JP5556108B2 - 半溶融金属の鋳造方法、及び半溶融金属の鋳造装置 - Google Patents

半溶融金属の鋳造方法、及び半溶融金属の鋳造装置 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム合金などの軽金属による半溶融金属を、高品質、かつ低コストにて鋳造する鋳造方法、及び鋳造装置の技術に関する。
従来から、鋳型に溶融金属を加圧注入し、所望形状の製品を得る鋳造方法としてダイカスト法が知られている。
前記ダイカスト法においては、砂型などの鋳型の中に溶湯を流し込んで成形する重力鋳造法や、金型のキャビティ内に射出された溶湯に高圧を加えて成形凝固させるスクイズ鋳造法など、様々な手法が用いられている。
そして近年、これら様々な手法の中でも、凝固収縮による引け巣や偏析が少なく、低温鋳込のため金型寿命が向上するなどの特徴を有することから、固相成分と液相成分とが共存状態にある半溶融状態の金属材料を用いて鋳造を行うセミソリッドダイカスト法が注目されている。
前記セミソリッドダイカスト法の具体的手法としては、例えばアルミニウム合金などの軽金属を材料として攪拌凝固により得られた半凝固金属を、直接ダイカストマシンの鋳込スリーブ(筒状に形成される、金属材料の投入部)に滴下し射出成形するレオキャスト法(Rheocasting)や、攪拌凝固により得られた固体状の連鋳棒を必要量切断し、再加熱することで得られた半溶融金属を、ダイカストマシンの鋳込スリーブに挿入して射出成形するチクソキャスト法(Thixocasting)が知られている。
そして、これら両手法の内、レオキャスト法については、半凝固金属の製造サイクルが長い、チクソキャスト法に比べて装置全体が大掛かりなものとなり設備費用が嵩張る、などの問題点も多く、チクソキャスト法が用いられることが多い。
ところで、チクソキャスト法を行う場合、前述の通り、半溶融金属からなる金属材料を鋳込スリーブ内に投入し、プッシャーによって押出す(射出する)ことで、前記金属材料を金型キャビティ内に充填させることとなる。
ここで、鋳込スリーブとキャビティとは、金型内部に形成されるゲート(金型外部とキャビティとを連通する孔部)を介して連通されることから、鋳込スリーブ内に投入された金属材料がキャビティ内に到達するまでの流動距離が長くなる。
その結果、金属材料は、これら鋳込スリーブ、ゲート、キャビティの内部を順に移動するに従い、空気や塵などを巻き込み、内部欠陥を引き起こすことが多かった。
また、金属材料の流動距離が長くなることで、キャビティ内に到達する前に該金属材料の温度低下が発生し、部分的に凝固が進行することとなる。
その結果、プッシャーによる金属材料への圧力伝搬が鈍くなり、その分過剰な圧力が必要となることから、設備全体として嵩張るものとなっていた。
さらに、設備レイアウトなどの諸条件により、キャビティは主に、水平に配設される鋳込スリーブの下流側端部(プッシャーによる金属材料の押出し方向側端部)において、上方に向かって延出するようにして配設されることから、鋳込スリーブ内における金属材料の射出方向と、ゲートを介したキャビティまでの金属材料の流動方向と、が略直角に交わることとなる。
その結果、金属材料を押出すためにプッシャーが必要とする圧力は過剰となり、設備全体として嵩張るものとなっていた。
そこで、このような点を改善するための技術として、以下の「特許文献1」、及び「特許文献2」に示される様々な技術が提案されている。
例えば、「特許文献1」では、溶湯を注入した金型に一次加圧力を加えながら冷却して半凝固状態の半成形品を鋳造し、該半成形品を金型から取り出すことなく、該金型に一次加圧力よりも更に大きな二次加圧力を加えながら、前記半成形品の少なくとも一部を塑性変形させて成形品を製造する技術が開示されている。
また、「特許文献2」では、キャビティ内に溶湯を高速充填し、ダイカスト鋳造により略最終製品形状に近い一次加工品を成形するダイカスト工程と、該一次加工品を固相率30乃至70%の半溶融状態でもって最終製品の寸法・形状にプレス成形するプレス工程と、からなる金属成形方法に関する技術が開示されている。
特開2005−74461号公報 特開平5−305409号公報
このような、前記「特許文献1」、及び「特許文献2」による技術を用いれば、セミソリッドダイカスト法を実施するにあたり、より高品質な鋳造製品を低コストにて得ることができるようにも思われる。
しかし、前記「特許文献1」における技術では、半凝固状態における半成形品において、金型と常に接触する表層部では、内部に比べて凝固が進行し、流動が停止する領域が発生することとなる。よって、前記半成形品の内部では流動の乱れが発生し、湯境や、空気の巻き込みなどの内部欠陥が生じ、高品質な鋳造製品を得ることは困難である。
また、前記「特許文献2」における技術では、ダイカスト工程と、プレス工程と、を各々別個の金型によって行うこととしているため、設備全体として嵩張るとともに、これら工程間内で一次加工品を移動させる際に、該一次加工品が酸化などの汚染を受ける可能性も高く、表層面酸化膜の巻き込みによる内部欠陥が生じ、高品質な鋳造製品を得ることは困難である。
本発明は、以上のような改善点に鑑みてなされたものであり、チクソキャスト法によるアルミニウム合金などの軽金属による半溶融金属を、高品質、かつ低コストにて鋳造する鋳造方法、及び鋳造装置の技術の提供を課題とする。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、固相成分と液相成分とが共存する半溶融金属の鋳造方法であって、金型を「型締め」することで半溶融金属を所定の形状に鋳造する工程を備え、前記工程は、金型内部のキャビティに半溶融金属が投入された後、幾分かの締め代を残して前記金型の「型締め」を行う型締め工程と、前記型締め工程の終了後、前記型締め工程よりも高圧にて、残りの締め代を型締めする高圧成形工程と、により構成されるものである。
請求項2においては、前記型締め工程は、前記高圧成形工程よりも高速にて、前記金型の「型締め」を行うものである。
請求項3においては、前記キャビティ内部の雰囲気は、半溶融金属が前記キャビティに投入される前より、不活性ガスによって置換され、前記型締め工程においては、前記不活性ガスの前記キャビティ内部への出入量を調整することで、前記キャビティの内面と、前記半溶融金属の表層面と、の間に発生する背圧を調整するものである。
請求項4においては、前記型締め工程において、「型締め」される前記金型には、型締め・型開き方向への振動が付与されるものである。
請求項5においては、前記型締め工程において、「型締め」される前記金型には、型締め・型開き方向への振動が付与され、前記背圧の調整は、前記金型に型締め方向への振動が付与されるタイミングと、半溶融金属の予め定められた部位における断面変化の程度と、に基づき、前記不活性ガスの前記キャビティ内部への出入量を調整するものである。
請求項6においては、固相成分と液相成分とが共存する半溶融金属の鋳造装置であって、キャビティ内に投入された半溶融金属を所定の形状に鋳造する金型を備え、前記金型は固定金型と可動金型と、により構成されるとともに、前記可動金型が前記固定金型に向かって相対移動することで、前記金型は「型締め」され、前記可動金型には、金型内部のキャビティに半溶融金属が投入された後、幾分かの締め代を残して前記金型の「型締め」を行う型締め手段と、前記型締め手段による「型締め」の終了後、前記型締め手段よりも高圧にて連続的に圧力を付加しつつ、残りの締め代を「型締め」する高圧成形手段と、が設けられるものである。
請求項7においては、前記型締め手段は、前記高圧成形手段よりも高速にて、前記金型の「型締め」を行うものである。
請求項8においては、前記金型には、半溶融金属が前記キャビティに投入される前より、前記キャビティ内部の雰囲気を不活性ガスに置換する背圧調整手段が備えられ、前記型締め手段による「型締め」の実行中においては、前記背圧調整手段によって前記不活性ガスの前記キャビティ内部への出入量を調整することで、前記キャビティの内面と、前記半溶融金属の表層面と、の間に発生する背圧を調整するものである。
請求項9においては、前記金型には、加振機構が設けられ、前記型締め手段によって、前記可動金型を前記固定金型に向かって相対移動する際は、前記加振機構によって前記可動金型に、型締め・型開き方向への振動が付与されるものである。
