以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態の機器管理システム構成例を示す図である。同図には、保守管理サーバ50、画像形成装置10、及び保守員端末20等が示されている。
保守管理サーバ50は、例えば、画像形成装置10の販売者又は製造者等、画像形成装置10の保守サービスの提供者側(保守管理環境5)に設置されているコンピュータである。保守管理サーバ50は、保守契約の対象(保守対象)とされている全ての画像形成装置10に関して、保守作業等に必要な情報を管理する。
画像形成装置10は、印刷、スキャン、コピー、及びFAX送受信等の機能を一台の筐体によって実現する複合機である。但し、スキャン機能を有さないいわゆるプリンタを画像形成装置10として用いてもよい。画像形成装置10は、本実施の形態において、保守対象の機器として位置付けられる。画像形成装置10は、顧客環境2に設置されている。顧客環境2は、画像形成装置10のユーザのオフィス等におけるコンピュータシステムである。すななち、本実施の形態において、顧客とは、画像形成装置10のユーザをいう。一つの顧客環境2において複数の画像形成装置10が設置されうる。なお、画像形成装置10は、外部のネットワークからは隠蔽されている。したがって、保守管理サーバ50は、画像形成装置10と通信を行うことはできない。
保守員端末20は、保守管理環境5に属する保守員が利用するノートPC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistance)、又は携帯電話等の携帯型(可搬性の有る)のコンピュータである。保守員端末20は、保守管理環境5において、LAN(Local Area Network)等のネットワーク60(有線又は無線の別は問わない。)を介して保守管理サーバ50に接続される。保守管理サーバ50と接続された状態において、保守員端末20は、画像形成装置10の保守管理情報を保守管理サーバ50よりダウンロードする。保守管理情報とは、保守作業に必要な情報として、画像形成装置10より過去に取得された機器情報をいう。機器情報とは、画像形成装置10の状態を示す情報をいう。機器情報には、例えば、画像形成装置10が使用している部品の構成情報又は各種カウンターの値等が含まれる。
保守員は、保守管理情報がダウンロードされた保守員端末20を、保守作業の際に顧客環境1へ持参する。保守作業後又は保守作業時において、保守員端末20は、顧客環境1において、LAN等のネットワーク40(有線又は無線の別は問わない。)を介して画像形成装置10に接続される。画像形成装置10と接続された状態において、保守員端末20は、画像形成装置10の現在(例えば、保守作業後)の状態を示す機器情報を画像形成装置10よりダウンロードする。保守員端末20は、保守管理サーバ50より予めダウンロードされている保守管理情報と、画像形成装置10よりダウンロードされた機器情報との比較に基づいて、保守作業に関するレポート情報(報告情報)を生成し、当該レポート情報を画像形成装置10に印刷させる。印刷結果は、保守作業の報告書として顧客に提出される。
その後、保守員は、最新の機器情報がダウンロードされた保守員端末20を保守管理環境5に持ち帰る。保守管理環境5において、保守員端末20は、再び保守管理サーバ50に接続される。保守管理サーバ50に接続された状態において、保守員端末20は、最新の機器情報を保守管理サーバ50にアップロードする。
このように、保守員端末20が保守管理サーバ50と画像形成装置10との媒介となることにより、保守管理サーバ50と画像形成装置10とがネットワークを介して通信可能でない状態でも、保守管理サーバ50による保守管理情報の管理が可能となる。
続いて、各装置のハードウェア構成について説明する。図2は、本発明の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。図2において、画像形成装置10は、コントローラ11、スキャナ12、プリンタ13、モデム14、操作パネル15、ネットワークインタフェース16、及びSDカードスロット17等のハードウェアを有する。
コントローラ11は、CPU111、RAM112、ROM113、及びHDD114等を有する。ROM113には、各種のプログラム(ファームウェア等)やプログラムによって利用されるデータ等が記録されている。なお、本実施の形態において、ROM113は、フラッシュROM等、書き換え可能な不揮発性のメモリである。RAM112は、プログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域等として用いられる。CPU111は、RAM112にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。HDD114には、プログラムやプログラムが利用する各種のデータ等が記録される。
スキャナ12は、原稿より画像データを読み取るためのハードウェア(画像読取手段)である。プリンタは13、印刷データを印刷用紙に印刷するためのハードウェア(印刷手段)である。モデム14は、電話回線に接続するためのハードウェアであり、FAX通信による画像データの送受信を実行するために用いられる。操作パネル15は、操作者からの入力の受け付けを行うめのボタン等の入力手段や、液晶パネル等の表示手段を備えたハードウェアである。ネットワークインタフェース16は、LAN等のネットワーク(有線又は無線の別は問わない。)に接続するためのハードウェアである。SDカードスロット17は、SDカード80に記録されたプログラムを読み取るために利用される。すなわち、画像形成装置10では、ROM113に記録されたプログラムだけでなく、SDカード80に記録されたプログラムもRAM112にロードされ、実行されうる。
図3は、本発明の実施の形態における保守員端末のハードウェア構成例を示す図である。図3の保守員端末20は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置200と、補助記憶装置202と、メモリ装置203と、CPU204と、インタフェース装置205と、表示装置206と、入力装置207とを有する。
保守員端末20での処理を実現するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体201によって提供される。プログラムを記録した記録媒体201がドライブ装置200にセットされると、プログラムが記録媒体201からドライブ装置200を介して補助記憶装置202にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体201より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置202は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
