JP5030926B2 - 複層塗膜形成方法及び複層塗膜並びに塗装物品 - Google Patents

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Description

本発明は、植物由来の澱粉を利用した澱粉系着色ベース塗料による塗膜を形成し、該塗膜上に、特定の澱粉系樹脂を含有してなる光硬化性塗料による塗膜を形成し、そして光硬化させることによる積層塗膜形成方法に関する。本発明はまた、複層塗膜及び当該複層塗膜を含む塗装物品に関する。
近年、地球温暖化に対する影響低減の視点から、世界的レベルでCO2排出量の削減が求められており、再生可能な資源であって、地球上の炭酸ガス循環においてCO2の放出量を増大させない植物由来原料を積極的に利用することが求められている。
そのような植物由来の代表的な材料として、多糖類である澱粉、あるいはアセチル化澱粉などの変性澱粉が、従来、食品工業、製紙工業で用いられてきたが、近年はそれらの澱粉がプラスチックの原料に用いられ、食品容器、包装材、緩衝材シート、農業用フィルム、使い捨てオムツなどの幅広い分野で製品化されてきている。
澱粉を工業製品原料として利用するために、澱粉の改質とともに、加工澱粉に関する様々な改良が積み重ねられてきた。澱粉の基本構造は、α−D−グルコースが1,4−結合により直鎖状に連結したアミロースと分枝構造を有するアミロペクチンとの混合物であり、構造中に水酸基を持つことを利用して、エステル化、エーテル化等による変性が1960年代になされてきた。
特許文献1〜4には、澱粉樹脂及びアクリル樹脂を、ポリイソシアネートを介して間接的にグラフトさせて、澱粉又は変性澱粉に不飽和モノマーをラジカルグラフト重合させたグラフト澱粉を直接製造する方法が開示されている。
特許文献5〜7には、澱粉及び他の植物由来の樹脂を組合せた例として、澱粉又は変性澱粉及びセルロース誘導体を組合せたポリマーブレンドを成型材料として用いる発明が開示されている。特許文献5〜7にはまた、澱粉へのアクリル酸及び光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂のグラフト重合体などの樹脂組成物を有効成分として用いた接着剤が開示されている。
これらの先行特許からも明らかなように、種々のポリマーを組み合わせた、結合させた、又はグラフトさせた澱粉系樹脂自体は公知である。しかし、これらの先行特許では何れも澱粉系樹脂の用途として、接着剤、構造材料、射出成型材料、シート等が想定されており、塗料としての用途は開示されていない。
また、澱粉系樹脂を用いた塗料に関しては、特許文献8に、澱粉系樹脂と、澱粉分子中に含まれる少なくとも1個の水酸基と相補的に反応する官能基を有する硬化剤との混合物からなる硬化剤澱粉組成物を含有する反応硬化型塗料が開示されており、酸化重合硬化型、常温硬化型、活性エネルギー線硬化型などの硬化型のタイプが可能であることも示唆されている。
また、特許文献9には、澱粉、ポリイソシアネート硬化剤、澱粉を除く植物由来の樹脂、金属錯体及びβ−ジケトン類、アセト酢酸エステル類、マロン酸エステル類、β位に水酸基を持つケトン類、β位に水酸基を持つアルデヒド類及びβ位に水酸基を持つエステル類から選ばれるブロック剤を含有してなる硬化型澱粉組成物が開示されている。
しかし、これらの澱粉系塗料に関して、仕上り性、鉛筆硬度、耐擦り傷性、付着性、耐アルカリ性及び耐溶剤性に優れた複層塗膜形成方法及び複層塗膜は知られていない。
特開昭54−120698号公報 特開昭55−90518号公報 特開昭56−167746号公報 特開平8−239402号公報 特開平6−207047号公報 特開平8−231762号公報 特開2002−167520号公報 特開2004−224887号公報 特開2006−282960号公報
本発明の目的は、植物由来の澱粉系塗料を使用し、かつ仕上り性、鉛筆硬度、耐擦り傷性、付着性、耐アルカリ性、耐溶剤性に優れた複層塗膜を形成することができる塗膜形成方法及びこれらに優れた複層塗膜を提供することである。
本発明者らは、上記従来技術の問題点を解消するために鋭意検討した結果、植物由来の澱粉系着色ベース塗料を被塗物上に塗装して、澱粉系着色ベース塗料からなる塗膜を形成させるステップ;上記塗膜上に、光硬化性化合物及び/又は光硬化性樹脂(a1)と、光重合開始剤(a2)と、澱粉系樹脂(a3)とを含有する光硬化性塗料(A)を塗装して、光硬化性塗料(A)からなる塗膜を形成させるステップ;そして光硬化性塗料(A)からなる塗膜に光を照射して、当該塗膜を硬化させるステップ:を含む複層塗膜形成方法によって、かかる課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の複層塗膜形成方法により、製品のライフサイクルに関わる総二酸化炭素の排出量が少ないために環境負荷が小さく、そして仕上り性、鉛筆硬度、耐擦り傷性、付着性、耐アルカリ性及び耐溶剤性に優れた複層塗膜を形成することができる。
さらに、本発明の複層塗膜及び塗装物品、例えば、プラスチック製部品は、製品のライフサイクルに関わる総二酸化炭素の排出量が少ないために環境負荷が小さく、そして仕上り性、鉛筆硬度、耐擦り傷性、付着性、耐アルカリ性及び耐溶剤性に優れる。
本発明は、被塗物、例えば、プラスチック製部品上に、澱粉系着色ベース塗料を塗装して塗膜を形成し、特定の澱粉系樹脂を含有する光硬化性塗料(A)を塗装して塗膜を形成し、そして光硬化させることを含む複層塗膜形成方法である。特に、本発明の複層塗膜形成方法による複層塗膜を有する塗装物品は、特に、プラスチック製品として有用である。以下、詳細に説明する。
[光硬化性塗料(A)]
本発明の複層塗膜形成方法に用いる光硬化性塗料(A)は、光硬化性化合物及び/又は光硬化性樹脂(a1)と、光重合性開始剤(a2)と、澱粉系樹脂(a3)とを含有する塗料である。
光硬化性化合物及び/又は光硬化性樹脂(a1):
光硬化性化合物及び/又は光硬化性樹脂(a1)は、ラジカル重合性不飽和モノマー、ラジカル重合性不飽和基含有樹脂、並びにラジカル重合性不飽和基及び熱硬化性官能基含有樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物及び/又は樹脂であることが好ましい。ラジカル重合性不飽和モノマーとしては、例えば、2官能重合性モノマー、3官能以上の重合性モノマー、1官能重合性モノマーが挙げられる。
2官能重合性モノマーとして、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシ1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパン、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられる。また、2官能重合性モノマーとして、「カヤラッドHX−220」、「カヤラッド620」、「カヤラッドR−604」、「MANDA」等の商品名で以上日本化薬(株)から市販されているモノマーも使用できる。
ここで、(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
3官能以上の重合性モノマーとして、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
併用できる1官能重合性モノマーとしては、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキセニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドブチルエーテル、アクリロイルモルホリン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
ラジカル重合性不飽和基含有樹脂とは、1分子中にラジカル重合性不飽和基を2個以上有する樹脂であり、例えば、不飽和アクリル樹脂、不飽和ウレタン樹脂、不飽和エポキシ樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート、不飽和シリコーン樹脂、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどが挙げられ、これらから選ばれた一種又は二種以上を使用することができる。
上記ラジカル重合性不飽和基及び熱硬化性官能基含有樹脂は、1分子中にラジカル重合性不飽和基と熱硬化性官能基とを各1個以上有する樹脂である。塗膜の硬化性の観点から、該不飽和基及び該官能基を複数個有することが好ましい。熱硬化官能基としては、水酸基、酸基、エポキシ基、イソシアネート基等の官能基を使用することができる。該酸基としては、カルボキシル基、リン酸基等を挙げることができる。
