JP5569168B2 - 光塩基発生剤 - Google Patents

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Description

本発明は、光(活性エネルギー線)の照射により塩基を発生する性質を有する化合物、これらを含んでなる光塩基発生剤及び塩基発生方法に関し、更に詳しくは、波長300nm以上にも感光領域を有する、高感度な化合物、これらの化合物を含んでなる光塩基発生剤及び塩基発生方法に関する。
光(活性エネルギー線)感受性の重合開始剤(以下、単に光重合開始剤と略記する場合がある。)による硬化(以下、単に光硬化と略記する場合がある。)は、熱感受性の重合開始剤(以下、単に熱重合開始剤と略記する場合がある。)による硬化(以下、単に熱硬化と略記する場合がある。)と比べて、低温かつ短時間での硬化が可能である、微細なパターンの形成が可能である等の多くの利点を有することから、塗料、印刷インキ、歯科材料、レジストなどの表面加工の分野で広く用いられている。
光硬化技術において使用される光重合開始剤は、発生する活性種により光ラジカル発生剤、光酸発生剤、光塩基発生剤の3つのグループに大別することができる。光ラジカル発生剤は、アセトフェノン等を代表とする、光(活性エネルギー線)の照射によりラジカル種を発生する光重合開始剤で従来から広く用いられているものではあるが、ラジカル種は空気中の酸素によって失活してしまうという性質を有するため、酸素存在下では重合反応が阻害され硬化が抑制されるという欠点がある。そのため、特に光ラジカル発生剤を用いて薄膜を硬化しようとする場合には、空気中の酸素を遮断するなどの特別な工夫が必要とされている。また、光酸発生剤は、光(活性エネルギー線)の照射により酸を発生する光重合開始剤であるため、酸素による阻害を受けないという利点があることから、90年代後半から多種の光酸発生剤が実用に供されているが、光(活性エネルギー線)の照射によって発生する酸が硬化後においても系内に残存する場合には、硬化膜の変性による性能低下の問題や半導体分野等では酸による基板への腐食性の問題が指摘されている。他方で、光塩基発生剤は、光(活性エネルギー線)の照射によって塩基を発生するものであるため、空気中の酸素の阻害を受けず、また、腐食性の問題や硬化膜の変性を生じにくいことから、近年その研究開発が盛んに行われている光重合開始剤である。
このような光塩基発生剤としては、例えばカルバメート系(ウレタン系)の光塩基発生剤(例えば特許文献1等)、α-アミノケトン系の光塩基発生剤(例えば特許文献2等)、4級アンモニウム系の光塩基発生剤(例えば特許文献3、4等)、O-アシルオキシム系の光塩基発生剤(例えば特許文献5等)などの様々な光塩基発生剤が知られている。
一方、光硬化性樹脂として用いられているエポキシ樹脂は、従来より当該樹脂と光酸発生剤等の酸を発生する化合物とを共存させて、光(活性エネルギー線)の作用により酸発生剤から生成した酸によってエポキシ樹脂をグラフト重合させることにより硬化させているが、上でも少し述べたように、硬化後においても酸が系内に残存する場合には、残存する酸が原因となる硬化膜の変性や基板の腐食性の問題がある。このため、これらの問題が生じない硬化方法として、エポキシ樹脂を塩基によって硬化する方法、すなわち、光塩基発生剤によるエポキシ樹脂の硬化が種々検討されているが、現状では、光塩基発生剤に対するエポキシ樹脂の感度不足が原因となって実用化が困難な状況にある。このため、エポキシ樹脂に代わる光硬化性樹脂としてエピスルフィド樹脂を用いた光硬化性樹脂組成物の研究が行われている(例えば特許文献4等)。しかしながら、エピスルフィド樹脂の前駆体であるエピスルフィド化合物は、300nm付近の波長に吸収を示すことから、同じく300nm付近の波長を中心とする光(活性エネルギー線)に感光領域を有する光塩基発生剤をエピスルフィド化合物の硬化(エピスルフィド樹脂の製造)に用いた場合には、光塩基発生剤の塩基の発生効率が低下するという問題点を有していた。
このような状況下、エピスルフィド化合物の光吸収領域と重ならないか、或いは重なる場合であっても塩基の発生効率を低下させずに、効率的に塩基を発生し得る光塩基発生剤、すなわち、従来の光塩基発生剤の感光領域と比べてより長波長の光(活性エネルギー線)に対しても高い感受性を有し、当該長波長の光(活性エネルギー線)の照射によって、効率的に塩基を発生する光塩基発生剤の開発が望まれている。
特開平10−77264号公報 特開平11−71450号公報 特開2003−212856号公報 特開2005−264156号公報 特開2006−36895号公報
本発明が解決しようとする課題は、従来の光塩基発生剤が感光する光(活性エネルギー線)と比べてより長波長の光(活性エネルギー線)の照射によっても、容易に塩基を発生する新規な化合物、これらの化合物を含んでなる光塩基発生剤及び塩基発生方法を提供することにある。
本発明は、一般式[1]
Figure 0005569168
(式中、R及びRは夫々独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状の炭化水素基を表すか、或いはこれらが結合している窒素原子と共に、置換基を有していてもよい炭素数2〜10の含窒素脂肪族環又は含窒素芳香環を形成するものを表し、R及びRは夫々独立して、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表し、R及びRは夫々独立して、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基を表し、n個のRは夫々独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基又は炭素数2〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキルカルボニル基を表し、nは、0〜7の整数を表す。)で示される化合物の発明である。
また、本発明は、上記一般式[1]で示される化合物を含んでなる光塩基発生剤の発明である。
更に、本発明は、上記一般式[1]で示される化合物に、光照射することを特徴とする塩基発生方法の発明である。
本発明の化合物は、従来の光塩基発生剤が感光する光(活性エネルギー線)と比べてより長波長の光(活性エネルギー線)の照射によっても、塩基を効率的に発生する、一般式[1]で示される化合物であり、当該化合物は、波長300nm以上の光(活性エネルギー線)に対しても感光領域を有する9,10-ジアルコキシアントラセン環と、効率的に塩基(アミン)を遊離し得るウレタン構造とを有するため、塩基を効果的に発生する性質を持つものである。
実施例7における、実施例1の化合物を用いた塗膜に光(活性エネルギー線)を照射した場合の照射時間と残膜率との関係を表す図である。 実施例7における、実施例2の化合物を用いた塗膜に光(活性エネルギー線)を照射した場合の照射時間と残膜率との関係を表す図である。 実施例7における、実施例3の化合物を用いた塗膜に光(活性エネルギー線)を照射した場合の照射時間と残膜率との関係を表す図である。 実施例7における、実施例4の化合物を用いた塗膜に光(活性エネルギー線)を照射した場合の照射時間と残膜率との関係を表す図である。
一般式[1]におけるR及びRで示される「置換基を有していてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状の炭化水素基」中の「炭化水素基」としては、具体的には、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、なかでも、アルキル基、アリール基、アラルキル基が好ましく、そのなかでも、アルキル基がより好ましい。
上記「炭化水素基」が「アルキル基」の場合における、「炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基」としては、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル基、2-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、ネオヘプチル基、シクロヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、ネオオクチル基、2-エチルヘキシル基、シクロオクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、ネオノニル基、シクロノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、ネオデシル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、ボルニル基(ボルナン-χ-イル基)、アダマンチル基、メンチル基(メンタ-χ-イル基)等が挙げられ、なかでも、炭素数1〜6の直鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基が好ましい。
上記「炭化水素基」が「アルケニル基」の場合における、「炭素数2〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルケニル基」としては、具体的には、例えばビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、イソプロペニル基、n-ブテニル基、n-ペンテニル基、シクロペンテニル基、n-ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、n-ヘプテニル基、n-オクテニル基、n-ノネニル基、n-デセニル基等が挙げられる。
上記「炭化水素基」が「アルキニル基」の場合における、「炭素数2〜10の直鎖状若しくは分枝状のアルキニル基」としては、具体的には、例えばエチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基(プロパルギル基)、n-ブチニル基、1-メチルプロパルギル基、n-ペンチニル基、n-ヘキシニル基、n-ヘプチニル基、n-オクチニル基、n-ノニニル基、n-デシニル基等が挙げられる。
上記「炭化水素基」が「アリール基」の場合における、「炭素数6〜10のアリール基」としては、具体的には、例えばフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アズレニル基、2-アズレニル基、4-アズレニル基、5-アズレニル基、6-アズレニル基等が挙げられる。
上記「炭化水素基」が「アラルキル基」の場合における、「炭素数7〜10のアラルキル基」としては、具体的には、例えばベンジル基、フェネチル基、α-メチルベンジル基、3-フェニルプロピル基、1-メチル-1-フェニルエチル基、4-フェニルブチル基、2-メチル-2-フェニルプロピル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基等が挙げられる。
一般式[1]におけるR及びRで示される「置換基を有していてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状の炭化水素基」中の「置換基」としては、具体的には、例えばヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等の上記「炭化水素基」に結合する、炭化水素基以外の置換基(官能基)が挙げられる。したがって、本発明において、「置換基を有していてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状の炭化水素基」中の炭素数は、炭化水素基部分の炭素数を意味し、上記置換基(シアノ基等)の炭素数は含まれない。
一般式[1]におけるR及びRで示される「これら(R及びR)が結合している窒素原子と共に、置換基を有していてもよい炭素数2〜10の含窒素脂肪族環又は含窒素芳香環を形成するもの」中の「炭素数2〜10の含窒素脂肪族環又は含窒素芳香環を形成するもの」とは、RとRが連結して、2つの結合手で共に窒素原子と結合する飽和又は不飽和アルキレン基(飽和又は不飽和アルカンジイル基)を形成することを意味し、より具体的には、ヘテロ原子を鎖中に有していてもよい炭素数2〜10の飽和又は不飽和アルキレン基(飽和又は不飽和アルカンジイル基)を形成することを意味する。上記ヘテロ原子を鎖中に有していてもよい炭素数2〜10の飽和又は不飽和アルキレン基(飽和又は不飽和アルカンジイル基)の具体例としては、例えばジメチレン基(エチレン基)、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、1-メチル-ジメチレン基(1-メチル-エチレン基)、1-メチル-トリメチレン基、2-メチル-トリメチレン基、1,4-ジメチル-テトラメチレン基、1,4-ジエチル-テトラメチレン基、1,4-ジプロピル-テトラメチレン基、1,5-ジメチル-ペンタメチレン基、1,5-ジエチル-ペンタメチレン基、1,3,5-トリメチル-ペンタメチレン基等のヘテロ原子を鎖中に有さない直鎖状又は分枝状の炭素数2〜10の飽和アルキレン基(飽和アルカンジイル基)、例えばメチレンオキシメチレン基、メチレンオキシジメチレン基(メチレンオキシエチレン基)、ジメチレンオキシジメチレン基(エチレンオキシエチレン基)、メチレンチオメチレン基、メチレンチオジメチレン基(メチレンチオエチレン基)、ジメチレンチオジメチレン基(エチレンチオエチレン基)、1,1’-ジメチル-ジメチレンオキシジメチレン基(1,1’-ジメチル-エチレンオキシエチレン基)、1,1’-ジエチル-ジメチレンオキシジメチレン基(1,1’-ジエチル-エチレンオキシエチレン基)、1,1’-ジプロピル-ジメチレンオキシジメチレン基(1,1’-ジプロピル-エチレンオキシエチレン基)、1,1’-ジメチル-ジメチレンチオジメチレン基(1,1’-ジメチル-エチレンチオエチレン基)、1,1’-ジエチル-ジメチレンチオジメチレン基(1,1’-ジエチル-エチレンチオエチレン基)、1,1’-ジプロピル-ジメチレンチオジメチレン基(1,1’-ジプロピル-エチレンチオエチレン基)等のヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子等)を鎖中に有する直鎖状又は分枝状の炭素数2〜10の飽和アルキレン基(飽和アルカンジイル基)、例えばブタ-1,3-ジエン-1,4-ジイル基、1,4-ジメチル-ブタ-1,3-ジエン-1,4-ジイル基、1,4-ジエチル-ブタ-1,3-ジエン-1,4-ジイル基、1,4-ジプロピル-ブタ-1,3-ジエン-1,4-ジイル基等のヘテロ原子を鎖中に有さない直鎖状又は分枝状の炭素数2〜10の不飽和アルキレン基(不飽和アルカンジイル基)、例えば2-アザ-ブタ-1,3-ジエン-1,4-ジイル基、1,4-ジメチル-2-アザ-ブタ-1,3-ジエン-1,4-ジイル基、1,4-ジエチル-2-アザ-ブタ-1,3-ジエン-1,4-ジイル基、1,4-ジプロピル-2-アザ-ブタ-1,3-ジエン-1,4-ジイル基、1-アザ-ブタ-1,3-ジエン-1,4-ジイル基、2,4-ジメチル-1-アザ-ブタ-1,3-ジエン-1,4-ジイル基、2,4-ジエチル-1-アザ-ブタ-1,3-ジエン-1,4-ジイル基、2,4-ジプロピル-1-アザ-ブタ-1,3-ジエン-1,4-ジイル基等のヘテロ原子(窒素原子等)を鎖中に有する直鎖状又は分枝状の炭素数2〜10の不飽和アルキレン基(不飽和アルカンジイル基)等が挙げられる。