メモリ装置203は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置202からプログラムを読み出して格納する。CPU204は、メモリ装置203に格納されたプログラムに従って保守員端末20に係る機能を実現する。インタフェース装置205は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置206はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置207はキーボード及びマウス等で構成され、様々な操作指示を入力させるために用いられる。
なお、保守管理サーバ50は、図3に示されるハードウェアを有していればよい。但し、表示装置206及び入力装置207は、保守管理サーバ50には必ずしも必要ではない。
続いて、各装置のソフトウェア構成例について説明する。図4は、本発明の実施の形態における保守管理サーバ及び保守員端末のソフトウェア構成例を示す図である。同図に示される各ブロックは、当該ブロックが属する装置のCPUに処理を実行させることによりその機能を実現する。
同図において、保守管理サーバ50は、保守管理部51、保守管理情報記憶部52、部品属性情報記憶部53、及びファームウェア記憶部54等を有する。保守管理部51は、各保守員の保守作業の支援等を行う。保守管理情報記憶部52は、保守管理サーバ50の記憶装置を用いて、保守対象とされている全ての顧客の全ての画像形成装置10の保守管理情報を記憶する。部品属性情報記憶部53は、保守管理サーバ50の記憶装置を用いて、保守対象とされている全ての画像形成装置10において利用されうる部品の種類(型番)ごとに、部品名、単価、対応機種等の属性情報を記憶する。ファームウェア記憶部54は、保守管理サーバ50の記憶装置を用いて、画像形成装置10の機種ごとに、当該機種のROM113に適用すべきソフトウェア(ファームウェア)の実体とその属性情報等とを記憶する。すなわち、ファームウェア記憶部54には、出荷後の画像形成装置10のROM113に記録されている或るファームウェアについて、バージョンアップ又はバグ修正等が発生した場合に、バージョンアップ後又はバグ修正後のソフトウェアとその属性情報(バージョン情報等)とがアップロードされる。
保守員端末20は、保守作業報告書印刷ウィジェット21a、使用状況報告書印刷ウィジェット21b、ウィジェットマネージャ22、及び機器情報取得ライブラリ25等を有する。
保守作業報告書印刷ウィジェット21a及び使用状況報告書印刷ウィジェット21bは、本実施の形態において、「ウィジェット21」として総称されるアプリケーションプログラムである。近年では、ウィジェット(Widget)又はガジェット(Gadget)とよばれる手軽なアプリケーションが流通している。本実施の形態では、手軽にインストールして利用可能なアプリケーションという程度の意味においてこれらのアプリケーションをウィジェット21と呼ぶ(すなわち、技術的な意義において限定する趣旨ではない)。但し、本実施の形態において、各ウィジェット21は、画像形成装置10の機能を利用して所定の処理フロー(例えば、ワークフロー等の一連の処理フロー)を実現するという点において共通する。
保守作業報告書印刷ウィジェット21aは、「保守作業報告書」の内容が記録された電子データ(保守作業報告書データ)を生成し、当該電子データの印刷ジョブを画像形成装置10に実行させる。保守作業報告書とは、保守作業として定期交換部品の交換作業を行った場合に、当該作業の内容(交換した部品の一覧情報等)を報告するための書類である。
図5は、保守作業報告書の例を示す図である。同図に示されるように、保守作業報告書710は、顧客情報711、機番712、保守日713、作業完了時刻714、カウンター情報715、オブション情報716、交換部品一覧情報717、訪問区分718、及び保守作業区分719等を含む。顧客情報711は、保守作業先の顧客の顧客名、住所、電話番号等である。機番712は、保守作業の対象とされた画像形成装置10の機番である。機番は、各画像形成装置10を一意に識別する識別子であり、例えば、機種の種類を示す情報と製造番号情報を繋げたものである。保守作業報告書710に機番が記入されることから明らかなように、保守作業報告書710は、保守作業の対象とされた画像形成装置10ごとに作成される。保守日713は、保守作業が行われた年月日である。作業完了時刻714は、保守作業が完了した時刻である。カウンター情報715は、保守作業時の所定のカウンターの値である。オブション情報716は、保守作業対象の画像形成装置10についてファームウェアが更新された場合の更新後のファームウェアのバージョン情報等である。交換部品一覧情報717は、保守作業により交換された部品(ハードウェア部品)の属性情報(部品名、部品番号、シリアル番号、及び単価等)の一覧である。部品名は、部品の名前である。部品番号は、部品の型番である。シリアル番号は、部品の個体ごとに一意な番号である。単価は、部品の単価である。訪問区分718は、訪問の理由(「予防保全」、「緊急障害」、「保全」、又は「その他」)を示すコードである。保守作業区分719は、「清掃」、「部品交換」、「注油」、「画像調整」等の保守作業を示すコードである。
図4に戻る。使用状況報告書印刷ウィジェット21bは、「使用状況報告書」の内容が記録された電子データ(使用状況報告書データ)を生成し、当該電子データの印刷ジョブを画像形成装置10に実行させる。使用状況報告書とは、画像形成装置10の使用状況を定期的に(例えば、毎月)報告するための書類である。使用状況は、主として画像形成装置10が有する所定のカウンターの値によって示される。
図6は、使用状況報告書の例を示す図である。同図に示されるように、使用状況報告書720には、機器情報721、当月カウンター数値722、前回からの使用数723、使用数推移テーブル724、使用数推移グラフ725、及び顧客情報726等を含む。機器情報721は、使用状況報告書720の対象の画像形成装置10の製品名(機種)及び機番である。すなわち、使用状況報告書720は、画像形成装置10ごとに作成される。当月カウンター数値722は、今回の検針時における所定のカウンターの値である。検針とは、カウンターの値を調べることをいう。同図では、モノカラー及びフルカラーのそれぞれの印刷枚数についてカウンターが検針の対象とされている。ここでのカウンターの値は、過去からの累積値である。前回からの使用数723は、前回の検針時から今回の検針時までの使用数である。すなわち、今回の検針時のカウンターの値と前回の検針時のカウンターの値との差分である。使用数推移テーブル724は、過去6ヶ月の月ごと(検針間隔ごと)の使用数の推移(履歴)を示すテーブルである。使用数推移グラフ725は、使用数推移テーブル725の内容をグラフ化したものである。この使用状況報告書は1例であり、ユーザの顧客の要望に応じて様々なカウンター(両面印刷枚数、集約モード使用枚数、周辺機器の使用枚数(ソート、ステープル、パンチ等)、各々のカラーモード別の印刷枚数等)とグラフを利用して使用状況報告書を作成することができる。顧客情報726は、顧客の名称であり、保守員によって記入される。
