JP5610425B2 - 水系塗料用組成物の製造方法 - Google Patents

水系塗料用組成物の製造方法 Download PDF

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本発明は、水系塗料用組成物の製造方法に関する。
近年、環境問題の観点から、塗料用組成物の水系化が進められている。また、バイオマス材料は、光合成によって作り出される有機性資源であり、持続的に再生できる資源である。このため、限りある化石資源をバイオマス材料で代替することは、大気中の二酸化炭素(CO)削減につながり、地球温暖化の防止と環境循環型社会の形成に寄与する。代表的なバイオマス材料の一つとして、澱粉があげられる。澱粉は、供給量が豊富であること、安価であること、加工性に優れること、生分解性を有すること等から、利用価値が高い。
このような観点から、高度にエステル化した(エステル置換度が高い)変性澱粉とアクリルモノマーとの共重合体を含有する水系エマルションを水系塗料用組成物として用いることが提案されている(特許文献1)。前記共重合体は、疎水化された変性澱粉を用いているため、耐水性に優れる。しかし、澱粉の高度エステル化は非水有機溶媒中での反応が必須なことから、前記水系塗料用組成物には、前記変性澱粉の製造過程における環境負荷が大きく、コストも高いという問題がある。また、前記水系塗料用組成物では、前記変性澱粉と前記アクリルモノマーとの相溶性が、その性能やハンドリング性に影響する。このため、前記水系塗料用組成物では、変性澱粉の配合率が限定される。
特開2006−52338号公報
そこで、本発明は、耐水性、耐溶剤性および機械特性に優れた変性澱粉を含有し、かつ前記変性澱粉が安定に分散した、低コストで、環境負荷低減への寄与が大きく、塗膜性能に優れた水系塗料用組成物の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の製造方法は、変性澱粉を含有する水系塗料用組成物の製造方法であって、
澱粉の水酸基の一部を、ラジカル重合性官能基で置換することで変性澱粉を生成する変性澱粉生成工程を含むことを特徴とする。
本発明によれば、澱粉にラジカル重合性官能基を導入して変性澱粉を得ることで、耐水性、耐溶剤性および機械特性に優れた変性澱粉を含有し、かつ前記変性澱粉が安定に分散した、低コストで、環境負荷低減への寄与が大きく、塗膜性能に優れた水系塗料用組成物を得ることができる。
本発明において、「水系溶媒」とは、水または水を含む混合溶媒を意味し、水であることが好ましい。
本発明によれば、澱粉の水酸基の一部がラジカル重合性官能基で置換された変性澱粉を含有することを特徴とする水系塗料用組成物が提供される。
本発明の製造方法は、さらに、前記変性澱粉とラジカル重合性モノマーとを水系溶媒中で乳化重合することで澱粉誘導体含有水系エマルションを生成する澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程を含んでもよい。また、本発明により提供される水系塗料用組成物において、前記変性澱粉は、前記変性澱粉とラジカル重合性モノマーとの乳化重合物である澱粉誘導体の水系エマルションを含有してもよい。
本発明の製造方法では、前記変性澱粉生成工程において、前記ラジカル重合性官能基への置換度が、前記澱粉の糖残基1個当たりの平均値で、0.01〜1の範囲であることが好ましい。また、本発明により提供される水系塗料用組成物において、前記変性澱粉の前記ラジカル重合性官能基への置換度が、前記澱粉の糖残基1個当たりの平均値で、0.01〜1の範囲であることが好ましい。
本発明の製造方法では、前記変性澱粉生成工程において、前記澱粉にラジカル重合性不飽和基を有する酸無水物を開環付加させることで、前記澱粉の水酸基の一部を、ラジカル重合性官能基で置換してもよい。また、本発明の製造方法では、前記変性澱粉生成工程において、前記澱粉とラジカル重合性不飽和基を有する酸とを脱水縮合させることで、前記澱粉の水酸基の一部を、ラジカル重合性官能基で置換してもよい。
本発明の製造方法において、前記変性澱粉生成工程を、乾式反応で実施してもよい。また、本発明の製造方法において、前記変性澱粉生成工程を、水系溶媒を用いた湿式反応で実施してもよい。
本発明の製造方法および本発明により提供される水系塗料用組成物において、前記ラジカル重合性官能基は、マレイン酸エステルおよびイタコン酸エステルの少なくとも一方であることが好ましい。
本発明の製造方法および本発明により提供される水系塗料用組成物において、前記変性澱粉の重量平均分子量は、300,000以下であることが好ましい。これにより、前記変性澱粉の分散がより安定した水系塗料用組成物を得ることができる。前記変性澱粉の重量平均分子量は、より好ましくは、5,000〜200,000の範囲であり、さらに好ましくは、5,000〜150,000の範囲である。前記重量平均分子量は、例えば、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)法により測定することができる。
本発明の製造方法では、前記澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程において、前記変性澱粉(A)と前記ラジカル重合性モノマー(B)との重量比が、A:B=5:95〜50:50の範囲であることが好ましい。前記比(A:B)は、より好ましくは、A:B=5:95〜30:70の範囲であり、さらに好ましくは、A:B=5:95〜25:75の範囲であり、特に好ましくは、A:B=10:90〜20:80の範囲である。
本発明の製造方法では、前記澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程において、乳化剤を用いてもよい。
本発明の製造方法は、さらに、硬化剤を配合する硬化剤配合工程を含んでもよい。また、本発明により提供される水系塗料用組成物は、さらに、硬化剤を含んでもよい。前記硬化剤は、ポリカルボジイミド、イソシアネート化合物およびアミノ樹脂からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
(1)水系塗料用組成物の製造方法
つぎに、本発明の水系塗料用組成物の製造方法について、例を挙げて説明する。本発明の製造方法は、前述のとおり、変性澱粉生成工程を含む。
(1−1)変性澱粉生成工程
まず、澱粉を準備する。本工程に用いる澱粉としては、例えば、とうもろこし澱粉(コーンスターチ);ハイアミロースコーンスターチ;ワキシーコーンスターチ;サゴ澱粉;緑豆澱粉;小麦澱粉;米澱粉;馬鈴薯澱粉;甘藷澱粉:タピオカ澱粉:前記各種澱粉をエステル化、エーテル化等した化工澱粉等が挙げられる。前記澱粉は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記澱粉の重量平均分子量は、前述の変性澱粉の重量平均分子量に応じて適宜設定すればよく、特に制限されない。前記重量平均分子量の調整方法としては、例えば、酸加水分解、酸化分解、酵素分解等の従来公知の方法を採用できる。
