(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態を示す。画像読取装置100は、制御回路110と画像読取モジュール120から構成される。
制御回路110は、アナログ出力信号をデジタル変換処理するアナログデジタル変換装置112と、デジタル変換された信号を記憶するメモリー114と、クロックパルス信号CLK及びスタートパルス信号SP1〜SP6を発生する信号制御装置116で構成され、本体装置118に接続される。
画像読取モジュール120は、センサICチップ122a〜122l,光源124及び図示しないフレームやレンズなどにより構成される。
画像読取モジュール120に対し、制御回路110からスタートパルス信号SP1〜SP6及びクロックパルス信号CLKが入力されると、各ブロックのセンサICチップ122a〜122lで信号処理されたアナログ出力信号A1〜A6がアナログデジタル変換装置112に入力される。
センサICチップ122a〜122lは、隣接する2つのセンサICチップ同士で1つのブロックを構成し、12個のセンサICチップ122a〜122lは6つのブロックを構成する。例えば、センサICチップ122aと122bとで1番目のブロックを構成する。同様にセンサICチップ122cと122dで2番目のブロックを構成し、最終の6番目のブロックはセンサICチップ122kと122lで構成される。
この6つのブロックに対して信号制御装置116から各ブロック毎にスタートパルス信号SP1〜SP6を入力できるよう構成されている。
画像読取装置100は、光源124が図示しない原稿に対して光を照射し、その反射光を各光電変換素子が電気信号に変換する。そして前記電気信号はセンサICチップ122a〜122lで増幅や信号処理されて各ブロック毎にアナログ出力信号A1〜A6としてアナログデジタル変換装置112にシリアルに入力される。詳しくは後述するが、センサICチップ122a〜122lには光電変換素子が一定の間隔で列状に形成されており、光電変換素子で受光した情報を端から順にアナログ出力信号A1〜A6の形式でシリアルに出力される。例えば、1つのセンサICチップの光電変換素子の数を864個とした場合、1番目のブロックから出力されるアナログ出力信号A1は、センサICチップ122aの1番目の情報を出力し、最終の光電変換素子である864番目までの情報を順に出力する。続いて2番目のセンサICチップ122bの先頭の光電変換素子である865番目の情報を出力し、最終の光電変換素子である1728番目までの情報を順に出力する。アナログ出力信号A1〜A6を出力する手段として、画像読取モジュール120に設けられたパターン配線,コネクタ及びケーブルなどにより制御回路110に運ばれ、アナログデジタル変換装置112に入力される。
各ブロックでは、例えば1番目のセンサICチップ122aの出力が終わる時、又は終わる前に、センサICチップ122aの出力が終わる旨の信号がセンサICチップ122aと122bを接続する配線126aを通じてセンサICチップ122bに送信される。続いてセンサICチップ122bの1番目から864番目の光電変換素子の情報が同様に出力される。配線126b〜126fも同様の働きを有する。たとえば最終のブロックのセンサICチップ122kと122lを接続する配線126fはセンサICチップ122kの出力が終わる旨の信号をセンサICチップ122lに送信する。これにより他のブロックについても同様にアナログ出力信号A2〜A6が出力される。
第1の実施の形態は、信号制御装置116が任意若しくは一定のタイミングでスタートパルス信号SP1〜SP6を発信する機能を有し、各ブロックにスタートパルス信号SP1〜SP6を供給できるよう接続されている。このためスタートパルス信号SP1のみを入力すると1番目のブロックのみアナログ出力信号A1を出力させることが可能である。スタートパルス信号SP1〜SP6を任意のタイミングで個々のブロックに入力することができるため、いずれのブロックからも任意のタイミングでアナログ出力信号A1〜A6を取り出すことができる。
特許文献1においては、各ブロック毎に任意のクロックパルス信号を供給する構成が記載されているが、各ブロックに入力されるスタートパルス信号は共通のものを使用している。この構成によれば、1つのクロックパルス信号の周期内においてのみ任意のタイミングでアナログ出力信号を得ることができるに留まる。具体的には、周波数が1MHzのクロックパルス信号の場合、基準となるクロックパルス信号に対し、その周期である1μsecの範囲でしか、アナログ出力信号を任意のタイミングで取り出すことができない。
これに対して第1の実施の形態のようにクロックパルスの単位であれば、1μsecから無限の範囲で任意のタイミングでアナログ出力信号を任意のタイミングで取り出すことが可能である点で発明の構成と効果が相違している。
また、特許文献1においては、各ブロックに入力するクロックパルス信号の位相をずらし、各ブロックから出力される各ブロックから出力されるアナログ出力信号の位相をずらしている。そして、アナログ出力信号の位相のずれに応じて順次スイッチなどによる切り替えを行い、画像読取装置を構成するブロック数よりも少ないチャンネルのアナログデジタル変換装置を使用することが示されている。この様な構成をとる目的は、各ブロックから出力されるアナログ出力信号A1〜A6を1チャンネル又は3チャンネルの入力端子しか持たない比較的安価なアナログデジタル変換装置を使用するためであり、本発明の消費電流を抑えるという目的とは相違する。
センサICチップは、クロックパルス信号に応じてアナログ出力信号を出力するため、ブロック間でクロックパルス信号の位相がずれると、クロックパルス信号に応じて出力されるアナログ出力信号も同様にずれることになる。一般にはアナログ出力信号をデジタル変換する際に取込むタイミングはクロックパルス信号を基準に定めているため、特許文献1の構成において、ブロック間でクロックパルス信号の位相がずれると、デジタル変換の際にアナログ出力信号を取込むタイミングにもずれが生じる。このアナログ出力信号はアンプなどで増幅処理されて出力されるため、アンプの応答特性やノイズなどの影響を受け、デジタル変換の際に取込まれる情報にずれが生じる。このずれが、各ブロック間の画質に差異となって表れる。
これに対して第1の実施の形態では、センサICチップ122a〜122lの消費電流ID1が増加するタイミングをずらすことで消費電流ITDの増加を抑制することにある。そして、スタートパルス信号SP1〜SP6を入力するタイミングは、一般にクロックパルス信号CLKの立ち上がりまたは立ち下がりに係るように入力すれば足りる。また、各ブロックに入力されるクロックパルス信号CLKは共通であるため、各ブロックから出力されるアナログ出力信号A1〜A6の位相にずれは生じない。デジタル変換の際にアナログ出力信号を取込むタイミングもずれず、各ブロック間の画質は安定する。
