JP5498455B2 - チェン構造 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、汚泥掻寄機の汚泥掻寄板にその駆動力を伝えるチェン伝動装置に用いられたチェン構造に関するものである。
汚泥掻寄機は、下水処理設備の汚水処理槽内などに設けられ、汚水処理槽の底に溜まった各種成分からなる汚泥を、その汚泥掻寄板により汚水処理槽の底の一方の端部側に掻き集めることができ、この掻き集められた汚泥はポンプで吸い出されて汚水処理槽の外部の次の処理施設へ搬出されるようになっていた。
図7から図12は、汚水処理槽内に設置される汚泥掻寄機のチェン伝動装置に用いられる、従来のチェン構造2を説明するために参照する図である。
この従来のチェン構造2は、図7に示すように、駆動用のスプロケットホイール4と、従動用のスプロケットホイール6,8,10と、これらのスプロケットホイール4,6,8,10に巻き掛けられた無端状のチェン12と、チェン12の長さ方向に所定の間隔をおいて設けられた複数のフライト板14(汚泥掻寄板)等を有して構成されていた(特許文献1参照)。
図7においては、スプロケットホイール4,6,8,10及びチェン12の一方しか示されていないが、これらの部品はそれぞれ、同図中紙面垂直方向に互いに対向するよう一対ずつ設けられている。
また、フライト板14は、その両端部が一対のチェン12のそれぞれに固定されているので、駆動用のスプロケットホイール4の回転動作によりチェン12が長さ方向(図7中時計回り方向)に循環移動するのに合わせて移動するようになっていた。
そして、フライト板14は図7中下側部分においては、汚水処理槽3の底面3aに沿うように同図中左向き矢印方向に移動して、底面3a上に堆積した汚泥を同図中左端部側の汚泥貯留部3bに掻き集めるようになっていた。
このような従来のチェン構造2のスプロケットホイール4は、図8(b)に示すように、その長さ方向(同図中左右方向)を貫通する軸孔4aを有する円筒状のボス部4bと、このボス部4bの長さ方向中央部より半径方向(図8(a)中スプロケットホイール4の半径方向)外側に突出する円板状の歯形成部4cにより構成されていた。
そして、図8(a)に示すように、スプロケットホイール4の歯形成部4cの外周部には、歯先部4d(凸部)と歯底部4e(凹部)とが交互にその円周方向に繰り返して形成されるようになっていた。
このようなスプロケットホイール4は、その軸孔4aに相対回転不能に取付けられた回転軸20(図10参照)を介して、不図示のモータ等の駆動装置により駆動されて、その軸線を中心にして回転するようになっていた。
チェン構造2のチェン12は、図9(a)及び(b)に示すように、各々のリンクプレート16が互いに対向する一対の側板部16c,16dにより構成された、複数のリンクプレート16がその長さ方向(図中左右方向)に直列に並べられて連結されていた。
すなわち、図9(a)に示すように、リンクプレート16の同図中左端部は、その一対の側板部16c,16d間の間隔が小さく形成され、同図中右端部は、その一対の側板部16c,16d間の間隔が大きく形成されている。
そして、リンクプレート16の、図9(a)中左端部の間隔が小さい方の一対の側板部16c,16dの外側が、別のリンクプレート16の、図中右端部の間隔が大きい方の一対の側板部16c,16dの内側に挟み込まれるようにして、互いの端部同士が重ね合わされた状態で連結されていた。
これらのリンクプレート16は、それぞれの側板部16c,16dの端部に形成された貫通孔16a,16b,16aを共に挿通する連結ピン17により、互いの端部同士が相対回転可能に連結されるようになっていた。
また、チェン12のリンクプレート16は、互いに対向して配置された一対の側板部16c,16dの図9(a)中左端部同士を連結する、外形形状が円形状の連結部16e(係合部)が形成されており、チェン12は、互いに連結された2つのリンクプレート16、16の連結部16e,16e間に、一対の側板部16c,16dと、互いに隣り合う連結部16e,16eにより構成された空隙部Sを有するようになっていた。
そしてチェン12は、図10に示すように、その長さ方向の一部がスプロケットホイール4の歯形成部4cの外周部に巻き掛けられるようになっていた。すなわち、チェン12は、その巻き掛けられた部分において、その空隙部Sにスプロケットホイール4の歯先部4dが挿通されると共に、その連結部16eがスプロケットホイール4の歯底部4eと、歯先部4dと歯底部4eの間の段差部としての係合部4fに係合するようになっていた。