上記ラジカル重合性不飽和基及び熱硬化性官能基含有樹脂の具体例としては、例えば、ラジカル重合性不飽和基及びエポキシ基含有アクリル樹脂、ラジカル重合性不飽和基及びイソシアネート基含有アクリル樹脂、ラジカル重合性不飽和基含有ポリエステル樹脂、ラジカル重合性不飽和基含有エポキシ基含有クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、光硬化性化合物及び/又は光硬化性樹脂(a1)が熱硬化性官能基を有する場合には、例えば、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、エポキシ基含有化合物等を併用することができる。上記アミノ樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂などを用いることができる。
光重合開始剤(a2):
光重合開始剤(a2)は、光硬化性化合物及び/又は光硬化性樹脂(a1)が有するラジカル重合性不飽和基をラジカル重合させて、光硬化性塗料(A)を硬化させる化合物である。光重合開始剤(a2)の具体例としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシフォスフィンオキサイド、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ヒドロキシベンゾフェノン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロ)−S−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジンなどが挙げられる。これらの光重合性開始剤(a2)は、単独で又は2種類以上を組合せて使用できる。該光重合性開始剤(a2)の含有量は、光硬化性化合物及び/又は光硬化性樹脂(a1)100質量部に際して、0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜5質量部の範囲内である。
光重合性開始剤(a2)には、光重合反応を促進させるために光増感促進剤を併用してもよい。併用し得る光増感促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、ミヒラーケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の3級アミン系、トリフェニルホスフィン等のアルキルフォスフィン系、β−チオジグリコール等のチオエーテル系などが挙げられる。これらの光増感促進剤は、光硬化性化合物及び/又は光硬化性樹脂(a1)100質量部に際して、0.1〜5質量部の範囲が好ましい。
澱粉系樹脂(a3):
光硬化性塗料(A)に用いる澱粉系樹脂(a3)には、原則として不飽和基は含まれない。澱粉系樹脂(a3)としては、後述の澱粉系樹脂(1)、澱粉系樹脂(2)及び澱粉系樹脂(3)から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。上記、澱粉系樹脂(a3)の配合割合としては、光硬化性化合物及び/又は光硬化性樹脂(a1)100質量部に対して、1〜200質量部、好ましくは5〜180質量部の範囲内である。
澱粉系樹脂(1)
澱粉系樹脂(1)は、変性澱粉(a30)と、後述のイソシアネート基を有する生成物(I)とを反応させて得られた樹脂である。
変性澱粉(a30)
出発物質である澱粉としては、例えば、コーンスターチ、ハイアミローススターチ、小麦澱粉、米澱粉などの地上茎未変性澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉などの地下茎未変性澱粉、デキストリン、及びそれらの分解物が挙げられる。
ここで、澱粉分解物としては、例えば、澱粉に酵素、酸又は酸化剤で低分子量化処理を施したものが挙げられる。澱粉分解物としては、数平均分子量が1,000〜2,000,000、特に3,000〜500,000、さらに好ましくは3,000〜200,000の範囲内にあることが、造膜性などの点から好ましい。
変性澱粉(a30)とは、澱粉又は澱粉分解物に、脂肪族飽和炭化水素基、脂肪族不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基などの有機官能基を、エステル結合及び/又はエーテル結合を介して結合させた変性澱粉(a30)である。なお変性澱粉(a30)は、単独又は複数併用して使用できる。
なお本明細書において、数平均分子量又は重量平均分子量は、JIS K 0124−83に記載の方法に準じ、分離カラムとして「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G3000HXL」、「TSKgel G2500HXL」及び「TSKgel G2000HXL」(いずれも東ソー株式会社製、商品名)の4本を用い且つ溶離液としてGPC用テトラヒドロフランを用いて、温度40℃及び流速1.0mL/分において、RI屈折計で得られたクロマトグラムと標準ポリスチレンの検量線とから求めたものである。
なお、変性澱粉の変性方法としては、例えば、エステル化変性が挙げられ、好ましい変性基としては炭素数2〜18のアシル基が挙げられる。変性は炭素数2〜18の有機酸を単独で又は2種以上組み合わせて用いることにより行うことができる。変性澱粉の変性程度は、置換度で0.5〜2.8の範囲内が好ましく、特に1.0〜2.5の範囲内が好ましい。
ここで、置換度は、澱粉を構成する単糖単位あたりの変性剤により置換された水酸基の平均個数であり、例えば、置換度3は、澱粉を構成する単糖単位に存在する3個の水酸基が全て変性剤により置換されたことを意味し、置換度1は澱粉を構成する単糖単位中に存在する3個の水酸基のうちの1個だけが変性剤により置換されていることを意味する。置換度が0.5未満では、後述のラジカル重合性不飽和モノマーとの相溶性が不十分となり、形成塗膜の仕上り性等が不十分になることがある。他方、置換度が2.8を超えると、仕上り性が低下することがある。
また、変性澱粉は、澱粉の分解温度(約350℃)以下にガラス転移点を有し、熱可塑性を有し且つ仕上り性も有しているように変性の程度を調節することが望ましく、したがって、変性に使用する置換基の炭素数が多い場合、例えば、置換基が炭素数18のステアリル基である場合には、低変性レベル、例えば、エステル置換度が0.1〜1.8の範囲内となるようにすることが好ましく、また置換基の炭素数が少ない場合には置換基が炭素数2のアセチル基である場合には、高変性レベル、例えば、エステル置換度が1.5〜2.8の範囲内となるようにすることが好ましい。
変性澱粉の例としては、50%以上のアミロース含量をもつ無水の澱粉を非プロトン性溶媒中でエステル化試薬と混合して澱粉とエステル化試薬の間で反応させることにより得られる疎水性の生物分解性澱粉エステル生成物(特表平8−502552号公報参照)、ビニルエステルをエステル化試薬として用いて変性された澱粉エステルであって、該ビニルエステルとしてエステル基の炭素数が2〜18のものを用い、非水有機溶媒中でエステル化触媒を使用して澱粉と反応させて得られた澱粉エステル(特開平8−188601号公報参照)、エステル化と共にポリビニルエステルのグラフト化がなされている澱粉(特開平8−239402号公報及び特開平8−301994号公報参照)、ポリエステルグラフト鎖を澱粉分子上に有し、該グラフト鎖末端及び澱粉直結の水酸基の一部又は全てがエステル基により封鎖されているポリエステルグラフト重合澱粉と、該ポリエステルグラフト鎖と同一構成成分を有し、末端水酸基の一部又は全てがエステル基により封鎖されている独立ポリエステルとが均一混合されているポリエステルグラフト重合澱粉アロイ(特開平9−31308号公報参照)等を挙げることができる。
さらには、同一澱粉分子の反応性水酸基の水素を、炭素数2〜4の短鎖アシル基及び炭素数6〜18の長鎖アシル基で置換した短鎖−長鎖混合澱粉エステル(特開2000−159801号公報参照)、同一澱粉分子の反応性水酸基を、炭素数2〜4の短鎖炭化水素含有基及び炭素数6〜24の長鎖炭化水素含有基で置換した短鎖−長鎖混合澱粉置換誘導体(特開2000−159802号公報参照)等が挙げられる。これらの変性澱粉は、溶剤の溶解性や相溶性に優れている。
イソシアネート基を有する生成物(I)