つぎに、前記澱粉の水酸基の一部を、ラジカル重合性官能基で置換することで変性澱粉を生成する。前記ラジカル重合性官能基は、ラジカル重合性を有するものであればいかなる基であってもよく、例えば、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アリル基含有エステル、アリル基含有エーテル、シトラコン酸エステル、フマル酸エステル、桂皮酸エステル等が挙げられる。前記澱粉への導入の容易さ、コスト等の点を考慮すると、前記ラジカル重合性官能基は、マレイン酸エステルおよびイタコン酸エステルの少なくとも一方であることが好ましい。
つぎに、前記変性澱粉を生成する方法について、例を挙げて説明する。
前記変性澱粉を生成する第1の方法は、水系溶媒を用いた湿式反応で、前記澱粉にラジカル重合性不飽和基を有する酸無水物を開環付加する方法である。前記水系溶媒は、水に限られず、必要に応じて水に塩やアルコール等を必要量配合した水溶液を用いてもよい。具体的には、前記澱粉を弱アルカリ性の水系溶媒に懸濁させた後、酸無水物を添加し反応させる。この第1の方法に用い得る酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。前記酸無水物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。この第1の方法では、反応温度を、20〜80℃の範囲とすることが好ましく、反応時間を、20〜300分の範囲とすることが好ましい。
つぎに、得られた反応生成物(変性澱粉)を、水洗、ろ過した後、乾燥させる。
前記変性澱粉を生成する第2の方法は、非水系溶媒を用いた湿式反応で、前記澱粉にラジカル重合性不飽和基を有する酸無水物を開環付加する方法である。具体的には、前記澱粉を弱アルカリ性の非水系溶媒に懸濁または溶解した後、酸無水物を添加し反応させる。この第2の方法に用い得る酸無水物は、前記第1の方法と同様である。前記非水系溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン(MEK)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ピリジン等が挙げられる。前記非水系溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。この第2の方法では、反応温度を、20〜100℃の範囲とすることが好ましく、反応時間を、20〜300分の範囲とすることが好ましい。
つぎに、得られた反応生成物(変性澱粉)を、エタノールによる再沈殿の後、ろ過し、乾燥させる。
前記変性澱粉を生成する第3の方法は、乾式反応で、前記澱粉とラジカル重合性不飽和基を有する酸とを脱水縮合する方法である。具体的には、前記澱粉と前記酸とを粉体混合し、乾式反応させる。この第3の方法に用い得る酸としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、フマル酸、桂皮酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。この第3の方法では、反応温度を、80〜180℃の範囲とすることが好ましく、反応時間を、20〜300分の範囲とすることが好ましい。この乾式反応は、前記澱粉とラジカル重合性不飽和基を有する酸とを脱水縮合する方法に加え若しくは代えて、前記澱粉にラジカル重合性不飽和基を有する酸無水物を開環付加する方法であってもよい。この第3の方法によれば、より低コストで変性澱粉を得ることができる。
本工程は、触媒を添加して実施してもよい。前記触媒としては、例えば、周期表中第5周期までに属する金属の水酸化物、鉱酸塩、炭酸塩、有機化合物若しくはアルカリ金属アルコキシド;有機物層間転移触媒;アミノ化合物等が挙げられる。前記周期表中第5周期までに属する金属の水酸化物、鉱酸塩、炭酸塩、有機化合物若しくはアルカリ金属アルコキシドとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物;酢酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム等のアルカリ金属有機酸塩;水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、p−トルエンスルホン酸バリウム等のアルカリ土類金属有機酸塩;リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、亜硫酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、硫酸カリウム、アルミン酸ナトリウム、亜鉛酸カリウム等の無機酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛等の両性金属水酸化物等が挙げられる。前記有機物層間転移触媒としては、例えば、トリメチルプロピルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム化合物等が挙げられる。前記アミノ化合物としては、例えば、ジメチルアミノピリジン、ジエチルアミノ酢酸等が挙げられる。これらの中でも、反応効率およびコスト等の観点から、前記周期表中第5周期までに属する金属の水酸化物、鉱酸塩、炭酸塩、有機化合物若しくはアルカリ金属アルコキシドが、特に好ましい。前記触媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。前記触媒を用いる場合において、前記触媒を添加するタイミングおよび方法は、特に制限されない。
前記変性澱粉を生成する方法は、前記第1〜第3の方法に限定されず、例えば、非水系溶媒を用いた湿式反応で、前記澱粉とラジカル重合性不飽和基を有する酸とを脱水縮合する方法、非水系溶媒を用いた湿式反応または乾式反応で、前記澱粉と酸クロライド等の酸ハロゲン化物またはグリシジルエーテルとを反応させる方法、エクストルーダーを用いて行う乾式反応等、いかなる方法であってもよい。
前記変性澱粉の重量平均分子量は、前述のとおりである。
前述のとおり、前記変性澱粉生成工程において、前記ラジカル重合性官能基への置換度は、前記澱粉の糖残基1個当たりの平均値で、0.01〜1の範囲である。前記置換度は、好ましくは、0.02〜0.8の範囲であり、より好ましくは、0.05〜0.5の範囲である。例えば、前記置換度を、1以下、0.8以下または0.5以下等と低くすることで、(I)例えば、後述の澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程における前記変性澱粉とラジカル重合性モノマーとの共有結合が過剰とならず、高性能の水系塗料組成物を得ることができる、(II)例えば、前記ラジカル重合性官能基がマレイン酸エステル等のカルボキシル基を含有するものであった場合に、親水性が高くなりすぎ耐水性が低下するのを防止できる、(III)前記変性澱粉中の澱粉含有率を高くでき、CO削減等の環境負荷低減への寄与が大きくなる等の利点がある。
(2)澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程
