JP5563192B2 - 塗料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、天然物由来で生分解性を有した澱粉を利用し、一液型塗料として貯蔵安定性に優れ、しかも乾燥性、仕上り性、鉛筆硬度、耐擦り傷性、付着性、耐アルカリ性、耐溶剤性及び耐候性に優れた塗膜を形成できる澱粉系の塗料組成物、及びこの塗料組成物を塗装した塗装物品に関する。
近年、廃棄物処理性の向上やCO放出量の削減などの、地球環境に対する影響低減の視点から、環境負荷の少ない天然物由来で生分解性を有する原料を積極的に利用することが求められている。
そのような天然物由来の代表的な材料として、多糖類である澱粉、あるいはアセチル化澱粉などの変性澱粉は、従来、食品工業、製紙工業で用いられてきたが、近年は生分解性プラスチックの原料としてそれらの澱粉を用いて、食品容器、包装材、緩衝材シート、農業用フィルム、使い捨てオムツなどの幅広い分野で製品化されてきている。
澱粉を工業製品原料として利用するために、澱粉の改質とともに、化工澱粉に関する様々な改良が積み重ねられてきた。澱粉の基本構造はα−D−グルコースが1,4−結合により直鎖状に連結したアミロースと分枝構造を有するアミロペクチンの混合物であり、構造中に水酸基を持つことを利用したエステル化、エーテル化等の変性が1960年代になされた。
また、澱粉等の多糖類またはその誘導体の水酸基の少なくとも一部がイソシアネート化合物との反応によってウレタン化されていることを特徴とする多糖類ウレタン化物(特許文献1参照)が提案されており、(i)でんぷん又はその変性体、(ii)糖みつ、(iii)多糖類系農産廃棄物及び(iV)植物油の水酸基含有変性体の中から選ばれる少なくとも一種の植物成分由来のセグメントを含有する生分解性ポリウレタン(特許文献2参照)が提案されている。
一方、澱粉等の多糖類にアクリル樹脂をグラフトすることが開示されており、例えば特許文献3等には、澱粉等の多糖類に不飽和モノマーをラジカルグラフト重合させることが提案されている。
これらの先行特許からも明らかなように、種々のポリマーを組み合わせ、結合させ、もしくはグラフトさせた澱粉系樹脂自体は公知の技術である。しかし、これらの技術では何れも澱粉系樹脂の用途として構造材料、射出成型材料、シート等が想定されており、塗料としての用途は開示されていない。
澱粉系樹脂を用いた塗料に関しては、澱粉系樹脂と澱粉分子中に含まれる少なくとも1個の水酸基と相補的に反応する官能基を有する硬化剤との混合物からなる硬化剤澱粉組成物を反応硬化型塗料として用いることが開示されている(特許文献4参照)。
また、変性澱粉および重合性不飽和モノマーの共重合体を構成成分として含有する平均粒子径が1000nm以下の水分散体、およびそれを含む水性塗料組成物を反応硬化型塗料として用いることが開示されている(特許文献5参照)。
しかし、これらの従来の澱粉系塗料技術は反応硬化型塗料に関するものであり、貯蔵安
定性に優れ、かつ、乾燥性、仕上り性、鉛筆硬度、耐擦り傷性、付着性、耐アルカリ性、耐溶剤性及び耐候性に優れた塗膜を形成できる一液ラッカー型の澱粉系塗料はこれまで存在しなかった。
特開平5−43649号公報 特開平5−186556号公報 特開昭54−120698号公報 特開2004−224887号公報 特開2006−52338号公報
本発明の目的は、天然物由来で生分解性を有した澱粉を利用し、一液型塗料として貯蔵安定性に優れ、しかも乾燥性、仕上り性、鉛筆硬度、耐擦り傷性、付着性、耐アルカリ性、耐溶剤性及び耐候性に優れた塗膜を形成できる澱粉系の塗料組成物、およびこの澱粉系塗料組成物を塗装した塗装物品を提供することにある。
本発明者らは、上記した従来技術の問題点を解消するために鋭意検討した結果、特定組成の樹脂組成物を使用することによりかかる課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、次の事項からなる。
1、 澱粉及び/又は変性澱粉(a)、芳香族系重合性不飽和モノマーを40〜95質量%含有する重合性モノマー混合物を共重合して得られる水酸基価10〜170mgKOH/gの水酸基含有アクリル樹脂(b)、並びにポリイソシアネート化合物(c)を反応させて得られる樹脂組成物(A)を含有することを特徴とする塗料組成物。
2、前記樹脂組成物(A)が、水酸基含有アクリル樹脂(b)及びポリイソシアネート化合物(c)を反応させて得られるイソシアネート基含有アクリル樹脂に澱粉及び/又は変性澱粉(a)を反応させたものである上記1に記載の塗料組成物。
3、前記(a)成分がエステル化澱粉を(a)成分中30質量%以上含有するものである上記1または2に記載の塗料組成物。
4、 塗料組成物が、有機溶剤系溶媒に溶解もしくは分散されているものである上記1〜3のいずれか1項に記載の塗料組成物。
5、さらに生分解性樹脂(B)を含有するものである上記1〜4のいずれか1項に記載の塗料組成物。
6、上記1〜5のいずれか1項に記載の塗料組成物が塗装された塗装物品。