請求項10においては、前記金型には、加振機構が設けられ、前記型締め手段によって、前記可動金型を前記固定金型に向かって相対移動する際は、前記加振機構によって前記可動金型に、型締め・型開き方向への振動が付与されるとともに、前記背圧の調整は、前記金型に型締め方向への振動が付与されるタイミングと、半溶融金属の予め定められた部位における断面変化の程度と、に基づき、前記不活性ガスの前記キャビティ内部への出入量を調整するものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明における半溶融金属の鋳造方法、及び半溶融金属の鋳造装置に拠れば、チクソキャスト法によるアルミニウム合金などの軽金属による半溶融金属を、高品質、かつ低コストにて鋳造することができる。
本発明の第一実施例に係る半溶融金属の鋳造工程を具備する、成形工程の全体を示した工程図。 第一実施例において、鋳造される製品の肉厚と、半溶融状態の金属の流動長と、の関係を異なる成形速度(型締め速度)ごとに示したグラフ。 本発明の第二実施例に係る半溶融金属の鋳造工程を具備する、成形工程の全体を示した工程図。 第二実施例において、半溶融金属の鋳造工程に用いられる金型の一例を示した図であり、(a)は金型が開いた状態を示した断面図、(b)は金型が閉じた状態を示した断面図。 第二実施例において、閉じた状態の金型によって押圧される半溶融金属の近傍を示した拡大断面図。 本発明の第三実施例に係る半溶融金属の鋳造工程を具備する、成形工程の全体を示した工程図。 第三実施例において、半溶融金属の鋳造工程に用いられる金型の一例を示した断面図。 第三実施例において、閉じた状態の金型によって押圧される半溶融金属の近傍を示した拡大断面図。 本発明の第四実施例に係る半溶融金属の鋳造工程を具備する、成形工程の全体を示した工程図。 第四実施例において、半溶融金属の鋳造工程に用いられる金型の一例を示した図であり、(a)は金型が開いた状態を示した断面図、(b)は金型が閉じた状態を示した断面図。 第四実施例において用いられる鋳造装置の一例を示した全体断面図。 第四実施例において用いられる鋳造装置の動作を示した図であり、(a)は高速成形時の状態を示した全体断面図、(b)は高圧成形時の状態を示した全体断面図。 第四実施例において用いられる、金型内の背圧に関する制御方法を示したフローチャート。
次に、発明の実施の形態を説明する。
[半溶融金属の成形工程W100]
まず、本発明に係る半溶融金属の鋳造方法を具現化する鋳造工程W02(第一実施例)を備えた、半溶融金属の成形工程W100全体の概要について、図1を用いて説明する。
なお、本実施例において鋳造の対象とする半溶融金属とは、固相成分と液相成分とが共存する状態からなる金属であり、一般的に他の溶融金属や固体金属などに対して異なる特徴を有する。
即ち、半溶融金属の変形抵抗(材料を変形させるために必要な応力)は、固相率によって若干変化するものの、固体金属に比べればその値はかなり小さい。よって、半溶融金属は、固体金属に比べて比較的小さい荷重による型締め力(金型に充填される金属材料の圧力に抗して、金型を閉じておくために加えられる力)により鋳造を行うことができる。
一方、半溶融金属の凝固収縮については、内在する液相成分のみに着眼して考慮すればよい。よって、固相率によって若干変化するものの、同等の体積を有する溶融金属に比べれば、半溶融金属の凝固収縮率はかなり小さい。従って、溶融金属に比べて、半溶融金属では、僅かな凝固収縮分に対応する量を補給することで、凝固収縮によって発生する亀裂や内部欠陥を、容易に回避することができる。
このような半溶融金属の特徴を踏まえた上で、以下第一乃至第四実施例として詳述する鋳造工程W02、W04、W05、W06は、高品質、かつ低コストからなる半溶融金属の鋳造を可能とするものである。
本実施例における半溶融金属の成形工程W100は、主に前工程W01と、鋳造工程W02と、後工程W03と、によって構成される。
前工程W01は実際に鋳造を行う金型に、半溶融金属を供給するための工程である。
具体的には、前工程W01では、主に半溶融金属の入荷や、該半溶融金属の加熱(予め定められた加工温度にまで半溶融金属を加熱する)や、加熱された半溶融金属の金型への搬送などが行われる。
鋳造工程W02は、前工程W01によって搬送された半溶融金属を金型に投入し、該金型によって実際に鋳造する工程である。
なお、鋳造工程W02は、後述のように高速成形工程W21と、高圧成形工程W22と、により構成される。
後工程W03は、鋳造工程W02によって中間製品に鋳造された半溶融金属を、最終的な製品に仕上げるための工程である。
具体的には、後工程W03では、主に金型からの中間製品の取り出しや、該中間製品の冷却や、該中間製品に固着する余分な突起物の切除などが行われる。
このような一連の工程(前工程W01、鋳造工程W02、後工程W03)を踏むことで、固相成分と液相成分とが共存する半溶融金属は、最終的な製品に仕上げられる。
[半溶融金属の鋳造工程W02(第一実施例)]
次に、本実施例における半溶融金属の鋳造工程W02(第一実施例)の詳細について、図1、及び図2を用いて説明する。
図1に示すように、鋳造工程W02は半溶融金属を所定の形状に鋳造する工程であり、高速成形工程W21と、高圧成形工程W22と、により構成される。
高速成形工程W21は、幾分かの締め代を残して金型の「型締め」を行う型締め工程であり、高速度の成形速度、即ち高速度の型締め速度によって、金型の「型締め」を行う工程である。
つまり、例えば鋳造工程W02において用いられる金型が、固定金型と、該固定金型に対して相対移動可能な可動金型と、により構成される場合、金型内部のキャビティに半溶融金属が投入された後、これら固定金型、及び可動金型が合致する(「型締め」する)際の、可動金型の相対移動に関する速度を高速度にて行うのである。
ここで、図2を用いて、成形速度(型締め速度)が異なる場合の、「製品の肉厚」と、半溶融金属の「流動長」と、の各々の関係について説明する。
なお、「製品の肉厚」とは、半溶融金属がキャビティ(金型内で鋳造品とほぼ同一形状を有し、金属材料が流れ込む空間)内で凝固して形成された製品の肉厚を示すものであり、キャビティ内の隙間を意味する。また、「流動長」とはキャビティ内への半溶融金属の充填位置から、該半溶融金属の流れの流動末端までの距離を示す。
一般的に、半溶融金属における「製品の肉厚」と、「流動長」と、の関係においては、「製品の肉厚」が厚くなるに従って「流動長」も長くなる。即ち、キャビティ内の隙間が広がるに従って半溶融金属は流れやすくなり、該半溶融金属は充填位置からより離れた流動末端にまで到達するようになる。
ここで、「製品の肉厚」を一定として成形速度(型締め速度)を変化させると、成形速度(型締め速度)が速くなるに従って「流動長」も長くなる。
即ち、図2に示すように、例えば、「製品の肉厚」が本図中の「A」となる場合に着目すると、従来の油圧プレス機などに採用される成形速度(型締め速度、約0.03m/S)を示すグラフ(a)に対して、グラフ(b)からグラフ(f)に示すように、徐々に成形速度(型締め速度)を速くしていくと、「流動長」も徐々に長くなることが分かる。(なお、図2に示す成形速度(型締め速度)の大小関係は、(a)<(b)<(c)<(d)<(e)<(f)である。)
一方、金型のキャビティ内に投入された直後の半溶融金属は、外部への熱量の放出量が少なく変形抵抗も小さい。
このようなことから、本実施例においては、鋳造工程W02の初期段階に、型締め工程としての高速成形工程W21を設け、例えば約1.0m/Sからなる高速の成形速度(型締め速度)により金型の「型締め」を行うこととしている。その結果、本実施例における鋳造工程W02では、別段金型に高圧の荷重を付加することなく、製品の薄肉部(キャビティの隙間が狭い部位)に十分に充填することが可能な、半溶融金属の流動性を確保することとしている。
従って、高速成形工程W21においては、別段金型に高圧の荷重を付加することもないため、その分設備を簡素化し、鋳造装置全体としてコンパクト化を図ることができるのである。
高速成形工程W21により、幾分かの締め代を残して金型の「型締め」が終了すれば、引き続き高圧成形工程W22が行われる。
高圧成形工程W22は、従来の油圧プレス機などに採用される圧力以上の圧力(例えば、約50MPa以上)によって金型の「型締め」を行う工程であり、前記高圧成形工程W22によって残りの締め代分が「型締め」され、金型の「型締め」が完了する。