前述のとおり、本発明の製造方法は、さらに、前記変性澱粉とラジカル重合性モノマーとを水系溶媒中で乳化重合することで澱粉誘導体含有水系エマルションを生成する澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程を含んでもよい。前記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン誘導体、酢酸ビニル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリロニトリル類、メタクリロニトリル類等が挙げられる。
前記アクリル酸エステル類としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸n−へキシル、アクリル酸イソへキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸イソヘプチル、アクリル酸2−エチルへキシル(2EHA)、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸n−ノニル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸n−デシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ベンジル等が挙げられる。前記メタクリル酸エステル類としては、例えば、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル(BMA)、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸n−へキシル、メタクリル酸イソへキシル、メタクリル酸n−ヘプチル、メタクリル酸イソヘプチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸n−ノニル、メタクリル酸イソノニル、メタクリル酸n−デシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ベンジル等が挙げられる。
前記スチレン誘導体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン等が挙げられる。
前記酢酸ビニル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミスチリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、アジピン酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル、バーサテック酸ビニル等が挙げられる。
前記アクリルアミド類としては、例えば、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−n−プロポキシメチルアクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシエチルアクリルアミド等が挙げられる。前記メタクリルアミド類としては、例えば、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−エトキシメチルメタクリルアミド、N−n−プロポキシメチルメタクリルアミド、N−n−ブトキシメチルメタクリルアミド、N−メトキシエチルメタクリルアミド等が挙げられる。
前記アクリロニトリル類としては、例えば、アクリロニトリル、α−メチルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、α−メトキシメチルアクリロニトリル、α−クロロメチルアクリロニトリル、α−エトキシメチルアクリロニトリル、α−ブトキシメチルアクリロニトリル、α−フェノキシメチルアクリロニトリル等が挙げられる。前記メタクリロニトリル類としては、例えば、メタクリロニトリル、α−メチルメタクリロニトリル、α−エチルメタクリロニトリル、α−メトキシメチルメタクリロニトリル、α−クロロメチルメタクリロニトリル、α−エトキシメチルメタクリロニトリル、α−ブトキシメチルメタクリロニトリル、α−フェノキシメチルメタクリロニトリル等が挙げられる。
前記ラジカル重合性モノマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。本工程において、前記変性澱粉(A)と前記ラジカル重合性モノマー(B)との重量比は、前述のとおりである。
つぎに、前記変性澱粉と前記ラジカル重合性モノマーとを水系溶媒中で乳化重合する方法について、例を挙げて説明する。
前記変性澱粉と前記ラジカル重合性モノマーとを水系溶媒中で乳化重合する第1の方法は、前記変性澱粉の水溶液に前記ラジカル重合性モノマーを滴下する方法である。具体的には、まず、必要に応じて加熱(例えば、95℃で30分間)しながら、前記変性澱粉を水に溶解する。ついで、アルゴンガスで系内の酸素を置換した後、前記変性澱粉の水溶液に乳化剤および開始剤を添加する。つぎに、20〜90℃のオイルバス中で撹拌しながら前記ラジカル重合性モノマーを60〜120分かけて滴下する。その後、20〜90℃でさらに60〜300分撹拌し、乳化重合する。
この第1の方法に用い得る乳化剤としては、例えば、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤、反応性乳化剤等が挙げられる。前記アニオン系乳化剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン・アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、脂肪油の硫酸エステル塩、脂肪族アミンまたは脂肪族アミドの硫酸塩、二塩基性脂肪酸のスルホン酸塩、脂肪族アミドのスルホン酸塩、アルキルまたはアルケニルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルベンゼンコハク酸塩、ホルマリン縮合ナフタレンスルホン酸塩、脂肪族アルコールのリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル塩等が挙げられる。具体的には、例えば、ラウリン硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。前記ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。前記反応性乳化剤としては、1個以上のエチレン性不飽和結合を有する反応性乳化剤等が挙げられる。前記乳化剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。前記乳化剤の添加量は、前記乳化剤の種類、前記ラジカル重合性モノマーの種類や組成等に応じて適宜設定すればよく、特に制限されないが、例えば、前記ラジカル重合性モノマー全量に対して、0.5〜10重量%の範囲である。