図2はセンサICチップ122aの等価回路である。センサICチップ122aは864個からなる光電変換素子D1〜D864とアンプAMP及び、アナログ記録回路Eから構成される。そして電源電圧VDD、スタートパルス信号SP、クロックパルス信号CLK、基準電圧Vref、電源グランドGNDが供給される。
センサICチップ122aは光電変換素子D1〜D864で図示しない原稿からの反射光を受光し、電気信号に変換する。この電気信号はアナログ記録回路Eに一度記録され、光電変換素子D1,D2からD863,D864の順にアンプAMPで増幅してアナログ出力信号A1をシリアルに出力する。
図2示のセンサICチップ122aは、CMOSセンサICチップからなり、光電変換素子D1〜D864はフォトダイオードである。他にフォトトランジスターなどの光電変換素子を有するセンサICチップやCCDタイプのセンサICチップなどを使用することもできる。電源電圧VDDは、3.3Vから5Vで使用されるのが一般的であり、基準電圧Vrefは0.5Vから1.5V程度が印加されるが、本発明はこれに限定されるものではない。
図3はセンサICチップ122aの外形図である。光電変換素子D1〜D864が列状に並んでいる。1番目の光電変換素子を光電変換素子D1とすると、2番目が光電変換素子D2となり、863番目が光電変換素子D863、最終の864番目が光電変換素子D864になる。また、センサICチップ122aには、スタートパルス信号SPを入力する端子TSPや駆動電圧VDDを入力する端子TVDDやクロックパルス信号CLKを入力する端子TCLKやアナログ出力信号A1を出力する端子TA、電源グランドに接続する端子TGND、基準電圧Vrefを入力する端子TVrefなどにより構成さる。このセンサICチップの解像度が1200dpiであれば、各光電変換素子の配列ピッチPiは一般に21.17μm前後のピッチで配列される。
図4はセンサICチップ122aを駆動するためのタイミングチャートである。
図4(a)はスタートパルス信号SPを示す。
図4(b)はクロックパルス信号CLKを示す。クロックパルス信号CLKに併記されているアラビア数字は、スタートパルス信号SPが入力されたクロックパルス信号CLKを1番目として順に与えられた数字である。クロックパルス信号CLKに併記されている符号M1は、センサICチップ122aの消費電流の増加する期間を示す。
図4(c)はアナログ出力信号Aを示す。アナログ出力信号Aに併記されているアラビア数字は、センサICチップ122aの光電変換素子の番号を示す。
図4(d)はセンサICチップ122aの消費電流IDを示す。消費電流IDに併記されている符号ID1は、センサICチップ122aの期間M1における消費電流IDの増加量を示す。消費電流IDに併記されている符号ID3は、センサICチップ122aの通常稼働時の消費電流IDを示す。
センサICチップ122aは、スタートパルス信号SPが入力されると82クロックパルス後の83番目のクロックパルス信号CLKで1番目の光電変換素子D1の情報を出力する。順次クロックパルス信号CLKに同期してシリアルに光電変化素子D2〜D864までの情報を出力する。最終は、946番目のクロックパルス信号CLKで864番目の光電変換素子D864の情報が出力される。次のスタートパルス信号SPが入力されると再びセンサICチップ122aの稼働準備が行われるため、1番目から82番目のクロックパルス信号CLKの区間M1で消費電流ID1が増加する。そして83番目のクロックパルス信号CLKからは通常稼働状態にはいるため、消費電流IDは通常稼働状態ID3になる。
この消費電流ID1の増加は、スタートパルス信号SPが入力されると光電変換素子D1〜D864で蓄積した情報をアナログ記録回路Eに転送する処理やリセット処理など、センサICチップの稼働準備が行われる。この間において一般に消費電流IDが増加する傾向がみられる。
図5は図1に示した第1の実施の形態を説明するためのタイミングチャートの一例であり、1周期分のチャートである。
図5(a)はスタートパルス信号SP1を示す。
図5(b)はスタートパルス信号SP2を示す。
図5(c)はスタートパルス信号SP3を示す。
図5(d)はスタートパルス信号SP6を示す。なお、図5では割愛しているが、スタートパルス信号SP4及びSP5も存在する。
図5(e)はクロックパルス信号CLKを示す。クロックパルス信号CLKに併記されたアラビア数字は、スタートパルス信号SP1が入力されたクロックパルス信号を基準に1から順に与えられた数字である。また、クロックパルス信号に併記された符号M1は、1番目のブロックの1番目のセンサICチップ122aの消費電流が増加する期間を示す。同様にクロックパルス信号に併記された符号M2は、1番目のブロックの2番目のセンサICチップ122bの消費電流が増加する期間を示す。
図5(f)はアナログ出力信号A1を示す。アナログ出力信号A1に併記されたアラビア数字は、1番目のブロックの光電変換素子の番号を示す。センサICチップ122aの最初の光電変換素子の番号を1番目とすると最終の光電変換素子の番号は864番目となり、続いてセンサICチップ122bの最初の番号が865番目となり最終の光電変換素子の番号は1728番目となる。
図5(g)はアナログ出力信号A2を示す。アナログ出力信号A2に併記されたアラビア数字は、2番目のブロックの光電変換素子の番号を示す。2番目のブロックの最初の光電変換素子の番号は1729番目となり最終の光電変換素子の番号は3456番目となる。
図5(h)はアナログ出力信号A3を示す。アナログ出力信号A3に併記されたアラビア数字は、3番目のブロックの光電変換素子の番号を示す。3番目のブロックの先頭の光電変換素子の番号を3457番目とすると最終の光電変換素子の番号は5184番目となる。
図5(i)はアナログ出力信号A6を示す。アナログ出力信号A6に併記されたアラビア数字は、6番目のブロックの光電変換素子の番号を示す。6番目の光電変換素子の先頭の光電変換素子の番号を8641番目とすると最終の光電変換素子の番号は10368番目となる。なお、図5では割愛されているが、アナログ出力信号A4及びA5も存在する。
図5(j)は画像読取装置100の消費電流ITDを示す。符号ID1はセンサICチップ122a〜122lの1つ当たりの消費電流IDの増加量を示す。符号ID2は画像読取装置100の通常稼働状態での消費電流ITDを示す。
図5のタイミングチャートでは、1番目のブロック(第1のブロック)にスタートパルス信号SP1(第1のスタートパルス信号)が入力されたときのクロックパルス信号CLKを1番目のクロックパルス信号CLKとすると、1番目のブロックからは83番目のクロックパルス信号で1番目の光電変換素子の情報がアナログ出力信号A1として出力される。