このようなチェン12は、図7に示すような、他の従動用のスプロケットホイール6,8,10の外周部にも、駆動用のスプロケットホイール4と同様にして巻き掛けられるようになっていた。
このため、上記スプロケットホイール4が回転することにより、チェン12はその長さ方向(図中時計回り方向)に循環移動するようになっていた。
そして、図10に示すように、チェン12のリンクプレート16のいくつ目か毎には、その外側面にアタッチメント18の下端部が、不図示のボルトとナットを用いたネジ締結手段によって固定されるようになっていた。
このアタッチメント18には、スペーサ19を介して、その側面から見た外形形状が略コの字状に形成されたフライト板14が、不図示のボルトとナットを用いたネジ締結手段によって固定されるようになっていた。
そして、従来のチェン構造2は、図11に示すように、図中左右方向に互いに離れた位置に、上記のような一対のスプロケットホイール4が互いに対向して配置されていた。これらのスプロケットホイール4には、上述のようにアタッチメント18が設けられた一対のチェン12がそれぞれ巻き掛けられていた。
別のスプロケットホイール6,8,10も、図11に示すスプロケットホイール4と同様に、図中左右方向に互いに離れた位置に互いに対向して配置されていた。これらのスプロケットホイール6等にも、アタッチメント18が設けられた一対のチェン12がそれぞれ巻き掛けられていた。
互いに対向して配置された一対のスプロケットホイール4は、同じ回転軸20に取付けられるようになっているために、回転軸20を介して互いに同期して回転するようになっており、これらのスプロケットホイール4に巻き掛けられた一対のチェン12もまた、互いに同期して移動するようになっていた。
そして、一対のアタッチメント18は、図11中それぞれの上端部間に掛け渡され、左右方向に長さを有する長尺状のフライト板14を一体的に固定するようになっていたため、フライト板14は、一対のチェン12の長さ方向の移動と共に、自身の長さ方向と直交する方向(図中紙面垂直方向)に移動するようになっていた。
したがって、従来のチェン構造2は、図7に示すように、チェン12に固定されたフライト板14の移動により底面3a上に堆積した汚泥を図中左側の汚泥貯留部3bに掻き集めることができるようにはなっていた。
特開2002−273105号公報
しかしながら、従来のチェン構造2におけるチェン12は、そのリンクプレート16の連結部16eがスプロケットホイール4の歯底部4eや係合部4fに係合しているだけなので、以下のような問題があった。
すなわち、地震等により汚水処理層3内の水が揺れて大きな波が発生し、その波の力がチェン12やフライト板14に加えられた場合には、図12に示すように、チェン12とスプロケットホイール4の係合が外れてしまい、チェン12が脱輪するおそれがあった。
そして、従来のチェン構造2におけるチェン12は、腐食しないという利点を有するプラスチックにより形成されていたので、例えばスチールにより形成されたチェンに比べて軽量であり、浮力による影響を受けやすく、上記波の力によりチェン12がスプロケットホイール4から外れるおそれが高いという問題があった。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、その構造が簡単であり、チェンがスプロケットホイールからその半径外方に離隔して外れるのを防止することができるチェン構造を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために、本発明によるチェン構造は、
その軸線方向に貫通する軸孔を有する円筒状のボス部と、前記ボス部の軸線方向中央部の、径方向外側に形成され、その外周部に凸状の歯先部と凹状の歯底部が交互にその円周方向に繰返し形成された円板状の歯形成部から構成された本体部を有するスプロケットホイールと、
複数のリンクプレートがその長さ方向に直列に並べられて連結され、互いに連結された2つのリンクプレートの連結部間に空隙部を有するチェンと、
前記チェンの長さ方向に所定の間隔をおいて設けられた複数のフライト板とを備え、
前記チェンの前記空隙部に前記スプロケットホイールの前記歯先部が挿通されると共に、前記チェンの前記連結部が前記スプロケットホイールの前記歯底部と、前記歯先部と前記歯底部の間の段差部としての係合部に係合することにより、前記チェンの長さ方向の一部が前記スプロケットホイールの前記歯形成部の外周部に巻き掛けられたチェン構造において、
