JP5568700B1 - 白色ガラス容器および白色ガラス容器の製造方法 - Google Patents

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Abstract

有意量のフッ素化合物を含まないとともに、ガラス組成物の溶融条件や成形条件によらず、ガラス用組成物の分相現象に由来した多層構造を一部または全部に有し、機械的強度や白色性に優れた白色ガラス容器、およびそのような白色ガラス容器の効率的な製造方法を提供する。
白色ガラス容器およびその製造方法であって、全体量に対して、以下のガラス配合組成を有するガラス用組成物の分相現象に由来した、白色性が相対的に低い白色透明層と、白色性が相対的に高い白色不透明層と、を含んでなる多層構造を一部または全部に有することを特徴とする。
SiO2:45〜58重量%、P25:2〜8重量%、Al23:5〜9重量%、B23:5〜13重量%、Na2O:5〜12重量%、K2O:1〜6重量%、ZnO:3〜10重量%、CaO:3〜10重量%、CeO2:0.1〜2重量%、Er23:0.01〜0.5重量%

Description

本発明は、白色ガラス容器およびその製造方法に関し、特に、有意量のフッ素を含まないガラス用組成物の分相現象に由来した多層構造を一部または全部に有する白色ガラス容器およびその製造方法に関する。
透明ガラス中に、屈折率の異なる粒子等を介在させ、光散乱を生じさせることにより、あるいは初めから不透明な微細粒子を一定量均一分散させることにより、光透過率を低減させて、白色化したガラスは、一般に、乳白色ガラスやオパーリンガラス、あるいは白色ガラスと呼ばれ、美観や保存安定性が良好な点から、容器、食器、建築材料等に使用されている。
ここで、従来の白色ガラス組成物は、通常、所定量のフッ素を含んでおり、主成分としてのSiO2のガラス相中に、乳白成分としてのNaFの結晶相を、均一に分散させることにより、乳白色化が行われている(例えば、特許文献1参照)。
より具体的には、SiO2を70〜73重量%、フッ素を4〜6重量%含んでなる白色ガラス組成物であって、それから白色ガラス容器が形成されている。
一方、フッ素を含まないガラス組成物からなる結晶化ガラスの製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
より具体的には、重量%で、SiO2を45〜65%、Al23を3〜15%、Na2Oを10〜25%、CaOを12〜25%、P25を3〜8%の範囲で含む所定ガラス組成物を、全体量の90重量%以上含んでなるガラス組成物を用いて、ガラスを成形し、徐冷した後、900℃程度の後熱処理を行って結晶化を行うことを特徴とする不透明(白色)なリンを含む結晶化ガラスの製造方法である。
さらにまた、本発明の出願人は、有意量のフッ素を含まずに、安全に生産容易で、白色性が高く、かつ、低温溶融可能な乳白色のガラス組成物を提案している(例えば、特許文献3参照)。
より具体的には、所定のガラス原料を1400℃程度で溶融し、次いで徐冷するだけで乳白色ガラスが得られるSiO2を35〜65重量%、P25を3.5〜10重量%、Al23を5.5〜15重量%、CaOを3〜15重量%等の範囲で含む乳白色のガラス組成物である。
特開昭62−52140号公報(特許請求の範囲等) 特開昭50−150715号公報(特許請求の範囲等) 特開平8 −277142号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1に開示された白色ガラス組成物を製造するにあたり、フッ素原料として、蛍石(CaF2)、ケイ弗化ソーダ(Na2SiF6)、氷晶石(Na3AlF6)などを使用するため、ガラス溶融時に、フッ素ガスが、相当量(10〜50%程度)飛散することから、大気汚染を引き起こすばかりか、農産物等に対して有害であって、安全性に欠けるという問題があった。
また、特許文献2に開示されたリンを含む結晶化ガラスの製造方法によれば、ガラス成形して、徐冷後に、900℃程度の高温で後加熱処理しなければ、不透明(白色)な結晶化ガラスが得られないという、製造上の問題が見られた。
その上、開示されたガラス組成物は、フッ素を含まないものの、Na2OやCaO等の配合量が多すぎる一方、B23等を全く使用していないためと思われるが、得られる結晶化ガラスの白色性が乏しく、透明性になりやすいという問題が見られた。
さらに、特許文献3に開示された乳白色のガラス組成物によれば、ガラス転移温度以上の後熱処理を行うことなく乳白色ガラスが得られるものの、ガラス原料の溶融条件によっては、リン酸カルシウム等が析出し、白色性や機械的強度が低下したり、さらには、還元されて着色したりする現象が見られた。
その上、乳白色のガラス組成物から得られる白色ガラスは、成形後の徐冷条件等によって、その機械的強度がさらに著しく低下したりする場合が見られた。
そこで、本発明の発明者らは鋭意検討した結果、ガラス原料の配合、攪拌条件、および金型における成形方法等を考慮することによって、有意量のフッ素化合物を含まない白色ガラス組成物から、分相領域を含んでなる多層構造を一部または全部に有する白色ガラス容器が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、ガラス組成物の溶融条件や成形後の徐冷条件等によらず、機械的強度や白色性に優れた白色ガラス容器、およびそのような白色ガラス容器の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、全体量に対して、以下のガラス配合組成を有するガラス用組成物の分相現象に由来した白色ガラス容器であって、当該白色ガラス容器が、少なくとも首部およ び胴体部を備えており、首部に、白色性が相対的に高い白色不透明層を含んでなる多層構 造を有しないとともに、胴体部に、白色性が相対的に低く、かつ、厚さが0.1〜10m mの範囲内の値である白色透明層と、白色性が相対的に高く、かつ、厚さが3〜25mm の範囲内の値である白色不透明層と、を含んでなる多層構造を、一部または全部に有する ことを特徴とする白色ガラス容器が提供され、上述した問題点を解決することができる。SiO2:45〜58重量%
25:2〜8重量%
Al23:5〜9重量%
23:5〜13重量%
Na2O:5〜12重量%
2O:1〜6重量%
ZnO:3〜10重量%
CaO:3〜10重量%
CeO 2 :0.1〜2重量%
すなわち、ガラス原料の配合組成をこのように制限することによって、有意量のフッ素化合物を含まない場合であって、ガラス組成物の溶融条件や成形条件によらず、所定金型等を用いて成型することにより、ガラス用組成物の分相現象に由来した多層構造を一部または全部に有する白色ガラス容器を得ることができる。
また、本発明の白色ガラス容器は、ガラス用組成物における酸化剤として、所定量のC eO 2 を含むことによって、外部からガラス成分の分散用の水が添加され、還元雰囲気と なったような場合であっても、それを酸化剤としてのCeO 2 が酸化雰囲気に戻して、鉄 イオン等に基づく、白色ガラスの着色を有効に防止することができる。
さらに、首部には、白色性が相対的に高く、白色度(L)が70以上である白色不透明 層を含む多層構造を設けないとともに、胴体部に、所定の白色透明層、および白色度(L )が70以上の白色不透明層からなる多層構造を設けることによって、白色ガラス容器の 機械的強度を高めるとともに、良好な光沢性を得ることができる。
なお、白色ガラス容器(胴体部等)の白色性については、JIS Z 8730に準拠して測定される白色度(L)を目安とすることができ、例えば、かかる白色度(L)が70以上であれば、白色性が相対的に高いということができ、逆に、かかる白色度(L)が70未満であれば、白色性が相対的に低いということができる。
その他、ガラス原料の全体量が、100重量%を超える場合には、全体量を100重量%として、規定する各配合比率になるように、各ガラス成分の配合量を換算するものとし、ガラス原料の全体量が100重量%に満たない場合には、他のガラス成分等で補充するものとする(以下、同様である)。
また、本発明の白色ガラス容器を構成するにあたり、ガラス用組成物が、BaO、Li2OおよびSO3からなる群から選択される少なくとも一つの金属酸化物をさらに含むとともに、当該BaO、Li2OおよびSO3の少なくとも一つの金属酸化物の配合量を、全体量に対して、0.1〜5重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
このようなガラス成分を含有することによって、ガラス用組成物の溶融性や、得られる白色ガラス容器の成型性や白色性等を増加させることができる。
また、本発明の白色ガラス容器を構成するにあたり、ガラス用組成物が、Er 2 3 を含 むとともに、当該Er 2 3 の配合量を、全体量に対して、0.01〜0.5重量%の範囲 内の値とすることが好ましい。
このような消色剤として機能するEr 2 3 を含有することによって、Er 2 3 の補色関 係を利用して、白色ガラス容器の着色を有効に防止することができる。
また、本発明の白色ガラス容器を構成するにあたり、首部におけるJIS Z 873 0に準拠して測定される白色度を40以上の値とすることが好ましい。
また、本発明の白色ガラス容器を構成するにあたり、胴体部におけるJIS Z 87 30に準拠して測定される白色度を80以上の値とすることが好ましい。
また、本発明の別の態様は、ガラス用組成物の分相現象を利用した、少なくとも首部お よび胴体部を備えた白色ガラス容器の製造方法であって、首部に、白色性が相対的に高い 白色不透明層を含む3層構造を有しないとともに、胴体部に、白色性が相対的に低く、か つ、厚さが0.1〜10mmの範囲内の値である白色透明層と、白色性が相対的に高く、 かつ、厚さが3〜25mmの範囲内の値である白色不透明層と、白色性が相対的に低く、 かつ、厚さが0.1〜10mmの範囲内の値である白色透明層と、を含んでなる3層構造を、一部または全部に有する、白色ガラス容器の製造方法であり、下記第1工程および第2工程を含むことを特徴とする白色ガラス容器の製造方法である。
第1工程:全体量に対して、以下のガラス配合組成を有するガラス用組成物を準備し、溶融する工程
SiO2:45〜58重量%
25:2〜8重量%
Al23:5〜9重量%
23:5〜13重量%
Na2O:5〜12重量%
2O:1〜6重量%
ZnO:3〜10重量%
CaO:3〜10重量%
