JP5041324B2 - 天然大理石様結晶化ガラス及びその製造方法 - Google Patents

天然大理石様結晶化ガラス及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、結晶化ガラスに関し、特に、建築物の内外装材に使用される天然大理石様結晶化ガラス及びその製造方法に関する。
天然大理石模様を呈する結晶化ガラスは、化学的耐久性、機械的強度の特性に優れており、当初は天然石の代わりとして、また選択肢が多く自然には存在しない美しい外観を呈することから、現在ではデザイン性を追求する多くの建築物の内装材や外装材に使用されている。
この種の結晶化ガラスとしては、特許文献1、2に結晶性ガラス組成を熱処理することにより、主結晶としてβ−ウオラストナイト結晶(CaO・SiO2)を析出してなる天然大理石様結晶化ガラスが開示されている。
特許文献1には、質量百分率表示で、SiO2 50〜75%、Al23 1〜15%、CaO 6〜16%、Li2O 0.1〜5%、B23 0〜1.5%、CaO+Li2O+B23 10〜17.5%、ZnO 2.5〜12%、BaO 0〜12%、Na2O+K2O 0.1〜15%の組成を有し、主結晶としてβ−ウオラストナイト結晶を析出してなる天然大理石様結晶化ガラスが開示されている。この天然大理石様結晶化ガラスは、生産性の向上を目的として色調安定性に優れたものになっている。
特許文献2には、質量百分率表示で、SiO2 45〜77%、Al23 1〜25%、CaO 2〜25%、ZnO 0〜18%、BaO 0〜20%、Na2O 1〜15%、K2O 0〜7%、Li2O 0〜5%、B23 0〜1.5%、CeO2 0.01〜0.5%、SO3 0.01〜0.5%の組成を有し、主結晶としてβ−ウオラストナイト結晶を析出してなる天然大理石様結晶化ガラスが開示されている。この天然大理石様結晶化ガラスは、As23やSb23を含有することなく、従来品と同等以上の白色度を有するものになっている。
特許文献3には、質量百分率表示でSiO2 45〜75%、Al23 1〜25%、CaO 1〜20%、MgO 0.5〜17%、BaO 0〜18%、ZnO 0〜18%、Na2O 1〜15%、K2O 0〜7%、Li2O 0〜5%、B23 0〜10%、P25 0〜10%、As23 0〜1%、Sb23 0〜1%からなり、本質的に核形成剤を含有しないガラスの小体を所望形状の型枠に集積した後、熱処理することによって、該ガラスの小体を融着一体化させるとともに、ディオプサイド結晶(CaO・MgO・2SiO2)を析出させてなる天然大理石様結晶化ガラスの製造方法が開示されている。この製造方法によれば、TiO2やF等の結晶核形成剤を必要とせず、また歩留りよく天然大理石様結晶化ガラスを製造することができるために原料コスト及び製造コストを大幅に低減することが可能である。また、ガラス小体の粒径を調製することにより所望の天然大理石模様が得られる。さらに再熱処理によって曲げ加工ができるために、壁面の曲部等にも使用可能である。
特開平6−247744号公報 特開平9−295831号公報 特開平3−205323号公報
ところで近年、建築の多様化に伴って種々の外観を呈する建築材料が開発され、結晶化ガラスからなる建築材料においても、上記に示した従来からある色調で天然大理石模様を呈するものだけではなく、外観として白色度が高い高級感があるものが要求されている。
本発明は上記事情に着目し、従来の天然大理石様結晶化ガラスよりも白色度が向上して従来品とは異なる色調を呈する天然大理石様結晶化ガラスと、及びこの結晶化ガラスを製造可能にした製造方法を提供することである。
本発明者らは、試作した従来品よりも白い印象の結晶化ガラス物品が、結晶化ガラス表面のL*a*b*表色系色度における色座標a*及びb*が従来の結晶化ガラス物品とは異なる範囲となり、かつ従来の結晶化ガラス物品の白色度よりも高いL*値を有することを見出した。