この第1の方法に用い得る開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、クメンハイドロパーオキシド、イソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド、パラメンタンハイドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド等の過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビスイソカプロニトリル、2,2’−アゾビス(フェニルイソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物;硫酸二セシウムアンモニウム;レドックス系開始剤等が挙げられる。前記レドックス系開始剤における還元剤としては、例えば、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、グルコース、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、L−アスコルビン酸やその塩等が挙げられる。前記開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。前記開始剤の添加量は、特に限定されないが、例えば、前記ラジカル重合性モノマー全量に対して、0.03〜3重量%の範囲である。
本工程においては、前記乳化剤および前記開始剤に加え、従来公知の添加剤を添加してもよい。前記添加剤としては、例えば、重合促進剤、連鎖移動剤、水溶性高分子化合物、アクリル酸系またはメタクリル酸系等の各種エマルション、消泡剤、防腐剤、防カビ剤、レベリング剤、皮膜形成助剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、凍結防止剤等が挙げられる。前記添加剤を用いる場合において、前記添加剤を添加するタイミングおよび方法は、特に制限されない。
前記変性澱粉と前記ラジカル重合性モノマーとを水系溶媒中で乳化重合する第2の方法は、前記ラジカル重合性モノマーを乳化剤および開始剤の一部または全部を含む前記変性澱粉の水溶液の一部または全部でプレエマルション化したものを、乳化剤および開始剤を含む前記変性澱粉の水溶液の残りまたは水中に滴下する方法である。これ以外は、この第2の方法は、前記第1の方法と同様である。
前記変性澱粉と前記ラジカル重合性モノマーとを水系溶媒中で乳化重合する方法は、前記第1および第2の方法に限定されず、例えば、前記変性澱粉の水溶液を、乳化剤を添加するのに加え若しくは代えて、高圧乳化装置、超音波乳化機、高圧コロイドミル、高圧ホモジナイザー、高速撹拌機等を用いて乳化する方法等、いかなる方法であってもよい。
前記変性澱粉生成工程および前記澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程は、同一装置内で連続的に行ってもよいし、異なる装置を用いて行ってもよい。
(3)硬化剤配合工程
前述のとおり、本発明の製造方法は、さらに、硬化剤を配合する硬化剤配合工程を含んでもよい。本工程は、前記変性澱粉生成工程および前記澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程の少なくとも一方の工程と同時に実施してもよく、別個独立の工程として実施してもよい。また、本工程を別個独立の工程として実施する場合、その実施時期は特に制限されず、例えば、前記変性澱粉生成工程と前記澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程との間に実施してもよいし、前記澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程の後に実施してもよい。
前記硬化剤としては、特に制限されず、例えば、前記変性澱粉生成工程および前記澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程の少なくとも一方の工程で導入された官能基または前記澱粉の残存水酸基と相補的に反応する官能基(例えば、カルボジイミド基、イソシアネート基、酸無水基、酸基、アミノ基、アミド基、イミノ基等)を有するもの等が挙げられる。具体的には、例えば、ポリカルボジイミド、イソシアネート化合物、アミノ樹脂等を用いることができる。
前記ポリカルボジイミドは、分子中にカルボジイミド基(−N=C=N−)を有するポリマーであり、登録商標「カルボジライト」として、日清紡ケミカル(株)から市販されている。
前記イソシアネート化合物は、フリーのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物であってもよいし、ブロックされたイソシアネート基を有するイソシアネート化合物であってもよい。前記フリーのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類;キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;これらの誘導体および重合体等が挙げられる。前記フリーのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の商品名「バーノックD−750、−800、DN−950、−970、15−455」、バイエル社製の商品名「ディスモジュールL、N、HL、N3390」、武田薬品工業(株)製の商品名「タケネートD−102、−202、−110、−123N」、日本ポリウレタン工業(株)製の商品名「コロネートEH、L、HL、203」、旭化成(株)製の商品名「デュラネート24A−90CX」等が挙げられる。前記ブロックされたイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、前記フリーのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を、オキシム、フェノール、アルコール、ラクタム、マロン酸エステル、メルカプタン等の従来公知のブロック化剤でブロックしたものが挙げられる。前記ブロックされたイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の商品名「バーノックD−550」、武田薬品工業(株)製の商品名「タケネートB−815−N」、ヘキスト社製の商品名「アディトールVXL−80」、日本ポリウレタン工業(株)製の商品名「コロネート2507」等が挙げられる。
前記アミノ樹脂としては、例えば、メラミン、ベンゾグアナミン、尿素、ジシアンジアミド等と、ホルムアルデヒドとの縮合または共縮合によって得られるものが挙げられる。
前記硬化剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記硬化剤の配合割合は、特に制限されず、例えば、前記変性澱粉生成工程および前記澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程の少なくとも一方の工程で導入された官能基または前記澱粉における残存水酸基1個あたり、硬化剤中の官能基が平均0.001〜2個の範囲であり、好ましくは、平均0.01〜1.5個の範囲である。
(4)水系塗料用組成物
つぎに、本発明により提供される水系塗料用組成物について、例を挙げて説明する。前記水系塗料用組成物は、例えば、前記変性澱粉を水系溶媒に溶解させた溶液、前記澱粉誘導体含有水系エマルションそのもの、前記溶液または前記澱粉誘導体含有水系エマルションに硬化剤を添加したもの等があげられる。