CeO 2 :0.1〜2重量%
第2工程:溶融したガラス用組成物を、金型およびプランジャーを用いて、ワンプレス方法で成形するとともに徐冷し、首部に、ガラス用組成物の分相現象に由来した3層構造を 形成しないとともに、ガラス用組成物の分相現象に由来した3層構造を、胴体部の一部または全部に有する白色ガラス容器とする工程
すなわち、このように白色ガラス容器を製造することによって、有意量のフッ素化合物を含まない場合であって、ガラス組成物の溶融条件や成形条件によらず、所定金型等を用いて、分相領域を含んでなる多層構造(3層構造)を一部または全部に有する白色ガラス容器を効率的に得ることができる。
さらに、首部には、白色性が相対的に高い白色不透明層を含んでなる多層構造を設けな いとともに、胴体部に、所定の白色透明層および白色不透明層を設けることによって、白 色ガラス容器の機械的強度を高めるとともに、良好な光沢性を得ることができる。
また、本発明の別の態様は、ガラス用組成物の分相現象を利用した、少なくとも首部お よび胴体部を備えた白色ガラス容器の製造方法であって、首部に、白色性が相対的に高い 白色不透明層を含んでなる多層構造を有しないとともに、胴体部に、白色性が相対的に低 く、かつ、厚さが0.1〜10mmの範囲内の値である白色透明層と、白色性が相対的に 高く、かつ、厚さが3〜25mmの範囲内の値である白色不透明層と、を含んでなる2層構造を、一部または全部に有する、白色ガラス容器の製造方法であって、下記第1´工程および第2´工程を含むことを特徴とする白色ガラス容器の製造方法。
第1´工程:全体量に対して、以下のガラス配合組成を有するガラス用組成物を準備し、溶融する工程
SiO2:45〜58重量%
25:2〜8重量%
Al23:5〜9重量%
23:5〜13重量%
Na2O:5〜12重量%
2O:1〜6重量%
ZnO:3〜10重量%
CaO:3〜10重量%
CeO 2 :0.1〜2重量%
第2´工程:溶融したガラス用組成物を、金型および冷却エアーを用いて、ブロー方法で成形するとともに徐冷し、首部に、ガラス用組成物の分相現象に由来した2層構造を形成 しないとともに、ガラス用組成物の分相現象に由来した2層構造を、胴体部の一部または全部に有する白色ガラス容器とする工程
すなわち、このように白色ガラス容器を製造することによって、有意量のフッ素化合物を含まない場合であって、ガラス組成物の溶融条件や成形条件によらず、所定金型等を用いて成型することにより、ガラス用組成物の分相現象に由来した多層構造(2層構造)を一部または全部に有する白色ガラス容器を効率的に得ることができる。
さらに、首部には、白色性が相対的に高い白色不透明層を含んでなる多層構造を設けな いとともに、胴体部に、所定の白色透明層および白色不透明層を設けることによって、白 色ガラス容器の機械的強度を高めるとともに、良好な光沢性を得ることができる。
また、本発明の白色ガラス容器の製造方法を実施するにあたり、第1工程または第1´工程において、水分を配合し、バブリング処理を実施して、ガラス用組成物を溶融攪拌することが好ましい。
このように水分配合によるバブリング処理を実施することによって、各種ガラス成分、特に、リン酸カルシウム等のガラス原料が均一に混合し、ガラス配合組成が均一で、かつ、表面状態や白色性がさらに良好な白色ガラス容器を効率的に得ることができる。
図1(a)〜(b)は、ワンプレス法で製造された白色ガラス容器における多層構造(3層構造)を説明するために供する図である。 図2(a)〜(b)は、ブロー法で製造された白色ガラス容器における多層構造(2層構造)を説明するために供する図である。 図3(a)〜(b)は、ワンプレス法で製造された白色ガラス容器の形態例を説明するために供する写真である。 図4(a)〜(b)は、ブロー法で製造された白色ガラス容器の形態例を説明するために供する写真である。 図5(a)〜(c)は、ワンプレス法による3層構造を有する白色ガラス容器の製造方法を説明するために供する図である(その1)。 図6(a)〜(d)は、ワンプレス法による3層構造を有する白色ガラス容器の製造方法を説明するために供する図である(その2)。 図7は、火炎研磨装置を説明するために供する図である。 図8(a)〜(d)は、ブロー法による2層構造を有する白色ガラス容器の製造方法を説明するために供する図である。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、全体量に対して、以下のガラス配合組成を有するガラス用組成物の分相現象に由来した白色ガラス容器であって、図1(a)〜(b)または図2(a)〜(b)に例示するように、白色性が相対的に低い白色透明層12、12´、16、16´、34、34´と、白色性が相対的に高い白色不透明層14、14´、32、32´と、を内側から外側に向かって順次に含んでなる多層構造18、18´、36、36´を一部または全部に有することを特徴とする白色ガラス容器10、10´、30、30´が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、全体量に対して、白色ガラス容器が、少なくとも首部および胴体部を備えて おり、首部に、白色性が相対的に高い白色不透明層を含んでなる多層構造を有しないとと もに、胴体部に、白色性が相対的に低く、かつ、厚さが0.1〜10mmの範囲内の値で ある白色透明層と、白色性が相対的に高く、かつ、厚さが3〜25mmの範囲内の値であ る白色不透明層と、を含んでなる多層構造を、一部または全部に有する、ことを特徴とす る白色ガラス容器である。
25:2〜8重量%
Al23:5〜9重量%
23:5〜13重量%
Na2O:5〜12重量%
2O:1〜6重量%
ZnO:3〜10重量%
CaO:3〜10重量%
CeO 2 :0.1〜2重量%
以下、第1の実施形態の白色ガラス容器につき、適宜図面を参照しながら、具体的に説明する。
1.ガラス成分
(1)SiO2
SiO2は、白色ガラス容器を構成する多層構造におけるガラスの網目構造を形成する基本的成分である。すなわち、基本的に非晶質構造であって、優れた機械的強度、耐候性、あるいは光沢を発揮するためのガラス成分である。
ここで、SiO2の配合量を、ガラス成分の全体量(100重量%)に対して、45〜58重量%の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかるSiO2の配合量が45重量%未満では、白色ガラス容器としての耐候性や耐湿性が低下する場合あるためである。
一方、かかるSiO2の配合量が58重量%を超えると、ガラス成分の溶融温度が過度に高くなったり、他のガラス成分との均一な混合性が低下したりする場合があるためである。
したがって、かかる耐候性等とガラス成分の溶融温度のバランスが良好な点から、SiO2の配合量を43〜56重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、45〜53重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、一般的には、ガラスの耐候性や耐水性が過度に低下する場合があるから、SiO2の配合量を60〜65重量%以上の値にする必要があると言われているが、第1の実施形態においては、他のガラス成分と組み合わせることにより、ガラスの耐候性や耐水性を低下させることなく、SiO2の配合量を58重量%以下に低下させることができる。
(2)P25
また、P25は、SiO2との関係で分相現象を生じさせ、ガラスの白色化を促進するための基本的ガラス成分である。
よって、P25の配合量を、ガラス組成物の全体量に対して、2〜8重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
すなわち、P25の配合量が2重量%未満の値になると、分相が不十分となって、ガラスの白色性が不十分となったり、着色したりする場合があるためである。
一方、P25の配合量が8重量%の範囲を超えると、SiO2との均一分散性が困難になり、白色のムラが大きくなり、ガラスの美観が損なわれる場合があるためである。
したがって、かかる白色性と美観のバランスが更に良好なことから、P25の配合量を3〜7.5重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、4〜7重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
但し、P25と、SiO2のみのガラス組成では、いくらP25の配合量を増やしても、白色性の増加は不十分である。すなわち、P25は、他のガラス成分と相俟って、初めてSiO2成分と有効に分相し、一定の大きさの屈折率が異なる分相粒を、コロイド領域の中に形成し、それによって、白色性の高いガラスが得られるためである。
したがって、分相領域の一部(島部分)を構成する分相粒においては、その全体量(100モル%)に対して、P量が4〜20モル%の範囲内の値となるように、分相領域の一部(海部分)を構成するコロイド領域においては、その全体量(100モル%)に対して、P量が4モル%未満の値となるように、他のガラス成分の配合量も考慮しつつ、ガラス成分としてのP25の配合量を定めることが好ましい。
(3)Al23
Al23は、白色ガラス容器の化学的耐久性や熱膨張率を低下させる機能を発揮するとともに、SiO2と他の成分との分散安定性を著しく向上させ、ガラスの分相を均一かつ容易にならしめる機能を有している。
そこで、かかるAl23の配合量を、ガラス組成物の全体量に対して、5〜9重量%の範囲内の値とすることを特徴とする。
すなわち、Al23の配合量が、5重量%未満の値になると、SiO2と他の成分との均一分散が乏しくなる場合があり、得られる白色ガラスにムラが生じやすいためである。
一方、Al23の配合量が、9重量%を超えると、ガラス組成物の溶融温度が著しく高くなり、成型性が過度に低下したりする場合が生じるためである。
したがって、分散安定性とガラス組成物の溶融温度等とのバランスがより良好となるために、Al23の配合量を5.5〜8.5重量%の範囲内の値とすることが好ましく、6〜8重量%の範囲内の値とすることがより好ましい。
(4)B23
また、B23は、フラックス効果を発揮し、ガラス組成物の高温での粘性を減少させるとともに、得られる白色ガラス容器の成型性や耐候性についても向上させるためのガラス成分である。
そのため、かかるB23の配合量を、ガラス組成物の全体量に対して、5〜13重量%の範囲内の値とすることを特徴とする。