本発明の塗料組成物は、貯蔵安定性に優れ、さらに乾燥性、仕上り性、鉛筆硬度、耐擦り傷性、付着性、耐アルカリ性、耐溶剤性及び耐候性に優れた塗膜を形成できる。この澱粉系の塗料組成物は、1液型であり、そのため作業性(ポットライフを気にすることがない)に優れる。また、石油資源由来の硬化剤が不要であるため、最終塗料中の天然物由来成分含有率を上げることができ、製品のライフサイクルに関わる総CO排出量が少なく、環境汚染を低減できる。
さらに、本発明の塗料組成物は、天然物由来の高分子材料である澱粉を利用するので安定供給が可能であり、塗料のほかに、成型剤、インク、接着剤等の分野において幅広く適用することができる。
以下に、本発明の好ましい形態について詳しく説明するが、本発明はこれらの形態のみに限定されるものではない。
本発明の塗料組成物は、澱粉及び/又は変性澱粉(a)、水酸基含有アクリル樹脂(b)、並びにポリイソシアネート化合物(c)を反応させて得られる樹脂組成物(A)を含有してなるものである。
澱粉及び/又は変性澱粉(a):
本発明に有用な澱粉としては、コーンスターチ、ハイアミローススターチ、小麦澱粉、
米澱粉などの地上茎未変性澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉などの地下茎未変性澱粉、及びそれらの澱粉のエステル化、エーテル化、酸化、酸処理化、デキストリン化された澱粉置換誘導体などが挙げられる。これらのものは、単独又は複数併用して使用できる。
本発明に有用な変性澱粉は、澱粉または澱粉分解物に、脂肪族飽和炭化水素基、脂肪族不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基などをエステル結合及び/又はエーテル結合を介して結合させてなる変性澱粉が包含される。ここで、澱粉分解物としては、澱粉に酵素、酸または酸化剤で低分子量化処理を施したものが挙げられる。
澱粉または澱粉分解物としては、数平均分子量が1,000〜2,000,000、特に3,000〜500,000、さらに特に5,000〜100,000の範囲内にあることが、造膜性などの点から好ましい。
なお本明細書において、数平均分子量は、JIS K0124-83に準じて、分離カラムにTSK GEL4000HXL+G3000HXL+G2500HXL+G2000HXL(東ソー株式会社製)を用い、40℃で流速1.0ml/分の条件下に、溶離液にGPC用テトラヒドロフランを用いて、RI屈折計で得られたクロマトグラムとポリスチレン換算の検量線から計算により求めたものをいう。
澱粉の変性方法としては、例えば、エステル化変性が挙げられ、好ましい変性基としては炭素数2〜18のアシル基が挙げられる。変性は炭素数2〜18の有機酸を単独でまたは2種以上組み合わせて用いることにより行うことができる。
変性澱粉の変性程度は、置換度で0.5〜2.8の範囲内が好ましく、特に1.0〜2.5の範囲内が好ましい。置換度が0.5未満では、後述のラジカル重合性不飽和モノマーとの相溶性が不十分となり、形成塗膜の仕上り性等が不十分になることがある。他方、置換度が2.8を超えると、生分解性が低下することがある。
また、変性澱粉は、澱粉の分解温度(約350℃)以下にガラス転移点を有し、熱可塑性を有し且つ生分解性も有しているように変性の程度を調節することが望ましく、したがって、変性に使用する置換基の炭素数が多い場合には、低変性レベル、例えば、置換基が炭素数18のステアリル基である場合には、エステル置換度が0.1〜1.8の範囲内となるようにすることが好ましく、また置換基の炭素数が少ない場合には、高変性レベル、例えば、置換基が炭素数2のアセチル基である場合には、エステル置換度が1.5〜2.8の範囲内となるようにすることが好ましい。
なお、置換度は、澱粉を構成する単糖単位1個あたりの変性剤により置換された水酸基の平均個数であり、例えば、置換度3は澱粉を構成する単糖単位1個中に存在する3個の水酸基が全て変性剤により置換されたことを意味し、置換度1は澱粉を構成する単糖単位1個中に存在する3個の水酸基のうちの1個だけが変性剤により置換されていることを意味する。
変性澱粉の例としては、50%以上のアミロース含量をもつ無水の澱粉を非プロトン性溶媒中でエステル化試薬と混合して澱粉とエステル化試薬の間で反応させることにより得られる疎水性の生物分解性澱粉エステル生成物(特表平8−502552号公報参照)、ビニルエステルをエステル化試薬として用いて変性された澱粉エステルであって、該ビニルエステルとしてエステル基の炭素数が2〜18のものを用い、非水有機溶媒中でエステル化触媒を使用して澱粉と反応させて得られる澱粉エステル(特開平8−188601号公報参照)、エステル化と共にポリビニルエステルのグラフト化がなされている澱粉(特開平8−239402号公報及び特開平8−301994号公報参照)、ポリエステルグラフト鎖を澱粉分子上に有し、該グラフト鎖末端及び澱粉直結の水酸基の一部又は全てがエステル基により封鎖されているポリエステルグラフト重合澱粉と、該ポリエステルグラフト鎖と同一構成成分を有し、末端水酸基の一部または全てがエステル基により封鎖されている独立ポリエステルとが均一混合されてなるポリエステルグラフト重合澱粉アロイ(特開平9−31308号公報参照)等を挙げることができる。