前記水系塗料用組成物は、必要に応じて、さらに、従来公知の着色剤を含んでもよい。前記着色剤としては、例えば、有機顔料、天然色素、無機顔料等が挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、赤色202号(リソールルビンBCA)、赤色203号(レーキレッドC)、赤色204号(レーキレッドCBA)、赤色205号(リソールレッド)、赤色206号(リソールレッドCA)、赤色207号(リソールレッドBA)、赤色208号(リソールレッドSR)、赤色219号(ブリリアントレーキレッドR)、赤色220号(ディープマルーン)、赤色221号(トルイジンレッド)、赤色228号(パーマトンレッド)、だいだい色203号(パーマネントオレンジ)、だいだい色204号(ペンチジンオレンジG)、黄色205号(ペンチジンイエローG)、赤色404号(ブリリアントファストスカーレット)、赤色405号(パーマネントレッドF5R)、だいだい色401号(ハンザオレンジ)、黄色401号(ハンザイエロー)、青色404号(フタロシアニンブルー)等が挙げられる。
前記天然色素としては、例えば、カルチノイド系色素、フラボノイド系色素、フラビン系色素、キノン系色素、ポルフィリン系色素、ジケトン系色素、ベタシアニジン系色素等が挙げられる。前記カルチノイド系色素としては、例えば、カロチン、カロチナール、カプサンチン、リコピン、ビキシン、クロシン、カンタキサンチン、アナトー等が挙げられる。前記フラボノイド系色素としては、例えば、シソニン、ラファニン、エノシアニン等のアントシアニジン類;サフロールイエロー、ベニバナ等のカルコン類;ルチン、クエルセチン等のフラボノール類;カカオ色素等のフラボン類等が挙げられる。前記フラビン系色素としては、例えば、リボフラビン等が挙げられる。前記キノン系色素としては、例えば、ラッカイン酸、カルミン酸(コチニール)、ケルメス酸、アリザリン等のアントラキノン類;シコニン、アルカニン、エキノクローム等のナフトキノン類等が挙げられる。前記ポルフィリン系色素としては、例えば、クロロフィル、血色素等が挙げられる。前記ジケトン系色素としては、例えば、クルクミン(ターメリック)等が挙げられる。前記ベタシアニジン系色素としては、例えば、ベタニン等が挙げられる。
前記無機顔料としては、例えば、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、カオリン、ベントナイト、マイカ、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸マグネシウム、重質炭酸マグネシウム、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、グンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、カラミン等が挙げられる。
前記着色剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記着色剤の配合割合は、特に制限されないが、例えば、前記溶液または前記澱粉誘導体含有水系エマルション100重量部に対して、0.001〜400重量部の範囲であり、好ましくは、0.01〜200重量部の範囲である。
前記水系塗料用組成物は、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、体質顔料、メタリック顔料、着色パール顔料、流動性調整剤、ハジキ防止剤、垂れ止め防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、艶消し剤、艶出し剤、防腐剤、硬化促進剤、硬化触媒、擦り傷防止剤、消泡剤、ブロック剤等が挙げられる。
前記水系塗料用組成物は、例えば、前記溶液または前記澱粉誘導体含有水系エマルションに、必要に応じて前記硬化剤と前記着色剤等の他の添加成分とを溶解若しくは分散することで製造できる。前記水系塗料用組成物は、例えば、ローラー塗装、刷毛塗装、浸漬塗装、スプレー塗装(例えば、非静電塗装、静電塗装等)、カーテンフロー塗装等により塗装することができる。
前記水系塗料用組成物は、例えば、熱風乾燥機、赤外乾燥機、遠赤外乾燥機等を用いて熱硬化させることができる。塗膜の厚みは、特に制限されないが、例えば、1〜200μmの範囲であり、好ましくは、2〜150μmの範囲である。
前記水系塗料用組成物が塗装される被塗物としては、特に制限されないが、例えば、プラスチック、金属、ガラス、陶器、木材、植物、岩、砂等が挙げられる。
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例および比較例によってなんら限定ないし制限されない。また、各実施例および比較例における各種特性および物性の測定および評価は、下記の方法により実施した。
(変性澱粉のラジカル重合性官能基置換度)
変性澱粉を90%エタノール溶液に懸濁し、塩酸処理してラジカル重合性官能基(マレイン酸エステル)のカルボキシル基を酸型とした。その後、前記溶液をガラス漏斗で吸引ろ過し、90%エタノール溶液で数回洗浄することで、残留する塩酸を完全に除去した。その後、前記塩酸処理した変性澱粉を所定量用い、90℃に加温しながら水に完全に溶解した後、水酸化ナトリウム(NaOH)にて中和滴定することでカルボキシル基含量を定量し、これを用いてラジカル重合性官能基置換度を算出した。
(水系エマルションの不揮発分)
加熱式水分計を用いて200℃における重量変化が0.1%/分となった時点で測定した重量と、測定開始前の水系エマルションの重量とから、不揮発分を算出した。
(水系エマルションの粘度)
水系エマルションの粘度は、EM型粘度計を用いて25℃、50rpmの条件で測定した。
(塗膜の作製)
まず、篩を用いて、水系塗料用組成物から沈殿物等を除去した。ついで、ガラス板(12cm×17cm)に、前記水系塗料用組成物を2mL程度滴下し、フィルムアプリケーター(TPG−1206、TP技研(株)製)を用いて引き伸ばした。つぎに、液垂れしなくなるまで室温で乾燥させた後、60℃の乾燥機に60分投入した。その後、常温・常湿下で24時間静置させて調湿を行った。ただし、下記塗膜の乾燥性評価には、前記乾燥機から取り出した後、室温まで冷却したのみで前記調湿を行っていない塗膜を用いた。
(塗膜の乾燥性)
前記乾燥機から取り出した後、室温まで冷却した塗膜表面の指触乾燥性を、下記評価基準に従って評価した。
塗膜の乾燥性 評価基準
◎:塗膜が硬く、爪で押しても痕がつかなかった。
○:塗膜に弾力があるが、爪で押しても痕がつかなかった。
△:塗膜に弾力があり、爪で押すと痕がついた。
×:塗膜に粘着感があり、指で触ると指紋がついた。
(塗膜の仕上り性)
塗膜の仕上り性を、下記評価基準に従って目視評価した。
塗膜の仕上り性 評価基準
◎:良好な仕上りであった。
○:塗膜にごくわずかにうねりがあるが良好な仕上りであった。
△:塗膜にうねり、ツヤビケ、チリ肌がみられた。
×:塗膜にうねり、ツヤビケ、チリ肌が顕著にみられた。
(塗膜の鉛筆硬度)
JIS K 5600−5−4(1999)に準じて、塗膜表面に対し約45度の角度に鉛筆の芯を当て、芯が折れない程度に強く押し付けながら前方に均一な速さで約10mm動かした。これを試験箇所を変えて5回繰り返して塗膜が破れなかった場合の最も硬い鉛筆の硬度表記を塗膜の鉛筆硬度とした。
(塗膜の耐摩擦性)
市販の名刺を塗膜に押し当てて20往復こすった後のキズを、下記評価基準に従って評価した。