これらの飽和又は不飽和アルキレン基(飽和又は不飽和アルカンジイル基)のなかでも、例えばジメチレン基(エチレン基)、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、1-メチル-ジメチレン基(1-メチル-エチレン基)、1-メチル-トリメチレン基、2-メチル-トリメチレン基、1,4-ジメチル-テトラメチレン基、1,4-ジエチル-テトラメチレン基、1,4-ジプロピル-テトラメチレン基、1,5-ジメチル-ペンタメチレン基、1,5-ジエチル-ペンタメチレン基、1,3,5-トリメチル-ペンタメチレン基等のヘテロ原子を鎖中に有さない直鎖状又は分枝状の炭素数2〜10の飽和アルキレン基(飽和アルカンジイル基)、例えばメチレンオキシメチレン基、メチレンオキシジメチレン基(メチレンオキシエチレン基)、ジメチレンオキシジメチレン基(エチレンオキシエチレン基)、メチレンチオメチレン基、メチレンチオジメチレン基(メチレンチオエチレン基)、ジメチレンチオジメチレン基(エチレンチオエチレン基)、1,1’-ジメチル-ジメチレンオキシジメチレン基(1,1’-ジメチル-エチレンオキシエチレン基)、1,1’-ジエチル-ジメチレンオキシジメチレン基(1,1’-ジエチル-エチレンオキシエチレン基)、1,1’-ジプロピル-ジメチレンオキシジメチレン基(1,1’-ジプロピル-エチレンオキシエチレン基)、1,1’-ジメチル-ジメチレンチオジメチレン基(1,1’-ジメチル-エチレンチオエチレン基)、1,1’-ジエチル-ジメチレンチオジメチレン基(1,1’-ジエチル-エチレンチオエチレン基)、1,1’-ジプロピル-ジメチレンチオジメチレン基(1,1’-ジプロピル-エチレンチオエチレン基)等のヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子等)を鎖中に有する直鎖状又は分枝状の炭素数2〜10の飽和アルキレン基(飽和アルカンジイル基)が好ましく、そのなかでも、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基のヘテロ原子を鎖中に有さない直鎖状の炭素数4〜7の飽和アルキレン基(飽和アルカンジイル基)がより好ましい。
一般式[1]におけるR及びRで示される「これら(R及びR)が結合している窒素原子と共に、置換基を有していてもよい炭素数2〜10の含窒素脂肪族環又は含窒素芳香環を形成するもの」中の「置換基」としては、具体的には、例えばヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等の上記「含窒素脂肪族環又は含窒素芳香環を形成するもの」に結合する、炭化水素基以外の置換基(官能基)が挙げられる。したがって、本発明において、「置換基を有していてもよい炭素数2〜10の含窒素脂肪族環又は含窒素芳香環を形成するもの」中の炭素数は、含窒素脂肪族環又は含窒素芳香環を形成する部分の炭素数を意味し、上記置換基(シアノ基等)の炭素数は含まれない。
一般式[1]におけるR及びRとしては、「置換基を有していてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状の炭化水素基」、「これらが結合している窒素原子と共に、置換基を有していてもよい炭素数2〜10の含窒素脂肪族環又は含窒素芳香環を形成するもの」がより好ましい。
一般式[1]におけるR及びRで示される炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基としては、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル基、2-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、ネオヘプチル基、シクロヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、ネオオクチル基、2-エチルヘキシル基、シクロオクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、ネオノニル基、シクロノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、ネオデシル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、ボルニル基(ボルナン-χ-イル基)、アダマンチル基、メンチル基(メンタ-χ-イル基)等が挙げられ、なかでも、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基であるメチル基、エチル基、n-プロピル基が好ましく、そのなかでも、炭素数1のアルキル基であるメチル基がより好ましい。
一般式[1]におけるR及びRで示される「置換基を有していてもよいフェニル基」中の「置換基」としては、具体的には、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基等が挙げられる。
一般式[1]におけるR及びRとしては、「水素原子」、「炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基」がより好ましい。
一般式[1]におけるR及びRで示される炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基としては、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル基、2-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、ネオヘプチル基、シクロヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、ネオオクチル基、2-エチルヘキシル基、シクロオクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、ネオノニル基、シクロノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、ネオデシル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、ボルニル基(ボルナン-χ-イル基)、アダマンチル基、メンチル基(メンタ-χ-イル基)等が挙げられ、なかでも、炭素数1〜6の直鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基が好ましい。
一般式[1]におけるRで示されるハロゲン原子としては、具体的には、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
一般式[1]におけるRで示される炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基としては、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル基、2-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、ネオヘプチル基、シクロヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、ネオオクチル基、2-エチルヘキシル基、シクロオクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、ネオノニル基、シクロノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、ネオデシル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、ボルニル基(ボルナン-χ-イル基)、アダマンチル基、メンチル基(メンタ-χ-イル基)等が挙げられる。
一般式[1]におけるRで示される炭素数2〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキルカルボニル基としては、具体的には、例えばメチルカルボニル基(アセチル基)、エチルカルボニル基、n-プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、n-ブチルカルボニル基、イソブチルカルボニル基、sec-ブチルカルボニル基、tert-ブチルカルボニル基、シクロブチルカルボニル基、n-ペンチルカルボニル基、イソペンチルカルボニル基、sec-ペンチルカルボニル基、tert-ペンチルカルボニル基、ネオペンチルカルボニル基、2-メチルブチルカルボニル基、1,2-ジメチルプロピルカルボニル基、1-エチルプロピルカルボニル基、シクロペンチルカルボニル基、n-ヘキシルカルボニル基、イソヘキシルカルボニル基、sec-ヘキシルカルボニル基、tert-ヘキシルカルボニル基、ネオヘキシルカルボニル基、2-メチルペンチルカルボニル基、1,2-ジメチルブチルカルボニル基、2,3-ジメチルブチルカルボニル基、1-エチルブチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、n-ヘプチルカルボニル基、イソヘプチルカルボニル基、sec-ヘプチルカルボニル基、tert-ヘプチルカルボニル基、ネオヘプチルカルボニル基、シクロヘプチルカルボニル基、n-オクチルカルボニル基、イソオクチルカルボニル基、sec-オクチルカルボニル基、tert-オクチルカルボニル基、ネオオクチルカルボニル基、2-エチルヘキシルカルボニル基、シクロオクチルカルボニル基、n-ノニルカルボニル基、イソノニルカルボニル基、sec-ノニルカルボニル基、tert-ノニルカルボニル基、ネオノニルカルボニル基、シクロノニルカルボニル基、ノルボルニルカルボニル基等が挙げられる。
一般式[1]におけるnとしては、0〜5の整数が好ましく、なかでも、0〜3の整数がより好ましく、そのなかでも、0がさらに好ましい。
本発明の一般式[1]で示される化合物において、9,10-ジアルコキシアントラセン環と結合する、上述の如き置換基を有していてもよいカルバミン酸エステル結合を含む置換基(-CR-OCONR)は、9,10-ジアルコキシアントラセン環の1〜4位の炭素原子の何れかに結合するが、なかでも、2位又は3位に結合しているものが好ましい。本発明の化合物は、アントラセン環の9位及び10位に電子供与性基であるアルコキシ基が置換していることにより、アントラセン環の電子密度がより高くなるため、従来の光塩基発生剤が感光する光(活性エネルギー線)と比べてより長波長の光(活性エネルギー線)の照射によっても、効率的に塩基を発生することが可能な光塩基発生剤となり得るのである。
本発明の一般式[1]で示される化合物において、R及びRが「これら(R及びR)が結合している窒素原子と共に、置換基を有していてもよい炭素数2〜10の含窒素脂肪族環又は含窒素芳香環を形成するもの」である場合のアミン部分の構造(NR)、すなわち、「炭素数2〜10の含窒素脂肪族環又は含窒素芳香環」となる場合の具体例としては、例えばアジリジン環(3員環)、アゼチジン環(4員環)、ピロリジン環(5員環)、ピペリジン環(6員環)、ヘキサメチレンイミン環(アゼパン環;7員環)、ヘプタメチレンイミン環(アゾカン環;8員環)、オクタメチレンイミン環(アゾナン環;9員環)、ノナメチレンイミン環(アゼカン環;10員環)、デカメチレンイミン環(11員環)等の炭素数2〜10の含窒素脂肪族環、例えば2-メチルアジリジン環(3員環)、2-メチルアゼチジン環(4員環)、3-メチルアゼチジン環(4員環)、2,5-ジメチルピロリジン環(5員環)、2,5-ジエチルピロリジン環(5員環)、2,5-ジプロピルピロリジン環(5員環)、2,6-ジメチルピペリジン環(6員環)、2,6-ジエチルピペリジン環(6員環)、2,4,6-トリメチルピペリジン環(6員環)等の脂肪族環を構成する炭素原子に結合する水素原子がメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基に置換している炭素数3〜10の含窒素脂肪族環、例えばオキサゾリジン環(5員環)、チアゾリジン環(5員環)、モルホリン環(6員環)、チオモルホリン環(6員環)等の窒素原子以外のヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子等)を鎖中に有する炭素数3〜10の含窒素脂肪族環、例えば2,6-ジメチルモルホリン環(6員環)、2,6-ジエチルモルホリン環(6員環)、2,6-ジプロピルモルホリン環(6員環)、2,6-ジメチルチオモルホリン環(6員環)、2,6-ジエチルチオモルホリン環(6員環)、2,6-ジプロピルチオモルホリン環(6員環)等の窒素原子以外のヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子等)を鎖中に有し、脂肪族環を構成する炭素原子に結合する水素原子がメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基に置換している炭素数4〜10の含窒素脂肪族環、例えばピロール環(5員環)、イミダゾール環(5員環)、ピラゾール環(5員環)等の炭素数3〜4の含窒素芳香環、例えば2,5-ジメチルピロール環(5員環)、2,5-ジエチルピロール環(5員環)、2,5-ジプロピルピロール環(5員環)、2,5-ジメチルイミダゾール環(5員環)、2,5-ジエチルイミダゾール環(5員環)、2,5-ジプロピルイミダゾール環(5員環)、3,5-ジメチルピラゾール環(5員環)、3,5-ジエチルピラゾール環(5員環)、3,5-ジプロピルピラゾール環(5員環)等の芳香環を構成する炭素原子に結合する水素原子がメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基に置換している炭素数4〜10の含窒素芳香環等が挙げられる。すなわち、脂肪族環又は芳香環を構成する炭素原子に結合する水素原子がメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基に置換している炭素数2〜10の含窒素脂肪族環又は含窒素芳香環や、窒素原子以外のヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子等)を鎖中に有する炭素数2〜10の含窒素脂肪族環も、上記「炭素数2〜10の含窒素脂肪族環又は含窒素芳香環」の概念に含まれる。
