JP5559839B2 - 密閉スクロール圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、密閉スクロール圧縮機に関し、特に、密閉ケース内に収容される旋回スクロールに旋回運動を与える駆動軸回りの構造に関する。
スクロール圧縮機は、一般に、固定スクロールと旋回スクロールのそれぞれの端板に突設された固定スクロール翼と旋回スクロール翼とを互いに噛み合わせて複数の圧縮室を形成し、該旋回スクロールを駆動軸から軸心が偏心して形成されたクランク部によって旋回させて作動するように構成されている。
そして、固定スクロールはフレームに固定され、固定スクロールに対して旋回スクロールを自転させないで公転させるように、固定スクロールと旋回スクロールとの間にオルダム継手が介在されている。
このように旋回スクロールは、駆動軸から軸心が偏心して形成されたクランク部によって旋回させられるため、旋回スクロールの旋回運動によって駆動軸には遠心力が生じるため、この遠心力によるアンバランスを打ち消すために駆動軸にはバランスウエイトが取付けられている。
密閉形スクロール圧縮機においては、一般的に駆動軸に対して上、中、下の3箇所にバランスウエイトを取付けてこのアンバランスを抑えているものが知られている。
例えば、特開2004−270495号公報(特許文献1)には、図5示すように、旋回スクロール01の下面側の空間02内に、該空間02を略満たすような断面形状の上バランスウエイト03が回転軸(駆動軸)04に取付けられ、モータ05のロータ06上側(旋回スクロール側)には、中バランスウエイト07が、ロータ06下側(反旋回スクロール側)には、下バランスウエイト08がそれぞれ回転軸04に取付けられて、旋回スクロール01に旋回運動によるアンバランスを打ち消している。
また、この特許文献1には、前記上バランスウエイト03の形状が旋回スクロール01の下面側の空間02を略満たすようになっているため、該下面側の空間02に出入する潤滑油を最小限に抑えて該空間02内に潤滑油が溜まらないようにして不安定な遠心力を発生させる要因を排除して回転軸04に生じる回転運動のアンバランスの発生をも抑えている。
また、特開2004−204748号公報(特許文献2)においても、図6のように、旋回スクロール020の下面側の空間021内で、上バランスウエイト022が回転軸(駆動軸)023に取付けられ、モータ024のロータ025の上側には中バランスウエイト026が、ロータ025下側には下バランスウエイト027がそれぞれ回転軸023に取付けられて、旋回スクロール020に旋回運動によって生じる回転軸023のアンバランスを打ち消している。
また、この特許文献2には、各バランスウエイト022、026、027にそれぞれ調整部031を設けてバランスウエイトの微調整を可能にする構成が示されている。
特開2004−270495号公報 特開2004−204748号公報
前記したように特許文献1、特許文献2には、それぞれ回転軸の上、中、下の位置の3箇所にバランスウエイトを取付けて旋回スクロールの旋回運動に伴って発生する回転主軸のアンバランスを抑えている構成が示されている。
しかし、特許文献1に示される回転軸04と上、中、下のバランスウエイト03、07、08との結合、および回転軸04を回転支持するフレーム部材09との支持構造では、回転軸04に上、中、下のバランスウエイト03、07、08、さらにはモータ05のロータ06を装着した状態で、圧縮機、すなわちフレーム部材09に組付けることができない。
すなわち、図5に示すようにフレーム部材09の軸受部010の貫通孔011の孔径では、上バランスウエイト03を通すことができない構造になっている。
予め、バランスウエイト03、07、08およびロータ06を回転軸04に装着できないため、回転軸04を軸受部010の貫通孔011に通した後にこれらバランスウエイト03、07、08およびロータ06を回転軸04に組付けなければならず、圧縮機の組立て工数が増大するとともに、圧縮機に回転軸04を組付けた後ロータ06やバランスウエイト03、07、08を焼嵌めや圧入を行うと、その焼嵌めや圧入の作業に伴って発生する熱による熱変形や、金属屑による摺動部の損傷などの問題が生じやすい。
また、図6に示す特許文献2の場合においても、特許文献1と同様に、回転軸023と回転軸023に上、中、下のバランスウエイト022、026、027、モータ024のロータ025、さらに軸受030を装着した状態で、フレーム部材028の貫通孔029に通過させることができない構造となっている。
従って、特許文献2においても、前記特許文献1で説明したような、圧縮機の組立て工数の増大とともに、熱変形や摺動部の損傷などの問題を生じやすい。