すなわち、本発明の天然大理石様結晶化ガラスは、標準光D65で10度視野の測定条件による結晶化ガラス表面のL*a*b*表色系色度における色座標a*及びb*が±1.0以下、かつ白色度L*が93.5以上であり、質量百分率表示で、SiO 45〜75%、Al 1〜25%、CaO 2〜25%、ZnO 0〜18%、BaO 0〜20%、MgO 0〜1.5%、SrO 0〜1.5%、Na O 1〜15%、K O 0〜7%、Li O 0〜5%、B 0〜1.5%、Sb 0〜1%、As 0〜1%の組成を有し、CeO 及びSO を含有せず、主結晶としてβ−ウオラストナイト結晶を析出してなることを特徴とするものである。このようなL*a*b*表色系色度を有する天然大理石様結晶化ガラスは、無彩色白色品として好適な色調となるので好ましい。色座標a*及びb*が±1.0を逸脱するか、または白色度L*が93.5未満であると、着色が発生して従来品の色調と殆どかわりがなくなる。色座標a*及びb*は、±0.7以下であると、色調だけでなく目視において従来品との色相の差異を明確に感じることが可能になり、より好ましい。なお、L*a*b*表色系色度はJIS Z8730に定義されているものである。
また、本発明の天然大理石様結晶化ガラスは、XYZ表色系色度図におけるxが0.3120〜0.3130及びyが0.3290〜0.3320であることを特徴とするものである。このようなXYZ表色系色度を有する天然大理石様結晶化ガラスは、色相が無く彩度が最も低い座標点であり、新たな無彩色白色品として好適なものとなる。また、xが0.3125〜0.3130及びyが0.3300〜0.3320であると、目視において従来品との色調の差異に加えて色相の差異も明確に感じることが可能になるのでより好ましい。なお、XYZ表色系色度はJIS Z8701に定義されているものである。
また、本発明者らは、シリカ原料、アルミナ原料、カルシウム原料、リチウム原料を選択することによりガラス中のFe23含有量を200ppm以下に制御すると、結晶化ガラス表面のL*a*b*表色系色度における色座標a*及びb*が従来の結晶化ガラス物品とは異なる範囲となり、かつ従来の結晶化ガラス物品の白色度よりも高いL*値を有する天然大理石様結晶化ガラスになることを見出した。
即ち、本発明の天然大理石様結晶化ガラスは、不純物としてのFe23の含有量が200ppm以下であり、析出結晶量が20〜50質量%であることを特徴とする。
本発明において、上記の成分を含有させるガラスを調合する場合に用いるガラス原料を選択し、不純物であるFe23の含有量を200ppm以下にすることにより、ガラスの透過率を従来よりも高くし、熱処理後の結晶化ガラスの白色度を更に高めた高級感のある天然大理石様結晶化ガラスを製造することができる。このFe23の含有量が150ppm以下であれば、無彩色白色品として好適な色調を実現する上でさらに好ましい。このようなFe23の含有量に着目した理由は、他の着色成分に比べてより高級感のある白色度を得られるためである。なお、着色剤としてFe23を含むような天然大理石様結晶化ガラスの場合には、着色剤が分布しないベースとなる部位の結晶化ガラスが本発明の対象となり、Fe23以外の着色剤を使用した色調が異なる品種の天然大理石様結晶化ガラスも本発明の対象となる。また、析出結晶量が20質量%未満であると、結晶量が少なくなりすぎて反射率が低下することにより、白色度L*が93.5以下となる。一方、50質量%を超えると結晶量が多くなりすぎて粘度が上がり、溶融状態のガラスの流動が阻害されて所望の表面が得られなくなる。本発明の天然大理石様結晶化ガラスの析出結晶量としては、白色度L*および流動性の上で、30〜40質量%であることが好ましい。