イソシアネート基を有する生成物(I)は、ポリイソシアネート化合物(a31)と、多価アルコール(a32)とを反応させて得ることができる。
ポリイソシアネート化合物(a31)は、例えば、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(フェニルイソシアネート)チオホスフェート、フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナト)メチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、3−(2’−イソシアナトシクロヘキシル)プロピルイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート等が挙げられる。この中でも、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートを用いることが、硬度、付着性、耐衝撃性の面から好ましい。
ポリイソシアネート化合物(a31)の市販品の例としては「バーノックD−750、−800、DN−950、−970又は15−455」(以上、大日本インキ化学工業(株)製品)、「デスモジュールL、N、HL又はN3390」(ドイツ、バイエル社製品)、「タケネートD−102、タケネートD−170HN、タケネートD−202、タケネートD−110又はタケネートD−123N」(武田薬品工業(株)製品)、「コロネートEH、L、HL又は203」(日本ポリウレタン工業(株)製品)又は「デュラネート24A−90CX」(旭化成工業(株)製品)等が挙げられる。
上記多価アルコール(a32)としては、具体的には、アルキレンジオール、3価以上のアルキレンポリオール、エーテルポリオール及びポリエステルポリオール、アクリルポリオール及びその他のポリオールを挙げることができる。
アルキレンジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメチロール、メチルペンタンジオール、水素化ビスフェノールAなどのジオール類;が挙げられる。
3価以上のアルキレンポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどのトリオール類;ペンタエリスリトール、α−メチルグリコシド、ソルビトール等の4価以上のアルキレンポリオール類が挙げられる。
エーテルポリオールとしては、例えば、アルキレンオキサイド(具体的には、エチレンオキサイド、ジエチレングリコール、プロピレンオキサイド、ジプロピレングリコール、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフランなど)の開環付加反応によって製造される、ポリチエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)グリコール、ビスフェノールAポリエチレングリコールエーテル、ビスフェノールAポリプロピレングリコールエーテル、シュークロース、ジペンタエリスリトールなどのヘキソール類;等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、有機ジカルボン酸又はその無水物と有機ジオール成分との、有機ジオール過剰の条件下での重縮合反応によって得られるものが挙げられる。具体的には、アジピン酸とエチレングリコールとの縮合物、アジピン酸とネオペンチルグリコールとの縮合物であるポリエステルポリオール;が挙げられる。
ここで使用される有機ジカルボン酸としては、炭素数が2〜44、特に4〜36の脂肪族系、脂環式又は芳香族系ジカルボン酸、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、ヘキサクロロヘプタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラクロロフタル酸などが挙げられる。また、これらジカルボン酸に加えて、3個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸の無水物や不飽和脂肪酸の付加物などを少量併用することができる。また、有機ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレングリコールや、ジメチロールシクロヘキサン、ブチルエチルペンチルグリコール、メチルペンタンジオールなどが挙げられ、これらは場合により、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3価以上ポリオールを少量併用してもよい。
多価アルコール(a32)のうち、特に、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、水素化ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)グリコール、ビスフェノールAエチレングリコールエーテル、ビスフェノールAポリプロピレングリコールエーテルよりなる群から選ばれるものが、耐衝撃性及び耐屈曲性のために好適である。
ポリイソシアネート化合物(a31)及び多価アルコール(a32)の反応は、有機溶剤(例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンなどの炭化水素系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンなどのケトン系;あるいはこれらの混合物等)中で行うことが好ましい。ポリイソシアネート化合物(a31)及び多価アルコール(a32)の反応割合としては、ポリイソシアネート化合物(a31)に基づくNCO基のモル数に対する、多価アルコール(a32)に基づくOH基のモル数が、NCO基/OH基=1/0.4〜1/0.95、好ましくは1/0.5〜1/0.9で、フリーのイソシアネートを残存させるように、ポリイソシアネート化合物(a31)及び多価アルコール(a32)を混合し、適宜に、例えば、モノブチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド等の触媒を加え、攪拌下にて、約50℃〜約200℃、好ましくは60〜150℃程度の温度で、30分間〜10時間、好ましくは1〜5時間程度反応させることによって、イソシアネート基を有する生成物(I)溶液を製造できる。得られたイソシアネート基を有する生成物(I)のNCO価としては、5〜250mgNCO/g、特に7〜200mgNCO/gの範囲であるのが好ましい。
ここで、変性澱粉(a30)とイソシアネート基を有する生成物(I)との配合割合を、要求される塗膜性能に応じて適宜調整することができる。好ましくは、澱粉及び/又は変性澱粉(a30)とイソシアネート基を有する生成物(I)との合計固形分質量を基準にして、変性澱粉(a30)を50〜99質量%、好ましくは60〜98質量%、及びイソシアネート基を有する生成物(I)を1〜50質量%、好ましくは2〜40質量%の範囲の量で、有機溶剤、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンなどの炭化水素系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンなどのケトン系溶剤;あるいはこれらの混合物等内で混合し、適宜にモノブチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド等の触媒を加え、攪拌下に約50℃〜200℃、より好ましくは60〜150℃の温度で、30分間〜10時間、より好ましくは1〜5時間程度、付加反応させることによって澱粉系樹脂(1)を得ることができる。
ここで、変性澱粉(a30)とイソシアネート基を有する生成物(I)との配合割合は、上記範囲中であることが、仕上り性、鉛筆硬度、耐擦り傷性、付着性、耐アルカリ性及び耐溶剤性においてバランスのとれた塗膜を得るためにも好ましい。
得られた澱粉系樹脂(1)の数平均分子量は、3,000〜200,000の範囲が好ましい。このようにして製造された樹脂組成物を、有機溶剤系溶媒に溶解又は分散させて、澱粉系塗料のバインダーとして好適に使用することができる。
澱粉系樹脂(2)
澱粉系樹脂(2)は、変性澱粉(a30)、イソシアネート基を有する生成物(I)、及びビニル共重合体樹脂(a33)を反応させて得られた樹脂である。
変性澱粉(a30)及びイソシアネート基を有する生成物(I)は、「澱粉系樹脂(1)」の項で説明したとおりである。ビニル共重合体樹脂(a33)は、ラジカル重合性不飽和モノマーの混合物を、有機溶剤及び重合開始剤の存在下でラジカル重合反応させて得ることができる。
