JP5999110B2 - 着色ガラス板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、低い日射透過率、高い可視光透過率および低い紫外線透過率を同時に満足しつつ透過光がグリーンの色調を有する着色ガラス板およびその製造方法に関する。
自動車用のガラス板としては、着色成分を含むことによって透過光がグリーンまたはブルーの色調を有する着色ガラス板(たとえば、熱線吸収ガラス板、紫外線吸収ガラス板)が知られている。
着色ガラス板には、日射透過率が低いこと(たとえば、JIS R3106(1998)規定の日射透過率(以下、Teとも記す。)の4mm厚さ換算値が55%以下であること)が求められる。また、可視光透過率が高いこと(たとえば、JIS R3106(1998)規定の可視光透過率(A光源、2度視野)(以下、Tvとも記す。)の4mm厚さ換算値が70%以上であること)が求められる。また、紫外線透過率が低いこと(たとえば、ISO−9050規定の紫外線透過率(以下、Tuvとも記す。)の4mm厚さ換算値が12%以下であること)が求められる。
また、着色ガラス板は、搭乗者がガラス板を通して景色を見た場合にその透過光の色調がより自然な色調であるグリーンの色調を有する(たとえば、JIS Z8701(1982)規定の透過光の主波長(以下、Dwとも記す。)が、540〜570nmである)ガラス板が好まれる傾向にある。
また、着色ガラス板には、ガラスの製造に用いる溶融窯における素地替え(すなわち、品種替え)の際の不純物の混入を抑える点およびコストの点から、着色成分の種類を極力減らすことや、着色成分の原料の単価が安いことが望まれている。
透過光がグリーンの色調を有する着色ガラス板としては、たとえば、下記の(1)〜(3)が提案されている。
(1)ソーダライムシリカガラス母組成の100質量部に対し、
Feに換算した全鉄 :0.5〜2.0質量部、
TiOに換算した全チタン :1.0質量部超3.0質量部以下、
CoO :0.003〜0.02質量部、
Se :0〜0.0008質量部、
Crに換算した全クロム :0〜0.05質量部、
に換算した全バナジウム:0〜0.5質量部、
CeOに換算した全セリウム :0〜0.5質量部、
Feに換算した全鉄中のFeに換算した2価の鉄の質量割合が31〜50%であるグリーンガラス。
(2)ソーダライムシリカガラスから実質的になり、
酸化物基準の質量百分率表示で、
Feに換算した全鉄 :0.45〜0.491%、
CeOに換算した全セリウム :1.09〜1.2%、
TiOに換算した全チタン :0.3〜0.39%、
CoO :0〜0.0003%、
を含み、
Feに換算した全鉄中のFeに換算した2価の鉄の質量割合が30.5〜32.0%である紫外線吸収グリーンガラス。
(3)ソーダライムシリカガラスから実質的になり、
酸化物基準の質量百分率表示で、
Feに換算した全鉄 :0.52〜0.63%、
CeOに換算した全セリウム :0.9〜2%、
TiOに換算した全チタン :0.2〜0.6%、
CoO :0〜0.002%、
を含み、
Feに換算した全鉄中のFeに換算した2価の鉄の質量割合が31〜38%である紫外線吸収グリーンガラス。
しかし、(1)のグリーンガラスは、CoOの含有量が多いため、Tvが低く、Dwも短い(透過光が青みがかったグリーンである)という問題がある。一方、(2)、(3)の紫外線吸収グリーンガラスは、CoOの含有量が少なく、CeOに換算した全セリウムの含有量が多いため、Tvが高く、かつTuvは充分に低い。
しかし、最近、セリウム原料の価格が高騰しているため、CeOに換算した全セリウムの含有量が多いグリーンガラスのコストが高くなっている。そのため、セリウムを実質的に含むことなく、低い日射透過率、高い可視光透過率および低い紫外線透過率を同時に満足しつつ透過光がグリーンの色調を有する着色ガラス板が求められている。
日本特許第3256243号公報 日本特許第3900550号公報 日本特許第3190965号公報
本発明は、高価なセリウムを実質的に含まないにも関わらず、低い日射透過率、高い可視光透過率および低い紫外線透過率を同時に満足しつつ、透過光がグリーンの色調を有する着色ガラス板を提供する。
本発明の着色ガラス板は、酸化物基準の質量百分率表示で、
SiO :65〜75%、
Al :0〜6%、
MgO :2〜6%、