2番目のブロック(第2のブロック)に入力されるスタートパルス信号SP2(第2のスタートパルス信号)はスタートパルス信号SP1から82クロックパルス数遅れて83番目のクロックパルス信号CLKのときに入力され、165番目のクロックパルス信号CLKで2番目のブロックの1729番目の光電変換素子の情報がアナログ出力信号A2として出力される。なお、2番目と3番目のブロックにおいては、前者が第1のブロック、後者が第2のブロックにそれぞれ対応する。同様にスタートパルス信号SP2,SP3においても、前者が第1のスタートパルス信号、後者が第2のスタートパルス信号にそれぞれ対応する。以下同様に3番目と4番目のブロック、4番目と5番目のブロック、5番目と6番目のブロック及びスタートパルス信号SP2〜SP6についても同じことが言える。
3番目のブロックに入力されるスタートパルス信号SP3はスタートパルス信号SP2が入力されてから更に82クロックパルス数後の165番目のクロックパルス信号CLKのときに入力され、247番目のクロックパルス信号CLKで3番目のブロックの3457番目の光電変換素子の情報がアナログ出力信号A3として出力される。
以下同様に4番目から6番目までのブロックにスタートパルス信号SP4〜SP6が各82クロックパルス数ずつ遅れて入力され、これに対応したアナログ出力信号A4〜A6が各82クロックパルス数遅れて出力される。最後の6番目のブロックに入力されるスタートパルス信号SP6は411番目のクロックパルス信号CLKのときに入力され、493番目のクロックパルス信号CLKで6番目のブロックの8641番目の光電変換素子の情報がアナログ出力信号A6として出力される。そして、1番目のブロックにおいては、945番目のクロックパルス信号CLKからセンサICチップ122bの情報が865番目の光電変換素子の情報として順次出力される。
1番目のブロックは1810番目のクロックパルス信号CLKでセンサICチップ122bの最終の情報を1728番目の光電変換素子の情報として出力する。同様に2番目のブロックは1892番目のクロックパルス信号CLKで3456番目の光電変換素子の情報を出力する。3番目のブロックは1974番目のクロックパルス信号CLKで5184番目の光電変換素子の情報を出力する。以下同様に4番目から5番目の最終の光電変換素子の情報が出力され、2220番目のクロックパルス信号CLKで6番目のブロックの最終の10368番目の光電変換素子の情報が出力される。
消費電流ITDは、1番目のブロックにスタートパルス信号SP1が入力されるとセンサICチップ122aの消費電流ID1が増加する。そして1番目のブロックのセンサICチップ122aの消費電流が低下した83番目のクロックパルス信号CLKのタイミングで2番目のブロックにスタートパルス信号SP2が入力されるため、センサICチップ122aの消費電流ID1の低下と入替わって2番目のブロックのセンサICチップ122cの消費電流ID1が増加することにより相殺される。このため画像読取装置100の消費電流ITDは増減せずほぼ一定の値を維持する。同様に165番目のクロックパルス信号CLKで2番目のブロックのセンサICチップ122cの消費電流ID1が低下するのと入替わりに3番目のブロックのセンサICチップ122eの消費電流ID1が上昇する。以下同様に4番目から6番目のブロックについても消費電流ID1の低下と上昇が入替わることで消費電流ITDは増減せずほぼ一定の値を維持する。
更に1番目のブロックのセンサICチップ122bの出力が始まる947番目のクロックパルス信号CLKの前82クロックパルス数である865番目のクロックパルス信号CLKから上昇が始まる。センサICチップ122aからセンサICチップ122bにセンサICチップ122aの出力が終わり、センサICチップ122bの稼働準備が始める旨の信号が配線126aから送られる。センサICチップ122bの稼働準備が行われる865番目から946番目のクロックパルス信号CLKの82クロックパルス数の期間で前述と同様の消費電流ID1の増加が起こる。そして、センサICチップ122bの消費電流ID1が低下する947番目のクロックパルス信号CLKで3番目のブロックのセンサICチップ122dの消費電流ID1が上昇するため、消費電流は増減せずほぼ一定の値を維持する。以下同様に1357番目のクロックパルス信号CLKで6番目のブロックのセンサICチップ122lの消費電流ID1が低下し、1357番目のクロックパルス信号CLKから消費電流ITDは通常稼働状態ID2に戻る。
この結果、従来の画像読取装置B00の消費電流ITDの増加量はID1×6であったが、第1の実施の形態に係る画像読取装置100の消費電流の増加量はIDD×1となり、従来に比べ消費電流ITDの増加量が1/6に抑えられる。
なおセンサICチップ122a〜122lの消費電流の増加する期間M1以上ずらしてスタートパルス信号SP1〜SP6を各ブロックに入力すれば、消費電流の増加を従来の1/6程度にまで抑制が可能となる。
センサICチップ122a及び122bの消費電流ID1が増加する期間M1及びM2はスタートパルス信号SP1を入力してからアナログ出力信号A1が出力されるまでの期間と一致しているが、これは必ず一致するとは限らない。
前述にもあるが、消費電流ID1の増加は、具体的にはスタートパルス信号SP1が入力されると光電変換素子で蓄積した情報をアナログ記録回路Eに転送する処理やリセット処理など、センサICチップの稼働準備が行われるため、この間において消費電流ID1が増加する。しかし、この消費電流ID1の増加する期間はスタートパルス信号SP1〜SP6が入力されてからアナログ出力信号A1〜A6が出力される期間よりも短い場合もある。例えば、スタートパルス信号SP1〜SP6が入力されてからアナログ出力信号A1〜A6が出力されるまでの時間よりも前記稼働準備期間が短い場合もある。仮に消費電流ID1が増加する期間M1が64クロックパルス数の場合、スタートパルス信号SP1を入力した後、次のスタートパルス信号SP2を入力するタイミングは64クロックパルス数後である65番目のクロックパルス信号CLKに入力することになる。
前述した消費電流ITDの増加は、一般にセンサICチップの稼働準備期間において消費電流ID1が増加する傾向がみられるが、他のタイミングで消費電流ITDが増加する場合にも同様に適用可能である。前記準備期間は一般に1〜100クロックパルス数の範囲に設定されているが、これよりも多くのクロックパルス数を要するセンサICチップにおいても適用が可能である。また、第1の実施の形態においては、センサICチップ122a〜122l当たりの光電変換素子が864個を有し、1ブロック当たり1728個有する構成となっているが、これは一例であり、センサICのチップ当たりの光電変換素子数は、光電変換素子の密度や製品の大きさや用途などによって任意または必然的に選択されるものである。
(第2の実施の形態)
図6は、図1の画像読取装置100を駆動するための図5とは別のタイミングチャートの一例である。
図6(a)は、スタートパルス信号SP1を示す。
図6(b)は、スタートパルス信号SP2を示す。スタートパルス信号SP2は、スタートパルス信号SP1から10クロックパルス数遅れて入力される。
図6(c)は、スタートパルス信号SP3を示す。スタートパルス信号SP3は、スタートパルス信号SP2から10クロックパルス数遅れて入力される。