さらには、同一澱粉分子の反応性水酸基の水素を、炭素数2〜4の短鎖アシル基及び炭素数6〜18の長鎖アシル基で置換した短鎖−長鎖混合澱粉エステル(特開2000−159801号公報参照)、同一澱粉分子の反応性水酸基を、炭素数2〜4の短鎖炭化水素含有基及び炭素数6〜24の長鎖炭化水素含有基で置換した短鎖−長鎖混合澱粉置換誘導体(特開2000−159802号公報参照)等が挙げられる。これらの変性澱粉は、澱粉を母体としているため、生分解性であり、特に溶剤への溶解性や相溶性に優れる。
澱粉及び/又は変性澱粉(a)としてはエステル化澱粉を主に用いることが、得られる樹脂組成物(A)の貯蔵安定性において好ましく、エステル化澱粉の使用量としては澱粉及び/又は変性澱粉(a)中30質量%以上、好ましくは50質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
水酸基含有アクリル樹脂(b)
本発明に用いる水酸基含有アクリル樹脂(b)は、一般に、芳香族系重合性不飽和モノマー、水酸基含有重合性不飽和モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーの混合物を有機溶剤及び重合開始剤の存在下で、ラジカル重合反応させることにより得ることができる。
上記モノマー混合物としては、芳香族系重合性不飽和モノマーを40〜95質量%、好ましくは50〜90質量%の範囲内で含有させることにより、耐アルカリ性、塗膜硬度、耐擦り傷性などに優れた塗膜を形成することができる。
上記、芳香族系重合性不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、ダイセル化学(株)製の商品名「プラクセルF」シリーズ(ラクトン変性(メタ)アクリル酸エステル)などのヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー等のアクリル酸またはメタクリル酸のC〜Cヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。
この中でも、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル及びアクリル酸4−ヒドロキシブチルから選ばれる少なくとも1種を含有することが、澱粉及び/又は変性澱粉(a)との相溶性を向上させて、塗料安定性確保の為に好ましい。
その他の重合性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−,i−又はt−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−,i−又はt−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル;N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドなどのN−置換アクリルアミド系又はN−置換メタクリルアミド系モノマー;等が挙げられる。
また、重合性不飽和モノマーは、少なくともその一部として、脂肪酸変性重合性不飽和モノマーを含むこともできる。
脂肪酸変性重合性不飽和モノマーとしては、脂肪酸由来の炭化水素鎖の末端に重合性不飽和基を有する重合性不飽和モノマーが包含される。脂肪酸変性重合性不飽和モノマーとしては、例えば、脂肪酸をエポキシ基含有重合性不飽和モノマー又は水酸基含有重合性不飽和モノマーと反応させることにより得られるものを挙げることができる。
脂肪酸としては、乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸及び不乾性油脂肪酸が挙げられ、乾性油脂肪酸及び半乾性油脂肪酸としては、例えば、魚油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ケシ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、ブドウ核油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、クルミ油脂肪酸、ゴム種油脂肪酸、ハイジエン酸脂肪酸等が挙げられ、また、不乾性油脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、水添ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等が挙げられる。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。さらに、これらの脂肪酸は、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等と併用することもできる。