本発明の天然大理石様結晶化ガラスにおいて、Fe23以外の各成分の含有量を限定した理由を述べる。
SiO2の含有量は45〜75%、好ましくは50〜70%である。SiO2が75%より高いとガラスの溶融温度が高くなるとともに、粘度が増大して熱処理時の流動性が悪くなる。一方、45%より少ないと成型時の失透性が強くなる。
Al23の含有量は1〜25%、好ましくは3〜15%である。Al23が25%より多いとガラスの溶解性が悪くなるとともに異種結晶(アノーサイト)が析出し熱処理時の流動性が悪くなり、1%より少ないと失透性が強くなり化学的耐久性も低下する。
aOの含有量は2〜25%、好ましくは8〜18%である。CaOが25%よりも多いと失透性が強くなり成形が困難となり、又β−ウオラストナイト結晶の析出量が多くなり過ぎて所望の表面平滑性が得難くなる。一方、2%より少ないとβ−ウオラストナイト結晶の析出量が少なくなり過ぎて機械的強度が低下し、建材として実用に耐えなくなる
ZnOは結晶化時のガラスの流動性を促進するために添加する成分であり、その含有量は0〜18%、好ましくは2〜15%である。ZnOが18%より多いとβ−ウオラストナイト結晶が析出し難くなる。
BaOもZnOと同様の効果を示す成分で、含有量は0〜20%であり、好ましくは1〜10%である。BaOも20%より多いとβ−ウオラストナイト結晶の析出量が少なくなる。
gO及びSrOについては、ガラスの溶解性や流動性を促進させる成分であるが、1.5%より多くなると異種結晶を析出し、特性上好ましくない
Na2Oの含有量は1〜15%、好ましくは3〜10%である。Na2Oが15%よりも多いと科学的耐久性が悪くなり、膨張係数が高くなるために建材として好ましくない。1%より少ないとガラスの粘性が増大して溶解性や流動性が悪くなる。
2Oの含有量は0〜7%、好ましくは0〜5%である。K2Oが7%より多いと化学的耐久性が低下する。
Li2Oは結晶化速度を速める効果と流動性を促進する効果があり、その含有量は0〜5%、好ましくは0.1〜3%である。Li2Oが5%より多いと化学的耐久性が低下するだけでなく、粘性が低下し過ぎるために発泡しやすくなる。
23の含有量は0〜1.5%、好ましくは0〜1%である。B23が1.5%より多いと異種結晶が析出し、所望の特性が得られなくなる。
CeO2は清澄剤としてのAs23又はSb23の添加が環境保全の観点上好ましくないことから、それらの含有量が0.1%以下で、結晶化物の白色度が急激に低下する場合に、その白色度の低下を抑制する成分である。白色度の低下を抑制するためのCeO2の含有量は0.01〜0.5%、好ましくは0.05〜0.3%である。その効果は、還元雰囲気下のガラス溶融環境になった場合に、不純物として含有するFe23によるFe2+の発色を抑制するものであり、特にSO3(芒硝)と共存させることによって効果が顕著に現れる。CeO2が0.5%より多いとCe4+による褐色の着色が強くなり、0.01%より少ないと上記の効果が得られ難くなる。
SO3の含有量は0.01〜0.5%、好ましくは0.02〜0.4%である。SO3が0.5%より多いと異種結晶が析出し、一方、0.01%より少ないと清澄剤であるAs23及びSb23が0.1%以下である場合にガラスの溶解性が低下し、ガラスの品位が悪化する。
次に本発明の天然大理石様結晶化ガラスの製造方法について説明する。
本発明に係る天然大理石様結晶化ガラスの製造方法は、不純物としてのFeの含有量が200ppm以下である複数個の結晶性ガラス小体を耐火性容器に充填し、該結晶性ガラス小体を軟化点より高い温度で熱処理することにより、20〜50質量%の結晶を析出させて結晶化ガラス表面のL*a*b*表色系色度における白色度L*が93.5以上であり、かつ色座標a*及びb*が±1.0以下である天然大理石様結晶化ガラスを製造するものであり、複数個の結晶性ガラス小体が、質量百分率表示で、SiO 45〜75%、Al 1〜25%、CaO 2〜25%、ZnO 0〜18%、BaO 0〜20%、MgO 0〜1.5%、SrO 0〜1.5%、Na O 1〜15%、K O 0〜7%、Li O 0〜5%、B 0〜1.5%、Sb 0〜1%、As 0〜1%の組成を有し、CeO 及びSO を含有せず、熱処理することにより主結晶としてβ−ウオラストナイト結晶を析出させることを特徴とするものである。