このように、本実施例においては、鋳造工程W02の後期段階に高圧成形工程W22を設け、初期段階における高速成形工程W21から高圧成形工程W22に連続的に切換えることで、製品の薄肉部に関する半溶融金属の未充填を防止するようになっている。
即ち、金型の「型締め」を行う際は、少なくとも半溶融金属の表層面の一部が、常にキャビティの内側面と接触することとなる。よって、半溶融金属に内在する熱量は、徐々にキャビティの内側面を介して金型に奪われていくことから、半溶融金属の固相率も徐々に増加し、鋳造工程W02の後期段階においては、半溶融金属の変形抵抗も大きなものとなる。
このような変形抵抗の増大した半溶融金属に対して、高圧成形工程W22による高圧力によって金型の「型締め」を行うことで、キャビティの隙間が狭い部位であっても、確実に半溶融金属を充填することが出来るのである。
また、高圧成形工程W22によって高圧力を安定的に保持しつつ金型に付加することで、半溶融金属における最終凝固部(半溶融金属全体における、最後に凝固する領域)の凝固収縮によって発生した空隙にも容易にメタル補給を行うことができる。
よって、鋳造時の半溶融金属に発生する引け巣などの内部欠陥を、効果的に防止することができ、高品質な鋳造製品を得ることができる。
なお、高圧成形工程W22における成形速度(型締め速度)については、高速、低速の何れかに限定されるものではないが、安定した高圧力を金型に付加するべく、低速に行うことが好ましい。
換言すれば、高速成形工程W21は、高圧成形工程W22に比べて高速にて、前記金型の「型締め」を行うことが好ましい。
このように、本実施例における鋳造工程W02は、型締め工程としての高速成形工程W21と、該高速成形工程W21に対して成形圧力が高い高圧成形工程W22と、の二段階の工程により構成するため、溶融金属に比べて変形抵抗の大きな半溶融金属であっても製品の薄肉部(キャビティの隙間が狭い部位)に対する「流動長」を十分に確保することが可能となり、薄肉製品の鋳造についても容易に対応することができるのである。
[半溶融金属の鋳造工程W04(第二実施例)]
次に、本実施例における半溶融金属の鋳造工程W04(第二実施例)の詳細について、図3乃至図5を用いて説明する。
なお、便宜上、図4、及び図5の上下方向を金型2の上下方向と規定して、以下説明する。
図3に示すように、本実施例における鋳造工程W04は、前述の第一実施例における鋳造工程W02と同じく、型締め工程としての高速成形工程W21と、高圧成形工程W22とにより構成されるとともに、前記高速成形工程W21の実行前、及び実行中において、金型内雰囲気制御P41を行うこととしている。
また、鋳造工程W04の前後には、前述の第一実施例と同じく前工程W01と、後工程W03と、が各々設けられ、これら前工程W01と、鋳造工程W04と、後工程W03と、により半溶融金属の成形工程W200が構成される。
なお、高速成形工程W21と高圧成形工程W22、及び前工程W01と後工程W03については、既に前述の第一実施例において説明しているため、以下の説明については省略する。
金型内雰囲気制御P41は、主に不活性ガス置換制御P42と、背圧制御P43と、により構成される。
不活性ガス置換制御P42は、金型のキャビティ内部における雰囲気を不活性ガスに置換する制御であり、高速成形工程W21の実行前に行われる。
即ち、不活性ガス置換制御P42は、半溶融金属が金型のキャビティ内へ投入される前に行われ、不活性ガス置換制御P42によってキャビティ内の雰囲気が完全に不活性ガスに置換された後に、半溶融金属がキャビティ内に投入され、高速成形工程W21による金型の「型締め」が開始されるようになっている。
このような不活性ガス置換制御P42を高速成形工程W21の実行前に行うことで、本実施例における鋳造工程W04では、鋳造時におけるキャビティ内に投入された半溶融金属の酸化などの汚染を効果的に抑制し、高品質な鋳造製品が得られるようになっている。
即ち、キャビティ内への投入の際に発生した半溶融金属の酸化領域については、投入後のキャビティ内の雰囲気が既に不活性ガスによって置換されているため、更に拡大することもなく、半溶融金属の表層面酸化膜の巻き込みによる欠陥の発生を低減することができ、高品質な鋳造製品が得られるのである。
背圧制御P43は、金型の「型締め」を行う際に、該金型のキャビティの内側面と、半溶融金属の表層面と、の間に発生する背圧を制御するものであり、高速成形工程W21が開始された後、高圧成形工程W22に切換わるまで継続的に行われる。
具体的には、図4(a)に示すように、鋳造工程W04にて用いられる金型2は、鋳造装置の固定フレームなどに固設される固定金型2Bと、該固定金型2Bに対して相対移動(昇降移動)可能に具備される可動金型2Aと、により構成され、これら両金型2A・2Bの互いに向かい合う平面には、各々凹凸部2a・2bが形成されている。
そして、図4(b)に示すように、可動金型2Aが固定金型2Bに対して相対移動(昇降移動)し、これら両金型2A・2Bが合致する(「型締め」する)ことで、前記凹凸部2a・2bによってキャビティ2cが形成され、事前に固定金型2Bの凹部2bに投入されていた半溶融金属50が、キャビティ2cの形状に沿って鋳造されるようになっている。
一方、固定金型2Bには凹部2bの内面側と、固定金型2Bの外面側と、を連通する複数(本実施例においては二箇所)の連通孔2d・2eが形成され、これら連通孔2d・2eごとに、キャビティ2c内に不活性ガスを供給するための供給経路(図示せず)と、キャビティ2c内より金型2外部に排出するための排出経路(図示せず)と、が各々連通される。
そして、これら供給経路と排出経路とは、流量、圧力に関する調整弁を介して、不活性ガスを貯溜するボンベ(或いは、工場ライン上に設置される不活性ガスの供給源)と、各々連結される。
そして、高速成形工程W21の実行中には、ボンベから不活性ガスを連通孔2d・2e内に圧送することで、キャビティ2c内に不活性ガスが吹き込まれ、半溶融金属50の表層面と、キャビティ2cの内面と、の間に発生する背圧を加圧し、或いは逆に、キャビティ2c内部に存在する不活性ガスを金型2外部に排出し、ボンベに戻すことで、前記背圧を減圧するようになっている。
即ち、図5に示すように、高速成形工程W21の実行中では、半溶融金属50は可動金型2Aの凸部2aによって上面を急速に押圧され、下方に急激に流動することとなる。
そのため、半溶融金属50の下面と、固定金型2Bの凹部2bの内面と、の間には、空気層が発生し、キャビティ2c内の空気層の抜けにくい箇所、つまり、前述した製品の薄肉部(キャビティ2cの隙間が狭い部位)では、前記空気層が空気溜り30となって停滞し、半溶融金属50が更に下方(凹部2bの底部)へ流動するのを妨げることとなる。
一方、製品の厚肉部(キャビティ2cの隙間が広い部位)では、前記空気層は、該半溶融金属50の表層面と、凹部2bの内面と、の間に発生する僅かな隙間を介して、金型2の外部に難なく放出されるため、半溶融金属50と固定金型2Bの凹部2bの内面との間に、前記空気溜り30に示すような背圧が立たない状態となる。
そのため、半溶融金属50内において、流動抵抗が低い液相成分のみが下方(凹部2bの底部)へ押出され、固相成分との乖離が部分的に生じることとなる。
そこで、このような現象を防止するため、高速成形工程W21の実行中は背圧制御P43を行い、凹部2bにおける製品の薄肉部(キャビティ2cの隙間が狭い部位)と連通する連通孔2eを介して、不活性ガスをボンベ内に吸引することで、空気溜り30の発生を防ぎ、半溶融金属50が十分下方(凹部2bの底部)へ流動するようになっている。
また同時に、高速成形工程W21の実行中は背圧制御P43を行い、凹部2bにおける製品の厚肉部(キャビティ2cの隙間が広い部位)と連通する連通孔2dを介して、不活性ガスをボンベより吹き込むことで、半溶融金属50の表層面と、凹部2bの内面と、の間に適度の背圧を立て、液相成分と固相成分との部分的な乖離を生じさせないようになっている。
つまり、本実施例においては、背圧制御P43により、高速成形工程W21の実行中に前記不活性ガスの前記金型2外部への出入量を調整することで、前記キャビティ2cの内面と、前記半溶融金属50の表層面と、の間に発生する背圧を調整することとしている。
このように、背圧制御P43を高速成形工程W21の実行に合わせて行うことで、製品の薄肉部(キャビティ2cの隙間が狭い部位)に対する半溶融金属50の「流動長」を十分に確保するとともに、製品の厚肉部(キャビティ2cの隙間が広い部位)に対する液相成分と固相成分との部分的な乖離を抑制することが可能となり、高品質な鋳造製品を得ることができる。
