JP5439647B2 - 新規なジアマンタン化合物、液晶性化合物及び液晶性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なジアマンタン化合物及びこれからなる液晶性化合物並びにこの液晶性化合物を含有してなる液晶性組成物に関する。
液晶表示素子は、時計、電卓をはじめとして、各種測定機器、自動車用パネル、ワードプロセッサー、電子手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いられている。液晶表示素子は、液晶物質が持つ光学異方性及び誘電異方性を利用したものである。
液晶表示方式としては、その代表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲスト・ホスト)型、FLC(強誘電性液晶)等があり、また駆動方式としても従来のスタティック駆動からマルチプレックス駆動が一般的になり、更に単純マトリックス方式、最近ではアクティブマトリックス方式が実用化されている。
これらの表示方式や駆動方式に応じて、液晶材料としても種々の特性が要求されており、このためこれまでにも非常に多くの液晶性化合物が合成されている。
液晶性化合物に要求される性質は、その表示方式によって若干異なるが、液晶温度範囲が広いこと、水分、空気、光、熱、電界等に対して安定であること等は、いずれの表示方式においても共通して要求される。
現在のところ単一の液晶性化合物でそのような条件を満たす物質はなく、数種の液晶性化合物を混合し、又は非液晶性化合物を更に混合して実用に供している。複数の化合物を混合すると、必然的にその融点等が低下する。従って、混合によって相転移温度が低下しても、実用的な相転移温度を維持することができるように、単独で高い相転移温度を有する液晶性化合物が求められている。
液晶には、2大別して、サーモトロピック液晶とリオトロピック液晶とがあるが、サーモトロピック液晶のうち、棒状分子からなるカラミティック液晶がエレクトロニクス技術と融合して盛んに研究が進められている。
カラミティック液晶相にはネマチック液晶相、スメクチック液晶相及びコレステリック液晶相がある。コレステリック液晶相は、ネマチック液晶が不斉要素をもった場合、又はネマチック液晶に不斉な添加剤(カイラルドーパントという)を加えた場合に出現する相である。一般に液晶性を示す物質は、温度が上昇するにつれて、結晶又は固体からスメクチック相、そしてネマチック相へと相変化をし、更に温度が上昇すると等方性液体となる。ネマチック液晶相では、分子はある程度揃った配向を有しているが、分子の位置に関しては規則性がない。ネマチック液晶の各々の分子は、その長軸方向に自由に動くことができるので、粘性が小さいという利点を有している。また、ネマチック液晶相の自由エネルギーは、分子の配向方向に拘らず同じであるので、電界や配向処理等により分子の向きを一定方向に変えることができるため、液晶ディスプレー等に広く応用されている。
このことから、液晶がこのネマチック相を有する温度範囲の下限、即ち、結晶や固体、或いはスメクチック相からネマチック相へ転移する温度が低いことが好ましく、また、ネマチック相から等方性液体に変わる温度(ネマチックアイソトロピック転移温度:TNI。一般に、「透明点」といわれる。)(以下、N−I転移温度)が高く、ネマチック相を示す温度範囲が広いことが好ましい。
これまで、高い透明点を有する液晶性化合物がいくつか報告されている。特許文献1には、トランス−1−シラ−1,4−シクロへキシレン基又はトランス−4−シラ−1,4−シクロへキシレン基と、トランス−1,4−シクロへキシレン基とが連結し、これがカルボニルオキシ基を介してベンゼン環と結合した骨格を有する化合物が記載されており、50℃〜171℃のN−I転移温度が報告されている。
また、特許文献2には、1−(4−メチルベンジリデン)−2−[4−(トランス−4−プロピル)シクロヘキシルベンジリデン]ヒドラジン等の3環性アジンが、227℃〜265℃のN−I転移温度を有することが示され、これらをN−I転移温度116.7℃のホスト液晶に混合することにより、N−I転移温度を144℃〜157℃に上昇させたことが報告されている。
更に、非特許文献1には、1−(4−シアノフェニル)−4−アルキル置換ビシクロ[2.2.2.]オクタンが90〜100℃のN−I転移温度を示すことが報告されている。
特開平8−119975号公報 特開平11−71338号公報 G.W.Grayら、J.Chem.Soc.Perkin II、4765(1981)
本発明者らは、これまで、ダイヤモンド化合物について鋭意研究を進めてきた。ダイヤモンド化合物は、ダイヤモンド骨格を有するかご状の炭化水素である。ダイヤモンド化合物は、原油中に存在することが知られている。ダイヤモンド化合物の最も小さいものはアダマンタンであり、アダマンタンからアダマンタンの融着2量体であるジアマンタン、融着3量体であるトリアマンタン及び融着4量体であるテトラマンタンの1つが合成されている。
ダイヤモンド化合物は、多くの有用な特性を有しており、その代表的なものとして、優れた剛直性、耐久性、熱安定性;多様な三次元幾何構造;キラリティ;電子に対する負の親和性;化学的不活性;等を挙げることができる。
ダイヤモンド化合物やその誘導体は、上記の特性から、ナノスケールの電子機械システム、薬品設計、電界放射体等への応用等、広範な分野で研究が進められている。アダマンタンやその誘導体は、既に薬品、ゼオライト触媒、高耐熱性ポリマーの合成等に利用されている。
このような状況下で、ジアマンタン以上の高次ダイヤモンド化合物についても、その特性を活用できる用途を見出すことは有意義である。
上述のように、高温で液晶性を示す化合物を得るために、分子に様々な構造を導入することが試みられている。しかしながら、十分な成果が挙げられているとはいい難い。
従って、本発明の課題は、優れた液晶性、特に高い相転移温度を有する液晶性化合物を提供することにある。
本発明者らは、ジアマンタンの対称構造に着目し、これに官能基を導入することにより、液晶性を示す可能性があること、そして、その剛直な骨格により熱安定性に優れた液晶相が形成される可能性があることを着想し、その合成及び評価を精力的に進めた結果、予想よりも遥かに優れた液晶性が発揮されることを見出し、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば一般式(I)で表わされるジアマンタン化合物が提供される。
Figure 0005439647
(一般式(I)において、環A及び環Bは、それぞれ、6員環の飽和又は不飽和の、炭素環又はヘテロ環である。これらの環は、置換基として、置換基を有していてもよい炭化水素基、ハロゲン原子又はヘテロ原子を有する基を有していてもよく、これらの置換基は、互いに結合して環を形成していてもよい。R及びRは、それぞれ、直鎖状、分岐状、芳香環状又は脂環状の炭素数1〜18の炭化水素基である。R及びRで表わされる炭化水素基は、その炭素原子の一部がヘテロ原子又はヘテロ原子を有する基で置換されていてもよく、その水素原子の一部がハロゲン原子又はヘテロ原子を有する基で置換されていてもよい。)
本発明のジアマンタン化合物は、一般式(II)で表わされるものであることが好ましい。
Figure 0005439647
(一般式(II)において、R及びRは、一般式(I)におけるそれらと同じである。L及びLは、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、ハロゲン原子又はヘテロ原子を有する基である。m及びnは、それぞれ、1〜4の整数である。)
一般式(II)で表されるジアマンタン化合物は、一般式(III)で表わされるジアマンタン化合物であることが好ましい。
Figure 0005439647
(一般式(III)において、R3及びR4は、それぞれ、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数〜12のアルキニル基、炭素数〜12のアルコキシカルボニル基又は炭素数〜12のアルキロイルオキシ基であり、これらの基の水素原子の一部がハロゲン原子又は周期表第14〜16族に属するヘテロ原子を有する基で置換されていてもよい。)
本発明において、一般式(III)で表わされるジアマンタン化合物のうち、一般式(IV)で表わされるジアマンタン化合物が好ましい。