さらに、特許文献1、2においては、モータのロータに永久磁石が内蔵された、いわゆるIPMモータによって構成されることや、モータのロータについて回転軸をフレーム部材に組付ける前に回転軸に組み付けて磁化させる場合における組立ての安定性までは示されていない。
一般に、ロータに近接して配置された中、下バランウエイトは鉄系金属によって形成されているため、ロータの磁力によって磁化されやすく、モータのロータについて回転軸をフレーム部材に組付ける前に回転軸に組み付けて磁化させると、回転軸と一体となったバランサをフレームに組付ける際の組付け作業時に、他の部品に引き付けられて効率的な安定作業ができなくなる。また、IPMモータに金属くずが付着する問題も有している。
そこで、本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、駆動軸に取付けられる上、中、下のバランスウエイト、モータのロータ、さらには軸受を、駆動軸に予め装着した状態で、密閉形圧縮機のフレーム部材に取付けることができるようにした密閉スクロール圧縮機を提供することを課題とする。
また、モータのロータが永久磁石を内蔵した、いわゆるIPMモータの場合であって、組付け前に磁化される場合でも、磁化による引付力の影響を軽減して、安定した組立て作業ができる密閉スクロール圧縮機を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、密閉ケース内に固定スクロールと旋回スクロールとからなる圧縮機構部と、前記旋回スクロールに駆動軸を介して回転駆動力を与えるモータと、前記旋回スクロールの背面側のフレーム部材に形成された旋回空間内に配置されるとともに前記駆動軸に取付けられる上バランサと、前記モータの上側で前記駆動軸やロータの回転体に取付けられる中バランサと、前記モータの下側で前記駆動軸やロータの回転体に取付けられる下バランサとを備えた密閉形スクロール圧縮機において、前記駆動軸に取付けられる前記モータのロータは組付け前に着磁されている永久磁石を内蔵したロータであり、
該組付け前に着磁されているロータの上側に非磁性体材料であるステンレス鋼からなる中バランサが、前記ロータの下側に非磁性体材料であるステンレス鋼からなる下バランサが夫々配置され、更に前記上バランサが、鉄系金属で形成されていることを特徴とする。
かかる発明によれば、前記駆動軸に取付けられる前記モータのロータが永久磁石を内蔵したロータであって組付け前に着磁されていても、バランサが非磁性体材料によって形成されているため、バランサが前記ロータによって磁化されないので、前記フレーム部材へ前記駆動軸、バランサ、およびロータを取付ける際に、バランサが周りの部品に引き付けられることによる、組付け作業への悪影響が低減されて、安定した組立て作業ができる。
また、組付け前に予め着磁することで安定した高密度の磁気を着磁することが可能になるので、モータの出力を向上することができる。
更に好ましくは、前記主軸受の軸受嵌合穴の内径Aを前記旋回空間の内径Bより大きく形成してなることを特徴とする。
このように構成することで、モータに近接配置される中バランサと下バランサとが非磁性体材料からなるため、前記したバランサが周りの部品に引き付けられることによる、組付け作業への悪影響が一層低減される。
本発明によれば、駆動軸に取付けられる上、中、下のバランスウエイト、モータのロータ、さらには軸受を、駆動軸に予め装着した状態で、密閉形圧縮機のフレーム部材に取付けることができるようになり、組付け性が向上し、さらに熱変形や摺動部の損傷のない、さらに動バランス性能が向上した密閉形スクロール圧縮機を得ることができる。
また、モータのロータが永久磁石を内蔵した、いわゆるIPMモータで組付け前に予め磁化されている場合であっても、磁化による引付力の影響を軽減して、安定した組立て作業ができ、組付け性を向上することができるとともに、予め磁化を可能にすることによるモータ出力の向上が得られる。
本発明にかかる密閉形スクロール圧縮機の実施形態を示す全体構成断面図である。 図1の全体断面図のうちの上方の部分の拡大図である。 駆動軸の組付け状態の示す説明図である。 上バランサの説明図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のC−C断面図である。 従来技術の説明図である。 従来技術の説明図である。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。但しこの実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明にかかる密閉形スクロール圧縮機の実施形態を示す全体構成断面図であり、図2は図1の全体断面図のうちの上方の部分の拡大図である。図3は駆動軸の組付け状態を示す説明図である。図4は上バランサの説明図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のC−C断面図である。