なお、本実施例においては、複数の連通孔2d・2eごとに、不活性ガスに関する供給・排出経路が各々連通される構成としているが、これに限定されるものではない。
即ち、例えばキャビティ2cの形状により、部分的に不活性ガスの供給・排出を区別する必要がない場合は、複数の連通孔2d・2eに対して、不活性ガスに関する共通の供給・排出経路がされる構成としてもよい。
つまり、キャビティ2cの形状において、製品の薄肉部のみが複数箇所設けられる場合、或いは製品の厚肉部のみが複数箇所設けられる場合などは、高速成形工程W21の実行に合わせて、これら複数箇所に対して同時に不活性ガスの供給、或いは排出を行えばよく、複数の連通孔2d・2eに対して、不活性ガスに関する共通の供給・排出経路がされる構成としてもよい。
また、背圧制御P43に用いられる不活性ガスの供給手段、即ち、連通孔2d・2eや図示せぬボンベなどについては、前述の金型内雰囲気制御P41に用いられる不活性ガスの供給手段と共通のものとしてもよい。
[半溶融金属の鋳造工程W05(第三実施例)]
次に、本実施例における半溶融金属の鋳造工程W05(第三実施例)の詳細について、図6乃至図8を用いて説明する。
なお、便宜上、図7、及び図8の上下方向を金型2の上下方向と規定して、以下説明する。
図6に示すように、本実施例における鋳造工程W05は、前述の第一実施例における鋳造工程W02と同じく、型締め工程としての高速成形工程W21と、高圧成形工程W22とにより構成されるとともに、前記高速成形工程W21の実行中において、金型加振制御P51を行うこととしている。
また、鋳造工程W05の前後には、前述の第一実施例と同じく前工程W01と、後工程W03と、が各々設けられ、これら前工程W01と、鋳造工程W05と、後工程W03と、により半溶融金属の成形工程W300が構成される。
なお、高速成形工程W21と高圧成形工程W22、及び前工程W01と後工程W03については、既に前述の第一実施例において説明しているため、以下の説明については省略する。
金型加振制御P51は、金型の「型締め」を行う際に、該金型に型締め方向に小刻みに振動する衝撃力を加える制御であり、高速成形工程W21が開始された後、高圧成形工程W22に切換わるまで継続的に行われる。
具体的には、図7に示すように、金型加振制御P51を行う加振機構7は、主にカム板14や、加振ロッド15や、ハウジング16などにより構成され、前記加振機構7の下部には可動金型2Aが固設されるとともに、該可動金型2Aの直下には固定金型2Bが配設される。
なお、前述の鋳造工程W04(第二実施例)と同様に、本実施例における鋳造工程W05にて用いられる金型2は、鋳造装置の固定フレームなどに固設される固定金型2Bと、該固定金型2Bに対して相対移動(昇降移動)可能に具備される可動金型2Aと、により構成される。
カム板14は円盤部材から形成され、その平面部には中心に対して偏心した位置に貫通孔14aが穿孔される。
カム板14は鋳造装置に具備される昇降フレーム4の上方において、貫通孔14aの軸心方向が水平方向(昇降フレーム4の昇降移動方向に対して直行する方向)となるようにして配設されるとともに、前記貫通孔14aには、図示せぬサーボモータの出力軸が貫設される。そして、該サーボモータの駆動力によりカム板14は回転駆動されるようになっている。
つまり、カム板14は、その外周形状が、回転中心となる貫通孔14aから外周縁部までの距離が連続的に変化する円弧形状に形成されている。
ハウジング16は筒状部材からなり、昇降フレーム4の平面視中央部において、軸心方向が上下方向となるようにして嵌設される。
また、ハウジング16の下端部には、平面視中央部に貫通孔が形成される板状部材19が固設され、該貫通孔はハウジング16の内径寸法と同等に形成されるとともに、前記板状部材19はハウジング16と同軸上に固設される。
加振ロッド15は棒状部材から形成され、ハウジング16の内径部に上下摺動(昇降フレーム4の昇降移動方向)可能に挿入される。
また、加振ロッド15の上端面には、カム板14の外縁下端部が線接触される一方、該加振ロッド15の下端部には可動金型2Aが、一側面に形成される凸部2aを下方に向けて固設される。
加振ロッド15の上端部には、他の部位に比べて拡径された段部15aが形成され、該段部15aの下面と、ハウジング16の上面と、の間には、コイルバネなどからなる付勢手段17が、前記加振ロッド15と同軸上に配設される。そして、該付勢手段17によって、加振ロッド15は常に上方に付勢されている。これにより、加振ロッド15の上端面は常にカム板14の下端面に圧接している。
そして、前述のサーボモータが回転駆動すると、カム板14は貫通孔14aの軸心を回転中心として回転されることとなり、該カム板14の外縁下端部の位置は上下方向に連続して変位されることとなる。
その結果、カム板14の外縁下端部の変位動作に同調して、加振ロッド15も上下方向に小刻みに摺動されることとなる。
つまり、カム板14の外縁下端部の位置が貫通孔14aから離れる方向へ変位する間は、加振ロッド15はカム板14により付勢手段17の付勢力に抗して下方へ摺動し、カム板14の外縁下端部の位置が貫通孔14aへ近づく方向へ変位する間は、加振ロッド15は付勢手段17の付勢力により上方へ摺動する。
この加振ロッド15の下方摺動、及び上方摺動はカム板14の回転動作に伴って交互に繰り返され、これにより加振ロッド15は上下に振動することとなる。
そして、加振ロッド15の下端部に設けられる可動金型2Aには、該加振ロッド15の振動が伝達され、衝撃力となって付加されるようになっている。
なお、後述のとおり、昇降フレーム4の下面には板状部材19が貼設され、該板状部材19と可動金型2Aとの間には、皿ばねなどからなる付勢手段21が介装されている。
そして、高速成形工程W21の実行中においては、前記付勢手段21によって、可動金型2Aは常に下向き(可動金型2Aが昇降フレーム4側から離れる方向)に付勢され、板状部材19と、可動金型2Aとの間に、幾分かの間隙が確保されるようになっている。
このような加振機構7による金型加振制御P51を、高速成形工程W21の実行に合わせて行うことで、製品の薄肉部(キャビティ2cの隙間が狭い部位)に対する半溶融金属50の「流動長」を十分に確保することが可能となり、高品質な鋳造製品を得ることができる。
即ち、図8に示すように、高速成形工程W21の実行中では、半溶融金属50上部の表層面は可動金型2Aの凸部2aと常に接触されるため、該半溶融金属50の内部に比べて奪われる熱量(図8に示す矢印X)は大きく、冷却効果により凝固が進行しやすい。
よって、半溶融金属50上部の表層面においては、部分的に流動が停止する領域(流動停止箇所)が発生し、該半溶融金属50内部の上部の表層面近傍では、流動の乱れ(図8に示す矢印Y)が発生し、「湯境」や「空気の巻き込み」などの内部欠損が発生しやすくなる。
そこで、高速成形工程W21の実行中においては、金型加振制御P51により、可動金型2Aに対して加振ロッド15の振動を伝達し、この振動による衝撃力を型締め・型開き方向(下降・上昇方向)に付加することで、半溶融金属50上部の表層面は、可動金型2Aの凸部2aと常に動的に接触することなり、半溶融金属50上部の表層面における流動停止箇所を、極力低減することができる。
つまり、金型2への付加荷重を低圧にて行う高速成形工程W21であっても、加振ロッド15の振動による衝撃力を可動金型2Aに加えることで、後の高圧成形工程W22に匹敵する型締め力を金型2に与えることが可能となる。
よって、半溶融金属50上部の表層面において凝固の進行し始めた領域においても、「流動長」を十分に確保し、該半溶融金属50の内部欠損の発生を防止することができ、高品質な鋳造製品を得ることができる。
なお、より効果的には、可動金型2Aに付加する衝撃力は、振幅を小さくし、かつ振動数を大きくする方が、一打当たりの可動金型2Aと、半溶融金属50と、の接触時間を短くすることができるため望ましい。
また、このように、高速成形工程W21における可動金型2Aの下降動作(型締め動作)に加えて、加振機構7により衝撃力を可動金型2Aに加えることで、可動金型2Aの下降動作(型締め動作)を行うために必要となる昇降機構本体の容量を小さく抑えることが可能となり、鋳造装置全体として、コンパクト化を図ることができる。
[半溶融金属の鋳造工程W06(第四実施例)]