図6(d)は、スタートパルス信号SP4を示す。スタートパルス信号SP4は、スタートパルス信号SP3から10クロックパルス数遅れて入力される。
図6(e)は、スタートパルス信号SP5を示す。スタートパルス信号SP5は、スタートパルス信号SP4から10クロックパルス数遅れて入力される。
図6(f)は、スタートパルス信号SP6を示す。スタートパルス信号SP6は、スタートパルス信号SP5から10クロックパルス数遅れて入力される。
図6(g)はクロックパルス信号CLKを示す。クロックパルス信号CLKに併記されたアラビア数字は、スタートパルス信号SP1が入力されたクロックパルス信号CLKを基準に1から順に与えられた数字である。また、クロックパルス信号CLKに併記された符号M1は、1番目のブロックの1番目のセンサICチップ122aの消費電流が増加する期間を示す。
図6(h)はアナログ出力信号A1を示す。アナログ出力信号A1に併記されたアラビア数字は、1番目のブロックの光電変換素子の番号を示す。1番目のブロックの先頭の光電変換素子の番号は1番目となり、最終の光電変換素子の番号は1728番目となる。
図6(i)はアナログ出力信号A2を示す。アナログ出力信号A2に併記されたアラビア数字は、2番目のブロックの光電変換素子の番号を示す。2番目のブロックの先頭の光電変換素子の番号は1729番目となり、図示しないが最終の光電変換素子の番号は3456番目となる。
図6(j)はアナログ出力信号A3を示す。アナログ出力信号A3に併記されたアラビア数字は、3番目のブロックの光電変換素子の番号を示す。3番目のブロックの先頭の光電変換素子の番号は3457番目となり、図示しないが最終の光電変換素子の番号は5184番目となる。
図6(k)はアナログ出力信号A4を示す。アナログ出力信号A4に併記されたアラビア数字は、4番目のブロックの光電変換素子の番号を示す。図示しないが4番目のブロックの先頭の光電変換素子の番号は5185番目となり、最終の光電変換素子の番号は6912番目となる。
図6(l)はアナログ出力信号A5を示す。アナログ出力信号A5に併記されたアラビア数字は、5番目のブロックの光電変換素子の番号を示す。5番目のブロックの先頭の光電変換素子の番号は6913番目となり、図示しないが最終の光電変換素子の番号は8640番目となる。
図6(m)はアナログ出力信号A6を示す。図示しないがアナログ出力信号A6に併記されたアラビア数字は、6番目のブロックの光電変換素子の番号を示す。6番目のブロックの先頭の光電変換素子の番号は8641番目となり、図示しないが最終の光電変換素子の番号は10368番目となる。
図6(n)は画像読取装置100の消費電流ITDを示す。符号ID1はセンサICチップ122a〜122lの1つ当たりの消費電流IDTの増加量を示す。符号ID2は画像読取装置100の通常稼働状態での消費電流IDTを示す。
図6のタイミングチャートでは、1番目のブロック(第1のブロック)にスタートパルス信号SP1(第1のスタートパルス信号)が入力されたときのクロックパルス信号CLKを1番目のクロックパルス信号CLKとすると、1番目のブロックからは83番目のクロックパルス信号CLKで1番目の光電変換素子の情報がアナログ出力信号A1として出力され、図示しないが続いて84番目のクロックパルス信号CLKで2番目の光電変換素子の情報が出力される。
2番目のブロック(第2のブロック)に入力されるスタートパルス信号SP2(第2のスタートパルス信号)はスタートパルス信号SP1から10クロックパルス数遅れて11番目のクロックパルス信号CLKのときに入力され、93番目のクロックパルス信号CLKで2番目のブロックの1729番目の光電変換素子の情報がアナログ出力信号A2として出力される。
同様に3番目のブロックに入力されるスタートパルス信号SP3はスタートパルス信号SP2が入力されてから更に10クロックパルス数後の21番目のクロックパルス信号CLKのときに入力され、103番目のクロックパルス信号CLKで3番目のブロックの3457番目の光電変換素子の情報がアナログ出力信号A3として出力される。
同様に4番目のブロックに入力されるスタートパルス信号SP4はスタートパルス信号SP3が入力されてから更に10クロックパルス数後の31番目のクロックパルス信号CLKのときに入力され、113番目のクロックパルス信号CLKで3番目のブロックの5185番目の光電変換素子の情報がアナログ出力信号A4として出力される。
同様に5番目のブロックに入力されるスタートパルス信号SP5はスタートパルス信号SP4が入力されてから更に10クロックパルス数後の41番目のクロックパルス信号CLKのときに入力され、123番目のクロックパルス信号CLKで5番目のブロックの6913番目の光電変換素子の情報がアナログ出力信号A5として出力される。
同様に6番目のブロックに入力されるスタートパルス信号SP6はスタートパルス信号SP5が入力されてから更に10クロックパルス数後の51番目のクロックパルス信号CLKのときに入力され、133番目のクロックパルス信号CLKで6番目のブロックの8641番目の光電変換素子の情報がアナログ出力信号A6として出力される。
1番目のブロックは1810番目のクロックパルス信号CLKでセンサICチップ122bの最終の情報が1728番目の光電変換素子の情報として出力される。図示しないが、以下同様に2番目のブロックは1820番目のクロックパルス信号CLKで3456番目の光電変換素子の情報を出力し、3番目のブロックは1830番目のクロックパルス信号CLKで5184番目の光電変換素子の情報を出力する。同様に4番目から5番目の最終の光電変換素子の情報が出力され、1860番目のクロックパルス信号CLKで6番目のブロックの最終の10368番目の光電変換素子の情報が出力される。
消費電流ITDは、1番目のブロックにスタートパルス信号SP1が入力されるとセンサICチップ122aの消費電流ID1が増加する。そしてスタートパルス信号SP2がスタートパルス信号SP1から10クロックパルス数遅れて2番目のブロックに入力されるため、更にセンサICチップ122cの消費電流ID1が増加する。同様以下にスタートパルス信号SP3がスタートパルス信号SP2から10クロックパルス数遅れて3番目のブロックに入力されるため、更にセンサICチップ122eの消費電流ID1が増加する。また更にスタートパルス信号SP4がスタートパルス信号SP3から10クロックパルス数遅れて4番目のブロックに入力されるため、更にセンサICチップ122gの消費電流ID1が増加する。そしてスタートパルス信号SP5がスタートパルス信号SP4から10クロックパルス数遅れて5番目のブロックに入力されるため、更にセンサICチップ122iの消費電流ID1が増加する。そして更にスタートパルス信号SP6がスタートパルス信号SP5から10クロックパルス数遅れて6番目のブロックに入力されるため、更にセンサICチップ122kの消費電流ID1が増加する。
