部電極又は下部電極のいずれかにプラズマ励起用の高周波電力を印加した場合、特に圧力が100mT以上のプロセスでは、印加された電極側近傍にプラズマが生成されることとなる。よって、上部電極にプラズマ励起用の高周波電力が印加されたほうが、各実施形態に係る補助電極へ電力を印加することによって、壁の削れ及び壁への堆積物の付着をより効果的に制御することができる場合がある。
他方、生成されたプラズマが乱れないように下部電極にプラズマ励起用の高周波電力が印加されたほうが上記各実施形態の効果が発揮されやすい場合もある。
本発明のプラズマ処理装置によりプラズマ処理される被処理体は、シリコンウエハに限れず、FPD(Flat Panel Display)用基板又は太陽電池用基板等であってもよい。
10 プラズマ処理装置
40 SiO
50 アモルファスカーボン膜
60 SiON膜
70 反射防止膜(BARC)
80 レジスト膜
100 処理容器
105 上部電極
110 下部電極
120 載置台
130 直流電源
140 電位調整用高周波電源
150 プラズマ励起用高周波電源
160 バイアス用高周波電源
165 補助電極
200、205、300 スイッチ
400 パワースプリッタ
U プラズマ処理空間

Claims (11)

  1. 処理容器内のプラズマ処理空間にプラズマを生成し、被処理体をプラズマ処理するプラズマ処理装置であって、
    プラズマ励起用の高周波電力を印加するプラズマ励起用高周波電源と、
    プラズマ励起用の高周波より低い周波数の電位調整用の高周波電力を印加する電位調整用高周波電源及び直流電圧を印加する直流電源
    被処理体を載置する載置台と、
    前記載置台に載置された被処理体より外側であって前記載置台に対向し、上部電極の外縁にて該上部電極と離隔して配置され、前記電位調整用高周波電源及び前記直流電源接続された補助電極と、を備え
    前記電位調整用高周波電源から前記補助電極への高周波電力の印加と前記直流電源から前記補助電極への直流電圧の印加とを切り替えることを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 下部電極としての前記載置台にバイアス用の高周波電力を印加するバイアス用高周波電源を備え、
    前記バイアス用高周波電源から印加される高周波電力が500W以下の場合、前記電位調整用高周波電源から前記補助電極に高周波電力を印加し、
    前記バイアス用高周波電源から印加される高周波電力が1500W以上の場合、前記直流電源から前記補助電極に直流電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記プラズマ励起用高周波電源から印加される高周波電力は、200W以上に設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 多層膜構造の異なる複数のエッチングプロセスを前記処理容器内で連続して実行する場合、各エッチングプロセスの条件に応じて前記電位調整用高周波電源から前記補助電極への高周波電力の印加と前記直流電源から前記補助電極への直流電圧の印加とを切り替えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  5. 多層膜構造の異なる複数のエッチングプロセスを前記処理容器内で連続して実行する場合、各エッチングプロセスの条件に応じて前記電位調整用高周波電源又は前記直流電源からの高周波電力又は直流電圧の印加先を、前記補助電極と前記上部電極との間で切り替える第1の切替機構を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記電位調整用高周波電源及び前記バイアス用高周波電源は、前記補助電極及び前記下部電極に接続される1つの高周波電源から構成され、
    前記高周波電源から前記補助電極への高周波電力の印加と同一の該高周波電源から前記下部電極への高周波電力の印加とを切り替える第2の切替機構を有することを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  7. 前記電位調整用高周波電源及び前記バイアス用高周波電源は、前記補助電極及び前記下部電極に接続される1つの高周波電源から構成され、
    前記高周波電源から前記補助電極へ印加される高周波電力と同一の該高周波電源から前記下部電極へ印加される高周波電力とのパワー比を配分するパワースプリッタを有することを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  8. 前記補助電極は、シリコンを含有した材料又は金属から形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  9. 前記処理容器の壁は、アルミニウムの母材に絶縁物を溶射した部材、或いは、シリコン又はアルミニウムの母材に炭化ケイ素を被覆した部材から形成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  10. プラズマ励起用の高周波電力を印加して処理容器内のプラズマ処理空間にプラズマを生成するプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法であって、
    前記プラズマ処理装置は、プラズマ励起用の高周波より低い周波数の電位調整用の高周波電力を印加する電位調整用高周波電源及び直流電圧を印加する直流電源と、載置台に載置された被処理体より外側であって前記載置台に対向し、上部電極の外縁にて該上部電極と離隔して配置され、前記電位調整用高周波電源及び前記直流電源に接続された補助電極とを備え、
    前記プロセス条件に応じて、前記電位調整用高周波電源又は前記直流電源から前記補助電極へ高周波電力又は直流電圧を印加することを特徴とするプラズマ処理方法。
  11. 前記プラズマ処理装置は、前記電位調整用高周波電源及び前記直流電源に加え、下部電極としての前記載置台にバイアス用の高周波電力を印加するバイアス用高周波電源を備え、
    前記バイアス用高周波電源から印加される高周波電力が500W以下の場合、前記電位調整用高周波電源から前記補助電極に高周波電力を印加し、
    前記バイアス用高周波電源から印加される高周波電力が1500W以上の場合、前記直流電源から前記補助電極に直流電圧を印加することを特徴とする請求項10に記載のプラズマ処理方法。
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