脂肪酸変性重合性不飽和モノマーを製造するために上記脂肪酸と反応させうるモノマーとしてはエポキシ基を含有する重合性不飽和モノマーが好適であり、例えば、グリシジルアクリレート、β−メチルグリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
水酸基含有アクリル樹脂(b)の調製は、例えば、上記した重合性不飽和モノマーの混合物を重合開始剤の存在下、有機溶剤中で、ラジカル重合反応することにより容易に行うことができ、重合性不飽和モノマーの混合物と重合開始剤の混合物を均一に滴下して、例えば、60〜200℃、好ましくは80〜180℃の反応温度にて約30分間〜6時間、好ましくは1〜5時間反応させることによって得ることができる。
上記の有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンなどの炭化水素系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンなどのケトン系;あるいはこれらの混合物等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、ジt−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウリルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物;α,α′−アゾビスイソブチロニトリル、α,α′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。
上記のようにして得られる水酸基含有アクリル樹脂(b)は、水酸基価が10〜170mgKOH/g、特に15〜130mgKOH/gであることが仕上がり性、耐アルカリ性、耐溶剤性などの点から好ましく、重量平均分子量が3,000〜100,000、特に5,000〜20,000、の範囲内であることが乾燥性、塗膜硬度、耐擦り傷性などの点から好ましい。
ポリイソシアネート化合物(c)
ポリイソシアネート化合物(c)は、イソシアネート基を1分子中に2個以上有する化合物であり、例えばイソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(フェニルイソシアネート)チオホスフェート、フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナト)メチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、3−(2'−イソシアナトシクロヘキシル)プロピルイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート等が挙げられる。この中でも、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートを用いることが、硬度、付着性、耐衝撃性の面から好ましい。
ポリイソシアネート化合物(c)の市販品の例としては「バーノックD−750、−800、DN−950、−970もしくは15−455」(以上、大日本インキ化学工業(株)製品)、「デスモジュールL、N、HL、もしくはN3390」(ドイツ国バイエル社製品)、「タケネートD−102、タケネートD−170HN、タケネートD−202、タケネートD−110もしくはタケネートD−123N」(三井化学ポリウレタン(株)製品)、「コロネートEH、L、HLもしくは203」(日本ポリウレタン工業(株)製品)又は「デュラネート24A−90CX」(旭化成ケミカルズ(株)製品)等が挙げられる。
樹脂組成物(A)
本発明に用いる樹脂組成物(A)は、上記で示した澱粉及び/又は変性澱粉(a)、水酸基含有アクリル樹脂(b)、並びにポリイソシアネート化合物(c)を反応させて得られるものである。製造安定性の点からは水酸基含有アクリル樹脂(b)とポリイソシアネート化合物(c)をアクリル樹脂(b)中の水酸基に対してポリイソシアネート化合物(c)中のイソシアネート基が過剰になるようにして先に反応させてイソシアネート基含有アクリル樹脂を製造し、その後該樹脂に澱粉及び/又は変性澱粉(a)を反応させて樹脂組成物(A)を製造することが好ましい。
アクリル樹脂(b)中の水酸基1当量に対しポリイソシアネート化合物(c)中のイソシアネート基としては0.5〜10.0当量、特に0.9〜6.0当量の範囲であることが得られる塗膜の仕上がり性、塗料の貯蔵安定性などの点から好ましい。
また、上記で示した澱粉及び/又は変性澱粉(a)、水酸基含有アクリル樹脂(b)、並びにポリイソシアネート化合物(c)の合計固形分量に基づいて澱粉及び/又は変性澱粉(a)の量としては、95〜25質量%、特に90〜40質量%の範囲内であることが樹脂の製造安定性の点から好ましい。