すなわち、B23の配合量が、5重量%未満の値となると、ガラス用組成物の溶融性や、得られる白色ガラス容器の成型性等が著しく低下する場合が生じるためであり、逆に、B23の配合量が13重量%を超えると、ガラス組成物の溶融温度が過度に高くなったりする場合が生じるためである。
したがって、ガラス用組成物の溶融性や、得られる白色ガラス容器の成型性等との間のバランスがより良くなるために、全体量に対して、B23の配合量を6〜12重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、8〜10重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(5)Na2
Na2Oは、ガラス組成物の溶融性を向上させ、粘度を低下させることにより、白色ガラス容器の成型性を向上させるためのガラス成分である。
そのため、かかるNa2Oの配合量を、ガラス組成物の全体量に対して、5〜12重量%の範囲内の値とすることを特徴とする。
すなわち、Na2Oの配合量が、5重量%未満の値では、粘度を低下させる添加効果が発現しない場合があるためであり、逆に、12重量%を超えると、ガラスの耐候性が低下したり、熱膨張係数が過度に大きくなったり、分相反応が阻害されて白色性が低下したりする場合があるためである。
したがって、Na2Oの添加効果とガラス組成物の溶融性等のバランスが更に良好なことから、Na2Oの配合量を6〜10重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、7〜9重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(6)K2
また、K2Oは、ガラス組成物の溶融時の温度傾斜をゆるやかにし、作業温度範囲を広くするとともに、いわゆる混合アルカリ効果により、ガラス中のNaイオンの動きを抑止し、ガラス表面に光沢をもたらすために添加されるガラス成分である。
したがって、かかるK2Oの配合量を、ガラス組成物の全体量に対応して、1〜6重量%範囲内の値とすることを特徴とする。
すなわち、K2Oの配合量が1重量%未満の値になると、添加効果等が発現しない場合があるためであり、逆に、K2Oの配合量が6重量%を超えると、ガラス組成物の溶融温度が過度に高くなる場合が生じるためである。
したがって、K2Oの添加効果とガラス組成物の溶融性等のバランスが更に良好なことから、K2Oの配合量を1.5〜5重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、2〜4.5重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(7)ZnO
また、ZnOは、少量の添加で、フラックス効果を発揮し、ガラス組成物の溶融性を増加させるとともに、熱膨張率を低下させたり、耐候性を向上させたりするためのガラス成分である。
したがって、かかるZnOの配合量を、ガラス組成物の全体量に対応して、3〜10重量%範囲内の値とすることを特徴とする。
すなわち、ZnOの配合量が、3重量%未満の値になると、添加効果等が発現しなかったりする場合があるためである。
一方、ZnOの配合量が10重量%を超えると、ガラス組成物の溶融性が低下し、それに伴い、得られる白色ガラスの表面平滑性が失われ、表面が荒れたマット状となる場合が生じるためである。
したがって、かかる添加効果とガラス組成物の溶融性等のバランスが更に良好になることから、ZnOの配合量を2〜8重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、3〜6重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(8)CaO
また、CaOは、ガラス組成物の高温での粘性を減少させる働きを発揮するとともに、分相反応に適したP25の供給原料として配合される。
したがって、CaOの配合量を、ガラス組成物の全体量に対応して、3〜10重量%の範囲内の値とすることを特徴とする。
すなわち、CaOの配合量が、3重量%未満の値となると、分相反応が低下することにより、白色性が著しく低下する場合が生じるためであり、逆に、CaOの配合量が10重量%を超えると、ガラス組成物の溶融温度が高くなったり、熱膨張係数が大きくなったりする場合が生じるためである。
したがって、得られるガラス容器における白色性と、ガラス組成物の溶融温度等とのバランスがより良好となるために、CaOの配合量を5〜9重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、6〜8重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(9)LiO2、SO3、BaO
(9)−1 LiO2
LiO2は比較的少量の添加によって、ガラス用組成物の溶融性や、得られる白色ガラス容器の成型性等を増加させるためのガラス成分である。
したがって、LiO2の配合量を、ガラス組成物の全体量に対して、0.1〜5重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
すなわち、LiO2の配合量が0.1重量%未満の値になると、ガラス組成物の溶融性が過度に低下する場合があるためであり、一方で、LiO2の配合量が5重量%を超えると、得られる白色ガラス容器の成型性等が著しく低下する場合があるためである。
したがって、LiO2の配合量を、全体量に対して、0.5〜4重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜3重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(9)−2 SO3
SO3は、白色ガラスとなるガラス組成物の溶融性を改良し、同時に得られる白色ガラスの白色性を増加させることから好ましいガラス成分である。
すなわち、SO3の配合量を、ガラス組成物の全体量に対して、0.1〜5重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、SO3の配合量が0.1重量%未満の値になると、ガラス組成物の溶融性や得られる白色ガラス容器の成型性や白色性等が過度に低下する場合があるためであり、一方で、SO3の配合量が5重量%を超えると、ガラス組成物の溶融時に過度に発泡する等の不具合が発生する場合があるためである。
したがって、ガラス組成物の溶融性と、ガラス組成物の溶融時における発泡性等との間のバランスが更に良好になることから、SO3の配合量を、全体量に対して、0.2〜3重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜2重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(9)−3 BaO
BaOは、比較的少量の添加によって、ガラス用組成物の溶融性や、得られる白色ガラス容器の成型性等を増加させるためのガラス成分である。
すなわち、BaOを、ガラス組成物の全体量に対して、0.1〜5重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、BaOの配合量が0.1重量%未満の値になると、ガラス組成物の溶融性が過度に低下する場合があるためであり、一方で、BaOの配合量が5重量%を超えると、得られる白色ガラス容器の成型性等が著しく低下する場合があるためである。
したがって、BaOの配合量を、全体量に対して、0.5〜4重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜3重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(10)他のガラス成分
更に、ガラス組成物が、TiO2、MgO、SrO、ZrO2、Sb23、Cs2O、SnO2、およびPbOから選ばれた群からなる少なくとも一つの金属酸化物を含有することが好ましい。
すなわち、TiO2は、得られる白色ガラス容器の白色性を向上させ、ガラス組成物の溶融性を増加させるとともに、熱膨張率を低下させたり、Al23の分散効果を助長させたりすることから、好ましいガラス成分である。
また、MgOは、ガラスの熱膨張率を低下させたり、Al23の分散効果を助長させたりすることから、好ましいガラス成分である。
さらに、SrOは、ガラス組成物の溶融性を向上させる効果を有することから、好ましいガラス成分である。
したがって、それぞれのガラス成分の配合量を、ガラス組成物の全体量に対して、0.1〜10重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
それぞれの配合量が、0.1重量%未満の値では、添加効果が発現しない場合があるためであり、一方、それぞれの配合量が10重量%を超えると、TiO2やMgOではガラス組成物の溶融性が低下したり、SrOではガラスの熱膨張率が上昇したりする場合があるためである。
なお、MgOまたはSrOと併用すると、いわゆる固溶効果が得られ、ガラス組成物の溶融性を向上させたままガラスの熱膨張率を低下させられることから、好適なガラス成分である。
更に、ZrO2は、ガラスを白色化し、化学的耐久性を著しく向上させることから好適なガラス成分であり、好適な配合量としては、全体量の0.1〜5重量%の範囲内の値である。
この理由は、ZrO2の配合量が0.1重量%未満の値になると、添加効果が発現しない場合があるためであり、一方、ZrO2の配合量が5重量%を超えると、逆に白色性が低下する場合があるためである。
また、Sb23は、ガラスの泡切れを向上させたり、As23、SnO2、およびPbOは、ガラスの白色性を向上させたり、ガラスの化学的耐久性を向上させることから、それぞれ好適なガラス成分である。
そして、Sb23の配合量を、ガラス組成物の全体量に対して、0.1〜1重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
すなわち、Sb23の配合量が0.1重量%未満の値になると、添加効果が発現しない場合があるためであり、一方、1重量%を超えると、泡切れ効果が低下する場合があるためである。
同様に、As23の配合量を、0.1〜10重量%の範囲内の値とすることが好ましく、SnO2の配合量を0.1〜10重量%の範囲内の値とすることが好ましく、PbOの配合量を0.1〜10重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