前記スプロケットホイールは、前記ボス部の軸線方向の端面と略平行になるように配置され、前記ボス部の軸線方向の一端部又は両端部に、その前記ボス部側の面を前記ボス部の端面に接触した状態で一体的に固定され、前記ボス部の軸孔と同軸上で略同一径の軸孔を有する板状の側板を備え
前記側板部は、その径方向外側の外周面が前記歯形成部に係合した前記チェンの外形線より、前記側板部の径方向外側に形成され、前記チェンに固定された前記フライト板のスプロケットホイール側の内側面の移動軌跡よりも、前記側板部の径方向内側に位置するような径寸法に設定され、
前記側板部は、前記チェンが前記歯形成部に係合している場合、及び前記チェンが前記歯形成部から外れて、前記歯形成部の径方向外側にのみ移動するように浮き上がった場合には前記チェンと接触せず、前記チェンが前記歯形成部から外れて、前記歯形成部の径方向外側に移動すると共に、前記チェンの幅方向にも移動するように浮き上がった場合には、前記チェンの幅方向の一端部が、前記側板部の前記歯形成部側の内側面に接触して前記チェンの幅方向の移動が前記歯形成部と互いに係合可能な位置に規制されるように形成されたことを特徴とするものである。
また、本発明によるチェン構造は、
前記側板は互いの端面が対向するように配置された一対のスプロケットホイールの対向する端面とは反対側の端面にそれぞれ設けられたことを特徴とするものである。
また、本発明によるチェン構造は、
前記側板は互いの端面が対向するように配置された一対のスプロケットホイールの対向する端面側にそれぞれ設けられたことを特徴とするものである。
また、本発明によるチェン構造は、
前記側板は前記スプロケットホイールの軸線方向の両端部に設けられたことを特徴とするものである。
また、本発明によるチェン構造は、
前記側板の外形形状は円形状に形成されたことを特徴とするものである。
また、本発明によるチェン構造は、
前記側板の外形形状は多角形状に形成されたことを特徴とするものである。
また、本発明によるチェン構造は、
前記側板は、前記本体部側の内側面の周端部に、前記側板部の径方向外側に行くにつれて前記本体部から離隔するようテーパ面を有し、
前記側板部は、前記チェンが前記歯形成部から外れて、前記歯形成部の径方向外側に移動すると共に、前記チェンの幅方向にも移動するように浮き上がり、前記チェンの幅方向の位置が前記歯形成部と互いに係合可能な位置から外れた場合には、前記チェンの幅方向の一端部が、前記テーパ面に接触して前記チェンの幅方向に移動した位置が前記歯形成部と互いに係合可能な位置に修整されるように形成されたことを特徴とするものである。
また、本発明によるチェン構造は、
前記側板は、その周端部径方向外側に行くにつれて前記本体部から離隔するように折曲げられた折曲げ部を有し、
前記側板部は、前記チェンが前記歯形成部から外れて、前記歯形成部の径方向外側に移動すると共に、前記チェンの幅方向にも移動するように浮き上がり、前記チェンの幅方向の位置が前記歯形成部と互いに係合可能な位置から外れた場合には、前記チェンの幅方向の一端部が、前記折曲げ部の前記歯形成部側の面に接触して、前記チェンの幅方向に移動した位置が前記歯形成部と互いに係合可能な位置に修整されるように形成されたことを特徴とするものである。
このような本発明のチェン構造によれば、
その外周部に複数の歯が形成されたスプロケットホイールと、
前記スプロケットホイールの外周部に巻き掛けられ前記歯に係合する係合部を有するチェンを備えたチェン構造において、
前記スプロケットホイールの軸線方向の一端部又は両端部に側板を備えたことにより、
その構造が簡単であり、チェンがスプロケットホイールからその半径外方に離隔して外れるのを防止することができる。
本発明の第1の実施の形態に係るチェン構造40におけるスプロケットホイール42及びその近傍を拡大しかつその一部を破断して示す部分拡大正面図である。 図1に示すチェン構造40におけるC−C線矢視拡大断面図である。 図1に示すスプロケットホイール42を示す図であって、図3(a)はその正面図、図3(b)は図3(a)におけるD−D線矢視拡大断面図である。 チェン構造40における側板部46を説明するための図であって、図2に示すスプロケットホイール42の一方をその近傍と共に拡大して示す部分拡大側面断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係るチェン構造60におけるスプロケットホイール62及びその近傍を拡大して示す部分拡大側面断面図である。 図5に示すスプロケットホイール62を示す図であって、図6(a)はその正面図、図6(b)は図6(a)におけるE−E線矢視断面図である。 汚泥掻寄機に設けられたチェン構造2,40の全体構造を示す概略断面図である。 