CaO :5〜15%、
Feに換算した全鉄 :0.3〜1.2%、
TiOに換算した全チタン :0.2〜1.1%、
に換算した全バナジウム:0.02〜0.3%、
を含み、セリウム、コバルト、クロムおよびマンガンを実質的に含まないことを特徴とする。
本発明の着色ガラス板は、さらに、酸化物基準の質量百分率表示でNaOを5〜18%を含むことが好ましい。
本発明の着色ガラス板は、
JIS R3106(1998)規定の日射透過率(Te)が、4mm厚さ換算値で55%以下であり、
JIS R3106(1998)規定の可視光透過率(Tv)(A光源、2度視野)が、4mm厚さ換算値で70%以上であり、
ISO−9050規定の紫外線透過率(Tuv)が、4mm厚さ換算値で12%以下であり、
JIS Z8701(1982)規定の透過光の主波長(Dw)が、540〜570nmであることが好ましい。
本発明の着色ガラス板の製造方法は、ガラス原料を溶融し、成形するガラス板の製造において、成形後の該ガラス板の組成成分が、酸化物基準の質量百分率表示で、
SiO :65〜75%、
Al :0〜6%、
MgO :2〜6%、
CaO :5〜15%、
Feに換算した全鉄 :0.3〜1.2%、
TiOに換算した全チタン :0.2〜1.1%、
に換算した全バナジウム:0.02〜0.3%、
を含み、セリウム、コバルト、クロムおよびマンガンを実質的に含まない着色ガラス板を得ることを特徴とする。
本発明の着色ガラス板の製造方法においては、前記ガラス板の組成成分として、さらに酸化物基準の質量百分率表示でNaOを5〜18%を含むことが好ましい。
本発明の着色ガラス板の製造方法においては、
JIS R3106(1998)規定の日射透過率(Te)が、4mm厚さ換算値で55%以下であり、
JIS R3106(1998)規定の可視光透過率(Tv)(A光源、2度視野)が、4mm厚さ換算値で70%以上であり、
ISO−9050規定の紫外線透過率(Tuv)が、4mm厚さ換算値で12%以下であり、
JIS Z8701(1982)規定の透過光の主波長(Dw)が、540〜570nmである着色ガラス板を得ることが好ましい。
上記した数値範囲を示す「〜」とは、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含む意味で使用され、特段の定めがない限り、以下本明細書において「〜」は、同様の意味をもって使用される。
本発明の着色ガラス板は、高価なセリウムを実質的に含まないにも関わらず、低い日射透過率、高い可視光透過率および低い紫外線透過率を同時に満足しつつ透過光がグリーンの色調を有する。
本発明の着色ガラス板は、SiOを主成分とするものであり、ガラス板のコストの点から、さらにNaO、CaO等を含む、いわゆるソーダライムシリカガラスからなるものが好ましい。
本発明の着色ガラス板は、下記の組成(I)を有する。本発明の着色ガラス板は、下記の組成(II)を有することが好ましく、下記の組成(III)を有することがより好ましく、また下記の組成(IV)を有することがさらに好ましい。
(I)下記酸化物基準の質量百分率表示で、
SiO :65〜75%、
Al :0〜6%、
MgO :2〜6%、
CaO :5〜15%、
Feに換算した全鉄 :0.3〜1.2%、
TiOに換算した全チタン :0.2〜1.1%、
に換算した全バナジウム:0.02〜0.3%、
を含み、
セリウム、コバルト、クロムおよびマンガンを実質的に含まない。
(II)下記酸化物基準の質量百分率表示で、
SiO :65〜75%、
Al :0〜6%、
MgO :2〜6%、
CaO :5〜15%、
NaO :5〜18%、
Feに換算した全鉄 :0.3〜1.2%、
TiOに換算した全チタン :0.2〜1.1%、
に換算した全バナジウム:0.02〜0.3%、
を含み、
セリウム、コバルト、クロムおよびマンガンを実質的に含まない。
(III)下記酸化物基準の質量百分率表示で、
SiO :68〜73%、
Al :0.5〜3.5%、
MgO :2.5〜5%、
CaO :6〜11%、
NaO+KO :10〜18%、
Feに換算した全鉄 :0.5〜0.9%、
TiOに換算した全チタン :0.5〜1.0%、
に換算した全バナジウム:0.05〜0.20%、
を含み、
セリウム、コバルト、クロムおよびマンガンを実質的に含まない。
(IV)下記酸化物基準の質量百分率表示で、