次に、本実施例における半溶融金属の鋳造工程W06(第四実施例)の詳細について、図9乃至図13を用いて説明する。
なお、便宜上、図10の上下方向を金型2の上下方向と、また図11、及び図12の上下方向を鋳造装置1の上下方向と規定して、以下説明する。
図9に示すように、本実施例における鋳造工程W06は、前述の第一実施例における鋳造工程W02と同じく、型締め工程としての高速成形工程W21と、高圧成形工程W22とにより構成されるとともに、前記高速成形工程W21の実行前、及び実行中において、前述の第二実施例における金型内雰囲気制御P41を行い、かつ前記高速成形工程W21の実行中において、前述の第三実施例における金型加振制御P51を行うこととしている。
また、鋳造工程W06の前後には、前述の第一実施例と同じく前工程W01と、後工程W03と、が各々設けられ、これら前工程W01と、鋳造工程W06と、後工程W03と、により半溶融金属の成形工程W400が構成される。
なお、高速成形工程W21と高圧成形工程W22、及び前工程W01と後工程W03については、既に前述の第一実施例において説明しているため、以下の説明については省略する。
本実施例における鋳造工程W06は、前述の第二、及び第三実施例における金型内雰囲気制御P41、及び金型加振制御P51を同時に兼ね備えることで、より高品質な鋳造製品を得ることを可能としたものである。
即ち、図10(a)に示すように、高速成形工程W21の実行中に、金型加振制御P51のみを単独で行う場合、金型2内部に形成されるキャビティ2cの形状の如何によれば、半溶融金属50に混在する液相成分が顕著に押出され、固相成分との乖離が部分的に生じることがある。
つまり、図10(b)に示すように、キャビティ2cの形状において、比較的隙間の広い領域では、半溶融金属50の表層面は容易に流れ込み易く、該半溶融金属50の断面変化(図10(b)において、矢印Zにて示される半溶融金属50の部位に関する断面積の変化)も激しい。このような半溶融金属50の部位では、自重によって液相成分が固相成分と乖離し、絞り出される現象が発生しやすい。
そして、このような現象は、金型加振制御P51によって衝撃力を可動金型2Aに与える場合には顕著に表れることとなる。
このような半溶融金属50における部分的な液相成分と固相成分との乖離を防止するべく、本実施例においては、金型内雰囲気制御P41を同時に行うことで、前述の第二、及び第三実施例における鋳造工程W04・W05に比べてより高品質な鋳造製品を得ることとしているのである。
[半溶融金属の鋳造装置1]
まず、本実施例における鋳造工程W06を実施する鋳造装置1の一例について、図11を用いて具体的に説明する。
鋳造装置1は、主に金型2や、固定フレーム3や、昇降フレーム4や、高速昇降機構5・5や、高圧昇降機構6・6・・・や、加振機構7や、背圧制御装置20などにより構成される。
なお、金型2については前述の鋳造工程W04(第二実施例)によるものと、また、加振機構7については前述の鋳造工程W05(第三実施例)によるものと、構造を同じくするため、以下において詳細な説明は省略する。
まず、固定フレーム3について説明する。
固定フレーム3は鋳造装置1の基部をなす部位であり、矩形状の筐体構造からなる。
固定フレーム3上面の平面視中央部には、金型2に具備される固定金型2Bが固設され、該固定金型2Bは一側面に形成される凹部2bが上方に向くようにして配設される。
そして、固定金型2Bの周囲には、後述する複数の高速昇降機構5・5、及び高圧昇降機構6・6・・・が各々設けられ、これら高速昇降機構5・5、及び高圧昇降機構6・6・・・を介して、昇降フレーム4は固定フレーム3に対して相対移動(昇降移動)可能に、該固定フレーム3と連結される。
次に、昇降フレーム4について説明する。
昇降フレーム4は外力により撓みや捻れなどが生じないだけの十分な剛性を伴った矩形状の部材からなり、固定フレーム3の垂直上方に設けられる。
昇降フレーム4の平面視中央部には、前述した加振機構7が貫設され、該加振機構7の下端部には金型2に具備される可動金型2Aが、一側面に形成される凸部2aが下方に突設するようにして配設される。
昇降フレーム4の下面に貼設される板状部材19と可動金型2Aとの間には、皿ばねなどからなる付勢手段21が介装されている。そして、可動金型2Aに上向き(可動金型2Aが昇降フレーム4側へ近づく方向)の力が加わると、付勢手段21により可動金型2Aを下方へ付勢する力が生じるものとなっている。
そして、後述する複数の高速昇降機構5・5、或いは高圧昇降機構6・6・・・によって、昇降フレーム4は昇降移動可能とされ、該昇降フレーム4が下降することで、可動金型2Aの凸部2aが固定金型2Bの凹部2bと合致され、これら両金型2A・2Bにより構成される金型2が「型締め」されるようになっている。
次に、高速昇降機構5について説明する。
高速昇降機構5は、前述の第二実施例に示すように、幾分かの締め代を残して金型2の「型締め」を行う型締め手段であり、昇降フレーム4の昇降移動を高速度にて行う高速成形手段として設けられる。そして、金型2の「型締め」の際は、まず高速昇降機構5により昇降フレーム4が下降され、その後、予め定められた位置において、後述の高圧昇降機構6に切り換わり、該高圧昇降機構6により昇降フレーム4が下降されるようになっている。
高速昇降機構5は、主にサーボモータ11や、ボールネジ12などにより構成され、該サーボモータ11の出力軸11aと、該ボールネジ12のネジ部材12aと、が同軸状に配設されるとともに、これら出力軸11aと、ボールネジ12と、はカップリングなどからなる連結部材13を介して一体的に回転可能に連結される。
また、固定フレーム3には、該固定フレーム3を上下垂直方向へ貫通する貫通孔3b・3bが、平面視において固定金型2Bを間に挟んだ二箇所(図11においては、一箇所についてのみ記載。)に穿孔される。
そして、貫通孔3b・3bの下端部にはサーボモータ11・11が、出力軸11a・11aを上方に突出するようにして各々固設されるとともに、これら貫通孔3b・3bを介して、ボールネジ12・12のネジ部材12a・12aが、垂直上方に延出するようにして配設される。
一方、昇降フレーム4には、該昇降フレーム4を上下垂直方向へ貫通する貫通孔4a・4aが、平面視にてネジ部材12a・12aが設けられる位置と同等の位置の二箇所(図11においては、一箇所についてのみ記載。)に穿孔され、該貫通孔4a・4aを介してボールネジ12・12のナット部材12b・12bが各々嵌設される。
そして、これらナット部材12b・12bの内径部にネジ部材12a・12aの上端部が各々挿入されることで、昇降フレーム4は、複数の昇降機構5・5を介して、固定フレーム3と相対移動(昇降移動)可能に連結される。
次に、高圧昇降機構6について説明する。
高圧昇降機構6は、前述の第一実施例に示すように、昇降フレーム4の昇降移動を行う高圧成形手段として設けられるとともに、金型2の「型締め」の際に、該昇降フレーム4を介して可動金型2Aに高圧力による付加を与える高圧成形手段として設けられる機構であり、主に油圧シリンダー8や、油圧タンク9や、図示せぬ油圧制御機器類などにより構成される。
油圧シリンダー8は直線運動方式である既知の油圧シリンダーからなり、該油圧シリンダー8のピストンロッド8aの軸心方向が上下方向となるようにして、固定フレーム3に固設される。
即ち、固定フレーム3の四隅(図11においては、一箇所についてのみ記載。)には、上下垂直方向に貫通する貫通孔3a・3a・・・が各々穿孔され、該貫通孔3a・3a・・・には、前記ピストンロッド8aと略同等の断面形状からなる貫通孔10aを有する筒状のブッシング10・10・・・が各々嵌設される。
より詳しくは、これらブッシング10・10・・・は、貫通孔3a・3a・・・を介して、固定フレーム3の上面より上方へと延出するようにして設けられるとともに、前記ブッシング10・10・・・の下部は、固定フレーム3上面の裏面より下方に突設しないよう、該ブッシング10・10・・・の下端面と、固定フレーム3上面の裏面と、が略同一平面上に位置するようにして固設される。
そして、これらブッシング10・10・・・の下端部には、油圧シリンダー8・8・・・のシリンダチューブ8b・8b・・・が、該ブッシング10・10・・・と同軸上に各々固設され、該ブッシング10・10・・・の貫通孔10a・10a・・・には、油圧シリンダー8・8・・・のピストンロッド8a・8a・・・が、上下方向に摺動移動可能に挿設される。