塗膜の耐摩擦性 評価基準
◎:塗膜に全くキズがつかなかった。
○:塗膜にごくわずかにキズがついた。
△:塗膜にキズが少し認められた。
×:塗膜にキズが著しく認められた。
(塗膜の付着性)
JIS K 5600−5−6(1999)に準じて、塗膜に1mm×1mmの碁盤目100個を作った。前記塗膜の表面に粘着テープを貼着し、急激に剥がした後に残った碁盤目の数(残存数/100)を、下記評価基準に従って評価した。
塗膜の付着性 評価基準
◎:100/100
○:99/100
△:90/100〜98/100
×:0/100〜89/100
(塗膜の耐アルカリ性)
塗膜表面に1%のNaOH水溶液を0.5mL滴下した後、温度20℃、相対湿度65%の雰囲気下に24時間放置した。前記放置後、ガーゼで拭き取った後の前記塗膜表面を、下記評価基準に従って目視評価した。
塗膜の耐アルカリ性 評価基準
◎:塗膜表面に全く異常がなかった。
○:塗膜表面に白化がわずかにみられた。
△:塗膜表面に白化がみられた。
×:塗膜表面に白化が顕著にみられた。
(塗膜の耐溶剤性)
塗膜の上に濾紙をひき、78%エタノールおよび2%ホルマリンをスポイトで滴下した。これを1時間間隔で5回行った後、2時間放置してから、塗膜表面の変化を、下記評価基準に従って目視評価した。
塗膜の耐溶剤性 評価基準
○:塗膜に全く異常がなかった。
△:塗膜に軽度のフクレ・はがれがみられた。
×:塗膜が溶解した。
[実施例1]
(1)変性澱粉生成工程
酸処理後のコーンスターチ310gと少量の水に溶解したマレイン酸55gとを粉体混合し、フラッシュドライヤーで予備乾燥させた後、130℃で300分乾式反応させた。このようにして、ラジカル重合性官能基置換度が0.22、重量平均分子量が約218,000の変性澱粉MES−1を得た。
(2)澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程
超音波洗浄器および吸引ポンプを用いて適当量の脱気した蒸留水を用意した。ついで、前記蒸留水を160g採取して、これに前記変性澱粉MES−1を4g加えて6.3w/w%のスラリーを得た。つぎに、前記スラリーを90℃に熱して糊化させた。つぎに、前記糊化物4.0gにラジカル重合性モノマー(BMA28.8gおよび2EHA7.2g)とドデシル硫酸ナトリウム1.2gを添加し、撹拌することでプレエマルションを形成した。また、前記蒸留水100.0gを80℃に加熱した後、ドデシル硫酸ナトリウム0.4gおよびペルオキソ二硫酸カリウム0.8gを添加し、5分間撹拌して溶解させた。この溶液を撹拌しながら、前記プレエマルションを90分かけて滴下した。その後、さらに150分撹拌し、乳化重合した。このようにして、本実施例の水系塗料用組成物(澱粉誘導体含有水系エマルション)を得た。
[実施例2]
(1)変性澱粉生成工程
コーンスターチ500gと少量の水に溶解したマレイン酸48.5gとを粉体混合し、フラッシュドライヤーで予備乾燥させた後、130℃で300分乾式反応させた。このようにして、ラジカル重合性官能基置換度が0.12、重量平均分子量が約97,300の変性澱粉MES−2を得た。
(2)澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程
前記変性澱粉MES−2を用いたこと以外は、実施例1の澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程と同様にして、本実施例の水系塗料用組成物(澱粉誘導体含有水系エマルション)を得た。
[実施例3]
(1)変性澱粉生成工程
実施例1の変性澱粉生成工程と同様にして、前記変性澱粉MES−1を得た。
(2)澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程
前記変性澱粉MES−1 20gを含有する糊化物に、BMA16.0gおよび2EHA4.0gを添加したこと以外は、実施例1の澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程と同様にして、本実施例の水系塗料用組成物(澱粉誘導体含有水系エマルション)を得た。
[実施例4]
(1)変性澱粉生成工程
実施例2の変性澱粉生成工程と同様にして、前記変性澱粉MES−2を得た。
(2)澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程
前記変性澱粉MES−2 20gを含有する糊化物に、BMA16.0gおよび2EHA4.0gを添加したこと以外は、実施例2の澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程と同様にして、本実施例の水系塗料用組成物(澱粉誘導体含有水系エマルション)を得た。
[実施例5]
実施例1で得られた澱粉誘導体含有水系エマルションに、下記表1に示す割合で、着色剤および添加剤を配合することで、本実施例の水系塗料用組成物を得た。
(表1)
配合量(重量部)
澱粉誘導体含有水系エマルション 50.0
着色剤(二酸化チタン)(タイピュア(登録商標)、デュポン社製) 45.0
消泡剤(KS496A、信越化学社製) 0.6
増粘剤(エマノーン 3299RV、花王社製) 0.4
増粘助剤(スマック MP−70、花王社製) 4.0
[実施例6]
実施例2で得られた澱粉誘導体含有水系エマルションを用いたこと以外は、実施例5と同様にして、本実施例の水系塗料用組成物を得た。
[実施例7]
実施例3で得られた澱粉誘導体含有水系エマルションを用いたこと以外は、実施例5と同様にして、本実施例の水系塗料用組成物を得た。
[実施例8]
実施例4で得られた澱粉誘導体含有水系エマルションを用いたこと以外は、実施例5と同様にして、本実施例の水系塗料用組成物を得た。
[実施例9]
実施例1で得られた澱粉誘導体含有水系エマルションに、下記表2に示す割合で、硬化剤、着色剤および添加剤を配合することで、本実施例の水系塗料用組成物を得た。
(表2)
配合量(重量部)
澱粉誘導体含有水系エマルション 50.0
硬化剤(イソシアネート系、エラストロンBN−69、第一工業製薬社製) 20.0
着色剤(二酸化チタン)(タイピュア(登録商標)、デュポン社製) 25.0
消泡剤(KS496A、信越化学社製) 0.6
増粘剤(エマノーン 3299RV、花王社製) 0.4
増粘助剤(スマック MP−70、花王社製) 4.0
[実施例10]
実施例2で得られた澱粉誘導体含有水系エマルションを用いたこと以外は、実施例9と同様にして、本実施例の水系塗料用組成物を得た。
[実施例11]
実施例3で得られた澱粉誘導体含有水系エマルションを用いたこと以外は、実施例9と同様にして、本実施例の水系塗料用組成物を得た。
[実施例12]
実施例4で得られた澱粉誘導体含有水系エマルションを用いたこと以外は、実施例9と同様にして、本実施例の水系塗料用組成物を得た。
[比較例1]
(1)バイオマス準備工程
澱粉に酸処理を施し、重量平均分子量が約14,400の酸処理澱粉を得た。
(2)水系エマルション生成工程
前記酸処理澱粉を用いたこと以外は、実施例1の澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物(水系エマルション)を得た。
[比較例2]
(1)バイオマス準備工程