Figure 0005439647
(一般式(IV)において、R及びRは、それぞれ、置換基を有しない炭素数1〜10のアルキル基である。)
また、本発明において、一般式(III)で表わされるジアマンタン化合物のうち、一般式(V)で表わされるジアマンタン化合物も、また、好ましい。
Figure 0005439647
(一般式(V)において、R及びRは、それぞれ、置換基を有しないn−ペンチル基であり、X及びXは、それぞれ、−CHCH−、−C≡C−又は−COO−である。)
また、本発明によれば、上記一般式(I)で表わされるジアマンタン化合物からなる液晶性化合物が提供される。
また、本発明によれば、上記液晶性化合物を含有してなる液晶性組成物が提供される。
更に本発明によれば、上記液晶性組成物を含有してなる液晶表示素子が提供される。
本発明のジアマンタン化合物は、容易に合成できる新規な化合物であって、熱安定性に優れ、従来の液晶材料に比べて、遥かに高温で液晶性を示す。従って、単独で、また、他の液晶性化合物とからなる液晶性組成物として、車載用ディスプレー等、高温度でも使用可能な液晶材料としての用途が期待できる。
偏光顕微鏡によって昇温及び降温過程において観察された4,9−ビス{4−(1−ヘプチニル)フェニル}ジアマンタンの光学組織である。 (a) 83.9℃ (昇温過程) (ラビング基板) (b) 186.3℃ (昇温過程) (ラビング基板) (c) 218.9℃ (昇温過程) (ラビング基板) (d) 238.0℃ (昇温過程) (ラビング基板) (e) 292.4℃ (昇温過程) (ラビング基板) (f) 255.6℃ (降温過程) (ラビング基板) (g) 233.8℃ (降温過程) (ラビング基板) (h) 195.9℃ (降温過程) (ラビング基板) (i) 195.9℃ (降温過程) (ラビング基板) (j) 134.3℃ (降温過程) (ラビング基板) (k) 24.2℃ (降温過程) (ラビング基板)
本発明のジアマンタン化合物は、一般式(I)で表わされる。
Figure 0005439647
一般式(I)において、環A及び環Bは、それぞれ、6員環の飽和又は不飽和の、炭素環又はヘテロ環である。これらの環は、置換基として、置換基を有していてもよい炭化水素基、ハロゲン原子又はヘテロ原子を有する基を有していてもよく、これらの置換基は、互いに結合して環を形成していてもよい。
及びRは、それぞれ、直鎖状、分岐状、芳香環状又は脂環状の炭素数1〜18の炭化水素基である。R及びRで表わされる炭化水素基は、その炭素原子の一部がヘテロ原子又はヘテロ原子を有する基で置換されていてもよく、その水素原子の一部がハロゲン原子又はヘテロ原子を有する基で置換されていてもよい。
なお、本発明において、ヘテロ原子は、周期表15族及び16族に属する原子のほか、周期表14族に属する原子をも包含する概念である。
ヘテロ原子の具体例としては、周期表15族に属する窒素原子、燐原子及び砒素原子、16族に属する酸素原子、硫黄原子及びセレン原子、並びに14族に属する珪素原子及びゲルマニウム原子を挙げることができる。
ヘテロ原子を有する基の具体例としては、ヒドロキシ基、カルボニル基、ホルミル基、アシル基、カルボニルオキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アシロキシ基等の酸素原子を有する基;アミノ基、ニトリル基、アミド基、イミド基、窒素原子を含有する複素環基(ピリジル基等)等の窒素原子を有する基;チオール基、スルホニル基、スルホン酸基等の硫黄原子を有する基;シリル基、シラノール基、シロキシ基等の珪素原子を有する基;等を挙げることができる。
ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及び沃素原子を挙げることができる。
本発明の一般式(I)で表わされるジアマンタン化合物は、一般式(II)で表わされるものであることが好ましい。
Figure 0005439647
一般式(II)において、R及びRは、一般式(I)におけるそれらと同じである。
及びLは、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、ハロゲン原子又はヘテロ原子を有する基である。L又はLが炭化水素基である場合、それが有していてもよい置換基は、ハロゲン原子又はヘテロ原子を有する基である。
ハロゲン原子及びヘテロ原子を有する基の具体例は、上述のとおりである。
m及びnは、それぞれ、1〜4の整数である。
本発明の一般式(II)で表わされるジアマンタン化合物は、一般式(III)で表わされるものであることが好ましい。
Figure 0005439647
(一般式(III)において、R3及びR4は、それぞれ、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数〜12のアルキニル基、炭素数〜12のアルコキシカルボニル基又は炭素数〜12のアルキロイルオキシ基であり、これらの基の水素原子の一部がハロゲン原子又は周期表第14〜16族に属するヘテロ原子を有する基で置換されていてもよい。)
炭素数1〜12のアルキル基は、直鎖状、分岐状及び脂環状のいずれであってもよい。特に、直鎖状のアルキル基の場合は、分子が真直ぐに伸びた剛直構造をとると、隣接分子との相互作用が増すため、優れた液晶性を示す。
炭素数1〜12のアルコキシ基は、上記アルキル基を有するアルコキシ基である。
炭素数〜12のアルキニル基は、特に限定されない。炭素−炭素三重結合の位置は、特に限定されないが、ベンゼン環にアルキニル基が直接結合しているものは、合成が容易であり、分子の剛直性の観点から、好ましい。
炭素数〜12のアルコキシカルボニル基は、特に限定されない。
また、炭素数〜12のアルキロイルオキシ基も、特に限定されない。
また、炭素数6〜18のアリール基及び炭素数6〜18のアリーロキシ基も、特に限定されない。
また、R3又はR4が分岐を有し、分岐個所が不斉炭素であると、その化合物は、コレステリック液晶又は強誘電性液晶になる可能性がある。
上記一般式(III)で表わされるジアマンタン化合物のうち、特に好ましいものの1つとして、一般式(IV)で表わされるジアマンタン化合物が挙げられる。
Figure 0005439647
一般式(IV)において、R及びRは、それぞれ、置換基を有しない炭素数1〜10のアルキル基である。
及びRで示されるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソアミル基、イソデシル基、2−エチルヘキシル基等を挙げることができる。
及びRは、同一であっても異なっていてもよい。
一般式(IV)で表わされるジアマンタン化合物:4,9−ビス(4−アルコキシフェニル)ジアマンタンは、式(S1a)(R及びRが、いずれも、メチル基又はエチル基の場合。)、又は式(S1b)(R及びRが、いずれも、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基又はn−デシル基の場合)に示す合成ルートによって得ることができる。式中、Rは、アルキル基である。
〔4,9−ビス(4−アルコキシフェニル)ジアマンタン〕の合成(その1)
ジアマンタン1とベンゼンとの反応により、化合物2を得る。ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨードベンゼンを用いて化合物2をヨウ素化し、化合物3を得る。この反応では、嵩高いジアマンタンの立体障害により、ベンゼン環4位で選択的にヨウ素化が進行する。この化合物3の合成ステップの詳細は、米国特許第5347063号明細書に開示されている。
次いで、メタノール−ベンゼン−ジメチルフォルムアミド(以下、「DMF」)の混合溶媒中、ヨウ化銅(I)を触媒として、化合物3をメタノリシスすることによって、R=メチル基である化合物4:4,9−ビス(4−メトキシフェニル)ジアマンタンを得る。
同様に、メタノールに代えてエタノールを用いることにより、R=エチル基である化合物4:4,9−ビス(4−エトキシフェニル)ジアマンタンを得る。
Figure 0005439647
〔4,9−ビス(4−アルコキシフェニル)ジアマンタン〕の合成(その2)
化合物3とn−プロパノールとの、ヨウ化銅(I)、1,10−フェナントロリン及び炭酸セシウムを用いたカップリング反応により、R=n−プロピル基である化合物4:4,9−ビス(4−プロピルオキシフェニル)ジアマンタンを得る。