図7に示すスプロケットホイール4を示す図であって、図8(a)はその正面図、図8(b)は図8(a)におけるA−A線矢視断面図である。 図7に示すチェン12を示す図であって、図9(a)はその一部破断上面図、図9(b)はその背面図である。 図7に示すスプロケットホイール4及びその近傍を拡大しかつその一部を破断して示す部分拡大正面図である。 図10に示す従来のチェン構造2におけるB−B線矢視拡大断面図である。 従来のチェン構造2におけるチェン12がスプロケットホイール4から外れる現象を説明するための図であって、図11に示すスプロケットホイール4の一方をその近傍と共に拡大して示す部分拡大側面図である。
以下、本発明に係るチェン構造を実施するための形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
図1から図4は、本発明の第1の実施の形態に係るチェン構造40について説明するために参照する図である。これらの図に示すチェン構造40は、前記従来のチェン構造2と同様の部分には同じ符号を付して説明し、従来と同様の構成についての重複する説明は、その一部を除き省略するものとする。
本実施の形態に係るチェン構造40は、図1及び図2に示すように、前記従来のチェン構造2におけるスプロケットホイール2の代わりに、スプロケットホイール42を有しており、スプロケットホイール42の外周部にチェン12が巻き掛けられるようになっている点において、前記従来のチェン構造2とは異なるものである。
すなわち、本実施の形態に係るチェン構造40は、図7に示すように、駆動用のスプロケットホイール42と、従動用のスプロケットホイール56,57,58と、これらのスプロケットホイール42,56,57,58に巻き掛けられた無端状のチェン12と、チェン12の長さ方向に所定の間隔をおいて設けられた複数のフライト板14等を有して構成されている。
そして、チェン構造40のスプロケットホイール42は、図3(b)に示すように、本体部44と、この本体部44の軸線方向の両端部に設けられた一対の側板部46(側板)により構成されている。
このスプロケットホイール42の本体部44は、その軸線方向(図中左右方向)を貫通する軸孔44aを有する円筒状のボス部44bと、このボス部44bの軸線方向中央部の、径方向(図中上下方向)外側に形成された円板状の歯形成部44cにより構成されている。
図3(a)に示すように、スプロケットホイール42の本体部44の歯形成部44cの外周部には、歯先部44d(凸部)と歯底部44e(凹部)とが、交互にその円周方向に繰り返し形成されるようになっている。
そして、スプロケットホイール42は、図3(b)に示すように、その本体部44のボス部44bの軸線方向の両端部にはそれぞれ、側板部46がその内側面46bをボス部44bの両方の端面44gに接触した状態で一体的に固定されている。
このスプロケットホイール42の側板部46は、本体部44のボス部44bの軸孔44aと同軸上で略同一径の軸孔46aを有しており、その外形が円形の板状に形成されている。
そして、側板部46の本体部44側には内側面46bが形成され、この内側面46bの周端部には、その外周面46dに向かうにつれて、スプロケットホイール42から離隔するような、すなわち、その厚さ寸法が小さくなるような、テーパ面46cが形成されている。
そして、チェン構造40のチェン12は、プラスチックにより形成されており、図1に示すように、その長さ方向の一部がスプロケットホイール42の歯形成部44cの外周部に巻き掛けられるようになっている。
すなわち、チェン12は、その巻き掛けられた部分において、その隣り合う連結部16e,16e間の空隙部S(図9参照)にスプロケットホイール42の歯先部44dが挿通されると共に、その連結部16eがスプロケットホイール42の歯底部44eと、歯先部44dと歯底部44eの間の段差部としての係合部44fに係合するようになっている。
このようなチェン12は、図7に示すように、駆動用のスプロケットホイール42以外の他の従動用のスプロケットホイール56,57,58の外周部にも同様に巻き掛けられるようになっており、上記スプロケットホイール42等が回転することによりその長さ方向(図中時計回り方向)に循環移動するようになっている。
そして、チェン構造40は、図2に示すように、図中左右方向に互いに離れた位置に配置された、上記のようなスプロケットホイール42(56,57,58)、チェン12及びアタッチメント18等と、これらと同様の、別のもう1組のスプロケットホイール42(56,57,58)、チェン12及びアタッチメント18等が、互いに対向するように配置されている。