市販のコーンフラワー(サニーメイズ社製、コーンを粉砕したコーン粉)を準備した。
(2)水系エマルション生成工程
前記コーンフラワー 4gを含有するスラリーを90℃に加熱したものを用いたこと以外は、実施例1の澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物(水系エマルション)を得た。
[比較例3]
(1)バイオマス準備工程
市販のアラビノキシラン(日本食品化工社製、重量平均分子量約53,000)を準備した。
(2)水系エマルション生成工程
前記アビキノシラン を4g含有するスラリーを90℃に加熱したものを用いたこと以外は、実施例1の澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物(水系エマルション)を得た。
[比較例4]
(1)バイオマス準備工程
市販のキトサン(キミカキトサン、キミカ社製)を準備した。
(2)水系エマルション生成工程
前記キトサン 4gを含有するスラリーを90℃に加熱したものを用いたこと以外は、実施例1の澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物(水系エマルション)を得た。
[比較例5]
(1)バイオマス準備工程
比較例1のバイオマス準備工程と同様にして、前記酸処理澱粉を得た。
(2)水系エマルション生成工程
前記酸処理澱粉 20gを含有する糊化物に、BMA16.0gおよび2EHA4.0gを添加したこと以外は、比較例1の水系エマルション生成工程と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物(水系エマルション)を得た。
[比較例6]
(1)バイオマス準備工程
比較例2のバイオマス準備工程と同様にして、前記コーンフラワーを準備した。
(2)水系エマルション生成工程
前記コーンフラワー 20gを含有するスラリーを90℃に加熱したものに、BMA16.0gおよび2EHA4.0gを添加したこと以外は、比較例2の水系エマルション生成工程と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物(水系エマルション)を得た。
[比較例7]
(1)バイオマス準備工程
比較例3のバイオマス準備工程と同様にして、前記アラビノキシランを準備した。
(2)水系エマルション生成工程
前記アラビノキシラン 20gを含有するスラリーを90℃に加熱したものに、BMA16.0gおよび2EHA4.0gを添加したこと以外は、比較例3の水系エマルション生成工程と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物(水系エマルション)を得た。
[比較例8]
(1)バイオマス準備工程
比較例4のバイオマス準備工程と同様にして、前記キトサンを準備した。
(2)水系エマルション生成工程
前記キトサン 20gを含有するスラリーを90℃に加熱したものに、BMA16.0gおよび2EHA4.0gを添加したこと以外は、比較例4の水系エマルション生成工程と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物(水系エマルション)を得た。
[比較例9]
比較例1で得られた水系エマルションを用いたこと以外は、実施例5と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物を得た。
[比較例10]
比較例2で得られた水系エマルションを用いたこと以外は、実施例5と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物を得た。
[比較例11]
比較例3で得られた水系エマルションを用いたこと以外は、実施例5と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物を得た。
[比較例12]
比較例4で得られた水系エマルションを用いたこと以外は、実施例5と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物を得た。
[比較例13]
比較例5で得られた水系エマルションを用いたこと以外は、実施例5と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物を得た。
[比較例14]
比較例6で得られた水系エマルションを用いたこと以外は、実施例5と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物を得た。
[比較例15]
比較例7で得られた水系エマルションを用いたこと以外は、実施例5と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物を得た。
[比較例16]
比較例8で得られた水系エマルションを用いたこと以外は、実施例5と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物を得た。
[比較例17]
比較例1で得られた水系エマルションを用いたこと以外は、実施例9と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物を得た。
[比較例18]
比較例2で得られた水系エマルションを用いたこと以外は、実施例9と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物を得た。
[比較例19]
比較例3で得られた水系エマルションを用いたこと以外は、実施例9と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物を得た。
[比較例20]
比較例4で得られた水系エマルションを用いたこと以外は、実施例9と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物を得た。
[比較例21]
比較例5で得られた水系エマルションを用いたこと以外は、実施例9と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物を得た。
[比較例22]
比較例6で得られた水系エマルションを用いたこと以外は、実施例9と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物を得た。
[比較例23]
比較例7で得られた水系エマルションを用いたこと以外は、実施例9と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物を得た。
[比較例24]
比較例8で得られた水系エマルションを用いたこと以外は、実施例9と同様にして、本比較例の水系塗料用組成物を得た。
実施例1〜4で生成した変性澱粉および比較例1〜4で準備したバイオマスの種類および重量平均分子量、実施例1〜4で得られた澱粉誘導体含有水系エマルションおよび比較例1〜4で得られた水系エマルションのラジカル重合性官能基置換度および評価結果を、下記表3に示す。
Figure 0005610425
実施例1、2および比較例1〜3の塗膜の評価結果を下記表4に示す。なお、比較例4については、前記手法では、塗膜を作成できなかった。
(表4)
乾燥性 仕上り性 鉛筆硬度 耐摩擦性 付着性 耐アルカリ性 耐溶剤性
実施例1 ○ ◎ F ◎ ◎ ○ ○