上記ラジカル重合性不飽和モノマーの混合物としては、該混合物の合計質量に対して、芳香族系ラジカル重合性不飽和モノマー1〜90質量%、好ましくは5〜80質量%、さらに好ましくは10〜85質量%、水酸基含有ラジカル重合性不飽和モノマー1〜50質量%、好ましくは2〜40質量%、さらに好ましくは5〜30質量%及びその他のラジカル重合性不飽和モノマー0〜98質量%、好ましくは2〜95質量%、さらに好ましくは5〜90質量%からなるラジカル重合性不飽和モノマーの混合物であることが、仕上り性、付着性、耐擦り傷性、耐溶剤性及び耐候性に優れた複層塗膜を形成するために好ましい。
芳香族系ラジカル重合性不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
水酸基含有ラジカル重合性不飽和モノマーとしては、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの、アルキル基の炭素数が2〜8の、アクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルラクトン変性物(ダイセル化学株式会社製、商品名「プラクセルF」シリーズ)などが挙げられる。なかでも、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル及びアクリル酸4−ヒドロキシブチルから選ばれる少なくとも1種を含有することが、変性澱粉(a30)やイソシアネート基を有する生成物(I)との相溶性を向上させて、塗料安定性を確保する観点から、特に好ましい。
その他のラジカル重合性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−、i−もしくはt−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−、i−もしくはt−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル;N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドなどのN−置換アクリルアミド系又はN−置換メタクリルアミド系モノマーを挙げることができ、またこれらの重合性不飽和モノマーは脂肪酸変性重合性不飽和モノマーを含むこともできる。
脂肪酸変性重合性不飽和モノマーには、脂肪酸由来の炭化水素鎖の末端に重合性不飽和基を有する重合性不飽和モノマーが含まれる。脂肪酸変性重合性不飽和モノマーとしては、例えば、脂肪酸をエポキシ基含有重合性不飽和モノマー及び/又は水酸基含有重合性不飽和モノマーと反応させることにより得られるものを挙げることができる。
脂肪酸としては、乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸及び不乾性油脂肪酸が挙げられ、乾性油脂肪酸及び半乾性油脂肪酸としては、例えば、魚油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ケシ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、ブドウ核油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、クルミ油脂肪酸、ゴム種油脂肪酸、ハイジエン酸脂肪酸等が挙げられ、また不乾性油脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、水添ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。さらに、これらの脂肪酸は、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等と併用することもできる。
脂肪酸変性重合性不飽和モノマーを製造するために上記脂肪酸と反応させることのできるモノマーとしては、エポキシ基を含有する重合性不飽和モノマーが好適であり、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
ビニル共重合体樹脂(a33)は、例えば、上記ラジカル重合性不飽和モノマーの混合物を重合開始剤の存在下に、有機溶剤中で、ラジカル重合反応させることにより簡易に調製することができ、ラジカル重合性不飽和モノマーの混合物と重合開始剤の混合物を均一に滴下して、例えば、60〜200℃、好ましくは80〜180℃の反応温度にて約30分〜6時間、好ましくは1〜5時間反応させることによって目的の生成物を得ることができる。
上記有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンなどの炭化水素系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンなどのケトン系溶剤;あるいはそれらの混合物等が挙げられる。
ビニル共重合体樹脂(a33)は、水酸基価が5〜400mgKOH/g、重量平均分子量が3,000〜100,000、特に5,000〜20,000の範囲内にあるのが好ましい。上述のように製造されたビニル共重合体樹脂(a33)を、有機溶剤系溶媒に溶解又は分散させて用いることができる。
澱粉系樹脂(2)は、変性澱粉(a30)と、イソシアネート基を有する生成物(I)と、ビニル共重合体樹脂(a33)とを反応させて得られた樹脂である。ここで、変性澱粉(a30)と、イソシアネート基を有する生成物(I)と、ビニル共重合体樹脂(a33)との配合割合は、要求される塗膜性能に応じて適宜調整することができる。
澱粉系樹脂(2)は、変性澱粉(a30)、イソシアネート基を有する生成物(I)及びビニル共重合体樹脂(a33)の合計固形分重量を基準にして、変性澱粉(a30)を60〜99質量%、より好ましくは65〜95質量%、イソシアネート基を有する生成物(I)を1〜39質量%、より好ましくは2〜33質量%及びビニル共重合体樹脂(a33)を1〜39質量%、より好ましくは2〜33質量%の範囲の量で、澱粉系樹脂(1)の製造に関して上述したものと同様の有機溶剤中で混合し、適宜にモノブチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド等の錫触媒を加え、攪拌下に約50℃〜約200℃、より好ましくは60〜150℃程度の温度で、30分間〜10時間、より好ましくは1〜5時間程度反応させることによって得ることができる。
変性澱粉(a30)、イソシアネート基を有する生成物(I)及びビニル共重合体樹脂(a33)の配合割合は、上記範囲内であることが、仕上り性、鉛筆硬度、耐擦り傷性、付着性、耐アルカリ性及び耐溶剤性においてバランスのとれた塗膜を得るために好ましい。
なお、澱粉系樹脂(2)の数平均分子量は、3,000〜200,000の範囲が好ましい。上述のように製造された澱粉系樹脂(2)を、有機溶剤系溶媒に溶解又は分散させて好適に使用できる。
澱粉系樹脂(3)
澱粉系樹脂(3)は、ビニル共重合体樹脂(a33)を、変性澱粉(a30)にグラフト重合により結合させた生成物(II)を含む樹脂である。さらに、生成物(II)に、前記ポリイソシアネート化合物(a31)と多価アルコール(a32)とを反応させて得られたイソシアネート基を有する生成物(I)を反応させて得られた樹脂も用いることもできる。変性澱粉(a30)は、「澱粉系樹脂(1)」の項で説明したとおりである。
従来から、米国特許第3425971号明細書、同第3981100号明細書や特開昭56−167746号公報には、水分散又はスラリー状の澱粉又は変性澱粉にセリウム塩をラジカル重合開始触媒として用いたビニルモノマーのグラフト重合が開示されている。また、特開昭54−120698号公報及び同昭55−90518号公報には不飽和基を含有する化合物であるマレイン酸で変性した澱粉に対するスチレン及びアクリルモノマーのグラフト重合が開示されている。特開平8−239402号公報には有機溶剤中での(ビニル)エステル化澱粉とビニルモノマーのグラフト重合が開示されている。また、特開昭55−133472号公報、同昭56−157463号公報にはラジカル開始剤を用いての溶液中でのセルロースアセテートブチレートへのビニル系モノマーのグラフト重合が開示されている。ニトロセルロースアセテートを澱粉及び/又は変性澱粉に置き換えれば、ビニルポリマーを、澱粉及び/又は変性澱粉(a30)にグラフト重合させることは簡易である。