SiO :70〜72%、
Al :1.5〜2.0%、
MgO :3〜4%、
CaO :7〜9%、
NaO+KO :11〜16%、
Feに換算した全鉄 :0.6〜0.7%、
TiOに換算した全チタン :0.7〜0.9%、
に換算した全バナジウム:0.10〜0.15%、
を含み、
セリウム、コバルト、クロムおよびマンガンを実質的に含まない。
本発明の着色ガラス板は、セリウムの代わりにバナジウムを含ませることによってTuvを低くし、鉄を含ませることによってTeを低くし、Feに換算した全鉄の含有量、TiOに換算した全チタンの含有量、およびVに換算した全バナジウムの含有量を調整することによってTvを高くしつつ、Dwを目的の540〜570nmとしていることに特徴がある。
Feに換算した全鉄の含有量は、当該酸化物基準の質量百分率表示で、0.3〜1.2%である。Feに換算した全鉄の含有量が0.3%以上であれば、Teを低く抑えることができる。Feに換算した全鉄の含有量の増加に伴いTeが低くなるがTvも低下する。Feに換算した全鉄の含有量を1.2%以下にすれば、Tvの低下を防ぎ、Tvを70%(4mm厚さ換算)以上にできる。Feに換算した全鉄の含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で、0.5〜0.9%が好ましく、0.6〜0.7%がより好ましい。
TiOに換算した全チタンの含有量は、当該酸化物基準の質量百分率表示で、0.2〜1.1%である。TiOの含有量が0.2%以上であれば、Dwを540nm以上に調整できる。また、Tuvを低く抑えることができる。TiOの含有量が1.1%以下であれば、Dwを570nm以下に調整できる。また、Tvを高くできる。TiOに換算した全チタンの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で、0.5〜1.0%が好ましく、0.7〜0.9%がより好ましい。
に換算した全バナジウムの含有量は、当該酸化物基準の質量百分率表示で、0.02〜0.3%である。Vの含有量が0.02%以上であれば、Tuvを低く抑えることができる。Vの含有量が0.3%以下であれば、Tvを高くできる。Vに換算した全バナジウムの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で、0.05〜0.20%が好ましく、0.10〜0.15%がより好ましい。
本発明の着色ガラス板は、従来において代表的な着色成分であるセリウム、コバルト、クロムおよびマンガンを実質的に含まない。セリウム、コバルト、クロムおよびマンガンを実質的に含まないとは、セリウム、コバルト、クロムおよびマンガンをまったく含まない、または、セリウム、コバルト、クロムおよびマンガンを製造上不可避的に混入した不純物として含んでいてもよいことを意味する。セリウム、コバルト、クロムおよびマンガンを実質的に含まなければ、Tvを高くでき、素地替えの際の不純物の混入が抑えられ、また、着色ガラス板のコストも抑えられる。上記した不純物の含有量は、使用されるガラス原料によって異なるが、自動車用、あるいは建築用のガラス板の場合には、質量百分率表示で、0.05%未満とすることが好ましく、0.01%未満とすることがさらに好ましい。
ここで、素地替えの際の不純物の混入とは、下記のことを意味する。
ガラスは製造中に別のガラス組成を有するガラス品種へ切換え(すなわち、素地替え)を行うことがある。素地替えの際の不純物の混入とは、別のガラス品種への切換えの際に、切換え前のガラスの成分が切換え後のガラス中に混入することを意味する。セリウム、コバルト、クロムおよびマンガン等の不純物の混入が起きると、切換え後、ガラスの色調は大きく影響を受ける。
SiOは、ガラスの主成分である。
SiOの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で、65〜75%である。SiOの含有量が65%以上であれば、耐候性が良好となる。SiOの含有量が75%以下であれば、失透しにくくなる。SiOの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で、68〜73%が好ましく、70〜72%がより好ましい。
Alは、耐候性を向上させる成分である。