n−プロパノールに代えて、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール又はn−デカノールを用いて、それぞれ対応する化合物4を得る。
Figure 0005439647
一般式(III)で表わされるジアマンタン化合物のうち、特に好ましいものの他の例として、一般式(V)で表わされるジアマンタン化合物が挙げられる。
Figure 0005439647
一般式(V)において、R及びRは、それぞれ、置換基を有しないn−ペンチル基であり、X及びXは、それぞれ、−CHCH−、−C≡C−又は−COO−である。)
ここで、R及びR並びにX及びXは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。
このようなジアマンタン化合物の具体例として、4,9−ビス{4−(1−ヘプチニル)フェニル}ジアマンタン:一般式(V)において、X及びXが−C≡C−であり、R及びRが置換基を有しないn−ペンチル基であるジアマンタン化合物(Va)、4,9−ビス(4−ヘプチルフェニル)ジアマンタン:一般式(V)において、X及びXが−CHCH−であり、R及びRが置換基を有しないn−ペンチル基であるジアマンタン化合物(Vb)、4,9−ビス(4−ペンチルオキシカルボニルフェニル)ジアマンタン:一般式(V)において、X及びXが−COO−であり(但し、カルボニル基はフェニル基に結合している。)、R及びRが置換基を有しないn−ペンチル基であるジアマンタン化合物(Vc)、及び4,9−ビス(4−ヘキサノイルオキシフェニル)ジアマンタン:一般式(V)において、X及びXが−COO−であり(但し、カルボニル基はn−ペンチル基に結合している。)、R及びRが置換基を有しないn−ペンチル基であるジアマンタン化合物(Vd)を挙げることができる。
これらのジアマンタン化合物は、それぞれ、式(S2)〜(S5)に示す合成ルートによって得ることができる。
〔化合物(Va):4,9−ビス{4−(1−ヘプチニル)フェニル}ジアマンタンの合成〕
Figure 0005439647
〔化合物(Vb):4,9−ビス(4−ヘプチルフェニル)ジアマンタンの合成〕
Figure 0005439647
〔化合物(Vc):4,9−ビス(4−ペンチルオキシカルボニルフェニル)ジアマンタンの合成〕
Figure 0005439647
〔化合物(Vd):4,9−ビス(4−ヘキサノイルオキシフェニル)ジアマンタンの合成〕
Figure 0005439647
本発明のジアマンタン化合物は、通常の有機化合物の合成原料としても勿論使用できるが、液晶性化合物として優れている。
液晶性化合物としては、特に、一般式(IV)及び(V)で表わされるジアマンタン化合物が有用である。
本発明のジアマンタン化合物からなる液晶性化合物は、他の液晶性化合物と混合して、液晶性組成物とすることができる。
液晶性組成物における本発明のジアマンタン化合物からなる液晶性化合物の比率は、特に限定されず、併用される他の液晶性化合物の特性、組成物の粘度、動作温度、用途等を考慮して、適宜、選定することができる。
また、本発明の液晶性組成物は、誘電異方性や粘度等の液晶相の性質を変化させるための添加剤、二色性色素、或いはコレステリック相を誘起するための添加剤(カイラルドーパント)等を含んでいてもよい。
本発明の液晶性組成物を所望形状の電極を有する透明基板間に封入して液晶表示素子を得ることができる。液晶表示素子は、必要に応じて、各種アンダーコート、配向制御用オーバーコート、偏光板、フィルター、反射層等を有してもよい。また、多層セルとしたり、他の表示素子と組み合わせたり、半導体基板を用いたり、或いは光源を用いたりすることもできる。
液晶表示素子の駆動方法としては、ツイステッドネマチック(TN)方式、スーパーツイステッドネマチック(STN)方式、ゲスト−ホスト(GH)方式、ダイナミックスキャタリング(DS)方式、電界制御複屈折(ECB)方式、バーティカルアラインメント(VA)方式、インプレーンスイッチング(IPS)方式等、液晶表示素子の業界で公知の方式を採用することができる。
以下に合成例及び実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
化合物の構造は、プロトン核磁気共鳴スペクトル(H NMR)、質量スペクトル(MS)及び赤外吸収スペクトル(IR)により確認した。
プロトン核磁気共鳴スペクトルの測定条件は、Bruker社製、「DRX300」を用いて、300MHzで、CDCl又はCDC(=O)CD中、TMSを標準として測定した。シグナルの位置は、δ/ppmで示す。
赤外吸収スペクトルは、JASCO社製、「FT/IR−4100」を用い、ダイヤモンドプリズムを用いて、ニート試料について、全反射測定法で測定した。吸収の位置は、波数(cm−1)で示す。
低分解能質量スペクトルは、日本電子社製、「JMS−AX−600」を用いて、EIイオン化法で測定した。強度を相対強度で示す。
相転移温度の測定は、温度調節ステージ(METTLER社製、「FP82HT」)を備えた偏光顕微鏡(OLYMPUS社製、「PXP50」)と示差走査熱量計(DSC)(セイコーインスツルメンツ社製、「DSC6100」)を併用して行った。
示差熱量測定は1〜4mgの試料を用い、窒素雰囲気下で行った。温度走査速度は、昇温、降温過程ともに10〜15℃/minとした。
融点は、矢沢科学社製、微量融点測定装置「BY−2」を用いて測定した。
偏光顕微鏡観察は、液晶試料をラビング配向処理された基板で挟んだものと、よく洗浄したガラス基板で挟んだもので行った。結晶状の試料をいったん等方相(分解するものに関しては流動性のある液晶相)温度まで昇温し、基板をよくすり合わせて液晶をガラスになじませてから再び冷却し、結晶相(一部はガラス相)から昇温過程の観察を行い、等方性液体に転移したところから、冷却を開始し、降温過程の観察を行った。また必要に応じて、温度を一定に保ち、液晶相光学組織の変化の様子も観察した。
(実施例1)
〔4,9−ビス(4−メトキシフェニル)ジアマンタン(化合物(4−1))の合成〕
〔工程1:4,9−ジフェニルジアマンタン(化合物2)の合成〕
Figure 0005439647
300ml三つ口ナスフラスコにジアマンタン(化合物1)(3.10g,16.48mmol,1.0eq.)、塩化アルミニウム(207.1mg,1.55mmol,0.1eq.)、スピナーを入れ、還流管、風船、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液のトラップを取り付け、系を窒素置換した。系内を0℃に冷却し、ベンゼン(35.5ml)をシリンジで加え攪拌した。これに臭化t−ブチル(5.4ml,48.1mmol,2.9eq.)を加えた後、室温に戻しながら1時間攪拌した。0.5mol/l塩酸水溶液で反応をクエンチした後、生成した白色粉末を濾別し、4,9−ジフェニルジアマンタン(化合物2)の粉末結晶(4.01g)を得た。一方、濾液は水、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別、溶媒を減圧留去した後、ヘキサンを加え、沈殿してきた白色固体を濾別し、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:20%クロロホルム/ヘキサン→40%クロロホルム/ヘキサン)で精製し、4,9−ジフェニルジアマンタン(化合物2)の粉末結晶(0.29g)を得た。
収量:4.30g(12.6mmol)
収率:76.6%(ジアマンタンに対して)
H NMR:1.98(18H,s),7.19(2H,tt,J/Hz=7.2,1.6),7.34(4H,t,J/Hz=7.6),7.42(4H,dt,J/Hz=8.4,1.2)
IR:3079(w),3052(w),3014(w),2914(s),2888(s),2849(s),1600(w),1492(m),1461(w),1441(w),1378(w),1350(w),1316(w),1271(w),1248(w),1157(w),1067(w),1049(w),1031(w),1001(w),987(w),966(w),906(w),761(s),699(s),682(w),530(m).