樹脂組成物(A)を製造する反応は、通常、有機溶剤(例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンなどの炭化水素系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンなどのケトン系溶剤;あるいはこれらの混合物等)中で混合し、適宜にモノブチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド等の触媒を加え、攪拌下に約50℃〜約200℃、好ましくは60〜150℃の温度で、30分間〜10時間、好ましくは1〜5時間付加反応させることによって得ることができる。得られた樹脂は、3,000〜2,000,000の範囲、特に5,000〜100,000の範囲の数平均分子量を有するのが、造膜性などの観点から好ましい。
なお、上記のようにして製造される樹脂組成物(A)は、有機溶剤系溶媒に溶解もしくは分散されてなる塗料用バインダーとして好適に使用できる。
生分解性樹脂(B)
本発明の塗料組成物には、他の生分解性樹脂が配合されてもよい。市場に知られている澱粉系以外の生分解性樹脂(B)の例としては、植物性繊維(セルロース樹脂)、ポリ乳酸に代表されるポリヒドロキシカルボン酸、ポリカプロラクタム、変性ポリビニルアルコールなどが挙げられる。また、ポリカプロラクトンに代表される脂肪族ポリエステルも生分解性がある。ここに挙げたもの以外にも、生分解性を持つ多くの樹脂が知られている。本発明においては、溶剤に可溶性である生分解性樹脂であれば用いることができるが、なかでもセルロース由来の樹脂が好適である。
従来、塗料工業において、ニトロセルロースおよび変性セルロースであるセルロースアセテートブチレートはラッカー用のバインダーまたは改質用添加樹脂として広く利用されてきた。本発明においても、ニトロセルロースおよび/またはセルロースアセテートブチレートを少量添加することにより、一液型ラッカー塗料として用いた時の塗膜の乾燥性が良くなり、表面硬度が高くなる。また、ポリヒドロキシカルボン酸、特にポリ乳酸も表面硬度を高める効果が認められるが、塗膜が脆くなる傾向があり、セルロース由来の樹脂のほうが塗膜性能のバランスがよく、使い易い。本発明に好適に使用することのできるニトロセルロースとしては、工業用硝化綿BNC−HIG−2(商品名、仏ベルジュラックNC社製)、工業用硝化綿RS1−4(商品名、韓国CNC社製)、スワンセルHM1−4(商品名、株式会社協鮮洋行製)、セルノバBTH1−4(商品名、旭化成ケミカルズ株式会社製)等が挙げられ、セルロースアセテートブチレートとしては、CAB381−0.1、CAB381−0.5、CAB381−2、CAB531−1、CAB551−0.01、CAB551−0.2(全て商品名、イーストマンケミカルプロダクツ社製)等が挙げられる。
これらの生分解性樹脂(B)の配合量は、主バインダーである樹脂組成物(A)と生分解性樹脂(B)の合計量に対し、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である。配合量が50質量%を超えると塗料の造膜性が不足し、仕上がり性や耐薬品性が実用域から外れることがある。
塗料組成物について
本発明の塗料組成物は、水性塗料、有機溶剤型塗料などの従来から公知の液状塗料系で用いることができる。これらのなかでも、有機溶剤型塗料として、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンなどの炭化水素系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンなどのケトン系有機溶剤を単独でもしくは2種以上組合せて希釈溶剤として使用したものは、ラッカーとして塗装のし易さ、乾燥の早さにすぐれた非常に使い易い塗料とすることができる。
本発明の塗料組成物には、着色成分として必要に応じて天然色素、有機合成色素または顔料、無機顔料および光輝材を使用することができる。
天然色素としては、具体的に、カロチノイド系では、カロチン、カロチナール、カプサンチン、リコピン、ビキシン、クロシン、カンタキサンチン、アナトーなど、フラボノイド系では、シソニン、ラファニン、エノシアニンなどのようなアントシアニジン類、サフロールイエロー、ベニバナなどのようなカルコン類、ルチン、クエルセチンなどのようなフラボノール類、カカオ色素のようなフラボン類など、フラビン系では、リボフラビンなど、キノン系では、ラッカイン酸、カルミン酸(コチニール)、ケルメス酸、アリザリンなどのようなアントラキノン類、シコニン、アルカニン、エキノクロームなどのようなナフトキノン類など、ポリフィリン系では、クロロフィル、血色素など、ジケトン系では、クルクミン(ターメリック)など、ベタシアニジン系では、ベタニンなどが挙げられる。
有機合成色素または顔料としては、厚生省令第30号で定められているものが挙げられる。例えば、赤色202号(リソールルビンBCA)、赤色203号(レーキレッドC)、赤色204号(レーキレッドCBA)、赤色205号(リソールレッド)、赤色206号(リソールレッドCA)、赤色207号(リソールレッドBA)、赤色208号(リソールレッドSR)、赤色219号(ブリリアントレーキレッドR)、赤色220号(ディープマルーン)、赤色221号(トルイジンレッド)、赤色228号(パーマトンレッド)、だいだい色203号(パーマネントオレンジ)、だいだい色204号(ベンチジンオレンジG)、黄色205(ベンチジンエローG)、赤色404号(ブリリアントファストスカーレット)、赤色405号(パーマネントレッドF5R)、だいだい色401号(ハンザオレンジ)、黄色401号(ハンザエロー)、青色404号(フタロシアニンブルー)などが挙げられる。
