JP5556565B2 - 回転電機 - Google Patents

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Description

本発明は、回転電機に関する。
従来から、回転電機では、固定子や回転子として、鉄心のティースごとに単相のコイルが集中巻きされたものが周知である(例えば、特許文献1参照)。すなわち、回転電機の固定子や回転子では、周方向に並ぶ複数のティースを有する鉄心と、それぞれのティースに集中巻きされて多相巻線をなすコイルとを備えるものが周知である。
特開2000−14066号公報
ところで、回転電機としての性能を高めるには、固定子や回転子において、集中巻き、分布巻きに関わらず、コイルの占積率を高めて起磁力を増加させることが望ましい。そこで、特許文献1でも、占積率を高めるために、1つのスロットにおいて、隣り合う2つのティースの一方に巻回されたコイルによって占有した後の残領域を他方に巻回されたコイルによって補填できるように、2つのコイル間で巻回断面を異ならせている。
しかし、回転電機の性能向上の要請は常に高く、さらなる占積率の向上が要求されている。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、コイルの占積率を高めて回転電機の性能を向上することにある。
〔請求項1の手段〕
請求項1の手段によれば、回転電機は、周方向に並ぶ複数のティースを有するとともに、周方向に隣り合う2つのティースの間に1つのスロットを形成する鉄心と、それぞれのティースに巻装されるコイルとを備える。
また、スロットには、スロット内断面積が互いに相違する第1、第2のスロットがあり、第1のスロットのスロット内断面積は、第2のスロットのスロット内断面積よりも大きく設定されている。そして、第1のスロットには異相のコイルが配置され、第2のスロットには同相のコイルが配置されている(「スロット内断面積」とは、軸方向に垂直なスロット断面の面積であり、以下の説明では、「スロット内断面積」を単に「断面積」と呼ぶ)。
すなわち、第1、第2スロットの断面積を相違させ、断面積が小さい第2スロットに同相のコイルを配置することで、コイルの占積率を高めることができる。つまり、1つのスロットに同相のコイルを配する場合は、異相のコイルを配する場合に比べてコイル間の絶縁を緩和することができる。そこで、一部のスロットの断面積を低減し、断面積を低減したスロットをなすティースには、電流が同相となるコイルを巻回する。
この結果、全てのスロットに異相のコイルを配する従来型の巻き線構造に比べて、コイルの占積率を高めて回転電機の性能を向上することができる。
さらに、第1のスロットと第2のスロットとは、周方向に交互に配置されている。
これにより、例えば、巻き線機でコイルを巻回する場合に、スロットに同相のコイルを配置したり、異相のコイルを配置したりする巻き線作業が容易になる。
〔請求項の手段〕
請求項の手段によれば、ティースの径方向先端には周方向に突き出るチップ部が設けられている。そして、ティースの軸方向の長さと、ティースの軸方向端部に配置される絶縁材の厚さとを足し合わせたコア高さは、チップ部を除いて外径側ほど小さい。
ここで、例えば、ティースの周方向幅が径方向に関して同一である場合、スロットは外径側ほど周方向幅が広くなるので、外径側ほど巻き数を多くすることができる。しかし、巻き数を多くするほど、コイルエンドの高さが大きくなってしまう。そこで、巻き数を多くすることができる外径側ほどコア高さを小さくすることで、コイルとティースと絶縁材とを合わせた全体の軸方向長さを大きくすることなく、スロットの外径側ほどコイルの巻き数を多くすることができ、コイルの占積率を高めて回転電機の性能を向上することができる。
〔請求項の手段〕
請求項の手段によれば、鉄心は、複数枚のコアシートを軸方向に積層して設けられ、積層される前のコアシートは、チップ部となる部分を除いて外径側ほど薄くなるようにプレス加工により設けられている。
コアシートを、チップ部となる部分を除いて外径側ほど薄くすることで、コアシートを積層した鉄心において外径側ほどコア高さを小さくすることができる。このため、コイルとティースと絶縁材とを合わせた全体の軸方向長さを大きくすることなく、スロットの外径側ほどコイルの巻き数を多くすることができ、コイルの占積率を高めて回転電機の性能を向上することができる。
〔請求項の手段〕