図1、図2を参照して密閉形スクロール圧縮機の全体構成について説明する。図1に示すように、密閉形スクロール圧縮機1を構成する縦長の円筒形状の密閉ケース2は、湾曲形状の下ケース3と湾曲形状の上ケース5と円筒状の中ケース6とがそれぞれ溶接接合されて形成されている。
密閉ケース2内の上方寄りに、密閉ケース2内を上下に仕切るようにフレーム部材7が中ケース6の内部に取付けられている。
そして、フレーム部材7の上方にはスクロール圧縮機構部(圧縮機構部)9が配置され、下方にはスクロール圧縮機構部9を構成する旋回スクロール11に旋回運動の回転力を与えるモータ13が配置されている。さらに、密閉ケース2の底部には潤滑油が収容されるようになっていて、底部に貯留された潤滑油を汲み上げる給油ポンプ15がモータ13の下方に配置されている。
図2に示すように、スクロール圧縮機構部9は、固定スクロール17と、この固定スクロール17の下方に配置された旋回スクロール11とによって構成されている。固定スクロール17は、円板状の端板19と、この端板19の一方の面の周縁部に突設された環状壁21と、この環状壁21で囲まれた部分に該環状壁21とほぼ等しい高さに突設された固定スクロール翼23と、端板19の略中央部に設けられた吐出口25と、端板19の周縁部に設けられた吸入口27とで構成されている。そして、環状壁21の延長部分がボルト29でフレーム部材7に固定されている。
一方、旋回スクロール11は、円板状の旋回スクロール11の端板31と、この端板31の一方の面に前記固定スクロール翼23と等しい高さに突設された旋回スクロール翼33と、他方の面の中央部には軸受ボス部35が突設されて構成されている。
また、旋回スクロール11の端板31に螺旋状に突設され上方向を向いた旋回スクロール翼33と、固定スクロール17の端板19に螺旋状に突設され下方向を向いた固定スクロール翼23とが噛合い、それぞれの壁の間に圧縮室37を形成している。
そして、固定スクロール17と旋回スクロール11との噛み合い状態を保持して旋回スクロール11を固定スクロール17に対して相対的に旋回運動させるために、旋回スクロール11の端板31とフレーム部材7との間にオルダム機構38が設けられている。
フレーム部材7には、旋回スクロール11の軸受ボス部35の軸心線に対して偏心した円筒状の旋回空間39が上下方向に貫通して設けられており、この旋回空間39の下端部分にはモータ13の駆動軸41を回転自在に支持する転がり軸受ないしはすべり軸受で構成された主軸受43が設けられている。なお、転がり軸受はコロ軸受けでも玉軸受でもよい。
駆動軸41の上端部には、駆動軸41の軸中心線と偏心した位置にクランク部45が形成され、該クランク部45が旋回スクロール11の軸受ボス部35に嵌入している。この軸受ボス部35がクランク部45の旋回軸受を形成している。
また、図1に示すように、駆動軸41の下端部には、サブフレーム46に支持され給油ポンプ15が接続されていて、この給油ポンプ15で潤滑油をパイプ47によって汲み上げて、駆動軸41の軸中心部を貫通して設けられた貫通油路49を介して前記クランク部45の上端から軸受ボス部35内に放出するようになっている。
前記モータ13は、複数の分割ステータ51がモータフレーム53の内周に沿って環状に配設された、いわゆる分割式のステータによって構成され、回転子はロータ55の内部に永久磁石が埋め込まれるいわゆるIPMモータによって構成している。そして、ロータ55は駆動軸41に取り付けられて着磁される。
さらに、このモータ13の巻線は、アンモニア冷媒に対して耐食性が強く信頼性の高いアルミニウム電線によって形成されている。
なお、使用される圧縮ガスはアンモニア冷媒を用いており、吐出ガス温度の上昇を抑えるためにアンモニアの液冷媒を固定スクロール17の端板19に取付けられた液インジェクション配管57から圧縮室37内に噴射するようになっている。
また、駆動軸41に対して偏心したクランク部45の回転に伴うアンバランスを打ち消すために、駆動軸41には、上から順に上バランサ59、中バランサ61、下バランサ63の3つのバランサが取り付けられていて、上バランサ59は鉄製で、中バランサ61、下バランサ63はそれぞれステンレス等の非磁性体材によって形成されている。また駆動軸中心からの重心の偏心方向が上バランサ59と中バランサ61とは同一方向となり、下バランサ63は上バランサ59と中バランサ61の位置とは駆動軸中心に関して反対側に位置している。