このように、これら複数の高圧昇降機構6・6・・・に具備される油圧シリンダー8・8・・・は、固定フレーム3の上面よりピストンロッド8a・8a・・・が鉛直上方に向かって延出するようにして、前記固設フレーム3に各々固設される。また、これらピストンロッド8a・8a・・・の上端部は昇降フレーム4と連結され、該ピストンロッド8a・8a・・・が昇降移動することで、昇降フレーム4は、固定フレーム3に対して相対移動(昇降移動)するようになっている。
そして、これら油圧シリンダー8・8・・・には、図示せぬ油圧ポンプや制御バルブなどからなる油圧制御機器類が、配管部材を介して各々配設されており、該油圧制御機器類の一つとして備えられるプレフィル弁によって、前記油圧シリンダー8・8・・・が、前述する高速昇降機構5・5の昇降動作に対して十分に追従して昇降動作することができるようになっている。
油圧タンク9は、前記複数の油圧シリンダー8・8・・・によって用いられる作動油を貯溜しておくためのものであり、固定フレーム3内部の略中央付近に固設されるとともに、複数の配管部材9a・9a・・・(図11においては、一本の油圧シリンダー8に対してのみ記載。)を介して、前記油圧シリンダー8・8・・・と各々連通される。
つまり、本実施例においては、油圧タンク9を鋳造装置1の外部ではなく、固定フレーム3の内部に配設することで、鋳造装置1全体をコンパクトに構成するようにしている。
次に、加振機構7について説明する。
加振機構7は、前述の第三実施例に示すように、金型2の「型締め」を行う際に、加振ロッド15の上下振動による衝撃力を、可動金型2Aへ与えるためのものである。
なお、加振機構7の駆動源については、サーボモータ(図11に図示せず)を採用していることから、該サーボモータの出力軸の回転数を変更することで、加振ロッド15における上下方向の振動数を自由に変更することができ、金型交換や気温の変化など、鋳造条件の変更に対して、容易に対応することができる。
また、加振機構7の駆動源としてサーボモータを用いることで、出力軸の回転位置、つまり該出力軸に嵌設されるカム板14の回転位置についても、容易に把握することができ、後述のとおり、金型加振制御P51に同調して金型内雰囲気制御P41を容易に行うことができる。
次に、背圧制御装置20について説明する。
背圧制御装置20は、前述の第二実施例に示すように、金型2に形成されるキャビティ2c(図5を参照)内部の雰囲気を不活性ガスによって置換する(不活性ガス置換制御P42)とともに、半溶融金属50の鋳造時において、該半溶融金属50の表層面と、キャビティ2cの内面と、の間に発生する背圧を調整する(背圧制御P43)ための装置である。
なお本実施例における鋳造装置1は、不活性ガス置換制御P42と、背圧制御P43と、を共通の背圧制御装置20によって行うこととしているが、これら両制御P42・P43を各々別個の背圧制御装置によって行うような構成としてもよい。
背圧制御装置20は、主な構成を上述の鋳造工程W04(第二実施例)におけるものと同等に形成される。
即ち、背圧制御装置20は、主に不活性ガスを貯溜するボンベ20a・20aや、金型2(本実施例においては固定金型2B)に形成される連通孔2d・2eと、ボンベ20a・20aと、を各々繋ぐ配管部材20b・20bなどにより構成される。
そして、上述の第二実施例に示すように、半溶融金属50を金型2のキャビティ2c内(本実施例においては、固定金型2Bの凹部2b内)に投入する前に、ボンベ20a・20a内に貯溜される不活性ガスを、配管部材20b・20bを介して連通孔2d・2d内に吹き込むことで、金型2のキャビティ2c内部の雰囲気は、不活性ガスによって置換されることになる。
また、半溶融金属50の鋳造の際においては、ボンベ20a・20a内に貯溜される不活性ガスを更に連通孔2d・2d内に吹き込むことで、半溶融金属50の表層面と、キャビティ2cの内面と、の間に発生する背圧を加圧し、或いは逆に、キャビティ2c内部に存在する不活性ガスをボンベ20a・20a内に戻すことで、前記背圧を減圧するようになっている。このように、背圧制御装置20は、金型2のキャビティ2c内に発生する背圧の背圧調整手段として設けられる。
[鋳造装置1の動作]
次に、このような構成からなる鋳造装置1によって、鋳造工程W06を実行する際の動作について、図11、及び図12を用いて説明する。
まず、図11に示すように、金型2が開いた状態、即ち、昇降フレーム4が予め定められた上限位置に停止し、可動金型2Aが固定金型2Bの鉛直上方に位置する状態において、背圧制御装置20が作動し、配管部材20b・20b、及び連通孔2d・2eを介して、ボンベ20a・20a内に貯溜された不活性ガスが、キャビティ2c内(本実施例においては、固定金型2Bの凹部2b内)に吹き込まれ、前記キャビティ2c内部の雰囲気が不活性ガスにより置換される(不活性ガス置換制御P42)。
ここで、キャビティ2c内部には、酸素濃度を測定する図示せぬ測定手段が配設されており、該測定手段による酸素濃度の測定値が、予め定められた閾値以下になれば、前記背圧制御装置20の作動が自動的に停止するか、或いは報知器を鳴らすなどして、金型2への半溶融金属50の投入を促すようになっている。
キャビティ2c内部の不活性ガスによる置換が完了し、半溶融金属50が金型2へ投入されると、鋳造工程W06が開始する。
鋳造工程W06においては、まず、高速昇降機構5による昇降フレーム4の下降動作が行われる(高速成形工程W21)。
また、高速昇降機構5が作動すると、加振機構7が作動を開始するとともに(金型加振制御P51)、背圧制御装置20も再び作動を開始し、半溶融金属50の表層面と、キャビティ2cの内面と、の間に発生する背圧調整が行われる(背圧制御P43)。
なお、金型加振制御P51と、背圧制御P43との制御方法に関する詳細は後述する。
そして、図12(a)に示すように、金型2の「型締め」に関して幾分かの締め代を残しつつ、昇降フレーム4が予め定められた位置まで下降すれば、続いて高圧昇降機構6に連続的に切換わるとともに(高圧成形工程W22)、加振機構7、及び背圧制御装置20が停止する。
なお、高速成形工程W21から高圧成形工程W22に切換わる位置(切換位置)については、任意に設定可能であるが、本実施例においては、高圧昇降機構6に具備される油圧シリンダー8が、最大出力を発揮できる位置としている。
例えば、図12(a)に示すように、前記切換位置については、シリンダチューブ8b内において、ピストンロッド8aの端部に設けられるピストン8cによって区切られた室内に、各々充填される作動油の重量バランスなど諸事情により決定される。
そして、本実施例においては、高速昇降機構5に具備されるサーボモータ11によって、昇降フレーム4の位置を常に正確に把握することとし、前記切換位置において高精度に高速成形工程W21から高圧成形工程W22への切換を実施することとしている。
高圧成形工程W22が進行すると、半溶融金属50の変形抵抗(材料を変形させるために必要な応力)は徐々に大きくなる。また、この場合、半溶融金属50からの上向きの力が作用している可動金型2Aには付勢手段21による下方への付勢力がかかっている。
そして、昇降フレーム4がある一定の位置まで下降すると、可動金型2Aの上面と、板状部材19の下面と、の間に配設される付勢手段21による下方向に向かう反力と、前記変形抵抗による上側に向かう反力と、が可動金型2Aを介して互いに釣り合う状態となる。
このような状態から、更に高圧成形工程W22が進行すると、前記変形抵抗は更に大きくなり、可動金型2Aは、付勢手段21による下方向に向かう付勢力に抗して、昇降フレーム4との関係で、該昇降フレーム4との相対位置が近づく方向へ移動することとなる。
そして、図12(b)に示すように、最終的には可動金型2Aは板状部材19と密着し、該板状部材19によって可動金型2Aが下方へと押込まれ、金型2の「型締め」が完了する。
金型2の「型締め」が完了すると、予め定められた一定の時間に渡り、金型2の「型締め」状態は保持され、その後、高速昇降機構5(或いは、高圧昇降機構6)によって、昇降フレーム4は上昇される。
そして、図11に示すように、昇降フレーム4が予め定められた上限位置に停止し、金型2が完全に開いた状態となることで、鋳造工程W06は完了し、中間製品に鋳造された半溶融金属50は、金型2より取り出されることとなる。
[金型加振制御P51と、背圧制御P43との制御方法]
次に、金型加振制御P51と、背圧制御P43との制御方法について、図13を用いて説明する。