互いに対向して配置された一対のスプロケットホイール42は、同じ回転軸20に取付けられるようになっているために、回転軸20を介して互いに同期して回転するようになっている。これらのスプロケットホイール42に巻き掛けられた一対のチェン12もまた、互いに同期して移動するようになっている。
そして、一対のアタッチメント18は、それぞれの図中上端部間に掛け渡され、図中左右方向に長さを有する長尺状のフライト板14を、一体的に固定するようになっている。このため、フライト板14は、一対のチェン12の長さ方向の同期した移動と共に、自身の長さ方向と直交する方向(図2中紙面に垂直方向)に移動するようになっている。
図2に示すように、スプロケットホイール42の側板部46は、その外周面46dが、その本体部44の歯形成部44cに係合したチェン12の外形線より、径方向外側(図中上側)に形成されるような径寸法に設定されている。
また、この側板部46の外周面46dは、チェン12のアタッチメント18に固定されたフライト板14の内側(スプロケットホイール42側)の内側面14aと接触しないように、チェン12がその長さ方向に移動した際のフライト板14の内側面14aの軌跡よりも、スプロケットホイール42の径方向内側に位置するような径寸法に設定されている。
そして、スプロケットホイール42の一対の側板部46は、互いの内側面46b,46b間にチェン12を非接触の状態で挟み込むような寸法に、互いの間隔が設定されている。
このようなチェン構造40は、図4に示すように、チェン12のリンクプレート16が、スプロケットホイール42の歯形成部44cから外れて浮き上がろうとしても、チェン12の長さ方向に垂直な幅方向(図中左右方向の)の一端部(連結ピン17の一端部)が、一対の側板部46の内側面46bより径方向外側のテーパ面46cに接触して、チェン12がその走行軌跡から幅方向に外れることを防止できるようになっている。
そして、スプロケットホイール42には、一対の側板部46が形成されているため、チェン12は一対の側板部46の内側面46bより径方向外側のテーパ面46cに接触して、その長さ方向に垂直な幅方向の位置を調整されながら案内される。
このため、チェン12のリンクプレート16が、スプロケットホイール42の歯形成部44cから外れそうになった部分は、再度そのリンクプレート16がスプロケットホイール42の歯形成部44cの位置に復帰して、互いに係合できるようになっている。
また、地震等により汚水処理層3内の水が揺れて大きな波が発生し、その波の力により例えば、図7に示すスプロケットホイール56と42の間に巻き掛けられたチェン12が、その幅方向に大きくずれてその走行軌跡から外れた場合においても、チェン12はスプロケットホイール42に巻き掛けられる際に、その一対の側板部46のテーパ面46cや内側面46bに接触して、その幅方向の位置を修整されながら巻き掛けられるため、チェン12の走行軌跡から外れた状態から正常な走行軌跡に戻すことができるようになっている。
このような本実施の形態に係るチェン構造40によれば、地震等により汚水処理層3内の水が揺れて大きな波が発生し、その波の力がチェン12やフライト板14に加えられた場合にも、チェン12がスプロケットホイール42から外れることを防止することができる。
また、本実施の形態に係るチェン構造40においては、チェン12がプラスチックにより形成されていたとしても、チェン12がスプロケットホイール42から外れるのを防止することができる。
また、本実施の形態に係るチェン構造40は、その構造が簡単であるため、その製造作業や取付け作業を容易に行なうことができる。
したがって、以上に説明したように、このような本実施の形態に係るチェン構造40によれば、その構造が簡単であり、チェン12がスプロケットホイール42からその半径外方に離隔して外れるのを防止することができる。
図5及び図6は、本発明の第2の実施の形態に係るチェン構造60について説明するために参照する図である。
本実施の形態に係るチェン構造60は、前記第1の実施の形態に係るチェン構造40におけるスプロケットホイール42の代わりに、スプロケットホイール62を有しており、スプロケットホイール62の外周部にチェン12が巻き掛けられるようになっている点において、前記第1の実地の形態に係るチェン構造40とは異なるものである。
すなわち、チェン構造60のスプロケットホイール62は、図6(b)に示すように、本体部44と、この本体部44のボス部44bの軸線方向の図中右側端部に一体的に設けられた側板部66(側板)により構成されている。