LRMS:342((M+2),4.1),341((M+1),28.6),340(M,100),263((M−C,3.6).
融点:264.5〜265.0℃
〔工程2:4,9−ビス(4−ヨードフェニル)ジアマンタン(化合物3)の合成〕
Figure 0005439647
100ml二つ口ナスフラスコに4,9−ジフェニルジアマンタン(化合物2)(2.14g,6.29mmol,1.0eq.)、ヨウ素(1.815g,7.15mmol)、ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨードベンゼン(5.808g,13.0mmol,2.1eq.)、スピナーを入れ、クロロホルム(42ml)を加えた。この混合物を室温で30分攪拌した。混合物を蒸留水200mlの入った500mlビーカーに移し攪拌した。混合物の紫色が消失するまで亜ジチオン酸を加えた後、水層をクロロホルムで3回抽出し、集めた有機層を水、飽和食塩水で洗い、溶媒を減圧留去した後、ヘキサンを加えた。このとき生じる白色粉末を濾別し、4,9−ビス(4−ヨードフェニル)ジアマンタン(化合物3)を得た。
収量:2.92g(4.93mmol)
収率:74.2%(化合物2に対して)
H NMR:1.92(12H,bs),1.96(4H,bs),1.97(4H,bs),7.15(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.7),7.64(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.7)
IR:2911(s),2874(s),2849(s),1488(m),1461(w),1437(w),1391(m),1243(w),1108(w),1073(m),1048(m),1003(m),984(m),893(w),821(s),796(m),760(w),716(w),699(w),526(s).
LRMS:593((M+1),59.1),592(M,100),466((M−I),54.2),389((M−CI),7.4).
融点:>360℃(融点測定装置の限界を超えるため測定不可)
〔工程3:4,9−ビス(4−メトキシフェニル)ジアマンタン(化合物(4−1))の合成〕
Figure 0005439647
100ml二つ口ナスフラスコに4,9−ビス(4−ヨードフェニル)ジアマンタン(化合物3)(198.9mg,0.336mmol)、スピナーを入れ、系内を窒素置換した。ベンゼン(8.0ml)、4.9mol/lナトリウムメトキシド・メタノール溶液(12.0ml,58.8mmol,175eq.)、DMF(2ml)を加え、還流した。系内が還流し始めたところで、ヨウ化銅(I)(31.2mg,0.164mmol,0.43eq.)を加え、8.5時間還流した。系内が室温になるまで放置し、水、酢酸エチルを加え、これを酢酸エチル/ベンゼン=9:1の混合溶媒で3回抽出し、集めた有機層を水、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別、溶媒を減圧留去した後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:100%クロロホルム→50%クロロホルム/酢酸エチル)で精製し、得られた白色粉末(53.1mg)を、クロロホルム中から再結晶して4,9−ビス(4−メトキシフェニル)ジアマンタン(化合物(4−1))の白色針状結晶を得た。
収量:42.9mg(0.107mmol)
収率:31.9%(化合物3に対して)
H NMR:1.93(18H,br.s),3.80(6H,s),6.88(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.9),7.33(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.2)
IR:3031(w),3004(w),2953(w),2911(s),2875(s),2851(m),1606(m),1509(s),1463(m),1437(m),1301(m),1250(s),1181(s),1115(w),1076(w),1047(w),1033(m),984(s),825(s),795(m),671(w),653(w),582(m),540(s).
LRMS:401((M+1),53),400(M,100).
(実施例2)
〔4,9−ビス(4−エトキシフェニル)ジアマンタン(化合物(4−2))の合成〕
Figure 0005439647
50ml二つ口ナスフラスコに4,9−ビス(4−ヨードフェニル)ジアマンタン(化合物3)(200.9mg,0.339mmol,1.0eq.)、水素化ナトリウム(2.30g,57.5mmol,168eq.)、スピナーを入れ、系内を窒素置換した。これにエタノール(17ml)を加え激しく攪拌した後、ベンゼン(5.0ml)、DMF(2.0ml)を加え、還流した。系内が還流し始めたところで、ヨウ化銅(I)(31.7mg,0.166mmol,0.49eq.)を加え、20.5時間還流した。系内が室温になるまで放置し、3mol/l塩酸水溶液を加え、これをクロロホルムで3回抽出し、集めた有機層を水、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別、溶媒を減圧留去した後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:80%クロロホルム/ヘキサン)で精製し、白色粉末21.9mgを得た。この粉末をクロロホルムから再結晶し、4,9−ビス(4−エトキシフェニル)ジアマンタン(化合物(4−2))の白色針状結晶を得た。
収量:15.3mg(0.0357mmol)
収率:10.4%(化合物3に対して)
H NMR:1.41(6H,t,J/Hz=7.0),4.03(4H,q,J/Hz=7.1),1.93(18H,br.s),4.03(4H,q,J/Hz=7.1),6.87(4H,d(AA’BB’),J/Hz=9.0),7.32(4H,d(AA’BB’),J/Hz=9.0)
IR:3081(w),3031(w),2952(m),2914(m),2882(m),2848(m),1509(m),1458(m),1439(m),1404(w),1349(w),1302(w),1286(w),1269(w),1253(w),1114(w),1075(m),1049(m),1017(w),985(m),965(w),830(s),798(m),727(w),551(s).
LRMS:429((M+1),57),428(M,100),400((M−C,6),186((M−CO),9).