実施例2 ○ ◎ F ○ ◎ △ ○
比較例1 ○ ○ B ○ × × ○
比較例2 ○ ×ヒビ HB ◎ × △ ○
比較例3 ○ △ B ×ハガレ ○ × ○
前記表4に示すとおり、実施例1、2では、比較例1〜3と比較して塗膜の評価結果が良好であった。
実施例3、4および比較例5〜7の塗膜の評価結果を下記表5に示す。なお、比較例8については、前記手法では、塗膜を作成できなかった。
(表5)
乾燥性 仕上り性 鉛筆硬度 耐摩擦性 付着性 耐アルカリ性 耐溶剤性
実施例3 ○ ○ F ○ ◎ ○ ○
実施例4 ○ ○ F ○ ○ △ ○
比較例5 ○ ×ヒビ B ○ × × ○
比較例6 ○ ×ヒビ HB ◎ × △ ○
比較例7 ○ ×ヒビ B ×ハガレ ○ × ○
前記表5に示すとおり、変性澱粉含有水系エマルションの不揮発分中の変性澱粉含有量が10w/w%である実施例1、2に対し、50w/w%とした実施例3、4では、水系エマルションの不揮発分中のバイオマス含有量が10w/w%である比較例1〜3に対し、50w/w%とした比較例5〜7と比較して塗膜の評価結果が良好であった。
実施例5、6および比較例9〜11の塗膜の評価結果を下記表6に示す。なお、比較例12については、前記手法では、塗膜を作成できなかった。
(表6)
乾燥性 仕上り性 鉛筆硬度 耐摩擦性 付着性 耐アルカリ性 耐溶剤性
実施例5 ○ ◎ F ◎ ◎ ○ ○
実施例6 ○ ◎ F ○ ◎ △ ○
比較例9 ○ ○ B ○ × × ○
比較例10 ○ ×ヒビ HB ◎ × △ ○
比較例11 ○ △ B ×ハガレ ○ × ○
前記表6に示すとおり、澱粉誘導体含有水系エマルションそのものを塗料用組成物とした実施例1、2に対し、着色剤および添加剤を配合した実施例5、6では、実施例1、2と塗膜の評価結果が同等であり、水系エマルションそのものを塗料用組成物とした比較例1〜3に対し、着色剤および添加剤を配合した比較例9〜11と比較して塗膜の評価結果が良好であった。
実施例7、8および比較例13〜15の塗膜の評価結果を下記表7に示す。なお、比較例16については、前記手法では、塗膜を作成できなかった。
(表7)
乾燥性 仕上り性 鉛筆硬度 耐摩擦性 付着性 耐アルカリ性 耐溶剤性
実施例7 ○ ○ F ○ ◎ ○ ○
実施例8 ○ ○ F ○ ○ △ ○
比較例13 ○ ×ヒビ B ○ × × ○
比較例14 ○ ×ヒビ HB ◎ × △ ○
比較例15 ○ ×ヒビ B ×ハガレ ○ × ○
前記表7に示すとおり、澱粉誘導体含有水系エマルションそのものを塗料用組成物とした実施例3、4に対し、着色剤および添加剤を配合した実施例7、8では、実施例3、4と塗膜の評価結果が同等であり、水系エマルションそのものを塗料用組成物とした比較例5〜7に対し、着色剤および添加剤を配合した比較例13〜15と比較して塗膜の評価結果が良好であった。
実施例9、10および比較例17〜19の塗膜の評価結果を下記表8に示す。なお、比較例20については、前記手法では、塗膜を作成できなかった。
(表8)
乾燥性 仕上り性 鉛筆硬度 耐摩擦性 付着性 耐アルカリ性 耐溶剤性
実施例9 ○ ◎ H ◎ ◎ ◎ ○
実施例10 ○ ◎ H ◎ ◎ ○ ○
比較例17 ○ ○ B ○ × × ○
比較例18 ○ ×ヒビ HB ◎ × △ ○
比較例19 ○ △ B ×ハガレ ○ × ○
前記表8に示すとおり、実施例5、6の着色剤の一部を硬化剤に変更した実施例9、10では、実施例5、6よりも塗膜の評価結果に向上がみられ、比較例9〜11の着色剤の一部を硬化剤に変更した比較例17〜19と比較して塗膜の評価結果が良好であった。
実施例11、12および比較例21〜23の塗膜の評価結果を下記表9に示す。なお、比較例24については、前記手法では、塗膜を作成できなかった。
(表9)
乾燥性 仕上り性 鉛筆硬度 耐摩擦性 付着性 耐アルカリ性 耐溶剤性
実施例11 ○ ○ H ◎ ◎ ○ ○
実施例12 ○ ○ H ○ ◎ ○ ○
比較例21 ○ ×ヒビ B ○ × × ○
比較例22 ○ ×ヒビ B ◎ × △ ○
比較例23 ○ ×ヒビ B ×ハガレ ○ × ○
前記表9に示すとおり、実施例7、8の着色剤の一部を硬化剤に変更した実施例11、12では、実施例7、8よりも塗膜の評価結果に向上がみられ、比較例13〜15の着色剤の一部を硬化剤に変更した比較例21〜23と比較して塗膜の評価結果が良好であった。
以上のように、本発明によれば、耐水性、耐溶剤性および機械特性に優れた変性澱粉を含有し、かつ変性澱粉が安定に分散した、環境負荷低減への寄与の大きく、塗膜性能に優れた水系塗料用組成物を低コストで得ることが可能である。本発明の水系塗料用組成物の用途は、特に限定されず、塗料分野に広く適用可能である。

Claims (9)

  1. 変性澱粉を含有する水系塗料用組成物の製造方法であって、
    澱粉の水酸基の一部を、ラジカル重合性官能基で置換することで変性澱粉を生成する変性澱粉生成工程を含み、
    前記変性澱粉生成工程を、澱粉とラジカル重合性不飽和基を有する酸とを、乾式反応で脱水縮合させることで実施し、
    前記変性澱粉の重量平均分子量が、300,000以下であることを特徴とする水系塗料用組成物の製造方法。
  2. さらに、前記変性澱粉とラジカル重合性モノマーとを水系溶媒中で乳化重合することで澱粉誘導体含有水系エマルションを生成する澱粉誘導体水系エマルション生成工程を含む請求項1記載の水系塗料用組成物の製造方法。
  3. 前記変性澱粉生成工程において、前記ラジカル重合性官能基への置換度が、前記澱粉の糖残基1個当たりの平均値で、0.01〜1の範囲である請求項1または2記載の水系塗料用組成物の製造方法。
  4. 前記酸が、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、フマル酸、桂皮酸、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選択される少なくとも一種の酸である請求項1から3のいずれか一項に記載の水系塗料用組成物の製造方法。
  5. 前記ラジカル重合性官能基が、マレイン酸エステルおよびイタコン酸エステルの少なくとも一方である請求項1から4のいずれか一項に記載の水系塗料用組成物の製造方法。
  6. 前記澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程において、前記変性澱粉(A)と前記ラジカル重合性モノマー(B)との重量比が、A:B=5:95〜50:50の範囲である請求項2からのいずれか一項に記載の水系塗料用組成物の製造方法。
  7. 前記澱粉誘導体含有水系エマルション生成工程において、乳化剤を用いる請求項2からのいずれか一項に記載の水系塗料用組成物の製造方法。
  8. さらに、硬化剤を配合する硬化剤配合工程を含む請求項1からのいずれか一項に記載の水系塗料用組成物の製造方法。
  9. 前記硬化剤が、ポリカルボジイミド、イソシアネート化合物およびアミノ樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の硬化剤である請求項記載の水系塗料用組成物の製造方法。
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