JP5563776B2 - バルブタイミング調整装置 - Google Patents
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Description
また、エンジン停止時にハウジングとベーンロータを拘束手段により拘束し、相対回動を禁止するバルブタイミング調整装置が公知である。このような拘束手段を設けることにより、カムシャフトが受けるトルク変動によりハウジングとベーンロータとが衝突することによる打音の発生が防止される。拘束手段は、スプリングと規制部材からなり、ハウジングに対してベーンロータが所定の位置、例えば最遅角位置、にあるとき、スプリングの付勢力が作動油圧に打ち勝つことにより規制部材が嵌合穴に嵌合し、ハウジングとベーンロータとの相対回動を禁止する(例えば、特許文献1参照)。
請求項1に記載の発明の付勢部材は、不等ピッチばねである。また、請求項1に記載の発明では、ピッチが小さい密部と、ピッチが大きい粗部を有する不等ピッチばねである。規制部材の嵌合時における密部の軸方向の線間隙間の合計は、規制部材の嵌合時における規制部材の先端部と嵌合穴の開口部との距離と略一致する。これにより、規制部材の先端部が嵌合穴の開口部と略一致する位置にてばね定数が変わるので、付勢部材の付勢力を適切に設定することができる。
(一実施形態)
バルブタイミング調整装置に本発明を適用した一実施形態を図1〜5に基づいて説明する。図1に示すように、駆動力伝達系では、エンジン6の駆動軸としてのクランクシャフト8に固定されるスプロケット98と、従動軸としてのカムシャフト7、9に固定されるスプロケット12、99とにチェーン5が巻き掛けられ、クランクシャフト8からカムシャフト7、9に駆動力が伝達される。一方のカムシャフト7は吸気弁93を開閉駆動し、他方のカムシャフト9は排気弁92を開閉駆動する。本実施形態のバルブタイミング調整装置10は、作動流体として作動油を用いる油圧制御式であり、スプロケット12をチェーン5に、ベーンロータをカムシャフト7に接続し、吸気弁93のバルブタイミングを調整する。
図2に示すように、ハウジング11は、スプロケット12、シューハウジング13、及びフロントプレート14から構成されている。スプロケット12は、軸方向にカムシャフト7を通す軸孔121を有している。シューハウジング13およびフロントプレート14は、ボルト19によってスプロケット12と同軸上に固定されている。図3に示すように、シューハウジング13はシュー131〜134と、環状の周壁130とが一体に形成されている。略台形に形成されたシュー131〜134は周壁130から径内方向に延びており、周方向に略等間隔に設けられている。回転方向に隣接するシュー同士の間隙には扇状の収容室50が形成されている。
ハウジング11、ベーンロータ16およびカムシャフト7は図2に示す矢印X方向からみて時計方向に回転する。この回転方向を進角方向とする。
スプリング34は、ピッチが小さい密部341とピッチが大きい粗部342とから構成されている。図4(a)に示すように、ストッパピストン30が嵌合リング36に嵌合している状態において、スプリング34の密部341の軸方向の線間隙間G1〜G8の合計は、図2において記号Lで示すストッパピストン30の先端部31と嵌合リング36の開口部37との距離と略一致している。そして、油圧室32、33の作動油圧によりスプリング34の密部341が押し縮められて密着したとき、図4(b)に示す状態となる。このとき、ストッパピストン30の先端部31は、嵌合リング36の開口部37と一致する位置にある。油圧室32、33の作動油圧がさらに高まると、スプリング34の粗部342が押し縮められ、図4(c)に示す状態となる。このとき、ストッパピストン30は、嵌合リング36に嵌合されていない状態である。
<エンジン始動時>
エンジン6(図1参照)が停止している状態ではストッパピストン30は嵌合リング36に嵌合している。このとき、スプリング34は、図4(a)に示す状態である。エンジン6を始動した直後の状態では、遅角油圧室51〜54、進角油圧室55〜58、および油圧室32、33に油圧ポンプ1から十分に作動油が供給されない。このため、ストッパピストン30は嵌合リング36に嵌合した状態を維持し、クランクシャフト8に対しカムシャフト7は最遅角位置に保持されている。これにより、作動油が各油圧室に供給されるまでの間、カムシャフト7が受けるトルク変動によりハウジング11とベーンロータ16とが衝突することによる打音の発生が防止される。
エンジン始動後、油圧ポンプ1から作動油が供給されると、油圧室32、33に供給された作動油の油圧により、スプリング34は押し縮められる。このとき、スプリング34の密部341は密着しておらず、線間隙間があるので、密部341が比較的小さな力で押し縮められる。油圧室32、33の作動油圧がスプリング34の付勢力に打ち勝つと、ストッパピストン30は、嵌合リング36から抜け出し、ベーンロータ16のハウジング11に対する相対回動が許容される。そして、遅角油圧室51〜54、及び進角油圧室55〜58の油圧を制御することにより、クランクシャフト8に対するカムシャフト7の位相差が調整可能となる。
バルブタイミング調整装置10を進角制御するとき、電子制御装置(以下、「ECU」という。)4は、切換弁3に供給する駆動電流を制御する。切換弁3は、油圧ポンプ1と進角油路110とを接続し、遅角油路101とオイルパン2とを接続する。油圧ポンプ1から吐出される作動油は、進角油路110を経由し、進角油圧室55〜58に供給される。遅角油圧室51〜54の作動油は、遅角油路101を経由し、オイルパン2に排出される。進角油圧室55〜58の油圧は、ベーン61〜64に作用し、ベーンロータ16を進角方向に付勢するトルクを発生する。これにより、ベーンロータ16は、ハウジング11に対し進角方向に回動する。