(実施例3)
〔4,9−ビス(4−プロピルオキシフェニル)ジアマンタン(化合物(4−3))の合成〕
Figure 0005439647
30ml二つ口ナスフラスコに、4,9−ビス(4−ヨードフェニル)ジアマンタン(化合物3)(199.8mg,0.337mmol,1.0eq.)、ヨウ化銅(I)(29.1mg,0.153mmol,0.45eq.)、1,10フェナントロリン(無水)(24.3mg,0.135mmol),0.4eq.)、炭酸セシウム(449.1mg,1.38mmol,4.1eq.)、スピナーを入れた。これに、1−プロパノール(0.5ml,6.72mmol,19.9eq.)、トルエン(2.0ml)をシリンジで加え、混合物を激しく攪拌しながら38時間還流を行った。反応後の懸濁液を室温まで冷却し、クロロホルムを加え、クロロホルムに不溶の成分を濾別、溶媒を減圧留去した後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:30%クロロホルム/ヘキサン)で精製して白色粉末(98.5mg)を得た。この白色粉末をクロロホルム/ヘキサンの混合溶媒中から再結晶し4,9−ビス(4−プロピルオキシキシフェニル)ジアマンタン(化合物(4−3))の白色薄板状結晶を得た。
収量:67.9mg(0.149mmol)
収率:44.1%(化合物3に対して)
H NMR:1.03(6H,t,J/Hz=7.4),1.80(4H,sextet,J/Hz=7.1),1.93(18H,br.s),3.91(4H,t,J/Hz=6.5),6.87(4H,d(AA’BB’),J/Hz=9.0),7.32(4H,d(AA’BB’),J/Hz=9.0)
IR:3033(w),2910(s),2870(s),1607(m),1510(s),1465(m),1439(w),1378(w),1299(m),1252(s),1179(s),1119(w),1074(w),1039(m),1012(w),974(w),826(m),795(m),753(w),618(m),540(m).
LRMS:457((M+1),60),456((M,100),414((M−C,12),372((M−C12,25),186((M−C1222,18).
(実施例4〜8)
〔4,9−ビス(4−ブチルオキシフェニル)ジアマンタン〜4,9−ビス(4−デシルオキシフェニル)ジアマンタン(化合物(4−4)〜(4−8))の合成〕
(実施例4)
〔4,9−ビス(4−ブチルオキシフェニル)ジアマンタン(化合物(4−4))の合成〕
1−ブタノールを使用するほかは、実施例3と同様にして、4,9−ビス(4−ブチルオキシフェニル)ジアマンタン(化合物(4−4))の針状結晶を得た。
収量:105.8mg(0.218mmol)
収率:64.0%(化合物3に対して)
H NMR:0.97(6H,t,J/Hz=7.4),1.42−1.54(4H,m),1.71−1.81(4H,m),1.93(18H,br.s),3.95(4H,t,J/Hz=6.5),6.87(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.9),7.32(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.9)
IR:3033(w),2910(s),2871(s),1607(m),1465(s),1378(m),1299(w),1252(s),1179(m),1119(w),1074(m),1039(w),1012(m),974(m),826(m),795(m),757(w),618(w),540(m)
LRMS:485((M+1),59),484((M,100),428((M−C,12),372((M−C,25),186((M−C2026,18).
(実施例5)
〔4,9−ビス(4−ペンチルオキシフェニル)ジアマンタン(化合物(4−5))の合成〕
1−ペンタノールを使用するほかは、実施例3と同様にして、4,9−ビス(4−ペンチルオキシフェニル)ジアマンタン(化合物(4−5))の針状結晶を得た。
収量:129.1mg(0.199mmol)
収率:61.2%(化合物3に対して)
H NMR:0.93(6H,t,J/Hz=7.1),1.31−1.49(8H,m),1.77(4H,quintet,J/Hz=6.6),1.93(18H,br.s),3.94(4H,t,J/Hz=6.5),6.87(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.9),7.32(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.9)
IR:3046(w),3030(w),2952(m),2931(s),2907(s),2885(s),2867(s),1607(m),1577(w),1510(s),1474(m),1440(w),1394(w),1377(w),1351(w),1299(w),1252(s),1239(s),1184(s),1119(w),1051(m),1028(m),984(w),835(m),798(w),729(w),620(m),542(m).
LRMS:513((M+1),62),512((M,100),442((M−C10,14),372((M−C1020,36),186((M−C2230,13).
(実施例6)
〔4,9−ビス(4−ヘキシルオキシフェニル)ジアマンタン(化合物(4−6))の合成〕
1−ヘキサノールを使用するほかは、実施例3と同様にして、4,9−ビス(4−ヘキシルオキシフェニル)ジアマンタン(化合物(4−6))の白色針状結晶を得た。
収量:99.3mg(0.184mmol)
収率:65.5%(化合物3に対して)
H NMR:0.90(6H,t,J/Hz=6.9),1.30−1.35(8H,m),1.41−1.47(4H,m),1.77(4H,quintet,J/Hz=6.8),1.93(18H,br.s),3.94(4H,t,J/Hz=6.5),6.87(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.9),7.32(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.9)
IR:3033(w),2916(s),2879(s),2850(s),1607(m),1577(w),1509(s),1467(m),1393(w),1297(w),1250(s),1180(s),1118(w),1048(w),983(w),825(s),795(m),727(w),619(w),540(m).
LRMS:542((M+1),62),541((M,100),456((M−C12,14),372((M−C1224,36),186((M−C2434,10).
(実施例7)
〔4,9−ビス(4−オクチルオキシフェニル)ジアマンタン(化合物(4−7))の合成〕
1−オクタノールを使用するほかは、実施例3と同様にして、4,9−ビス(4−オクチルオキシフェニル)ジアマンタン(化合物(4−7))の白色針状結晶を得た。
収量:104.4mg(0.175mmol)
収率:50.8%(化合物3に対して)
H NMR:0.89(6H,t,J/Hz=7.4),1.29−1.48(20H,m),1.77(4H,quintet,J/Hz=6.4),1.93(18H,br. s),3.94(4H,t,J/Hz=6.5),6.87(4H,d(AA’BB’),J/Hz=9.0),7.31(4H,d(AA’BB’),J/Hz=9.0)
IR:3041(w),2952(m),2918(s),2887(s),2848(s),1608(m),1577(w),1475(m),1439(w),1392(w),1306(m),1294(m),1251(s),1240(s),1181(s),1117(m),1047(s),1025(s),1014(m),1003(w),984(w),828(s),796(m),757(w),725(m),541(s).
LRMS:598((M+1),73),597((M,100),484((M−C,14),372((M−C1616,33),186((M−C2842,7.5).
(実施例8)
〔4,9−ビス(4−デシルオキシフェニル)ジアマンタン(化合物(4−8))の合成〕
1−デカノールを使用するほかは、実施例3と同様にして、4,9−ビス(4−デシルオキシフェニル)ジアマンタン(化合物(4−8))の白色針状結晶を得た。
収量:119.5mg(0.183mmol)
収率:51.4%(化合物3に対して)
H NMR:0.88(6H,t,J/Hz=6.0),1.27−1.48(28H,m),1.77(4H,quintet,J/Hz=6.8),1.93(18H,br.s),3.94(4H,t,J/Hz=6.5),6.87(4H,d(AA’BB’),J/Hz=9.0),7.31(4H,d(AA’BB’),J/Hz=9.0)
IR:3057(w),2953(m),2919(s),2885(s),2870(s),2850(s),1611(m),1578(w),1510(s),1469(m),1439(w),1390(w),1301(m),1254(s),1236(s),1180(s),1114(w),1031(m),985(w),835(m),796(m),723(w),621(w),542(m).