図4に戻る。ウィジェットマネージャ22は、ウィジェット21と画像形成装置10との間の通信の仲介等を行う。各ウィジェット21は、ウィジェットマネージャ22によって規定されるインタフェース及び処理手順を備える必要がある。換言すれば、ウィジェットマネージャ22と協調して動作するアプリケーションが、本実施の形態におけるウィジェット21である。
機器情報取得ライブラリ25は、画像形成装置10より機器情報を取得するためのAPI(Application Program Interface)を備えたライブラリ(例えば、DLL(Dynamic Link Library))である。保守作業報告書印刷ウィジェット21aや使用状況報告書印刷ウィジェット21bは、機器情報取得ライブラリ25を利用して、画像形成装置10より機器情報を取得する。なお、機器情報取得ライブラリ25は、汎用的に作成されており、非図示の他の一般的な機器管理用アプリケーションからも共用されうる。
図7は、ウィジェット及びウィジェットマネージャの機能構成例及び画像形成装置のソフトウェア構成例を示す図である。
同図に示されるように、本実施の形態における各ウィジェット21は、ウィジェットUI部211、ウィジェット情報送信部212、連携部213、機器情報取得部214、報告書生成部215、機器情報記録部216、管理情報ダウンロード部217、機器情報アップロード部218、属性情報管理ファイル231、管理情報記憶部232、及び機器情報記憶部233等を有する。
ウィジェットUI部211は、ウィジェット21に関する各種の表示制御及び入力制御等を行う。ウィジェット情報送信部212は、ウィジェット21が起動されたとき等に、ウィジェット情報(ウィジェット21の属性情報)の登録要求をウィジェットマネージャ22に送信する。連携部213は、画像形成装置10との連携のための通信(情報のやりとり等)を制御する。但し、連携部213との直接的な通信相手はウィジェットマネージャ22である。機器情報取得部214は、機器情報取得ライブラリ25を利用して、画像形成装置10より機器情報を取得し、取得された機器情報をメモリ装置203に記録する。報告書生成部215は、保守作業報告書データ又は使用状況報告書データを生成する。すなわち、保守作業報告書印刷ウィジェット21aの報告書生成部215は、保守作業報告書データを生成する。使用状況報告書印刷ウィジェット21bの報告書生成部215は、使用状況報告書データを生成する。機器情報記録部216は、機器情報取得部214によって取得され、メモリ装置203に記録されている機器情報を機器情報記憶部233に記録する。管理情報ダウンロード部217は、保守管理サーバ50より保守管理情報をダウンロードする。機器情報アップロード部218は、機器情報記憶部233に記録されている機器情報を保守管理サーバ50にアップロードする。
属性情報管理ファイル231は、ウィジェット21対する属性情報を格納するファイルである。管理情報記憶部232は、管理情報ダウンロード部217によってダウンロードされた保守管理情報を補助記憶装置202を用いて記憶する。機器情報記憶部233は、機器情報取得部214によって取得された機器情報を補助記憶装置202を用いて記憶する。
なお、ウィジェット21に含まれる各部について、保守作業報告書印刷ウィジェット21aに属するものと使用状況報告書印刷ウィジェット21bに属するものとを区別する場合、前者については「a」を、後者については「b」を参照番号の末尾に付加する。例えば、保守作業報告書印刷ウィジェット21aのウィジェットUI部211は、「ウィジェットUI部211a」と表記される。
ウィジェットマネージャ22は、ウィジェット情報登録部221、広告部222、ウィジェット情報提供部223、仲介部224、及びウィジェット情報管理テーブル225等を有する。
ウィジェット情報登録部221は、ウィジェット21より送信されるウィジェット情報の登録要求を受信し、当該ウィジェット情報をウィジェット情報管理テーブル225に保存する。ウィジェット情報管理テーブル225には、保守員端末20において起動されている各ウィジェット21のウィジェット情報が登録されるテーブルであり、保守員端末20の補助記憶装置202に記録される。
広告部222は、ウィジェットマネージャ22の起動に応じ、保守員端末20のログインユーザのユーザID等をネットワーク上に広告(ブロードキャスト又はマルチキャスト等)する。広告は、ウィジェット21を利用するユーザがネットワーク上において新たに発生したことを当該ネットワークに属する各画像形成装置10に通知するための情報である。なお、本実施の形態において、ウィジェット21を利用するユーザは、保守員である。したがって、ここでいう、ユーザIDは、保守員の識別子である。
ウィジェット情報提供部223は、画像形成装置10からの要求に応じ、ウィジェット情報管理テーブル225に登録されているウィジェット情報を画像形成装置10に提供(送信)する。仲介部224は、ウィジェット21と画像形成装置10との通信を仲介又は中継する。
画像形成装置10は、ユーザ検知部121、UI制御部122、ウィジェット情報取得部123、ウィジェット連携部124、ジョブ実行制御部125、ユーザ管理テーブル126、及び機器情報提供部127等を有する。これら各部は、画像形成装置10にインストールされたプログラムが、画像形成装置10のCPU111に実行させる処理により実現される。
ユーザ検知部121は、ウィジェットマネージャ22より発行される広告に基づいて、ウィジェット21を利用可能なユーザ(保守員)の存在を検知し、広告に含まれているユーザID等をユーザ管理テーブル126に登録する。ユーザ管理テーブル126は、ネットワーク40上においてウィジェット21を起動させているユーザの一覧を管理するテーブルである。UI制御部122は、保守員よりウィジェット21の操作指示等の入力を受け付ける。すなわち、ウィジェットは、保守員端末20に配置されているが、画像形成装置10の操作パネルからも操作されうる。ウィジェット情報取得部123は、画像形成装置10を操作する保守員に係るウィジェット情報(すなわち、画像形成装置10の操作者と同一のユーザIDに係るユーザによって起動されたウィジェット21のウィジェット情報)をウィジェットマネージャ22より取得する。ウィジェット連携部124は、ウィジェット21との通信を制御する。ジョブ実行制御部125は、ウィジェット21から要求された機能に係るジョブの実行を制御する。例えば、ジョブ実行制御部125の制御により印刷ジョブ等が実行される。機器情報提供部127は、機器情報取得ライブラリ25に対するサーバ機能である。具体的には、機器情報提供部127は、機器情報取得ライブラリ25からの機器情報の取得要求に応じ、画像形成装置10の機器情報を返信する。