バルブタイミング調整装置10を遅角制御するとき、ECU4は、切換弁3に供給する駆動電流を制御する。切換弁3は、油圧ポンプ1と遅角油路101とを接続し、進角油路110とオイルパン2とを接続する。油圧ポンプ1から吐出される作動油は、遅角油路101を経由し、遅角油圧室51〜54に供給される。進角油圧室55〜58の作動油は進角油路110を経由し、オイルパン2に排出される。遅角油圧室51〜54の油圧がベーン61〜64に作用し、ベーンロータ16を遅角方向に付勢するトルクを発生する。これにより、ベーンロータ16は、ハウジング11に対して遅角方向に回動する。
ベーンロータ16が目標位相に到達すると、ECU4は切換弁3に供給する駆動電流のデューティ比を制御する。切換弁3は、油圧ポンプ1と、遅角油路101および進角油路110との接続を遮断し、遅角油圧室51〜54および進角油圧室55〜58からオイルパン2に作動油が排出されることを規制する。このため、ベーンロータ16は目標位相に保持される。
バルブタイミング調整装置10の作動中にエンジン停止が指示されると、ベーンロータ16は、上記遅角作動時と同様の作動によりハウジング11に対して遅角方向に回転し、最遅角位置で回動が停止する。この状態において、ECU4は、油圧ポンプ1の作動を停止するとともに、切換弁3によって遅角油路101とオイルパン2とを接続する。これにより、油圧室32、33の圧力が低下する。このとき、ストッパピストン30は嵌合リング36に嵌合していないので、スプリング34は、図4(c)に示す状態である。すなわち、密部341は密着して線間隙間がなく、粗部342が押し縮められている状態であるので、スプリング34の付勢力は比較的大きい。そして、スプリング34の付勢力が油圧室32、33の作動油圧に打ち勝つと、ストッパピストン30は、嵌合リング36に嵌合する。
また、ストッパピストン30の嵌合時において、破線Bで示す線形ばねを用いた場合と比較して、スプリング荷重が小さい。したがって、エンジン始動時に、油圧室32、33の作動油圧が比較的低い状態で、ストッパピストン30を嵌合解除することができる。なお、ストッパピストン30の嵌合時におけるスプリング34は、図4(a)に示す状態である。
上記実施形態のスプリング34は、両端に密部341を有し、中央部に粗部342を有する不等ピッチばねであったが、他の実施形態では、図6に示すように、一端に密部441を有し、他端に粗部442を有する不等ピッチばね440であってもよい。また、図7に示すように、中央部に密部541を有し、両端に粗部542を有する不等ピッチばね540であってもよい。このような不等ピッチばねを用いても、上記実施形態と同様の効果を奏する。なお、上記実施形態では、嵌合長さが0のときにスプリング荷重が不連続となるように不等ピッチばねの密部の線間隙間を設定していたが、非嵌合時と嵌合時との間に不連続点を有する範囲にて密部の線間隙間を設定可能である。
さらに、図8に示す円錐ばねや、図9に示すたる型ばねや、図10に示す鼓型ばねであってもよい。このような非線形ばねを用いた場合、不等ピッチばねを用いた場合とは異なり、ばね定数は連続的に変化する。この場合、横軸に嵌合長さ、縦軸にスプリング荷重を示したグラフにおける変曲点が、嵌合時のばね長と非嵌合時のばね長との間の嵌合長さにあれば、上記実施形態と同様の効果を奏する。なお、変曲点は、嵌合長さが0である位置の近傍であることが好ましい。
上記実施形態では、内燃機関の吸気弁を制御するバルブタイミング調整装置について説明した。これに対し、内燃機関の排気弁を制御するバルブタイミング調整装置に本発明を適用してもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
Claims (1)
- 内燃機関の駆動軸と、当該駆動軸の駆動力により回転駆動されて吸気弁及び排気弁を開閉する従動軸との位相を変化させることによって、吸気弁及び排気弁の少なくとも一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置において、
前記駆動軸または前記従動軸の一方とともに回転するハウジングと、
前記駆動軸または前記従動軸の他方とともに回転し、前記ハウジング内に形成された収容室に収容されるベーンを有し、前記ベーンにより前記収容室が仕切られて形成される圧力室に供給される作動流体の圧力により前記ハウジングに対し相対回動可能なベーンロータと、
前記ハウジングに対し前記ベーンロータが所定の拘束位置にあり、前記ハウジングまたは前記ベーンロータの嵌合穴に対する嵌合時には前記ハウジングに対する前記ベーンロータの相対回動を禁止し、一方、非嵌合時には前記ハウジングに対する前記ベーンロータの相対回動を許容する規制部材、及び前記規制部材を前記嵌合穴に嵌合させる方向に付勢する付勢部材を有する拘束手段と、
を備え、
前記付勢部材は、その付勢力が前記規制部材の非嵌合時に比較して、前記規制部材の嵌合時に小さくなるよう構成され、
前記付勢部材は、前記規制部材の非嵌合時、ばね定数が大きく、前記規制部材の嵌合時、ばね定数が小さい非線形ばねである不等ピッチばねであり、
前記不等ピッチばねは、ピッチが小さい密部、及びピッチが大きい粗部を有し、
前記規制部材の嵌合時における前記密部の軸方向の線間隙間の合計は、前記規制部材の嵌合時における前記規制部材の先端部と前記嵌合穴の開口部との距離と略一致することを特徴とするバルブタイミング調整装置。
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