無機顔料としては、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸マグネシウム、重質炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、グンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、カラミンなどが挙げられる。
光輝材とは塗膜にキラキラとした光輝感または光干渉性を付与するりん片状顔料であり、例としてはりん片状のアルミニウム、蒸着アルミニウム、酸化アルミニウム、塩化オキシビスマス、雲母、酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、雲母状酸化鉄、酸化チタン被覆シリカ、酸化チタン被覆アルミナ、酸化鉄被覆シリカ、酸化鉄被覆アルミナ、ガラスフレーク、着色ガラスフレーク、蒸着ガラスフレーク、ホログラムフィルムなどが挙げられる。これらの光輝材の大きさは長手方向が1〜30μm、厚さが0.001〜1μmであるのが好ましい。
着色成分の配合割合は、使用される用途や要求される性能に応じて適宜決定すればよいが、通常、樹脂組成物(A)と所望により配合されていることのある生分解性樹脂(B)との合計固形分量100質量部当たり、着色成分の合計量として0.001〜400質量部、好ましくは0.01〜200質量部の範囲である。
さらに本発明の塗料組成物には、必要に応じて、従来から公知の表面調整剤(ワックス、ハジキ防止剤、消泡剤など)、可塑剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、流動性調整剤、垂れ止め剤、つや消し剤、艶出し剤、防腐剤等を使用することができる。
なかでもワックスの添加は、仕上がり性、耐薬品性などの向上に効果が大きいことがある。本発明では、塗料に従来から用いられているワックスを好適に使用することできる。そのようなワックスとして、例えば、ポリオール化合物と脂肪酸とのエステル化物である脂肪酸エステルワックス、シリコン系ワックス、フッ素系ワックス、ポリオレフィンワックス、動物系ワックス、植物系ワックスなどを挙げることができるが、なかでもポリエチレン系ワックス、シリコン系ワックスおよびフッ素系ワックスから選ばれる少なくとも1種のワックスが好ましい。
これらのワックスは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができ、その添加量は、バインダーである樹脂組成物(A)と所望により配合されていることのある生分解性樹脂(B)との合計固形分量100質量部に対して、0.1〜10質量部、特に0.5〜3質量部の範囲内であるのが好ましい。
また、本発明の塗料組成物は1液ラッカー型であるが、貯蔵安定性を損なわない範囲で硬化剤を含有させることも可能である。樹脂組成物(A)が水酸基を含有している場合にはアミノ樹脂や(ブロック化)ポリイソシアネート化合物を硬化剤として用いることが好ましい。その添加量は、貯蔵安定性の点から、硬化剤の種類によるが、バインダーである樹脂組成物(A)と所望により配合されていることのある生分解性樹脂(B)との合計固形分量100質量部に対して、35質量部以下、特に30質量部以下である。
なお、本発明の塗料組成物にポリイソシアネート化合物等の架橋剤を組み合わせて2液硬化型塗料として使用することも、ポットライフ等の制限はあるが、可能である。
本発明の塗装物品は、基材表面に本発明の塗料を塗装して得られる。本発明の澱粉系塗料を塗装する基材としては、特に制限なく、例えば、金属、プラスチック、ガラス、陶器、コンクリート、紙、繊維、木材、植物、岩、砂などが挙げられる。これらの基材は、必要により表面処理や下塗りが施されていてもよい。
本発明の塗料組成物は、例えば、ローラー塗装、刷毛塗装、浸漬塗装、スプレー塗装(非静電塗装、静電塗装など)、カーテンフロー塗装、スクリーン印刷、凸版印刷などにより、塗装または印刷するのに用いることができる。
塗装後の塗膜を100℃未満で1〜40分間乾燥した後、常温(50℃以下)で10時間以上放置し、あるいは常温(50℃以下)で1〜7日間放置することにより、塗膜中の溶剤(および/または水)が揮散して連続塗膜が形成される。また、必要に応じて、100〜200℃で30秒間〜120分間、好ましくは100〜120℃で2〜30分間の乾燥を行うこともできる。
塗膜の膜厚としては、特に制限されるものではないが、乾燥膜厚として、一般的には平均約1〜200μm、特に2〜100μm、とりわけ5〜50μmが好ましい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特にことわらない限り、「質量部」および「質量%」である。