消費電流ITDは51番目のクロックパルス信号CLKまで階段状に上昇するが、その後、83番目のクロックパルス信号CLKから1番目のブロックの消費電流ID1の低下が始まる。以下同様に10クロックパルス数遅れて2番目のブロックの消費電流ID1の低下が93番目のクロックパルス信号CLKで始まり、3番目のブロックの消費電流ID1の低下が103番目のクロックパルス信号CLKで始まり、4番目のブロックの消費電流の低下が113番目のクロックパルス信号CLKで始まり、5番目のブロックの消費電流の低下が123番目のクロックパルス信号CLKで始まり及び6番目のブロックの消費電流の低下が133番目のクロックパルス信号CLKで始まるため、それぞれ消費電流ID1ずつ階段状に低下する。この結果、133番目のクロックパルス信号CLKから通常稼働状態の消費電流ID2になる。
1番目のブロックのセンサICチップ122bの出力が始まる前82クロックパルスである865番目のクロックパルス信号CLKでセンサICチップ122aからセンサICチップ122bにセンサICチップ122aの出力が終わり、センサICチップ122bの稼働準備が始める旨の信号が配線126aから送られる。これにより、865番目から946番目のクロックパルス信号CLKの82クロックパルス数の期間で前述と同様の消費電流ID1の増加が起こる。
そして2番目のブロックは1番目のブロックから10クロックパルス数遅れた875番目のクロックパルス信号CLKから稼働準備が始まるため同様に消費電流ID1の増加が起こる。更に3番目のブロックは2番目のブロックから10クロックパルス数遅れた885番目のクロックパルス信号CLKから稼働準備が始まるため同様に消費電流ID1の増加が起こる。更に続いて4番目のブロックは3番目のブロックから10クロックパルス数遅れた895番目のクロックパルス信号CLKから稼働準備が始まるため同様に消費電流ID1の増加が起こる。以下同様に5番目のブロックは4番目のブロックから10クロックパルス数遅れた905番目のクロックパルス信号CLKから稼働準備が始まるため同様に消費電流ID1の増加が起こり、6番目のブロックは5番目のブロックから10クロックパルス数遅れた915番目のクロックパルス信号CLKから稼働準備が始まるため消費電流ID1の増加が起こるため、消費電流ITDは階段状に上昇する。
その後、947番目のクロックパルス信号CLKから1番目のブロックの消費電流ID1の低下が始まる。以下同様に10クロックパルス数遅れて2番目のブロックの消費電流ID1の低下が957番目のクロックパルス信号CLKで始まり、3番目のブロックの消費電流ID1の低下が967番目のクロックパルス信号CLKで始まり、4番目のブロックの消費電流の低下が977番目のクロックパルス信号CLKで始まり、5番目のブロックの消費電流の低下が987番目のクロックパルス信号CLKで始まり及び6番目のブロックの消費電流の低下が997番目のクロックパルス信号CLKで始まるため、それぞれ消費電流ID1ずつ階段状に低下し、消費電流ITDは通常稼働状態の消費電流ID2に戻る。
このような構成によれば、画像読取装置全体100での消費電流ITDが急激に立ち上がらず、なだらかに消費電流ITDが増減するため、急激な電位や電流の変化により発生するノイズが抑制され読取画質の向上へもつながる。また、例えば消費電流ITDの増加する82クロックパルス数の半分である41番目のクロックパルス信号CLKの周期で以下の様にスタートパルス信号SPを入力してもよい。
具体的には、最初のスタートパルス信号SP1が入力されたクロックパルス信号CLKを1番目とすると、42番目のクロックパルス信号CLKで次のスタートパルス信号SP2が入力され、83番目のクロックパルス信号CLKで次のスタートパルス信号SP3が入力され、124番目のクロックパルス信号CLKで更に次のスタートパルス信号SP4が入力され、165番目のクロックパルス信号CLKで次のスタートパルス信号SP5が入力され、206番目のクロックパルス信号CLKで次のスタートパルス信号SP6が入力される場合が考えられる。
この場合、3番目のブロックにスタートパルス信号SP3が入力される83番目のクロックパルス信号CLKで1番目のブロックの消費電流ID1の低下が始まるため、3番目のブロックの消費電流ID1の増加分と相殺し、消費電流ITDは変動しない。以下同様に4番目のブロックにスタートパルス信号SP4が入力される124番目のクロックパルス信号CLKでは2番目のブロックの消費電流ID1の低下が始まるため、4番目のブロックの消費電流ID1の増加分と相殺する。5番目のブロックにスタートパルス信号SP5が入力される165番目のクロックパルス信号CLKでは3番目のブロックの消費電流ID1の低下が始まるため、5番目のブロックの消費電流ID1の増加分と相殺する。6番目のブロックにスタートパルス信号SP6が入力される165番目のクロックパルス信号CLKでは4番目のブロックの消費電流ID1の低下が始まるため、6番目のブロックの消費電流ID1の増加分と相殺することになる。
このため消費電流ITDの増加量はID1×2になり、消費電流ITDは図12に示す従来例のID1×6よりも消費電流ITDの増加量を1/3に抑えつつ、かつなだらかな消費電流の増減が可能となる。
図7は第1の実施の形態に係る画像読取装置100の光源124が不点灯時におけるアナログ出力信号A1〜A6である。縦軸はアナログ出力信号A1〜A6の電圧値を示し、横軸は光電変換素子の番号を示す。横軸はセンサICチップ122a〜122l単位で区切られている。つまり横軸の目盛りの1から864はセンサICチップ122aの光電変換素子数に対応しており、865から1728はセンサICチップ122bの光電変換素子の番号に対応する。同様に横軸の目盛りの1729から2592はセンサICチップ922c、2593から3456はセンサICチップ122d、3457から4320はセンサICチップ122e、以下同様に続き、9505から10368はセンサICチップ122lの光電変換素子の番号に対応する。
従来の実施例である図13と対比すると例えば、1番目のブロックの1番目のセンサICチップ122aの783番目〜864番目の光電変換素子に対応するアナログ出力信号A1〜A6の変動がなく安定している。従来の実施例であれば、この光源点灯時のアナログ出力信号と光源不点灯時におけるアナログ出力信号の差が画像情報としてデジタル変換されることになる。この場合における画像への影響は1〜5%程度となることが推測されるが、これは前記アナログ出力信号の差の値によってこの比率は変動する。この前記差が仮に1.0Vである場合には、図13にみられる出力変動が0.02V程度であるため、2%程度の影響を受ける。また、アナログ出力信号A1〜A6の情報処理方法として、光源が不点灯時におけるアナログ出力は安定した均一なものと扱い平均値または代表値で処理を行う場合、画質に対して顕著に表れることになる。
(第3の実施の形態)