本発明の製造方法では、上記に示した組成範囲に応じてガラス原料を調合し、溶融する原料バッチとしてFe23の含有量が200ppm以下であることが重要である。ガラス原料としては、Fe23の含有量が最も多い長石(SiO2 60〜70%、Al23 12〜18%、K2O 5〜10%、Na2O 2〜3%)を使用しないだけではなく、SiO2原料として極力Fe23の含有量が少ない珪砂、Al23原料として酸化アルミナ又は水酸化アルミ、CaO原料として低鉄炭酸カルシウム、Li2O原料として炭酸リチウムなど、その他の原料についてもできる限りFe23の含有量が少ない原料を選択することが好ましい。そして、先記した組成範囲になるように調合したガラスバッチを溶融し、ガラス化した後に水砕や分級等の工程を経て所望のガラス小体を作製する。次いで耐火性の型枠内に結晶性ガラス小体を集積し、軟化点より高い温度で熱処理すると、各ガラス小体が融着一体化するとともに、各ガラス小体の表面から内部に向かって針状のβ−ウオラストナイト結晶等が析出し、結晶化が終了する。その結果、外観は色相を呈しない白色度の非常に高い本発明の天然大理石様結晶化ガラスが得られる。なお、Fe23の含有量については、蛍光X線分析又は化学分析により、測定し確認することが可能である。
本発明の製造方法は、上記の組成を有するように、ガラス原料を調合し、溶融し、粉砕などの工程で粒状体にすることで、結晶性ガラス小体を作製し、軟化点より高い温度で熱処理することにより主結晶としてβ−ウオラストナイト結晶を20〜50質量%析出させて、結晶化ガラス表面のL*a*b*表色系色度における白色度L*が93.5以上であり、かつ色座標a*及びb*が±1.0以下である天然大理石様結晶化ガラスを製造するものである。
また、本発明の天然大理石様結晶化ガラスの製造方法は、厚さ10mmとしたときの可視光平均透過率(380nm〜780nm)が89%以上であり、XYZ表色系色度図におけるxが0.3100〜0.3115及びyが0.3160〜0.3190(C光源2度)である結晶性ガラス小体を使用することにより、結晶化ガラス表面を発現させるものである。
本発明で得られる本発明の天然大理石様結晶化ガラスに用いるガラス原料は、不純物であるFe23の含有量が少ないとガラスの透過率が高くなり、熱処理後の結晶化ガラスの白色度が高くなる。しかし、ガラスコストも高くなるため、結晶化ガラスの品位とガラスコストのバランスを取る必要がある。また、ガラス原料を選択することにより、結晶性ガラスのXYZ表色系色度図におけるxが0.3100〜0.3115及びyが0.3160〜0.3190である結晶性ガラス小体を用いることで、所望する天然大理石様結晶化ガラス表面を発現させることが好ましい。
なお、ガラス原料及び結晶性ガラス小体を取り扱う際に、容器その他の搬送装置から鉄分が混入しないように、それらの接触表面にコーティングその他の配慮をしておくことが好ましい。