製造例1:アクリル樹脂溶液の製造
温度計、サーモスタット、攪拌機、冷却管及び滴下装置を備えた反応容器にトルエン67部を仕込み、攪拌しながらトルエンの沸点まで昇温させ、還流させた状態で下記混合物を2時間かけて滴下し、滴下終了後トルエンの還流状態で1時間熟成し、固形分60%のアクリル樹脂溶液R1を得た。アクリル樹脂の水酸基価は108mgKOH/gである。
「混合物」
スチレン 60部
アクリル酸n−ブチル 15部
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 25部
2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 5部
製造例2〜8:アクリル樹脂溶液の製造
製造例1において滴下する混合物の組成を下記表1に示す配合とする以外は製造例1と同様にして製造を行い固形分60%の各アクリル樹脂溶液R2〜R8を得た。得られたアクリル樹脂の水酸基価を表1に合わせて示す。
Figure 0005563192
製造例9:変性澱粉の製造
ハイアミロースコーンスターチ(日本コーンスターチ社製、水酸基価500mgKOH/g)25部をジメチルスルホキシド(DMSO)200部に懸濁させ、攪拌しながら90℃まで昇温し、20分間その温度に保持して糊化させた。この溶液に重炭酸ナトリウム20部を触媒として添加し、90℃に維持してラウリン酸ビニル17部を添加し、その温度で1時間反応させた。次いで、さらに酢酸ビニル37部を添加し、80℃で1時間反応させた。その後、反応液を水道水中に流し込み、高速で攪拌して、粉砕を行い、濾過し、脱水乾燥して、変性澱粉を調製した。得られた変性澱粉をトルエンに溶解し、固形分30%の澱粉溶液B1を得た。
製造例10:樹脂組成物の製造
温度計、サーモスタット、攪拌機及び冷却管を備えた反応容器に酢酸ブチルを123部とアクリル樹脂溶液R1を42部仕込み、攪拌しながら100℃まで昇温した。100℃に達したところでイソホロンジイソシアネートを5部仕込み均一になるまで攪拌した後触媒としてジブチル錫ジラウレートを0.02部添加し、窒素雰囲気下で100℃の温度に保持し、下記測定方法にて残存イソシアネートの量を求め、残存イソシアネートが0.135mmol/gになるまで反応を続けた後、澱粉溶液B1を250部添加し、同温度で残存イソシアネートが0.001mmol/g以下になるまで反応させた後冷却し、固形分25%の樹脂組成物A1を得た。
※ 残存イソシアネートの測定方法:試料をジオキサンで溶解し、ジブチルアミン溶液を過剰に加えて試料中のイソシアネート基に付加させた後、残存するアミンを塩酸で逆滴定し、その使用量から残存するイソシアネート基の量を求めた。
製造例11〜17:樹脂組成物の製造
製造例10においてアクリル樹脂溶液の種類及び澱粉溶液B1添加前の残存イソシアネート量を下記表2に示すものとする以外は製造例10と同様にして製造を行い樹脂組成物A2〜A8を得た。
Figure 0005563192
実施例1:塗料組成物の製造
樹脂組成物A1を400部(固形分100部)、アルペーストFX−7640NS(東洋アルミニウム社製、アルミニウムペースト)を46部(固形分23部)、カーボンブラックを2部及びメチルエチルケトンを52部加え、攪拌機にて十分混合して固形分25%の塗料組成物T1を得た。
実施例2〜4及び比較例1〜4:塗料組成物の製造
実施例1において配合組成を下記表3に示す配合にする以外は実施例1と同様にして製造し、各実施例及び比較例の塗料組成物を得た。
比較例5:塗料組成物の製造
30%澱粉溶液B1を217部(固形分65部)、タケネートD−170HN(三井化学ポリウレタン(株)製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)を35部(固形分35部))、アルペーストFX−7640NS(東洋アルミニウム社製、アルミニウムペースト)を46部(固形分23部)、カーボンブラックを2部、ジブチル錫ラウレートを0.01部及びメチルエチルケトンを200部加え、攪拌機にて十分混合して固形分25%の塗料組成物T9を得た。
Figure 0005563192
試験塗板の作成及び評価
上記で得られた実施例及び比較例の各塗料組成物を用いて、ノリル板SE1−701(日本ジーイープラスチック社製、商品名、変性ポリフェニレンエーテル)に、乾燥膜厚が8μmとなるようにスプレー塗装した。次に、電気熱風乾燥機を用いて60℃で30分間強制乾燥し、次いで室温(20℃)で7日間乾燥を行って各試験板を得た。
得られた試験板を用い、下記の試験方法に従って試験した。結果を表4に示す。なお、比較例5の塗料組成物は、二液型の塗料であるため、貯蔵安定性の評価は行わず、試験塗板の作成直前にタケネートD−170HNを混合して塗料組成物を作成した後、スプレー塗装を行った。
Figure 0005563192
試験方法