以下、処理手順について説明する。まず、第一の実施の形態として、保守作業報告書710の作成のための処理手順について説明する。
保守員による保守作業は、例えば、保守管理サーバ50の保守管理部51から通知される保守作業要求に応じて開始される。保守作業要求には、例えば、今週中に訪問すべき顧客の一覧が含まれている。訪問すべき顧客は、定期的な訪問が計画されている顧客や前回の保守実施日と各種カウンターの履歴情報より次回の保守実施予定日が今週に算出された顧客である。当該一覧には、顧客毎に顧客名及び顧客ID等が含まれている(顧客IDの代わりに機番でもよい)。保守作業要求は、例えば、保守管理部51から保守員端末20に送信される電子メールによって保守員に通知される。但し、保守作業のスケジュールは、保守員が自ら管理していてもよい。
なお、第一の実施の形態において、保守作業とは、主として定期交換部品の交換をいい、各種の消耗部品が定期交換部品とされるが、必要な清掃、注油、画像調整等も行われる。
保守作業要求の通知に応じ、図8の処理が実行される。図8は、保守管理サーバからの保守管理情報のダウンロード処理の処理手順を説明するためのシーケンス図である。なお、同図の前提として、保守員端末20は、保守管理環境5において、ネットワーク60を介して保守管理サーバ50と通信可能な状態であるとする。
ステップS11において、保守作業報告書印刷ウィジェット21aが起動されると、保守作業報告書印刷ウィジェット21aのウィジェットUI部211aは、保守作業報告書印刷ウィジェット21aのアイコンを表示装置206に表示させる。続いて、ウィジェットUI部211aは、保守員より、顧客IDの入力を受け付ける(S12)。顧客IDの入力の受け付けの具体例としては次のようなものが挙げられる。ウィジェットUI部211aは、保守作業報告書印刷ウィジェットのアイコンに対する右クリックを検知すると、コンテキストメニューを表示させる。当該コンテキストメニューに含まれているメニュー項目群の中から保守管理情報のダウンロード指示に対応するメニュー項目が選択されると、ウィジェットUI部211aは、顧客IDの入力を受け付けるための画面(ダイアログ)を表示装置206に表示させる。保守員は、当該画面を介して、保守作業要求に含まれていた一つ以上の顧客IDを入力する。本実施の形態では、説明の便宜上一つの顧客IDが入力されることとする。
顧客IDの入力に応じ、保守作業報告書印刷ウィジェット21aの管理情報ダウンロード部217aは、予め設定されている保守管理サーバ50の識別情報(IPアドレス又はURL(Uniform Resource Locator)等)宛に、保守管理情報のダウンロード要求を送信する(S13)。当該ダウンロード要求は、保守員によって入力された顧客IDを含む。保守管理サーバ50の保守管理部51は、当該ダウンロード要求に含まれている顧客IDに関連付けられている各画像形成装置10の保守管理情報を保守管理情報記憶部52より取得する(S14)。すなわち、保守管理情報記憶部52には、顧客IDごと、かつ、当該顧客が所有する保守対象の全ての画像形成装置10ごとに、保守管理情報が記録されている。したがって、保守対象の画像形成装置10を複数台所有する顧客に関しては、複数の保守管理情報が取得される。なお、第一の実施の形態における保守管理情報は、主として、顧客情報(顧客名、住所、電話番号等)、前回の保守作業終了時(定期交換部品の交換の終了時)における部品の構成情報、ROM情報、機番、及び機種等を含む。部品の構成情報とは、例えば、定期交換の対象となりうる部品ごとのシリアル番号等である。ROM情報とは、ROM113内のファームウェアの構成情報をいい、より具体的には、ROM113内の各ファームウェアのバージョン情報等である。
続いて、保守管理部51は、取得された保守管理情報の一覧を、保守作業報告書印刷ウィジェット21aの管理情報ダウンロード部217aに返信する(S15)。管理情報ダウンロード部217aは、返信された保守管理情報を、顧客IDに関連付けて管理情報記憶部232に記録する。
続いて、管理情報ダウンロード部217aは、部品の属性情報のダウンロード要求を保守管理サーバ50に送信する(S16)。保守管理サーバ50の保守管理部51は、部品属性情報記憶部53より、部品の属性情報を取得し(S17)。当該属性情報を管理情報ダウンロード部217aに返信する(S18)。管理情報ダウンロード部217aは、返信された部品の属性情報を管理情報記憶部232に記録する。なお、属性情報のダウンロード対象とされる部品は、部品属性記憶部53に登録されている全ての部品でもよいし、今回の保守作業の対象となる機種に対応する部品に限定されてもよい。後者の場合、ステップS16におけるダウンロード要求には、今回の保守作業の対象となる機種の一覧が指定される。当該機種の一覧は、ステップS15において受信される保守管理情報に含まれる機種に基づいて特定されればよい。
続いて、管理情報ダウンロード部217aは、ファームウェアのダウンロード要求を保守管理サーバ50に送信する(S19)。保守管理サーバ50の保守管理部51は、ファームウェアのダウンロード要求に応じ、今回の保守対象の顧客の画像形成装置10において更新対象とされるファームウェアを判定する(S20)。当該ファームウェアは、ステップS15において転送対象とされた保守管理情報に含まれているROM情報と、ファームウェア記憶部54に記録されている各ファームウェアの属性情報とを比較することにより判定される。すなわち、ROM情報に含まれているバージョン情報より新しいバージョン情報に係るファームウェアの属性情報がファームウェア記憶部54に記録されている場合、当該ファームウェアが、今回の保守対象の顧客の画像形成装置10に対して適用すべきファームウェアであると判定される。
続いて、保守管理部51は、更新対象として判定されたファームウェアごとに、実体及び属性情報と、当該ファームウェアの適用先の画像形成装置10の機番とを含む情報(以下、「ファームウェア情報」という。)を管理情報ダウンロード部217aに返信する(S21)。管理情報ダウンロード部217aは、返信されたファームウェア情報を、保守員端末20に接続された携帯型の外部記憶媒体(例えば、SDカード)に記録する(S22)。なお、ステップS21及びS22は、更新対象とされるファームウェアが無い場合は実行されなくてよい。