本発明に係る天然大理石様結晶化ガラスは、結晶化ガラス表面のL*a*b*表色系色度における色座標a*及びb*が±1.0以下であって、かつ白色度L*が93.5以上であり、好ましくはXYZ表色系色度図におけるxが0.3120〜0.3130及びyが0.3290〜0.3320であるので、白色度が非常に高い高級感のある外観を呈する従来にない天然大理石様結晶化ガラスになる。また、本発明の天然大理石様結晶化ガラスは、質量百分率表示で、SiO 45〜75%、Al 1〜25%、CaO 2〜25%、ZnO 0〜18%、BaO 0〜20%、MgO 0〜1.5%、SrO 0〜1.5%、Na O 1〜15%、K O 0〜7%、Li O 0〜5%、B 0〜1.5%、Sb 0〜1%、As 0〜1%の組成を有し、CeO 及びSO を含有せず、主結晶としてβ−ウオラストナイト結晶を析出してなるので、針状の結晶が伸長しやすく、光線を効果的に散乱させて上記のように白色度が高い高級感のある外観を呈する天然大理石様の模様を得やすいものとなる。
また、本発明の天然大理石様結晶化ガラスは、Fe23の含有量が200ppm以下であり、析出結晶量が20〜50質量%であるので、機械的強度や化学的耐久性が損なわれず、かつ白色度が非常に高い高級感のある外観を呈するために、厨房・テーブルトップの内装材や外装材として好適なものである。
本発明の天然大理石様結晶化ガラスの製造方法は、不純物としてのFeの含有量が200ppm以下である複数個の結晶性ガラス小体を耐火性容器に充填し、該結晶性ガラス小体を軟化点より高い温度で熱処理することにより、20〜50質量%の結晶を析出させて結晶化ガラス表面のL*a*b*表色系色度における白色度L*が93.5以上であり、かつ色座標a*及びb*が±1.0以下である天然大理石様結晶化ガラスを製造するので、ガラス原料として、特に不純物であるFeの含有率の高い長石を使用せず、代替するガラス原料を使用し、更に他のガラス原料についてもFeの含有量が少ない低鉄品を選択使用することにより、析出結晶量を制御して透光性を有するような場合であっても、ガラス相のFeによる緑味着色を抑制し、好ましい外観を呈する天然大理石様結晶化ガラスとなる。また、着色剤を用いて着色を行う場合であっても、着色剤が鮮やかに発色し、高級感のある天然大理石様結晶化ガラスとなる。また、本発明の天然大理石様結晶化ガラスの製造方法は、複数個の結晶性ガラス小体が、質量百分率表示で、SiO 45〜75%、Al 1〜25%、CaO 2〜25%、ZnO 0〜18%、BaO 0〜20%、MgO 0〜1.5%、SrO 0〜1.5%、Na O 1〜15%、K O 0〜7%、Li O 0〜5%、B 0〜1.5%、Sb 0〜1%、As 0〜1%の組成を有し、CeO 及びSO を含有せず、熱処理することにより主結晶としてβ−ウオラストナイト結晶を析出させるので、針状の結晶が伸長しやすく、上記のように白色度が高い高級感のある外観を呈する天然大理石様の模様が得やすい特徴を有する天然大理石様結晶化ガラスが得られる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を説明する。
表1に、本発明の実施例1〜および参考例1、2を示し、不純物であるFe23の含有量が200ppm以下になるようにガラス原料として長石を使用しないガラス組成を示した。表中の実施例1はSiO2原料を通常のA珪砂、CaO原料に通常の炭酸カルシウム、Li2O原料に通常のスポジュメンを使用した場合であり、ガラスバッチ中のFe23の含有量は200ppmとなる。実施例2はSiO2原料を通常のA珪砂、CaO原料に通常の炭酸カルシウム、Li2O原料にFe23の含有量が少ない炭酸リチウムを使用した場合であり、ガラスバッチ中のFe23の含有量は150ppmとなる。実施例3はSiO2原料をFe23の含有量が少ないB珪砂、CaO原料にもFe23の含有量が少ない低鉄炭酸カルシウム、更にLi2O原料に通常のスポジュメンを使用した場合であり、ガラスバッチ中のFe23の含有量は100ppmとなる。実施例4はSiO2原料をFe23含有量が少ないB珪砂、CaO原料にもFe23の含有量が少ない低鉄炭酸カルシウム、Li2O原料にFe23の含有量が少ない炭酸リチウムを使用した場合であり、参考例1は実施例2と同様ではあるが、清澄剤で有害物質でもあるSb23を使用しない場合であり、結果も同様となった。また、参考例は実施例2と同様の原料とMgO原料を使用し、ガラスバッチ中のFe23の含有量を150ppmとなり、ディオプサイド結晶を析出する組成を有するものである。