Alの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で、0〜6%である。Alの含有量が6%以下であれば、溶融性が良好となる。Alの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で、0.5〜3.5%が好ましく、1.5〜2.0%がより好ましい。
MgOは、ガラス原料の溶融を促進し、耐候性を向上させる成分である。
MgOの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で、2〜6%である。MgOの含有量が2%以上であれば、溶融性、耐候性が良好となる。MgOの含有量が6%以下であれば、失透しにくくなる。MgOの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で、2.5〜5%が好ましく、3〜4%がより好ましい。
CaOはガラス原料の溶融を促進し、耐候性を向上させる成分である。
CaOの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で、5〜15%である。CaOの含有量が5%以上であれば、溶融性、耐候性が良好となる。CaOの含有量が15%以下であれば、失透しにくくなる。CaOの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で、6〜11%が好ましく、7〜9%がより好ましい。
本発明の着色ガラス板は、ガラス原料の溶融を促進するために、SrOを含んでもよい。SrOの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で、0〜5%が好ましく、0〜3%がより好ましい。SrOの含有量が5%以下であれば、ガラス原料の溶融を充分に促進できる。
本発明の着色ガラス板は、ガラス原料の溶融を促進するために、BaOを含んでもよい。BaOの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で、0〜5%が好ましく、0〜3%がより好ましい。BaOの含有量が5%以下であれば、ガラス原料の溶融を充分に促進できる。
本発明の着色ガラス板は、ガラス原料の溶融を促進するために、NaOおよびKO、またはNaOを含んでいることが好ましい。NaOとKOの合計の含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で、10〜18%が好ましく、11〜16%がより好ましく、12〜14%がさらに好ましい。NaO+KOの含有量が10%以上であれば、溶融性が良好となる。NaO+KOの含有量が18%以下であれば、耐候性が良好となる。
NaOの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で、5〜18%が好ましく、10〜16%がより好ましく、さらには12〜15%が好ましい。
Oの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で、0〜5%が好ましく、0.2〜1%がより好ましく、さらには0.2〜0.4%が好ましい。
本発明の着色ガラス板は、清澄剤として用いたSOを含んでいてもよい。SOの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で、0〜1%が好ましく、0.01〜0.5%がより好ましく、0.05〜0.2%がさらに好ましい。SOの含有量が1%以下であれば、SOのガス成分が気泡としてガラス中に残りにくい。
本発明の着色ガラス板は、清澄剤として用いたSnOを含んでいてもよい。SnOの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で、0〜0.5%が好ましく、0〜0.3%がより好ましく、0〜0.1%がさらに好ましい。SnOの含有量が0.5%以下であれば、SnOの揮散が少なく、コストを低く抑えることができる。
本発明の着色ガラス板の比重は、2.49〜2.55が好ましく、2.50〜2.52がより好ましい。本発明の着色ガラス板の比重を、通常のソーダライムシリカガラスと同等にすることによって、製造時の組成変更(すなわち、素地替え)の効率を向上できる。