以上で、保守作業を行うための前作業は完了する。保守員は、保守作業の当日になると、保守員端末20等を持参して、当日に保守作業を行うことになっている顧客を訪問し、当該顧客の顧客環境1において保守作業を行う。具体的には、保守対象とされている各画像形成装置10について、定期交換部品の交換や必要な清掃、注油、画像調整等を行う。また、更新対象のファームウェアが有る場合、保守員は、当該ファームウェアの適用先の画像形成装置10のSDカードスロット17に、ファームウェア情報が記録されたSDカードをセットし、ファームウェアの更新(すなわち、ROM113の更新)を行う。なお、ファームウェアは、図8のステップS22において保守員端末20の補助記憶装置202に記録されてもよい。この場合、顧客環境1において、保守員端末20から適用先の画像形成装置10に対してネットワーク60を介してファームウェアが転送されればよい。本実施の形態において、ファームウェアをSDカード等の携帯型の外部記憶媒体に保存しているのは、ROM113の更新が行われていることを明確に認識したいという顧客の要望に応えるためである。すなわち、ファームウェアのようなソフトウェアの更新は、ハードウェア部品の交換に比べて顧客から見えづらい。特に、ネットワークを介してファームウェアが更新されたる場合、顧客は、保守員が現在どのような作業を行っているのかを把握するのが困難である。そこで、SDカード等を画像形成装置10にセットしてファームウェアがインストールされていることを視認可能とすることにより、保守員の作業内容の透明性を高め、顧客に対して安心感を与えるというわけである。
続いて、保守作業の完了後に、保守員の操作によって実行される処理について説明する。顧客環境1において、保守員は、自らが持参した保守員端末20を、ネットワーク40を介して各画像形成装置10と通信可能な状態とする。続いて、保守員は、保守員端末20において、まず、ウィジェットマネージャ22を起動させる。
図9は、ウィジェットマネージャの起動時の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
保守員によってウィジェットマネージャ22の起動指示が入力されると、ウィジェットマネージャ22の広告部222は、ログインユーザ(保守員)のユーザIDとウィジェット情報取得用URLとを含むユーザ情報の広告をネットワーク40上に送信する(S101)。
続いて、各画像形成装置10のユーザ検知部121は、広告を受信すると、当該広告に含まれているユーザID及びウィジェット情報取得用URLをユーザ管理テーブル126に登録する(S102)。
図10は、ユーザ管理テーブルの構成例を示す図である。同図に示されるように、ユーザ管理テーブル126は、ユーザIDとウィジェット情報取得用URLとの組(ペア)を管理する。ウィジェット情報取得用URLは、ウィジェットマネージャ22ごとに一意なURLである。ウィジェットマネージャ22は、一台の保守員端末20において一つ起動されればよい。すなわち、ウィジェットマネージャ22は、複数のウィジェット21から共用される。同図では、ユーザA及びユーザBについてレコードが登録されている例が示されている。ユーザ管理テーブル126は、例えば、HDD114に記憶されている。
ウィジェットマネージャ22の起動後、保守員は、保守員端末20において、保守作業報告書印刷ウィジェット21aを起動させる。図11は、保守作業報告書印刷ウィジェット起動時の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
保守員端末20において保守員によって入力される保守作業報告書印刷ウィジェット21aの起動指示に応じ、ウィジェット情報送信部212aは属性情報管理ファイル231aを参照してウィジェット情報を生成し、当該ウィジェット情報の登録要求をウィジェットマネージャ22に送信する(S111)。
図12は、保守作業報告書印刷ウィジェットのウィジェット情報の例を示す図である。同図において、保守作業報告書印刷ウィジェット21aのウィジェット情報は、ウィジェットID、ユーザID、連携機能識別子、ウィジェットアドレス、及び表示名等を含む。
ウィジェットIDは、各ウィジェット21を一意に識別する識別情報である。ユーザIDは、保守作業報告書印刷ウィジェット21aの所有者である保守員の識別情報である。連携機能識別子は、保守作業報告書印刷ウィジェット21aと連携する画像形成装置10が有している必要のある機能(換言すれば、ウィジェットが利用する機能)を識別するための情報である。連携機能識別子の一例として「print」、「scan」等が挙げられる。「print」は、印刷機能を示す。「scan」は、スキャン機能を示す。後述されるように、保守作業報告書印刷ウィジェット21aは、画像形成装置10の印刷機能を利用する。したがって、図12の例では、「print」が連携機能識別子とされている。ウィジェットアドレスは、ネットワーク通信において各ウィジェット21を一意に識別するための識別情報(例えば、URL等)である。表示名は、保守作業報告書印刷ウィジェット21aの表示用の文字列である。なお、ウィジェットID、ユーザID、連携機能識別子、ウィジェットアドレス、及び表示名は、例えば、属性情報管理ファイル231より取得される。
ステップS111においてウィジェット情報送信部212aより送信されたウィジェット情報は、ウィジェットマネージャ22のウィジェット情報登録部221によって受信される。ウィジェット情報登録部221は、受信されたウィジェット情報をウィジェット情報管理テーブル225に登録する(S112)。
図11の処理の実行後、保守員は、保守作業報告書印刷ウィジェット21aを実行するために画像形成装置10の設置場所へ移動する。複数の画像形成装置10がネットワーク40に接続されている場合、同一の広告が各画像形成装置10のユーザ検知部121によって受信され、それぞれの画像形成装置10のユーザ管理テーブル126にユーザID及びウィジェット情報取得用URLが登録される。したがって、保守員は、複数の画像形成装置10のいずれを操作対象としても保守作業報告書印刷ウィジェット21aに係るジョブを実行させることができる。ここでは、保守作業の対象とされた画像形成装置10のいずれか一つが操作対象とされる。
操作対象として選択された画像形成装置10における保守員による操作に応じて実行される処理について説明する。図13は、実行可能なウィジェットの一覧の表示処理の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
保守員によって操作パネル15を介してウィジェット21の利用指示が入力されると(S201)、画像形成装置10のUI制御部122は、ユーザ管理テーブル126に登録されている情報に基づいてユーザ選択画面を操作パネル15に表示させる(S202)。
図14は、ユーザ選択画面の表示例を示す図である。同図に示されるユーザ選択画面610には、ネットワーク40上において、ウィジェットマネージャ22を起動させている保守員に対応するボタンが表示されている。同図では、「ユーザA」をユーザIDとする保守員に対応するボタン611が表示されている。
続いて、保守員は、ユーザ選択画面610において自らのユーザIDに対応するボタンを押下する(S203)。ボタンの押下に応じ、ウィジェット情報取得部123は、選択されたボタンに対応するユーザIDに関連付けられているウィジェット情報取得用URLをユーザ管理テーブル126より取得する。なお、ユーザIDに対応するボタンの押下に応じ、保守員の認証を行い、保守員が認証された場合にのみ、以降の処理が実行されるようにしてもよい。