各試料は次のようにして調製した。まず、表1の組成になるように珪砂、酸化アルミ又は水酸化アルミ、炭酸カルシウム、亜鉛華、炭酸バリウム、ソーダ灰、炭酸カリウム、スポジュメン又は炭酸リチウム、硝酸ソーダ、酸化アンチモンを調合し、1550℃の温度で12時間溶融した。次いで溶融ガラスを所定の形状に成形し、アニールの後、可視光透過率及びx、yの値の測定試料とした。更に、溶融ガラスを水砕し、乾燥、分級して粒径1〜5mmの結晶性ガラス小体を得た。続いてこのガラス小体を、内壁にアルミナ粉が塗布された耐火性の型枠内に集積して電気炉内に入れ、2℃/分の速度で昇温し、1050〜1100℃で1時間保持することによって、各ガラス小体を融着一体化させるとともに結晶化させた後、外観を色調(L*、a*、b*)にて評価した。その結果を表1に示した。
表2に、比較例1〜4を示す。これらは通常ガラス原料として用いる長石を使用したガラス組成を有するものである。用いた長石は約1200ppmのFe23を含有するものである。比較例1はSiO2原料を通常のA珪砂、CaO原料に通常の炭酸カルシウム、Li2O原料にスポジュメンを使用した場合であり、ガラスバッチ中のFe23の含有量は550ppmとなる。比較例2はSiO2原料をFe23の含有量が少ないB珪砂、CaO原料にもFe23の含有量が少ない低鉄炭酸カルシウム、Li2O原料にFe23の含有量が少ない炭酸リチウムを使用した場合であり、ガラスバッチ中のFe23の含有量は450ppmとなる。比較例1〜4ではガラス原料に長石を用いているので、ガラス中のFe23は450ppm以上となる。また、比較例3は比較例1と同様ではあるが、清澄剤であり有害でもあるSb23を使用しないものであり、結果も同様となった。さらに、比較例4は比較例1と同様の原料とMgO原料を使用することにより、ディオプサイド結晶を析出するものである。各試料は、実施例と同様の調整を行った。その結果を表2に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜および参考例1、2の各試料は、熱処理前の結晶性ガラスの厚さを10mmとしたときの可視光平均透過率が89.5%以上を示し、XYZ表色系色度図におけるxは0.3105〜0.3113を示し、yは0.3172〜0.3185を示し、その結果、L*a*b*表色系色度における熱処理後のL*は93.5以上を示し、a*及びb*は±1.0以下の値を示した。また、実施例1〜4および参考例1は、結晶化後のXYZ表色系色度図におけるxが0.3120〜3130及びyが0.3290〜0.3320であり、各試料ともに表面平滑性が高く、天然大理石模様を呈する非常に明るく白色度の高い高級感のある天然大理石様結晶化ガラスであった。尚、実施例1〜4および参考例1の主結晶はβ−ウオラストナイト結晶であり、参考例の主結晶はディオプサイド結晶であった。
このように、ガラス原料として不純物であるFe23の含有量が多い長石を使用せず、Fe23の含有量が少ない炭酸カルシウム及び炭酸リチウムを選択して使用することにより実施例の天然大理石様結晶化ガラスが得られた。
一方、表2から明らかなように、比較例の各試料は熱処理前の結晶性ガラスの透過率が89.0%未満であり、比較例1についてのそれは88.5%以下に低下する。x、yの値はそれぞれxが0.3115〜0.3118とyが0.3200〜0.3208まで上がり、ガラスの色合いが緑味を呈する。その結果、熱処理後の白色度L*は93.5未満を示し、a*及びb*は±1.0を超える値の色合いを示し、結晶化後のXYZ表色系色度図におけるxが0.3140〜0.3145及びyが0.3335〜0.3340であった。特に比較例1は緑味を帯びた実施例よりも暗い外観を示す天然大理石様結晶化ガラスであった。また、比較例2は白色度が向上しているものの、従来品との差異が明確でなく、白色度向上の度合いが不足していた。比較例4は、比較例1及び比較例3よりも更に白色度L*が低下した。これは、ディオプサイド結晶がFe23の影響を受けやすいことを示すものである。尚、これらの結晶化ガラスは実施例と同様に主結晶としてβ−ウオラストナイト結晶及びディオプサイド結晶を析出する天然大理石様結晶化ガラスであった。