請求項の手段によれば、コアシートには、チップ部をなすチップ状シートと、チップ部以外の部分をなすメインシートとがあり、メインシートは、外径側ほど薄くなるように設けられている。そして、積層されたメインシートの先端に、チップ状シートが積層されてチップ部が設けられている。
メインシートを外径側ほど薄くすることで、メインシートを積層した鉄心において外径側ほどコア高さを小さくすることができる。このため、コイルとティースと絶縁材とを合わせた全体の軸方向長さを大きくすることなく、スロットの外径側ほどコイルの巻き数を多くすることができ、コイルの占積率を高めて回転電機の性能を向上することができる。
〔請求項の手段〕
請求項の手段によれば、コアシートには、チップ部をなすチップ状シートと、チップ部以外の部分をなすメインシートとがあり、メインシートは、折り返されて軸方向に積層される折り返し部を有する。そして、折り返し部は、積層されたときにティースの内径部に含まれるように折り返され、折り返し部の存在により、ティースは外径部が内径部よりも薄くなっている。また、積層されたメインシートの先端に、チップ状シートが積層されてチップ部が設けられている。
メインシートに折り返し部を設け、この折り返し部をティースの内径部に含まれるように折り返してメインシートを積層することで、鉄心の外径側ほどコア高さを小さくすることができる。このため、コイルとティースと絶縁材とを合わせた全体の軸方向長さを大きくすることなく、スロットの外径側ほどコイルの巻き数を多くすることができ、コイルの占積率を高めて回転電機の性能を向上することができる。
〔請求項の手段〕
請求項の手段によれば、鉄心は、帯状の鋼板を幅方向の一方側が外径側となるようにスパイラル状に巻回して軸方向に積層することで設けられている。また、鋼板は、幅方向の一端部を除いて一方側ほど薄くなるように設けられるとともに、スロットに相当する穴が打ち抜かれており、幅方向の一端部はチップ部を形成する。
帯状の鋼板を、幅方向の一端部を除いて一方側ほど薄くなるように設け、幅方向の一方側が外径側となるようにスパイラル状に巻回することで、鉄心の外径側ほどコア高さを小さくすることができる。このため、コイルとティースと絶縁材とを合わせた全体の軸方向長さを大きくすることなく、スロットの外径側ほどコイルの巻き数を多くすることができ、コイルの占積率を高めて回転電機の性能を向上することができる。
〔請求項の手段〕
請求項の手段によれば、絶縁材は、ティースの軸方向端面を覆う部分が外径側ほど薄く、コイルは、外径側に巻回されている部分ほど通電時に低電位となるように巻回されている。
絶縁材の内、ティースの軸方向端面を覆う部分を外径側ほど薄くすることで、コイルとティースと絶縁材とを合わせた全体の軸方向長さを大きくすることなく、スロットの外径側ほどコイルの巻き数を多くすることができ、コイルの占積率を高めて回転電機の性能を向上することができる。なお、外径側に巻回されている部分ほど通電時に低電位となるようにコイルを巻回することで、外径側における絶縁材を薄くすることによる絶縁性低下の影響を緩和することができる。
〔請求項の手段〕
請求項の手段によれば、コアシートの一部であって積層されたときにティースをなすティース形成部に切り欠きが設けられており、切り欠きは、ティース形成部の外径部において周方向一端側の半分以上、またはティース形成部の周方向他端側の半分以上が欠けるように設けられている。そして、ティースは、周方向一端側が欠けているティース形成部と、周方向他端側が欠けているティース形成部とが重なることで、外径部が内径部よりも薄くなっている。
ティース形成部の外径部に切り欠きを設け、周方向一端側が欠けているティース形成部と、周方向他端側が欠けているティース形成部とが重なるようにコアシートを積層することで、鉄心の外径側ほどコア高さを小さくすることができる。このため、コイルとティースと絶縁材とを合わせた全体の軸方向長さを大きくすることなく、スロットの外径側ほどコイルの巻き数を多くすることができ、コイルの占積率を高めて回転電機の性能を向上することができる。なお、ティースは、外径側ほど周方向幅を広くすることができるため、切り欠きをティースの外径部に含まれるように設けることは容易である。