図8は第1の実施の形態とは別の第3の実施の形態を示す。第3の実施の形態の画像読取装置800は、制御回路810と画像読取モジュール820から構成される。詳しくは下記にて述べるが、制御回路810には、1つのスタートパルス信号SPを出力する信号制御装置816を搭載し、画像読取モジュール820はスタートパルス信号SPを分割してスタートパルス信号SP1〜SP6を各ブロックに供給する信号制御装置828を有する点で、制御回路部110にスタートパルス信号SP1〜SP6を出力する信号制御装置116を有する第1の実施の形態に係る画像読取装置100とは構成が異なる。
制御回路810は、アナログ出力信号A1〜A6をデジタル変換処理するアナログデジタル変換装置812と、デジタル変換された信号を記憶するメモリー814と、クロックパルス信号CLK及びスタートパルス信号SPを発生する信号制御装置816で構成され、本体装置818に接続される。
画像読取モジュール820は、センサICチップ822a〜822lと信号制御装置828と光源824及び図示しないフレーム及びレンズなどにより構成される。
センサICチップ822a〜822lは、隣接する2つのセンサICチップ同士で1つのブロックを構成し、12個のセンサICチップ822a〜822lは6つのブロックを構成する。例えば、センサICチップ822aと822bとで1番目のブロックを構成する。同様にセンサICチップ822cと822dで2番目のブロックを構成し、最終の6番目のブロックはセンサICチップ822kと822lで構成される。
この6つの各ブロックに対して信号制御装置816からスタートパルス信号SPが信号制御装置828に入力される。信号制御装置828は各ブロックにそれぞれ個別のスタートパルス信号SP1〜SP6を入力できるよう構成されている。
画像読取装置800は、光源824が図示しない原稿に対して光を照射し、その反射光を各光電変換素子が電気信号に変換する。画像読取モジュール820に対し、制御回路810からスタートパルス信号SP及びクロックパルス信号CLKが入力されると、画像読取モジュール820に搭載された信号制御装置828が各ブロックに任意のスタートパルス信号SP1〜SP6を各ブロックに入力する。各ブロックからはセンサICチップ822a〜822l内部で信号処理された光電変換素子の情報がアナログ出力信号A1〜A6としてアナログデジタル変換装置812に入力される。
前述したとおり、センサICチップ822a〜822lには光電変換素子が一定の間隔で列状に形成されており、光電変換素子で受光した情報を端から順にアナログ出力信号A1〜A6の形式でシリアルに出力される。例えば、1つのセンサICチップの光電変換素子の数を864個とした場合、1番目のブロックから出力されるアナログ出力信号A1はセンサICチップ822aの1番目の光電変換素子の情報を最初に出力し、最終の864番目までの光電変換素子の情報を順にアナログ出力信号A1として出力する。
1番目のセンサICチップ822aの出力が終わる時、又は終わる前に、センサICチップ822aの出力が終わる旨の信号がセンサICチップ822aと822bを接続する配線826aを通じてセンサICチップ822bに送信される。続いてセンサICチップ822bの先頭の光電変換素子である865番目から順に最終の1728番目の光電変換素子の情報が出力される。配線826b〜826fも同様の働きを有する。たとえば最終のブロックのセンサICチップ822kと822lを接続する配線826fはセンサICチップ822kの出力が終わる旨の信号をセンサICチップ822lに送信する。これにより他のブロックについても同様にアナログ出力信号A2〜A6が出力される。
第3の実施の形態では、信号制御装置816から入力されたスタートパルス信号SPを信号制御装置828が任意若しくは一定のタイミングでスタートパルス信号SP1〜SP6を発信する機能を有し、各ブロックにスタートパルス信号SP1〜SP6を供給できるよう接続されている。スタートパルス信号SP1〜SP6を任意のタイミングで個々のブロックに入力することができるため、いずれのブロックからもスタートパルス信号SPをトリガーにして任意のタイミングでアナログ出力信号A1〜A6を取り出すことができる。
信号制御装置816から、スタートパルス信号SPが入力されると、信号制御装置828がスタートパルス信号SPを6分割し各ブロックに入力する。前記6分割されたスタートパルス信号SP1〜SP6は、クロックパルス信号CLKのタイミングに同期して、任意または固定のタイミングで各ブロックに入力される。具体的には、図5又は図6に記載のタイミングチャートなどの制御がなされる。
第3の実施の形態によれば従来の画像読取装置B00を使用する本体装置B18や制御回路B10のハードウエア部分の変更を極力抑え、本発明に係る第1の実施の形態と同様の効果を奏する。この構成によれば従来の画像読取装置B00の画像読取モジュールB20を除けば本体装置B18や制御回路B10から供給される信号数は変わらず、ソフトウエアによる処理で対応可能となる。
(第4の実施の形態)
図9は第4の実施の形態を示す。画像読取装置900は、制御回路910と画像読取モジュール920から構成される。詳しくは下記にて述べるが、制御回路910には、1のスタートパルス信号SP1,SP2を出力する信号制御装置916を搭載し、スタートパルス信号SP1は1番目から3番目のブロックに入力され、スタートパルス信号SP2は4番目から6番目のブロックに入力される点で、スタートパルス信号SP1〜SP6が1番目から6番目のブロックに対し個々に入力できる第1の実施の形態に係る画像読取装置100とは構成が異なる。
制御回路910は、アナログ出力信号A1〜A6をデジタル変換処理するアナログデジタル変換装置912と、デジタル変換された情報を記憶するメモリー914と、クロックパルス信号CLK及びスタートパルス信号SP1,SP2を発生する信号制御装置916で構成され、本体装置918に接続される。
画像読取モジュール920は、センサICチップ922a〜922lと信号制御装置928と光源924及び図示しないフレーム及びレンズなどにより構成される。
センサICチップ922a〜922lは、隣接する2つのセンサICチップ同士で1つのブロックを構成し、12個のセンサICチップ922a〜922lは6つのブロックを構成する。例えば、センサICチップ922aと922bとで1番目のブロックを構成する。同様にセンサICチップ922cと922dで2番目のブロックを構成し、最終の6番目のブロックはセンサICチップ922kと922lで構成される。
この6つのブロックに対して信号制御装置916からスタートパルス信号SP1が1番目から3番目のブロックに入力され、スタートパルス信号SP2は4番目から6番目のブロックにそれぞれ共通のスタートパルス信号SP1,SP2として入力できるよう構成されている。
画像読取装置900は、光源924が図示しない原稿に対して光を照射し、その反射光を各光電変換素子が電気信号に変換する。画像読取モジュール920に対し、制御回路910からスタートパルス信号SP1,SP2及びクロックパルス信号CLKが入力されると、各ブロックからはセンサICチップ922a〜922lで信号処理された光電変換素子の情報がアナログ出力信号A1〜A6としてアナログデジタル変換装置912に入力される。