以上、ビニルポリマーのグラフト重合に関して幾つかの公知例を述べたが、目的とする澱粉系樹脂(3)は、これらの公知の方法によって製造することができる。ここで、ビニル共重合体樹脂(a33)は、ラジカル重合性不飽和モノマー又はその混合物を、有機溶剤及び重合開始剤の存在下にラジカル重合反応させて得られた樹脂である。
ここで、変性澱粉(a30)及びビニル共重合体樹脂(a33)の比率には特に限定はないが、ラジカル重合性不飽和モノマーとしては性質の異なったモノマーの混合物を用いることが、仕上り性、付着性、耐擦り傷性、耐溶剤性及び耐候性に優れた塗膜を形成する観点から好ましい。
ラジカル重合性不飽和モノマーは、かかる混合物の質量合計に対して、芳香族系ラジカル重合性不飽和モノマー1〜90質量%、好ましくは5〜80質量%、水酸基含有ラジカル重合性不飽和モノマー1〜50質量%、好ましくは2〜40質量%及びその他のラジカル重合性不飽和モノマー0〜98質量%、好ましくは47〜95質量%からなるラジカル重合性不飽和モノマーの混合物であることが望ましい。なお、芳香族系ラジカル重合性不飽和モノマー、水酸基含有ラジカル重合性不飽和モノマー1〜50質量%及びその他のラジカル重合性不飽和モノマーは、澱粉系樹脂(2)に挙げたラジカル重合性不飽和モノマーと同様である。
これらのラジカル重合性不飽和モノマーのグラフト重合は、例えば、上記ラジカル重合性不飽和モノマーの混合物と重合開始剤とを、変性澱粉を含む有機溶剤溶液中に滴下し、ラジカル重合反応させることにより簡易に行うことができる。ラジカル重合性不飽和モノマーの混合物と重合開始剤の混合物を均一に滴下して、例えば、60〜200℃、好ましくは80〜180℃の反応温度にて約30分間〜6時間、好ましくは1〜5時間反応させることによって得ることができる。
ここで、重合開始剤として、公知のラジカル重合開始剤を用いることができるが、変性澱粉の有機溶剤溶液中にモノマー混合物及び重合開始剤を滴下し、グラフト重合させる方法を採用する場合には、過酸化物系の開始剤を用いることが好ましい。そのような過酸化物系の開始剤の例としては、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシデカノエート等のパーオキシエステル類;1,5−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類;アセト酢酸エチルパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;過酸化ベンゾイル等のジアシルパーオキサイド類が挙げられる。
上記の有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンなどの炭化水素系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンなどのケトン系溶剤;あるいはこれらの混合物等が挙げられる。
前記イソシアネート基を有する生成物(I)は、「澱粉系樹脂(1)」の項で説明したとおりである。
澱粉系樹脂(3)は、生成物(II)及びイソシアネート基を有する生成物(I)の合計固形分質量を基準にして、生成物(II)を50〜99質量%、好ましくは60〜98質量%、イソシアネート基を有する生成物(I)を1〜50質量%、好ましくは2〜40質量%の範囲で用いて、有機溶剤(例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンなどの炭化水素系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンなどのケトン系溶剤;あるいはこれらの混合物等)中で混合し、適宜にモノブチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド等の触媒を加え、攪拌下に約50℃〜約200℃、好ましくは60〜150℃の温度で、30分間〜10時間、好ましくは1〜5時間付加反応させることによって得られる。
イソシアネート基を有する生成物(I)及び生成物(II)の配合割合は、上記範囲内であることが、仕上り性、鉛筆硬度、耐擦り傷性、付着性、耐アルカリ性及び耐溶剤性においてバランスのとれた塗膜を得るために好ましい。
なお、澱粉系樹脂(3)は、3,000〜2,000,000の範囲、特に3,000〜200,000の範囲の数平均分子量を有するのが、造膜性などの観点から好ましい。
なお、澱粉系樹脂(1)、澱粉系樹脂(2)及び澱粉系樹脂(3)は、2種以上を組合せて用いることもできる。
さらに、光硬化性塗料(A)には、下地である澱粉系着色ベース塗料による塗膜が認識できる程度に、必要に応じて、ポリイソシアネート化合物などの架橋剤、艶消し材、表面形状調整材、表面エネルギー調整剤、硬度調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、有機着色剤、天然色素及び無機顔料などを使用することができる。なおポリイソシアネート化合物などの架橋剤は、塗膜硬度の向上の観点から好ましい。
上記有機着色剤としては、厚生省令第37号で定められているものが挙げられる。例えば、赤色202号(リソールルビンBCA)、赤色203号(レーキレッドC)、赤色204号(レーキレッドCBA)、赤色205号(リソールレッド)、赤色206号(リソールレッドCA)、赤色207号(リソールレッドBA)、赤色208号(リソールレッドSR)、赤色219号(ブリリアントレーキレッドR)、赤色220号(ディープマルーン)、赤色221号(トルイジンレッド)、赤色228号(パーマトンレッド)、だいだい色203号(パーマネントオレンジ)、だいだい色204号(ベンチジンオレンジG)、黄色205(ベンチジンエローG)、赤色404号(ブリリアントファストスカーレット)、赤色405号(パーマネントレッドF5R)、だいだい色401号(ハンザオレンジ)、黄色401号(ハンザエロー)、青色404号(フタロシアニンブルー)などが挙げられる。
天然色素としては、具体的には、カロチノイド系では、カロチン、カロチナール、カプサンチン、リコピン、ビキシン、クロシン、カンタキサンチン、アナトーなど、フラボノイド系では、シソニン、ラファニン、エノシアニンなどのようなアントシアニジン類、サフロールイエロー、ベニバナなどのようなカルコン類、ルチン、クエルセチンなどのようなフラボノール類、カカオ色素のようなフラボン類など、フラビン系では、リボフラビンなど、キノン系では、ラッカイン酸、カルミン酸(コチニール)、ケルメス酸、アリザリンなどのようなアントラキノン類、シコニン、アルカニン、エキノクロームなどのようなナフトキノン類など、ポリフィリン系では、クロロフィル、血色素など、ジケトン系では、クルクミン(ターメリック)など、ベタシアニジン系では、ベタニンなどが挙げられる。
無機顔料としては、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、カオリン、ベントナイト、マイカ、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸マグネシウム、重質炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、グンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、カラミンなどが挙げられる。
有機顔料、天然色素及び無機顔料の配合割合は、使用される用途や要求される性能に応じて変わりうるが、通常、澱粉系樹脂100質量部当たり、0.001〜400質量部、好ましくは0.01〜200質量部の範囲である。
[澱粉系着色ベース塗料について]
澱粉系着色ベース塗料は、被塗物上に、光硬化性塗料(A)の下地層として塗装され、複層塗膜に意匠性を付与する。
澱粉系着色ベース塗料の澱粉系樹脂成分としては、澱粉を含む樹脂であれば特に制限されないが、上述の澱粉系樹脂(1)、澱粉系樹脂(2)及び澱粉系樹脂(3)のうちの少なくとも1種を用いることが好ましい。
この中でも、有機溶剤型塗料として、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンなどの炭化水素系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンなどのケトン系有機溶剤を単独もしくは2種以上組合せて反応溶剤や希釈溶剤として使用し、上記澱粉系樹脂成分を溶解又は分散させて澱粉系着色ベース塗料に使用することができる。