これらの「炭素数2〜10の含窒素脂肪族環又は含窒素芳香環」のなかでも、例えばアジリジン環(3員環)、アゼチジン環(4員環)、ピロリジン環(5員環)、ピペリジン環(6員環)、ヘキサメチレンイミン環(アゼパン環;7員環)、ヘプタメチレンイミン環(アゾカン環;8員環)、オクタメチレンイミン環(アゾナン環;9員環)、ノナメチレンイミン環(アゼカン環;10員環)、デカメチレンイミン環(11員環)等の窒素原子以外のヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子等)を鎖中に有さず、脂肪族環を構成する炭素原子に結合する水素原子がメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基に置換していない(いわゆる無置換の)炭素数2〜10の含窒素脂肪族環、例えば2-メチルアジリジン環(3員環)、2-メチルアゼチジン環(4員環)、3-メチルアゼチジン環(4員環)、2,5-ジメチルピロリジン環(5員環)、2,5-ジエチルピロリジン環(5員環)、2,5-ジプロピルピロリジン環(5員環)、2,6-ジメチルピペリジン環(6員環)、2,6-ジエチルピペリジン環(6員環)、2,4,6-トリメチルピペリジン環(6員環)等の窒素原子以外のヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子等)を鎖中に有さず、脂肪族環を構成する炭素原子に結合する水素原子がメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基に置換している炭素数3〜10の含窒素脂肪族環、例えばオキサゾリジン環(5員環)、チアゾリジン環(5員環)、モルホリン環(6員環)、チオモルホリン環(6員環)等の窒素原子以外のヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子等)を鎖中に有し、脂肪族環を構成する炭素原子に結合する水素原子がメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基に置換していない(いわゆる無置換の)炭素数3〜10の含窒素脂肪族環、例えば2,5-ジメチルモルホリン環(6員環)、2,5-ジエチルモルホリン環(6員環)、2,5-ジプロピルモルホリン環(6員環)、2,5-ジメチルチオモルホリン環(6員環)、2,5-ジエチルチオモルホリン環(6員環)、2,5-ジプロピルチオモルホリン環(6員環)等の窒素原子以外のヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子等)を鎖中に有し、脂肪族環を構成する炭素原子に結合する水素原子がメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基に置換している炭素数4〜10の含窒素脂肪族環が好ましく、そのなかでも、ピロリジン環(5員環)、ピペリジン環(6員環)、ヘキサメチレンイミン環(アゼパン環;7員環)、ヘプタメチレンイミン環(アゾカン環;8員環)の窒素原子以外のヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子等)を鎖中に有さず、脂肪族環を構成する炭素原子に結合する水素原子がメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基に置換していない(いわゆる無置換の)炭素数4〜7の含窒素脂肪族環がより好ましい。これら好ましい具体例の「含窒素脂肪族環」を有する一般式[1]で示される化合物は、安価かつ容易に製造できるばかりでなく、含窒素芳香環を有するものに比較して、以下のような利点がある。すなわち、含窒素芳香環は光(活性エネルギー線)を吸収する作用があるため、一般式[1]で示される化合物のアミン部分の構造(NR)が含窒素芳香環である場合には、当該化合物中の9,10-ジアルコキシアントラセン環の光(活性エネルギー線)吸収が含窒素芳香環によって阻害されるのに対し、当該アミン部分の構造(NR)が含窒素脂肪族環である場合にはそのような阻害要因がないため、一般式[1]で示される化合物のアミン部分の構造(NR)が含窒素脂肪族環である場合には、当該化合物への光(活性エネルギー線)照射により、効率的に塩基を発生するという点で有用である。
上記「炭素数2〜10の含窒素脂肪族環又は含窒素芳香環」は、更に置換基(官能基)を有していてもよく、当該置換基(官能基)の具体例としては、上でも述べたように、例えばヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。上記「置換基」を有する「炭素数2〜10の含窒素脂肪族環又は含窒素芳香環」の具体例としては、例えば4-ヒドロキシピペリジン環(6員環)、4-メルカプトピペリジン環(6員環)、4-シアノピペリジン環(6員環)、4-ニトロピペリジン環(6員環)、4-クロロピペリジン環(6員環)、4-ブロモピペリジン環(6員環)等が挙げられるが、これらの例に何ら限定されるものではない。
本発明の上記一般式[1]で示される化合物のうち、より具体的な化合物としては、一般式[1]におけるR及びRが、これら(R及びR)が結合している窒素原子と共に、窒素原子以外のヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子等)を鎖中に有さず、脂肪族環を構成する炭素原子に結合する水素原子がメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基に置換していない(いわゆる無置換の)炭素数4〜7の含窒素脂肪族環を形成するものである、一般式[2]
Figure 0005569168
(式中、mは、1〜4の整数を表し、R、R、R、R、R及びnは上記に同じ。)で示されるもの、一般式[1]におけるR及びRが、共に炭素数1〜6の直鎖状のアルキル基である、一般式[3]
Figure 0005569168
(式中、p及びqは夫々独立して、0〜5の整数を表し、R、R、R、R、R及びnは上記に同じ。)で示されるものが挙げられる。これらの化合物は、本発明の他の化合物と比較して、安価かつ容易に製造でき、従来の光塩基発生剤が感光する光(活性エネルギー線)と比べてより長波長の光(活性エネルギー線)の照射によっても、より効率的に塩基を発生できる光塩基発生剤となり得るという点において、好ましい化合物である。
また、上記一般式[2]で示される化合物のより好ましい具体例としては、一般式[2]におけるRが水素原子又は炭素数1のアルキル基であるメチル基であり、Rが水素原子であり、R及びRが共に炭素数1のアルキル基であるメチル基又は共に炭素数4の直鎖状のアルキル基であるn-ブチル基であり、mが2、nが0であって、かつカルバミン酸エステル結合を含む置換基(-CR-OCONR)が9,10-アルコキシアントラセン環の2位に結合しているものが挙げられ、より具体的には、式[4]
Figure 0005569168
(式中、Meは、メチル基を表す。)で示される化合物、式[5]
Figure 0005569168
(式中、Meは、メチル基を表す。)で示される化合物、式[6]
Figure 0005569168
(式中、n-Buは、n-ブチル基を表す。)で示される化合物、及び式[7]
Figure 0005569168
(式中、n-Buは、n-ブチル基を表す。)で示される化合物が、より好ましいものとして挙げられる。
なお、念のため付記すれば、上記式[4]〜[7]で示される化合物は、上記一般式[1]におけるR及びRがこれら(R及びR)が結合している窒素原子と共に、窒素原子以外のヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子等)を鎖中に有さず、脂肪族環を構成する炭素原子に結合する水素原子がメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基に置換していない(いわゆる無置換の)炭素数5の含窒素脂肪族環であるピペリジン環(6員環)を形成するものであり、Rが水素原子又は炭素数1のアルキル基であるメチル基であり、Rが水素原子であり、R及びRが共に炭素数1のアルキル基であるメチル基又は共に炭素数4の直鎖状のアルキル基であるn-ブチル基であり、nが0であって、かつカルバミン酸エステル結合を含む置換基(-CR-OCONR)が9,10-アルコキシアントラセン環の2位に結合しているものに相当する。
更にまた、上記一般式[3]で示される化合物のより好ましい具体例としては、一般式[3]におけるR及びRが共に水素原子であり、R及びRが共に炭素数1のアルキル基であるメチル基であり、p及びqが共に1、nが0であって、かつカルバミン酸エステル結合を含む置換基(-CR-OCONR)が9,10-アルコキシアントラセン環の2位に結合しているものが挙げられ、より具体的には、式[8]
Figure 0005569168
(式中、Meは、メチル基を表す。)で示される化合物が、より好ましいものとして挙げられる。
なお、念のため付記すれば、上記式[8]で示される化合物は、上記一般式[1]におけるR及びRが共に炭素数2のアルキル基であるエチル基であり、R及びRが共に水素原子であり、R及びRが共に炭素数1のアルキル基であるメチル基であり、nが0であって、かつカルバミン酸エステル結合を含む置換基(-CR-OCONR)が9,10-アルコキシアントラセン環の2位に結合しているものに相当する。
なお、上記の具体例以外にも、例えば沸点の高い塩基(アミン)を発生させたい等の、高沸点の塩基(アミン)に由来する含窒素脂肪族環又は含窒素芳香環を必要とする場合には、例えばヒドロキシル基等の置換基(官能基)が結合した含窒素脂肪族環又は含窒素芳香環を形成するもの等が好ましい場合もある。このようなものや上記したもの以外の一般式[1]で示される化合物としては、例えば以下の化学式で示されるものが例示されるが、これらの例によって何ら限定されるものではない。
Figure 0005569168
(式中、Meは、メチル基を表す。)
Figure 0005569168
(式中、Etは、エチル基を表し、n-Prは、n-プロピル基を表し、i-Prは、イソプロピル基を表し、n-Buは、n-ブチル基を表し、n-Penは、n-ペンチル基を表し、n-Hexは、n-ヘキシル基を表し、n-Hepは、n-ヘプチル基を表し、Phは、フェニル基を表す。)
本発明の化合物は、波長200nm以上の光(活性エネルギー線)、より具体的には200nm〜500nmの光(活性エネルギー線)照射によって塩基を発生するもので、例えば波長254nmの光(活性エネルギー線)等のいわゆる従来の光塩基発生剤に対して照射される光(活性エネルギー線)を用いた塩基の発生を排除するものではないが、これまで述べてきたように、本発明の化合物は、従来の光塩基発生剤が感光する光(活性エネルギー線)のみならず、これらの光と比べてより長波長の光(活性エネルギー線)の照射によっても塩基を発生することを特徴とするものであり、より具体的には、例えば波長365nmの光(活性エネルギー線)等の波長300nm以上の光(活性エネルギー線)を照射した場合でも、塩基を発生するのである。また、上記光(活性エネルギー線)のより好ましい範囲は、波長300nm〜500nmの光(活性エネルギー線)であり、これらの好ましい範囲において、本発明の化合物は良好な感度を示し、より具体的には、上記波長300nm〜500nmの領域において、モル吸光係数が3000以上となる吸収波長領域が存在するので、効率的に塩基を発生し得るのである。
次に、本発明の化合物を製造する方法について説明する。本発明の一般式[1]で示される化合物の製造方法としては、例えば式[9]
Figure 0005569168
で示されるアントラキノンの芳香環にR及びRで示される基を有する炭化水素基を導入して、一般式[10]
Figure 0005569168
(式中、R及びRは上記に同じ。)で示される芳香環に上記炭化水素基が導入されたアントラキノン誘導体を合成する。次いで当該誘導体のベンジル位にハロゲン原子を導入し(ベンジル位のハロゲン化)、一般式[11]
Figure 0005569168
(式中、Xは、ハロゲン原子を表し、R及びRは上記に同じ。)で示されるハロゲン化されたアントラキノン誘導体とした後、ベンジル位のハロゲン原子をヒドロキシル化して、一般式[12]
Figure 0005569168
(式中、R及びRは上記に同じ。)で示されるヒドロキシル化されたアントラキノン誘導体を得る。更に、当該ヒドロキシル化されたアントラキノン誘導体を9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体に変換して、一般式[13]
Figure 0005569168
(式中、R、R、R及びRは上記に同じ。)で示されるヒドロキシル化された9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体とし、要すれば、次いで所望とする置換基を芳香環上に導入して、一般式[14]
Figure 0005569168
(式中、R、R、R、R、R及びnは上記に同じ。)で示される置換基を有していてもよいヒドロキシル化された9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体を得、当該誘導体と一般式[15]
Figure 0005569168