まず、高速昇降機構5による高速成形工程W21が開始すると、加振機構7も作動を開始する。
ここで、高速昇降機構5の作動中において、該高速昇降機構5の駆動源として具備されるサーボモータ11では、内蔵される検出器(エンコーダ)により、常に出力軸11aの総回転数が検知されるようになっている。
即ち、出力軸11aの総回転数により、該出力軸11aに直結されるボールネジ12の移動距離を把握することで、昇降フレーム4の上下方向の位置が認識され、加振機構7を介して昇降フレーム4に固設される金型2、つまり可動金型2Aの上下方向の位置が認識される。
そして、可動金型2Aの上下方向の位置を認識することで、予め定められた半溶融金属50の特定の部位における断面変化の程度(以下、「断面変化量」と記す。)を把握するようになっている(S101)。
一方、高速昇降機構5の作動中は、加振機構7の駆動源として具備されるサーボモータにおいても、内蔵される検出器(エンコーダ)により、常に出力軸の回転角度が検知されるようになっている。
即ち、出力軸の回転角度により、該出力軸に貫設されるカム板14の回転角度を把握することで、加振機構7の位置、つまり加振ロッド15の上下方向の位置(以下、単に「振幅」と記す。)が認識される(S102)。
このようにして把握された半溶融金属50の「断面変化量」、及び加振ロッド15の「振幅」に基づいて、背圧制御装置20の作動(ON)/停止(OFF)が判断される(S103)。
即ち、「断面変化量」が予め定められた閾値を超える場合は、上述のように、半溶融金属50の特定の部位では、自重によって液相成分が固相成分と乖離し、絞り出される現象(以下「乖離現象」と記す)が発生しやすい状態であると判断され、背圧制御装置20の作動(ON)が許可される。
また、同時に、加振ロッド15の「振幅」が最大となる(加振ロッド15の上下位置が下限位置にある)場合は、加振機構7によって半溶融金属50に下方への衝撃力が加えられ、「乖離現象」が顕著になると判断される。
その結果、背圧制御装置20によって、半溶融金属50の表層面と、キャビティ2cの内面と、の間に不活性ガスの供給が必要であると判断され、背圧制御装置20の作動(ON)が許可される。
そして、これら「断面変化量」と、「振幅」と、に関する各々の状態によって、背圧制御装置20の作動(ON)が許可されれば、背圧制御装置20が作動し、背圧の加圧が行われることとなる。
一方、「断面変化量」の状態から背圧制御装置20の作動(ON)が許可されたとしても、加振ロッド15の「振幅」が最小となる(加振ロッド15の上下位置が上限位置にある)場合は、「乖離現象」が弱まると判断され、自重による半溶融金属50の流動を促すべく、背圧制御装置20によって、半溶融金属50の表層面と、キャビティ2cの内面と、の間に存在する不活性ガスがボンベ20a内に戻され、背圧の減圧が行われることとなる(S104)。
なお、「断面変化量」が予め定められた閾値を超えない場合は、半溶融金属50の特定の部位における「乖離現象」が発生しにくい状態であると判断され、背圧制御装置20の作動(ON)が許可されず、停止(OFF)の状態となる(S105)。
このように、本実施例における鋳造工程W06では、前述の第二、及び第三実施例における金型内雰囲気制御P41、及び金型加振制御P51を同時に兼ね備え、半溶融金属50の特定の部位における「断面変化量」に追従して、該半溶融金属50の表層面と、キャビティ2cの内面と、の間に存在する背圧を制御することで、均一な内部組織からなる高品質な鋳造製品を得ることとしている。
即ち、本実施例においては、半溶融金属50の「断面変化量」を把握して、背圧制御装置20の作動(ON)/停止(OFF)を制御するとともに、加振ロッド15の「振幅」、つまり、加振機構7によって可動金型2Aに下方への衝撃力が加えられるタイミングを把握して背圧制御装置20による背圧の加圧/減圧を制御することとしている。
換言すれば、金型2の可動金型2Aに加えられる衝撃力のタイミングと、半溶融金属50の予め定められた部位における断面変化の程度である「断面変化量」と、に基づき、背圧制御装置20によって不活性ガスの前記金型2外部への出入量を調整することで、キャビティ2c内に発生する背圧の調整を行うこととしている。
このようなキャビティ2c内に発生する背圧の調整を行うことで、本実施例においては、半溶融金属50の「乖離現象」を効果的に防止し、均一な内部組織からなる高品質な鋳造製品を得ることとしているのである。
以上のように、本実施例における鋳造方法は、上述の第一乃至第四実施例に示すように、固相成分と液相成分とが共存する半溶融金属50の鋳造工程W02(W04、W05、またはW06)によって具現化され、金型2を「型締め」することで半溶融金属50を所定の形状に鋳造する工程を備え、前記鋳造工程W02(W04、W05、またはW06)は、金型2内部のキャビティ2cに半溶融金属50が投入された後、幾分かの締め代を残して前記金型2の「型締め」を行う型締め工程としての高速成形工程W21と、前記高速成形工程(型締め工程)W21の終了後、前記高速成形工程(型締め工程)W21よりも高圧にて、残りの締め代を型締めする高圧成形工程W22と、により構成されることとしている。
また、このような鋳造方法を実行するべく、本実施例における鋳造装置は、上述の第一乃至第四実施例に示すように、固相成分と液相成分とが共存する半溶融金属50の鋳造装置1によって具現化され、キャビティ2c内に投入された半溶融金属50を所定の形状に鋳造する金型2を備え、前記金型2は固定金型2Bと可動金型2Aと、により構成されるとともに、前記可動金型2Aが前記固定金型2Bに向かって相対移動(昇降移動)することで、前記金型2は「型締め」され、前記可動金型2Aには、幾分かの締め代を残して前記金型2の「型締め」を行う型締め手段としての高速昇降機構5と、前記高速昇降機構(型締め手段)5による「型締め」の終了後、前記高速昇降機構(型締め手段)5よりも高圧にて連続的に圧力を付加しつつ、残りの締め代を「型締め」する高圧成形手段としての高圧昇降機構6と、が設けられることとしている。
このような構成からなる鋳造方法、及び鋳造装置を用いることで、本実施例では、高品質、かつ低コストからなる半溶融金属の鋳造を実現することとしている。
即ち、本実施例に拠れば、鋳造工程W02(W04、W05、またはW06)の初期段階における高速成形工程W21と、後期段階における高圧成形工程W22と、の二段階の工程W21・W22を連続的に実行するため、溶融金属に比べて変形抵抗の大きな半溶融金属であっても製品の薄肉部(キャビティの隙間が狭い部位)に対する「流動長」を十分に確保することが可能となり、高品質な鋳造製品が得られるとともに、薄肉製品の鋳造についても容易に対応することができる。
また、高速成形工程W21においては、別段金型に高圧の荷重を付加することもないため、その分、設備全体を簡素化することが可能となり、鋳造装置1の低コスト化を図ることができるのである。
また、本実施例における半溶融金属の鋳造方法では、上述の第一乃至第四実施例に示すように、前記高速成形工程(型締め工程)W21は、前記高圧成形工程W22よりも高速にて、前記金型2の「型締め」を行うこととしている。
また、このような鋳造方法を実行するべく、本実施例における鋳造装置は、上述の第一乃至第四実施例に示すように、前記高速昇降機構(型締め手段)5は、前記高圧昇降機構(高圧成形手段)6よりも高速にて、前記金型2の「型締め」を行うこととしている。
このような構成からなる鋳造方法、及び鋳造装置を用いることで、本実施例における高圧成形工程W22では、高速成形工程W21に比べて、より低速の成形速度(型締め速度)によって、金型2の「型締め」を行うこととなる。
従って、高圧成形工程W22では、より安定した高圧力を金型2に付加することが可能となり、高品質な鋳造製品を得ることができる。
また、本実施例における半溶融金属の鋳造方法では、上述の第二実施例に示すように、前記キャビティ2c内部の雰囲気は、半溶融金属50が前記キャビティ2cに投入される前より、不活性ガスによって置換され、前記高速成形工程(型締め工程)W21においては、前記不活性ガスの前記キャビティ2c内部への出入量を調整することで、前記キャビティ2cの内面と、前記半溶融金属50の表層面と、の間に発生する背圧を調整することとしている。