前述したとおり、センサICチップ922a〜922lには光電変換素子が一定の間隔で列状に形成されており、光電変換素子で受光した情報を端から順にアナログ出力信号A1〜A6の形式でシリアルに出力される。例えば、1つのセンサICチップの光電変換素子の数を864個とした場合、1番目のブロックから出力されるアナログ出力信号A1はセンサICチップ922aの1番目の光電変換素子の情報を最初に出力し、最終の864番目までの光電変換素子の情報を順にアナログ出力信号A1として出力する。
1番目のセンサICチップ922aの出力が終わる時、又は終わる前に、センサICチップ922aの出力が終わる旨の信号がセンサICチップ922aと922bを接続する配線926aを通じてセンサICチップ922bに送信される。続いてセンサICチップ922bの1番目から864番目の光電変換素子の情報が同様に出力される。配線926b〜926fも同様の働きを有する。たとえば最終のブロックのセンサICチップ922kと922lを接続する配線926fはセンサICチップ922kの出力が終わる旨の信号をセンサICチップ922lに送信する。これにより他のブロックについても同様にアナログ出力信号A2〜A6が出力される。
第4の実施の形態では、信号制御装置916から任意若しくは一定のタイミングでスタートパルス信号SP1,SP2を発信する機能を有し、1番目から3番目のブロックと4番目〜6番目のブロックにスタートパルス信号SP1,SP2を個別に供給できるよう接続されている。このためスタートパルス信号SP1のみを入力すると1番目から3番目のブロックのアナログ出力信号A1〜A3を出力させることが可能である。スタートパルス信号SP1,SP2を任意のタイミングで1番目から3番目のブロック又は4番目から6番目のブロックに入力することができる。
このため画像読取装置900では、クロックパルス信号CLKの単位であれば、クロックパルス信号CLKの1周期から無限の範囲で任意のタイミングで1番目から3番目までのブロック又は4番目から6番目までのブロックの単位でアナログ出力信号A1〜A3又はA4〜A6を任意にずらすことが可能である。
図10は図9に示した第4の実施の形態を説明するためのタイミングチャートの一例であり、1周期分のチャートである。
図10(a)はスタートパルス信号SP1を示す。
図10(b)はスタートパルス信号SP2を示す。
図10(c)はクロックパルス信号CLKを示す。クロックパルス信号CLKに併記されたアラビア数字は、スタートパルス信号SP1が入力されたクロックパルス信号を基準に1から順に与えられた数字である。また、クロックパルス信号CLKに併記された期間M1は、1番目のブロックの1番目のセンサICチップ922aの消費電流ID1が増加する期間を示す。同様にクロックパルス信号CLKに併記された期間M2は、1番目のブロックの2番目のセンサICチップ922bの消費電流ID1が増加する期間を示す。
図10(d)はアナログ出力信号A1を示す。アナログ出力信号A1に併記されたアラビア数字は、1番目のブロックの光電変換素子の番号を示す。センサICチップ922aの先頭の光電変換素子の番号を1番目とすると最終の番号は864番目になり、続いてセンサICチップ922bの先頭は865番目の光電変換素子になり最終は1728番目の光電変換素子になる。
図10(e)はアナログ出力信号A2を示す。アナログ出力信号A2に併記されたアラビア数字は、2番目のブロックの光電変換素子の番号を示す。センサICチップ922cの先頭は1729番目の光電変換素子になり、最終は2592番目の光電変換素子になる。続いてセンサICチップ922dの先頭は2593番目の光電変換素子になり、最終は3456番目の光電変換素子になる。
図10(f)はアナログ出力信号A3を示す。アナログ出力信号A3に併記されたアラビア数字は、3番目のブロックの光電変換素子の番号を示す。センサICチップ922eの先頭は3457番目の光電変換素子になり、最終は4320番目の光電変換素子になる。続いてセンサICチップ922fの先頭は4321番目の光電変換素子になり、最終は5184番目の光電変換素子になる。
図10(g)はアナログ出力信号A4を示す。アナログ出力信号A4に併記されたアラビア数字は、4番目のブロックの光電変換素子の番号を示す。センサICチップ922gの先頭は5185番目の光電変換素子になり、最終は6048番目の光電変換素子になる。続いてセンサICチップ922hの先頭は6049番目の光電変換素子になり、最終は6912番目の光電変換素子になる。
図10(h)はアナログ出力信号A6を示す。アナログ出力信号A6に併記されたアラビア数字は、6番目のブロックの光電変換素子の番号を示す。センサICチップ922kの先頭は8641番目の光電変換素子になり、最終は9504番目の光電変換素子になる。続いてセンサICチップ922lの先頭は9505番目の光電変換素子になり、最終は10368番目の光電変換素子になる。なお、図10では割愛されているがアナログ出力信号A5も存在する。
図10(i)は画像読取装置100の消費電流ITDを示す。符号ID1はセンサICチップ922a〜922lの1つ当たりの消費電流の増加量を示す。符号ID2は画像読取装置900の通常稼働状態での消費電流を示す。
図10のタイミングチャートでは、1番目のブロックにスタートパルス信号SP1が入力されたときのクロックパルス信号CLKを1番目のクロックパルス信号CLKとすると、1番目のブロックからは83番目のクロックパルス信号CLKで1番目の光電変換素子の情報がアナログ出力信号A1として出力され、続いて84番目のクロックパルス信号CLKで2番目の光電変換素子の情報が出力される。
同様に2番目と3番目のブロックにも同時にスタートパルス信号SP1が入力されるため、83番目のクロックパルス信号CLKで2番目のブロックからは1729番目の光電変換素子の情報がアナログ出力信号A2として出力され、3番目のブロックからは3457番目の光電変換素子の情報がアナログ出力信号A3として出力される。
スタートパルス信号SP2は、スタートパルス信号SP2から82クロックパルス数遅れた83番目のクロックパルス信号CLKで入力される。4番目のブロックからは165番目のクロックパルス信号で5185番目の光電変換素子の情報がアナログ出力信号A4として出力され、続いて166番目のクロックパルス信号で5186番目の光電変換素子の情報が出力される。
同様に5番目と6番目のブロックにも同時にスタートパルス信号SP2が入力される。図示しない5番目のブロックは、165番目のクロックパルス信号CLKで6913番目の光電変換素子の情報をアナログ出力信号A5として出力する。6番目のブロックは、165番目のクロックパルス信号CLKで8641番目の光電変換素子の情報をアナログ出力信号A6として出力する。