さらに、前記固定スクロール17の吸入口27には、吸入管65が上ケース5を貫通して設けられ、中ケース6にはケース内の高圧ガスを吐出する吐出管67が設けられている。
次に、前記スクロール圧縮機構部9による冷媒ガスの圧縮動作について説明する。
まず、モータ13に給電すると、駆動軸41が回転を開始する。そして、回転力が旋回スクロール11に伝えられる。
旋回スクロール11の軸受ボス部35は駆動軸41に対して、偏心して設けられたクランク部45と嵌合しており、しかもオルダム機構38によって自転が阻止されているため、この旋回スクロール11は自転の伴わない旋回運動を行う。
従って、旋回スクロール11に突設された旋回スクロール翼33も旋回運動を行い、この旋回運動に伴って、旋回スクロール翼33と固定スクロール翼23との間に形成された圧縮室37が小さくなり、吸入管65を介して吸入されたガスが圧縮されて吐出口25から吐出されて、密閉ケース2内の上方に吐出されてからフレーム部材7の周囲に形成された図示しない連通孔を通って下方側に流れて密閉ケース2内のフレーム部材7の下方の空間内に高圧ガスが貯留され、吐出管67から外部へ排出される。
次に、潤滑油の供給について説明する。
下ケース3の底部に収容された潤滑油を給油ポンプ15によって汲み上げて、貫通油路49を介してクランク部45の上端から軸受ボス部35の内部に放出して、クランク部45と軸受ボス部35との摺動部を潤滑し、その後、軸受ボス部35の下方に形成された隙間85、さらにフレーム部材7に径方向に形成された横穴87から密閉ケース2内に排出され、下方の油槽に戻される。
また、隙間85からの潤滑油の一部は上バランサ59の遠心力によって縦壁88に沿って上方に案内されて、旋回シール79に向かって放出されるようになっている。そして旋回シール79の潤滑やシールに用いられる。
この上バランサ59は、図4(a)、(b)に示すように、駆動軸41から径方向に突き出る円環部86に対して該円環部86の周縁から軸方向に伸びる半円弧状の縦壁88を有して形成されるともに、該半円弧状の内側中央部には周方向溝89が形成され、遠心力によって広がる潤滑油を周方向溝89に集めて縦壁88に沿って上方の旋回空間39内に放出するように構成されている。
さらに具体的に説明すると、円環部86とその円環部86の周縁部から軸方向に突出した半円弧状の縦壁88で形成され、その縦壁88の外壁面は該円環部86の外径におよそ等しい外円弧Raで形成され、内壁面は外側よりの内円弧Rbと中央よりの内円弧Rcとから形成されている。
外円弧Raの中心Eは駆動軸中心におよそ一致させ、内円弧Rcの中心Fは、中心Eより縦壁の反対側すなわち図の右側に配置し、内円弧Rbの中心Gは、中心Eより縦壁側すなわち図の左側に配置して、内円弧Rbの先端が外円弧Raと内円弧Rcとの間で形成されるように縦壁88の円弧が形成されている。
次に、以上のように構成された密閉形スクロール圧縮機において、図1、図3を参照して、駆動軸41回りの詳細構成、およびその組付けについて説明する。
図3に示すように、フレーム部材7は、中央部分が下方に円筒状に突出した形状を有し、該突出部分には旋回空間39が形成され、該旋回空間39の下方には連続して同心円状に主軸受43が嵌合する軸受嵌合穴100が形成されている。
軸受嵌合穴100の内径Aは旋回空間39の内径Bより大きく形成されている。
駆動軸41には、上バランサ59と、主軸受43と、中バランサ61と、モータ13のロータ55と、下バランサ63とが、駆動軸41の下方側から挿入されて圧入または焼嵌め等によって取り付けられている。
また、主軸受43の下面部には環状の主軸受押板102が取り付けられている。主軸受押板102は、主軸受43を下から支持するようにボルト104によってフレーム部材7の下面に締結する。
また、ボルト104と共締めにて主軸受押板102の下面側に環状のモータカバー部材(カバー部材)106が取付けられている。
該モータカバー部材106の内周縁は駆動軸41近傍まで伸び、外周縁はモータ13を覆うように形成されている。なお、外周縁はロータ55の一部分を覆うものでもよい。
モータカバー部材106を設けることで、主軸受43を経由して落下してきた潤滑油を下方に配置されるモータ13に直接降りかからないようにして、潤滑油がモータ13のロータ55によって攪拌されて、このモータ13の近傍に配置される密閉形スクロール圧縮機の吐出管67から潤滑油が圧縮ガスとともに排出されることを防止している。