回転電機の要部を示す要部構成図である(実施例1)。 (a)は回転電機の要部を軸方向および径方向に関して示す要部構成図であり、(b)は回転電機の要部を径方向および周方向に関して示す要部構成図である(実施例1)。 (a)は積層後のコアシートを示す説明図であり、(b)は積層前のコアシートを示す説明図である(実施例1)。 (a)は回転電機の要部を示す要部構成図であり、(b)はコイルへの通電パターンを示すタイムチャートである(実施例2)。 回転電機の要部を示す要部構成図である(参考例)。 (a)は積層後のコアシートを示す説明図であり、(b)は積層前のコアシートを示す説明図である(変形例)。 (a)は積層後のコアシートを示す説明図であり、(b)は折り返し後、積層前のコアシートを示す説明図であり、(c)はコアシートの要部を示す部分平面図である(変形例)。 (a)は鋼板を示す部分平面図であり、(b)は鋼板の断面を示す断面図である(変形例)。 (a)は回転電機の要部を軸方向および径方向に関して示す要部構成図であり、(b)は回転電機の要部を径方向および周方向に関して示す要部構成図である(変形例)。 (a)、(b)はコアシートの要部を示す部分平面図である(変形例)。
以下、発明を実施するための形態を実施例により説明する。
〔実施例1の構成〕
実施例1の回転電機1の構成を、図1〜図3に基づいて説明する。
回転電機1は、例えば、固定子1Aとして、周方向に並ぶ複数のティース2を有する鉄心3と、それぞれのティース2に集中巻きされて3相巻線をなすコイル4とを備え、ティース2が外径側に向かって突出するものである。
そして、回転電機1は、例えば、永久磁石を有する回転子(図示せず)が固定子1Aを外径側で包囲するように配置され、例えば、永久磁石同期モータとして機能する。すなわち、コイル4には、例えば、位相が互いに2π/3ずつ異なるA相、B相、C相の正弦波状の3相電流が通電されて回転磁界が形成され、主に、この回転磁界と回転子の永久磁石が形成する磁界との相互作用によりトルクが発生する(以下、A相、B相、C相の電流が流れるコイル4を、それぞれコイル4A、4B、4Cとする)。
また、それぞれのティース2は外径側ほど周方向に幅広になっており、周方向に隣り合う2つのティース2の間には1つのスロット5が形成されている。また、ティース2の径方向先端には周方向に突き出るチップ部6が設けられている。なお、実施例1のチップ部6は、周方向の片側にのみ突き出るものであったが、両側に突き出るようにチップ部6を設けてもよい。
また、それぞれのスロット5は、大小2つの異なる断面積のいずれか一方の断面積を有しており、断面積が大きい方のスロット5、断面積が小さい方のスロット5を、それぞれ第1、第2のスロット5a、5bとすれば、第1のスロット5aには異相のコイル4が配置され、第2のスロット5bには同相のコイル4が配置されている。
ここで、実施例1の固定子1Aでは、第1、第2のスロット5a、5bが周方向に交互に配置されるようにティース2が設けられている。また、1つのティース2にはコイル4A〜4Cの内の1相のみが集中巻きされており、第1のスロット5aを形成する2つのティース2には異相のコイル4がそれぞれ集中巻きされ、第2のスロット5bを形成する2つのティース2には同相のコイル4がそれぞれ集中巻きされている。
そして、実施例1の回転電機1では、周方向に一方側から他方側に向かってコイル4A、4A→コイル4B、4B→コイル4C、4Cの配置が繰り返されるように、コイル4が巻装されている。
例えば、図1に示すように、1つの第2のスロット5bにコイル4Bのみが配置されている場合、この第2のスロット5bを形成する2つのティース2には、両方ともコイル4Bが集中巻きされている。
また、第2のスロット5bの周方向一方側に形成される第1のスロット5aにはコイル4A、4Bが配置され、この第1のスロット5aを形成する2つのティース2の周方向一方側のティース2にはコイル4Aが集中巻きされ、周方向他方側のティース2にはコイル4Bが集中巻きされている。
さらに、第2のスロット5bの周方向他方側に形成される第1のスロット5aにはコイル4B、4Cが配置され、この第1のスロット5aを形成する2つのティース2の周方向一方側のティース2にはコイル4Bが集中巻きされ、周方向他方側のティース2にはコイル4Cが集中巻きされている。
また、鉄心3は、図3に示すように、複数枚のコアシート7を軸方向に積層して設けられ、積層前の個々のコアシート7は、チップ部6となる部分を除いて外径側ほど薄くなるようにプレス加工により設けられている。このため、複数枚のコアシート7を積層して設けられる鉄心3では、コア高さが、チップ部6を除いて外径側ほど小さくなる。なお、コア高さとは、ティース2の軸方向の長さと、ティース2の軸方向端部に配置される絶縁材8の厚さとを足し合わせたものである。
〔実施例1の効果〕
