JP5569685B2 - スポンジロール - Google Patents

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本発明は、液晶用ガラス基板や各種の合成樹脂フィルムやプレートなどの被洗浄物の表面に付着した塵埃、洗浄水などを除去するためのスポンジロールに関する。
精密製品や電子製品或いはこれらの部品などを洗浄するための洗浄用スポンジロールが従来から知られている。図9に示すように、スポンジロール100は心軸110と複数個の歯車状のスポンジ部材120とを備えている。各スポンジ部材120は心軸110を通す中心孔(図示省略)を有しており、各スポンジ部材120が心軸110に順次嵌着されローラ状に形成されている。スポンジ部材120は、例えば高い柔軟性と弾力性とを有するポリビニルホルマール(PVF)の連続気孔発砲体、所謂スポンジよりなる。
従来のスポンジロール100は、スポンジ部材120の外周面に気孔が表出しており、洗浄水などを大量に吸収し保有することができる。また、スポンジ部材120の外周面には突起が形成されており、突起の側面が被洗浄物の微細な凸部や凹部の壁に自由に接触してこれらの部分に付着している汚れを洗浄する。このようなスポンジロールが特許文献1に開示されている。
実開平03−101230号公報
しかし、従来のスポンジロール100は、心軸110に複数のスポンジ部材120が積層されており、しかもスポンジ部材120同士が密着して配置されているため、被洗浄物から除去した塵埃などがスポンジ部材120の外周面に付着するおそれがある。
そこで、スポンジ部材120同士の間に、図10に示すように、被洗浄物から除去した塵埃などが流れ込む隙間S2を設定することで、スポンジロール100の自己洗浄機能を向上させることが期待できるが、隙間S2を設定した場合、各スポンジ部材120が心軸110に対して直角(図10中のθ1が90度)をなすように配置されるため、被洗浄物にブラシマークが残るおそれがある。
本発明は、上記課題に鑑み、ブラシマークの発生を防止しつつ、自己洗浄機能を備えたスポンジロールを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、軸体と、軸体に装着される薄板状に形成された複数のスポンジ体と、を備えたスポンジロールにおいて、スポンジ体同士の間に隙間を形成すると共にスポンジ体を軸体に斜めに装着する装着手段を備えたことを特徴としている。
本発明のスポンジロールにおいて、好ましくは、装着手段は薄板状に形成されたスペーサで成り、スポンジ体及びスペーサは軸体を通す中心孔を有し、スペーサの中心孔はスペーサ板面に垂直な第1仮想線に対して傾いた線を第2仮想線とした場合に第2仮想線を中心軸として傾いて形成されており、スポンジ体とスペーサとは軸体に交互に装着されていて、スペーサは中心孔によって軸体に斜めに装着され、スポンジ体はスペーサに支持されて軸体に斜めに装着されている。
本発明のスポンジロールにおいて、スポンジ体は、外周から突出した複数の凸片を備えている。
本発明によれば、例えばガラス基板などの被洗浄物の表面を洗浄水などで洗浄するときに、被洗浄物から分離した塵埃などを、スポンジ体同士の間、つまり隙間に流し込むことができる。これにより、塵埃などがスポンジロールの表面に残ることを防止できる。つまり、本実施形態のスポンジロールは自己洗浄機能を有することで、常に被洗浄物に接触するスポンジロールの表面のクリーンな状態を維持することができる。しかも、隙間に隣接するスポンジ体が軸体に対して斜めにセットされているため、ガラス基板などの被洗浄物の表面にブラシマークの発生を防止できる。
本発明の第1実施形態に係るスポンジロールの正面図である。 図1のスポンジロールの分解図である。 図2のA−A線に沿った軸体の断面図である。 本発明の第1実施形態に係るスポンジ体の正面図である。 (A)は第1実施形態に係るスペーサの正面図、(B)は側面図、(C)は(A)のE−E線に沿った断面図である。 (A)は第1実施形態に係るストッパの正面図、(B)は側面図である。 第2実施形態に係るスポンジ体の正面図である。 本発明の装着手段の他の構成例を示す図である。 従来のスポンジロールの正面図である。 従来のスポンジロールを改良した構成例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態に係るスポンジロール1の正面図であり、図2は図1のスポンジロール1の分解図である。
スポンジロール1は軸体10と複数のスポンジ体20と複数のスペーサ30とストッパ40とから構成されている。なお、図2では、説明の便宜上、スポンジ体20とスペーサ30とをそれぞれ2つだけ表示している。
