JP5561728B2 - 光で化合物を流動化・非流動化させる方法 - Google Patents

光で化合物を流動化・非流動化させる方法 Download PDF

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Description

本発明は、材料への光照射により可逆的に流動化−非流動化させる方法に関する。
光照射により流動性が変化する材料として光硬化性樹脂がある。光硬化性樹脂は液体の材料に光照射を行うと流動性を失って固化するものであり、接着剤等に広く使われている。主に重合反応や架橋反応の進行により硬化する。化学結合の形成を伴うために反応は不可逆である。
これに対し、溶媒などの流体を光反応性の添加材料で固化したゲルが、光反応による分子構造変化に伴って溶けたゾル状態への転移し、この状態変化が可逆的に行なえる例がいくつか知られている。
例えば、特許文献1では、添加剤として、特定の非対称アゾベンゼン誘導体を用いることが提案されている。しかしながら、該ゲル−ゾル転移では、添加剤を溶媒に溶解させた溶液を用いることによってゾルやゲルの形態を発現させるものであるため、溶媒等が乾燥してしまう環境下では可逆性を失うため使えない。
溶媒等を含まず、可逆的光反応により相転移が起こる例としては、液晶の光相転移がある(非特許文献1、2)。主に流動的なネマチック相から同じく流動的な等方性液体へ可逆転移する例が広く知られている。この場合、流動性はほとんど変化しないが、光学特性が劇的に変化する。
これに対して、ベースの液晶性化合物に光応答性を有する化合物を混合することにより、液晶組成物の流動性を可逆的に制御できるようにしたものも提案されている(特許文献2、3)。
特開2007−70490号公報 特開2002−285161号公報 特開2003−238962号公報 特開2008−303209号公報
S.Tazuke, S.Kurihara and T.Ikeda, Chem.Lett., 1987,911. T.Ikeda J.Mater.Chem., 2003,13,2037-2057 H.Akiyama, A.Tanaka, H.Hiramatsu, J.Nagasawa and N.Tamaoki, J.Mater.Chem., 2009,19,5956-5963
以上のように、光照射により可逆的に流動化−非流動化させる方法に用いられているこれまでの材料は、溶媒又は液晶化合物に、ゲル化剤として添加されたものであり、化合物自体に光照射して、可逆的に流動化−非流動化させる方法は知られていない。
すなわち、一般に、液体から固体への変化は、液体状態では分子の運動や変形を妨げないので反応が進行しやすいが、固体、特に結晶状態では分子が密に詰まっていることから自由体積が小さくなり、分子運動の制約から反応性が著しく低下する。結晶中で光反応が起こるのは、適当な分子間配置を取れる特殊条件下においてのみである。したがって、光反応により可逆的に液体−固体変化させることは一般的に難しいといえる。固体状態−液体状態を可逆的に変化させる化合物については、固体状態を保ちつつ、結晶性を低下した材料を使うことが必要である。
本発明は、こうした現状を鑑みてなされたものであって、材料への光照射により可逆的に流動化−非流動化させる方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、光異性化基をもつ化合物において、結晶性を低下させることで、その固体状態での光反応を可能とし、材料の流動性を外部からの光照射により光異性化させることにより可逆的に制御することができるという着想から鋭意研究した結果、分子内に複数の光異性化基を有する特定の化合物に対する光照射により流動性を可逆的に制御できることを見出した。
すなわち、本発明らは、コレステリック液晶に、複数の光異性化基を有する糖アルコールを添加することにより、大きなピッチシフト効果をもたらすとともに、色固定後も固定色を安定に保存できることを既に見いだしている(上記特許文献4・非特許文献3参照)。
本発明者らは、該化合物について更に検討を重ねた結果、該化合物は流動性のない固体状態をとるが、結晶性を示さない該化合物への光の照射により液体状態に転移させ、可逆的に流動性を制御することができることを見いだした。
本発明はこれらの知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]下記の一般式(1)又は(2)で表される化合物を可逆的に流動化・非流動化させる方法であって、該化合物に300nm〜400nmの波長の光を照射することにより流動化させ、この流動化した化合物に、400nm〜600nmの波長の可視光を照射するか、該化合物が流動化する温度未満の温度で加熱するか、或いは、暗所に室温(25℃)で放置することにより非流動化させることを特徴とする、可逆的流動化・非流動化方法。