(式中、Xは、ハロゲン原子を表し、R及びRは上記に同じ。)で示される化合物とを反応させ、目的とする一般式[1]で示される化合物を合成すればよい。より具体的な製造方法としては、例えば上記式[9]で示されるアントラキノンに対するフリーデルクラフツ反応によるアルキル化等の手法により、上記一般式[10]で示されるアントラキノン誘導体を得る(第一工程)。次いで、第一工程で得られた一般式[10]で示されるアントラキノン誘導体を、例えば2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)等のラジカル開始剤の存在下、当該誘導体に対して、通常0.8〜10当量、好ましくは0.8〜3当量の例えばN-ブロモスクシンイミド(NBS)等のハロゲン化剤と反応させることにより(ウォール・チーグラー反応)、上記一般式[11]で示されるハロゲン化されたアントラキノン誘導体を得る(第二工程)。その後、第二工程で得られた一般式[11]で示される誘導体に、当該誘導体に対して、通常0.8〜10当量、好ましくは0.8〜3当量の硝酸銀等の銀化合物の存在下で水を作用させることにより、上記一般式[12]で示されるヒドロキシル化されたアントラキノン誘導体を得る(第三工程)。更に、第三工程で得られた一般式[12]で示される誘導体に、塩基の存在下、当該誘導体に対して、通常1.8〜10当量、好ましくは1.8〜5当量の例えば亜ジチオン酸ナトリウム(ハイドロサルファイトナトリウム)等の還元剤を作用させ、次いで、当該誘導体に対して、通常1.8〜20当量、好ましくは1.8〜10当量の例えば硫酸ジメチル、硫酸ジ-n-ブチル等のアルキル化剤を作用させることにより、上記一般式[13]で示されるヒドロキシル化された9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体を得る(第四工程)。その後、要すれば、第四工程で得られた一般式[13]で示される誘導体に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルカルボニル基等を導入して、一般式[14]で示される置換基を有していてもよいヒドロキシル化された9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体とし(第五工程)、当該誘導体と、当該誘導体に対して、通常0.8〜5当量、好ましくは0.8〜3当量の上記一般式[15]で示される化合物とを、要すれば当該誘導体に対して、通常0.8〜5当量、好ましくは0.8〜3当量の例えば1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)等の塩基の存在下で反応させることにより(第六工程)、本発明の一般式[1]で示される化合物を得ることができる。
一般式[11]におけるXで示されるハロゲン原子としては、具体的には、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、なかでも、臭素原子が好ましい。
一般式[15]におけるXで示されるハロゲン原子としては、具体的には、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、なかでも、塩素原子、臭素原子が好ましく、そのなかでも、塩素原子がより好ましい。
第一工程による上記一般式[10]で示されるアントラキノン誘導体の合成は、上でも少し述べたように、フリーデルクラフツ反応によるアルキル化等の通常この分野で行われる芳香環へのアルキル化反応で行えばよく、具体的には、例えば式[9]で示されるアントラキノンに対して、塩化アルミニウム等のルイス酸触媒の存在下、適当な有機溶媒中でハロゲン化アルキルを反応させる一般的な手法を適用することにより、一般式[10]で示されるアントラキノン誘導体を得ることができる。また、フリーデルクラフツ反応によるアルキル化が難しい場合には、フリーデルクラフツ反応によるアシル化を行い、ここで生じるカルボニル基を適当な還元剤で還元して、一般式[10]で示されるアントラキノン誘導体を得てもよい。更にまた、得られた一般式[10]で示されるアントラキノン誘導体は、適当な精製操作を行うことで単離すればよい。なお、上記一般式[10]で示されるアントラキノン誘導体が市販されている場合には、上記第一工程を行う必要はなく、当該市販品を用いれば足りる。ここで、市販の一般式[10]で示されるアントラキノン誘導体としては、具体的には、例えば2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、1,4-ジメチルアントラキノン、2,3-ジメチルアントラキノン、2,6-ジメチルアントラキノン等を挙げることができる。
上記第二工程で使用されるハロゲン化剤としては、具体的には、例えばN-クロロスクシンイミド(NCS)、N-ブロモスクシンイミド(NBS)、N-ヨードスクシンイミド(NIS)等のN-ハロゲン化スクシンイミド等のハロゲン化剤が挙げられ、なかでも、N-ブロモスクシンイミド(NBS)を用いることによって得られる臭素化されたアントラキノン誘導体のヒドロキシル化反応が良好な収率で進行し易くなるという点において、N-ブロモスクシンイミド(NBS)が好ましい。これらのハロゲン化剤は、夫々単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、これらのハロゲン化剤は、市販のものを用いれば足りる。
上記第二工程で使用されるラジカル開始剤は、市販のラジカル開始剤を用いれば足り、具体的には、例えば2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミド)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジクミルパーオキシド、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン等のラジカル開始剤が挙げられる。これらのラジカル開始剤は、夫々単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、当該ラジカル開始剤の使用量としては特に限定されないが、その使用量は触媒量でよく、例えば一般式[10]で示されるアントラキノン誘導体1mmolに対して、通常0.01〜0.5mmol、好ましくは0.01〜0.2mmolである。なお、これらのラジカル発生剤は、市販のものを用いれば足りる。
上記第二工程は有機溶媒中で反応を行ってもよく、特に、反応原料である一般式[10]で示されるアントラキノン誘導体が固体である場合には、当該誘導体を有機溶媒で溶解させた溶液中で反応を行うことが望ましい。その場合に使用される有機溶媒としては、反応原料である一般式[10]で示されるアントラキノン誘導体、上記ハロゲン化剤や上記ラジカル開始剤と反応しない有機溶媒であれば特に制限はなく、具体的には、例えばヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル等の非極性有機溶媒、アセトン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性有機溶媒、これらの有機溶媒を脱水処理した脱水有機溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、夫々単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、当該有機溶媒の使用量としては特に限定されないが、例えば一般式[10]で示されるアントラキノン誘導体1mmolに対して、通常0.1mL〜10mL、好ましくは0.2mL〜5mLである。
上記第二工程における反応温度は、一般式[10]で示されるアントラキノン誘導体とハロゲン化剤とが反応するような温度に設定すればよいが、当該アントラキノン誘導体とハロゲン化剤とが効率的に反応し、一般式[11]で示されるハロゲン化されたアントラキノン誘導体を収率よく合成できる温度に設定することが好ましい。具体的には、例えば通常0℃〜120℃、好ましくは20℃〜100℃である。
上記第二工程における反応時間は、一般式[10]で示されるアントラキノン誘導体に対するハロゲン化剤の使用量、有機溶媒の有無、その種類及び使用量、反応温度等により変動する場合があるので一概には言えないが、通常0.2〜24時間、好ましくは0.5〜12時間の範囲に設定される。
上記第二工程において、反応終了後の溶液から、第二工程の生成物である一般式[11]で示されるハロゲン化されたアントラキノン誘導体を単離、精製する方法としては、一般的な後処理、精製操作でよい。具体的には、例えば反応終了後の反応液を濃縮し、次いで濃縮残渣にメタノール等の適当な有機溶媒を投入し、そこで生じた結晶をろ取した後、適当な有機溶媒で洗浄すれば、効率よく精製できる。なお、上記のような精製操作でなくとも、通常のカラムクロマトグラフィーによる精製操作を行ってもよい。
上記第三工程で使用される銀化合物としては、具体的には、例えば硝酸銀、亜硝酸銀、硫酸銀、亜硫酸銀等の銀化合物が挙げられ、なかでも、硝酸銀が好ましい。これらの銀化合物は、夫々単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの銀化合物は、市販のものを用いれば足りる。
上記第三工程においては、反応原料である一般式[11]で示されるハロゲン化されたアントラキノン誘導体が水に溶解しない場合には、水の他に適当な有機溶媒を混合させた混合溶媒中で反応を行えばよい。その場合に使用される有機溶媒としては、水との相溶性があって、反応原料である一般式[11]で示されるハロゲン化されたアントラキノン誘導体や硝酸銀と反応しない有機溶媒であれば特に制限はなく、具体的には、例えばアセトン、アセトニトリル、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性有機溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、夫々単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、当該有機溶媒の使用量としては特に限定されないが、例えば一般式[11]で示されるハロゲン化されたアントラキノン誘導体1mmolに対して、通常0.1mL〜10mL、好ましくは0.2mL〜5mLである。また、第三工程における水は、一般式[11]で示されるハロゲン化されたアントラキノン誘導体をヒドロキシル化させるのに必要な溶媒であり、その使用量としては、一般式[11]で示されるハロゲン化されたアントラキノン誘導体と当量以上であれば特に限定されないが、例えば一般式[11]で示されるハロゲン化されたアントラキノン誘導体1mmolに対して、通常0.1mL〜10mL、好ましくは0.2mL〜5mLである。
上記第三工程における反応温度は、一般式[11]で示されるハロゲン化されたアントラキノン誘導体が効率良く反応し、一般式[12]で示されるヒドロキシル化されたアントラキノン誘導体を良好な収率で合成できる温度に設定することが好ましい。具体的には、例えば通常−20℃〜100℃、好ましくは0℃〜80℃である。
上記第三工程における反応時間は、一般式[11]で示されるハロゲン化されたアントラキノン誘導体に対する銀化合物の使用量、溶媒の種類及びその使用量、反応温度等により変動する場合があるので一概には言えないが、通常0.1〜12時間、好ましくは0.2〜6時間の範囲に設定される。
上記第三工程において、反応終了後の溶液から、第三工程の生成物である一般式[12]で示されるヒドロキシル化されたアントラキノン誘導体を単離、精製する方法としては、一般的な後処理、精製操作でよい。具体的には、例えば反応終了後の反応液をろ過後、適当な有機溶媒で抽出し、次いで得られた抽出液を洗浄後、洗浄後の溶液を濃縮した濃縮残渣について、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の適当な精製操作を行って単離すればよい。
なお、上記一般式[12]で示されるヒドロキシル化されたアントラキノン誘導体が市販されている場合には、上記第一〜第三工程を行う必要はなく、当該市販品を用いれば足りる。ここで、市販の一般式[12]で示されるヒドロキシル化されたアントラキノン誘導体としては、具体的には、例えば2-ヒドロキシメチルアントラキノン等を挙げることができる。
上記第四工程で使用される還元剤としては、具体的には、例えば亜ジチオン酸ナトリウム(ハイドロサルファイトナトリウム)、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤が挙げられ、なかでも、亜ジチオン酸ナトリウム(ハイドロサルファイトナトリウム)が入手容易性、経済性の観点から好ましい。これらの還元剤は、夫々単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの還元剤は、市販のものを用いれば足りる。
上記第四工程で使用されるアルキル化剤としては、具体的には、例えば硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ-n-プロピル、硫酸ジイソプロピル、硫酸ジ-n-ブチル、硫酸ジ-n-ペンチル、硫酸ジ-n-ヘキシル、硫酸ジ-n-ヘプチル、硫酸ジ-n-オクチル、硫酸ジ-n-ノニル、硫酸ジ-n-デシル等の硫酸ジアルキル、例えば臭化メチル、臭化エチル、臭化n-プロピル、臭化イソプロピル、臭化n-ブチル、臭化n-ペンチル、臭化n-ヘキシル、臭化n-ヘプチル、臭化n-オクチル、臭化n-ノニル、臭化n-デシル等の臭化アルキル、例えばヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化n-プロピル、ヨウ化イソプロピル、ヨウ化n-ブチル、ヨウ化n-ペンチル、ヨウ化n-ヘキシル、ヨウ化n-ヘプチル、ヨウ化n-オクチル、ヨウ化n-ノニル、ヨウ化n-デシル等のヨウ化アルキル等のアルキル化剤が挙げられ、なかでも、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ-n-プロピル、硫酸ジイソプロピル、硫酸ジ-n-ブチル等の炭素数1〜4の硫酸ジアルキル、臭化メチル、臭化エチル、臭化n-プロピル、臭化イソプロピル、臭化n-ブチル、臭化n-ペンチル、臭化n-ヘキシル、臭化n-ヘプチル、臭化n-オクチル、臭化n-ノニル、臭化n-デシル等の臭化アルキル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化n-プロピル、ヨウ化イソプロピル、ヨウ化n-ブチル、ヨウ化n-ペンチル、ヨウ化n-ヘキシル、ヨウ化n-ヘプチル、ヨウ化n-オクチル、ヨウ化n-ノニル、ヨウ化n-デシル等のヨウ化アルキル等のアルキル化剤が入手容易性、経済性の観点から好ましい。これらのアルキル化剤は、夫々単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらのアルキル化剤は、市販のものを用いれば足りる。なお、これらアルキル化剤のアルキル部分は、9,10-ジアルコキシアントラセン環の9位及び10位に置換しているアルコキシ基のアルキル基部分、すなわち、一般式[1]で示される化合物でいえば、一般式[1]におけるR及びRで示される基に相当する。