本発明の着色ガラス板の比重は、ガラス母組成を調整することによって調整できる。前記比重にするためには、SiO/(MgO+CaO+SrO+BaO)の質量比を、5.0〜8.0にすることが好ましく、5.5〜6.5にすることがより好ましい。なお、(MgO+CaO+SrO+BaO)は、含有されるMgO、CaO、SrOおよびBaOの合計の含有量を示す。
本発明の着色ガラス板のTe(4mm厚さ換算)は、55%以下であり、53%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。Teは、JIS R3106(1998)(以下、単にJIS R3106と記す。)にしたがい分光光度計によって透過率を測定し算出された日射透過率である。
本発明の着色ガラス板のTv(4mm厚さ換算)は、70%以上であり、71.5%以上が好ましい。Tvは、JIS R3106にしたがい分光光度計によって透過率を測定し算出された可視光透過率である。係数は標準のA光源、2度視野の値を用いる。
本発明の着色ガラス板のTuv(4mm厚さ換算)は、12%以下であり、10%以下が好ましい。Tuvは、ISO−9050にしたがい分光光度計によって透過率を測定し算出された紫外線透過率である。
本発明の着色ガラス板の透過光の主波長(Dw)は、540〜570nmであり、550〜560nmが好ましく、552〜556nmがより好ましい。主波長が該範囲であれば、透過光が目的とするグリーンの色調を有する着色ガラス板が得られる。主波長は、JIS Z8701(1982)にしたがい分光光度計によって透過率を測定し算出されたものである。係数は標準の光C、2度視野の値を用いる。
本発明の着色ガラス板は、車両用、建築用のいずれにも用いることができ、特に自動車用のフロントガラスやサイドガラスとして好適である。自動車用の窓ガラスとして用いる場合は必要に応じて、複数のガラス板を中間膜で挟んだ合せガラス、平面状のガラスを曲面に加工したガラス、強化処理をしたガラスとして用いる。また、建築用の複層ガラスとして用いる場合、2枚の本発明の着色ガラス板からなる複層ガラス、または本発明の着色ガラス板と他のガラス板との複層ガラスとして用いる。
本発明の着色ガラス板は、たとえば、下記の工程(i)〜(iv)を順に経て、必要に応じてさらに工程(v)を経て、製造される。
(i)目標とするガラス組成になるように、珪砂等のガラス母組成原料、鉄源、チタン源、バナジウム源等の着色成分原料、酸化剤、還元剤、清澄剤等を適宜混合し、ガラス原料を調製する。
(ii)ガラス原料を連続的に溶融窯に供給し、重油等によって約1400〜1600℃(たとえば約1500℃)に加熱し溶融させて溶融ガラスとする。
(iii)溶融ガラスを清澄した後、フロート法等によって所定の厚さのガラス板に成形する。
(iv)ガラス板を徐冷した後、所定の大きさに切断し、本発明の着色ガラス板とする。
(v)必要に応じて、切断したガラス板を強化処理してもよく、合せガラスに加工してもよく、複層ガラスに加工してもよい。
ガラス母組成原料としては、珪砂、アルミナ源、マグネシア源、カルシア源、アルカリ酸化物源等の通常のソーダライムシリカガラスの原料として用いられているものが挙げられる。
鉄源としては、鉄粉、酸化鉄粉、ベンガラ等が挙げられる。
チタン源としては、酸化チタン等が挙げられる。
バナジウム源としては、酸化バナジウム等が挙げられる。
酸化剤としては、硝酸ナトリウム等が挙げられる。酸化剤は、溶融ガラス中の鉄の酸化を促進するためのものである。
還元剤としては、炭素、コークス等が挙げられる。還元剤は、溶融ガラス中の鉄の酸化を抑制するためのものである。
この他に、還元剤や清澄剤としてSnOを用いてもよく、酸化剤や清澄剤としてSOを用いてもよい。
以上説明した本発明の着色ガラス板にあっては、酸化物基準の質量百分率表示で、Feに換算した全鉄が0.3〜1.2%であり、TiOに換算した全チタンが0.2〜1.1%であり、Vに換算した全バナジウムが0.02〜0.3%であるため、高価なセリウムをはじめ、他の着色成分を実質的に含まないにも関わらず、Te≦55%(4mm厚さ換算)、Tv≧70%(4mm厚さ換算)、およびTuv≦12%(4mm厚さ換算)を満足しつつ透過光がグリーンの色調を有する。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。
例1〜8は実施例であり、例9は比較例である。
(Te)