このスプロケットホイール62の側板部66は、図6(a)及び(b)に示すように、その本体部44のボス部44bの軸孔44aと同軸上で、略同一径の軸孔66aを有しており、その外形が多角形の板状に形成されている。
そして、その外周面66d近傍の周端部はその径方向外側に行くにつれて本体部44から離隔するように、本体部44の軸線方向外側に折り曲げられた折曲げ部66cが、外周面66dに沿うように形成されている。
この側板部66の折曲げ部66cによって、前記第1の実施の形態に係る側板部46のテーパ面46cと同様に、チェン12の長さ方向に垂直な幅方向の位置を調整しながら、チェン12の走行軌跡から幅方向に外れることを防止できるようになっている。
そして、チェン構造60の一対のスプロケットホイール62は、図5に示すように、一対の本体部44の互いに対向する側の端面とは反対側の一対の端面に側板部66がそれぞれ配置されるようになっている。
このような本発明の第2の実施の形態に係るチェン構造60によっても、前記第1の実施の形態に係るチェン構造40と同様の効果を得ることができる。すなわち、その構造が簡単であり、チェン12がスプロケットホイール62からその半径外方に離隔して外れるのを防止することができる。
なお、前記第2の実施の形態に係るチェン構造60においては、その一対のスプロケットホイール62は、一対の本体部44の互いに対向する側の端面とは反対側の端面に側板部66がそれぞれ配置されるようになっていたが、一対の本体部44の互いに対向する側の端面に側板部66がそれぞれ配置されるようになっていてもよい。
また、前記第1の実施の形態におけるスプロケットホイール42等においては、本体部44の歯形成部44cと側板部46の内側面46bの間には何も設けないで、本体部44に側板部46等が設けられていたが、例えば、歯形成部44cと側板部46の内側面46bの間にスペーサを介した上で、本体部44に側板部46等を設けてもよい。
歯形成部44cと側板部46の内側面46bの間にスペーサを介するには、それらに形成された貫通孔を共に挿通するボルトのオネジ部にナットを締結するネジ締結により、本体部と側板部が一体的に固定されるようになっていてもよい。このように構成することにより、歯形成部と側板部をスペーサにより連結して、互いが接近・離隔しないように補強することができる。
また、前記第1の実施の形態におけるスプロケットホイール42等においては、本体部44と側板部46等はそれぞれ別々の部材であり、それらが一体的に固定されるようになっていたが、本体部と側板部が同一の部材から一体形成されるようになっていてもよい。同様にして、本体部のボス部と歯形成部も同一の部材から一体形成されるようになっていてもよい。
また、前記第1の実施の形態における側板部46等は、その外形形状が円形状や多角形状に形成されるようになっていたが、これに限定されるわけではなく、他の形状に形成されるようになっていてもよい。
また、前記第1の実施の形態に係るチェン構造40等のそれぞれの構成を適宜組み合わせて、これらの実施の形態と異なるチェン構造が構成されるようになっていてもよい。
また、前記第1の実施の形態に係るチェン構造40等においては、駆動用のスプロケットホイールと従動用のスプロケットホイールに本発明を適用するようになっていたが、駆動用のスプロケットホイール、複数の従動用のスプロケットホイールの一部、又は複数の従動用のスプロケットホイールのすべてのうちの、いずれかのみに本発明を適用するようにしてもよい。
2 チェン構造
3 汚水処理槽
3a 底面
3b 汚泥貯留部
4 スプロケットホイール
4a 軸孔
4b ボス部
4c 歯形成部
4d 歯先部
4e 歯底部
4f 係合部
6,8,10 スプロケットホイール
12 チェン
14 フライト板
14a 内側面
16 リンクプレート
16a,16b 貫通孔
16c,16d 側板部
16e 連結部
17 連結ピン
18 アタッチメント
19 スペーサ
20 回転軸
40 チェン構造
42 スプロケットホイール
44 本体部
44a 軸孔
44b ボス部
44c 歯形成部
44d 歯先部
44e 歯底部
44f 係合部
44g 端面
46 側板部
46a 軸孔
46b 内側面
46c テーパ面
46d 外周面
56,57,58 スプロケットホイール
60 チェン構造
62 スプロケットホイール
66 側板部
66a 軸孔
66b 内側面
66c 折曲げ部
66d 外周面
S 空隙部

Claims (8)