続いて、ウィジェット情報取得部123は、ウィジェット情報取得用URL宛に、ウィジェット情報の取得要求を送信する(S204)。ウィジェット情報の取得要求は、当該ウィジェット情報取得用URLに対応するウィジェットマネージャ22のウィジェット情報提供部223によって受信される。ウィジェット情報提供部223は、ウィジェット情報管理テーブル225に登録されている全てのウィジェット情報を取得し、取得されたウィジェット情報の一覧を画像形成装置10に送信する(S205)。ウィジェット情報の一覧の送信に際し、ウィジェット情報提供部223は、画像形成装置10と各ウィジェット21との通信を中継するためのURL(以下、「ウィジェット中継用URL」という。)をウィジェットごと(ウィジェット情報ごと)に一意に生成する。ウィジェット情報提供部223は、ウィジェットごとに生成されたウィジェット中継用URLを、各ウィジェット情報に付加し、ウィジェット中継用URLが付加されたウィジェット情報の一覧を画像形成装置10に送信する。したがって、ステップS205において送信されるウィジェット情報は、例えば、図15に示されるような構成を有する。
図15は、ウィジェットマネージャから画像形成装置に送信される保守作業報告書印刷ウィジェットのウィジェット情報の構成例を示す図である。
図15に示されるウィジェット情報は、図12のウィジェット情報に対してウィジェット中継用URLが付加されたものである。ステップS205では、同図に示されるようなウィジェット情報の一覧が送信される。ここでは、ウィジェット情報が一つしか含まれないものもウィジェット情報の一覧という。
続いて、画像形成装置10のUI制御部122は、受信されたウィジェット情報の一覧をRAM112に記録しておき、当該ウィジェット情報の一覧に基づいて、実行可能なウィジェットの一覧を含む画面(ウィジェット選択画面)を表示させる(S206)。
図16は、ウィジェット選択画面の表示例を示す図である。同図においてウィジェット選択画面620には、ウィジェット21ごとにボタン(表示部品)が表示されている。同図では、保守作業報告書印刷ウィジェット21aに対応するボタン621と、使用状況報告書印刷ウィジェット21bに対応するボタン622とが表示されている。すなわち、同図は、保守作業報告書印刷ウィジェット21aのウィジェット情報と、使用状況報告書印刷ウィジェット21bのウィジェット情報とがステップS205において受信された場合のウィジェット選択画面620の表示例である。なお、使用状況報告書印刷ウィジェット21bのウィジェット情報は、保守員端末20において使用状況報告書印刷ウィジェット21bが起動されている場合に受信される。
続いて、図17に示される処理が開始される。図17は、保守作業報告書印刷ウィジェットの実行時の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
ウィジェット選択画面620において、保守作業報告書印刷ウィジェット21aに対応するボタン621が表示されている場合において、当該画像形成装置10に関する保守作業報告書710を作成したい場合、保守員は、ボタン621を押下(選択)し、スタートキーを押下する(S301)。ボタン621の押下及びスタートキーの押下に応じ、ウィジェット連携部124は、押下されたボタン621に対応するウィジェット情報(以下、「カレントウィジェット情報」という。)に含まれているウィジェット中継用URL宛に、ジョブの実行要求を送信する(S302)。当該ジョブの実行要求には、当該実行要求の送信元の画像形成装置10のIPアドレスが含まれている。なお、ウィジェット連携部124は、カレントウィジェット情報に含まれている連携機能識別子(「print」)に基づいて、画像形成装置10は、印刷を実行すべきことを認識する。印刷を実行するためには印刷データを入手する必要がある。そこで、ウィジェット連携部124は、ジョブの実行要求後、ウィジェット中継用URL宛に対し、印刷データの取得要求のポーリングを行う。
ウィジェット中継用URL宛のジョブの実行要求は、ウィジェットマネージャ22の仲介部224によって受信される。仲介部224は、当該ウィジェット中継用URLに対応するウィジェット情報をウィジェット情報管理テーブル225より取得し、当該ウィジェット情報に含まれているウィジェットアドレス宛にジョブの実行要求を転送する(S303)。
当該ジョブの実行要求が保守作業報告書印刷ウィジェット21aの連携部213aによって受信されると、機器情報取得部214aは、当該実行要求に含まれていたIPアドレスを指定して、機器情報取得ライブラリ25の機器情報取得関数を呼び出す(S304)。機器情報取得関数は、指定されたIPアドレスに対応する画像形成装置10の機器情報提供部127宛(例えば、機器情報提供部127に対応するポート番号宛)に機器情報の取得要求を送信する(S305)。
当該取得要求を受信した機器情報提供部127は、画像形成装置10より機器情報を取得し、取得された機器情報を返信する(S306)。第一の実施の形態において、機器情報には、当該画像形成装置10の機番、定期交換の対象となりうる各部品の部品番号及びシリアル番号、ROM情報、並びに所定のカウンターの値等が含まれている。機器情報取得ライブラリ25の機器情報取得関数は、返信された機器情報を保守作業報告書印刷ウィジェット21aの機器情報取得部214aに出力する(S307)。機器情報取得部214aは、当該機器情報をメモリ装置203に記録しておく。
続いて、報告書生成部215aは、受信された機器情報(すなわち、保守作業報告書710の作成対象の画像形成装置10の機器情報)と、管理情報記憶部232に記録されている保守管理情報の中で当該機器情報に含まれている機番に対応する保守管理情報とに基づいて、保守作業報告書データを生成する(S308)。
具体的には、保守作業報告書710(図5参照)の顧客情報711として、当該保守管理情報に含まれている顧客情報が用いられる。機番712として、当該機器情報に含まれている機番が用いられる。保守日713として、保守員端末20のOSより取得される当日の日付用いられる。作業完了時刻714として、保守員端末20のOSより取得される現在時刻が用いられる。カウンター情報715として、当該機器情報に含まれている所定のカウンターの値が用いられる。オプション情報716として、当該機器情報と当該保守管理情報との間でバージョン情報が異なる各ファームウェアの更新後のバージョン情報(すなわち、当該機器情報に含まれているバージョン情報)が用いられる。また、当該機器情報に含まれているシリアル番号の中で、当該保守管理情報に含まれていないシリアル番号に係る部品が抽出され、当該部品の属性情報が交換部品一覧情報717として用いられる。なお、当該部品の属性情報は、当該部品の部品番号に基づいて、管理情報記憶部232に部品ごとに記録されている属性情報より抽出される。