Figure 0005561728
Figure 0005561728
〔式(1)、(2)中、Rは、下記の一般式(3)で表される基であり、nは、1〜4の整数を示す。〕
Figure 0005561728
(式(3)中、mは0〜16の整数を示し、lは1〜16の整数を示す。)〕
[2]前記化合物に、露光量として0.5〜200J/cm2の紫外光を照射することを特徴とする上記[1]の方法。
[3]前記化合物に、可視光波長として400nm〜600nmの光を用いることを特徴とした上記[1]又は[2]の方法。
[4]前記化合物に、10〜60℃で光照射を行うことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの方法。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの方法により可逆的に接着、脱着ができる接着剤。
本発明によれば、上記の化合物への波長の異なる光照射により、その流動化を可逆的に制御することができる。また、本発明の方法を用いることにより、可逆的に接着、脱着ができる接着剤を提供することが可能となる。
本発明の方法は、材料への波長の異なる光照射により、その流動性を可逆的に制御する方法であり、分子中にシス−トランス光異性化可能な官能基を複数もち、流動性を失った固体状態においても立体的な要因により分子内の光異性化官能基が密に詰まらずシス−トランス光異性化可能な状態にある、下記の一般式(1)又は(2)で示される化合物が用いられる。
Figure 0005561728
Figure 0005561728
〔式(1)、(2)中、Rは、下記の一般式(3)で表される基であり、nは、1〜4の整数を示す。〕
Figure 0005561728
(式(3)中、mは0〜16の整数を示し、lは1〜16の整数を示す。)〕
本発明で用いる上記一般式(1)で示される化合物は、特許文献4に記載されており、一般式(2)で示される化合物は、非特許文献3に記載されており、いずれも既に公知の化合物である。
上記の一般式(1)又は(2)で示される化合物は、複数の光反応性部位が化学的に繋がれており、この連結部分の存在により光反応性部位の自由度が低下しており、配列が出来ずに光反応が可能である化合物である。
本発明の方法では、これに紫外光を照射すると、固体状態からの反応の後、分子構造の大きな変化によって流動性の液体に転移し、次に、波長を変えて再光照射するか、該化合物が流動化する温度未満の温度で加熱するか、或いは、単に暗所に室温(25℃)で放置することで、逆反応が起きて再び流動性を失って固化し、これを繰り返すことができる。
本発明の化合物の流動性を光照射で制御する方法について、一般式(1)又は(2)の一例として、下記の化学式で示される化合物を用いて具体的に説明する。
Figure 0005561728
上記の化学式で示される化合物中の光異性化基が、E体の時には流動性が消失し、Z体の時は流動性が付与される。アゾベンゼンの場合、365nm付近の紫外線を照射することでZ体へ異性化し、500nm付近の可視光を照射することで速やかにE配置をとる。また、Z体は、該化合物が流動化する温度未満の温度で加熱するか、或いは、単に、暗所で室温(25℃)に放置することによっても、徐々にE体へ変化する。
本発明の化合物に光照射を行うことにより、該化合物の流動性を制御する方法において、その露光量は光源の種類によって異なるが、通常は、0.5〜200J/cm2であり、好ましくは1.0〜150J/cm2であり、さらに好ましくは3.0〜80J/cm2である。
また、本発明の光照射は、10〜60℃の温度条件下で行われるのが好ましい。
また、本発明の方法を用いることにより、可逆的に接着、脱着させることができる接着剤を提供することが可能となる。すなわち、本発明の化合物に紫外線を照射して流動化させた後、基材上に塗布し、その後、その上に他の基材を載せて、400nm〜600nmの波長の可視光を照射するか、該化合物が流動化する温度未満の温度で加熱するか、或いは、暗所に室温(25℃)で放置することにより、非流動化させて、両基材を接着することができ、さらに、再度紫外線を照射することにより流動化させて脱着することができる。
本発明の一般式(1)で示される化合物の製造方法は、上記特許文献4に記載されているとおりであって、例えば、前記の化学式で表される化合物は、下記の式
Figure 0005561728
(式中、nは、1〜4の整数を示す)
で示されるアルコールと、下記の式
Figure 0005561728
(式中、mは0〜16の整数を示し、lは1〜16の整数を示す。)
で表されるアゾベンゼン化合物を反応させて製造される。