LRMS:655((M+2),46),654((M+1),62),653((M,100),513((M−C1020,19),372((M−C1020,40).
(比較例1)
〔1,3−ビス(4−ヘキシルオキシフェニル)アダマンタン(化合物4C)の合成〕
Figure 0005439647
10mlナシフラスコに1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン(化合物10C)(88.4mg,0.275mmol,1.0eq.)とスピナーを入れ、系内を窒素置換した。これにDMF(1.0ml)を加え氷浴で系内を0℃に冷却した。(*1)
10ml二つ口ナスフラスコに水素化ナトリウム(29.6mg,0.721mmol,2.6eq.)、スピナーを入れ、系内を窒素置換した。これにDMF(2.5ml)を加え、氷浴にて系内を0℃にし、カヌーラで(*1)を滴下した(4drops/sec)。系内を0℃に保ったまま30分攪拌し、1−ブロモヘキサン(0.11ml,0.786mmol,2.8eq.)を加え室温に戻しながら12時間攪拌した後、油浴にて系内を50℃にし、3時間攪拌した。その後70℃で更に2時間攪拌した。系内が室温になるまで放置し、水を加え、これをクロロホルムで3回抽出し、集めた有機層を水、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別、溶媒を減圧留去した後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:5%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、1,3−ビス(4−ヘキシルオキシフェニル)アダマンタン(化合物4C)の白色粉末を得た。
収量:98.3mg(0.201mmol)
収率:73.1%(化合物10Cに対して)
H NMR:0.89(6H,t,J/Hz=7.0),1.33(8H,m),1.44(4H,m),1.76(6H,m,J/Hz=6.8,methylene),1.76(2H,br.s,adamantane),1.91(8H,br.s),1.98(2H,br.s),2.28(2H,br.s),3.93(4H,t,J/Hz=6.6),6.85(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.9),7.29(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.9)
IR:3051(w),3038(w),2934(s),2925(s),2917(s),2850(s),1607(m),1577(w),1510(s),1473(m),1451(w),1392(w),1292(w),1245(s),1182(s),1127(w),1111(w),1058(w),1026(m),1007(w),995(w),825(m),802(m),730(w),612(w),551(m).
LRMS:489((M+1),54),488((M,100),404((M−C12,14),320((M−C1224,3.3).
(実施例9)
〔4,9−ビス{4−(1−ヘプチニル)フェニル}ジアマンタン(化合物5)の合成〕
Figure 0005439647
300ml丸底シュレンクフラスコに、4,9−ビス(4−ヨードフェニル)ジアマンタン(化合物3)(399.9mg,0.675mmol,1.0eq.)、ヨウ化銅(I)(17.6mg,0.09mmol,0.13eq.)、スピナーを入れ、Y字管、還流管、風船を取り付け、系内を窒素置換した。系内に窒素を流しながら、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(40.3mg,0.056mmol,0.08eq.)をY字管の上から加え、ピペリジン(60ml)を加え、加熱した。還流が始まり、4,9−ビス(4−ヨードフェニル)ジアマンタン(化合物3)が溶解したところで1−ヘプチン(0.2ml,1.53mmol,2.2eq.)をシリンジで加え、11時間還流した。溶液を室温まで冷却し、0.5M塩化アンモニウム水溶液、クロロホルムを加え、水層をクロロホルムで3回抽出し、集めた有機層を水、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別、溶媒を減圧留去した後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:15%ベンゼン/ヘキサン)で精製し、白色粉末(251.2mg)を得た。これをクロロホルム/ヘキサンの混合溶媒中から再結晶し、4,9−ビス{4−(1−ヘプチニル)フェニル}ジアマンタン(化合物5)の白色針状結晶を得た。
収量:237.0mg(0.448mmol)
収率:66.4%(化合物3に対して)
H NMR:0.92(6H,t,J/Hz=7.0),1.31−1.45(8H,m),1.59(4H,m),1.94(18H,br.s),2.39(4H,t,J/Hz=7.2),7.31(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.7Hz),7.36(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.7Hz)
IR:3081(w),3031(w),2952(m),2914(m),2883(m),2848(m),1509(m),1458(m),1439(m),1404(w),1349(w),1301(w),1286(w),1268(m),1114(w),1075(m),1049(m),1017(w),985(m),831(s),798(m),727(w),551(s).
LRMS:530((M+1),73),529((M,72),357((M−C1314,100),185((M−C2628,18).
(実施例10)
〔4,9−ビス(4−ヘプチルフェニル)ジアマンタン(化合物6)の合成〕
Figure 0005439647
30ml二つ口ナスフラスコに、4,9−ビス{4−(1−ヘプチニル)フェニル}ジアマンタン(化合物5)(41.8mg,0.0790mmol,1.0eq.),10%パラジウム−活性炭(9.6mg,0.166mmol,0.45eq.),テトラヒドロフラン(以下、「THF」)2ml,スピナーを入れ、系内を水素置換した。室温で9時間撹拌した後、10%パラジウム−活性炭を濾別した。溶媒を減圧留去した後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒5%クロロホルム/ヘキサン)で精製し、得られた白色粉末(42.1mg)をクロロホルム/メタノールの混合溶媒中から再結晶し4,9−ビス(4−ヘプチルフェニル)ジアマンタン(化合物6)の白色薄片状結晶を得た。
収量:37.5mg(0.0689mmol)
収率:88.4%(化合物5に対して)
H NMR:0.87(6H,t,J/Hz=6.8),1.25−1.33(16H,m),1.55−1.63(4H,m),1.95(18H,br.s),2.57(4H,t,J/Hz=7.9),7.15(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.3Hz),7.32(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.3Hz)
IR:3085(w),3045(w),3015(w),2999(w),2915(s),2884(s),2849(s),1513(m),1464(m),1439(w),1412(w),1378(w),1271(w),1249(w),1123(w),1075(w),1049(w),1017(w),985(w),834(m),814(w),794(m),723(w),650(w),616(w),542(m).
LRMS:536(M,100),450((M−C,37),361((M−C1319,12),183((M−C2641,15).