また、澱粉系着色ベース塗料には、必要に応じて、その他の天然物由来樹脂を配合してもよい。澱粉系以外の天然物由来樹脂の例としては、植物性繊維(セルロース樹脂)、ポリ乳酸に代表されるポリヒドロキシカルボン酸、ポリカプロラクタム、変性ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
本発明においては、天然物由来樹脂としては、溶剤に可溶性のものを用いることができるが、なかでもセルロース由来の樹脂が好適である。
本願発明者は、本発明において、ニトロセルロース及び/又はセルロースアセテートブチレートを少量添加することにより、一液型ラッカー塗料として用いた時の塗膜の乾燥性が良くなり、表面硬度が高くなることを見出した。
また、ポリヒドロキシカルボン酸、特にポリ乳酸も表面硬度を高める効果が認められるが、塗膜が脆くなる傾向があり、セルロース由来の樹脂のほうが塗膜性能のバランスがよく、使い易い。
澱粉系着色ベース塗料に好適に使用することのできるニトロセルロースとしては、工業用硝化綿BNC−HIG−2(商品名、仏ベルジュラックNC社製)、工業用硝化綿RS1−4(商品名、韓国CNC社製)、スワンセルHM1−4(商品名、株式会社協鮮洋行製)、セルノバBTH1−4(商品名、旭化成ケミカルズ株式会社製)等が挙げられ、セルロースアセテートブチレートとしては、CAB381−0.1、CAB381−0.5、CAB381−2、CAB531−1、CAB551−0.01、CAB551−0.2(全て商品名、イーストマンケミカルプロダクツ社製)等が挙げられる。
これらの天然物由来樹脂の配合量は、澱粉系樹脂成分の固形分100質量部に対して、50質量部以下、好ましくは5〜40質量部、さらに好ましくは10〜35質量部であることが、澱粉系着色ベース塗料の乾燥性や耐擦り傷性及び耐溶剤性を確保する面からも好ましい。また、澱粉系着色ベース塗料には、必要に応じて有機着色剤、天然色素及び無機顔料を使用することができる。
有機着色剤、天然色素及び無機顔料としては、光硬化性塗料(A)において例示したものを用いることができる。有機顔料、天然色素及び無機顔料の配合割合は、使用される用途や要求される性能に応じて変わりうるが、通常、澱粉系バインダー100質量部に対して、0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部の範囲である。
さらに、澱粉系着色ベース塗料には、従来から公知の架橋剤、例えば、前記ポリイソシアネート化合物(a31)で例示した化合物等、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂などを、硬化性向上を目的として加えることができる。
また、可塑剤、紫外線安定剤、金属ドライヤー、流動性調整剤、ハジキ防止剤、垂れ止め防止剤、酸化防止剤、つや消し剤、艶出し剤、防腐剤、硬化促進剤、擦り傷防止剤、消泡剤等を適宜添加することができる。
なお澱粉系着色ベース塗料として液状のものは、例えば、ローラー塗装、刷毛塗装、浸漬塗装、スプレー塗装(非静電塗装、静電塗装など)、カーテンフロー塗装、スクリーン印刷、凸版印刷などの塗装又は印刷技法により適用することができる。
[複層塗膜形成方法について]
本発明の複層塗膜形成方法は、被塗物に特に制限はなく、金属、プラスチック、木材などが使用できる。この中でも、特に被塗物とプラスチックを用いて、本発明の複層塗膜を形成することによって、意匠性と硬度及び耐擦傷性を付与したプラスチック製品を得ることができる。このようなプラスチックとして、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂が挙げられる。
本発明の塗膜形成方法としては、以下の3つの工程を挙げることができる。
上記から選ばれる被塗物上に、
(工程1)澱粉系着色ベース塗料を乾燥膜厚として、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは1〜5μmとなるように塗装する。次いで、塗装後の塗膜の乾燥は、100℃未満、好ましくは40℃以上でかつ90℃以下で1〜40分間加熱する。又は常温(40℃未満)で10分間以上セッティングする。
(工程2)光硬化性塗料(A)を乾燥膜厚として0.1〜30μm、好ましくは1〜25μm、さらに好ましくは5〜20μm塗装する。
(工程3)上記塗膜に光照射を行うことによって複層塗膜を得ることができる。
上記澱粉系着色ベース塗料及び光硬化性塗料(A)の塗装方法としては、例えば、スプレー塗装方法、静電塗装方法、カーテンコート塗装方法、スピンコート塗装方法、ディッピング塗装方法などを挙げることができ、当該塗装方法により塗膜を形成することができるが、この中でもスプレー塗装方法が好ましい。
上記塗装方法には、必要に応じて有機溶剤を使用することができる。光硬化性塗料(A)固形分濃度は、塗装可能な範囲であれば特に制限はないが、好ましくは10〜50質量%の範囲である。なおスプレー塗装後の塗着塗料に残存する有機溶剤を揮発させるため、40℃以上でかつ90℃以下で1分間〜40分間加熱するか、又は常温(40℃未満)で10分間以上のセッティングを行うことがよい。
なお、光硬化性塗料(A)の塗膜の硬化させるために、光照射、又は光照射及び加熱の併用系を用いることができる。なお、当該光照射及び加熱の併用系では、光照射と加熱とを同時に適用する、光照射後に加熱を適用する、又は加熱後に光照射することができる。
本発明において、光照射とは、放射線を照射することを意味する。当該放射線としては、特に制限はないが、電子線、紫外線、可視光、α線,β線,γ線等を用いることができる。好ましくは波長150〜450nmの範囲の紫外線が適当である。光重合開始剤の種類に応じて、感度の高い波長を有する照射源を適宜選択して使用することができる。
紫外線の照射源としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハライドランプ、太陽光などを挙げることができる。紫外線を照射する場合には、塗膜への紫外線照射条件は、通常、積算光量が100〜2,000mJ/cm2、好ましくは200〜1,500mJ/cm2となる範囲が適している。照射時間としては、1秒間〜5分程度が好ましい。
加熱手段としては、特に限定されるものではなく、例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱などの乾燥設備を適用できる。加熱温度は、通常、35〜100℃程度、好ましくは40〜90℃の範囲にあることが、特に被塗物がプラスチックである場合に適している。加熱時間は、特に制限されるものではないが、通常、1〜30分の範囲が好適である。溶剤を含有する光硬化型塗料(A)を塗装する場合、塗装後に加熱するか又はセッティングすることによって溶剤を揮発させてから光照射することが望ましい。
本発明の複層塗膜形成方法による物品は、例えば、電気部品、携帯電話、照明、電気素子、半導体、自動販売等の材料(例えば、塗料材料、接着材料、印刷材料、シート材料、積層材料及び成型材料等)として使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれのみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は、特にことわらない限り、「質量部」及び「質量%」である。
[製造例1]変性澱粉No.1の製造例(変性澱粉(a30)に相当)
ハイアミロースコーンスターチ(水酸基価500mgKOH/g)25部をジメチルスルホキシド(DMSO)200部に懸濁させ、攪拌しながら90℃まで昇温し、20分間その温度に保持して糊化させる。この溶液に重炭酸ナトリウム20部を触媒として添加し、90℃を維持してラウリン酸ビニル17部を添加し、その温度で1時間反応させた。次に、更に酢酸ビニル37部を添加して、同じく80℃で1時間反応させた。その後、反応液を水道水中に流し込んで高速にて攪拌し、粉砕を行い、濾過・脱水乾燥して、変性澱粉No.1を調製した。
[製造例2]ポリウレタン樹脂溶液No.1の製造例(生成物(I)に相当)
温度計、サーモスタット、攪拌器、冷却管及び滴下装置を備えた1Lの反応容器に、トルエン125部、イソホロンジイソシアネート(ポリイソシアネート化合物(a31)に相当)377部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌混合して80℃まで昇温した。次いで、1,4−ブタンジオール(多価アルコール(a32)に相当)123部を3時間かけて滴下し、滴下終了後、80℃で30分間熟成して、樹脂固形分80%、ポリウレタン樹脂溶液No.1を調製した。なおポリウレタン樹脂溶液No.1の樹脂固形分のNCO価は、55mgNCO/gであった。