実施例1の回転電機1によれば、固定子1Aにおいて、それぞれのスロット5は、大小2つの異なる断面積のいずれか一方の断面積を有しており、断面積が大きい方のスロット5aには異相のコイル4が配置され、断面積が小さい方のスロット5bには同相のコイル4が配置されている。
これにより、全てのスロット5の内、一部のスロット5の断面積を低減することにより、コイル4の占積率を向上することができる。すなわち、1つのスロット5に同相のコイル4を配置する場合は、異相のコイル4を配置する場合に比べてコイル4間の絶縁を緩和することができる。そこで、一部のスロット5の断面積を低減し、断面積を低減したスロット5をなすティース2には、電流が同相となるコイル4を巻回する。この結果、全てのスロット5に異相のコイル4を配する従来型の巻き線構造に比べて、コイル4の占積率を高めて回転電機1の性能を向上することができる。
また、コア高さは、チップ部6を除いて外径側ほど小さい。
ここで、スロット5は、外径側ほど周方向幅が広く巻き数を多くすることができる(図2参照)。しかし、巻き数を多くするほど、コイルエンドの高さが大きくなってしまう。そこで、巻き数を多くすることができる外径側ほどコア高さを小さくすることで、コイル4とティース2と絶縁材8とを合わせた全体の軸方向長さを大きくすることなく、スロット5の外径側ほどコイル4の巻き数を多くすることができる。
〔実施例2〕
実施例2の回転電機1の構成を、図4に基づいて説明する。
実施例2の回転電機1は、例えば、固定子1Aを外径側で包囲する回転子(図示せず)が永久磁石を有さずに内径側に向かって突出する突極を有しており、例えば、スイッチトリラクタンスモータとして機能する。そして、コイル4には、例えば、位相が互いにπずつ異なる矩形波状の2相電流(以下、D相、E相と呼ぶ)が通電され(図4(b)参照)、この2相の電流により形成される磁束によって回転子の突極が磁気吸引されてトルクが発生する(以下、D相、E相の電流が流れるコイル4を、それぞれコイル4D、4Eとする)。
ここで、実施例2の固定子1Aでは、実施例1の固定子1Aと同様に、第1、第2のスロット5a、5bが周方向に交互に配置されるようにティース2が設けられている。また、1つのティース2にはコイル4D、4Eの内の1相のみが集中巻きされており、第1のスロット5aを形成する2つのティース2には同相のコイル4がそれぞれ集中巻きされ、第2のスロット5bを形成する2つのティース2には異相のコイル4がそれぞれ集中巻きされている。
なお、実施例2の鉄心3には、チップ部6が設けられていないが、必要に応じて設けてもよい。
そして、例えば、周方向に一方側から他方側に向かってコイル4D、4D→コイル4E、4Eの配置が繰り返されるようにコイル4が巻装されている。
例えば、図4(a)に示すように、1つの第2のスロット5bにコイル4Dのみが配置されている場合、この第2のスロット5bを形成する2つのティース2には、両方ともコイル4Dが集中巻きされている。
また、このコイル4Dのみが配置される第2のスロット5bの周方向他方側に形成される第1のスロット5aにはコイル4D、4Eが配置され、この第1のスロット5aを形成する2つのティース2の内、周方向一方側のティース2にはコイル4Dが集中巻きされ、周方向他方側のティース2にはコイル4Eが集中巻きされている。
さらに、コイル4Dのみが配置される第2のスロット5bから周方向他方側に1つの第1のスロット5aを挟んで形成される第2のスロット5bには、コイル4Eのみが配置される。
そして、図4(b)に示すように、コイル4Dのみが配置される第2のスロット5bにおいて、周方向一方側のコイル4Dと他方側のコイル4Dとで通電量を異ならせたり、コイル4Eのみが配置される第2のスロット5bにおいて、周方向一方側のコイル4Eと他方側のコイル4Eとで通電量を異ならせたりすることで、コイル4への通電により形成される磁束の分布を自在に可変することができる。
参考例
参考例の回転電機1の構成を、図5に基づいて説明する。
参考例の回転電機1は、実施例1の回転電機1と同様に、例えば、永久磁石を有する回転子(図示せず)が固定子1Aを外径側で包囲するように配置され、例えば、永久磁石同期モータとして機能する。そして、コイル4には、例えば、位相や周波数が互いに異なるF相〜H相の正弦波状の3相電流が通電されて回転磁界が形成され、主に、この回転磁界と回転子の永久磁石が形成する磁界との相互作用によりトルクが発生する(以下、F相、G相、H相の電流が流れるコイル4を、それぞれコイル4F、4G、4Hとする)。