続いて、報告書生成部215a、例えば、保守員端末20にインストールされているプリンタドライバを利用して保守作業報告書データを印刷させるための印刷データ(PDL(Page Description Language)データ)を生成する(S309)。但し、画像形成装置10がTIFF(Tagged Image File Format)データやPDF(Portable Document Format)データ等の汎用的なデータ形式によるデータを印刷データとして受け付け可能な場合、保守作業報告書データは、当該データ形式によるデータに変換され、当該データが印刷データとされてもよい。
続いて、連携部213aは、生成された印刷データを、ステップS303において受信されたジョブの実行要求に対する応答としてウィジェットマネージャ22の仲介部224に返信する(S310)。仲介部224は、保守作業報告書印刷ウィジェット21aに係るウィジェット中継用URLに対する印刷データの取得要求(ポーリング)に応じ、当該印刷データを画像形成装置10のウィジェット連携部124に返信する(S311)。
画像形成装置10のウィジェット連携部124は、受信された印刷データをジョブ実行制御部125に入力する。続いて、ジョブ実行制御部125は、受信された印刷データに関する印刷ジョブを実行する。その結果、保守作業報告書710(図5)が印刷される。なお、保守員からすると、ウィジェット選択画面620においてボタン621を選択し、スタートキーを押下しただけで、その場で保守作業報告書710が出力されたように見える。
印刷ジョブが完了すると、ウィジェット連携部124は、印刷ジョブの結果情報(成否等を示す情報)を、実行対象とされた保守作業報告書印刷ウィジェット21aのウィジェット情報に含まれているウィジェット中継用URL宛に送信する(S313)。ウィジェット中継用URL宛の結果情報は、ウィジェットマネージャ22の仲介部224によって受信される。仲介部224は、当該ウィジェット中継用URLが対応するウィジェット情報をウィジェット情報管理テーブル225より取得し、当該ウィジェット情報に含まれているウィジェットアドレス宛に結果情報を転送する(S314)。
当該ウィジェットアドレス宛の結果情報は、保守員端末20における保守作業報告書印刷ウィジェット21aの連携部213aによって受信される。保守作業報告書印刷ウィジェット21aの機器情報記録部217aは、結果情報が印刷の成功を示すものである場合、機器情報取得部214aによってメモリ装置203に記録されている機器情報を含む機器情報確認画面を表示装置206に表示させる(S315)。但し、機器情報確認画面は、保守作業報告書印刷ウィジェット21aのアイコンに対する所定の操作(例えば、右クリックによって表示されるコンテキストメニュー内のメニュー項目の選択等)に応じて実行されてもよい。
図18は、機器情報認画面の表示例を示す図である。同図において、機器情報認画面650は、機器情報表示領域651、ウィンドウ652、スクロールバー653、OKボタン654、及びキャンセルボタン655等を有する。
機器情報表示領域651には、機器情報が項目別に表示され、当該項目ごとにチェックボタンch1が配置されている。チェックボタンch1がチェックされた項目(選択された項目)は、機器情報記憶部233への記録対象とされる。このことは、最終的に保守管理サーバ50へのアップロードの対象とされること、すなわち、顧客環境1から外部に持ち出されることを意味する。チェックボタンch1のチェックが解除された項目(選択されない項目)は、機器情報記憶部233への記録対象とはされず、保守員端末20のメモリ装置203より削除される。すなわち、機器情報認画面650では、外部への持ち出し対象の範囲が編集可能とされている。したがって、ユーザは、外部に持ち出される情報を自らの意思で限定又は制限することができる。なお、項目に階層が有る場合(項目が更に下位の複数の項目を含む場合)、下位の項目についてもチェックボタンが配置されてもよい。例えば、「(4)最新ROM情報」は、「(1)メイン」と「(2)コントローラ」との下位の項目を有する。このような場合、「(1)メイン」及び「(2)コントローラ」ごとにチェックボタンが設けられてもよい。また、機器情報記録部216aは、チェックボタンcb1の選択状態、すなわち、記録対象に含めるか否かを示す情報を機器情報の項目ごとに属性情報管理ファイル231aに保存するようにしてもよい。機器情報記録部216aは、次回、機器情報認画面651を表示させる際は、属性情報管理ファイル231aに保存されている情報に基づいて、各チェックボタンcb1の状態を設定する。又は、機器情報の項目ごとに記録対象に含めるか否かが予め属性情報管理ファイル231aに設定されていてもよい。この場合、例えば、UI制御部211aが、機器情報の項目毎にチェックボタンが配置された設定画面を表示させ、当該設定画面に対する設定内容を属性情報管理ファイル231aに保存するようにすればよい。
ウィンドウ652は、機器情報表示領域651において表示対象とされた部分(領域)を表示させる。スクロールバー653は、機器情報表示領域651において表示対象とする部分を選択させるための部品である。キャンセルボタン655は、機器情報の記録の中止指示を受け付けるためのボタンである。すなわち、キャンセルボタン655が押下された場合、機器情報記録部216aは、機器情報について機器情報記憶部233への記録は行わない。
OKボタン654は、機器情報の記録指示を受け付けるためのボタンである。すなわち、OKボタン654が押下されると、機器情報記録部216aは、チェックボタンcb1が選択状態である項目に係る情報を機器情報より抽出し、抽出された情報を機器情報記憶部233に記録する(S316)。なお、機器情報を構成する各項目について、記録対象に含めるか否かが設定された情報が予め記録されている場合、機器情報認画面650の表示は実行されなくてもよい。この場合、予め設定された情報に基づいて、記録対象とする項目に係る情報が機器情報より抽出されればよい。
図13及び図17において説明した処理が、保守対象とされた各画像形成装置10に対して実行されることにより、各画像形成装置10の保守作業報告書710が各画像形成装置10より出力される。また、保守員端末20には、各画像形成装置10の最新(保守作業後)の状態における機器情報が、顧客によって許可された範囲内において記録される。
上記の作業の完了後、保守員は、保守管理環境5に戻り、保守対象とされた画像形成装置10の最新の状態を示す機器情報を保守管理サーバ50へ反映させる(アップロードする)。
図19は、保守管理サーバへの機器情報のアップロード処理の処理手順を説明するためのシーケンス図である。同図の前提として、保守員端末20は、保守管理環境5において、ネットワーク60を介して保守管理サーバ50と通信可能な状態であるとする。