すなわち、それぞれの配合量が0.1重量%未満の値になると、添加効果が発現しない場合があるためであり、SnO2の配合量が10重量%を超えると軟化点が著しく上昇する場合があるためであり、更に、As23やPbOでは、それぞれ10重量%を超えると、熱膨張率が上昇したり、白色性が低下したり、あるいは耐候性が低下したりする場合があるためである。
その他、ガラス用組成物に、上記酸化物以外に、Nb5+、Ta5+、W6+、Mo6+からなる多価酸化物成分を含有させても、優れた分相効果を得られる事が確認されているし、更に、着色剤をガラス成分中に添加して、パステルカラー等の好みの色調にガラスを着色化することも好適である。
例えば、ガラス成分中に、Co2+、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Co3+、Cr3+、Fe3+、Mn3+、Nb3+、Pr3+、Er3+、Cr6+等となる着色剤を使用すると、各種の発色であって、かつ、パステルカラーが実現できることから好適なガラス成分である。
一方、着色することなく、白色性に富んだガラス容器を得たい場合には、ガラス用組成物に含まれるFeイオン等の含有量を250ppm以下の値とすることが好ましい。
すなわち、例えば、ガラス用組成物に含まれるFeイオンの含有量が、250ppmを超えると、当該Feイオンが3価から、2価に還元された場合に、青みがかった青磁様の着色したガラス用組成物となりやすいことが見出されている。
したがって、着色することなく、白色性に富んだ白色ガラス容器を得たい場合には、ガラス用組成物に含まれるFeイオンの含有量を、例えば、250ppm以下の値とすることが好ましく、50〜220ppmの範囲内の値とすることがより好ましく、100〜200ppmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
但し、青磁様の着色した白色ガラス容器を得たい場合には、ガラス用組成物に含まれるFeイオンの含有量を、例えば、250超〜800ppmの範囲内の値とすることが好ましく、300〜600ppmの範囲内の値とすることがより好ましく、350〜500ppmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(11)酸化剤
また、ガラス用組成物が、酸化剤としてのCeO2を含むとともに、当該CeO2の配合量を、ガラス用組成物の全体量に対して、0.1〜2重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ガラス用組成物中に、外部からガラス成分の分散用の水が添加され、還元雰囲気となった場合に、それを酸化剤としてのCeO2が酸化雰囲気に戻して、鉄イオン等に基づく、ガラス用組成物の着色を有効に防止するためである。
したがって、酸化剤としてのCeO2の配合量を、全体量に対して、0.2〜1.5重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.4〜1重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(12)消色成分
また、ガラス用組成物が、Er23を含むとともに、当該Er23の配合量を、全体量に対して、0.01〜0.5重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、白色ガラス容器が黄緑色系に着色しやすい場合において、消色剤として機能するEr23を含有することによって、当該Er23の補色関係を利用して、白色ガラス容器における着色を有効に防止するためである。
したがって、消色成分としてのEr23の配合量を、全体量に対して、0.02〜0.1重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.03〜0.08重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
但し、赤みがかった白色ガラス容器を得たい場合には、Er23は特に好ましい配合成分であって、多少多めに使用することが好ましいと言える。
すなわち、そのような場合、Er23の配合量を、ガラス用組成物の全体量に対して、0.5を超えて、5重量%の範囲内の値とすることが好ましく、0.8〜4重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜3重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(13)カレット成分
また、ガラス用組成物が、所定量のカレット成分を含有することが好ましい。
この理由は、かかるカレット成分を含有することによって、溶解性やガラス組成物の均一性が向上するとともに、廃棄するガラス用組成物を再利用することができ、経済的かつ環境的に有利なためである。
したがって、かかるカレット成分を、ガラス用組成物の全体量に対して、5〜50重量%の範囲内の値とすることが好ましく、10〜40重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、15〜30重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
2.多層構造
白色ガラス容器10、10´において、図1(a)〜(b)に例示されるように、白色性が相対的に低い白色透明層12、12´と、白色性が相対的に高い白色不透明層14、14´と、白色性が相対的に低い白色透明層、16、16´と、を内側から外側に向かって順次に含んでなる、ガラス用組成物の分相現象に由来した多層構造(3層構造)18、18´を一部または全部に有することを特徴とする。
また、図2(a)〜(b)に例示されるように、白色ガラス容器30、30´において、白色性が相対的に高い白色不透明層32、32´と、白色性が相対的に低い白色透明層34、34´と、を内側から外側に向かって順次に含んでなる、ガラス用組成物の分相現象に由来した多層構造(2層構造)36、36´を一部または全部に有することを特徴とする。
以下、白色ガラス容器における、分相領域を含んでなる多層構造を構成する白色透明層と、白色不透明層とに分けて、それぞれ具体的に説明する。
(1)白色透明層
また、図1(a)〜(b)等に例示される白色透明層12、12´、16、16´は、白色不透明層14、14´の機械的保護のために主として設けるとともに、白色ガラス容器10、10´の全体の白色性を高めるために設けられており、分相程度が低く、分相粒が相対的に少ない一方、コロイド領域が相対的に多い、アモルファス状態のガラス領域である。
したがって、かかる白色透明層の厚さを0.1〜10mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる白色透明層の厚さが0.1mm未満の値となると、白色不透明層の機械的保護を担保することが困難となる場合があるためである。一方、かかる白色透明層の厚さが10mmを超えると、ガラス容器の全体の白色性が著しく低下する場合があるためである。
したがって、白色透明層の厚さを0.5〜8mmの範囲内の値とすることが好ましく、2〜5mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、かかる白色透明層の可視光透過率を5〜50%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる白色透明層の可視光透過率が5%未満となると、不透明性が高まって、下地層である白色性に富んだ白色不透明層の視認性が低下し、白色ガラス容器としての白色性が著しく低下する場合があるためである。
一方、白色透明層の可視光透過率が50%を超えると、透明性が過度に高まって、ネジ部等の白色性が著しく低下し、白色ガラス容器としての一体的な白色性が著しく損なわれる場合があるためである。
したがって、白色透明層の可視光透過率を10〜40%の範囲内の値とすることが好ましく、白色透明層の可視光透過率を15〜30%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)白色不透明層
また、図1(a)〜(b)等に例示される白色不透明層14、14´は、白色ガラス容器10、10´の全体の白色性を高めるために設けられており、分相程度が高く、分相粒が相対的に多い一方、コロイド領域が相対的に少ない、アモルファス状態のガラス領域である。
したがって、かかる白色不透明層の厚さを3〜25mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる白色不透明層の厚さが3mm未満になると、ガラス容器の全体の白色性が著しく低下する場合があるためである。一方、かかる白色不透明層の厚さが25mmを超えると、白色不透明層の機械的保護を担保することが困難となる場合があるためである。
したがって、白色不透明層の厚さを5〜20mmの範囲内の値とすることが好ましく、7〜15mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、かかる白色不透明層の可視光透過率を2%以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる可視光透過率が2%超となると、透明性が高まってしまい、白色ガラス容器としての白色性が著しく低下する場合があるためである。
但し、白色不透明層の可視光透過率を過度に低くすると、使用可能なガラス成分の種類が過度に制限されたり、生産時における歩留まりが過度に低下したりする場合がある。
したがって、白色不透明層の可視光透過率を0.01〜1.5%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.1〜0.8%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
3.白色ガラス容器
(1)基本的形態
ガラス容器の基本的形態は特に制限されるものでなく、用途に応じて、ボトルネック型のガラスビン、矩形状のガラスビン、円筒状のガラスビン、異形のガラスビン、矩形状のガラス箱、円筒状のガラス箱、異形のガラス箱等が挙げられる。
ここで、典型的には、図1(a)〜(b)等に例示される矩形状の白色ガラス容器10、10´である。