上記第四工程で使用される塩基としては、具体的には、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸のアルカリ金属塩等の塩基が挙げられ、なかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物が好ましく、そのなかでも、水酸化ナトリウムがより好ましい。これらの塩基は、夫々単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、当該塩基の使用量としては、一般式[12]で示されるヒドロキシル化されたアントラキノン誘導体に対して、通常1.8〜20当量、好ましくは1.8〜10当量である。なお、これらの塩基は、市販のものを用いれば足りる。
上記第四工程においては、有機溶媒中で反応を行うことが望ましい。その場合に使用される有機溶媒としては、反応原料である一般式[12]で示されるヒドロキシル化されたアントラキノン誘導体、上記還元剤、上記アルキル化剤や上記塩基と反応しない有機溶媒であれば特に制限はなく、具体的には、例えばヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等の非極性有機溶媒、ジオキサン等の非プロトン性極性有機溶媒等が挙げられる。また、上記塩基として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物を使用した場合には、当該アルカリ金属水酸化物を溶解させるために、水を併用してもよい。これらの有機溶媒及び水は、夫々単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、当該有機溶媒及び水の使用量としては特に限定されないが、例えば一般式[12]で示されるヒドロキシル化されたアントラキノン誘導体1mmolに対して、通常0.1mL〜40mL、好ましくは0.2mL〜20mLである。
上記第四工程において水を併用した場合には、相間移動触媒等の化合物を用いてもよい。その場合に使用される化合物としては、具体的には、例えばテトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、テトラブチルアンモニウムヨージド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムブロミド、トリオクチルメチルアンモニウムヨージド、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムブロミド、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムヨージド等の化合物が挙げられる。これらの化合物は、夫々単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、当該化合物の使用量としては特に限定されないが、その使用量は触媒量でよく、例えば一般式[12]で示されるヒドロキシル化されたアントラキノン誘導体1mmolに対して、通常0.001〜0.2mmol、好ましくは0.001〜0.1mmolである。なお、これらの化合物は、市販のものを用いれば足りる。
上記第四工程における反応温度は、一般式[12]で示されるヒドロキシル化されたアントラキノン誘導体が効率良く反応し、一般式[13]で示されるヒドロキシル化された9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体を良好な収率で合成できる温度に設定することが好ましい。具体的には、例えば通常−20℃〜100℃、好ましくは0℃〜80℃である。
上記第四工程における反応時間は、一般式[12]で示されるヒドロキシル化されたアントラキノン誘導体に対する還元剤及びアルキル化剤の使用量、有機溶媒の種類及びその使用量、反応温度等により変動する場合があるので一概には言えないが、通常0.1〜12時間、好ましくは0.2〜6時間の範囲に設定される。
上記第四工程において、反応終了後の溶液から、第四工程の生成物である一般式[13]で示されるヒドロキシル化された9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体を単離、精製する方法としては、一般的な後処理、精製操作でよい。具体的には、例えば反応終了後の溶液中に適当な有機溶媒を投入し、次いで抽出、洗浄処理を行った後、洗浄後の溶液を濃縮した濃縮残渣にトルエン等の適当な有機溶媒を投入し、そこで生じた結晶をろ取した後、適宜有機溶媒で洗浄すれば、効率よく精製できる。なお、上記のような精製操作でなくとも、通常のカラムクロマトグラフィーによる精製操作を行ってもよい。
要すれば第五工程による、置換基を有していてもよいヒドロキシル化された9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体の合成において、例えば9,10-ジアルコキシアントラセン環にハロゲン原子が置換した誘導体を合成する場合には、例えばルイス酸触媒を用いる芳香環へのハロゲン化反応等の通常この分野で行われる芳香環へのハロゲン化反応によって該誘導体を合成すればよく、具体的には、例えば一般式[13]で示されるヒドロキシル化された9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体に対して、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)等のルイス酸触媒の存在下、適当な有機溶媒中で塩素又は臭素と反応させる、一般的な手法を適用して行えばよい。なお、反応原料である一般式[13]で示されるヒドロキシル化された9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体に悪影響を及ぼさず、目的とする一般式[14]で示される9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体が得られれば、例えば一般式[13]で示される9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体の芳香環を一旦ジアゾ化し、この芳香族ジアゾ化合物に対して金属ハロゲン化物を反応させる方法(ザンドマイヤー反応)等、一旦別の化合物を経由する等の上記の手法とは別の方法を利用して一般式[14]で示される9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体を得てもよい。また、例えば9,10-ジアルコキシアントラセン環にアルキル基が置換した誘導体を合成する場合には、例えばフリーデルクラフツ反応によるアルキル化等の通常この分野で行われる芳香環へのアルキル化反応によって、該誘導体を合成すればよく、具体的には、例えば一般式[13]で示されるヒドロキシル化された9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体に対して、塩化アルミニウム等のルイス酸触媒の存在下、適当な有機溶媒中でハロゲン化アルキルを反応させる、一般的な手法を適用して行えばよい。なお、フリーデルクラフツ反応によるアルキル化が難しい場合には、フリーデルクラフツ反応によるアシル化を行い、ここで生じるカルボニル基を適当な還元剤で還元して、該誘導体を得てもよい。更に、例えば9,10-ジアルコキシアントラセン環にアルキルカルボニル基が置換した誘導体を合成する場合には、例えばフリーデルクラフツ反応によるアシル化等の通常この分野で行われる芳香環へのアシル化反応によって、該誘導体を合成すればよく、具体的には、例えば一般式[13]で示されるヒドロキシル化された9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体に対して、塩化アルミニウム等のルイス酸触媒の存在下、適当な有機溶媒中でハロゲン化アシルを反応させる、一般的な手法を適用して行えばよい。また、必要であれば、一般式[13]で示されるヒドロキシル化された9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体のヒドロキシル基を一旦保護したものに対して上記した反応を行ってもよい。すなわち、一般式[13]で示されるヒドロキシル化された9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体のヒドロキシル基を一旦保護し、次いで上記したハロゲン化反応等によるハロゲン化、上記したアルキル化反応、アシル化に続くカルボニル基の還元反応等によるアルキル化、上記したアシル化反応等によるアシル化等を行った後、ヒドロキシル基の脱保護を行い、目的とする一般式[14]で示される9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体を得てもよい。更にまた、得られた一般式[14]で示される9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体は、適当な精製操作を行うことで単離すればよい。なお、上記一般式[14]におけるnが0の場合、すなわち、9,10-ジアルコキシアントラセン環に置換基を導入しない場合には、上記第五工程は不要である。
上記第六工程で使用される一般式[15]で示される化合物は、市販のものを用いれば足り、具体的には、例えばN,N-ジメチルカルバモイルクロリド、N,N-ジメチルカルバモイルブロミド、N,N-ジエチルカルバモイルクロリド、N,N-ジエチルカルバモイルブロミド、N,N-ジ-n-プロピルカルバモイルクロリド、N,N-ジ-n-プロピルカルバモイルブロミド、N,N-ジイソプロピルカルバモイルクロリド、N,N-ジイソプロピルカルバモイルブロミド等のN,N-ジアルキルカルバモイルハライド、1-ピロリジンカルボニルクロリド、1-ピロリジンカルボニルブロミド、2,5-ジメチルピロリジン-1-カルボニルクロリド、2,5-ジメチルピロリジン-1-カルボニルブロミド、1-ピペリジンカルボニルクロリド、1-ピペリジンカルボニルブロミド、2,6-ジメチルピペリジン-1-カルボニルクロリド、2,6-ジメチルピペリジン-1-カルボニルブロミド、1-モルホリンカルボニルクロリド、1-モルホリンカルボニルブロミド等の環状アミノカルボニルハライド等のカルバモイル誘導体が挙げられ、目的とする一般式[1]で示される化合物の構造により、上記カルバモイル誘導体の何れかを適宜選択して用いればよいが、なかでも、入手が容易で、目的とする一般式[1]で示される化合物がより効率的に塩基を発生できる光塩基発生剤となり得るという点等において、N,N-ジエチルカルバモイルクロリド、N,N-ジエチルカルバモイルブロミド、1-ピロリジンカルボニルクロリド、1-ピロリジンカルボニルブロミド、1-ピペリジンカルボニルクロリド、1-ピペリジンカルボニルブロミドが好ましく、そのなかでも、N,N-ジエチルカルバモイルクロリド、1-ピロリジンカルボニルクロリド、1-ピペリジンカルボニルクロリドがより好ましい。
上記第六工程で使用される塩基としては、具体的には、例えばトリエチルアミン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)等の3級アミン、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸のアルカリ金属塩、例えばナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、例えばn-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、n-ヘキシルリチウム等のアルキルリチウム、例えばリチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチウムヘキサメチルジシラザン(LHMDS)、ナトリウムヘキサメチルジシラザン(NaHMDS)、カリウムヘキサメチルジシラザン(KHMDS)等の金属アミド等が挙げられ、中でも例えばトリエチルアミン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)等の3級アミンが好ましく、その中でも1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)がより好ましい。これらの塩基は、夫々単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、当該塩基の使用量としては、一般式[14]で示される置換基を有していてもよいヒドロキシル化された9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体と一般式[15]で示される化合物との反応によって副生するハロゲン化水素が十分にトラップ(補足)できるように、この反応で使用される当該9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体の使用量を超える量の塩基を使用することが望ましい。
また、上記第六工程において、一般式[15]で示される化合物を活性化させるために、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(DMAP)等の活性化剤を用いてもよい。これらの活性化剤の使用量としては特に限定されないが、その使用量は触媒量でよく、例えば一般式[14]で示される置換基を有していてもよいヒドロキシル化された9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体1mmolに対して、通常0.01〜0.6mmol、好ましくは0.01〜0.4mmolである。なお、これらの化合物は、市販のものを用いれば足りる。