また、本発明の一般式(2)で示される化合物の製造方法は、上記非特許文献3に記載されているとおりであって、例えば、前記の化学式で表される化合物は、下記の式
Figure 0005561728
(式中、nは、1〜4の整数を示す)
で示されるアルコールと、下記の式
Figure 0005561728
(式中、mは0〜16の整数を示し、lは1〜16の整数を示す。)
で表されるアゾベンゼン化合物を反応させて製造される。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(製造例)
製造例1:1,2,3,4,5,6−O−ヘキサ{11−[4−(4−ヘキシルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデカノイック}−D−マンニトール(AzMn)の合成
4−ヘキシル−4’−ヒドロキシアゾベンゼン1.05gとブロモウンデカン酸0.99gと水酸化カリウム0.46gをエタノール37mlに溶かして100℃で3日間撹拌した。塩酸と酢酸で中和を行い析出物をろ別し水洗いした。これをクロロホルムと酢エチ(9:1)でクロマトカラム分離を行い11−[4−(4−ヘキシルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデカン酸0.90gを得た(収率52%)。
11−[4−(4−ヘキシルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデカン酸0.88gを脱水のジクロロメタン3mlに溶かし、これに塩化チオニル1mlを加えた。1時間加熱還流させたのち溶媒と塩化チオニルを留去して、5mlの脱水ジクロロメタンを加えた。この溶液を、D−マンニトール50mgの脱水ピリジン3ml懸濁液体にゆっくりと加え、室温で4日間撹拌した。暗所でジクロロメタンとヘキサンと酢酸エチル(25:25:1)の混合溶媒を展開溶媒としてクロマトカラム分離をおこない6置換体0.26gを得た(収率33%)。
製造例2:1,2−O−ビス{11−[4−(4−ヘキシルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデカノイック}−エチレングリコール(AzEg)の合成
4−ヘキシル−4’−ヒドロキシアゾベンゼン4.99gとブロモウンデカン酸4.48gと水酸化カリウム1.00gをエタノール26.7mlに溶かしたものを5日間還流した。塩酸で中和を行い、析出物を、ろ別し、水洗いした。これを分液した後、アセトンとギ酸を少々加えて再結晶した。
得られた物質のうち3.5gと水酸化カリウム1.01gを水7.88gとDMSO85.3ml、エタノール30.1mlで溶解し、110℃で1時間還流した。これに酢酸を加えてpH5にし、水を加え、析出物をろ別してメタノールで再結晶して11−[4−(4−ヘキシルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデカン酸2.7gを得た(収率47.4%)。
11−[4−(4−ヘキシルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデカン酸0.50gを脱水のジクロロメタン1.7mlに溶かし、これに塩化チオニル1.1mlを加えた。1時間加熱還流させたのち溶媒と塩化チオニルを留去して、2.83mlの脱水ジクロロメタンを加えた。この溶液を、エチレングリコール23.3mgの脱水ピリジン1.95ml懸濁液体にゆっくりと加え、一晩還流した。ジクロロメタンとヘキサン(7:3)の混合溶媒を展開溶媒としてクロマトカラム分離を行って2置換体25.91mgを得た(収率42.4%)。
製造例3:1,2,3,4−O−テトラ{11−[4−(4−ヘキシルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデカノイック}−l−トレイトール(AzTh)の合成
11−[4−(4−ヘキシルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデカン酸0.70gを脱水のジクロロメタン2.4mlに溶かし、これに塩化チオニル0.79mlを加えた。1時間加熱還流させたのち溶媒と塩化チオニルを留去して、3.9mlの脱水ジクロロメタンを加えた。この溶液を、トレイトール30.47mgの脱水ピリジン3.9ml懸濁液体にゆっくりと加え、4日間還流した。ジクロロメタンと酢酸エチル(9.5:0.5)の混合溶媒を展開溶媒としてクロマトカラム分離で得られたフラクション1をジクロロメタンを展開溶媒としてクロマトカラム分離を行って4置換体235.05mgを得た(収率49.2%)。
製造例4:1,2,3,4−O−テトラ{11−[4−(4−ヘキシルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデカノイック}−エリスリトール(2)(AzEr)の合成