(実施例11)
〔4,9−ビス(4−ペンチルオキシカルボニルフェニル)ジアマンタン(化合物9)の合成〕
〔4,9−ビス{4−(1,2−ジオキソヘプチル)フェニル}ジアマンタン(化合物7)の合成〕
Figure 0005439647
30ml二つ口ナスフラスコに4,9−ビス{4−(1−ヘプチニル)フェニル}ジアマンタン(化合物5)(57.7mg,0.109mmol,1.0eq.)、過ヨウ素酸ナトリウム(99.7mg,0.466mmol,4.3eq.)、スピナー,四塩化炭素(4.5ml)、アセトニトリル(4.5ml)水(6ml)を加え固体が全て溶解するまで攪拌した。これに二酸化ルテニウム一水和物(0.6mg,0.0045mmol,0.04eq.)を加え45分攪拌した。反応後の懸濁液を100ml分液漏斗に移し、水相をジクロロメタンで2回抽出した。集めた有機層に含まれる沈殿物を濾別し、濾液を水、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別、溶媒を減圧留去して化合物7の淡黄色粉末を得た。
収量:50.6mg(0.0845mmol)
収率:78.4%(化合物5に対して)
H NMR(300MHz,CDCl,TMS)〕:δ/ppm,0.91(6H,t,J/Hz=7.1),1.33−1.40(8H,m),1.65−1.75(4H,m),1.99(18H,br.s),2.87(4H,t,J/Hz=7.3),7.53(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.9Hz),7.95(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.7Hz)
IR:2957(m),2914(m),2885(m),2850(m),1776,(m),1667(s),1604(m),1567(w),1512(w),1459(m),1439(m),1409(m),1283(m),1188(m),1122(m),1075(m),1049(m),986(m),954(m),938(m),850(m),841(m),827(m),813(m),798(m),774(m),706(m),542(m),530(m).
LRMS:592(M,8.9).
融点:>360℃(融点測定装置の限界を超えたため測定不可)
〔4,9−ビス(4−カルボキシフェニル)ジアマンタン(化合物8)の合成〕
Figure 0005439647
50ml二つ口ナスフラスコに化合物7(50.6mg,0.0854mmol,1.0eq.)、炭酸ナトリウム(77.5mg,0.735mmol,8.5eq.)、スピナー,アセトン(15ml)、クロロホルム(2ml)、水(10ml)を加え、固体が全て溶解するまで攪拌した後、30%過酸化水素水(0.1ml,0.882mmol,10eq.)を加え三時間攪拌した。これにクロロホルムを加え、有機相を50%水酸化カリウム水溶液で抽出した。集めた水相に3mol/l塩酸水溶液をpHが1〜2になるまで加え、これを酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機相を水、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別、溶媒を減圧留去し、化合物8の白色粉末を42.2mg得た。
収量:42.2mg(0.100mmol)
収率:定量的(化合物7に対して)
IR:2915(s),2888(s),2664(m),1677(s),1607(m),1569(w),1457(w),1419(m),1283(m),1189(m),931(w),852(w),773(w),706(w),547(w),526(w).
〔4,9−ビス(4−ペンチルオキシカルボニルフェニル)ジアマンタン(化合物9)の合成〕
Figure 0005439647
30ml二つ口フラスコに、粗化合物8(34.9mg,0.0815mmol,1.0eq.)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(0.5mg,0.002mmol,0.03eq.)、スピナーを入れ、系内を窒素置換した。ベンゼン(1.5ml)を加え、加熱を開始した。緩やかな還流が開始したところで、塩化チオニル(1.3ml,excess)を加え、7時間緩やかに還流した。反応後、溶液を室温まで冷却し、フラスコに常圧蒸留装置(ト字管、リービッヒ冷却管、三つ又、30mlナスフラスコx2)を取り付け。常圧蒸留によって塩化チオニル、ベンゼンを留去した(少量のベンゼン、塩化チオニルは残った)。得られた赤茶色の残渣は、これ以上の精製を行わず、次の反応に用いた。
50mlナシフラスコにセプタムを取り付け系内を窒素置換した。これにベンゼン(1ml)、1−ペンタノール(0.5ml,excess)、ピリジン(0.1ml)を加え攪拌した。(*2)
上記の粗酸塩化物の入った30mlフラスコに還流管、風船を取り付け、これに(*2)の溶液をカヌーラを用いて滴下した[2−3drops/sec,滴下後ベンゼン1mlで洗浄]。滴下終了後、1.5時間緩やかに還流を行った。反応後、溶液を室温まで冷却し、水を加え、水相を酢酸エチルで3回抽出し、集めた有機層を水、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別、溶媒を減圧留去した後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:2%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し白色粉末(22.9.mg)を得た。これをメタノール/ヘキサンの混合溶媒中から再結晶し、4,9−ビス(4−ペンチルオキシカルボニルフェニル)ジアマンタン(化合物9)の白色薄板状結晶を得た。
収量:16.6mg(0.0292mmol)
収率:35.8%(化合物8に対して)
H NMR:0.93(6H,t,J/Hz=7.0),1.37−1.47(8H,m),1.76(4H,quintet,J/Hz=7.2),1.94(18H,br.s),4.31(4H,t,J/Hz=6.6),7.48(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.7Hz),8.01(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.7Hz)
IR:3053(w),2954(m),2915(m),2852(m),1712(s),1607(m),1459(w),1408(w),1274(s),1187(m),1105(s),1050(w),1016(m),962(m),850(m),706(m),531(w).
LRMS:568((M,8.1),498((M−C10,25),481((M−C11O),19),427((M−C1021,100),411((M−C1021O),9).
(実施例12)
〔4,9−ビス(4−ヘキサノイルオキシフェニル)ジアマンタン(化合物11)の合成〕
〔4,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジアマンタン(化合物10)の合成〕
Figure 0005439647
20ml二つ口ナスフラスコに4,9−ビス(4−ペンチルオキシフェニル)ジアマンタン(化合物(4−5))(60.2mg,0.117mmol,1.0eq.)とスピナーを入れ、系内を窒素置換し、ジクロロメタン5mlをシリンジで加えた。そのフラスコを0℃に冷却し、1.0mol/l三臭化ホウ素・ジクロロメタン溶液(0.25ml,0.25mmol,2.1eq.)をシリンジで加え、0℃から徐々に室温に戻しながら13.5時間撹拌した。反応系に水を加え、酢酸エチルを加えて分液し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機層を飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別、溶媒を減圧留去し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒20%酢酸エチル/ヘキサン→40%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、得られた白色粉末(40.7mg)を、酢酸エチルを良溶媒、ヘキサンを貧溶媒として用いて再沈殿し、4,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジアマンタン(化合物10)の白色粉末を得た。
収量:36.4mg(0.0977mmol)
収率:83.5%(化合物(4−5)に対して)
H NMR(300MHz,CDC(=O)CD,TMS)〕:δ/ppm,1.93(12H,br.s),1.93(6H,br.s),6.78(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.9Hz),7.25(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.9Hz),8.10(1H,s)
IR:3595(s),3380(br.s),3251(br.s),3023(m),2910(s),2883(s),2847(m),1613(m),1596(m),1513(s),1452(m),1378(m),1247(s),1181(m),1048(w),1013(w),986(w),826(m),797(m),581(m),537(m).
LRMS:373((M+1),31),372(M,100),186((M−C1210,8).