消費電流ITDは、1番目のブロックにスタートパルス信号SP1が入力されるとセンサICチップ922aの消費電流ID1が増加する。同様に2番目及び3番目のブロックに対してもスタートパルス信号SP1が入力されるため、2番目のブロックのセンサICチップ922c及び3番目のブロックのセンサICチップ922eの消費電流ID1がそれぞれ増加する。
83番目のクロックパルス信号CLKでスタートパルス信号SP2が4番目から6番目のブロックに入力されるため、4番目のブロックのセンサICチップ922gと5番目のブロックのセンサICチップ922i及び6番目のブロックのセンサICチップ922kが稼働準備状態に入るため、それぞれ消費電流ID1が増加する。一方で1番目から3番目までのブロックのセンサICチップ922a,922c,922eの消費電流ID1が低下するため、消費電流ITDは増減せずにほぼ一定の値を維持する。
165番目のクロックパルス信号CLKで、4番目から6番目のブロックのセンサICチップ922g,922i,922kの消費電流ID1がそれぞれ低下するため、消費電流ITDは通常稼働状態の消費電流ID2の状態に戻る。
865番目のクロックパルス信号CLKは、1番目のブロックのセンサICチップ922bの出力が始まる947番目のクロックパルス信号から前に82クロックパルス数進んだタイミングである。センサICチップ922aからセンサICチップ922bにセンサICチップ922aの出力が終わり、センサICチップ922bの稼働準備が始める旨の信号が配線926aから送られる。これにより、865番目から946番目のクロックパルス信号CLKの期間で前述と同様の消費電流ID1の増加が起こる。2番目のブロックも同様にセンサICチップ922dの出力が始まる947番目のクロックパルス信号から前に82クロックパルス進んだタイミングでセンサICチップ922cからセンサICチップ922dにセンサICチップ922cの出力が終わり、センサICチップ922dの稼働準備が始める旨の信号が配線926bから送られる。
前述と同様に865番目から946番目のクロックパルス信号CLKの82クロックパルス数の期間で前述と同様の消費電流ID1の増加が起こる。3番目のブロックについても同様にセンサICチップ922fの出力が始まる947番目のクロックパルス信号CLKから前に82クロックパルス進んだタイミングでセンサICチップ922eからセンサICチップ922fにセンサICチップ922eの出力が終わり、センサICチップ922fの稼働準備が始める旨の信号が配線926cから送られる。これにより、865番目から946番目のクロックパルス信号CLKの82クロックパルス数の期間で前述と同様に3つの各ブロック分で消費電流ID1の増加が起こる。
947番目のクロックパルス信号CLKでセンサICチップ922b,922d,922cの稼働準備期間が終了し、1番目から3番目のブロックのセンサICチップ922b,922d,922eの各消費電流ID1が低下する。そして、これと入替わりに4番目から6番目のブロックのセンサICチップ922h,922j,922lの消費電流ID1が増加する。
前述と同様に4番目のブロックのセンサICチップ922hの出力が始まる1029番目のクロックパルス信号CLKから前に82クロックパルス進んだタイミングでセンサICチップ922gからセンサICチップ922hにセンサICチップ922gの出力が終わり、センサICチップ922hの稼働準備が始める旨の信号が配線926dから送られる。これにより、947番目から1028番目のクロックパルス信号CLKの期間で前述と同様の消費電流ID1の増加が起こる。同様に5番目のブロックのセンサICチップ922jの出力が始まる1029番目のクロックパルス信号CLKから前に82クロックパルス数進んだタイミングでセンサICチップ922iからセンサICチップ922jにセンサICチップ922iの出力が終わり、センサICチップ922jの稼働準備が始める旨の信号が配線926eから送られる。
このため、947番目から1028番目のクロックパルス信号CLKの82クロックパルス数の期間で前述と同様の消費電流ID1の増加が起こる。6番目のブロックについても同様にセンサICチップ922lの出力が始まる前82クロックパルスの時点でセンサICチップ922kからセンサICチップ922lにセンサICチップ922kの出力が終わり、センサICチップ922lの稼働準備が始める旨の信号が配線926fから送られる。これにより、947番目から1028番目のクロックパルス信号CLKから前に82クロックパルス数の進んだタイミングで前述と同様の消費電流ID1の増加が起こる。
このため、1番目から3番目までのブロックの各消費電流ID1の減少と4番目から6番目までのブロックの各消費電流ID1の増加により相殺されるため、消費電流ITDは増減せずほぼ一定の値を維持する。
1029番目のクロックパルス信号CLKでは4番目から6番目の各ブロックの消費電流ITDが低下し、消費電流ITDは通常稼働状態の消費電流ID2に戻る。
この結果、第4の実施の形態に係る画像読取装置の消費電流ITDの上昇は、従来の画像読取装置B00に比して1/2にまで抑えられている。本発明の構成によれば、スタートパルス信号SPが2系統で済み、第1の実施の形態における最初のスタートパルス信号SP1が入力されてから最後のスタートパルス信号SP6が入力されるまでの期間に対し、第四の実施の形態における最初のスタートパルス信号SP1から最後のスタートパルス信号SP2が入力されるまでの期間は1/5に抑えられ、読取周期が短縮できる利点が生じる。このため、消費電流の増加若しくは変化が画像読取装置の特性が許容できる範囲である場合にはこの様な構成も考えられる。
第4の実施の形態にあるセンサICチップ922a及び922bの消費電流が増加する期間M1及びM2はスタートパルス信号SP1を入力してからアナログ出力信号A1が出力されるまでの期間と一致しているが、これは必ず一致するとは限らない。
前述にもあるが、この消費電流ID1の増加は、具体的にはスタートパルス信号SP1が入力されると光電変換素子で蓄積した情報をアナログ記録回路に転送する処理やリセット処理など、センサICチップの稼働準備が行われるため、この間において消費電流ITDが増加するが、この消費電流ITDが増加する処理はアナログ出力信号が出力される期間よりも短い時間である場合もある。例えば、センサICチップ822aの消費電流ID1が増加する期間M1が64クロックパルス数とすると、スタートパルス信号SP1を入力した後、次のスタートパルス信号SP2を入力するタイミングは64クロックパルス数後である65番目のクロックパルス信号CLKに入力することになる。
なお、本発明は前記の第1から4の実施の形態に限定されるものではない。例えば、図1に示したアナログデジタル変換装置が組み込まれた構成を有している必要はない。アナログデジタル変換装置は、画像の読取装置に外付けした状態で使用することもできる。また、光源についても画像読取装置に必ず組み込まれる必要はなく、外部から照射する場合でも本発明の目的は達成される。更にタイミングチャートは数値や組み合わせを変えた様々な態様が考えられる。