11−[4−(4−ヘキシルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデカン酸0.70gを脱水のジクロロメタン2.4mlに溶かし、これに塩化チオニル0.79mlを加えた。1時間加熱還流させたのち溶媒と塩化チオニルを留去して、3.9mlの脱水ジクロロメタンを加えた。この溶液を、エリスリトール30.5mgの脱水ピリジン2.7ml懸濁液体にゆっくりと加え、2日間還流した。ジクロロメタンと酢酸エチル(9:1)の混合溶媒を展開溶媒としてクロマトカラム分離を行って4置換体207.91mgを得た(収率43.4%)。
製造例5:AzDXyの合成
1,2,3,4−ジ−O−イソプロピリデンキシリトール(1.27g)と水素化ナトリウム(65%、suspension in oil,0.4g)を脱水テトラヒドロフラン(THF,50mL)に室温で溶かし、1:2,3:4−ジ−O−イソプロピリデン−5−O−-トリフルオロメタンスルフォニルキシリトール(1.2eq)の脱水THF(25mL)溶液にゆっくりと加え、12時間室温で攪拌した。溶液を酢酸エチルで希釈して食塩水で洗い、溶媒を留去してシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO;CHCl/EtOAc、4:1)により精製し、無色透明液体1.04gを得た(収率42.5%)。
得られた2,3:4、5:20、30:40、50−テトラ−O−イソプロピリデン−1,10−オキシビス(1−デオキシキシリトール)(1.04g)を2M−HCl(50mL)に加え、これにメタノールを徐々に加えて均一溶液とし、90℃で6時間攪拌した。溶媒を留去して無色透明粘性液体(キシリトール二量体、0.67g)を得た。11−[4−(4−ヘキシルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデカン酸(1.00g、2.14mmol)を脱水のジクロロメタン3.5mlに溶かし、これに塩化チオニル1.2mlを加えた。1時間加熱還流させたのち溶媒と塩化チオニルを留去して、6mlの脱水ジクロロメタンを加えた。この溶液を、キシリトール2量体51mgの脱水ピリジン4.0ml懸濁液体にゆっくりと加え、1日間還流した。ジクロロメタンとヘキサン(2:1)の混合溶媒を展開溶媒としてクロマトカラム分離を行い、引き続きジクロロメタンのみで行って8置換体0.2gを得た(収率30%)。
(実施例1)
製造例1で得られた、1,2,3,4,5,6−O−ヘキサ{11−[4−(4−ヘキシルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデカノイック}−D−マンニトール(AzMn)の粉末を極微量とり、LED光源(日亜)を用いて、366nm付近の紫外線を室温(約25℃)下で照射した。30分間(54J/cm)照射したところ、粉末は液体に変化し、表面張力により変形して半球状の液滴となった。また直交した2枚の偏光子の間でサンプルを観察したところ、暗いままであり、等方性液体であることが分かった。
この液体に室温(約25℃)で510nmの可視光を照射し、直交した2枚の偏光子の間でサンプルを観察したところ、光の透過が見られ、分子配向が起きていることが分かった。またこの状態ではピンに触れても変形することはなく、流動性を失っていることがわかった。
(実施例2)
実施例1と同様に、製造例1で得られたAzMnの光未照射の粉末を極微量とり、LED光源(日亜)を用いて、366nm付近の紫外線を室温(約25℃)下で30分間照射(54J/cm)し、半球状の液滴とした。この液体を半日、25℃、暗所で放置し、直交した2枚の偏光子の間でサンプルを観察したところ干渉光の透過が見られたことから、分子配向が起きていることが分かった。またこの状態ではピンに触れても変形することはなく、流動性を失っていた。
(実施例3)
試料台の温度を60℃にして、この上に製造例1で得られたAzMnの光未照射の粉末を極微量とり、同様にLED光源(日亜)を用いて、366nm付近の紫外線を照射した。10分間照射(18J/cm))したところ、粉末は液体に変化し、表面張力により変形して半球状の液滴となった。また直交した2枚の偏光子の間でサンプルを観察したところ、暗いままであり、等方性液体であることが分かった。
この液体を60℃に保ったままで可視光を照射し、直交した2枚の偏光子の間でサンプルを観察したところ、光の透過が見られ、分子配向が起きていることが分かった。またこの状態ではピンに触れても変形することはなく、流動性を失っていることがわかった。
(実施例4)