[製造例3]ポリウレタン樹脂溶液No.2の製造例(生成物(I)に相当)
温度計、サーモスタット、攪拌器、冷却管及び滴下装置を備えた1Lの反応容器に、トルエン125部、イソホロンジイソシアネート(ポリイソシアネート化合物(a31)に相当)325部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌混合して80℃まで昇温した。次いで、トリエチレングリコール(多価アルコール(a32)に相当)117部を3時間かけて滴下し、滴下終了後、80℃で30分間熟成して、樹脂固形分80%のポリウレタン樹脂溶液No.2を調整した。なおポリウレタン樹脂溶液No.2の樹脂固形分のNCO価は、57mgNCO/gであった。
[製造例4]アクリル樹脂溶液No.1の製造例(ビニル共重合体樹脂(a33)に相当)
温度計、サーモスタット、攪拌器、冷却管及び滴下装置を備えた1Lの反応容器に、トルエン333部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌混合して100℃まで昇温した。次いで、下記「混合物No.1」溶液を4時間かけて滴下し、滴下終了後、100℃で1時間熟成して、樹脂固形分60%のアクリル樹脂溶液No.1を得た。得られたアクリル樹脂溶液No.1の樹脂固形分における水酸基価は、86mgKOH/gであった。
[混合物No.1]
スチレン 200部
メタクリル酸メチル 150部
アクリル酸n−ブチル 50部
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 100部
2,2’−アゾビス2−メチルブチロニトリル 25部
[製造例5]アクリル樹脂溶液No.2の製造例(比較製造例)
温度計、サーモスタット、攪拌器、冷却管及び滴下装置を備えた1Lの反応容器に、トルエン333部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌混合して100℃まで昇温した。次いで、下記「混合物No.2」溶液を4時間かけて滴下し、滴下終了後、100℃で1時間熟成して、樹脂固形分60%のアクリル樹脂溶液No.2を得た。得られたアクリル樹脂溶液No.2の樹脂固形分における水酸基価は、86mgKOH/gであった。
[混合物No.2]
メタクリル酸メチル 350部
アクリル酸n−ブチル 50部
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 100部
2,2’−アゾビス2−メチルブチロニトリル 25部
[澱粉系樹脂(1)及び澱粉系樹脂(2)の製造例]
[製造例6]澱粉系樹脂溶液No.1の製造例
温度計、サーモスタット、攪拌器、冷却管及び冷却管を備えた1Lの反応容器に、酢酸ブチル595部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら50℃まで昇温した。次いで、50℃を保持して製造例1で得た変性澱粉No.1 180部を反応容器中に仕込み、その後100℃に昇温して、仕込んだ変性澱粉No.1が完全に溶解するまで攪拌した。
次に、製造例2で得たポリウレタン樹脂溶液No.1を25部仕込み、均一になるまで攪拌した後、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.02部を添加し、窒素雰囲気で攪拌しながら100℃にて6時間反応を行って、固形分25%の澱粉系樹脂溶液No.1を得た。澱粉系樹脂溶液No.1の樹脂固形分のNCO価は、0.4mgNCO/gであった。
[製造例7〜9]澱粉系樹脂溶液No.2〜No.4の製造例
表1の配合内容とする以外は、製造例6と同様にして澱粉系樹脂溶液No.2〜No.4を得た。併せて、表1に特性も示す。
Figure 0005030926
[澱粉系樹脂(3)の製造例]
[製造例10]グラフト生成物溶液の製造
温度計、サーモスタット、攪拌器、冷却管及び滴下装置を備えた1Lの反応容器に、酢酸ブチル466部を仕込み、窒素雰囲気下に攪拌しながら50℃まで昇温した。次いで、50℃に保持して、製造例1で得た変性澱粉No.1を160部反応容器中に仕込み、その後100℃に昇温して、仕込んだ変性澱粉No.1が完全に溶解するまで攪拌した。次いで、下記組成の「混合物No.3」溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後、100℃で1時間熟成して、樹脂固形分30%のグラフト生成物溶液を得た。
「混合物No.3」
スチレン 28部
メタクリル酸メチル 4部
アクリル酸n−ブチル 4部
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 4部
パーカドックスCH−50L(注1) 4部
(注1)パーカドックスCH−50L:ジアシルパーオキサイド50%含有、化薬アクゾ株式会社製、重合開始剤
[製造例11]澱粉系樹脂溶液No.5の製造
温度計、サーモスタット、攪拌器、冷却管及び滴下装置を備えた1Lの反応容器にトルエン125部、ヘキサメチレンジイソシアネート292部を仕込み、窒素雰囲気下に攪拌混合して80℃まで昇温した。次いで、トリエチレングリコール208部を3時間かけて滴下し、滴下終了後、80℃で30分間熟成して、樹脂固形分80%のポリウレタン樹脂溶液を得た。このポリウレタン樹脂のNCO価は、58mgNCO/gであった。次に、温度計、サーモスタット、攪拌器及び冷却管を備えた1Lの別の反応容器に、酢酸ブチル41部、製造例10で得たグラフト生成物溶液を600部仕込み、窒素雰囲気下に攪拌しながら100℃まで昇温した。次に、上記で得たポリウレタン樹脂溶液を25部仕込み、均一になるまで攪拌した後、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.04部を添加し、窒素雰囲気で攪拌しながら100℃で6時間反応後、酢酸ブチルで希釈して、固形分25%の澱粉系樹脂溶液No.5を得た。
[澱粉系着色ベース塗料の製造]
[製造例12]着色ベース塗料No.1の製造
製造例6で得た澱粉系樹脂溶液No.1を400部(固形分100部)、アルペーストFX−7640NS(注2)46部(固形分23部)、ハイコンク黒(注3)3部(固形分3部)、サイリシア446(注4)1.5部(固形分1.5部)及びメチルエチルケトン59.5部を加え、攪拌機にて十分に混合し、固形分25%の着色ベース塗料No.1を得た。
(注2)アルペースト−7640NS:東洋アルミニウム社製、商品名、アルミニウムペースト
(注3)ハイコンク黒:横浜化成株式会社製、溶剤型塗料用着色剤
(注4)サイリシア446:富士シリシア化学株式会社製、含水無定形二酸化ケイ素(艶消し剤)
[製造例13]着色ベース塗料No.2の製造
製造例8で得た澱粉系樹脂溶液No.3を400部(固形分100部)、アルペーストFX−7640NS 46部(固形分23部)、ハイコンク黒 3部(固形分3部)、サイリシア446 1.5部(固形分1.5部)及びメチルエチルケトン59.5部を加え、攪拌機にて十分に混合し、固形分25%の着色ベース塗料No.2を得た。
[製造例14]着色ベース塗料No.3の製造
製造例12で得た着色ベース塗料No.1に、タケネートD−170HN(注5)を5部添加攪拌し、メチルエチルケトンで固形分を調整して、固形分25%の着色ベース塗料No.3を得た。
(注5)タケネートD−170HN:武田薬品社製、商品名、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体。
[製造例15]着色ベース塗料No.4の製造
製造例11で得た澱粉系樹脂溶液No.5を400部(固形分100部)、アルペーストFX−7640NS 46部(固形分23部)、ハイコンク黒 3部(固形分3部)、サイリシア446 1.5部(固形分1.5部)及びメチルエチルケトン59.5部を加え、攪拌機にて十分に混合し、固形分25%の着色ベース塗料No.4を得た。
[製造例16]光硬化性樹脂溶液No.1の製造例
温度計、サーモスタット、撹拌機、還流冷却器及び空気吹込装置を備え付けた反応容器に、イソホロンジイソシアネート888部、2−ヒドロキシエチルアクリレート464部及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.7部を仕込み、反応容器内に空気を吹き込みながら、80℃に昇温してその温度に5時間保ち、加えた2−ヒドロキシエチルアクリレートが実質的に全て反応したのを確認した後、ペンタエリスリトール136部、酢酸ブチル372部及びジブチルチンジラウレート0.2部を添加してさらに80℃に保持し、イソホロンジイソシアネートが実質的に全て反応したのを確認して冷却し、樹脂固形分80%の光硬化性樹脂溶液No.1を得た。この樹脂の数平均分子量は約1,500であった。