(注1)貯蔵安定性:1リットルのガラス容器に各塗料組成物を入れて密閉し、30℃で24時間貯蔵後の状態を下記の基準で目視評価した。
○:塗料のゲル化及び相分離のいずれも認められない。
△:塗料のゲル化及び相分離の少なくとも一方が少し認められる。
×:塗料のゲル化及び相分離の少なくとも一方が著しい。
(注2)乾燥性:塗料をノリル板SE1−701(商品名、日本ジーイープラスチック社製、変性ポリフェニレンエーテル)に、乾燥膜厚が8μmとなるようにスプレー塗装し、電気熱風乾燥機を用いて60℃で30分間強制乾燥した直後に、塗板を室温まで冷やし、表面の指触乾燥性を下記の基準で評価した。
◎:塗膜は硬くすべすべしており、爪で押しても痕はつかない。
○:塗膜は弾力があるが、爪で押しても痕はつかない。
△:塗膜は弾力があり、爪で押すと痕がつく。
×:塗膜に粘着感があり、爪で押すと痕がつき、指の腹で押すと指紋痕がつく。
(注3)仕上り性:各試験板の塗面外観を下記の基準で目視評価した。
○:うねり、ツヤビケ、チリ肌等の異常が全く認められない。
△:うねり、ツヤビケ及びチリ肌の少なくとも1種が少し認められる。
×:うねり、ツヤビケ及びチリ肌の少なくとも1種が著しく認められる。
(注4)鉛筆硬度:JIS K 5600−5−4(1999)に準じて、試験塗板面に対し約45°の角度に鉛筆の芯を当て、芯が折れない程度に強く試験塗板面に押し付けながら前方に均一な速さで約10mm動かした。この操作を試験箇所を変えて5回繰り返して塗膜が破れなかった場合のもっとも硬い鉛筆の硬度記号を鉛筆硬度とした。
(注5)耐擦り傷性:市販の名刺を塗膜に押し当てて20往復こすった後、どの程度傷がつくかを下記の基準で評価した。
◎:全く傷が認められない。
○:傷はごくわずかに認められるが実用の範囲。
△:傷が少し認められる。
×:傷が著しく認められる。
(注6)付着性:JIS K 5600−5−6(1990)に準じて塗膜に1mm×1mmのゴバン目100個を作り、その表面に粘着テープを貼着し、急激に剥した後に、塗面に残ったゴバン目塗膜の数を下記の基準で評価した。
◎:残存個数/全体個数=100個/100個。
○:残存個数/全体個数=99個/100個。
△:残存個数/全体個数=90個〜98個/100個。
×:残存個数/全体個数=89個以下/100個。
(注7)耐アルカリ性:試験板の塗膜表面に、1%水酸化ナトリウム水溶液を0.5mL滴下して、温度20℃、相対湿度65%の雰囲気下に24時間放置した後に、塗面をガーゼで拭き取り外観を下記の基準で目視評価した。
○:塗膜表面に異常が全く認められない。
△:塗膜表面の変色(白化)が少し認められる。
×:塗膜表面の変色(白化)が著しい。
(注8)耐溶剤性:各試験塗板上にろ紙を2枚並べて置き、各ろ紙上にスポイトで78%エタノールと2%ホルマリンをそれぞれ滴下し、ろ紙を湿らした。このスポイトによる滴下を1時間間隔で5回行い、その後2時間経過後にろ紙を除いた塗膜表面を下記の基準で目視評価した。
◎:フクレやハガレなどの異常が全く認められない。
○:フクレやハガレなどの異常がごくわずかに認められるが実用の範囲。
△:フクレやハガレなどの異常が少し認められる。
×:塗膜が溶解する。
(注9)耐候性:各塗膜の光沢を、JIS H 8602 5.12(1992)に準拠(水スプレー時間12分間、ブラックパネル温度60℃)し、カーボンアーク灯式促進耐候性試験機サンシャインウェザオメーターを使用して測定して、暴露試験前の光沢に対する光沢保持率が80%を割る時間を測定し下記の基準で評価した。
◎:300時間以上。
○:200時間以上、かつ300時間未満。
△:100時間以上、かつ200時間未満。
×:100時間未満。

Claims (5)

  1. 澱粉及び/又は変性澱粉(a)、芳香族系重合性不飽和モノマーを40〜95質量%含有する重合性モノマー混合物を共重合して得られる水酸基価10〜170mgKOH/gの水酸基含有アクリル樹脂(b)、並びにポリイソシアネート化合物(c)を残存イソシアネートが0.001mmol/g以下になるまで反応させて得られる樹脂組成物(A)を含有し、かつ、前記樹脂組成物(A)が水酸基含有アクリル樹脂(b)及びポリイソシアネート化合物(c)を反応させて得られるイソシアネート基含有アクリル樹脂に澱粉及び/又は変性澱粉(a)を反応させてなるものであることを特徴とする一液型塗料組成物。
  2. 前記(a)成分がエステル化澱粉を(a)成分中30質量%以上含有するものである請求項に記載の塗料組成物。
  3. 塗料組成物が、有機溶剤系溶媒に溶解もしくは分散されているものである請求項1又は2に記載の塗料組成物。
  4. さらに生分解性樹脂(B)を含有するものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗料組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗料組成物が塗装された塗装物品。
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