より具体的には、図1(a)〜(b)は、概ね四角形の平面形状を有する四角柱状の胴体部(側壁および底部)を備えるとともに、円筒状の首部を備えた矩形状の白色ガラス容器10、10´である。
そして、図1(a)は、分相が完全程度に生じて、3層構造の胴体部(側壁および底部)を有する白色ガラス容器10であって、図1(b)は、分相がほぼ完全程度に生じているものの、一部、分相が不完全な領域を含んでなる3層構造の胴体部(側壁および底部)を有する白色ガラス容器10´である。
その上、図1(a)〜(b)に示す矩形状の白色ガラス容器10、10´は、側壁と、底部との間に、最大肉厚部、例えば、1〜5cmの厚さ(t)を備えた箇所があって、それの白色性が高いことから、さらに、高級感や美観が高まっていると言える。
よって、いずれも、基本的形態としての外観はほとんど差異がなく、別途装飾層を設けることなく、高級感や高い装飾性を有する化粧クリ−ム用容器等に好適な白色ガラス容器10、10´として使用可能である。
また、別の典型例としては、図2(a)〜(b)等に例示されるボトルネック状の白色ガラス容器30、30´である。
そして、図2(a)は、分相が完全程度に生じて、厚さが異なる2層構造の胴体部(側壁および底部)および首部を有するボトルネック状の白色ガラス容器30であって、図2(b)は、厚さが均等な2層構造の胴体部(側壁および底部)および首部を有するボトルネック状の白色ガラス容器30´である。
すなわち、図2(a)に示す白色ガラス容器30は、全体として、グラデーション模様の白色性を示し、内側下方領域には、強い白色性を示す、比較的厚い白色不透明層32が設けてある一方、内側上方領域には、強い白色性を示す、比較的薄い白色不透明層32が、表面の均等厚さの白色透明層32の裏側に備えてあり、そのような厚さが異なる2層構造の胴体部36を備えた白色ガラス容器30である。
一方、図2(b)に示す白色ガラス容器30´は、全体として、良好な白色性を示し、内側下方領域にも、内側上方領域にも、強い白色性を示す、厚さが均等な白色不透明層32´が設けてある一方、その表面側に、直接的に均等厚さの白色透明層34´が備えてあり、そのような厚さが均等な2層構造の胴体部36´を備えた白色ガラス容器30´である。
いずれも、別途装飾層を設けることなく、高級感や高い装飾性を有するローション容器等に好適な白色ガラス容器30、30´として使用可能である。
(2)3層構造
白色ガラス容器の形態は特に制限されるものではないが、例えば、図3(a)の側面方向から取った写真に示すように、全体として矩形の白色ガラス容器であって、図3(b)の断面写真に示すように、ワンプレス法等で製造された分相領域を含んでなる3層構造からなる多層構造を側壁や底部に有することが好ましい。
すなわち、白色ガラス容器の外側から内側に向かって、白色透明層(第1の白色透明層)と、白色不透明層と、白色透明層(第2の白色透明層)と、からなる3層構造を、側壁や底部に有することが好ましい。
この理由は、かかる3層構造の一部を構成する第1の白色透明層によって、白色ガラス容器の外側から外力や負荷が与えられた場合であっても、それに対抗して、良好な機械的強度を発揮することができるためである。
また、第1の白色透明層自体も、完全に透明でなく、白色性を帯びていることから、後述する白色不透明層とともに、白色ガラス容器の白色性を向上させることができるためである。
また、かかる3層構造の一部を構成する白色不透明層を中間層として含むことによって、白色ガラス容器の白色性を著しく向上させることができるためである。
さらにまた、かかる3層構造の一部を構成する第2の白色透明層によって、白色ガラス容器の内側から外力や負荷が与えられた場合であっても、それに対抗して、良好な機械的強度を発揮することができるためである。
なお、白色不透明層は、ガラス成分の相当程度の分相現象によって形成されたアモルファス領域であることから、白色性に優れているものの、機械的強度が相対的に低いという特徴がある。
しかしながら、その両側から、ガラス成分の分相程度が低い領域である第1の白色透明層と、第2の白色透明層とに挟まれて、サンドイッチ構造を形成し、全体として、機械的強度に優れた白色ガラス容器とすることができる。
その他、白色ガラス容器10、10´の首部(ネジ部)20、20´は、比較的薄肉であって、かつ、相当の機械的強度や寸法安定性が要求されることから、図1(a)〜(b)等に示されるように、白色不透明層を含まず、白色透明層12、12´、16、16´に連なる単独層から形成されていることが好ましい。
そして、ガラス成分の配合組成や厚さ等を適宜変更することによって、ほとんど透明ガラスと言えるほどの白色透明層からなる首部20、20´とすることも好ましい。
(3)2層構造
また、白色ガラス容器の形態に関し、図4(a)〜(b)の断面写真(図4(a)は、右切断面写真、図4(b)は、左切断面写真)に示されるように、全体として、ボトルネック形の白色ガラス容器であって、ブロー法等で製造された、厚さが異なる2層構造を側壁や底部に有することが好ましい。
すなわち、白色不透明層の表面側に、ガラス成分の分相程度が低い領域である白色透明層が形成されていることから、全体として、機械的強度に優れた白色ガラス容器とすることができる。
その上、ボトルネック形の白色ガラス容器の場合、全体に薄肉で、バランスがとれていることから、図2(a)に示されるように、2層構造の胴体(側壁や底部)36であれば、十分優れた機械的強度が得られると言える。
そして、図2(a)に示されるように、白色不透明層32、あるいは白色不透明層32および白色透明層34の厚さが、下方から上方に向かって異なる態様とすることによって、白色ガラス容器の白色性を徐々に、変化させることができる。
よって、上述したように、例えば、下方から上方に向かって、白色不透明層、あるいは白色不透明層および白色透明層の厚さを薄くさせることによって、図4(a)〜(b)の断面写真に示すように、下方は白色性に富んだ側壁や底部とする一方、上方は透明な側壁とすることができ、塗装処理等を施すことなく、白色グラデーション模様が得られ、白色ガラス容器の装飾性を向上させることができる。
その他、かかる2層構造においても、3層構造等と同様に、ガラス成分の配合組成や厚さ等を適宜変更することによって、ほとんど透明ガラスと言えるほどの白色透明層からなる首部38とすることも好ましい。
(4)2層構造の変形例
また、白色ガラス容器の形態に関し、2層構造の変形例として、ボトルネック形の白色ガラス容器であって、ブロー法等で製造された、厚さが均等な2層構造を側壁や底部に有することが好ましい。
すなわち、図2(b)に示されるように、白色ガラス容器30´の外側から内側に向かって、均等厚さの白色透明層34´と、白色不透明層32´と、からなる2層構造を、胴体部(側壁や底部)36´に有することが好ましい。
この理由は、かかる均等厚さの白色透明層34´によって、白色ガラス容器30´の外側から外力や負荷が与えられた場合であっても、それに対抗して、良好な機械的強度を発揮することができるためである。
そして、白色透明層34´も、一部分相し、白色性を帯びている場合が多いことから、白色不透明層を、白色透明層に接して、内側に設けることによって、白色ガラス容器の白色性を向上させることができるためである。
その他、ボトルネック形の白色ガラス容器30´の首部(ネジ部)38´は、比較的薄肉であって、かつ、相当の機械的強度や寸法安定性が要求されることから、図2(b)に示されるように、白色不透明層32´を含まず、白色透明層34´に連なる単独層から形成されていることが好ましい。
その上、上述した2層構造の変形例においても、3層構造等と同様に、ガラス成分の配合組成や厚さ等を適宜変更することによって、ほとんど透明ガラスと言えるほどの白色透明層からなる首部38´とすることも好ましい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、ガラス用組成物の分相現象を利用した、少なくとも首部および胴体 部を備えた白色ガラス容器の製造方法であって、首部に、白色性が相対的に高い白色不透 明層を含んでなる3層構造を有しないとともに、胴体部に、白色性が相対的に低く、かつ 、厚さが0.1〜10mmの範囲内の値である白色透明層と、白色性が相対的に高く、か つ、厚さが3〜25mmの範囲内の値である白色不透明層と、白色性が相対的に低く、か つ、厚さが0.1〜10mmの範囲内の値である白色透明層と、を含んでなる3層構造を、一部または全部に有する、白色ガラス容器の製造方法であって、下記第1工程および第2工程を含むことを特徴とする白色ガラス容器の製造方法である。
第1工程:全体量に対して、以下のガラス配合組成を有するガラス用組成物を準備し、溶融する工程
SiO2:45〜58重量%
25:2〜8重量%
Al23:5〜9重量%
23:5〜13重量%
Na2O:5〜12重量%
2O:1〜6重量%
ZnO:3〜10重量%
CaO:3〜10重量%
CeO 2 :0.1〜2重量%
第2工程:溶融したガラス用組成物を、金型およびプランジャーを用いて、ワンプレス方法で成形するとともに徐冷し、首部に、ガラス用組成物の分相現象に由来した3層構造を 形成しないとともに、ガラス用組成物の分相現象に由来した3層構造を、胴体部の一部または全部に有する白色ガラス容器とする工程
以下、第2の実施形態の3層構造を有する白色ガラス容器の製造方法につき、図5(a)〜(c)および図6(a)〜(d)を適宜参照しながら、具体的に説明する。
1.第1工程
第1工程は、所定のガラス配合組成を有するガラス用組成物、すなわち、実施形態1で説明したガラス配合組成を有するガラス用組成物を準備し、それを溶融する工程である。
そして、ガラス用組成物を準備するに際して、ガラス原料としてのアルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物の形態は、炭酸化合物が好適であり、P25の原料としては、第二リン酸カルシウム(CaHPO4)、メタリン酸カルシウム(Ca(PO32)、トリポリリン酸ナトリウム(Na5310)、第二リン酸ナトリウム(NaHPO4)が好適である。
また、第1工程において、所定量の水分を配合し、バブリング処理を実施して、ガラス用組成物を溶融攪拌することが好ましい。
この理由は、このように水分配合によるバブリング処理を実施することによって、各種ガラス成分が均一に混合し、表面状態が良好な白色ガラス容器を効率的に得ることができるためである。