また、参考例の第1、第2のスロット5a、5bの配置によれば、周方向に一方側から他方側に向かって第2のスロット5b→第1のスロット5a→第1のスロット5aの順序が繰り返される。そして、コイル4F〜4Hは、3つのティース2に跨るように分布巻きされており、例えば、第2のスロット5bにコイル4Fのみが配置されるように、かつ、第1のスロット5aにコイル4G、4Hが配置されるように分布巻きされている。
そして、ティース2の最内径側では、コイル4Fが3つのティース2、およびこれら3つのティース2により形成される2つの第1のスロット5aを跨ぐように分布巻きされている。また、コイル4Fの外径側では、コイル4G、4Hが3つのティース2、ならびに、これら3つのティース2により形成される1つの第1のスロット5aおよび1つの第2のスロット5bを跨ぐように分布巻きされている。
また、コイル4Gは、内径側、外径側で2段階に分かれてティース2の1つ分だけ周方向にずれるように分布巻きされ、同様に、コイル4Hも、内径側、外径側で2段階に分かれてティース2の1つ分だけ周方向にずれるように分布巻きされている。
〔変形例〕
回転電機1の態様は、実施例1、2に限定されず種々の変形例を考えることができる。
例えば、実施例1、2の回転電機1によれば、固定子1Aは、回転子により外径側が包囲されるものであったが、固定子1Aを回転子の外径側に配置して回転子を包囲するようにしてもよく、さらに、実施例1〜3に示された巻き線構造を回転子に適用してもよい。
また、実施例1、2では、回転電機1の適用例として永久磁石同期モータやスイッチトリラクタンスモータを例示したが、回転電機1の適用例はこのような態様に限定されず、例えば、ブラシ付きのDCモータ、誘導モータ、またはシンクロナスリラクタンスモータ等にも適用することができる。
また、実施例1では、複数枚のコアシート7を軸方向に積層することで鉄心3を設け、積層前の個々のコアシート7を、チップ部6となる部分を除いて外径側ほど薄くなるようにプレス加工により設けていたが、鉄心3の態様はこのようなものに限定されず、以下のような変形態様を例示することができる。
1つ目の変形態様によれば、例えば、図6に示すように、コアシート7には、チップ部6をなすチップ状シート9と、チップ部6以外の部分をなすメインシート10とがあり、メインシート10は、外径側ほど薄くなるように設けられている。そして、積層されたメインシート10の先端に、チップ状シート9が積層されてチップ部6が設けられている。
2つ目の変形態様によれば、図7に示すように、コアシート7には、チップ部6をなすチップ状シート9と、チップ部6以外の部分をなすメインシート10とがあり、メインシート10は、折り返されて軸方向に積層される折り返し部11を有する。そして、折り返し部11は、積層されたときにティース2の内径部に含まれるように折り返され、折り返し部11の存在により、ティース2は外径部が内径部よりも薄くなっている。
ここで、折り返し部11は、例えば、図7(c)に示すように設けられている。すなわち、メインシート10の一部であって積層されたときにティース2をなす部分(以下、ティース形成部12と呼ぶ)の面積を略2等分して中心を通る対称軸を想定したとき、折り返し部11は、対称軸を挟んで線対称をなすように、ティース形成部12の側縁の2箇所に設けられている。
3つ目の変形態様によれば、図8に示すように、鉄心3は、帯状の鋼板13を幅方向の一方側が外径側となるようにスパイラル状に巻回して軸方向に積層することで設けられている。また、鋼板13は、幅方向の一端部を除いて一方側ほど薄くなるように設けられるとともに、スロット5に相当する穴14が打ち抜かれており、幅方向の一端部はチップ部6を形成する。
4つ目の変形態様によれば、図9に示すように、絶縁材8は、ティース2の軸方向端面15を覆う部分が外径側ほど薄く、コイル4は、外径側に巻回されている部分ほど通電時に低電位となるように巻回されている。すなわち、電位が低いほど絶縁性を緩和することができるので、絶縁材8の内、軸方向端面15を覆う部分の外径側を薄くするとともに、外径側に巻回されている部分ほど通電時に低電位となるようにコイル4を巻回することで、コイル4とティース2と絶縁材8とを合わせた全体の軸方向長さを大きくすることなく、スロット5の外径側ほどコイル4の巻き数を多くすることができる。
5つ目の変形態様によれば、図10に示すように、ティース形成部12に切り欠き16が設けられており、切り欠き16は、ティース形成部12の外径部において、チップ部6を形成する部分を除いて周方向一端側の半分以上、または周方向他端側の半分以上が欠けるように設けられている。