軸体10は金属製で長尺な円筒として構成されている。図3は図2のA−A線に沿った軸体10の断面図である。この図に示すように、軸体10の外表面には4つの凸条部11が形成されている。この凸条部11は図2に示すように、軸体10の全長に亘って一続きに形成されている。4つの凸条部11は、軸まわりに90度間隔で設けられている。凸条部11の数は4つに限定されるものではない。
スポンジ体20はガラス基板などの被洗浄物の表面の塵埃、洗浄水などを除去するための部材である。スポンジ体20は薄板状に形成されている。例えば厚みは1mm〜2mm程度に設定されるが、この厚みに限定されるものではない。
スポンジ体20の材料としては、ポリビニルホルマール(PVF)の連続気孔発泡体の他、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルなどの連続気孔発泡体を利用する。
図4はスポンジ体20の正面図である。この図に示すように、スポンジ体20は軸体10に通されるように、当該軸体10の外周面に当接する中心孔21を有する。この中心孔21は、軸体10の断面形状に一致した形状に形成されており、軸体10の凸条部11に係合する凹部22を有する。
さらに、スポンジ体20は、中心孔21の中心Cから延びた仮想線L1に沿って延出した複数の凸片23を有する。本実施形態では、隣り合う凸片23同士の間隔Dは同じに設定、言い換えれば複数の凸片23は前述の中心Cまわりに等角度間隔に形成されている。
スペーサ30はスポンジ体20同士の間に設けられ、スポンジ体20同士の間に隙間S(図1参照)を画成するための部材である。スペーサ30は金属製又は樹脂製で薄板状に形成されている。例えば厚みは1mm〜2mm程度に設定されるが、この厚みに限定されるものではない。
図5(A)はスペーサ30の正面図である。スペーサ30は輪郭が円形に形成され、その外径R1はスポンジ体20より小さく、好ましくは、スポンジ体20の中心Cから凸片23の付け根までの半径R2(図4参照)以下に設定されている。
図5(A)に示すように、スペーサ30は軸体10に通されるよう、当該軸体10の外周面に当接する中心孔31を有する。この中心孔31は円筒穴として形成されている。さらに、中心孔31は軸体10の断面形状に対応しており、軸体10の凸条部11に係合する凹部32を有する。
図5(B)はスペーサ30の側面図である。この図では軸体の一部を表しており、スペーサ30は軸体10に対して斜めに装着される。具体的には、図5(B)において、スペーサ30の板面に垂直な第1仮想線としての方向Vから所定角度傾いた第2仮想線L2を中心軸とした円筒穴が、スペーサ30に形成されている。つまり中心孔31はスペーサ30の面の法線ベクトルに対して中心軸が傾いて形成されている。この仮想線L2の方向が、軸体10の長手方向に一致している。図示例では、スペーサ30の軸体10の長手方向に対する角度θが80.5°であるが、この角度に限定されるものではない。
ストッパ40は、軸体10に装着したスポンジ体20とスペーサ30とを固定するための部材であり、図1に示すように、スポンジ体20及びスペーサ30の全体を両端から挟んで軸体10の両端に装着されている。ストッパ40は金属又は樹脂で構成されている。
図6(A)はストッパ40の正面図である。ストッパ40は輪郭が円形に形成され、その外径R3はスポンジ体20より小さく、好ましくは、スポンジ体20の中心Cから凸片23の付け根までの半径R2(図4参照)以下に設定されている。
図6(A)に示すように、ストッパ40は軸体10の外周面に当接する中心孔41を有し、該軸体10を中心孔41に挿入することで、軸体10に固定される。さらに、中心孔41は軸体10の断面形状に対応しており、軸体10の凸条部11に係合する凹部42を有する。
図6(B)はストッパの側面図である。この図に示すように、ストッパ40の一方の端面43は、前述のスペーサ30の傾きθと一致した傾斜面として形成されている。
次に、スポンジロール1の組立方法について説明する。
先ず、スポンジ体20とスペーサ30とを軸体10に交互に装着する。このとき、軸体10の各凸条部11を、スポンジ体20とスペーサ30の凹部22,32に係合させる。
軸体10に所望数のスポンジ体20とスペーサ30との装着が完了したら、軸体10の両端にストッパ40を取り付ける。このとき、軸体10の各凸条部11を、ストッパ40の凹部42に係合させる。
図1に示すように、各ストッパ40の傾斜面43がスポンジ体20を押し当てている状態で、図示省略する締結手段でストッパ40を軸体10に固定する。このようにして、スポンジロール1が完成する。