モータカバー部材106は外周縁が垂下してモータ13に接触しても導電しないように樹脂等の非導電性材料によって形成されている。
そして、このように駆動軸41に取り付けられた、上バランサ59と、主軸受43と、中バランサ61と、モータ13のロータ55と、下バランサ63と、主軸受押板102と、モータカバー部材106とが、予め一体に組立てられてから、前記フレーム部材7の下方から、駆動軸41の先端部のクランク部45を軸受ボス部35内に嵌合し、上バランサ59を旋回空間39内に収容し、主軸受43を軸受嵌合穴100の内周に嵌合するとともにボルト104で固定して、駆動軸41に一体に取り付けられた部品も、駆動軸41の組み付けと同時に組付ける。
かかる実施形態によれば、軸受嵌合穴100の内径Aを旋回空間39の内径Bより大きく形成することによって、駆動軸41に主軸受43、上バランサ59、中バランサ61、下バランサ63、さらにロータ55、主軸受押板102、モータカバー部材106を一体化した状態で、組付けが可能になるため、密閉形スクロール圧縮機の組立てが簡単化して、組立て工数が減少し生産効率が向上する。
さらに、駆動軸41を組付けた後にロータ55や各バランサ59、61、63等を焼嵌めや圧入を行うと、その焼嵌めや圧入の作業に伴って発生する熱や金属屑によって熱変形や摺動部の損傷などが生じやすいという問題があるが、駆動軸に主軸受、上バランサ、中バランサ、下バランサ、さらにモータのロータを一体化した状態で、組付けが可能になるため、これら問題が解消されて熱変形や摺動部の損傷のない密閉形スクロール圧縮機を得ることができる。
さらに、駆動軸41に取付けられるロータ55が永久磁石を内蔵したロータであって組付け前に着磁されていても、バランサ、特に中バランサ61、下バランサ63が非磁性体材料のステンレスによって形成されているため、中、下バランサ61、63がロータ55によって磁化されないので、駆動軸41に主軸受43、上バランサ59、中バランサ61、下バランサ63、さらにロータ55、主軸受押板102、モータカバー部材106を一体化した状態で、フレーム部材7への組付ける際に、中、下バランサ61、63が周りの部品に引き付けられることによる、組付け作業への悪影響が低減されて、安定した組立て作業ができる。
また、組付け前に予め着磁することで安定した高密度の磁気を着磁することが可能になるので、モータの出力を向上することができる。
本発明によれば、駆動軸に取付けられる上、中、下のバランスウエイト、モータのロータ、さらには軸受を、駆動軸に予め装着した状態で、密閉形圧縮機のフレーム部材に取付けることができるようなるとともに、モータのロータが永久磁石を内蔵した、いわゆるIPMモータの場合であって、組付け前に磁化される場合でも、磁化による引付力の影響を軽減して、安定した組立て作業ができるので、冷凍空調用密閉形圧縮機を始めとしてモータを内蔵したカーエアコン用圧縮機、空気圧縮機及び真空ポンプ等を含むスクロール流体機械への適用に際して有益である。
1 密閉形スクロール圧縮機
2 密閉ケース
7 フレーム部材
9 スクロール圧縮機構部(圧縮機構部)
11 旋回スクロール
13 モータ
17 固定スクロール
35 軸受ボス部
39 旋回空間
41 駆動軸
43 主軸受
51 ステータ
55 ロータ
59 上バランサ
61 中バランサ
63 下バランサ
88 上バランサの縦壁
89 周方向溝
100 軸受嵌合穴
106 モータカバー部材(カバー部材)
A 軸受嵌合穴の内径
B 旋回空間内径

Claims (2)

  1. 密閉ケース内に固定スクロールと旋回スクロールとからなる圧縮機構部と、前記旋回スクロールに駆動軸を介して回転駆動力を与えるモータと、前記旋回スクロールの背面側のフレーム部材に形成された旋回空間内に配置されるとともに前記駆動軸に取付けられる上バランサと、前記モータの上側で前記駆動軸やロータの回転体に取付けられる中バランサと、前記モータの下側で前記駆動軸やロータの回転体に取付けられる下バランサとを備えた密閉形スクロール圧縮機において、前記駆動軸に取付けられる前記モータのロータは組付け前に着磁されている永久磁石を内蔵したロータであり、
    該組付け前に着磁されているロータの上側に非磁性体材料であるステンレス鋼からなる中バランサが、前記ロータの下側に非磁性体材料であるステンレス鋼からなる下バランサが夫々配置され、更に前記上バランサが鉄系金属で形成されていることを特徴とする密閉形スクロール圧縮機。
  2. 前記主軸受の軸受嵌合穴の内径Aを前記旋回空間の内径Bより大きく形成してなることを特徴とする請求項に記載の密閉形スクロール圧縮機。
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