上記第六工程においては、反応が円滑に進行するように、一般式[14]で示される置換基を有していてもよいヒドロキシル化された9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体や一般式[15]で示される化合物を有機溶媒で溶解或いは希釈させた溶液中で反応を行うことが望ましい。その場合に使用される有機溶媒としては、反応原料である一般式[14]で示される置換基を有していてもよいヒドロキシル化された9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体や一般式[15]で示される化合物と反応しない有機溶媒であれば特に制限はなく、具体的には、例えばヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等の非極性有機溶媒、アセトニトリル、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性有機溶媒、これらの有機溶媒を脱水処理した脱水有機溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、夫々単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、当該有機溶媒の使用量としては特に限定されないが、例えば一般式[14]で示される置換基を有していてもよいヒドロキシル化された9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体1mmolに対して、通常0.1mL〜10mL、好ましくは0.2mL〜5mLである。
上記第六工程における反応温度は、一般式[14]で示される置換基を有していてもよいヒドロキシル化された9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体と一般式[15]で示される化合物とが反応するような温度に設定すればよいが、当該9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体と当該一般式[15]で示される化合物とが効率的に反応し、目的とする一般式[1]で示される化合物が収率よく合成できる温度に設定することが好ましい。具体的には、例えば通常−20℃〜100℃、好ましくは0℃〜80℃である。
上記第六工程における反応時間は、一般式[14]で示される置換基を有していてもよいヒドロキシル化された9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体に対する一般式[15]で示される化合物の使用量、塩基の種類及びその使用量、活性化剤等の有無やその種類及びその使用量、有機溶媒の種類及びその使用量、反応温度等により変動する場合があるので一概には言えないが、通常0.1〜24時間、好ましくは0.2〜12時間の範囲に設定される。
上記第六工程において、反応終了後の溶液から、目的とする一般式[1]で示される化合物を単離、精製する方法としては、一般的な後処理、精製操作でよい。具体的には、例えば反応終了後の溶液に適当な有機溶媒と水を投入し、次いで抽出、洗浄処理を行った後、洗浄後の溶液を濃縮した濃縮残渣について、カラムクロマトグラフィー等の精製操作を行って単離すればよい。なお、上記のような精製操作でなくとも、再結晶等の精製操作で一般式[1]で示される化合物を単離してもよい。
なお、上記の製造方法はあくまで一例であって、他の方法で一般式[1]で示される化合物を合成してもよい。すなわち、例えば一般式[12]で示されるヒドロキシル化されたアントラキノン誘導体に対して、所望とする置換基を芳香環上に導入する反応を行った後に、アントラキノン誘導体から9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体に変換する反応を行ってもよい。このような方法を採用すれば、所望とする置換基が所望とする置換位置に効率良く導入できる場合がある。また、例えば式[9]で示されるアントラキノンの芳香環の所望の位置に、例えば上記フリーデルクラフツ反応によるアルキル化等の手法によりメチル基を導入し、次いでメチル基が導入された当該化合物を上記第二〜第四工程に付して、一般式[16]
Figure 0005569168
(式中、R及びRは上記に同じ。)で示される化合物を得る。ここで得られた上記一般式[16]で示される化合物のヒドロキシル基を酸化してアルデヒドとし、当該アルデヒドに適当な求核剤を反応させて、上記一般式[13]で示される化合物を合成するようにしてもよい。このような方法を採用することにより、例えば上記一般式[1]で示されるRやRが比較的炭素数の長いアルキル基や置換基を有していてもよいフェニル基の場合における化合物では、当該方法の方がより効率的にこのような化合物を合成し易い場合がある。なお、上記方法でフェニルリチウム等の求核剤を用いることにより、一般式[1]におけるR及び/又はRで示される基を、置換基を有していてもよいフェニル基である化合物とすることができ、このような化合物は、該化合物の吸収波長領域を長波長側にシフトさせることも可能である。更に、例えば一般式[15]で示される化合物が入手困難な場合には、まず一般式[14]で示される9,10-ジアルコキシアントラセン誘導体に対して、例えばクロロギ酸-4-ニトロフェニル等のハロゲン化ギ酸エステル、例えばN,N’-カルボニルジイミダゾール等を反応させて、一旦炭酸エステル(カルボナート)又はウレタン(カルバメート)にした後、当該炭酸エステル(カルボナート)又はウレタン(カルバメート)と一般式[17]
Figure 0005569168
(式中、R及びRは上記に同じ。)で示されるアミンとを反応させて、目的とする一般式[1]で示される化合物を合成するようにしてもよい。
上記求核剤の具体例としては、例えばメチルリチウム、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、エチルリチウム、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、プロピルリチウム、プロピルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、ブチルリチウム、ブチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ペンチルリチウム、ペンチルマグネシウムクロリド、ペンチルマグネシウムブロミド、ヘキシルリチウム、ヘキシルマグネシウムクロリド、ヘキシルマグネシウムブロミド、ヘプチルリチウム、ヘプチルマグネシウムクロリド、ヘプチルマグネシウムブロミド、オクチルリチウム、オクチルマグネシウムクロリド、オクチルマグネシウムブロミド、ノニルリチウム、ノニルマグネシウムクロリド、ノニルマグネシウムブロミド、デシルリチウム、デシルマグネシウムクロリド、デシルマグネシウムブロミド、フェニルリチウム、フェニルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムブロミド、トリルリチウム、トリルマグネシウムクロリド、トリルマグネシウムブロミド等が挙げられ、目的とする一般式[1]で示される化合物の構造により、上記求核剤の何れかを適宜選択して用いればよい。なお、これらの求核剤は、市販のものを用いれば足りる。
上記一般式[17]で示されるアミンの具体例としては、例えばアンモニア、例えばモノ又はジメチルアミン、モノ又はジエチルアミン、モノ又はジ-n-プロピルアミン、モノ又はジイソプロピルアミン、モノ又はジ-n-ブチルアミン、モノ又はジイソブチルアミン、モノ又はジ-sec-ブチルアミン、モノ又はジ-tert-ブチルアミン、モノ又はジシクロブチルアミン、モノ又はジ-n-ペンチルアミン、モノ又はジイソペンチルアミン、モノ又はジ-sec-ペンチルアミン、モノ又はジ-tert-ペンチルアミン、モノ又はジネオペンチルアミン、モノ又はジ-2-メチルブチルアミン、モノ又はジ-1,2-ジメチルプロピルアミン、モノ又はジ-1-エチルプロピルアミン、モノ又はジシクロペンチルアミン、モノ又はジ-n-ヘキシルアミン、モノ又はジイソヘキシルアミン、モノ又はジ-sec-ヘキシルアミン、モノ又はジ-tert-ヘキシルアミン、モノ又はジネオヘキシルアミン、モノ又はジ-2-メチルペンチルアミン、モノ又はジ-1,2-ジメチルブチルアミン、モノ又はジ-2,3-ジメチルブチルアミン、モノ又はジ-1-エチルブチルアミン、モノ又はジシクロヘキシルアミン、モノ又はジ-n-ヘプチルアミン、モノ又はジイソヘプチルアミン、モノ又はジ-sec-ヘプチルアミン、モノ又はジ-tert-ヘプチルアミン、モノ又はジネオヘプチルアミン、モノ又はジシクロヘプチルアミン、モノ又はジ-n-オクチルアミン、モノ又はジイソオクチルアミン、モノ又はジ-sec-オクチルアミン、モノ又はジ-tert-オクチルアミン、モノ又はジネオオクチルアミン、モノ又はジ-2-エチルヘキシルアミン、モノ又はジシクロオクチルアミン、モノ又はジ-n-ノニルアミン、モノ又はジイソノニルアミン、モノ又はジ-sec-ノニルアミン、モノ又はジ-tert-ノニルアミン、モノ又はジネオノニルアミン、モノ又はジシクロノニルアミン、モノ又はジ-n-デシルアミン、モノ又はジイソデシルアミン、モノ又はジ-sec-デシルアミン、モノ又はジ-tert-デシルアミン、モノ又はジネオデシルアミン、モノ又はジシクロデシルアミン、モノ又はジノルボルニルアミン、モノ又はジボルニルアミン、モノ又はジアダマンチルアミン、モノ又はジメンチルアミン、エチルメチルアミン、メチル-n-プロピルアミン、メチルイソプロピルアミン、エチル-n-プロピルアミン、エチルイソプロピルアミン、n-プロピルイソプロピルアミン等の炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のモノ又はジアルキルアミン、例えばモノ又はジビニルアミン、モノ又はジ-1-プロペニルアミン、モノ又はジ-2-プロペニル基(モノ又はジアリルアミン)、モノ又はジイソプロペニルアミン、モノ又はジ-n-ブテニルアミン、モノ又はジ-n-ペンテニルアミン、モノ又はジシクロペンテニルアミン、モノ又はジ-n-ヘキセニルアミン、モノ又はジシクロヘキセニルアミン、モノ又はジ-n-ヘプテニルアミン、モノ又はジ-n-オクテニルアミン、モノ又はジ-n-ノネニルアミン、モノ又はジ-n-デセニルアミン等の炭素数2〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のモノ又はジアルケニルアミン、例えばモノ又はジエチニルアミン、モノ又はジ-1-プロピニルアミン、モノ又はジ-2-プロピニルアミン(モノ又はジプロパルギルアミン)、モノ又はジ-n-ブチニルアミン、モノ又はジ-1-メチルプロパルギルアミン、モノ又はジ-n-ペンチニルアミン、モノ又はジ-n-ヘキシニルアミン、モノ又はジ-n-ヘプチニルアミン、モノ又はジ-n-オクチニルアミン、モノ又はジ-n-ノニニルアミン、モノ又はジ-n-デシニルアミン等の炭素数2〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のモノ又はジアルキニルアミン、例えばモノ又はジフェニルアミン、モノ又はジ-1-ナフチルアミン、モノ又はジ-2-ナフチルアミン、モノ又はジ-1-アズレニルアミン、モノ又はジ-2-アズレニルアミン、モノ又はジ-4-アズレニルアミン、モノ又はジ-5-アズレニルアミン、モノ又はジ-6-アズレニルアミン等の炭素数6〜10のモノ又はジアリールアミン、例えばモノ又はジベンジルアミン、モノ又はジフェネチルアミン、モノ又はジ-α-メチルベンジルアミン、モノ又はジ-3-フェニルプロピルアミン、モノ又はジ-1-メチル-1-フェニルエチルアミン、モノ又はジ-4-フェニルブチルアミン、モノ又はジ-2-メチル-2-フェニルプロピルアミン、モノ又はジ-1,2,3,4-テトラヒドロナフチルアミン等の炭素数7〜10のモノ又はジアラルキルアミン等の一般式[1]におけるR及びRが、夫々独立して、水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状の炭化水素基に由来するアミンが挙げられる。
また、一般式[1]におけるR及びRが、これら(R及びR)が結合している窒素原子と共に、炭素数2〜10の含窒素脂肪族環又は含窒素芳香環を形成するものに由来する、上記一般式[17]で示されるアミンの具体例としては、例えばアジリジン(3員環)、アゼチジン(4員環)、ピロリジン(5員環)、ピペリジン(6員環)、ヘキサメチレンイミン(アゼパン;7員環)、ヘプタメチレンイミン(アゾカン;8員環)、オクタメチレンイミン(アゾナン;9員環)、ノナメチレンイミン(アゼカン;10員環)、デカメチレンイミン(11員環)等の炭素数2〜10の含窒素脂肪族アミン、例えば2-メチルアジリジン(3員環)、2-メチルアゼチジン(4員環)、3-メチルアゼチジン(4員環)、2,5-ジメチルピロリジン(5員環)、2,5-ジエチルピロリジン(5員環)、2,5-ジプロピルピロリジン(5員環)、2,6-ジメチルピペリジン(6員環)、2,6-ジエチルピペリジン(6員環)、2,4,6-トリメチルピペリジン(6員環)等の脂肪族環を構成する炭素原子に結合する水素原子がメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基に置換している炭素数3〜10の含窒素脂肪族アミン、例えばオキサゾリジン(5員環)、チアゾリジン(5員環)、モルホリン(6員環)、チオモルホリン(6員環)等の窒素原子以外のヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子等)を有する炭素数3〜10の含窒素脂肪族アミン、例えば2,5-ジメチルモルホリン(6員環)、2,5-ジエチルモルホリン(6員環)、2,5-ジプロピルモルホリン(6員環)、2,5-ジメチルチオモルホリン(6員環)、2,5-ジエチルチオモルホリン(6員環)、2,5-ジプロピルチオモルホリン(6員環)等の窒素原子以外のヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子等)を有し、脂肪族環を構成する炭素原子に結合する水素原子がメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基に置換している炭素数4〜10の含窒素脂肪族アミン、例えばピロール(5員環)、イミダゾール(5員環)、ピラゾール(5員環)等の炭素数3〜4の含窒素芳香族アミン、例えば2,5-ジメチルピロール(5員環)、2,5-ジエチルピロール(5員環)、2,5-ジプロピルピロール(5員環)、2,5-ジメチルイミダゾール(5員環)、2,5-ジエチルイミダゾール(5員環)、2,5-ジプロピルイミダゾール(5員環)、3,5-ジメチルピラゾール(5員環)、3,5-ジエチルピラゾール(5員環)、3,5-ジプロピルピラゾール(5員環)等の芳香環を構成する炭素原子に結合する水素原子がメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基に置換している炭素数4〜10の含窒素芳香族アミン等が挙げられる。