本実施形態のスポンジロール1は、背景技術のブラシロール100と同様に、軸体10の両端を図示省略する洗浄装置の回転軸や軸受に取り付けて、使用に供される。使用の際、スポンジ体外周の凸片23(図4参照)が、ガラス基板などの被洗浄物に所望の接触圧を加えて洗浄装置のノズルからの洗浄水と共に、被洗浄物の表面の塵埃などを除去する。
このように構成されたスポンジロール1は、例えばガラス基板などの被洗浄物の表面を洗浄水などで洗浄するときに、被洗浄物から分離した塵埃などを、スポンジ体20同士の間、つまり隙間Sに流し込むことができる。これにより、塵埃などがスポンジロール1の表面に残ることを防止できる。つまり、本実施形態のスポンジロール1は自己洗浄機能を有することで、常に被洗浄物に接触するスポンジロール1の表面のクリーンな状態を維持することができる。
しかも、隙間に隣接するスポンジ体20が軸体10に対して斜めにセットされているため、ガラス基板などの被洗浄物の表面にブラシマークの発生を防止できる。
さらに、本実施形態は、用意した軸体に必要な数のスポンジ体20とスペーサ30とを装着するだけで作製することができるので、スポンジロールの長さは制限されるものではない。
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係るスポンジロールは、第1実施形態のスポンジロール1に対して、スポンジ体が外周に凸片を備えていない点で異なる。
前述の第1実施形態と同じ要素などには同じ符号を付してその説明を省略する。
図7は第2実施形態に係るスポンジ体20Aの正面図である。スポンジ体20Aは輪郭が円形に形成されており、その外径R4はスペーサ30の外径R1よりも大きく設定されている。
以上説明したが、本発明は発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施をすることができる。
本発明は、図示の寸法比率に限定されるものではない。
前記説明で、装着手段としてスペーサを例示したが、このスペーサに代えて、図8に示すように軸体の表面に所定の間隔を開けて複数のキー溝80を形成してもよい。各キー溝80にスポンジ体が装着される。或いは、軸体の表面を所定の間隔で凸状の膨出部を形成し、該膨出部間に形成される凹部にスポンジ体を装着してもよい。
軸体は、中実な棒材を利用してもよい。
スポンジ体の形状は、図示例に限定されるものではない。
凸片の数や形状は図示例に限定されるものではない。
1 スポンジロール
10 軸体
11 軸体の凸条部
20,20A スポンジ体
21 スポンジ体の中心孔
22 スポンジ体の凹部
23 スポンジ体の凸片
30 スペーサ
31 スペーサの中心孔
32 スペーサの凹部
40 ストッパ
41 ストッパの中心孔
42 ストッパの凹部
80 キー溝

Claims (5)

  1. 軸体と、該軸体に装着される薄板状に形成された複数のスポンジ体と、を備えたスポンジロールにおいて、
    上記スポンジ体同士の間に隙間を形成すると共に、上記スポンジ体を上記軸体に斜めに装着する装着手段を備え、
    上記装着手段はスペーサで成り、
    上記スポンジ体同士の間にスペーサが設けられて上記隙間が形成されており、上記スペーサの厚みが1〜2mmの範囲であり、
    精密製品、電子製品又はこれらの部品を洗浄するために使用されることを特徴とする、スポンジロール。
  2. 前記精密製品、電子製品又はこれらの部品が、ガラス基板、合成樹脂フィルム及び合成樹脂プレートの少なくとも1種の被洗浄物を含むことを特徴とする、請求項1記載のスポンジロール。
  3. 前記装着手段は薄板状に形成されたスペーサで成り、
    前記スポンジ体及び上記スペーサは前記軸体を通す中心孔を有し、
    上記スペーサの中心孔は、スペーサ板面に垂直な第1仮想線に対して傾いた線を第2仮想線とした場合に、上記第2仮想線を中心軸として傾いて形成されており、
    前記スポンジ体と上記スペーサとは前記軸体に交互に装着されていて、上記スペーサは上記中心孔によって前記軸体に斜めに装着され、前記スポンジ体は上記スペーサに支持されて前記軸体に斜めに装着されていることを特徴とする、請求項1又は2記載のスポンジロール。
  4. 前記軸体の全長に亙って複数の凸条部が一続きに形成され、前記スポンジ体及びスペーサの中心孔が該軸体の凸条部に係合する複数の凹部を有し、前記スポンジ体とスペーサとが前記軸体に交互に装着された状態で、前記軸体の凸条部と係合する凹部を有するストッパが該軸体の両端に装着されることを特徴とする、請求項記載のスポンジロール。
  5. 前記スポンジ体は、外周から突出した複数の凸片を備えていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載のスポンジロール。
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