但し、水分配合によるバブリング処理のかわりに、機械的撹拌手段によるバブリング処理であっても良いし、あるいは、機械的撹拌手段によるバブリング処理と、水分配合によるバブリング処理とを併用しても良い。
なお、バブリング処理を実施するために水分を配合する際には、通常、水分配合量を、ガラス用組成物1kgあたり、0.1〜50gの範囲内の値とすることが好ましい。
すなわち、このような水分配合量とすることによって、良好な攪拌効果が得られる一方、配合した水分によって、過度な還元領域となることがなく、過度に着色しない白色ガラスが得られるためである。
したがって、バブリング処理を実施する際の水分配合量を、ガラス用組成物1kgあたり、0.5〜30gの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜25gの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
2.第2工程
また、第2工程は、溶融したガラス用組成物から、いわゆるワンプレス方法で、多層構造を一部または全部に有する所定形状の白色ガラス容器を製造する工程である。
すなわち、このようにワンプレス方法で白色ガラス容器を製造することによって、有意量のフッ素化合物を含まない場合であっても、ガラス組成物の溶融条件や成形条件によらず、所定金型等を用いて、分相領域を含んでなる多層構造(3層構造)を一部または全部に有する白色ガラス容器を効率的に得ることができる。
より具体的には、ワンプレス用金型およびプランジャーによって、仕上げ形状の白色ガラス容器を成型した後、そのままのワンプレス用金型内、あるいは、冷却用金型にインバートとして、徐冷されることになる。
その際、ワンプレス用金型の内面に直接的に接触するガラス面、および、プランジャーと直接的に接触するガラス面は、それぞれ伝熱されて急激に冷却されるため、分相現象の生成程度が低くなり、白色性が相対的に低い白色透明層(第1白色透明層および第2白色透明層)となる。
一方、ワンプレス用金型の内面、および、プランジャーと直接的に接触しない溶融ガラスにおいては、それほど急激に冷却されないため、分相現象の生成程度が高くなり、白色性が相対的に高い白色不透明層となる。
さらに具体的には、図5(a)〜(c)および図6(a)〜(d)に示すように、ワンプレス方法で、所定のガラス組成物の溶融物であるガラスゴブ53から、白色ガラス容器10を製造することが好ましい。
まず、図5(a)に示すように、成形型51を設置し、当該成形型51の中にファンネル52を介して、ガラスゴブ53を投入する。
次いで、図5(b)〜(c)に示すように、ファンネル52の代わりにバッフル54を装着した後、ガラスゴブ53が充填された成形型51に対してプランジャー55を挿入する。そして、仕上げ形状のガラス容器10の表面が一定形状を保持する程度に冷却されるまで、そのままの状態を維持する。
すなわち、このような成形工程において、所望の仕上形状のガラス容器10が形成されることになる。
次いで、図6(a)に示すように、成形型51及びプランジャー55を抜き取った後、仕上形状のガラス容器10aを、アーム62を備えた回転装置60によって180度回転移動(インバート)させ、冷却用金型66(66a、66b)に収容する。
すなわち、仕上形状のガラス容器10aは、その口部を、アーム62に接続された、成形型51の一部である口型64によって支持された状態で回転移動されるとともに、仕上形状のガラス容器10aの外周面と、冷却用金型66との間に間隙が設けられるように、冷却用金型66の内に収容保持される。
このとき、冷却用金型66に移動された仕上形状のガラス容器10aは、冷却用金型66における支持部によって口部を支持されるとともに、底部が載置部としての底型66bに載置される。
次いで、図6(b)に示すように、冷却用金型66の上方にブローヘッド70を配置する。このとき、ブローヘッド70は、仕上形状のガラス容器10aの口部を支持する支持部から離間して配置される。
次いで、図6(c)に示すように、仕上形状のガラス容器10aの内部に対して、冷却用金型66の上方に配置されたブローヘッド70を介して、所定の冷却エアー72を吹き込ませる。
同時に、仕上形状のガラス容器10の外周面と、冷却用金型66との間に設けた間隙に対して、下方側から、仕上形状のガラス容器10aに直接吹き付けることなく、別の冷却エアー74を吹き込ませる。
これによって、仕上形状のガラス容器10aを、外周面と内側面とから効率的に冷却して、最終的な白色ガラス容器10として仕上げることができる。
その他、第2工程において、固体潤滑剤による表面処理が内部に施してある金型(成形型および冷却用金型)を用いることが好ましい。
この理由は、このような固体潤滑剤による表面処理した金型を用いて、白色ガラス容器を製造することによって、表面状態がさらに良好な白色ガラス容器を効率的に得ることができるためである。
すなわち、固体潤滑剤による表面処理が施してない金型を用いた場合、ガラス成分の配合組成のばらつきや、環境条件の変化等によって、得られる白色ガラス容器の側面にしわ模様が形成される場合がある。
それに対して、固体潤滑剤による表面処理が施してある金型を用いた場合、ガラス成分の配合組成のばらつきや、環境条件の変化等が多少生じた場合であっても、白色ガラス容器の側面にしわ模様が形成されることを効果的に抑制することができる。
なお、固体潤滑剤による表面処理とは、デフリックコーティング処理(川邑研究所提供)と称される場合があって、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、フッ素樹脂等の一種または数種を含んでなる固体潤滑剤による潤滑被膜を金型表面に形成する表面処理を意味している。
3.第3工程
また、第3工程は、第2工程の後工程であって、任意工程の火炎研磨処理工程(ファイアーポリッシュ処理工程)である。
すなわち、第2工程で得られた白色ガラス容器の表面に対して、図7に示すような火炎研磨処理装置210を用いて、火炎研磨処理を施すことが好ましい。
より具体的には、ガラス容器用支持部214と、複数の火炎放射部212(212a〜h)と、固定部216を備えたガラス容器用支持部214を、円形断熱反射部材220の周囲を円弧状に移動させるための駆動部218および回転モータ222、232と、を備えるとともに、当該ガラス容器用支持部214が移動する移動仮想曲線Dに沿って、複数の火炎放射部212(212a〜h)が放射状に配置してあるガラス容器用火炎研磨装置210を用いることが好ましい。
この理由は、このようなガラス容器用火炎研磨装置を用いて火炎研磨処理を行うことによって、白色ガラス容器の表面状態が平滑化し、さらに良好な白色性を示す白色ガラス容器を効率的に得ることができるためである。
なお、図7に示すような火炎研磨処理装置210の場合、連続的な火炎研磨処理を可能とすべく、白色ガラス容器を、矢印A方向から導入し、湾曲したアーム状の搬入装置228と、火炎研磨処理した白色ガラス容器を、矢印B方向に移送するためのベルトコンベヤ226および搬出装置230が、火炎研磨処理装置210に隣接して設けてある。
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、ガラス用組成物の分相現象を利用した、少なくとも首部および胴体 部を備えた白色ガラス容器の製造方法であって、首部に、白色性が相対的に高い白色不透 明層を含んでなる多層構造を有しないとともに、胴体部に、白色性が相対的に低く、かつ 、厚さが0.1〜10mmの範囲内の値である白色透明層と、白色性が相対的に高く、か つ、厚さが3〜25mmの範囲内の値である白色不透明層と、を含んでなる2層構造を、一部または全部に有する、白色ガラス容器の製造方法であって、下記第1´工程および第2´工程を含むことを特徴とする白色ガラス容器の製造方法である。
第1´工程:全体量に対して、以下のガラス配合組成を有するガラス用組成物を準備し、溶融する工程
SiO2:45〜58重量%
25:2〜8重量%
Al23:5〜9重量%
23:5〜13重量%
Na2O:5〜12重量%
2O:1〜6重量%
ZnO:3〜10重量%
CaO:3〜10重量%
CeO 2 :0.1〜2重量%
第2´工程:溶融したガラス用組成物を、金型および冷却エアーを用いて、ブロー方法で成形するとともに徐冷し、首部に、ガラス用組成物の分相現象に由来した2層構造を形成 しないとともに、ガラス用組成物の分相現象に由来した2層構造を、胴体部の一部または全部に有する白色ガラス容器とする工程
以下、第3の実施形態の2層構造を有する白色ガラス容器の製造方法につき、図8(a)〜(d)を適宜参照しながら、具体的に説明する。
1.第1´工程
第1´工程は、所定のガラス配合組成を有するガラス用組成物であって、第1の実施形態で説明したガラス用組成物を準備し、溶融する工程と同様であるため、ここでの再度の説明を省略する。
2.第2´工程
第2´工程は、溶融したガラス用組成物から、いわゆるブロー方法(ブローアンドブロー法やプレスアンドブロー法)で、ガラス用組成物の分相現象に由来した多層構造を一部または全部に有する所定形状の白色ガラス容器を製造する工程である。
すなわち、このようにブロー方法で白色ガラス容器を製造することによって、有意量のフッ素化合物を含まない場合であって、ガラス組成物の溶融条件や成形条件によらず、所定金型等を用いて、分相領域を含んでなる多層構造(2層構造)を一部または全部に有する白色ガラス容器を効率的に得ることができる。
より具体的には、パリソン成型用金型(粗型)およびセツルブローによって、白色ガラス容器の中間形態としてのパリソンを成形した後、ブロー成型用金型および冷却エアーによって、仕上げ形状の白色ガラス容器を成型した後、そのままのブロー成型用金型内、あるいは、冷却用金型にさらにインバート等として、徐冷されることになる。
その際、ブロー成型用金型の内面に直接的に接触するガラス面においては、伝熱されて急激に冷却されるため、分相現象の生成程度が低くなり、白色性が相対的に低い白色透明層となる。
一方、ワンプレス用金型の内面と直接的に接触しないガラス面においては、冷却エアーと直接的に接触するものの、それほど急激に冷却されないため、分相現象の生成程度が高くなって、白色性が相対的に高い白色不透明層となる。
さらに具体的には、図8(a)〜(d)に示すように、ブロー方法(ブローアンドブロー法)で、白色ガラス容器を製造することが好ましい。
まず、一次成形を実施するにあたり、図8(a)に示すように、粗型117を設置し、それにファンネル113を介して、ガラスゴブ100を投入した後、図8(b)に示すように、バッフル115を介して、上方からセツルブローを吹き込んで、ガラスゴブ100を下方に押圧する。