ステップS401において、保守作業報告書印刷ウィジェット21aが起動されると、保守作業報告書印刷ウィジェット21aのウィジェットUI部211aは、保守作業報告書印刷ウィジェット21aのアイコンを表示装置206に表示させる。続いて、ウィジェットUI部211aは、保守員より、機器情報のアップロード指示の入力を受け付ける(S402)。アップロード指示の入力は、例えば、保守作業報告書印刷ウィジェット21aのアイコンに対する右クリックによって表示されるコンテキストメニューに含まれているメニュー項目を選択することにより行われる。
続いて、機器情報アップロード部218aは、機器情報記憶部233aに記録されている全ての機器情報を保守管理サーバ50に送信(アップロード)する(S403)。保守管理サーバ50の保守管理部51は、受信された機器情報を保守管理情報記憶部52に記録する(S404)。具体的には、受信された機器情報と機番が一致する保守管理情報が、当該機器情報によって更新される。
以上によって、定期交換部品の交換のための保守作業は完了する。
上述したように、第一の実施の形態によれば、保守対象の画像形成装置10が外部のネットワークから隠蔽された状態であっても、保守員端末20を介して各画像形成装置10の保守管理情報を適切に管理することができる。したがって、ユーザが知らない間に通知情報が転送されるという事態の発生が抑制される。また、各画像形成装置10より保守員端末20に取得される機器情報は、顧客の指定により保守管理環境5に持ち帰る範囲を限定することができる。その結果、顧客環境1における情報が外部に持ち出されることに対する不安や抵抗感等を緩和することができる。
また、保守作業報告書印刷ウィジェット21aによって、保守作業前後の画像形成装置10の状態が比較され、その比較結果に基づいて保守作業報告書710はが自動的に作成される。その結果、保守員が保守作業報告書710を手で記入する場合に比べて、保守員の作業負担を軽減することができる。また、保守員による記入ミス等を削減することもできる。
次に、第二の実施の形態として、使用状況報告書720の作成のための処理手順について説明する。但し、第二の実施の形態の処理手順は、扱われる情報が異なる点を除き、第一の実施の形態の処理手順とほぼ同様である。したがって、第二の実施の形態では、第一の実施の形態と共通する点及び第一の実施の形態から自明な点に関する説明は省略する。
第二の実施の形態においても、まず、保守管理環境5において、図8に示される処理が実行される。但し、保守作業報告書印刷ウィジェット21aの代わりに使用状況報告書印刷ウィジェット21bが利用される。また、第二の実施の形態において、一つの画像形成装置10に対する保守管理情報は、主として、機種、機番、顧客情報、及び過去6ヶ月分の検針時における所定のカウンターの値等を含む。当該所定のカウンターには、両面印刷枚数、集約印刷枚数、周辺機器(ソート、ステープル、パンチ等)利用枚数、エミュレーションモード別印刷枚数、及びカラーモード別印刷枚数等が含まれてもよい。
なお、第二の実施の形態において、ステップS16〜S22は実行されなくてよい。したがって、保守員は、上記のような構成を有する保守管理情報が、使用状況報告書印刷ウィジェット21bの管理情報記憶部232bに記録された状態の保守員端末20を持参して顧客を訪問する。保守員は、顧客環境1において、保守作業を行う。第二の実施の形態において保守作業は、検針に相当する。但し、検針自体を保守員が手作業で実行する必要はない。後述される処理によって自動的に検針されるからである。
したがって、第二の実施の形態では、速やかに図9、図11、図13、及び図17の処理が順番に実行される。各図の処理において、保守作業報告書印刷ウィジェット21aの代わりに使用状況報告書印刷ウィジェット21bが利用される。したがって、図17のステップS301では、使用状況報告書印刷ウィジェット21bに対応するボタン622が押下される。
ステップS306において機器情報提供部127より返信される機器情報には、操作対象とされている画像形成装置10の機種、機番、所定のカウンターの現在の値等が含まれている。機器情報取得ライブラリ25の機器情報取得関数は、返信された機器情報を使用状況報告書印刷ウィジェット21bの機器情報取得部214bに出力する(S307)。続いて、報告書生成部215bは、受信された機器情報(すなわち、使用状況報告書720の作成対象の画像形成装置10の機器情報)と、管理情報記憶部232に記録されている保守管理情報の中で当該機器情報に含まれている機番に対応する保守管理情報とに基づいて、使用状況報告書データを生成する(S308)。
具体的には、使用状況報告書720(図6参照)の機器情報721として、当該機器情報に含まれている機種及び機番が用いられる。当月カウンター数値722として、当該機器情報に含まれている所定のカウンターの値が用いられる。また、所定のカウンターについて、当該機器情報に含まれている値から、当該保守管理情報に含まれている前回(前月)の値を減ずることにより、前回から今回までの使用数が算出され、その算出結果が前回からの使用数723として用いられる。また、当該保守管理情報に含まれている過去6ヶ月分のカウンターの値に基づいて、月ごとの使用数が算出され、その算出結果に基づいて、使用数推移テーブル724及び使用数推移グラフ725が生成される。なお、両面印刷枚数、集約印刷枚数、周辺機器(ソート、ステープル、パンチ等)利用枚数、エミュレーションモード別印刷枚数、及びカラーモード別印刷枚数に関してグラフが生成されてもよい。
続いて、生成された使用状況報告書データに関して、ステップS309〜S312が実行されることにより、操作対象とされている画像形成装置10より、当該画像形成装置10に関する使用状況報告書720が出力される。
ステップS313以降は、第一の実施の形態より自明であるため、その説明は省略する。
図13及び図17において説明した処理が、保守対象とされた各画像形成装置10に対して実行されることにより、各画像形成装置10の使用状況報告書720が、各画像形成装置10より出力される。また、保守員端末20には、各画像形成装置10の最新の状態における機器情報(カウンターの値等)が、顧客によって許可された範囲内において記録される。
上記の作業の完了後、保守員は、保守管理環境5に戻り、図19と同様の処理を実行させる。その結果、保守管理サーバ50の保守管理情報記憶部52における、各画像形成装置10のカウンターの値は、今回の検針時の値に更新される。
上述したように、第二の実施の形態によれば、検針作業に関して、第一の実施の形態と同様の効果を得ることができる。例えば、保守員が画像形成装置10のカウンターの値を直接調べる必要が無いため、保守員によるカウンターの値の見誤り、記入ミス等を防止することができる。また、画像形成装置10を利用した顧客の業務を停止させる必要性を低減させることができる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。