製造例1で得られたAzMnの光未照射の粉末を少量とり、120℃まで加熱して液化させカバーガラス(0.2mm厚、18mm角)2枚で挟み薄くのばし室温まで冷却した。この材料を挟み込んだカバーガラス2枚を人差し指と親指で挟んでずらそうと力を加えたが全く動かず、強い接着力が見られた。これにLED光源(日亜)を用いて、366nm付近の紫外線を室温で5分間照射(9J/cm)したところ、ガラス間の材料が液化し、これに伴う接着力の低下によって、カバーガラス2枚は指で挟んで容易にずらすことができた。
この状態で、カバーガラスに可視光を照射すると、材料の固化に伴う接着力の復帰に伴い、指で挟んでずらそうと力を加えても再び動かなくなった。
(実施例6)
製造例3で得られた、1,2,3,4−O−テトラ{11−[4−(4−ヘキシルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデカノイック}−l−トレイトール(AzTh)の粉末を極微量とりLED光源(日亜)を用いて、366nm付近の紫外線を室温(約25℃)下で照射した。30分間照射(54J/cm)したところ、粉末は液体に変化し、表面張力により変形して半球状の液滴となった。また直交した2枚の偏光子の間でサンプルを観察したところ、暗いままであり、等方性液体であることが分かった。
この液体に室温(約25℃)で可視光を照射し、直交した2枚の偏光子の間でサンプルを観察したところ、光の透過が見られ、分子配向が起きていることが分かった。またこの状態ではピンに触れても変形することはなく、流動性を失っていることがわかった。
(実施例7)
製造例4で得られた、1,2,3,4−O−テトラ{11−[4−(4−ヘキシルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデカノイック}−エリスリトール(AzEr)の粉末を極微量とり、LED光源(日亜)を用いて、366nm付近の紫外線を室温(約25℃)下で照射した。30分間照射(54J/cm)したところ、粉末は液体に変化し、表面張力により変形して半球状の液滴となった。また直交した2枚の偏光子の間でサンプルを観察したところ、暗いままであり、等方性液体であることが分かった。
この液体に室温(約25℃)で可視光を照射し、直交した2枚の偏光子の間でサンプルを観察したところ、光の透過が見られ、分子配向が起きていることが分かった。またこの状態ではピンに触れても変形することはなく、流動性を失っていることがわかった。
(実施例8)
製造例5で得られた化合物AzDxyの粉末を極微量とり、0.2W/cmのLED光源(日亜)を用いて、366nm付近の紫外線を室温(約25℃)下で照射した。30分間照射(54J/cm)したところ、粉末は液体に変化し、表面張力により変形して半球状の液滴となった。また直交した2枚の偏光子の間でサンプルを観察したところ、暗いままであり、等方性液体であることが分かった。
この液体に室温(約25℃)で可視光を照射し、直交した2枚の偏光子の間でサンプルを観察したところ、光の透過が見られ、分子配向が起きていることが分かった。またこの状態ではピンに触れても変形することはなく、流動性を失っていることがわかった。
本発明の方法によれば、紫外線と可視光等の照射する光の波長の制御、或いは、紫外線照射と温度の制御等により、可逆的に流動化−非流動化させることができるので、接着剤の分野をはじめとする種々の広い分野での応用が期待できる。

Claims (5)

  1. 下記の一般式(1)又は(2)で表される化合物を可逆的に流動化・非流動化させる方法であって、該化合物に300nm〜400nmの波長の光の照射により流動化させ、この流動化した化合物に可視光を照射するか、該化合物が流動化する温度未満の温度で加熱するか、或いは、暗所に室温(25℃)で放置することにより非流動化させることを特徴とする、可逆的流動化・非流動化方法。
    Figure 0005561728
    Figure 0005561728
    〔式(1)、(2)中、Rは、下記の一般式(3)で表される基であり、nは、1〜4の整数を示す。
    Figure 0005561728
    (式(3)中、mは0〜16の整数を示し、lは1〜16の整数を示す。)〕
  2. 前記化合物に、露光量として0.5〜200J/cmの紫外光を照射することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記化合物に、可視光波長として400nm〜600nmの光を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記化合物に、10〜60℃の温度条件下で光照射を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により可逆的に接着、脱着ができる接着剤。
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