そして、ティース2は、周方向一端側が欠けているティース形成部12と、周方向他端側が欠けているティース形成部12とが重なることで、外径部が内径部よりも薄くなっている。
なお、ティース2は、外径側ほど周方向幅を広くすることができるため、切り欠き16をティース2の外径部に含まれるように設けることは容易である。
1 回転電機
1A 固定子
2 ティース
3 鉄心
4、4A〜4H コイル
5 スロット
5a 第1のスロット
5b 第2のスロット
6 チップ部
7 コアシート
8 絶縁材
9 チップ状シート
10 メインシート
11 折り返し部
12 ティース形成部
13 鋼板
14 穴
15 軸方向端面
16 切り欠き

Claims (8)

  1. 周方向に並ぶ複数のティースを有するとともに、周方向に隣り合う2つのティースの間に1つのスロットを形成する鉄心と、
    それぞれのティースに巻装されるコイルとを備える回転電機において、
    前記スロットには、スロット内断面積が互いに相違する第1、第2のスロットがあり、
    前記第1のスロットのスロット内断面積は、前記第2のスロットのスロット内断面積よりも大きく設定され、
    前記第1のスロットには異相のコイルが配置され、前記第2のスロットには同相のコイルが配置され
    前記第1のスロットと前記第2のスロットとは、周方向に交互に配置されていることを特徴とする回転電機。
  2. 請求項1に記載の回転電機において、
    前記ティースの径方向先端には周方向に突き出るチップ部が設けられ、
    前記ティースの軸方向の長さと、前記ティースの軸方向端部に配置される絶縁材の厚さとを足し合わせたコア高さは、前記チップ部を除いて外径側ほど小さいことを特徴とする回転電機。
  3. 請求項2に記載の回転電機において、
    前記鉄心は、複数枚のコアシートを軸方向に積層して設けられ、
    積層される前の前記コアシートは、前記チップ部となる部分を除いて外径側ほど薄くなるようにプレス加工により設けられていることを特徴とする回転電機。
  4. 請求項2に記載の回転電機において、
    前記鉄心は、複数枚のコアシートを軸方向に積層して設けられ、
    前記コアシートには、前記チップ部をなすチップ状シートと、前記チップ部以外の部分をなすメインシートとがあり、
    このメインシートは、外径側ほど薄くなるように設けられており、
    積層された前記メインシートの先端に、前記チップ状シートが積層されて前記チップ部が設けられていることを特徴とする回転電機。
  5. 請求項2に記載の回転電機において、
    前記鉄心は、複数枚のコアシートを軸方向に積層して設けられ、
    前記コアシートには、前記チップ部をなすチップ状シートと、前記チップ部以外の部分をなすメインシートとがあり、
    このメインシートは、外径側ほど薄くなるように設けられており、
    積層された前記メインシートの先端に、前記チップ状シートが積層されて前記チップ部が設けられていることを特徴とする回転電機。
  6. 請求項2に記載の回転電機において、
    前記鉄心は、帯状の鋼板を幅方向の一方側が外径側となるようにスパイラル状に巻回して軸方向に積層することで設けられ、
    前記鋼板は、幅方向の一端部を除いて一方側ほど薄くなるように設けられるとともに、前記スロットに相当する穴が打ち抜かれており、
    前記幅方向の一端部は前記チップ部を形成することを特徴とする回転電機。
  7. 請求項2に記載の回転電機において、
    前記絶縁材は、前記ティースの軸方向端面を覆う部分が外径側ほど薄く、
    前記コイルは、外径側に巻回されている部分ほど通電時に低電位となるように巻回されていることを特徴とする回転電機。
  8. 請求項2に記載の回転電機において、
    前記鉄心は、複数枚のコアシートを軸方向に積層して設けられ、
    前記コアシートの一部であって積層されたときに前記ティースをなすティース形成部に切り欠きが設けられており、
    この切り欠きは、前記ティース形成部の外径部において周方向一端側の半分以上、または前記ティース形成部の周方向他端側の半分以上が欠けるように設けられ、
    前記ティースは、周方向一端側が欠けている前記ティース形成部と、周方向他端側が欠けている前記ティース形成部とが重なることで、外径部が内径部よりも薄くなっていることを特徴とする回転電機。
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