次いで、図8(c)に示すように、粗型117におけるプランジャー112の先端部からカウンターブロー用エアーを下方から吹き込み、パリソン101を形成する。
次いで、二次成形を実施する。すなわち、図8(d)に示すように、得られたパリソン101を、アーム123を備えた回転装置121によって180°回転移動させ、図8(d)に示すように、仕上型119の所定箇所に収容する。
そして、口型125に設けてあるファイナルブロー用エアー吹出口127から、ファイナルブロー用エアーを、パリソン101の内部に吹き込むことによって、所望のガラス容器に成形し、白色ガラス容器10として、取り出すことができる。
3.第3´工程
第3´工程は、白色ガラス容器の表面に、火炎研磨処理を施す工程であって、第2の実施形態の第3工程の内容と同様であるため、ここでの再度の説明を省略する。
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。
[実施例1]
1.白色ガラス容器の製造
まず、下記ガラス配合組成(表1中、配合組成1と表記する。)になるように、ガラス原材料を調合した後、混合機を使って1時間乾式混合し、合計で1000gのガラス原材料とした。
SiO2 :52重量%
25 :7重量%
Al23:7重量%
23 :10重量%
Na2 :11重量%
2 :3重量%
ZnO :5重量%
CaO :5重量%
次いで、均一混合したガラス原材料を、磁性容器に収容した後、溶融温度1400℃、2時間の条件で、空気雰囲気式抵抗加熱電気炉を用いて、溶融した。なお、溶融途中で、白金製ヘラを用いて、溶融ガラスを複数回撹拌し、ガラスの配合組成の均一化を十分に図った。
次いで、ガラス成分が完全に溶融し、清澄したのを確認した後、得られた溶融ガラスを、ワンプレス用金型の内部に挿入するとともに、プランジャーを挿入して、仕上げ形状と同様の形状を有する矩形状のガラス容器とした。
最後に、徐冷した後、図3(a)〜(b)の外形写真に示されるような、円筒径の首部と、矩形状の胴体部とからなる白色ガラス容器を取り出した。
2.白色ガラス容器の評価
(1)胴体部における多層構造の形成程度(評価1)
得られた白色ガラス容器における胴体部を鉛直方向にダイヤモンドカッターで切断し、その断面の光学写真(倍率1)から、胴体部における多層構造(3層構造)の形成程度を、以下の基準に準じて判断した。
◎:多層構造(3層構造)が明確に形成されている。
○:多層構造(3層構造)がほぼ明確に形成されている。
△:多層構造(3層構造)が一部形成されていない。
×:多層構造(3層構造)が全く形成されていない。
(2)首部における多層構造の形成程度(評価2)
得られた白色ガラス容器における首部を鉛直方向にダイヤモンドカッターで切断し、その断面の光学写真(倍率1)から、首部における多層構造(3層構造)の形成程度を、以下の基準に準じて判断した。
○:多層構造(3層構造)が形成されていない。
△:部分的に多層構造(3層構造)が形成されている。
×:多層構造(3層構造)が形成されている。
(3)胴体部の白色性(評価3)
得られた白色ガラス容器の胴体部の一部をダイヤモンドカッターで切出し、その白色度(L)を分光式色差計(型番SP62、エックスライト(株)社製)を用い、JIS Z 8730に準拠して測定し、得られた白色度の値から、以下の基準に準じて、白色性を評価した。
◎:白色度(L)が80以上である。
○:白色度(L)が70以上である。
△:白色度(L)が50以上である。
×:白色度(L)が50未満である。
(4)首部の白色性(評価4)
得られた白色ガラス容器の首部の一部をダイヤモンドカッターで切出し、その白色度(L)を、上述した分光式色差計を用い、JIS Z 8730に準拠して測定し、得られた白色度の値から、以下の基準に準じて首部の白色性を評価した。
なお、首部においては、ネジ部が通常設けてあり、所定の機械的強度や機械的寸法が要求されるため、ある程度、白色性は低下しても、実用上、分相程度が相対的に低いほうが良いと考えられる。そのため、白色度(L)の値がある程度以上であれば、ネジ部としては十分な白色性であって、相対的に高い機械的強度等との間で、良好なバランスをとることができる。
◎:白色度(L)が40以上である。
○:白色度(L)が30以上である。
△:白色度(L)が20以上である。
×:白色度(L)が20未満である。
(5)厚さ(評価5)
得られた白色ガラス容器の胴体部の一部をダイヤモンドカッターで切出し、胴体部を構成する多層構造における、外側に位置する白色透明層の厚さ(表1中、厚さ1)、中側に位置する白色不透明層(表1中、厚さ2)、および内側に位置する白色透明層の厚さ(表1中、厚さ3)を、それぞれ測定した。
(6)外観性(評価6)
得られた白色ガラス容器の外観形状や表面状態を目視観察し、下記基準に準じて外観性を評価した。
◎:外観形状は特に問題無く、表面にシワが全く見られない。
○:外観形状は特に問題無く、表面にほとんどシワが見られない。
△:外観形状は特に問題無いが、表面にシワが見られる。
×:外観形状も一部崩れていて、表面に大きなシワが見られる。
(7)機械的強度(評価7)
得られた白色ガラス容器(10個)を、1mの高さから、Pタイル貼りのコンクリート面上に自然落下させ、破壊状況を観察し、下記基準に準じて機械的強度を評価した。
◎:破損数が0である。
○:破損数が1個以下である。
△:破損数が3個以下である。
×:破損数が4個以上である。
(8)熱衝撃性(評価8)
得られた白色ガラス容器(10個)を、67℃に維持された高温水槽に浸漬し、30分間放置した。次いで、白色ガラス容器を高温水槽から取り出し、25℃に維持された低温水槽に浸漬し、15分間放置した。
その後、白色ガラス容器を低温水槽から取り出し、外観観察し、下記基準に準じて熱衝撃性を評価した。
◎:割れやヒビの発生した白色ガラス容器の個数が0である。
○:割れやヒビの発生した白色ガラス容器の個数が1個以下である。
△:割れやヒビの発生した白色ガラス容器の個数が3個以下である。
×:割れやヒビの発生した白色ガラス容器の個数が4個以上である。
[実施例2]
実施例2において、下記ガラス配合組成(表1中、配合組成2と表記する。)になるように、ガラス原材料を調合し、更なるガラス成分としてのBaO、SO3、Li2Oの添加効果、酸化剤としてのCeO2の添加効果、および消色剤としてのEr23の添加効果等を検討したほかは、実施例1と同様に、ワンプレス法で白色ガラス容器を作成し、評価した。
なお、実施例2において、低鉄分の各種ガラス原材料を用い、白色ガラス容器に含まれるFe濃度を相対的に低くなるように調整した(約180ppm)。
SiO2 :51重量%
25 : 7重量%
Al23 : 6重量%
23 : 8重量%
Na2 :11重量%
2 : 3重量%
ZnO : 4重量%
CaO : 6重量%
BaO : 2重量%
SO3 : 1重量%
Li2 : 1重量%
Ce2 :0.95重量%
Er23:0.05重量%
[実施例3]
実施例3において、下記ガラス配合組成(表1中、配合組成3と表記する。)になるように、ガラス原材料を調合し、更なるガラス成分としてのBaO、SO、LiOの添加効果、酸化剤としてのCeOの配合量の影響、および消色剤としてのErの配合量の影響等を検討したほかは、実施例1と同様に、ワンプレス法で白色ガラス容器を作成し、分相程度等を評価した。
なお、実施例3においても、低鉄分の各種ガラス原材料を用い、白色ガラス容器に含まれるFe濃度が相対的に低くなるように調整した(約180ppm)。
SiO2 :50重量%
25 :6重量%
Al23:6重量%
23 :9重量%
Na2 :9重量%
2 :3重量%
ZnO :6重量%
CaO :6重量%
BaO :3重量%
SO3 :1重量%
Li2 :1重量%
CeO2 :0.97重量%
Er23:0.03重量%
[実施例4]
実施例4において、下記ガラス配合組成(表1中、配合組成4と表記する。)になるように、ガラス原材料を調合し、更なるガラス成分としてのBaOやSO3の添加効果、およびFe濃度の配合量の影響等を検討したほかは、実施例1と同様に、ワンプレス法で、白色ガラス容器を作成し、評価した。
すなわち、実施例4においては、所定量の鉄分を含む各種ガラス原材料を用い、白色ガラス容器に含まれるFe濃度が相対的に高くなるように調整した(約470ppm)。
SiO2 :51重量%
25 : 6重量%
Al23 : 6重量%
23 :10重量%
Na2 :10重量%
2 : 3重量%
ZnO : 5重量%
CaO : 6重量%
BaO : 2重量%
SO3 : 1重量%
[比較例1]
比較例1において、下記ガラス配合組成(表1中、配合組成5と表記する。)になるように、ガラス原材料を調合し、SiO2やP25等の配合量等の影響を検討したほかは、実施例1と同様に、ワンプレス法で白色ガラス容器を作成し、評価した。
SiO2 :59重量%
25 : 3重量%
Al23: 4重量%
23 : 4重量%
Na2 :14重量%
2 : 8重量%
ZnO : 2重量%
CaO : 2重量%
BaO : 4重量%
[比較例2]
比較例2において、下記ガラス配合組成(表1中、配合組成6と表記する。)になるように、ガラス原材料を調合し、SiO2やP25等の配合量の影響や、更なるガラス成分としてのBaO、SO3、Li2Oの配合量の影響等を検討したほかは、実施例1と同様に、ワンプレス法で白色ガラス容器を作成し、評価した。
SiO2 :43重量%
25 :10重量%
Al23:10重量%
23 :14重量%
Na2 :13重量%
2 : 8重量%
ZnO : 2重量%
CaO : 2重量%
BaO : 4重量%
SO3 : 3重量%
Li2O : 5重量%
[比較例3]
比較例3において、下記ガラス配合組成(表1中、配合組成7と表記する。)になるように、ガラス原材料を調合し、更なるガラス成分としてのBaOおよびSO3の配合量の影響、酸化剤としてのCeO2の配合量の影響、および消色剤としてのEr23の配合量の影響等を検討したほかは、実施例1と同様に、ワンプレス法で白色ガラス容器を作成し、評価した。
SiO2 :48重量%
25 :10重量%
Al23:10重量%
23 :13重量%
Na2O:13重量%
2 :0.5重量%
ZnO :0.44重量%
CaO :0.5重量%
BaO :1重量%
SO3 :3重量%
CeO2 :0.05重量%