上記の平均透過率は次のようにして測定した。まず溶融ガラスを成形して厚みが11〜12mmのガラス板を得、650℃付近で徐冷した。次いで、ガラス板を厚さが10mm±0.1mmとなるように鏡面研磨した後に分光光度計により求めた。同時にXYZ表色系色度図におけるx、y値を求めた。
また、熱処理後の結晶化ガラスの白色度L*及びa*b*は測色計にて求めた。また、主結晶はX線回折装置によって求めた。
本発明によれば、従来よりも白色度が向上し、従来にない色調を呈する天然代理石様結晶化ガラスとその製造方法を提供することができる。

Claims (7)

  1. 結晶化ガラス表面のL*a*b*表色系色度における色座標a*及びb*が±1.0以下、かつ白色度L*が93.5以上である天然大理石様結晶化ガラスであって、質量百分率表示で、SiO 45〜75%、Al 1〜25%、CaO 2〜25%、ZnO 0〜18%、BaO 0〜20%、MgO 0〜1.5%、SrO 0〜1.5%、Na O 1〜15%、K O 0〜7%、Li O 0〜5%、B 0〜1.5%、Sb 0〜1%、As 0〜1%の組成を有し、CeO 及びSO を含有せず、主結晶としてβ−ウオラストナイト結晶を析出してなることを特徴とする天然大理石様結晶化ガラス
  2. Sb を含有することを特徴とする請求項1に記載の天然大理石様結晶化ガラス。
  3. XYZ表色系色度図におけるxが0.3120〜0.3130及びyが0.3290〜0.3320である請求項1又は2に記載の天然大理石様結晶化ガラス。
  4. 不純物としてのFeの含有量が200ppm以下であり、析出結晶量が20〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の天然大理石様結晶化ガラス。
  5. 不純物としてのFeの含有量が200ppm以下である複数個の結晶性ガラス小体を耐火性容器に充填し、該結晶性ガラス小体を軟化点より高い温度で熱処理することにより、20〜50質量%の結晶を析出させて結晶化ガラス表面のL*a*b*表色系色度における白色度L*が93.5以上であり、かつ色座標a*及びb*が±1.0以下である天然大理石様結晶化ガラスの製造方法であって、複数個の結晶性ガラス小体が、質量百分率表示で、SiO 45〜75%、Al 1〜25%、CaO 2〜25%、ZnO 0〜18%、BaO 0〜20%、MgO 0〜1.5%、SrO 0〜1.5%、Na O 1〜15%、K O 0〜7%、Li O 0〜5%、B 0〜1.5%、Sb 0〜1%、As 0〜1%の組成を有し、CeO 及びSO を含有せず、熱処理することにより主結晶としてβ−ウオラストナイト結晶を析出させることを特徴とする製造方法
  6. 結晶性ガラス小体が、Sb を含有することを特徴とする請求項5に記載の天然大理石様結晶化ガラスの製造方法。
  7. 厚さ10mmとしたときの可視光平均透過率が89%以上であり、XYZ表色系色度図におけるxが0.3100〜0.3115及びyが0.3160〜0.3190である結晶性ガラス小体を使用することにより、結晶化ガラス表面を発現させることを特徴とする請求項5又は6に記載の天然大理石様結晶化ガラスの製造方法。
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