融点:355.0〜356.0℃
〔4,9−ビス(4−ヘキサノイルオキシフェニル)ジアマンタン(化合物11)の合成〕
Figure 0005439647
30ml二つ口ナスフラスコに4,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジアマンタン(化合物10)(27.8mg,0.746mmol,1.0eq.)とスピナーを入れ、系内を窒素置換し、THF3.0ml,ピリジン0.5mlをシリンジで加えた。そのフラスコを0℃に冷却し、ヘキサノイルクロリド(0.05ml,0.36mmol,5.0eq.)をシリンジで加えた。この反応懸濁液を0℃から徐々に室温に戻しながら3時間撹拌した後、THF8.0ml,ピリジン3.5mlをシリンジで加え,5時間緩やかに還流した。系内が室温になるまで放置した後、水を加えて反応をクエンチし、溶媒を減圧留去した。これにクロロホルムを加え、飽和炭酸ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水の順で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別、溶媒を減圧留去し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(展開溶媒5%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、得られた白色粉末(26.2mg)を、クロロホルム/メタノールの混合溶媒中から再結晶し4,9−ビス(4−ヘキサノイルオキシフェニル)ジアマンタン(化合物11)の白色針状結晶を得た。
収量:17.7mg(0.0311mmol)
収率:41.7%(化合物10に対して)
H NMR:0.93(6H,t,J/Hz=7.0),1.37−1.42(8H,m),1.73−1.81(4H,m),1.95(18H,br.s),2.55(4H,t,J/Hz=7.3),7.03(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.9Hz),7.40(4H,d(AA’BB’),J/Hz=8.7Hz)
IR:3036(w),2954(m),2910(s),2880(s),2870(s),2849(s),1753(s),1505(m),1460(w),1439(w),1415(w),1376(w),1317(w),1247(w),1205(m),1169(m),1141(m),1109(m),1074(w),1014(w),984(w),837(m),796(w),540(w).
LRMS:568(M,3),470((M−C10O),18),372((M−C1220,100).
実施例1〜12で得た各化合物の相転移温度を、表1に示す。
表1において、Cryは結晶相を、Smはスメクチック相を、Nmはネマチック相を、Isは等方相を、それぞれ、示す。
*は、各化合物について、その相が存在することを示す。また、矢印「→」は、矢印の左側の相から右側の相への転移を、矢印「←」は、矢印の右側の相から左側の相への転移を示し、数値は、その転移温度(℃)を示す。
なお、スメクチック相については、複数のスメクチック相を有するものがあるが、昇温過程については、結晶相からスメクチック相への転移温度、及びスメクチック相からネマチック相又は等方相への転移温度を、また、降温過程においては、等方相又はネマチック相からスメクチック相への転移温度、及びスメクチック相から結晶相への転移温度を示している。また、一部にガラス相を示すものも存在している。
表1の結果から、一般式(IV)で表わされる化合物:4,9−ビス(4−アルコキシフェニル)ジアマンタンにおいて、アルキル基がメチル基であるもの(化合物(4−1))は、ネマチック相のみを示したが、アルキル基の炭素数が2以上のもの(化合物(4−2)〜化合物(4−8))ではスメクチック相が現れ、炭素数の増加とともにスメクチック性が強くなっていくことが分かる。これは、炭素数の増加に伴ってアルキル鎖のvan der Waals力が増加し、分子間の相互作用を強めたためと考えられる。
一般式(IV)で表わされる化合物:4,9−ビス(4−アルコキシフェニル)ジアマンタンは、スメクチック相及びネマチック相を有し、非常に高いネマチック相上限温度を示すことが明らかである。なお、アルキル基の炭素数が8又は10のものは、ネマチック相を有しないが、スメクチック相の上限温度が200℃を超えている。
ジアマンタン部分をアダマンタンに置き換えた1,3−ビス(4−ヘキシルオキシフェニル)アダマンタン(化合物4C)は液晶性を示さないことを、相転移温度の測定及び偏光顕微鏡観察のいずれからも、確認した。これは、この化合物の折れ曲がり構造が液晶相の発現を妨げていると考えられる。
一般式(Vb)で表わされる化合物はスメクチック相のみを示し、一般式(Vc)で表わされる化合物はネマチック相のみを示し、一般式(Va)及び(Vd)で表わされる化合物5及び化合物11は、それぞれ、スメクチック相及びネマチック相の両方を示すことが分かる。
Figure 0005439647
また、図1に、実施例9で得た化合物5:4,9−ビス{4−(1−ヘプチニル)フェニル}ジアマンタンの偏光顕微鏡によって観察された昇温及び降温過程における光学組織を示す。
(1)昇温過程(185.5℃−288.1℃)図1(b)、(c)及び(d)参照
結晶相(図1(a))から温度を上げていくと、185℃付近で融解が始まり、図1(b)のような複雑な光学組織が観察された。更に温度を上げていくと210℃付近で流動性が増し、図1(c)のようなスメクチック相を特徴づける扇状組織が部分的に現れた。230℃付近で図1(d)のようなホメオトロピック配向へと変化した。
(2)昇温過程(288.1℃−309.2℃)図1(e)参照
更に昇温していくと、図1(e)のようなネマチック相を特徴づける、シュリーレン組織が観察された。309.2℃以上に昇温すると、暗視野になったため、等方相となったと考えられる。
(3)降温過程(284.9℃−244.2℃)図1(f)参照
等方性液体から降温させていくと、図1(f)のような小球状の組織が観察された。スメクチック相よりも高温側の液晶相であることから、ネマチック相と同定した。また、このときの温度をネマチック相/等方相相転移温度とした。
(4)降温過程(244.2℃−100.5℃)図1(g)、(i)及び(j)参照
ネマチック相から冷却を続けると、244.2℃から、短棒状組織が現れ始め、直ちに図1(g)のような扇状組織に変化し、200℃近傍で、図1(g)の扇状組織が、図1(h)に示すようなモザイク組織へと変化した。また同じ測定試料の別位置では、図1(i)に示すような境界のはっきりしない扇状の組織が観察された。不安定な扇状組織がモザイクへ変化する途中の組織であると思われる。この状態から更に冷却を続けると135℃付近で図1(j)のような多角形組織が観察され、この組織のまま結晶相へと転移した(図1(k))。

Claims (6)

  1. 一般式(III)で表わされるジアマンタン化合物。
    Figure 0005439647
    (一般式(III)において、R3及びR4は、それぞれ、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数〜12のアルキニル基、炭素数〜12のアルコキシカルボニル基又は炭素数〜12のアルキロイルオキシ基であり、これらの基の水素原子の一部がハロゲン原子又は周期表第14〜16族に属するヘテロ原子を有する基で置換されていてもよい。)
  2. 一般式(IV)で表わされる請求の範囲第項に記載のジアマンタン化合物。
    Figure 0005439647
    (一般式(IV)において、R及びRは、それぞれ、置換基を有しない炭素数1〜10のアルキル基である。)
  3. 一般式(V)で表わされる請求の範囲第1項に記載のジアマンタン化合物。
    Figure 0005439647
    (一般式(V)において、R7及びR8は、それぞれ、置換基を有しないn−ペンチル基であり、X1及びX2は、それぞれ、−CH2CH2−、−C≡C−又は−COO−である。なお、X 1 及びX 2 が−COO−である場合において、カルボニル基がフェニル基に結合していてもよく、酸素原子がフェニル基に結合していてもよい。
  4. 請求の範囲第1項〜第項のいずれか1項に記載のジアマンタン化合物からなる液晶性化合物。
  5. 請求の範囲第項に記載の液晶性化合物を含有してなる液晶性組成物。
  6. 請求の範囲第項記載の液晶組成物を含有してなる液晶表示素子。
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