得られたガラス板について、JIS R3106規定の日射透過率(Te)を4mm厚さ換算値で求めた。
(Tv)
得られたガラス板について、JIS R3106規定の可視光透過率(Tv)(A光源、2度視野)を4mm厚さ換算値で求めた。
(Tuv)
得られたガラス板について、ISO−9050規定の紫外線透過率(Tuv)を4mm厚さ換算値で求めた。
(Dw)
得られたガラス板について、JIS Z8701(1982)規定の透過光の主波長(Dw)を求めた。
〔例1〜9〕
表1に示す組成となるように各原料を混合し、さらに例1〜7については酸化剤としてNaSOをSO換算で表1に示す量となるように混合し、さらに例1〜3については酸化剤としてNaNOをNO換算で表1に示す量となるように混合し、さらに例9については還元剤としてコークスを表1に示す量で混合し、ガラス原料を調製した。ガラス原料をるつぼに入れ、電気炉中で1500℃に加熱し、溶融ガラスとした。溶融ガラスをカーボン板上に流し出し、冷却した。両面を研磨し、厚さ4mmのガラス板を得た。得られたガラス板について、分光光度計(Perkin Elmer社製、Lambda950)を用いて1nmごとに透過率を測定し、Te、Tv、Tuv、Dwを求めた。結果を表1に示す。
Figure 0005999110
例1〜8の本発明の着色ガラス板は、Te≦55%(4mm厚さ換算)、Tv≧70%(4mm厚さ換算)およびTuv≦12%(4mm厚さ換算)を満足しつつ、透過光は、その主波長が540〜570nmの範囲にあり、グリーンの色調を有していた。
例9の着色ガラス板は、Vを含有していないため、Tuvが高い。
本発明の着色ガラス板は、車両用、建築用のガラス板として有用であり、特に自動車用のガラス板として好適である。
なお、2012年1月27日に出願された日本特許出願2012−015560号の明細書、特許請求の範囲および要約書の全内容をここに引用し、本発明の開示として取り入れるものである。

Claims (2)

  1. 酸化物基準の質量百分率表示で、
    SiO :65〜75%、
    Al :0〜6%、
    MgO :2〜6%、
    CaO :5〜15%、
    Na O :5〜18%、
    O :0〜5%、
    Na O+K O :10〜18%、
    Feに換算した全鉄 :0.3〜1.2%、
    TiOに換算した全チタン :0.2〜1.1%、
    に換算した全バナジウム:0.02〜0.3%、
    を含み、
    セリウム、コバルト、クロムおよびマンガンを、製造上不可避的に混入した不純物を除き含まず、
    JIS R3106(1998)規定の日射透過率が、4mm厚さ換算値で55%以下であり、
    JIS R3106(1998)規定の可視光透過率(A光源2度視野)が、4mm厚さ換算値で70%以上であり、
    ISO−9050規定の紫外線透過率が、4mm厚さ換算値で12%以下であり、
    JIS Z8701(1982)規定の透過光の主波長が、540〜570nmである、着色ガラス板。
  2. ガラス原料を溶融し、成形するガラス板の製造において、
    成形後の該ガラス板の組成成分が、酸化物基準の質量百分率表示で、
    SiO :65〜75%、
    Al :0〜6%、
    MgO :2〜6%、
    CaO :5〜15%、
    Na O :5〜18%、
    O :0〜5%、
    Na O+K O :10〜18%、
    Feに換算した全鉄 :0.3〜1.2%、
    TiOに換算した全チタン :0.2〜1.1%、
    に換算した全バナジウム:0.02〜0.3%、
    を含み、
    セリウム、コバルト、クロムおよびマンガンを、製造上不可避的に混入した不純物を除き含まず、
    JIS R3106(1998)規定の日射透過率が、4mm厚さ換算値で55%以下であり、
    JIS R3106(1998)規定の可視光透過率(A光源2度視野)が、4mm厚さ換算値で70%以上であり、
    ISO−9050規定の紫外線透過率が、4mm厚さ換算値で12%以下であり、
    JIS Z8701(1982)規定の透過光の主波長が、540〜570nmである着色ガラス板を得る、着色ガラス板の製造方法。
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