[光硬化性塗料(A)の製造例]
[製造例17]
製造例16で得た光硬化性樹脂溶液No.1を100部(固形分)、イルガキュア184(注6)を3部、製造例6で得られた澱粉系樹脂溶液No.1 50部(固形分)を添加して溶解した後、酢酸ブチルで固形分濃度30%に希釈して、光硬化性塗料No.1を得た。
(注6)イルガキュア184:チバスペシャルティケミカルズ社製、光ラジカル重合開始剤
[製造例18〜22]
表2の配合内容とする以外は、製造例17と同様にして、光硬化性塗料No.2〜No.6を得た。
Figure 0005030926
[比較製造例1]着色ベース塗料No.5の製造
製造例5で得たアクリル樹脂溶液No.2を400部(固形分100部)、アルペーストFX−7640NS 46部(固形分23部)、ハイコンク黒 3部(固形分3部)、サイリシア446 1.5部(固形分1.5部)及びメチルエチルケトン59.5部を加え、攪拌機にて十分に混合し、固形分25%の着色ベース塗料No.5を得た。
[比較製造例2]光硬化性塗料No.7の製造
製造例16で得た光硬化性樹脂溶液No.1を100部(固形分)にイルガキュア184を3部添加して溶解した後、酢酸ブチルで固形分濃度30%に希釈して、光硬化性塗料No.7を得た。
[試験用素材板について]
試験板として、サイコラックY665C−450(日本GEプラスティックス社製、商品名、ABS樹脂)の2.0mm×100mm×150mmを用いた。
[実施例1]
工程1:上記の試験板をイソプロパノールで脱脂した後に、製造例12で得た着色ベース塗料No.1をエアスプレーで乾燥塗膜が8μmになるように塗装し、60℃で15分間乾燥させ、塗膜を形成させた。
工程2:光硬化性塗料No.1をエアスプレーで乾燥塗膜が12μmになるように塗装して、60℃で5分間乾燥させ、塗膜を形成させた。
工程3:高圧水銀ランプで600mJ/cm2の紫外線を照射して光硬化させ、複層塗膜No.1を形成した。
[実施例2〜10]
表3に示す塗料と工程をとる以外は実施例1と同様にして複層塗膜No.2〜No.10を形成した。
Figure 0005030926
[比較例1〜3]
表4に示す塗料と工程をとる以外は、実施例1と同様にして複層塗膜No.11〜13を形成した。
Figure 0005030926
上記の複層塗膜No.1〜No.13を有する試験板を用い、下記の試験条件に従って試験に供した。実施例の結果を表3に、比較例の結果を表4に、併せて示す。
[試験方法]
(注7)生体由来成分配合:各々の着色ベース塗料及び光硬化性塗料について、下記の基準で評価した。
○:澱粉系樹脂又は澱粉系樹脂を反応して得られた樹脂(生体由来成分)が、塗料中に配合されている
×:澱粉系樹脂又は澱粉系樹脂を反応して得られた樹脂(生体由来成分)が、塗料中に配合されていない
(注8)仕上り性:各複層塗膜の塗面外観を目視で評価した
◎:良好な仕上り性である
○:ごくわずかにうねりがあるが良好な仕上り性である
△:うねり、ツヤビケ、チリ肌の少なくとも1種の仕上り性の低下が見られる
×:うねり、ツヤビケ、チリ肌の少なくとも1種の仕上り性の低下が著しい
(注9)鉛筆硬度:JIS K 5600−5−4(1999)に準じて、各複層塗膜面に対し約45度の角度に鉛筆の芯を当て、芯が折れない程度に強く試験塗板面に押し付けながら前方に均一な速さで約10mm動かした。この操作を、試験箇所を変えて5回繰り返して塗膜が破れなかった場合のもっとも硬い鉛筆の硬度記号を鉛筆硬度とした。
(注10)耐擦り傷性:各複層塗膜面に、市販の名刺を塗膜に押し当てて20往復こすった後、どの程度傷がつくかにより判定した。
◎:全く傷がつかない
○:ほとんど傷がつかず、近づかないと(5cmくらい)傷がわからない
△:うすく擦り傷がつく
×:擦り傷の程度がひどい
(注11)付着性:各複層塗膜面に、JIS K 5600−5−6(1990)に準じて塗膜に1mm×1mmのゴバン目100個を作り、その面に粘着テープを貼着し、急激に剥した後に、塗面に残ったゴバン目塗膜の数を評価した。(澱粉系着色ベース塗膜と光硬化性塗膜の層間において剥離したものは「剥離」として数える)
○:残存個数/全体個数=100個/100個
△:残存個数/全体個数=99個〜90個/100個
×:残存個数/全体個数=89個以下/100個
(注12)耐アルカリ性:各複層塗膜面に、1%水酸化ナトリウム水溶液を0.5mL滴下して、温度20℃、相対湿度65%の雰囲気下に24時間放置した後に、塗面をガーゼで拭き取り外観を目視評価した。
○:塗膜表面の全く異常がない
△:塗膜表面の変色(白化)が認められる
×:塗膜表面の変色(白化)が著しい
(注13)耐溶剤性:各複層塗膜面に、ろ紙を2枚並べて置き、各ろ紙上にスポイトで78%エタノールと2%ホルマリンをそれぞれ滴下し、ろ紙を湿らした。このスポイトによる滴下を1時間間隔で5回行い、その後2時間経過後にろ紙を除いた塗膜表面を目視で評価した。
○:フクレやハガレなどの異常が全くない
△:目視で軽度なフクレやハガレなどの異常が見つかる
×:塗膜が溶けてしまう
本発明の塗膜形成方法は、植物由来の澱粉系塗料を使用し、かつ仕上り性、鉛筆硬度、耐擦り傷性、付着性、耐アルカリ性、耐溶剤性に優れた複層塗膜を形成することができるので、産業上有用である。また、本発明の複層塗膜は、植物由来の澱粉系塗料を使用し、かつ仕上り性、鉛筆硬度、耐擦り傷性、付着性、耐アルカリ性、耐溶剤性に優れるので、産業上有用である。

Claims (7)

  1. 澱粉系着色ベース塗料を被塗物上に塗装して、澱粉系着色ベース塗料からなる塗膜を形成させるステップ;
    前記塗膜上に、光硬化性化合物及び/又は光硬化性樹脂(a1)と、光重合開始剤(a2)と、澱粉系樹脂(a3)とを含有する光硬化性塗料(A)を塗装して、光硬化性塗料(A)からなる塗膜を形成させるステップ;そして
    光硬化性塗料(A)からなる塗膜に光を照射して、当該塗膜を硬化させるステップ:
    を含む複層塗膜形成方法。
  2. 澱粉系樹脂(a3)が、下記;
    変性澱粉(a30);及び
    ポリイソシアネート化合物(a31)と多価アルコール(a32)とを反応させて得られたイソシアネート基を有する生成物(I):
    を反応させて得られた澱粉系樹脂(1)である、請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  3. 澱粉系樹脂(a3)が、下記;
    変性澱粉(a30);
    ポリイソシアネート化合物(a31)と多価アルコール(a32)とを反応させて得られたイソシアネート基を有する生成物(I);及び
    ラジカル重合性不飽和モノマーの混合物の合計質量に対して、芳香族系ラジカル重合性不飽和モノマー1〜90質量%、水酸基含有ラジカル重合性不飽和モノマー1〜50質量%及びその他のラジカル重合性不飽和モノマー0〜98質量%からなる混合物をラジカル重合反応させて得られたビニル共重合体樹脂(a33):
    を反応させて得られた澱粉系樹脂(2)である、請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  4. 澱粉系樹脂(a3)が、ラジカル重合性不飽和モノマーの混合物の合計質量に対して、芳香族系ラジカル重合性不飽和モノマー1〜90質量%、水酸基含有ラジカル重合性不飽和モノマー1〜50質量%及びその他のラジカル重合性不飽和モノマー0〜98質量%からなる混合物をラジカル重合反応させて得られたビニル共重合体樹脂(a33)を、前記混合物のグラフト重合により変性澱粉(a30)に結合させて得られた生成物(II)を含む澱粉系樹脂(3)である、請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  5. 澱粉系着色ベース塗料からなる塗膜層;
    前記塗膜層上の、光硬化性化合物及び/又は光硬化性樹脂(a1)と、光重合開始剤(a2)と、澱粉系樹脂(a3)とを含有する光硬化性塗料(A)からなる層を光硬化させた塗膜層:
    を含む複層塗膜。
  6. 被塗物上に請求項5に記載の複層塗膜を有する塗装物品。
  7. 前記被塗物がプラスチックである、請求項6に記載の塗装物品。
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