更に、上記した以外のそのほかの一般式[17]で示されるアミンの具体例としては、例えばモノ又はジエタノールアミン、モノ又はジエタンチオールアミン、例えばモノ又はジパーフルオロメチルアミン、モノ又はジパーフルオロエチルアミン、モノ又はジパーフルオロ-n-プロピルアミン、モノ又はジパーフルオロイソプロピルアミン、モノ又はジパーフルオロ-n-ブチルアミン、モノ又はジパーフルオロイソブチルアミン、モノ又はジパーフルオロ-sec-ブチルアミン、モノ又はジパーフルオロ-tert-ブチルアミン、モノ又はジパーフルオロシクロブチルアミン等のモノ又はジパーフルオロアルキルアミン、例えばモノ又はジ-o-ニトロフェニルアミン、モノ又はジ-m-ニトロフェニルアミン、モノ又はジ-p-ニトロフェニルアミン、モノ又はジ-o-シアノフェニルアミン、モノ又はジ-m-シアノフェニルアミン、モノ又はジ-p-シアノフェニルアミン、モノ又はジ-o-ニトロベンジルアミン、モノ又はジ-m-ニトロベンジルアミン、モノ又はジ-p-ニトロベンジルアミン、モノ又はジ-o-シアノベンジルアミン、モノ又はジ-m-シアノベンジルアミン、モノ又はジ-p-シアノベンジルアミン等の一般式[1]におけるRが水素原子又は置換基を有する炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状の炭化水素基であり、Rが置換基を有する炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状の炭化水素基に由来するアミン、例えば4-ヒドロキシピペリジン(6員環)、4-メルカプトピペリジン(6員環)、4-シアノピペリジン(6員環)、4-ニトロピペリジン(6員環)、4-クロロピペリジン(6員環)、4-ブロモピペリジン(6員環)等の一般式[1]におけるR及びRが、これら(R及びR)が結合している窒素原子と共に、置換基を有する炭素数2〜10の含窒素脂肪族環又は含窒素芳香環を形成するものに由来するアミン等が挙げられるが、これらの例に何ら限定されるものではない。また、これらアミンは、目的とする一般式[1]で示される化合物の構造により、上記アミンの何れかを適宜選択して用いればよい。なお、これらのアミンは、市販のものを用いれば足りる。
このようにして得られる本発明の一般式[1]で示される化合物は、上でも少し述べたように、例えば半導体素子の製造工程におけるレジスト材料、半導体素子の表面保護膜や層間絶縁膜、電子部品の絶縁材料等として有用なエピスルフィド樹脂(エピスルフィド化合物)等の光硬化性樹脂硬化用の光塩基発生剤として有用である。すなわち、本発明の一般式[1]で示される化合物は、例えばビス(2,3-エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド等の300nmの波長付近に吸収を示すエピスルフィド化合物の硬化反応(エピスルフィド樹脂の製造)用の光塩基発生剤として期待される化合物である。また、本発明の化合物は、上記の用途として使用できるが、それ以外にも、光塩基発生剤に対する感度不足が指摘されているエポキシ樹脂等の従来の光硬化性樹脂硬化用の光塩基発生剤、すなわち、樹脂硬化用の塩基供給源として使用することも可能である。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
合成例1 9,10-ジメトキシ-2-アントラセンメタノールの合成(第四工程)
2-ヒドロキシメチルアントラキノン1.93g(8.1mmol;東京化成工業(株)製)をテトラヒドロフラン(THF)40mLと水40mLの混合溶媒に溶解させた溶液にテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)0.078g(0.24mmol)、水酸化ナトリウム1.60g(40mmol)及び亜ジチオン酸ナトリウム(ハイドロサルファイトナトリウム)2.80g(16.1mmol)を加え、40℃で5分間攪拌した。その溶液に、同温度で硫酸ジメチル6.20g(49.2mmol;和光純薬工業(株)製)を滴下した後、同温度で2時間攪拌して反応させた。反応終了後、室温まで冷却した反応液をジクロロメタンで抽出し、更に抽出後の有機層を水で洗浄後、当該有機層を濃縮した。次いで、濃縮残渣にトルエンを投入し、そこで生じた結晶をろ取した後、得られた結晶を乾燥することにより、黄色結晶の9,10-ジメトキシ-2-アントラセンメタノール1.55g(収率:71.4%)を得た。以下にH-NMRの測定結果を示す。
H-NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):1.92(1H,br,OH),4.11(3H,s,OCH),4.12(3H,s,OCH),4.91(2H,s,CH),7.47-7.51(3H,m,ArH),8.22(1H,s,ArH),8.27-8.30(3H,m,ArH)
実施例1 (9,10-ジメトキシ-2-アントラセニル)メチル-1-ピペリジンカルボキシレートの合成(第六工程)
合成例1で得られた9,10-ジメトキシ-2-アントラセンメタノール1.55g(5.78mmol)をテトラヒドロフラン(THF)8mLに溶解させ、次いで60℃で1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)1.30g(8.54mmol)、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(DMAP)0.14g(1.15mmol)及び1-ピペリジンカルバモイルクロリド1.28g(8.7mmol;Aldrich社製)を加えた後、同温度で2時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却した溶液にトルエン及び水を加えて抽出し、更に抽出後の有機層を水で洗浄後、当該有機層を濃縮した。得られた濃縮残渣をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル(ワコーゲルC-200;和光純薬工業(株)製)、展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=1/1)で精製することにより、黄色結晶の上記式[4]で示される(9,10-ジメトキシ-2-アントラセニル)メチル-1-ピペリジンカルボキシレート1.80g(4.74mmol)(収率:82.0%)を得た。以下にH-NMR及び融点の測定結果を示す。
H-NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):1.57(6H,br,3×CH),3.50(4H,br,NCH),4.11(3H,s,OCH),4.12(3H,s,OCH),5.35(2H,s,CH),7.49-7.51(3H,m,ArH),8.24(1H,s,ArH),8.28-8.30(3H,m,ArH)
融点:130-132℃
合成例2 2-(1-ブロモ-1-エチル)アントラキノンの合成(第二工程)
2-エチルアントラキノン15.0g(63mmol;和光純薬工業(株)製)をジクロロエタン100mLに溶解させ、N-ブロモスクシンイミド(NBS)11.3g(63.5mmol)及び2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)1.0g(6.1mmol)を加え、60℃で2時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液を濃縮し、濃縮残渣にメタノール120mLを投入、そこで生じた結晶をろ取後、得られた結晶を乾燥することにより、淡黄色結晶の2-(1-ブロモ-1-エチル)アントラキノン18.0g(収率:90.2%)を得た。以下にH-NMRの測定結果を示す。
H-NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):2.12(3H,d,J=7.2Hz,CH),5.30(1H,q,J=7.2Hz,CH),7.81-7.83(2H,m,ArH),7.87-7.89(1H,m,ArH),8.30-8.35(4H,m,ArH)
合成例3 2-(1-ヒドロキシ-1-エチル)アントラキノンの合成(第三工程)
合成例2で得られた2-(1-ブロモ-1-エチル)アントラキノン18.0g(57.1mmol)をアセトン90mLと水90mLの混合溶媒に懸濁させた懸濁液に硝酸銀10.8g(63.6mmol)を加え、40℃で1時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却した溶液をセライトでろ過し、ろ液に酢酸エチルを加えて抽出、更に抽出後の有機層を水で洗浄後、当該有機層を濃縮した。得られた濃縮残渣をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル(ワコーゲルC-200;和光純薬工業(株)製)、展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=1/1)で精製することにより、淡黄色結晶の2-(1-ヒドロキシ-1-エチル)アントラキノン10.8g(収率:75.0%)を得た。以下にH-NMRの測定結果を示す。
H-NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):1.58(3H,d,J=6.4Hz,CH),2.03(1H,d,J=4.0Hz,OH),5.07-5.13(1H,dq,J=4.0Hz,6.4Hz,CH), 7.77-7.82(2H,m,ArH),7.83-7.86(1H,m,ArH),8.29-8.34(4H,m,ArH)
合成例4 1-(9,10-ジメトキシアントラセン-2-イル)エタノールの合成(第四工程)
合成例3の手法で得た2-(1-ヒドロキシ-1-エチル)アントラキノン1.30g(5.1mmol)をテトラヒドロフラン(THF)10mLと水10mLの混合溶媒に溶解させた溶液にテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)0.04g(0.12mmol)、水酸化ナトリウム1.30g(32.5mmol)及び亜ジチオン酸ナトリウム(ハイドロサルファイトナトリウム)1.80g(10.3mmol)を加え、40℃で5分間攪拌した。その溶液に、同温度で硫酸ジメチル4.0g(31.7mmol;和光純薬工業(株)製)を滴下した後、同温度で2時間攪拌して反応させた。反応終了後、室温まで冷却した反応液をジクロロメタンで抽出し、更に抽出後の有機層を水で洗浄後、当該有機層を濃縮することにより、黄色結晶の1-(9,10-ジメトキシアントラセン-2-イル)エタノール1.40g(収率:98.0%)を得た。以下にH-NMRの測定結果を示す。
H-NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):1.64(3H,d,J=6.4Hz,CH),4.11(3H,s,OCH),4.12(3H,s,OCH),5.13(1H,q,J=6.4Hz,CH),7.47-7.55(3H,m,ArH),8.22(1H,s,ArH),8.27-8.30(3H,m,ArH)
実施例2 1-(9,10-ジメトキシアントラセン-2-イル)エチル-1-ピペリジンカルボキシレートの合成(第六工程)
合成例4で得られた1-(9,10-ジメトキシアントラセン-2-イル)エタノール1.40g(5.0mmol)をテトラヒドロフラン(THF)8mLに溶解させ、次いで60℃で1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)1.20g(7.88mmol)、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(DMAP)0.12g(0.98mmol)及び1-ピペリジンカルバモイルクロリド1.10g(7.45mmol;Aldrich社製)を加えた後、同温度で5時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却した溶液にトルエン及び水を加えて抽出し、更に抽出後の有機層を水で洗浄後、当該有機層を濃縮した。得られた濃縮残渣をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル(ワコーゲルC-200;和光純薬工業(株)製)、展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=1/1)で精製することにより、黄色結晶の上記式[5]で示される1-(9,10-ジメトキシアントラセン-2-イル)エチル-1-ピペリジンカルボキシレート0.78g(収率:39.6%)を得た。以下にH-NMR及び融点の測定結果を示す。
H-NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):1.59(6H,br,3×CH),1.66(3H,d,J=6.4Hz,CH),3.50(4H,br,2×NCH),4.11(3H,s,OCH),4.12(3H,s,OCH),6.04(1H,q,J=6.4Hz,CH),7.47-7.50(3H,m,ArH),8.21(1H,s,ArH),8.27-8.30(3H,m,ArH)
融点:113-115℃
合成例5 9,10-ジ-n-ブトキシ-2-アントラセンメタノールの合成(第四工程)