Er23:0.01重量%
Figure 0005568700
評価1:胴体部における多層構造の形成程度
評価2:首部における多層構造の形成程度
評価3:胴体部の白色性
評価4:首部の白色性
評価5:厚さ(単位:mm)
評価6:外観性
評価7:機械的強度
評価8:熱衝撃性
[実施例5〜8]
実施例5〜8において、実施例1〜4に示されるガラス組成物(ガラス組成1〜4)を用いて、図4(a)〜(b)に示すような円筒形の首部と、円筒形の胴体部とを有する白色ガラス容器をそれぞれブロー法(ブローアンドブロー法)で作成し、上述した実施例1等に準じて、評価1´〜8´を実施した。
すなわち、評価1´として、得られた白色ガラス容器における胴体部を鉛直方向にダイヤモンドカッターで切断し、その断面の光学写真(倍率1)から、胴体部における多層構造(2層構造)の形成程度を、以下の基準に準じて判断した。
◎:多層構造(2層構造)が明確に形成されている。
○:多層構造(2層構造)がほぼ明確に形成されている。
△:多層構造(2層構造)が一部形成されていない。
×:多層構造(2層構造)が全く形成されていない。
また、評価2´として、得られた白色ガラス容器における首部を鉛直方向にダイヤモンドカッターで切断し、その断面の光学写真(倍率1)から、首部における多層構造(2層構造)の形成程度を、以下の基準に準じて判断した。
○:多層構造(2層構造)が形成されていない。
△:部分的に多層構造(2層構造)が形成されている。
×:多層構造(2層構造)が形成されている。
また、評価4´、評価6´および7´として、実施例1等の評価4(首部の白色度)、評価6(外観性)および評価7(機械的強度)と同様の内容をそれぞれ実施して、得られた白色ガラス容器について評価した。
また、評価5´として、得られた白色ガラス容器をダイヤモンドカッターで切断し、その断面の光学写真(倍率10)から、側壁を構成する多層構造における、外側に位置する白色透明層の厚さ(表2中、厚さ1)、および、内側に位置する白色不透明層(表2中、厚さ2)を、それぞれ測定した。
さらに、評価8´として、得られた白色ガラス容器につき、耐内圧試験を行った。すなわち、得られた白色ガラス容器(5個)の耐内圧を、JIS S−2302に準じて測定し、平均値を算出し、それから下記基準に準じて評価した。
◎:3000MPa以上の値である。
○:2000MPa以上の値である。
△:1000MPa以上の値である。
×:1000MPa未満の値である。
[比較例4〜6]
比較例4〜6において、比較例1〜3に示されるガラス組成物(ガラス組成5〜7)を用いて、白色ガラス容器をそれぞれブロー法(ブローアンドブロー法)で作成し、実施例5と同様に、評価した。
Figure 0005568700
評価1:胴体部における多層構造の形成程度
評価2:首部における多層構造の形成程度
評価3:胴体部の白色性
評価4:首部の白色性
評価5:厚さ(単位:mm)
評価6:外観性
評価7:機械的強度
評価8:耐内圧試験
以上、詳述したように、本発明の白色ガラス容器によれば、所定配合組成を有するガラス用組成物の分相現象に由来した、白色性が相対的に低い白色透明層と、白色性が相対的に高い白色不透明層と、を含んでなる多層構造(例えば、2層構造または3層構造)を一部または全部に有することによって、有意量のフッ素化合物を含まず、ガラス組成物の溶融条件や成形条件によらず、多層構造を一部または全部に有し、機械的強度や白色性に優れた白色ガラス容器が得られるようになった。
また、本発明の白色ガラス容器の製造方法によれば、所定配合組成を有するガラス用組成物の分相現象に由来した、白色性が相対的に低い白色透明層と、白色性が相対的に高い白色不透明層と、を含んでなる多層構造(例えば、2層構造または3層構造)を一部または全部に有することによって、有意量のフッ素化合物を含まず、ガラス組成物の溶融条件や成形条件によらず、多層構造を一部または全部に有し、機械的強度や白色性に優れた白色ガラス容器が効率的に得られるようになった。
よって、本発明の白色ガラス容器であれば、胴体部等はもちろんのこと、首部(ビン口)まで白色であって、機械的強度に優れた白色ガラス容器が効率的に得られ、高級感や質感に優れ、更なる装飾処理が不要なことから、高級化粧品用ガラス容器等に利用されることが期待される。
10、10´、30、30´:白色ガラス容器
12、12´:白色透明層(第2の白色透明層)
14、14´:白色不透明層
16、16´:白色透明層(第1の白色透明層)
18、18´:胴体部
20、20´:首部(ネジ部)
32、32´:白色不透明層
34、34´:白色透明層
36、36´:胴体部(側壁および底部)
38、38´:首部(ネジ部)
51:成形型
52:ファンネル
53:ガラスゴブ
54:バッフル
55:プランジャー
60、121:回転装置
62、123:アーム
64:口型
66、66a、66b:冷却用金型
70:ブローヘッド
100:ガラスゴブ
101:パリソン
112:プランジャー
113:ファンネル
125:口型
127:ファイナルブロー用エアー吹出口
210:火炎研磨処理装置

Claims (8)

  1. 全体量に対して、以下のガラス配合組成を有するガラス用組成物の分相現象に由来した白色ガラス容器であって、当該白色ガラス容器が、少なくとも首部および胴体部を備えて おり、前記首部に、白色性が相対的に高い白色不透明層を含んでなる多層構造を有しない とともに、前記胴体部に、白色性が相対的に低く、かつ、厚さが0.1〜10mmの範囲 内の値である白色透明層と、白色性が相対的に高く、かつ、厚さが3〜25mmの範囲内 の値である白色不透明層と、を含んでなる多層構造を、一部または全部に有する、ことを特徴とする白色ガラス容器。
    SiO2:45〜58重量%
    25:2〜8重量%
    Al23:5〜9重量%
    23:5〜13重量%
    Na2O:5〜12重量%
    2O:1〜6重量%
    ZnO:3〜10重量%
    CaO:3〜10重量%
    CeO 2 :0.1〜2重量%
  2. 前記ガラス用組成物がBaO、Li2OおよびSO3からなる群から選択される少なくとも一つの金属酸化物をさらに含むとともに、当該BaO、Li2OおよびSO3の少なくとも一つの金属酸化物の配合量を、全体量に対して、0.1〜5重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の白色ガラス容器。
  3. 前記ガラス用組成物が、Er 2 3 を含むとともに、当該Er 2 3 の配合量を、全体量に 対して、0.01〜0.5重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2 に記載の白色ガラス容器。
  4. 前記首部におけるJIS Z 8730に準拠して測定される白色度を40以上の値と することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の白色ガラス容器。
  5. 前記胴体部におけるJIS Z 8730に準拠して測定される白色度を80以上の値 とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の白色ガラス容器。
  6. ガラス用組成物の分相現象を利用した、少なくとも首部および胴体部を備えた白色ガラ ス容器の製造方法であって、前記首部に、白色性が相対的に高い白色不透明層を含んでな る3層構造を有しないとともに、前記胴体部に、白色性が相対的に低く、かつ、厚さが0 .1〜10mmの範囲内の値である白色透明層と、白色性が相対的に高く、かつ、厚さが 3〜25mmの範囲内の値である白色不透明層と、白色性が相対的に低く、かつ、厚さが 0.1〜10mmの範囲内の値である白色透明層と、を含んでなる3層構造を、一部または全部に有する、白色ガラス容器の製造方法であって、下記第1工程および第2工程を含むことを特徴とする白色ガラス容器の製造方法。
    第1工程:全体量に対して、以下のガラス配合組成を有するガラス用組成物を準備し、溶融する工程
    SiO2:45〜58重量%
    25:2〜8重量%
    Al23:5〜9重量%
    23:5〜13重量%
    Na2O:5〜12重量%
    2O:1〜6重量%
    ZnO:3〜10重量%
    CaO:3〜10重量%
    CeO 2 :0.1〜2重量%
    第2工程:前記溶融したガラス用組成物を、金型およびプランジャーを用いて、ワンプレス方法で成形するとともに徐冷し、前記首部に、前記ガラス用組成物の分相現象に由来し た3層構造を形成しないとともに、前記ガラス用組成物の分相現象に由来した3層構造を 、前記胴体部の一部または全部に有する白色ガラス容器とする工程
  7. ガラス用組成物の分相現象を利用した、少なくとも首部および胴体部を備えた白色ガラ ス容器の製造方法であって、前記首部に、白色性が相対的に高い白色不透明層を含んでな る多層構造を有しないとともに、前記胴体部に、白色性が相対的に低く、かつ、厚さが0 .1〜10mmの範囲内の値である白色透明層と、白色性が相対的に高く、かつ、厚さが 3〜25mmの範囲内の値である白色不透明層と、を含んでなる2層構造を、一部または全部に有する、白色ガラス容器の製造方法であって、下記第1´工程および第2´工程を含むことを特徴とする白色ガラス容器の製造方法。
    第1´工程:全体量に対して、以下のガラス配合組成を有するガラス用組成物を準備し、溶融する工程
    SiO2:45〜58重量%
    25:2〜8重量%
    Al23:5〜9重量%
    23:5〜13重量%
    Na2O:5〜12重量%
    2O:1〜6重量%
    ZnO:3〜10重量%
    CaO:3〜10重量%
    CeO 2 :0.1〜2重量%
    第2´工程:前記溶融したガラス用組成物を、金型および冷却エアーを用いて、ブロー方法で成形するとともに徐冷し、前記首部に、前記ガラス用組成物の分相現象に由来した2 層構造を形成しないとともに、前記ガラス用組成物の分相現象に由来した2層構造を、前 記胴体部の一部または全部に有する白色ガラス容器とする工程
  8. 前記第1工程または第1´工程において、水分を配合し、バブリング処理を実施して、前記ガラス用組成物を溶融攪拌することを特徴とする請求項6または7に記載の白色ガラス容器の製造方法。
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