また、このような鋳造方法を実行するべく、本実施例における鋳造装置は、上述の第二実施例に示すように、前記金型2には、半溶融金属50が前記キャビティ2cに投入される前より、前記キャビティ2c内部の雰囲気を不活性ガスに置換する背圧調整手段、つまり背圧制御装置20が備えられ、前記高速昇降機構(型締め手段)5による「型締め」の実行中においては、前記背圧制御装置(背圧調整手段)20によって前記不活性ガスの前記キャビティ2c内部への出入量を調整することで、前記キャビティ2cの内面と、前記半溶融金属50の表層面と、の間に発生する背圧を調整することとしている。
このように、本実施例における鋳造方法、及び鋳造装置においては、不活性ガス置換制御P42を高速成形工程W21の実行前に行うため、鋳造時における半溶融金属の酸化などの汚染を効果的に抑制し、高品質な鋳造製品が得られるようになっている。
また、本実施例における鋳造方法、及び鋳造装置においては、背圧制御P43を高速成形工程W21の実行に合わせて行うため、製品の薄肉部(キャビティ2cの隙間が狭い部位)に対する半溶融金属50の「流動長」を十分に確保するとともに、製品の厚肉部(キャビティ2cの隙間が広い部位)に対する液相成分と固相成分との部分的な乖離を抑制することが可能となり、高品質な鋳造製品を得ることができるのである。
また、本実施例における半溶融金属の鋳造方法では、上述の第三実施例に示すように、前記高速成形工程(型締め工程)W21において、「型締め」される前記金型2には、型締め・型開き方向への振動が付与されることとしている。
また、このような鋳造方法を実行するべく、本実施例における鋳造装置は、上述の第三実施例に示すように、前記金型2には、加振機構7が設けられ、前記高速昇降機構(型締め手段)5によって、前記可動金型2Aを前記固定金型2Bに向かって相対移動する際は、前記加振機構7によって前記可動金型2Bに、型締め・型開き方向への振動が付与されることとしている。
このように、本実施例における鋳造方法、及び鋳造装置においては、加振機構7による金型加振制御P51を、高速成形工程W21の実行に合わせて行うため、製品の薄肉部(キャビティ2cの隙間が狭い部位)に対する半溶融金属50の「流動長」を十分に確保することが可能となり、高品質な鋳造製品を得ることができるのである。
また、本実施例における半溶融金属の鋳造方法では、上述の第四実施例に示すように、前記高速成形工程(型締め工程)W21において、「型締め」される前記金型2には、型締め・型開き方向への振動が付与され、前記背圧の調整は、前記金型2に型締め方向への振動が付与されるタイミングと、半溶融金属50の予め定められた部位における断面変化の程度と、に基づき、前記不活性ガスの前記キャビティ2c内部への出入量を調整することとしている。
また、このような鋳造方法を実行するべく、本実施例における鋳造装置は、上述の第四実施例に示すように、前記金型2には、加振機構7が設けられ、前記高速昇降機構(型締め手段)5によって、前記可動金型2Aを前記固定金型2Bに向かって相対移動(昇降移動)する際は、前記加振機構7によって前記可動金型2Aに、型締め・型開き方向への振動が付与されるとともに、前記背圧の調整は、前記金型2に型締め方向への振動が付与されるタイミングと、半溶融金属50の予め定められた部位における断面変化の程度と、に基づき、前記不活性ガスの前記キャビティ2c内部への出入量を調整することとしている。
このように、本実施例における鋳造方法においては、前述の第二、及び第三実施例における金型内雰囲気制御P41、及び金型加振制御P51を同時に兼ね備え、半溶融金属50の特定の部位における断面変化の程度に追従して、該半溶融金属50の表層面と、キャビティ2cの内面と、の間に存在する背圧を制御するため、均一な内部組織からなる高品質な鋳造製品を得ることができるのである。
1 鋳造装置
2 金型
2A 可動金型
2B 固定金型
2a キャビティ
5 高速昇降機構(型締め手段)
6 高圧昇降機構(高圧成形手段)
7 加振機構
20 背圧制御装置(背圧調整手段)
50 半溶融金属
W02 鋳造工程
W04 鋳造工程
W05 鋳造工程
W06 鋳造工程
W21 高速成形工程(型締め工程)
W22 高圧成形工程

Claims (10)

  1. 固相成分と液相成分とが共存する半溶融金属の鋳造方法であって、
    金型を「型締め」することで半溶融金属を所定の形状に鋳造する工程を備え、
    前記工程は、
    金型内部のキャビティに半溶融金属が投入された後、幾分かの締め代を残して前記金型の「型締め」を行う型締め工程と、
    前記型締め工程の終了後、前記型締め工程よりも高圧にて、残りの締め代を型締めする高圧成形工程と、
    により構成される、
    ことを特徴とする、半溶融金属の鋳造方法。
  2. 前記型締め工程は、前記高圧成形工程よりも高速にて、前記金型の「型締め」を行う
    ことを特徴とする、請求項1に記載の半溶融金属の鋳造方法。
  3. 前記キャビティ内部の雰囲気は、半溶融金属が前記キャビティに投入される前より、不活性ガスによって置換され、
    前記型締め工程においては、前記不活性ガスの前記キャビティ内部への出入量を調整することで、前記キャビティの内面と、前記半溶融金属の表層面と、の間に発生する背圧を調整する、
    ことを特徴とする、請求項1、または請求項2に記載の半溶融金属の鋳造方法。
  4. 前記型締め工程において、
    「型締め」される前記金型には、型締め・型開き方向への振動が付与される、
    ことを特徴とする、請求項1、または請求項2に記載の半溶融金属の鋳造方法。
  5. 前記型締め工程において、
    「型締め」される前記金型には、型締め・型開き方向への振動が付与され、
    前記背圧の調整は、
    前記金型に型締め方向への振動が付与されるタイミングと、
    半溶融金属の予め定められた部位における断面変化の程度と、
    に基づき、前記不活性ガスの前記キャビティ内部への出入量を調整する、
    ことを特徴とする、請求項3に記載の半溶融金属の鋳造方法。
  6. 固相成分と液相成分とが共存する半溶融金属の鋳造装置であって、
    キャビティ内に投入された半溶融金属を所定の形状に鋳造する金型を備え、
    前記金型は固定金型と可動金型と、により構成されるとともに、
    前記可動金型が前記固定金型に向かって相対移動することで、前記金型は「型締め」され、
    前記可動金型には、
    金型内部のキャビティに半溶融金属が投入された後、幾分かの締め代を残して前記金型の「型締め」を行う型締め手段と、
    前記型締め手段による「型締め」の終了後、前記型締め手段よりも高圧にて連続的に圧力を付加しつつ、残りの締め代を「型締め」する高圧成形手段と、
    が設けられる、
    ことを特徴とする、半溶融金属の鋳造装置。
  7. 前記型締め手段は、前記高圧成形手段よりも高速にて、前記金型の「型締め」を行う
    ことを特徴とする、請求項6に記載の半溶融金属の鋳造装置。
  8. 前記金型には、
    半溶融金属が前記キャビティに投入される前より、前記キャビティ内部の雰囲気を不活性ガスに置換する背圧調整手段が備えられ、
    前記型締め手段による「型締め」の実行中においては、前記背圧調整手段によって前記不活性ガスの前記キャビティ内部への出入量を調整することで、前記キャビティの内面と、前記半溶融金属の表層面と、の間に発生する背圧を調整する、
    ことを特徴とする、請求項6、または請求項7に記載の半溶融金属の鋳造装置。
  9. 前記金型には、加振機構が設けられ、
    前記型締め手段によって、前記可動金型を前記固定金型に向かって相対移動する際は、前記加振機構によって前記可動金型に、型締め・型開き方向への振動が付与される、
    ことを特徴とする、請求項6、または請求項7に記載の半溶融金属の鋳造装置。
  10. 前記金型には、加振機構が設けられ、
    前記型締め手段によって、前記可動金型を前記固定金型に向かって相対移動する際は、前記加振機構によって前記可動金型に、型締め・型開き方向への振動が付与されるとともに、
    前記背圧の調整は、
    前記金型に型締め方向への振動が付与されるタイミングと、
    半溶融金属の予め定められた部位における断面変化の程度と、
    に基づき、前記不活性ガスの前記キャビティ内部への出入量を調整する、
    ことを特徴とする、請求項8に記載の半溶融金属の鋳造装置。
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