  1. その軸線方向に貫通する軸孔を有する円筒状のボス部と、前記ボス部の軸線方向中央部の、径方向外側に形成され、その外周部に凸状の歯先部と凹状の歯底部が交互にその円周方向に繰返し形成された円板状の歯形成部から構成された本体部を有するスプロケットホイールと、
    複数のリンクプレートがその長さ方向に直列に並べられて連結され、互いに連結された2つのリンクプレートの連結部間に空隙部を有するチェンと、
    前記チェンの長さ方向に所定の間隔をおいて設けられた複数のフライト板とを備え、
    前記チェンの前記空隙部に前記スプロケットホイールの前記歯先部が挿通されると共に、前記チェンの前記連結部が前記スプロケットホイールの前記歯底部と、前記歯先部と前記歯底部の間の段差部としての係合部に係合することにより、前記チェンの長さ方向の一部が前記スプロケットホイールの前記歯形成部の外周部に巻き掛けられたチェン構造において、
    前記スプロケットホイールは、前記ボス部の軸線方向の端面と略平行になるように配置され、前記ボス部の軸線方向の一端部又は両端部に、その前記ボス部側の面を前記ボス部の端面に接触した状態で一体的に固定され、前記ボス部の軸孔と同軸上で略同一径の軸孔を有する板状の側板を備え
    前記側板部は、その径方向外側の外周面が前記歯形成部に係合した前記チェンの外形線より、前記側板部の径方向外側に形成され、前記チェンに固定された前記フライト板のスプロケットホイール側の内側面の移動軌跡よりも、前記側板部の径方向内側に位置するような径寸法に設定され、
    前記側板部は、前記チェンが前記歯形成部に係合している場合、及び前記チェンが前記歯形成部から外れて、前記歯形成部の径方向外側にのみ移動するように浮き上がった場合には前記チェンと接触せず、前記チェンが前記歯形成部から外れて、前記歯形成部の径方向外側に移動すると共に、前記チェンの幅方向にも移動するように浮き上がった場合には、前記チェンの幅方向の一端部が、前記側板部の前記歯形成部側の内側面に接触して前記チェンの幅方向の移動が前記歯形成部と互いに係合可能な位置に規制されるように形成された
    ことを特徴とするチェン構造。
  2. 前記側板は互いの端面が対向するように配置された一対のスプロケットホイールの対向する端面とは反対側の端面にそれぞれ設けられたことを特徴とする請求項1に記載のチェン構造。
  3. 前記側板は互いの端面が対向するように配置された一対のスプロケットホイールの対向する端面側にそれぞれ設けられたことを特徴とする請求項1に記載のチェン構造。
  4. 前記側板は前記スプロケットホイールの軸線方向の両端部に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のチェン構造。
  5. 前記側板の外形形状は円形状に形成されたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のチェン構造。
  6. 前記側板の外形形状は多角形状に形成されたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のチェン構造。
  7. 前記側板は、前記本体部側の内側面の周端部に、前記側板部の径方向外側に行くにつれて前記本体部から離隔するようテーパ面を有し、
    前記側板部は、前記チェンが前記歯形成部から外れて、前記歯形成部の径方向外側に移動すると共に、前記チェンの幅方向にも移動するように浮き上がり、前記チェンの幅方向の位置が前記歯形成部と互いに係合可能な位置から外れた場合には、前記チェンの幅方向の一端部が、前記テーパ面に接触して前記チェンの幅方向に移動した位置が前記歯形成部と互いに係合可能な位置に修整されるように形成されたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のチェン構造。
  8. 前記側板は、その周端部径方向外側に行くにつれて前記本体部から離隔するように折曲げられた折曲げ部を有し、
    前記側板部は、前記チェンが前記歯形成部から外れて、前記歯形成部の径方向外側に移動すると共に、前記チェンの幅方向にも移動するように浮き上がり、前記チェンの幅方向の位置が前記歯形成部と互いに係合可能な位置から外れた場合には、前記チェンの幅方向の一端部が、前記折曲げ部の前記歯形成部側の面に接触して、前記チェンの幅方向に移動した位置が前記歯形成部と互いに係合可能な位置に修整されるように形成されたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のチェン構造。
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