合成例5では、2-ヒドロキシメチルアントラキノンを1.48g(6.21mmol)用い、合成例1の硫酸ジメチルの代わりに硫酸ジ-n-ブチル(東京化成工業(株)製)を用いた以外は、合成例1と同様の操作を行って反応させた。反応終了後、室温まで冷却した反応液をジクロロメタンで抽出し、更に抽出後の有機層を水で洗浄後、当該有機層を濃縮した。得られた濃縮残渣をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル(ワコーゲルC-200;和光純薬工業(株)製)、展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=1/1)で精製することにより、橙色油状の9,10-ジ-n-ブトキシ-2-アントラセンメタノール1.20g(収率:54.8%)を得た。以下にH-NMRの測定結果を示す。
H-NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):1.07(3H,t,J=7.2Hz,CH),1.08(3H,t,J=7.2Hz,CH),1.68-1.72(4H,m,2×CH),2.01-2.04(4H,m,2×CH),4.15(2H,t,J=6.4Hz,OCH),4.16(2H,t,J=6.4Hz,OCH),4.90(2H,s,CH),7.46-7.49(3H,m,ArH),8.21(1H,s,ArH),8.26-8.29(3H,m,ArH)
実施例3 (9,10-ジ-n-ブトキシ-2-アントラセニル)メチル-1-ピペリジンカルボキシレートの合成(第六工程)
合成例5で得られた9,10-ジ-n-ブトキシ-2-アントラセンメタノール1.20g(3.4mmol)をテトラヒドロフラン(THF)8mLに溶解させ、次いで60℃で1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)0.77g(5.06mmol)、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(DMAP)0.08g(0.65mmol)及び1-ピペリジンカルバモイルクロリド0.75g(5.1mmol;Aldrich社製)を加えた後、同温度で2時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却した溶液にトルエン及び水を加えて抽出し、更に抽出後の有機層を水で洗浄後、当該有機層を濃縮した。得られた濃縮残渣をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル(ワコーゲルC-200;和光純薬工業(株)製)、展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=1/1)で精製することにより、黄色結晶の上記式[6]で示される(9,10-ジ-n-ブトキシ-2-アントラセニル)メチル-1-ピペリジンカルボキシレート0.51g(収率:32.4%)を得た。以下にH-NMR及び融点の測定結果を示す。
H-NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):1.07(3H,t,J=6.4Hz,CH),1.08(3H,t,J=6.8Hz,CH),1.57(6H,br,3×CH),1.65-1.79(4H,m,2×CH),1.96-2.08(4H,m,2×CH),3.51(4H,br,2×NCH),4.15(4H,t,J=6.4Hz,2×OCH),5.33(2H,s,CH),7.45-7.48(3H,m,ArH),8.22(1H,s,ArH),8.26-8.28(3H,m,ArH)
融点:78-79℃
合成例6 1-(9,10-ジ-n-ブトキシアントラセン-2-イル)エタノールの合成(第四工程)
合成例3の手法で得た2-(1-ヒドロキシ-1-エチル)アントラキノン3.0g(11.9mmol)をテトラヒドロフラン(THF)20mLと水20mLの混合溶媒に溶解させた溶液にテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)0.10g(0.31mmol)、水酸化ナトリウム2.9g(72.5mmol)及び亜ジチオン酸ナトリウム(ハイドロサルファイトナトリウム)4.1g(23.5mmol)を加え、40℃で5分間攪拌した。その溶液に、同温度で硫酸ジ-n-ブチル10.0g(47.6mmol;東京化成工業(株)製)を滴下した後、同温度で2時間攪拌して反応させた。反応終了後、室温まで冷却した反応液をトルエンで抽出し、更に抽出後の有機層を水で洗浄後、当該有機層を濃縮した。得られた濃縮残渣をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル(ワコーゲルC-200;和光純薬工業(株)製)、展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=1/1)で精製することにより、黄色油状の1-(9,10-ジ-n-ブトキシアントラセン-2-イル)エタノール2.40g(収率:55.0%)を得た。以下にH-NMRの測定結果を示す。
H-NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):1.07(3H,t,J=7.2Hz,CH),1.08(3H,t,J=7.2Hz,CH),1.63(3H,d,J=6.4Hz,CH),1.67-1.74(4H,m,2×CH),1.94(1H,d,J=6.4Hz,OH),2.01-2.05(4H,m,2×CH),4.15(2H,t,J=6.4Hz,OCH),4.16(2H,t,J=6.4Hz,OCH),5.11(1H,dq,J=3.2Hz,6.4Hz,CH),7.45-7.52(3H,m,ArH),8.20(1H,s,ArH),8.26-8.28(3H,m,ArH)
実施例4 1-(9,10-ジ-n-ブトキシアントラセン-2-イル)エチル-1-ピペリジンカルボキシレートの合成(第六工程)
合成例6で得られた1-(9,10-ジ-n-ブトキシアントラセン-2-イル)エタノール2.40g(6.55mmol)をテトラヒドロフラン(THF)8mLに溶解させ、次いで60℃で1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)1.5g(9.9mmol)、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(DMAP)0.16g(1.31mmol)及び1-ピペリジンカルバモイルクロリド1.50g(10.2mmol;Aldrich社製)を加えた後、同温度で5時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却した溶液にトルエン及び水を加えて抽出し、更に抽出後の有機層を水で洗浄後、当該有機層を濃縮した。得られた濃縮残渣をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル(ワコーゲルC-200;和光純薬工業(株)製)、展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=1/10)で精製することにより、黄色油状の上記式[7]で示される1-(9,10-ジ-n-ブトキシアントラセン-2-イル)エチル-1-ピペリジンカルボキシレート1.35g(収率:43.2%)を得た。以下にH-NMRの測定結果を示す。
H-NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):1.07(3H,t,J=7.2Hz,CH),1.08(3H,t,J=7.2Hz,CH),1.56(6H,br,3×CH),1.66(3H,d,J=6.8Hz,CH),1.68-1.73(4H,m,2×CH),1.99-2.04(4H,m,2×CH),3.50(4H,br,2×NCH),4.15(2H,t,J=6.4Hz,OCH),4.16(2H,t,J=6.4Hz,OCH),6.03(1H,q,J=6.8Hz,CH),7.43-7.48(3H,m,ArH),8.20(1H,s,ArH),8.25-8.28(3H,m,ArH)
実施例5 紫外-可視吸収スペクトルの測定試験
実施例1〜4で得られた化合物のアセトニトリル溶液(約5×10−5mol/L)を各々調製し、石英セルTOS-UV-10(1cm×1cm×4cm)((株)東新理興製)に注入後、分光光度計UV-2550((株)島津製作所製)を用いて、紫外-可視吸収スペクトルを測定した。各々の化合物についての極大吸収波長(nm)及びその極大吸収波長におけるモル吸光係数(ε)、並びに365nm(i線)及び405nm(h線)におけるモル吸光係数(ε)を表1に示す。
Figure 0005569168
実施例6 光(活性エネルギー線)に対する反応性の測定試験
実施例1〜4で得られた化合物100mgを各々石英試験管に入れ、アセトニトリル1mLに溶解させた。次いで、この溶液を高圧水銀灯(REX-250;朝日分光(株)製)で15分間光(活性エネルギー線)照射した。光(活性エネルギー線)照射前後の各溶液をTLCプレート(メルク社製)に適当量スポットし、酢酸エチル/n-ヘキサン=1/1で展開した後、ニンヒドリンスプレー(和光純薬工業(株)製)を噴霧後、ヒートガンで加熱し、原点においてニンヒドリン反応が生じること、すなわち、光(活性エネルギー線)照射により塩基(アミン)が遊離しているか否かを確認した。測定結果を表2に示す。
Figure 0005569168
実施例7 ポリ(グリシジルメタクリレート)による硬化試験
ポリ(グリシジルメタクリレート)0.2gと、ポリ(グリシジルメタクリレート)0.2gに対して20重量%の実施例1〜4で得られた化合物とを含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)1mLの溶液を、シリコンウェハー上にスピンコートし、100℃で1分間加熱して、厚さが約1.5μmの塗膜を作製した。この塗膜に、特定の露光強度を有する紫外線照射光源装置、すなわち、LC-8(浜松ホトニクス(株)製)を用いて所定時間紫外線照射して、実施例1〜4の化合物から各々塩基を発生させ、120℃で2時間加熱して塗膜を硬化させた。更にこの塗膜をアセトンに30秒間浸漬して現像した後の塗膜の厚さを測定して、現像前と現像後とでの塗膜の膜厚を残膜率として求めた。光源装置LC-8の特定波長における露光強度を表3に、所定時間毎の紫外線照射に対する残膜率の測定結果を図1〜4に示す。
Figure 0005569168
実施例5〜6の結果から、本発明の化合物は、波長200nm以上に感光領域を有し、300nm以上の光(活性エネルギー線)に対しても高い感受性を有することがわかる。このことから、本発明の化合物は、波長300nm以上の光(活性エネルギー線)の照射によって、塩基を発生することが判った。また、実施例7で得られた図1〜4の結果から明らかなように、本発明の化合物は、樹脂を硬化し得るのに十分な塩基を発生し、例えば365nm、405nm等の長波長の光に対して良好な感度を有し、長波長の光(活性エネルギー線)で良好に塩基を発生して樹脂を硬化できることが判った。このようなことから、本発明の化合物が、従来のものよりもより長波長の光照射によって効率的に塩基を発生できるのは、光塩基発生剤の構造式中に、長波長の光であっても十分な感光性を示す9,10-ジアルコキシアントラセン環を有していることと、効率的に塩基(アミン)を遊離し得るウレタン構造に起因していることが示唆される。また、これらの結果から、本発明の化合物は、例えば樹脂硬化用の光塩基発生剤として有用なものであることが判った。
本発明の化合物は、従来の光塩基発生剤が感光する光(活性エネルギー線)と比べてより長波長の光(活性エネルギー線)の照射でも塩基を発生し得るものであるので、樹脂硬化用の光塩基発生剤、それを利用した光硬化性樹脂材料として有用なものである。

Claims (10)

  1. 一般式[1]
    Figure 0005569168
    (式中、R及びRは夫々独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状の炭化水素基を表すか、或いはこれらが結合している窒素原子と共に、置換基を有していてもよい炭素数2〜10の含窒素脂肪族環又は含窒素芳香環を形成するものを表し、R及びRは夫々独立して、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表し、R及びRは夫々独立して、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基を表し、n個のRは夫々独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキル基又は炭素数2〜10の直鎖状、分枝状若しくは環状のアルキルカルボニル基を表し、nは、0〜7の整数を表す。)で示される化合物。
  2. 前記一般式[1]におけるR及びRが、共に炭素数1〜6の直鎖状のアルキル基である請求項1に記載の化合物。
  3. 前記一般式[1]におけるR及びRが、これらが結合している窒素原子と共に、炭素数4〜7の含窒素脂肪族環を形成するものである請求項1に記載の化合物。
  4. 前記一般式[1]におけるR及びRが、これらが結合している窒素原子と共に、炭素数5の含窒素脂肪族環を形成するものである請求項1に記載の化合物。
  5. 前記一般式[1]におけるR及びRが、共に炭素数1〜6の直鎖状のアルキル基である請求項1に記載の化合物。
  6. 前記一般式[1]におけるnが、0である請求項1に記載の化合物。
  7. 前記一般式[1]で示される化合物が、式[4]
    Figure 0005569168
    (式中、Meは、メチル基を表す。)で示されるもの、式[5]
    Figure 0005569168
    (式中、Meは、メチル基を表す。)で示されるもの、式[6]
    Figure 0005569168
    (式中、n-Buは、n-ブチル基を表す。)で示されるもの、式[7]
    Figure 0005569168
    (式中、n-Buは、n-ブチル基を表す。)で示されるもの、又は式[8]
    Figure 0005569168
    (式中、Meは、メチル基を表す。)で示されるものである請求項1に記載の化合物。
  8. 請求項1記載の化合物を含んでなる光塩基発生剤。
  9. 波長200nm〜500nmの光照射によって塩基を発生するものである請求項8に記載の光塩基発生剤。
  10. 請求項1記載の化合物に、光照射することを特徴とする塩基発生方法。
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